GT悟空たちが幻想入り(ドラゴンボールGT×東方Project) (78)

もともとここで書いていてハーメルンに移ってサブ垢がバレて消されたのでもう一度ここで書こうと思います

注意点として悟空は瞬間移動が使える設定でお願いします

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1526613357


第1話「悟空敗北!?落ちた世界は幻想郷!」


悟空「ぐあぁぁっ!ち、ちくしょう...ベビーのやつ、ここまで力を上げてくっとはなぁ...」


ベジータの肉体に寄生しているベビーの攻撃を受け、倒れている悟空。すべての力を使い果たした彼にはもう立つ気力すら残っていない

 
ベジータ(ベビー)「くっくっくっ!これで終わりにしてやろう!」

 
そんな悟空にベビーはトドメを刺そうとサイヤ人への恨みの力で特大のエネルギー弾を作り上げる。まともにこれをくらえば悟空の身体など一瞬で消滅するだろう

 
悟空「ま、まずい...このまま...じゃ...」


身体を起こそうとする悟空。だが、その身体は言うことをきかずただ死の瞬間を待つことしかできない。そして...


ベジータ(ベビー)「消えろ...!リベンジデスボールっ!」


力を限界まで貯めたベビーの一撃が孫悟空に放たれた!
 

悟空「くっ...くそっ...!...オラ、死んじまうんか...うっ、ああああっ!」
 

サイヤ人への恨みの一撃は唸りを上げ、孫悟空を消滅させるべく近づいてくる。力を全て出し切った孫悟空が死を悟り、あきらめかけたその時...


???「悟空さん、つかまってください!!瞬間移動です!」
 

突如、瞬間移動で悟空の目の前に現れた者、彼は悟空の師である界王の上に立つ界王神とその付き人であるキビトがポタラで合体したキビト界王神だ


悟空「...か、界王神さま...?す、すまねえ!」

キビト神「カイカイっ!」
 

悟空は言われるがまま、手に掴まる。その瞬間、悟空とキビト界王神の身体はその場から消えた


 

異空間



迫り来るリベンジデスボールをキビト界王神によって助け出された悟空。界王神は自らの世界である界王神界へと悟空を連れて行くべく、前へ進む。しかし...


キビト神「くっ...技の直撃こそ避けましたが...時空を超えてここまでの衝撃を与えてくるとは...!!」
 

ベビーの攻撃で異空間は激しく揺れ、衝撃が悟空とキビト界王神に伝わる。それにより、悟空を担いでいたキビト界王神の身体のバランスが崩れてしまう!


キビト神「くっ...あっ!?しまった...ご、悟空さんっ!」
悟空「...っ!う、うわぁぁぁぁっ!!」
 

身体のバランスを崩した界王神は悟空の手を離してしまった。悟空の身体は落下し、異空間の中にあった裂け目に入り込んでしまう!


キビト神「悟空さんっ!!...悟空さんが落ちたあの時空はっ...まさかっ」


悟空が入り込んだ穴を見て、血相を変える界王神。すぐに追いかけるもその異空間の穴は閉じてしまった

 
キビト神「...くっ...悟空さん、どうかご無事で...!」

 
異空間に1人残されたキビト界王神はただただ悟空の安否を気遣うことしか出来なかった




どこかの森



悟空「...いちちっ...オラ、助かったんか...けど、ここはどこなんだ?」


気を失い、その場で倒れていた孫悟空。目を覚ました悟空は身体を起こし、周りを見渡す。辺りは謎の植物が生い茂っている森林のようだ


悟空「見たことねえ場所だなぁ...それにベビーの気も感じられねえ」


場所がわからないので、気を読むことにした悟空。だがあれだけ暴れ回っていたベビーの気は感じ取ることが出来なかった。それだけではなく...


悟空「それどころかみんなの気も...!?いってえ、ここはどこなんだ?」


パンやブウにサタン、寄生されたみんなの気すら感じられないことに違和感を覚える悟空。パンやブウは気が消せるとしてもサタンや他の地球人の気が感じられないのはおかしい


悟空「見たところ、どっかの森みてえだけどよぉ...ん...?なんか、近くに気を感じんぞ。そんなに大きくはねえ気だな...」


近くから気を感じた悟空は辺りを見渡す。この気は明らかに敵意を持っている。しばらくして、茂みの中から何かが飛び出してきた!


???「...ガブッ!」

悟空「うわっ!?あぶねえな、何すんだよ」


金髪で赤いリボンを付けた少女が悟空に向かっていきなり噛みついてくる!悟空は素早く避け、構えをとる


ルーミア「おいしそうな人間だったから、ついね」

なんと、この赤リボンの少女は悟空を食べるべく襲ってきたのだ!見たところパンより小さいくらいの女の子が襲ってくる時代だなんて今の世の中物騒だなぁと悟空は思いつつ、警戒する

 
悟空「オラ、食べてもあんまりうまくねえとおもうぞ?」
ルーミア「そう?とってもおいしそう!...それに私、ちょっとイライラしてるんだぁ」


赤リボンの少女をよく見ると、服がボロボロで戦闘した後であることが伺える。おそらく他の人にも同じように攻撃したが、返り討ちにでもあったのだろう

 
ルーミア「だからね...大人しく食べられなよ!」
 

赤リボンの少女が言い終わると同時に少女はエネルギー弾を放つ。悟空はそれを弾き返すが、次々とエネルギー弾を撃ってくる

 
悟空「ちょっと懲らしめる必要があるみてえだなっ!」


悟空は放たれてくる弾幕の間を素早く駆け、赤リボンの少女に近付く!少女は悟空の行動が予想外だったようで驚愕していた


ルーミア「は、速いっ!?」


とっさに身を守った少女であったが悟空にはその行動は読まれている!

 
悟空「背中ががら空きだぞっ」
ルーミア「きゅ!?」
 

後ろに回った悟空は赤リボンの少女の首もとに軽く手刀を打つ。その衝撃で少女は目を回して倒れた。起き上がってこないところを見ると気絶したようだ


悟空「ふうっ...こんなもんか...こいつはこの辺に置いといて...」

 
ルーミアを木の陰で寝かせた悟空は改めて状況を確認してみる。助かったのは事実だが、地球とは別の場所に飛ばされたと考えた


悟空「界王神さまの手違いで別の星に飛ばされたとかか?ま、なんにしてもそのうち界王神さまの迎えが来るはずだな」

 
悟空がどこかに飛ばされたのは界王神も知っているはず...おそらく助けにくるだろうと考えるがあの神さまは抜けているところがある。ただ待っているだけも退屈であるため、悟空も帰るための手段を探しに行くことにした

 

 


霧の湖 ほとり

 

辺りを警戒しながらあてもなく舞空術で飛んでいた悟空は2つの気がぶつかりあっているのを感じた。とりあえずその場所に向かって飛んでいく!


魔理沙「こいつで最後だ!スターダストレヴァリエ!」


箒に乗っている少女の手から星形の弾幕が放たれる。気とは違う見慣れない力だ。色とりどりの星形弾幕を氷を使って防ぐ羽根の生えた幼女。しかし、連続で放たれる弾幕に氷の盾が耐えきれず割れてしまう


チルノ「ひぎゃあっ!おっ、覚えてろぉ~!!」


被弾し、羽根の生えた幼女は捨て台詞を吐いてフラフラと飛び去っていった。箒の少女は魔法使いが被っていそうな帽子のズレを直す


魔理沙「ふうっ...こんなもんかな」
悟空「おめえ、今のどうやったんだぁ?すっげえなぁ!」


悟空が近づくと、箒に乗った少女は瞬時に距離をとる。その様子から驚きが読み取れた


魔理沙「っ!増援かっ!?(こいつ...気配をほとんど感じなかったぞ...)」
悟空「増援?いや、オラは...」
魔理沙「動くと撃つ!間違えた。撃つと動くだ。今すぐ動く!!」

 
言い終えるのと同時に力を貯め、先ほどと同じ星形の弾幕を撃ってきた!先ほどの少女とは比べものにならない威力と密度である。連続でエネルギー弾のようなものを撃つその技はベジータの技に近い!

 
悟空「ちょっ、ちょっと話を聞けって...!」
魔理沙「問答無用!だだだだだっ!!」


星形の弾幕を紙一重でかわす悟空。それなりの威力のようで当たればダメージは免れないだろう

 
悟空「くっ!よけっきれねえっ!!」

 
避けるのにも限界はくる。何発か被弾してしまう悟空。この状態では少し分が悪いと見た悟空は...



悟空「仕方ねえな...はあぁっ!!」


気を放出させ、放たれてくる弾幕をかき消した。悟空から膨大なエネルギーが溢れ出る!髪が逆立ち、黄金色に変わり、碧眼へと姿が変化させた。周りには金色のオーラが迸っている。超サイヤ人へと悟空は変身した!


魔理沙「っ!?金色の...輝き?そんな変身で...!」
 

連続して撃つエネルギー弾では効かないと見た少女は力を貯めて、ミサイルを形成して撃ってくる。それを悟空は避けもせずに気を入れ、飛んできたミサイルをかき消した!


魔理沙「わ、私のマジックミサイルを気合いだけでっ!?な、なら!レーザーでっ!」
悟空「かめはめ波っ!!」


すぐさま力を貯め、魔閃光のようなモーションでレーザーを放つ少女。悟空はとっさに出したかめはめ波で相殺する!


魔理沙「簡単に返しやがって...少しへこむぜ...!」
悟空「面白くなってきた!今度はこっちからいくぞっ!」
 

悟空は超スピードで接近し、肉弾戦に持ち込む。この手の戦い方をする者は接近戦に弱いというのが悟空の考えだ


魔理沙「わっ、たっ、たっ!何かの武術の使い手かっ!な、なかなかやるなっ!!」
悟空「おめえこそ、やるじゃねえか!この超サイヤ人についてこれるなんてよ!」


箒と気のようなものを手に纏い、悟空の攻撃を防ぐ少女だが、隙をついた悟空の蹴りが少女の腹に入る!少女は吹き飛び、受け身をとるが悟空を見るその表情は少し苦しげだ

魔理沙「ぐっ...!うぐっ...!ちょ、ちょっと分が悪いか...?こういう時は...!」


少女はスカートの中から瓶のようなものを取り出すと、それをこちらに投げてきた!瓶は破裂し、中から煙が溢れてくる。その煙を吸った悟空は咳き込んだ


魔理沙「逃げるが勝ちだぜっ!!あばよ!」
悟空「ごほっ!げほっ!ま、待てよっ!!」
 

悟空が怯んだその隙に少女は一目散に逃げていった。悟空は煙を気で吹き飛ばし、すぐさま先ほどの少女の気を探る。やがて、少女の気を捉えた悟空は一瞬でこの場から姿を消した


 

霧の湖 上空



魔理沙「いてて...あいつ、結構やりやがるな...まさか、ここまでやられるなんて...」
 

超スピードで湖を駆け抜けていく先ほどの少女。追いかけてこない所を見て、逃げ切ったと思っているようだ
 

魔理沙「しかも...まだ余裕があったように見えるぜ...!あんな奴がいるとはなぁ」
悟空「見つけたぞ!」


少女の目の前に悟空が現れる。悟空は少女の気を探り、瞬間移動で現れたのだ!


魔理沙「なっ、お前...!逃げ切ったはずだぞ?」
悟空「瞬間移動だ。オラは一度、会ったやつの気を探ってそこに瞬間移動することができる」


もっとも、会ったことのない人物や気が感じられない場所には瞬間移動では行くことができないが
 

魔理沙「ちっ、霊夢みたいな事が出来るんだな...お前...ん?あの館は...?」
悟空「なんだ、どこ見てるんだ?」


何かに気づいた少女。悟空のことは見ていないようだ。どうやら、後ろにある赤い館が気になっている様子である


魔理沙「異変のもとを見つけたぜ...!今回は私の方が早かったか?霊夢...とは言っても、この館から漂う魔力...尋常じゃないな。私、一人で解決できるか...?」
悟空「おいっ!おめえっ!どうしたんだ?早くやろうぜ」

 
悟空がそう言うと少女は良いことを思いついたと言わんばかりに笑みを浮かべた



悟空「何だよ?急に笑い出して...オラの顔になんかついてんのかぁ?」
魔理沙「なあお前、外の世界からきたんだろ?」


少女は外の世界という言葉を口にした。そのキーワードに悟空が反応を示す


悟空「外の世界?まあ、多分ここの人間じゃねえなぁ」
魔理沙「お前のもといた世界に帰りたいか?」
悟空「ああ、早いうちに帰りてえ...あいつを放っておくことはできねえからな」


ベビーの存在が脳裏に浮かぶ。あいつは放ってはおけない。今の悟空では勝つことはできないが、だからといって放っておくわけにはいかない
 

魔理沙「元の世界に戻る方法を私は知っている。教えてやってもいいぜ!」
悟空「っ!教えてくれんのか?おめえ、いいやつだな!」


いずれ界王神が助けにくるとは思うが、帰れる手段が多いことに越したことはない。少女は悟空の言葉を聞いて、キョトンとした後何やら笑いを堪えている


魔理沙「そのかわり、少し手伝ってほしいことがあるんだ。感じるか?あの館から感じるいやな気配」


少女が指を指すのは悟空の後ろにある赤い館。湖に浮かぶ小島にポツンとあるその館からは確かに嫌な気を感じる


魔理沙「最近、幻想郷...この世界のことな。幻想郷が紅い霧で覆われたんだ。それで、その霧は私たち人間にはあまり良くないわけ」


悟空が今いる世界は幻想郷と言うらしい。幻想郷という所は確かに悟空がもといた世界では聞いたことがなかった


魔理沙「そこで、霊夢の仕事を奪うべく...っと違うな。この異変を解決すべく、私はこうして動いてるわけなんだ!」
悟空「...おめえ、すげえいいやつじゃねえか!」
魔理沙「ああ、ありがとよ!ここまできたら言いたいことわかるよな?」


まとめると、この世界は今異変が起きている。あの館から人体に影響するものであり、放っておくと危険。その為、この少女が異変を解決するために動いているというわけだ

 
悟空「つまり、オラにその異変ちゅうやつを解決すんのを手伝ってほしいんだな!そういうことなら全然オッケーだぞ!」
魔理沙「助かるぜ!私の名前は霧雨魔理沙、魔法使いだ。よろしく!」
 

霧雨魔理沙と名乗った少女が手を出してくる。悟空も自己紹介をして握手をした


悟空「オラは孫悟空、地球育ちのサイヤ人だ。よろしくな!」
魔理沙「サイヤ人?」


フリーザによって滅ぼされた戦闘民族サイヤ人、悟空はその一族の数少ない生き残りである


悟空「その辺は話すと長くなるんだけどよ...ん?」
魔理沙「ん、どうした?」


何かを感じ取った悟空。今、あの館から気を感じる。どうやら、戦闘が始まろうとしているようだ!


悟空「あの館の門の前に二つ大きな気があるみてえだ。多分、戦い始める前だな」
魔理沙「便利な能力だなぁ...どれどれ、ちょっと様子見に行くか」


 
 

紅魔館 門前



2人は館から少し離れた所に降り立ち、そこで門のの様子を見る。門には仁王立ちをした中華風の女性と白と赤の巫女装束を着た少女がにらみ合っていた

 
悟空「さっき感じたのは、あの緑の服着てるやつと赤と白の服着た変な奴の気だな」
魔理沙「げっ、霊夢がいるじゃないか...先を越されてたみたいだな...」

 
魔理沙は苦い顔をしている。門にいるどちらかの心当たりがあるようだ


魔理沙「何だ、知り合いがいんのか?」
悟空「ああ、腐れ縁ってやつかな。さて、どうやってあの館に侵入するかな...門の前にはあいつらがいるしな...」


魔理沙はどう侵入するかを考えている様子。悟空も考えてみるが正直に突っ込むきちしか思い浮かばない


悟空「正面から行くんはダメなんか?」
魔理沙「まあ、それしかないか...悟空、私の後ろに乗れ!」
 

そう言われて悟空は魔理沙の箒の後ろに乗る。この箒で魔理沙は飛んでいる?


悟空「...?乗ったぞ!どうすんだ?」
魔理沙「いくぜっ!しっかりつかまってろ!!」


悟空が乗ったことを確認して、力を込め門へと思いっきり加速し、突撃していく!


悟空「うわっ!わぁぁぁっ!!」

 

 


紅魔館 門

 
 

「…」


門番なのであろう、チャイナドレスを着ている女性が門の前で仁王立ちをしている。ここから先は彼女を倒さないと進めないようだ


霊夢(...隙がない...なかなかできるわね)


そして、対するは巫女装束を着た少女...この少女は博麗霊夢。こういった幻想郷の異変を解決するスペシャリストである


美鈴「どうかした?こないのならこちらからいくわよ!」
 

門番は力を込め、今にも飛びかかってきそうだ。霊夢もいつでも動けるように身体から白いオーラを放出し、美鈴の動きに警戒する


霊夢「やれやれ...肉弾戦は得意じゃないのだけど...っ!?「どけどけぇっ!!」」
美鈴「っ!?ぐっ!!」


後ろから魔理沙がこちらをめがけて突撃してくる!霊夢はすんでのところでかわしたものの門番の女性は突撃で門の壁へと吹っ飛んでいった!


霊夢「ま、魔理沙!?突っ込んでくるなんて危ないじゃないのよ!」
魔理沙「どけって言ったぜ?避けられたんだからいいじゃないか」


箒からひょこっと悟空も出てくる。先ほど吹き飛んでいった門番を警戒していた

 
悟空「魔理沙、おめえも...気を抜くなっ!あいつ、全然気が減ってねえぞ!」



そして、衝撃で崩れ落ちた壁の瓦礫から先ほどの門番が飛び出してきた!やはり、ダメージは無かったようで笑みを浮かべこちらを見ている


美鈴「...いきなり吹っ飛んでくるなんてね。面白いじゃない」


魔理沙と悟空を睨む門番。悟空は門番を見てワクワクしている様子である。そんな悟空を霊夢が指差し、魔理沙に問いかけた


霊夢「魔理沙、いろいろとツッコミたいんだけど...あの子供は?」
魔理沙「お前の質問はあとでまとめて聞いてやるよ。今は...」


魔理沙はくいっと門番を指差す。霊夢は言いたいことはあったがすぐさま切り替えた。悟空も臨戦態勢に入っている


美鈴「...3対1か...久しぶりに、楽しめそうねっ!!」


門番が気を発すると大気が揺れ、肌にピリピリと衝撃が伝わる。悟空はそれを感じると笑みを浮かべ、一人門番に近づいていく

 
悟空「...魔理沙、それとそこの赤いやつ!ここはオラにやらせてくれねえか?」
魔理沙「ん?別にいいけどよ...」
霊夢「赤いやつって何よ!...勝手にすれば。妖怪相手に戦いを挑むなんてどうなっても知らないけどね」
悟空「サンキュー!よっしぁっ!オラが相手だ!」


二人からの了解が得られた悟空は門番の女性の前へ歩み寄る。そんな悟空を門番は不機嫌な様子で見下ろしていた


美鈴「...子供一人が相手だなんて、私もずいぶんと舐められたものね。どうなっても、知らないわよ!」


美鈴の気を込めた拳の一撃が悟空の身体にヒットする。その攻撃に大きく吹き飛ばされた悟空、さらに美鈴が追撃していく!


悟空「ぐっ!だりゃあ!!」
美鈴「甘いっ!たあっ!」


悟空の繰り出す攻撃をはねのけ、腹部に拳底を叩き込む!そして、その攻撃で門の壁に激突した悟空に美鈴は間髪入れず連続でエネルギー弾を放っていく!


悟空「うぐっ!...おぉ~いちちっ...!」
美鈴「終わりよ!」


立ち上がったのを確認した門番はトドメを刺そうと悟空に駆け寄ってくる!そして、気を込めた拳が顔面に叩き込まれた...と思われたが、その攻撃は悟空の手によって受け止められていた


悟空「様子見は終わりにすっぞ...」
美鈴「っ!?この子供っ!ぐうっ!?」
悟空「今度はこっちの番だ!だりゃあ!」


悟空が門番の腹に蹴りを入れた!そして、今度は悟空が攻め立てていく!美鈴は防御に回り、形勢は逆転することとなった


悟空「あの子...なかなかやるじゃない。外見で判断してはいけないっていうのはこのことかしら」
魔理沙「ああ、私も実際にあいつと戦って驚いた。ついでに悟空はまだ、全然本気じゃないぜ」


霊夢は腕を組み、悟空を観察する。あの動きはそう簡単に身につくものではない。おそらく幾多の戦いを経験し、勝ち抜いてきているのであろう


「孫悟空...か...」



悟空の拳が門番を捉える。美鈴は防御したものの、その衝撃に後ずさりし、口元の血を拭いながら悟空を睨みつけている

 
悟空「こいよ。本気で...」
美鈴「...私は、紅魔館の門を守る門番、紅美鈴。あなたは?」

 
門番は紅美鈴と名乗った。この館は紅魔館というらしい...悪趣味な名前だ。まるでピッコロの技の名前のようである


悟空「オラは孫悟空だ」
美鈴「孫悟空、あなたにも能力があるように私にも一つ、能力がある」


能力?聞き覚えのない言葉に悟空はぽかんとしている。霊夢と魔理沙は顔をしかめていた


美鈴「普通の戦いで使うのはあまりにも危険な能力。だから、これまでは抑えて戦ってきた」


美鈴は全身から赤いオーラを放ち、辺り一面を吹き飛ばした。衝撃は少し離れた霊夢と魔理沙にも伝わる


悟空(...気が高まってる!これがあいつの本気ってやつか...)
美鈴「あなたには加減の必要はないみたい。気を開放するわっ!!」


言い終わると同時に赤い気を身体に纏わりつかせた美鈴。先ほどの美鈴の何倍もの気を感じる!それを見て、悟空はこれからの戦いにワクワクしているのか笑みを浮かべた


魔理沙「...!おびただしいほどのオーラね。あれがあいつの能力...!」
霊夢「気を使う程度の能力、か...」
 

 

美鈴の本気の力を見た霊夢は目を細めている。悟空の実力を知っている魔理沙も苦い顔で様子を見ていた。美鈴から感じられる力は今の孫悟空の力を遥かに越えているのだ


悟空「それがおめえの全力か。こいっ!」
美鈴「...こうなってしまったからにはあなたとは...」

 
悟空は構えて相手の出方を見ていた。しかし、美鈴は悟空がとらえきれないスピードで後ろに回り、拳を振り上げる!

 
美鈴「力の差がありすぎる!」


悟空は気配を察知し、後ろに蹴りを放つがそれを身を翻してかわし、美鈴は悟空の顔に強烈な裏拳を放つ。そこから、掌底、回し蹴り、手刀と次々、悟空に叩き込んでいく!


悟空「がっ!?くっ!」

 
吹き飛ばされた悟空はすぐさま受け身をとり、エネルギー弾を美鈴に放つが片手で弾かれる!そして、お返しと言わんばかりに赤い気を纏わせた拳から煌びやかな気弾を放ち、悟空を襲う!


霊夢「かなりのスピードよ。あれは大丈夫なの?あの子、このままじゃ...」
魔理沙「ああ~...悟空の性格がわかってきたぜ...あいつ、楽しんでやがるな」
 

悟空と戦っている魔理沙は悟空にはあの変身があることを知っている。それを使わないということは悟空は相手に合わせて戦っているのだろうと魔理沙は考えた


魔理沙「まあ見てろ。悟空の戦いをな」

 



美鈴(手ごたえがなさすぎる。攻撃は確実に当たっているはずなのに...)


ラッシュの合間にそう考える美鈴。トドメを刺そうと握った拳に力を込め、悟空に本気の一撃を叩き込む!しかし、その攻撃はまたしても悟空の小さな手で受け止められていた


美鈴「...はあっ!なっ!受け止められた!?」
悟空「にっ...おめえの強さはよくわかった。おめえじゃオラには勝てねえ」


拳を受け止めた手からエネルギー波が放たれた。その勢いに美鈴は後ろに押される!


美鈴「くっ、図に乗るな!!」


突撃し、連続でパンチをする美鈴だが、先ほどと違い攻撃が全て防がれている。それどころか、美鈴の攻撃の隙から悟空は反撃を加えていく!


悟空「おめえの動きはすべて見切ったぞ!」
 

蹴りを放つ美鈴の足をつかみ、悟空が回転して振り回す。そして、瓦礫に向かって投げた!


美鈴「こ、この打ち合いで私の動きを見切ったというの!?」
悟空「気を使うことはおめえだけができることじゃねえっ!はっ!!」


起きあがろうとする美鈴に悟空は衝撃波を放った!ガードした美鈴だが、身体を覆っていた赤い気はほとんど消えている


美鈴「...ふっ、ふふっ!なるほど、同じ能力ということね...!はあっ!!」


美鈴を覆っていた赤い気が全て拳に集まっている。おそらく必殺技を放つつもりなのだろう。同時に悟空も気を高めていく!


美鈴「この一撃で決めるっ!極彩颱風!!」


溢れ出る赤い気を悟空に向けて放つ!生半可な攻撃では相殺することも出来ないし、防ぐことも難しい。そう考えたのか悟空は超サイヤ人になり、全身から金色の光を放つ!


魔理沙「きた!あの黄金の輝き...!」
霊夢「っ!なんてでたらめなパワーアップなの!?」


見た目の変化もそうだが、悟空から感じられる力が膨れ上がったのだ!霊夢は悟空の変わりように驚愕していた


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悟空は腰に手を当て、金色の気をその手に乗せる!そして、その光を迫り来る赤のビームに向けて放った!

 
悟空「かめはめ波ーーーっ!!」


極限まで高められた一撃が美鈴の攻撃を貫いてそれをかき消していく!美鈴は近づいてくる強大な力に目をつむり、俯いていたが悟空はかめはめ波を空に向けて曲げる


美鈴「っ!...完敗ね」
 

力を全て使い切ったのか美鈴はその場で座り込み、悟空の方を見る。戦意はもうないようだ


悟空「最後の攻撃はなかなかだったな!」
美鈴「まさか、そんなものを隠してたなんて...完全に私の、負けね...」
悟空「こんなわくわくした戦いは久しぶりだったぞ!今度また戦おうな!」
美鈴「ふっ、ふふっ...そうね...!」


変身を解き、美鈴に歩み寄る悟空。悟空が手を出すと美鈴は立ち上がってその手をとり、互いに賞賛しあう。美鈴は負けたというのにその顔は実に晴れやかであった

 
魔理沙「いやぁ、いい戦いだったぜ!じゃあ、先にいこうか」


その様子を見ていた魔理沙が拍手しながら近寄ってくる。遅れて霊夢が駆け足で悟空の所へやってきた


霊夢「い、いや!ちょっと待ってよ!まず、ツッコませて。まずこの子は何なの!?」


魔理沙「ん?こいつは孫悟空、外来人らしい。あっ、外来人っていうのはお前みたいに外から来た人間な」


聞き慣れない言葉に悟空が首を傾げていると魔理沙が説明をする。外の世界から幻想郷に来た人間は外来人というらしい。霊夢もそれを聞いて納得した様子だ


霊夢「外来人...まあ、そうとは思ったけど...次!魔理沙、あんたは何でここにいるのよ」
悟空「魔理沙は里の人間が苦しんでんのを見て、助けようと思ったんだろ?」


悟空がそう言うと霊夢は訝しんだ目で魔理沙を見た。魔理沙は一瞬、固まったがすぐに霊夢に説明する


魔理沙「えっ?...ああ~そうだぜ!決して、お前の仕事を奪ってやろうとか考えていたわけじゃあないぜ!!」
霊夢「...まあ、いいけど...この異変は異変解決のスペシャリストのこの博麗霊夢が解決するわ。いい?くれぐれも邪魔だけはしないでよね」


霊夢は悟空と魔理沙に向かって指を指す。魔理沙はそれを軽く受け流し、悟空に至っては聞いてすらいなかった
 

魔理沙「へえへえ...んじゃ、いくとするかっ!」
悟空「おうっ!へへっ、オラ、わくわくしてきたぞ!」


そして、真紅の洋館に招かれざる3人の人間が進入していった。それを見ていた蝙蝠が一つの部屋の中へ入る。その蝙蝠は小さな影の中へ消えていった...

次回予告

紅魔館っちゅうところに入ったオラたちは中でいきなりすげえ数のナイフに襲われた!
ナイフを投げてきた敵と戦うけんどそいつは何か能力で妙な動きをしやがる...
そんな敵に霊夢はあることを閃いた!
次回「突撃紅魔館!つええやつとの大激戦!」
ぜってえ見てくれよな!


第2話「突撃紅魔館!つええやつとの大激戦!」



紅魔館 ロビー
 


紅魔館という洋館に入った悟空と白黒の魔法使い魔理沙、博麗の巫女霊夢。辺りを警戒し、敵襲に備える
 

霊夢「...中は結構広いわね。しかも暗いし...」


エントランスホールの中心に足を踏み入れた一行は改めて辺りを見渡してみる。霊夢の言うとおり、館の外観に比べて中はかなり広く見える。中の装飾は赤、朱、紅、どこを見ても赤色だ
 

悟空「この中じゃ気も感じられねえな...」
 

悟空は館の中にいる者の気を探ろうとしてみたがうまくいかない。霊夢も気配を探るがダメだったようだ
 

霊夢「異変を起こした奴の本拠地だし、何か結界でも貼られているのかもね。魔理沙、辺りを照らして」
魔理沙「こりゃあ探索するのも一苦労だなぁ...ほれっ灯りを...」
 

魔理沙は手に光の玉を作り出す。それにより辺りは明るく照らされた。しかし、その直後に何かが魔理沙の光の玉をかき消し、再び闇が広がっていった
 

魔理沙「な、何だ?今のは...?」
悟空「っ!?おめえら、散らばれ!」
 

悟空の声により3人は急いでその場から離れると、先ほどまで3人がいた場所にどこからかナイフが飛んできた!
 

霊夢「ナイフが飛んでくる!!」
魔理沙「くっ!どこからだっ!?」
 

次々と3人目掛けてナイフが飛んでくる!飛んでくる場所から敵の位置を探るが四方八方から飛ばされるナイフからは何も読みとることはできない。反撃しようと魔理沙が足に力を入れ、踏み出そうとしたその時!
 

魔理沙「うわっ!!お、落とし穴!?」
 

突如、床が開かれて魔理沙が下に落ちていく!魔理沙は飛んで元の場所に戻ろうとするが床はすぐさま閉じられる。悟空が床を壊そうと渾身の一撃を放つがびくともしない
 

悟空「か、固え...!魔理沙!」
霊夢「あいつなら心配はいらないわ。しぶとく生き残るでしょ...そこ!」
 

相手の行動を読んだ霊夢は闇に向かって陰陽玉を投げつける。しかし、それは襲撃者には当たらず壁にぶつかり、陰陽玉は消えた
 



???「ふふっ...ここよ」
霊夢「孫くん!後ろっ!!」


ナイフをもったメイド服の女性がいつの間にやら悟空の後ろにいた!その紅の瞳は悟空を見据えている
 

悟空「っ!いつの間に...!」
???「遅い。まず一人!」
 

後ろを振り返った悟空だが、ナイフを持った手はすでに振り上げられていた!ダメージを覚悟して手で防ごうとしたその時、結界のような物がメイドのナイフを弾いた。これは霊夢の技のようだ
 

霊夢「ふん、世話がかかるわね」
悟空「サンキュー、霊夢!助かったぞ」
 

メイドから距離をとり、霊夢の所へ行く悟空。メイドは少し驚いた様子で霊夢を見ている


???「その結界にその服...そう、あなたが博麗の巫女か」
 

向こうは霊夢の事を知っているようだ。霊夢は有名人なのだろうか?そんな事を悟空は考えている


霊夢「あんたは...見たところメイド?みたいだけど...」
咲夜「私は十六夜咲夜、この紅魔館のメイド長よ。それで、この紅魔館に何のようかしら?」
 

言い終わると同時に咲夜はナイフを霊夢の頭めがけて投げる。霊夢は首を斜めに傾けてそれを避けた
 



霊夢「ふん、ここら辺一帯に霧を出しているのあんたたちでしょ?迷惑なのよ、何が目的?」
咲夜「...ここのお嬢様は日の光が苦手なの。それが理由ね」
悟空「ずいぶんと変わったやつだなぁ、太陽の光が苦手だなんてよ」
霊夢「そんなこと私達には関係ないわ。霧出すの、止めてくれる?」


ビシッと咲夜に向けて指を指す霊夢。咲夜はそれを鼻で笑う


咲夜「ふっ、それはお嬢様に言ってもらえるかしら。まあ、もっともそれは不可能だけどね」
悟空「なんでだ?」


悟空の問いに笑みを浮かべながら咲夜は答えた

 
咲夜「死人に口なし、よ」


突然、咲夜の姿が消えてまたしても四方八方から悟空と霊夢目掛けてナイフが飛んでくる!


悟空「別に死んでても口はあるけどなぁ?オラ、あったし」
 

死後の世界を知っている悟空は先ほどの言葉が気になった様子でそんな事を呟きながら迫り来るナイフを避けている
 

霊夢「えっ、そうなの?まるで経験したかのような口振りね...じゃなくて、そんなことはどうでもいいわ!くるわよ!!」
 

ナイフを避ける悟空と霊夢の上から咲夜が現れ、手に持ったナイフで切り裂こうと悟空の頭めがけて両断する!それを紙一重でかわした悟空は咲夜に向けて回し蹴りを繰り出す


咲夜「あなたたちの時間は私のもの...あなたたちじゃ私に勝ち目はない」
 

それを瞬間移動のようなものでかわした咲夜は数十メートル離れた場所からナイフを二人に向けて放つ!それをジャンプでかわした二人は瞬時に距離をとった咲夜の動作に違和感を覚えていた
 



悟空「あいつの動き、どうなってんだぁ?瞬間移動を繰り返してんのか?」
霊夢「いや、それなら空間に歪みが出来る。瞬間移動ではないみたい...」
 

ナイフを弾きながら悟空は咲夜に向かってエネルギー弾を放つ。しかし、またもや咲夜は先ほどいた場所とは大きく離れた場所に現れる!
 

霊夢「...これはあいつの能力なのかもしれないわ...!試してみましょう!」
 

霊夢はそう言うと、咲夜の元へ駆け寄っていった。あの顔は何か考えがある様だ


咲夜「向かってくるなんてね...串刺しにしてあげるわ」
 

咲夜は青い目を細めて近づいてくる霊夢に向かって次々とナイフを投げる。まともに受ければ悟空でも致命傷は免れない!
 

悟空「霊夢にすげえ数のナイフがっ!あぶねえっ!!」
霊夢「私を舐めないで。二重結界!」
 

霊夢の周囲に二重の結界が張られ、その結界がナイフを防いでいく!ナイフを防ぎ、駆け寄る霊夢はもう咲夜の目と鼻の先まで来ていた
 

咲夜「防いだ...!?くっ!」
霊夢「そこよっ!」
 

咲夜に向けて、サマーソルトを放つ霊夢。それは命中するかに思われたが身体に当たる直後、咲夜は消え、霊夢は虚空に向けて蹴りを放った

 
咲夜「ふっ、遅いわね」


霊夢の横から咲夜が現れ、ナイフで腕を切り裂く!霊夢は一瞬、苦悶の表情を浮かべたがすぐさま咲夜に向けて接近戦を仕掛ける
 

咲夜「ふふっ...あなたの動きなんて止まっているみたいに見えるわ」
 

攻撃を全てかわす咲夜、その顔からは余裕が伺える。霊夢の攻撃は見切られているようだ
 

霊夢(すべて軽くいなされている...!でも...)




悟空「これならどうだっ!はぁっ!!」


霊夢の後ろ、すなわち咲夜の死角となる所から悟空がエネルギー波を放つ!霊夢はそれをすぐさま瞬間移動でそれを回避する。咲夜は悟空の攻撃は予想外であったようで青い目を見開き硬直していた
 

霊夢「死角からの攻撃...これなら...があっ!?」


霊夢は館の壁へ叩きつけられた。後ろには赤い目をした咲夜が立っている。先ほどの攻撃はノーダメージのようであった
 

悟空「霊夢!?いつの間に霊夢の後ろに...!」
咲夜「残念、あなたたちの動きなんてすべてお見通しなのよ」


咲夜がダメ押しと言わんばかりにナイフを一本、霊夢の方へ投げる。顔に迫り来るナイフをすんでのところでかわすがそのナイフは霊夢の頬を薄く切り裂いていた
 

霊夢(今の攻撃を避けたのはおそらく奴の能力...死角からの攻撃をいとも簡単にかわしたうえ、私の背後に回り込み、攻撃するなんて...)
 

霊夢は考える、咲夜の能力について...そう言えば先ほどから違和感を感じていた
 

霊夢(目の色、青いときと赤いときがある...これは恐らく能力が関係しているわ。きっと能力を使用している時が赤、していない時が青。これでタイミングは読めるようにはなった)
悟空「オラも力入れていくぞ!」
 

悟空もこのままでは危ういと考えたのか超サイヤ人に変身する。その金色の光は館の闇を照らしていく
 

咲夜「それはさっき美鈴との戦いでしたパワーアップね。それでも私には敵わない...」
悟空「やってみなきゃ、わかんねえぞ!!」
 

悟空は一気に距離を詰め、咲夜に蹴りを入れる。しかし、それはジャンプでかわされ、反撃にナイフを投げられた
 

霊夢(後は能力の解析...奴は能力に絶対の自信を持っている。それは何故?)
 

霊夢の頬から流れ出る血が床へ落ちる。それを気にせず超サイヤ人となった孫悟空と十六夜咲夜の戦いを観戦し続けた

 

悟空「だだだだっ、だありゃっ!!」
咲夜「結構なスピードね...でも...」
 

悟空の攻撃は全て回避され、そのたびにナイフによる反撃で的確に悟空にダメージを与えていく!
 

悟空「あ、当たらねえ!どうなってるんだ!!くっ...はあぁぁぁっ!!」
 

気を解放し、悟空は自分の周りを爆発させる。しかし、これもいつの間にか大きく距離を取られ、回避されていた
 

霊夢(あの孫くんの攻撃ですら当たらない...しっかりと赤の瞳で見据えすべてを完璧にかわし、青の瞳の時にナイフで的確に反撃している...!)
 

今の孫悟空の攻撃を全てかわし、そこから反撃に繋げていくことなど並大抵の者では出来ないと考える。この霊夢ですら何発かはもらってしまうであろう
 

霊夢(それにあの移動方法...途中まではとらえられるのに、いつの間にか別の場所へ一瞬で移動してる...)


瞬間移動であるならば霊夢は空間の揺らぎが読める為、形跡はわかる。となれば...
 

霊夢「…」
 

霊夢は自らに投げられたナイフを見る。それは霊夢の頬を切り裂いた為、血が付着している
 

咲夜「ふっ、遅いわね」


悟空のラッシュを避け続けていた咲夜が突然、目の前から消える。悟空はどこから来てもいいように構えるが...
 

悟空「...!どこだ...うっ!?」
咲夜「ここよ。力の差がわかったかしら?」
 

頭上からのかかと落としが悟空を襲う。何とかガードしたもののその手は痺れていた。咲夜のナイフによる連続攻撃が効いているのだ!もうそろそろ本気で咲夜を倒しにかかろうかと悟空が考えたその時、霊夢が悟空の前に現れる
 

霊夢「ええ、わかったわよ。あんたの倒し方がね!」

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悟空「ほんとか!?霊夢!」
 

霊夢は咲夜の倒し方がわかったというのだ。咲夜もそれを聞いて目をしかめ、ナイフの先を霊夢に向ける
 

咲夜「へえ、面白いわね...どう倒してくれるのかしら!」


再び、赤い目となった咲夜が能力を発動させた!一瞬で咲夜の周りの空間を停止していく。そう、咲夜の能力は時間停止、無条件で全ての時を止める能力であった!
 

咲夜「この能力がある限り、私は負けないわ」
 

咲夜は誰に言うわけでもなくそう呟きながら、悟空と霊夢に歩み寄りながら2人に向けて、ナイフを投げる。ナイフは能力の影響でその場で停止していた。咲夜が2人の間を通り抜けて後ろに行こうとしたその時…
 

咲夜「がっ!?」
 

動けないはずである霊夢の渾身の蹴りが咲夜の腹に入る!完全に無防備であった為、せき込みながら咲夜はその場で倒れ込んだ!
 

咲夜「な、なぜ...ごふっ!こ、この停止した空間で...」
霊夢「動けるのかって?さあ、何でだと思う?」
 

能力の時間切れか咲夜の展開した空間は消え、元の空間に戻る。悟空は迫り来るナイフを全て弾くと自分と霊夢の間にいた咲夜に驚いている。咲夜は何とか立ち上がり、苦しげな表情でこちらを睨みつけた
 

悟空「いってえどうなってんだ?霊夢、オラに説明してくれよ」
霊夢「仕方ないわね...あんたも聞いておくといいわ。その能力の弱点をね」
 

霊夢は咲夜の持っているナイフを指差す。ナイフに謎があるのだろうか?悟空も見てみるが何の変哲もないナイフに見えていた


悟空「ナイフに何かがあんのか?オラには何もないように見えるけど...」
霊夢「ナイフ自体には何もないわ。ただし、そのナイフはマーキングか何かしてるのかあいつの能力の干渉を受けず使用することができるの」
 

どういうことかわからない様子で悟空は首を傾げる。それと能力がいったい何の関係があるのだろうか...その時、咲夜はハッとした顔をしてナイフの数を確認する
 



咲夜「ま、まさかあなた...私のナイフを...!」
霊夢「ご明察、これを持っていたらあなたの能力で時の止まった世界でも動ける事がわかったわ」
 

霊夢が懐からナイフを取り出す。あれは先ほど霊夢の顔にめがけて放たれたナイフであった!


悟空「時を止める...それがあいつの能力だったんか...!」
咲夜「なるほど、まさか私の能力にこんな弱点があるなんて思わなかったわ...」


時を止める事が出来るのならば、確かに今までの咲夜の動きにも納得がいく。強力な能力ではあるが...
 

霊夢「ネタが割れればこっちのものよ!さあ、いくわよ!孫くん」
悟空「おう!いくぞ!」
 

悟空と霊夢が咲夜にトドメを刺すべく踏み出した!咲夜は時間を止めて、距離をとろうとするが止まった時の中を動ける霊夢が追撃していく!
 

霊夢「形勢逆転ね。えらく能力に自信を持っていたみたいだけどこんなものなの?」


ナイフを片手に霊夢の攻撃を防いでいくが、少しずつ後退していく咲夜。そこで時の流れも元に戻り、悟空も動き出す!
 

悟空「!?今度はそこだな!」
咲夜「くっ、ぐうっ...時を止めるだけが私の能力ではないわ...!私の奥の手を見るがいい...」
 

悟空と霊夢の連携攻撃に押される咲夜。このままではやられるとみた咲夜は奥の手を発動させた!
 

悟空「なっ!?うわぁっ!!」
霊夢「きゃあっ!?」
 

咲夜のスピードが急に上がり、悟空と霊夢を吹き飛ばす。咲夜は自らの時の流れを加速させたのだ!そして、咲夜は2人が怯んでいるその隙を突き、超スピードで姿を消す
 

悟空「あ、あいつはどこにいったんだ?」
 


この館の中では気を感じ取れない悟空は辺りを見渡すが姿は見えない。おそらく、柱の陰に隠れて攻撃の隙を窺っているのだろう。霊夢は冷静に対処法を考えていた。そして...


霊夢「孫くん、私のそばから離れないでね...封魔陣!!」
 

悟空に静止するように述べた霊夢は札のようなものをどこからか取り出し、高らかに宣言する!そして相手の行動を封じる結界、封魔陣を広げていく。それは瞬く間に2人の周りを包んでいった


咲夜(...さて、そろそろ仕掛けましょうか)


それを知らずに2人が感知できない超スピードで霊夢たちに近付く咲夜。霊夢たちとの距離が数メートルとなったその時に突如、咲夜の身体に異変が起こる!
 

咲夜「なっ!...うごけ...ないっ!?くっ...!」


咲夜の身体が動きを止める。霊夢の封魔陣で咲夜は行動を封じられたのだ!咲夜は身体を動かそうともがき、結界の場所から抜け出そうとするがその隙を見逃す2人ではない
 

悟空「かかったな!」
霊夢「そして、このまま結界に封じる!!二重結界!」
 

咲夜が怯んでいるその隙に霊夢の二重結界が咲夜を包む!捕らえられた咲夜は中から攻撃し、結界を壊そうとするがびくともしない


霊夢「しばらくそこでじっとしていてもらうわ。さっ、先に進むわよ」
 

手で髪の毛を翻して結界に封じられた咲夜の横を通り過ぎていく霊夢。悟空も変身を解き、それについていく


悟空「おめえ、やるなぁ!オラ、おめえとも戦ってみたくなったぞ!」
霊夢「私は嫌よ。戦うの好きじゃないし、めんどくさいから」
 

そんな会話を尻目に結界に封じられた咲夜はエントランスホールの頭上に飛んでいる蝙蝠を見て考える
 

咲夜(...私が敗れるなんて...でも、お嬢様ならあるいは...)
 

蝙蝠はしばらく咲夜の周りを何度か旋回した後、どこかへ飛び去っていった


 


 

一方そのころ...落とし穴に引っかかった魔理沙はと言うと...

 

紅魔館 大図書館

 

魔理沙「う~ん、結構歩き回ってみたが...周りは本、本、本...」
 

落とされたという事はここは地下の部屋。そこにはたとえ魔理沙が一生をかけても読むことができない数の本があった
 

魔理沙「普段なら大歓迎なんだが、状況が状況なだけにな...まあ良さそうな本は借りていくが」
 

魔法に関する見たことがない本と薬草についての本を物色していく。魔理沙の言う借りるというのは盗むという事なのだ。そんな事をしばらく続けていると魔理沙はある扉を発見する
 

魔理沙「扉か、開けてみるか...これは...ここからさらに地下へ続く階段?...ちょっと気になるな」
 

落とし穴で下に落とされたはずなのにまだ下がある。これに何かがあるに違いないと考えた魔理沙は地下へ続く階段に足を踏み入れた
 

???「そっちは出口じゃないわよ?」
 

後ろから小さな声だが透き通った声が聞こえる!?後ろを振り向くとそこには紫色のゆったりとしたローブを着た小柄な女性がいた
 

魔理沙「誰だっ!?」
 

急に現れた事もそうだが、彼女から感じる魔力が魔理沙を焦らせる
 

魔理沙(この尋常じゃない魔力量...こいつ...私とは比べ物にならないほどの高レベルな魔女か...!!)
 

この少女から感じる魔力に魔理沙は格の違いを思い知る。魔理沙の額には汗もにじみ出ていた。だが、それを表情には出さないようにポーカーフェイスで語りかける




魔理沙「もう一度聞くぜ?お前は誰だ。この異変の関係者か?」
パチュリー「私はパチュリー、覚えなくてもいい。確かにこの異変の関係者ではあるわ。でも、そんなことはどうでもいいの...そこは出口じゃないから引き返しなさい」
魔理沙「...お前、霧を起こしてる連中の中の一人だろ?そんな奴の言うこと...聞くと思うか?」
 

そう魔理沙は言うとパチュリーから強大な魔力が溢れ出す!腕でその魔力を払い、魔理沙も箒に乗って臨戦態勢に入った


パチュリー「引き返さないと後悔することになるわ。そっちには化け物がいる...引き返しなさい...!」
魔理沙「っ...おお~怖い怖い。よほどこっちには見られたくない何かがあるってことだな」
 

パチュリーの警告を鼻で笑いながら応える魔理沙。パチュリーはもう一触即発の状態にある。それを見た魔理沙はパチュリーが動く前に開かれている扉の中、すなわち地下室に向けて飛んでいった!
 

魔理沙「...ふっ、私のスピードについてこれるか!?」
パチュリー「っ...まずいことになったわ.早くあの馬鹿を止めないと...!」
 

そして、パチュリーもすぐさま魔理沙を追うべく地下室へ入っていった
 


地下室の部屋で何かがそっと立ち上がる。地下室に侵入した2人の気配を感じ、動いたのだ。それは狂ったように大きな声で笑うと、厳重に鍵がかけられた扉を触れることなく破壊する
 


 

紅魔館 ???

 

魔理沙(この先に異変に対する手掛かりがあると見たぜ...!)
 

箒で宙に浮き、地下に続く階段を降りていく魔理沙。やがて、薄暗い廊下が見えてきた。石でできた一本道の廊下を魔理沙は進んでいく!


魔理沙「このまま...っ!うわっ!?」
 

後ろから光弾が放たれ、魔理沙の横をすり抜けていく!当たらなかったものの後ろを振り向くとパチュリーが迫ってきていた
 

パチュリー「止まりなさい!この先にはいかせないわ!!」
魔理沙「ふう...あいつを倒さねえことには先には進めないか。こいよ、魔女!現代の魔法使いの戦い方を見せてやるぜ!」
 

魔理沙はその場で止まり、次々に放たれてくる光弾を迎え撃つ。そして、魔理沙の数十メートル離れた所でパチュリーも止まった。それを見て、レーザーを放ち先手を打つ魔理沙だが、パチュリーの周りに炎が燃え広がりレーザーは防がれる
 

パチュリー「ふん、馬鹿ね...燃えなさい!アグニシャイン」
 

パチュリーの周りの炎が魔理沙に飛んでくる!魔理沙の人間が編み出した魔法とは違う、本物の魔法使いの魔法だ。魔理沙は迫り来る炎を自らの魔力を手に宿し弾く


魔理沙「おっと、あぶねえ!炎の魔法か...!」
パチュリー「まだよ。プリンセスウンディネ!」
 

炎を防いだ魔理沙に今度は水の泡のような段幕を放つパチュリー。その攻撃に魔理沙は舌打ちをしながら応える
 

 

魔理沙「...!ちっ、イリュージョンレーザー!!」
パチュリー「甘いわ、シルフィホルン!」
 

レーザーでかろうじて水の魔法を弾く魔理沙だが、そこにさらに吹き荒れる突風が襲いかかる!この連続魔法に魔理沙もついには被弾してしまう

 
魔理沙「くそっ!なんて速さの詠唱だ...!追いつけねえ!うっ、おおっ!!」


風が魔理沙の身を切り裂いていく!腕で頭と胸を覆い隠し、何とか致命傷は防いだがパチュリーの方を見ると次の呪文を放とうと詠唱していた
 

魔理沙「おいおい...う、嘘だろ...」
パチュリー「ふうっ...レイジィ...トリリトン!」
 

パチュリーの形成した魔法陣から鋭く尖った岩石が生まれる。そして、それらは魔理沙に突き刺さろうと襲い来る!魔理沙もありったけの魔力を込め、岩石を止めようとするが勢いを殺しきれず廊下の壁に激突した


魔理沙「うぐっ!逃げることで、精一杯だ...!さすがは、魔女だぜ...」
 

フラフラになりながらも何とか立ち上がるが、次の魔法が飛んできていた。それを紙一重でかわす


パチュリー「はあ...はあ...メタル、ファティーグ!!」
魔理沙「マジックミサイル!!...?なんだ、あいつ...様子が...」
 


金色の金属が魔理沙に向かって放たれるが、魔理沙は咄嗟にミサイルを形成し爆発させる!先ほどまでの魔法とは違い、咄嗟に出した魔法で対応できた事から魔法の威力が落ちていることに気がつく。不審に思い顔をあげるとパチュリーは息を切らせ、苦しげな表情をしていた


パチュリー「ごほっ...ごほっ!...くっ、まだよ...シルバー、ドラゴン...!」
 

魔法で具現化した竜が魔理沙に向かってくる!やはり、先ほどまでの圧倒的な威力はなく、魔理沙は相殺すべく今撃てる自分の最強の魔法を放つ!
 

魔理沙「スターダスト、レヴァリエっ!!...もしかしたら、あいつ...満足に魔法を詠唱できないんじゃないか?」
 

そう思った魔理沙はミサイルを形成し、パチュリーに向けて放つ!それはバリヤーで防がれたが、パチュリーは咳き込み、膝頭を地につけている


パチュリー「ぐうっ...はぁっ...げほっ...!!」
魔理沙「やっぱりそうだ!それにこんな高度な魔法を連続で唱えまくったんだ。ある程度の負荷がかかるはず...狙うなら...」
 

隙を窺う魔理沙。立ち上がったパチュリーは魔力を貯め、魔法陣を形成する
 

パチュリー「くっ...エメラルドメガ...」


魔法陣から魔法を放とうとするその瞬間、魔理沙が動き出す!
 

魔理沙「今だっ!くらえっ!!」

 


魔理沙は発射のタイミングに合わせて、魔法陣に向け光弾を撃った!すると魔法陣はその場で爆発を起こし、近くにいたパチュリーを巻き込む!パチュリーの華奢な身体は大きく吹き飛び、床に叩きつけられた


パチュリー「っ!!ぐっ...げほっ!はあ...はあ...」
魔理沙「お、おい!大丈夫か...?わ、悪い、ここまでやるつもりは...」
 

咳き込み、吐血するパチュリーに魔理沙は慌てて駆け寄り抱き寄せる。しまった、やりすぎたと魔理沙が思っていると…
 

パチュリー「わ、私も...衰えた、ものね...はあ、はあ...こんな、こんな子供に...喘息さえなければ...」 


喘息でまともに詠唱出来ない...それ以外にもこの軽さ...おそらく身体もだいぶ弱いのだろうと魔理沙は考える
 

魔理沙「...魔法使いとしての実力はお前の方がはるかに上さ。もし、お前の身体が何ともなかったんなら、私は確実にやられてたと思うぜ」
 

魔理沙は素直にパチュリーに向けて賞賛の言葉を贈る。魔法使いとしての力は完全にパチュリーに負けていた。まだまだ修行不足ということを魔理沙はひしひしと感じている
 

パチュリー「...あなたの...名前は...?」


パチュリーは魔理沙の目を見据えて問いかける
 

魔理沙「霧雨魔理沙、普通の魔法使いだぜっ!」
パチュリー「霧雨魔理沙...覚えたわ。あなたの...名前...」
 

魔理沙の名前を一言一句、噛み締めるようにして呟くパチュリー。魔理沙はニッと笑顔で応えた
 

魔理沙「ああ、偉大な魔法使いの名前をしっかりとその胸に刻んでな」


と魔理沙が格好つけた瞬間、おぞましい気配が魔理沙の背筋を凍らせた。何かがこの廊下の先からゆっくりと近づいている...素足なのであろうひたひたという音が聞こえてきていた



???「すごい、すご~い!」
 

声を聞いて魔理沙は震え上がる。純粋な殺意、それを向けられて恐怖で身がすくんでいた。奥から小さな少女が笑顔で近づいてきていたのだ。だが、その背には羽根。身にまとうのは絶大な魔力だ


パチュリー「こ、この声は...地下室から出ていたの...!?」
 

この少女の接近にパチュリーも魔理沙と同様に驚愕していた。この館にいるということはパチュリーの仲間ということになるはずだが...
 

???「魔理沙、強いね。あのパチュリーに勝っちゃうなんて!」


一定のリズムで拍手をしながら一歩、また一歩と近づいてくる。近づかれるたびに少女の圧倒的な力が辺りを満たしていく
 

パチュリー「に、逃げて...あの子には...敵わない...レミィの助けを...ごほっ!」
魔理沙(ああ、私にだって力の差はわかる...あいつは変身した悟空以上の化け物だ...!)
 

警告するパチュリー、魔理沙も逃げることは大賛成だ。おそらく、目の前の少女と魔理沙では力量に天と地ほどの差がある。だが...まず、ちょっとした好奇心から魔理沙は少女に質問をすることにした
 

魔理沙「質問1、お前は誰だ?」
フラン「私の名前はフランドール。フランって呼んでね♪」


純粋な笑顔を向けるフランと名乗る少女。可愛らしい笑顔なのだが、対峙している魔理沙には薄気味悪く見えていた
 

魔理沙「フラン...質問2、お前は何者だ...?」
フラン「私?私はね、吸血鬼だよ」
 

吸血鬼...民話や伝説に登場する存在で、人間の血を吸い、それを栄養とする不死の存在。魔理沙はそう記憶している



魔理沙「吸血鬼...ほんとに何でもありだな。16年生きてきたけど、吸血鬼を見るのは初めてだぜ」
フラン「そう?私もこの495年間で生きた人間を見るのは初めてだなぁ」
魔理沙「何だ、年上か...!そうは見えないな...」


と魔理沙が言ったところで少女は狂ったように笑いだした。瞬間、魔理沙の身体がビクッと揺れる。一瞬でも気をゆるませでもしたら殺されてしまうと魔理沙は考え、彼女の行動を警戒した
 

フラン「うふふっ...あはっ...あははははっ!!私はずっとこの地下室に住んでるの!ずっと...ね?」


莫大なオーラがフランの周りから溢れ出す!廊下の壁にかけられているランタンが衝撃で落ちる!薄暗い地下の道に闇が広がった。灯りもなく、まさに一寸先は闇だ

 
「「...っ!」」


闇の中から発せられるその圧倒的な気に当てられた2人は身体が震え出す。身の危険を感じているのだ。これ以上は死の危険があると...
 

フラン「暇で暇で仕方なかったんだぁ...だから...」
 

オーラの放出が急に止まり、向けられていた純粋な殺意も消える。不気味にこちらに笑いかけた後…
 

フラン「遊んで?」
 

そう呟いた。その瞬間、魔理沙はパチュリーを抱えて全速力で引き返す!
 

 

魔理沙「逃げる!あんなやつに勝ち目なんてない...!」
パチュリー「む、無駄よ...すぐに追いつかれるわ」
 

魔理沙は後ろを振り返り、彼女の様子を見る。フランはこちらを見ながら不気味に微笑み、ゆっくりと歩いてくるのが見えた
 

魔理沙「任せろ!スピードには少し自信があるんだぜ?」
 

瞬く間に大きく離れた魔理沙を見ていたフラン。しばらくして、指を加えながら羽根を伸ばした後、尋常ではないスピードで魔理沙との距離を詰めていく!
 

フラン「あははっ...鬼ごっこ?楽しいなあ!!」
 

無邪気な少女のそんな声が風を切る音とともにこの廊下にこだました...




次回予告

咲夜を倒し、ついに異変を起こした張本人を見つけたオラと霊夢
あいつ、小さな身体をしてるけんど力は本物だ!
オラも力いれていかねえと勝てねえぞ!
次回「レミリアとフランドール、2人の悪魔」
ぜってえ見てくれよな!

第3話「レミリアとフランドール、2人の悪魔」



紅魔館 ホール



咲夜を破り、長い廊下を抜けた悟空と霊夢は広々とした大きさのホールに出る。窓を見ると綺麗な満月が映し出されていた。ホールの天井には二匹の蝙蝠がこちらを観察するように止まっている
 

霊夢「まったく、無駄に広いんだから...さっさと私は異変を解決して寝たいのに...」
悟空「いいこと考えたぞ!この部屋を破壊したら親玉が出てくんじゃねえか?」
霊夢「バカ、それじゃ私たちが悪者みたいじゃない」

 
そんな会話をしているとふいに悟空は天井の蝙蝠を見た。増えている?先ほど見たときは2匹だったはず...なのだが、今は5匹となっていた。蝙蝠たちはやはり、こちらを見ている


悟空「何か気味悪いな...霊夢、ここには何もねえみてえだ。先に進もうぜ」
霊夢「みたいね。もう夜よ...お腹もすいてきたわ」
悟空「そういえば...オラもずっと何も食べてねえ...腹減っちまった...」


ベビーとの戦い以降何も食べてないことに気がつき、悟空は空腹を訴える。今までは色々あって気がつかなかったが悟空は食べ物を丸一日は食べてない



霊夢「帰ったら何か食べさせてあげるわよ。今はさっさと終わらせることだけを考えなさい」
悟空「しょうがねえな...じゃあ、早くいくぞ」
 

警戒しながらもホールを抜けようとしたその時、背後から凄まじいな爆風が吹き荒れる!2人が腕で顔を覆いながら後ろを振り向くと、どこから集まったのか大量の蝙蝠が人型の形を作るように固まっていた


???「美鈴を破り、咲夜まで退けるか...少し人間の力を舐めていたようね」


蝙蝠の集合体からそんな声が聞こえてくる。やがて、大量の蝙蝠の中から小さな手が出てきた。それは、悟空を指差すと...


悟空「ぐっ!?」
 

指先からビームのようなものが放たれた!フリーザの技に似ているが、威力はフリーザの技の比ではない。それにより、悟空はホールの壁に叩きつけられた!霊夢は悟空の方を一瞬見た後、蝙蝠の群れに向かって構える


霊夢「(この威圧感...こいつが...)あんたが異変を起こした張本人ね。迷惑だから、霧を止めなさい」
 

そう霊夢が強い口調で言うと、蝙蝠たちが鳴き声を上げながら霊夢の方へ向かってきた!霊夢はそれを結界で防いで、顔を上げると先ほどの蝙蝠がいた所に小さな羽根の生えた少女がそこに立っている。その少女は霊夢を見て、嘲笑うように応えた


レミリア「この誇り高き吸血鬼、レミリア・スカーレットが、人間の言うことに従うとでも?」
悟空「おめえ、なんかベジータみてえなやつだな...いちち...」


レミリアと名乗る少女が地上へ降り立つと悟空も瓦礫の中から飛び出してきた。身なりはボロボロであるがダメージはさほど受けていない様子




霊夢「無事だったようね。孫くん」

 
悟空は霊夢の横に歩いてくる。レミリアは自分の攻撃が悟空に対してダメージがないことを少し驚いていたが、すぐに手で口を覆いクスクスと笑う


レミリア「ふぅん...人間はもろいと思っていたけど、なかなかしぶといわね」
悟空「おめえ、ちいせえ体なのにてえしたパワーだ!さっきの攻撃、なかなか効いたぞ!」


攻撃を受けた腹を触りながら悟空はレミリアに向かって笑いかける。レミリアも幼い少女がするようなものではない不敵な笑みを浮かべて応えた


レミリア「小さいは余計よ。ふっ、やっぱり人間は楽しいわね...それともあなたは人間じゃないのかしら?」
悟空「オラは宇宙人だけんど、地球育ちのサイヤ人だっ!」


通じているのか通じていないのかわからない悟空とレミリアの会話に業を煮やしたのか霊夢が一歩前に踏み出し、拳をレミリアに向けた!
 

霊夢「そんなことはどうだっていいのよ。霧を止めないっていうなら力づくでも止めにかかるわよ?」
 

会話を切られたこと...そして、下に見ていた人間が吸血鬼である自分を倒すつもりでいること...これらのことに腹を立てたのか、凄まじい殺気とオーラを放ちながらレミリアは2人を睨みつけた!


紅魔館を揺らす強大なパワーをレミリアから感じた悟空は身体に力を込めた!黄金色のオーラが悟空の身体を伝い、髪の色、目の色が共に変化する!どうやら、悟空も最初から超サイヤ人で戦うようだ



悟空「すげえ力感じんぞ...!今までのやつとは格が違うみてえだ」

霊夢「孫くんがいきなりその姿でいくなんてね...一筋縄じゃいかなそうだわ」



霊夢も超サイヤ人となった悟空を見て、オーラを放出させる。黄金色と白色の気がホールの闇を照らしていく!レミリアは窓の外から見える微かに赤く光る満月を一瞥し、2人に語りかけた



レミリア「ああ...こんなにも月が紅いから、本気で殺すわよ?」

霊夢「はあ...こんなにも月が紅いのに...」



そう告げて威圧するレミリアに対し、霊夢は肩をすくめて溜め息をつきながら応える。悟空も今から始まろうとする戦いにワクワクしながら、伸脚と屈伸をしていた



「「楽しい「永い」夜になりそうね」 」



霊夢とレミリアが互いに言葉を交わすと、レミリアは羽根を広げ、指で挑発する!



レミリア「さあ、せいぜい私を楽しませてみなさい人間!」



圧倒的な力とスピードを持つ吸血鬼である故に強さに自信があるのだ。2人は自身が今出せる最高のスピードでレミリアに向けて、駆け出す!



悟空「いくぞ、霊夢!でりゃぁぁっ!」

霊夢「ええ、はあっ!」
 


黄金の気を纏った拳と渾身の力が込められた飛び蹴りがレミリアに向かって放たれる!しかし、レミリアはそれを避けようともせず、鼻で笑いながら何でもないように2人の攻撃を受け止めていた!




レミリア「ふっ...これが全力なのかしら?」

悟空「受け止められた!?うわっ!!」



レミリアの身体全身から衝撃波が放たれ、悟空と霊夢は後方に吹き飛ばされる。2人が顔を上げたとき、レミリアは霊夢の前にいた!一瞬で距離をつめてきたのだ!



霊夢「なっ!うぐっ!?」

悟空「霊夢!?このっ!」



目の前にいる霊夢に向かって、レミリアは拳を握り振り下ろす。霊夢は床に叩きつけられその身体をレミリアが足で踏みつける!それを見た悟空はレミリアに向けて、気弾を放つが...



レミリア「他人の心配をしている暇はあなたにはないわよ?」



悟空が放ったエネルギー弾を片手で弾き返したレミリアはそう言い放ち、宙へ浮かぶ!そして、手を悟空に向けて、地球をいとも簡単に壊せそうな光弾を一瞬で作り出した!
 


悟空「うっ...!?な、なんてでけえエネルギー弾だ...!」

レミリア「消えなさい!」
 


魔人ブウが地球を破壊したあの攻撃と同等、いやそれ以上の力をあの光弾から感じた悟空は自身の身体に当たる一歩手前で姿を消した!
 


レミリア「...?消えた...?」





悟空「瞬間移動だ!はぁっ!!」



悟空の姿を見失ったレミリアは眉を顰め、左右を見渡していた。ワンテンポ遅れて、レミリアの死角となる後ろから悟空が現れ、かめはめ波を撃つ!



レミリア「っ!...今のは少し驚いたわよ」



悟空のかめはめ波は見事レミリアの隙を突き、ダメージを与えることに成功するがすぐにその傷は再生する。吸血鬼はピッコロやネイルのようなナメック星人以上の再生能力も兼ね備えていた!傷を回復させたレミリアは超スピードで悟空に迫り、腹に重い一撃を叩き込む!



悟空「があっ...!な、なんてやつだ...死角からの攻撃もたいして効いてねえ」
 


地面に吹き飛ばされた悟空はすぐさま受け身をとるが、手を地面につく。倒れていた霊夢はその場で立ち上がり、宙へ浮かんでいるレミリアを睨む



霊夢「さ、さすがは吸血鬼...パワーもスピードも桁違いだわ。それにあの再生能力...反則級じゃない...」

レミリア「ふっ、今度は...こちらからいくわよ?」


 
レミリアは目にも留まらぬ速さでホール内を飛び回る!超サイヤ人の悟空や実力者である霊夢ですらかすかにしか見えない。そして、レミリアは霊夢の後ろに現れた!



悟空「っ!霊夢っ!!後ろだっ!」

霊夢「うっ!?がふっ...」





吸血鬼の力で殴りかかられた霊夢は後方へぶっ飛んでいく!さらにレミリアはクスクスと笑いながら、周りに魔法陣を展開させて、追撃の態勢に入った
 


レミリア「...スターオブダビデ」
 


その魔法陣から一斉にレーザーが放たれ、霊夢を襲う!まともに当たってしまえば良くて戦闘不能、悪ければ死亡する威力だ



霊夢「に、二重結界っ!」

 

何重ものレーザーを二段に張られた結界が弾くが、弾いていくたびに結界がひび割れていく!
 


レミリア「甘いわね。そんな結界じゃこの私の攻撃は防げない」

霊夢「結界が破られたっ!?きゃあぁぁっ!」



結界は割れ、防ぎきれなかったレーザーは霊夢の身を焦がしていく!煙が立ち上ると、服が破けボロボロとなった霊夢がそこにいた



悟空「霊夢っ!大丈夫か!!」

霊夢「はあ...はあ...何とか、ね」



悟空が霊夢の横に降り立つ。悟空の見立てではレミリアの今の力は半分ほどといったところだろう。それでこのざまだ。となれば、勝つためには超サイヤ人の上をいかなければならない!



悟空「こりゃあ出し惜しみもしてらんねえな...」




レミリア「隠してる力があるなら早く出しておくことね。死んでからじゃ遅いわよ?」



羽をはためかせたレミリアは睨みを利かせて言う。それを聞いた悟空は口角を上げ、気を溜めていく!
 


悟空「ああ、いかせてもらうぜ...!はあぁぁぁっ!!」

霊夢「...!?黄金の輝きが...強く...!」



悟空の髪がさらに激しく逆立ち、青白いスパークが金色のオーラと共に溢れ出ている。そしてなにより感じられる力は先ほどの超サイヤ人の倍以上になっていた
 


悟空「超サイヤ人2だ。さあ...第二ラウンド、始めようぜ?」
 


バチバチとスパークが音をたてる。悟空の余裕の顔を見て、不快そうな顔をするレミリア



レミリア「ふん、それが...どうした!」
 


レミリアが超サイヤ人の時では見切ることが出来なかった速度で悟空に迫り、殴りつける!悟空は片手でそれを受け止めると...



悟空「わからないか?さっきのオラより強いってことだっ!!」
 


回し蹴りでレミリアを吹き飛ばした!そこから、激しいラッシュをレミリアの身体に叩き込んでいく!レミリアはそれを悟空に勝るも劣らないスピードで弾く。その2人のスピードに霊夢も驚愕していた

 

霊夢「私でさえ、目で追うのがやっと...!これが、孫くんの力...」





レミリア「ふん...このレミリアに一撃、食らわせるなんてね」



ラッシュの攻防の最中、レミリアが呟く。先手の一撃が効いたのだろう、口元からは血が滴り落ちていた

 

悟空「一撃なんて言わずに何発でもぶち込んでやるぜ?」

レミリア「図に乗るな。二度目はないっ!」

 

悟空の言葉にレミリアが激怒し、さらにラッシュの攻防は激しくなっていく!そして、レミリアは顔に放たれた拳を受け止め、それを強引に頭上へと投げ飛ばした。悟空はすぐさま受け身をとり、回転しながら地上に降り立つ。そこにレミリアが指先から連続でビームを放った!

 

レミリア「貴様...まだ力を隠しているな?」

悟空「...さてな。おめえがそれを確かめてみろよ」

 

ビームをかわしつづける悟空にレミリアは問いかける。悟空はビームの間隔を見極めて、瞬間移動で後ろに回り、蹴り上げた!その攻撃はすんでのところでレミリアはかわされ、距離をあけられる



レミリア「認めたくはないけれど、お前は強い。ここまで私について来るなんて...この幻想郷の中でもトップクラスと言ってもいいわ」

悟空「おめえもすげえよ。今のオラとここまで打ち合えるなんて、オラの世界でも数えるほどしかいねえと思う」


「だけどよ「けれど」」


悟空「勝つのはオラだ!!」
レミリア「勝利するのはこのレミリアだ!!」」



そして、また互角の攻防が始まる!互いに打ち合って、僅かなダメージは蓄積していくが決定打となる一撃は入らない



悟空(どんどん気が高まっていってやがる...あいつも本領発揮ってとこか)



打ち合うたびにレミリアのパワーとスピードが上がっていく。この果てのない競り合いはどこまで続くのだろうか...悟空はそう思うとワクワクが止まらない!



悟空「面白くなってきたぜ!こいっ!!」



悟空も気合いを入れ、フルパワーになろうとしたその時、紅魔館が大きく揺れた!これは悟空でも霊夢でもレミリアでもない。霊夢はこの揺れの出所を探る



霊夢「...?この音...館の地下から?」
 


悟空はレミリアから距離をとり、何かに備える。何やら嫌な気配を感じたからだ。おそらく、レミリア以上の強い力をこの揺れを引き起こしている人物は持っていると悟空の勘が告げている



悟空「...なんだ、この胸騒ぎは...?」

レミリア「よそ見とはいい身分ね!」



辺りを警戒する悟空にレミリアは迫る!悟空はレミリアに戦いを中断するように頼む



悟空「ま、まて!レミリア!これは...」

 

悟空が口を開いたその時、ホールの床から膨大な力のエネルギー波が突き抜けた!幸いそのエネルギー波は誰にも当たることはなかったが、床の穴から聞き覚えのある声が響いてくる



魔理沙「うわぁぁぁっ!!」

霊夢「こ、この声は...魔理沙!?」






魔理沙「ど、どけどけどけっ!!」



魔理沙が勢いよく穴からホールの天井へと飛び出してきた!乗っている箒には魔理沙の他にもう一人いる


 
霊夢「な、なんであんたが館の床から出てくんのよ!しかも、また知らないやつ乗せてるし...」



紫色のローブのようなものを羽織った細身の少女、彼女は魔女、パチュリー・ノーレッジ。だが、そんなことを霊夢が知る由もない
 


レミリア「パチェ...?そこで何をしているのかしら...」



突然現れた魔理沙の後ろにいるパチュリーにレミリアが話しかけた。パチェとはレミリアがパチュリーにつけた愛称である



パチュリー「れ、レミィ...ま、まずいことに、なったわ...あなたの妹が...」

レミリア「フランが...?」



フランドール・スカーレットことフランはこのレミリアの妹なのである。ちなみにレミィもパチュリーに付けられた愛称だ



フラン「あははっ...みぃつけた」



エネルギー波が貫いた床の穴の中から楽しげな子供の声が聞こえた。魔理沙は慌てて悟空の後ろに飛んでいく。悟空も超サイヤ人2のままで何者かの出現に身構えた
 


フラン「うふふ、もっと遊んでくれるよね...?」

「「っ!?」」


 


無邪気に笑いながら現れた少女に誰もが戦慄が走った。レミリアと同じ吸血鬼でさることながら身にまとっている力、これは悟空をして息をのむほどであった



霊夢「...これは、手に負えないわね...」

魔理沙「何とか地下室で知り合ったこいつと一緒に命からがら逃げてきたけど、あいつはマジでやばい...まともにやりあったら勝ち目がないぜ」



霊夢と魔理沙はフランを見て考える。今の悟空を含む3人でもフランに勝てるのかと...そんな思考の中、神妙な面持ちをしていたレミリアが口を開く


 
レミリア「フラン...何をしているのかしら?」



妹に向けるには少し厳しめな口調だ。フランは特に気にすることなく笑顔で答える



フラン「ん~?地下に面白そうなものが入り込んでたから遊んでたんだ」

レミリア「地下室に戻りなさい。今すぐよ」



フランの言葉にレミリアは強く戻るように命じるとフランから笑顔が消える。無表情でじっと見るその目は何を考えているのかレミリアでも読みとることはできない



霊夢「何だか、様子が変よ...向こうにとっても予想外の出来事みたいね」



2人の様子を見ている霊夢は術で自らの傷を治しながら言う。悟空もいつでも動けるように緊張は解かない


魔理沙「お前たちはあっちのちっこいのと戦ってたのか?こっちはあいつと戦ってたんだが...」


魔理沙はフランとレミリアを指差しながら2人に問いかけた




悟空「おめえが相手してたあいつはかなりやばいな…多分、レミリア以上の力を持ってる。なにより...」



小さくなった魔人ブウのような何をするかわからない...そんな危険を悟空は感じていた。そして...


 
フラン「...ふふふっ...あははははっ!!」



フランが突然、笑い出した。レミリアを指差して大爆笑している。レミリアは唖然としてフランを見る



レミリア「何が...おかしいのかしら?」

フラン「...ねえ、お姉さま。私はあとどれくらい、地下にいればいいの?」



ふいに笑うことをやめ、真顔になりレミリアに問いかけるフラン。その言葉を聞いてレミリアは息を詰まらせる
 


レミリア「っ!そ、それは...」

フラン「あと一年?それとも十年?百年?千年?」



その言葉からフランは気が遠くなるような年月をあの暗い地下室で過ごしていたことがうかがえる



レミリア「私が...私が許すまでよ...」

フラン「許すまでって...お姉さまはいつまで経っても外へ出してはくれないじゃん!」




フランはレミリアに詰め寄り、肩を掴んで揺らす。レミリアはうつむき何も答えない。そんなレミリアにフランはとうとう苛立ちを覚えたのか



フラン「私も外にいきたいよ。お月様も見たい...一度だけでもいいから、外に出してよ!!」



レミリアを突き放し、声を荒げるフラン。身体からは様々な感情が爆発したせいか、それらは力となって表面に現れる。もう爆発寸前だ



レミリア「...フランの力は危険すぎるの。だから、力のコントロールができるまで...「...前から思ってたんだ」」
 


レミリアの言葉をふいに遮るフラン。レミリアは顔を上げ、妹を見た。フランは手を開いては閉じて開いては閉じてを繰り返し、悲しげな顔で笑いながら口を開く



フラン「何で、たかだか数年早く生まれただけのお姉さまの言うことを私が聞かなくちゃいけないの?」

レミリアっ!?がっ...はあっ...!」



フランがそう言った瞬間...レミリアの右手が弾け飛んだ。一瞬で右手を失ったレミリアは遅れて顔を歪め、緩やかなスピードで下へ落ちていく



パチュリー「レミィっ!?」



パチュリーが声を上げて、魔理沙の箒から降り、レミリアの所へ飛ぼうとするが身体がついていかない。その場で腰をかがめたところを魔理沙が横で背中をさする


魔理沙「な、何が起こったんだ...!?悟空、何をやってたかわかるか?」


魔理沙は悟空に問いかけるが悟空は首を横に振る。霊夢もなにが起こったか分かっていない様子だ。ただ一人、パチュリーは厳しい表情である



パチュリー「あれは...あの子の、能力...!ありとあらゆるものを、破壊する能力よ...!」

霊夢「ありとあらゆるものを...破壊する能力ですって…!?」


 
そして、パチュリーはフランの能力の説明をする。ありとあらゆるものを破壊する程度の能力...すなわちそれは...


 
魔理沙「それってつまり...この世にあるすべてのものを破壊できるってことじゃないのか!?」

パチュリー「...ええ、そうよ」

悟空「けどよ、レミリアはさっき言ってなかったか?力のコントロールができていねえって...オラにはそうは見えなかったけどなぁ」


 
悟空はレミリアの言葉を思い出す。フランは能力を使用してレミリアの右手を破壊した。それを見た限りでは力のコントロールが出来ていないとは思えなかったのだ。その疑問に霊夢が答える


霊夢「今日は満月...吸血鬼や妖怪にとっては一番力が出せる日なのよ。あいつも強化されて力のコントロールも多少、マシになったってとこでしょうね」

パチュリー「その通りよ。今のフランは力を完全にとは言えないけれど、ある程度は制御することができる...けど、それは満月である今日だけ」

悟空「ということは...あいつが外に出ちまったらやばいんじゃねえか...?」


 
悟空の言葉に皆が青ざめる。制御できない破壊の力が人間が住む里でもし使われたのならばどうなるかは考えなくてもわかることだ




霊夢「やばいなんてどころの話じゃないわ...!ここでなんとしても止めないと...」

魔理沙「お、おいっ!あれ...」

 
魔理沙が指差すその方向では、今まさにフランがレミリアに向かって破壊の能力を使おうとしている姿が見えた


フラン「最初からこうしておけばよかったんだぁ~ふふっ!」

レミリア「うあっ...フラ、ン...」


失った右手を押さえ、ふらつきながら立ちあがるレミリア。そこにフランが笑顔で近づきながら、またもや右手を開いて閉じてを繰り返している


フラン「消えて?お姉さま...!」

???「させませんっ!」

 
突然、静止の声が聞こえたと思った瞬間、レミリアの姿がふいに消えた。フランは驚いた表情で周りを見渡している


フラン「...ん?どこに...うっ...!?」

美鈴「お嬢様、ご無事ですか!?」


不意を突いた跳び蹴りがフランの背中に放たれた!フランはホールの壁に激突し、瓦礫に埋もれる。蹴りを放った者、それは紅魔館の門番、紅美鈴であった!そして、そのそばでレミリアを抱き寄せ、応急処置しているのは紅魔館のメイド、十六夜咲夜である


レミリア「咲夜...美鈴...」


レミリアが今にも途切れそうな声が2人の従者に向けて発せられる




咲夜「あの巫女にやられた結界が解けて、急いで駆けつけたのですが...」

美鈴「これはいったい、何が起こってるんですか?」

レミリア「フラン...暴走して...ぐうっ...!」


レミリアが失った右手の痛みで顔を歪める。咲夜は傷口を治療していくが...


咲夜「...!吸血鬼の再生が追い付いていない...!」

美鈴「妹君の能力のせいですかね...これは...ぐふっ!?」

咲夜「美鈴!?...はっ...妹、様...」


美鈴がすごい勢いで吹き飛ばされた!咲夜が顔を上げるとそこには片手をこちらに向けたフランが立っていた。咲夜は立ち上がり、レミリアを守るように立ちふさがる


フラン「咲夜...どいて?お姉さまを殺せないじゃん」

咲夜「...本気、なんですか?」


フランの言葉に咲夜が真意を確かめる。しかし、フランは...

 
フラン「本気だよ?だから、どいてよ」

咲夜「だったら...どくわけにはいきませんね!」


咲夜はナイフをフランに向ける。フランは少し驚いたがすぐに笑みを浮かべた




フラン「やめといた方がいいと思うけどな?私、咲夜は殺したくないよ。ご飯も上手だし」

咲夜「お褒め預かり光栄ですね...ですがそれはきけません...!」


レミリアの姿が消える。咲夜の時を止める能力でどこかに移動させたのだろう。それを見たフランが身体にオーラを纏わせる

 
フラン「じゃあ...しょうがないね...!」

魔理沙「待てよ!」


睨み合う両者の前にエネルギー弾が放たれた。2人がエネルギー弾が撃たれた方向を見ると、悟空と霊夢と魔理沙、魔理沙の箒の後ろにパチュリーがそこにいた。先ほどのエネルギー弾は魔理沙が撃ったものだ


フラン「ん、魔理沙...?どうしたの?今忙しいんだけど...」


邪魔をされて少し不機嫌になったのか、顔を膨らませるフラン。それに魔理沙は指で挑発する


魔理沙「勝手に目移りしてるんじゃねえよ。まだ私との遊びが終わってないはずだぜ?」

フラン「そういえばそうだね~でも...魔理沙は多分、すぐ死んじゃうよ?」


魔理沙など大したことがないと言わんばかりにフランは返す。魔理沙は少しムッとしたがすぐに取り直した



魔理沙「...大丈夫だ。今回はこの怖い巫女さんと、お前といい友達になれそうなやつもいるからよ」

霊夢「誰が怖い巫女よ!」

悟空「あいつと友達かぁ...なれんかなぁ...?」

フラン「ふ~ん、まあ、お姉さまは後で殺せばいっか...いいよ!遊ぼうっ!!」

魔理沙(きた...これで、ひとまずは私たちに関心が向くはずだぜ...)


臨戦態勢に入っていたフランは振り返り、悟空たちと向き合った。圧倒的な力の前に霊夢も魔理沙も緊張で額に汗が滲んでいる。


霊夢「...それで、何して遊ぶのかしら?」


霊夢が問い掛けるとフランは狂ったように笑い出した!宙に少し浮いた後、返答する


フラン「当然、弾幕ごっこっ!ふふっ、あなたたちには能力は使わないであげるね。さあ、遊ぼう?」


この言葉が戦いの火蓋を切ることとなる!悟空と霊夢はその場で瞬間的に気を高めた!


悟空「いくぞっ!!最初から、全開で飛ばせっ!」

霊夢「ええっ!わかってる!」


そして、フランに向けて突撃していく!超サイヤ人2の悟空と本気の霊夢の連携攻撃がフランに繰り出される。フランはそれを弾き、笑みを絶やすことなく応戦していた



魔理沙「パチュリー、箒から降りてな。そこにいちゃあ…」


箒を跨いだ魔理沙は後ろに乗っているパチュリーに向けて、口を開いたがパチュリーはそれを遮る


パチュリー「このままでいいわよ。後ろから、援護くらいはしてあげる...」

魔理沙「いいのか?あれはお前んとこの...」

パチュリー「いいのよ。今はあの子を止めることが先決...!」
 

どうやらパチュリーも参戦してくれるようだ。あのフランが相手だ、正直これでも勝てるかどうかはわからない


魔理沙「ああ、そうかい...あ、今のは植物のな...」

パチュリー「どうでもいいわよっ!ごほっ...」
 

魔理沙のボケにイラっとするパチュリー。その影響か少しむせてせき込む。渾身のボケが炸裂した為か魔理沙の顔はどこか満足気だ


魔理沙「ふっ...じゃあ、いくぜっ!」


パチュリーが落ち着いたことを確認し、魔理沙もフランを止める為の戦いに出向いた!その先でうごめく陰が2つ


咲夜「い、今のうちに...お嬢様を!」


ホールの隅でレミリアの傷の手当てをする咲夜。吸血鬼の再生と相まって傷はみるみる回復していく

 
レミリア「...フラン...」


治療を受けながら見つめる先、それは最愛の妹。右手が再生していくのを感じながらレミリアは覚悟を決めるのであった


次回予告

突然現れたフランと戦うオラたち。フランはレミリア以上のすげえ力を持っていやがる...!
あいつを倒すにはオラが本気を出して相手するしかねえか
できればなりたくはねえけれど仕方ねえ…!これが最強の超サイヤ人だ!
次回「希望をその手に、全てを込めた一撃!」
ぜってえ見てくれよな!
 

第4話「希望をその手に...全てを賭けた一撃!」


悟空たちの超激戦により半壊した紅魔館、その中で最後の戦いが繰り広げられていた。金色の光が異形の羽根をした少女に迫っていく!


悟空「ぜやぁっ!!」

フラン「おっと...!危ないなぁ」
 

悟空の拳はかわされ、空を切る。フランの後ろから霊夢も現れ、攻撃に加わった!
 

霊夢「はあっ!!」

フラン「おしいおしい」


霊夢の放った連続蹴りは片手で防がれる。そこから次々と放たれる2人の連続攻撃をフランは笑いながら受け流していく!


霊夢「くっ...!てやっ!!」

悟空「なめんなよっ!!」

 
霊夢の回し蹴りと悟空の正拳突きを両手で受け止めるフラン


フラン「あははっ、楽しくなってきたなっ!」

悟空「今のを簡単に受け止めんのか...!「どけっ!」」



悟空と霊夢の後ろから声が響く。2人はその場から離れ、フランから距離をとった。その後ろから魔理沙とパチュリーが魔法陣を展開させ、魔法を撃つ!


魔理沙「スターダストレヴァリエ!」

パチュリー「ラーヴァクロムレク!」


星形の弾幕と炎と土の複合呪文がフランに降り注ぐ!しかし、フランは避けようともせず右手に炎の剣を作り出す


フラン「...レーヴァテイン」

 
迫り来る弾幕をその剣で軽々と切り裂いていく!それを見た魔理沙は舌打ちをする。パチュリーも険しい表情だ


フラン「さあ、どんどんいくよ~!スターボウブレイク」
 

フランの手から高密度のエネルギー弾が無造作に放たれる!これに当たったならばただではすまない!


霊夢「ま、まずいっ!みんなっ!こっちにっ」


霊夢の元に集まる3人。霊夢は周囲に結界を作り出していく!


霊夢「二重結界っ!」




フラン「無駄、無駄!切り裂かれちゃえ!」


二重に張られた強固な結界だが、フランの弾幕の前ではそれは数秒ももたない。瞬く間に結界がひび割れていく!


霊夢「ぐっ...ぐぐっ!!や、破られるわっ!」

悟空「かめはめ波っ!!」

魔理沙「イリュージョンレーザー!」

パチュリー「ロイヤルフレアっ!」


3人は各々が放てる最強の技でフランの弾幕を相殺する!何とか防ぎきった悟空たちであったが先ほどの攻撃により皆が悟る。このままでは負けてしまうと...


フラン「すご~いっ!防いじゃった!」


自分の弾幕を防ぎきった所を見たフランはパチパチパチと拍手で4人を素直に讃えていた


フラン「でも、もう飽きてきちゃったな~...殺しちゃおうかな」

 
まるで飽きた玩具を捨てるかのように簡単に言い放つフランであるがそれを簡単に行える事は皆はわかっていた

 


 
パチュリー「はあ...はあ...万事休すね」

魔理沙「くそ、勝てる気がしないってのはこんな時のことをいうんだろうな...さて、どうするか...」


パチュリーは魔理沙の後ろで肩で息をしながら少しでも魔力を練る。魔理沙は拳を握りしめ、フランを倒すための作戦を考えている


霊夢「最後まであきらめないわよ...私は...!」

 
霊夢もまだ戦意を失ってはいない様子、そんな3人を見て悟空はあることを決意する。フランの前へ一歩ずつ歩き出していく悟空。


霊夢「孫くん!?」魔理沙「悟空!?」


2人の驚く声を尻目に悟空はフランの数メートル前まで歩き出した。あれだけの戦いを繰り広げてなお力強い歩みでフランに近づいていく


悟空「仕方ねえ...あの変身だけはできればなりたくなかったけどよ」

魔理沙「っ!?悟空、お前まだ...?」

霊夢「どれだけ力隠してんのよ...!」


変身という言葉を聞いて驚く霊夢と魔理沙。そう...悟空には超サイヤ人を越えた変身、超サイヤ人2をさらに越えた変身をすることが出来るのだ



悟空「これが最後のパワーアップだ。こいつはエネルギー消費が激しすぎる...だから、短時間でばてちまうんだけど...そうは言ってられねえ」

フラン「...?何を言ってるかさっぱり。何をしようと無駄だよ」


そう言われると悟空は一度、超サイヤ人2の変身を解く。急激に下がった力にフランは怪訝な顔をしている

 
悟空「おめえにわかりやすく超サイヤ人の事を教えてやろうってんだ」

フラン「超サイヤ人...さっきの変身の事?何だか面白そう!」
 

フランは悟空の変身に興味を示したようだ。霊夢も魔理沙もパチュリーも悟空を見守る。圧倒的な力を持つフランに勝つには悟空のさらなる力にかけるしかないと悟っているからだ


悟空「だろ?まず、これが普通の状態だ。これが超サイヤ人!」


拳を前に突き出した悟空は全身に力を漲らせ、超サイヤ人となる。金色のオーラが半壊しているホールから差し込む月明かりが反射して夜の闇を照らしていく!



パチュリー「すごいエネルギーの飛躍ね。これが超サイヤ人...」


パチュリーも悟空の変身に目を見開き、フランは無邪気に笑ってこれを見る。これだけでも幻想郷のほとんどの妖怪の力を大きく超えているだろう


悟空「そして...これがさっき見せた超サイヤ人を超えた超サイヤ人。超サイヤ人2ってところだ」
 

髪の毛がさらに逆立ち、身体からオーラと共にスパークも飛び散っている。ほとばしる気の嵐が周囲の瓦礫を破壊し、フランを見るその目つきも鋭くなる

 
霊夢「くっ...この力!」

魔理沙「へっ、とても同じ人間とは思えないな...しかも、この上にまだ...」

 
この時点で霊夢と魔理沙の力を大きく超えている。この上があるという悟空の言葉をにわかには信じられない2人が驚きの声を上げる。対するフランは...

 
フラン「なぁんだ、たいして変わってないじゃん」

 
フランは通常時から超サイヤ人に変身したときのような見た目の変化がないことにがっかりしているようだ。フランには超サイヤ人2も普通の超サイヤ人とさほど変わらないように見えるらしい


悟空「そして...これがっ!」


気を高める悟空の身体から黄金色のオーラが眩いばかりに溢れ出る!悟空が放つ閃光に皆は思わず腕で目を覆い、悟空の高まっていく力を感じ取っていく




魔理沙「す、すごいぞ!悟空の力が膨れ上がっていく!」

霊夢「こ、この幻想郷が揺れている...!そ、孫くん...何て力を持ってんのよ」

 
やがて、閃光は収まり悟空のシルエットが見えてくる。その姿を見て、皆が驚く


悟空「...これが超サイヤ人3だ」

パチュリー「か、変わった...!」


眉毛が無くなり、逆立っていた髪が腰の辺りまで伸びており、黒の瞳孔が現れた翡翠色の瞳がフランを射抜くように見ていた。悟空の身体からは収縮しきれない膨大なエネルギーが溢れ出す


魔理沙「こ、これが超サイヤ人3...すげえ...すげえぜ!悟空!」

霊夢「人間の力の限界を遥かに越えているわ。もしかしたら、あの子を...!」


今までは決して笑みを絶やさず、戦ってきたフランであったが超サイヤ人3に変身した悟空を見て、不機嫌そうな顔になる


フラン「ふぅん、確かに変わったね。けど、それで私が倒せるっていうのかな?」

悟空「倒せるって言ったらどうだ?」
 


悟空の挑発的な言葉にフランは目を細める。そして、フランの身体からも強大なエネルギーが立ち込めた!姉妹である故かレミリアと同様、自身の力にはかなりの自信を持っているのであろう


悟空「みんな、下がっててくれ。こいつはオラが倒す」

 
悟空の言葉に魔理沙がくいつく。今の悟空でもフラン相手に1人では危険であると思ったからだ


魔理沙「ひ、1人で戦うつもりかっ!?それは無茶だぜ!私たちも…」

霊夢「...いくわよ。魔理沙」

 
魔理沙を止める霊夢。魔理沙は納得はいっていない様子だ


魔理沙「な、なんでだよ!一人じゃ...!」

パチュリー「私たちがいては足手まといになるだけよ」


パチュリーが淡々と告げた。その言葉に魔理沙は息をのむ。そして...


魔理沙「...わかった...悟空、任せたぜ!」


納得したのかパチュリーを箒の後ろに座らせている魔理沙は霊夢と共に2人から距離をとり、戦いの行く末を見守る


 
悟空「ああ、任せろ!...フランとか言ったか。待たせて悪かったな。さあ、始めようぜ」

フラン「そんな顔になったってちっとも、怖くないよ!」


フランに向けて、構える悟空。悟空から溢れる気は今もなお上昇していく!そして、フランは悟空を仕留めるべく正面から猛スピードで突撃した!


「このスピードを捉えられ...ふぐっ!?」
 

悟空に突撃していたフランが逆方向に吹き飛んだ。悟空はその場から動いていない。魔理沙やパチュリーも何が起こったのかわかっていない様子だ。しかし、霊夢は2人の横で衝撃を受けていた

 
霊夢「な...け、桁が違いすぎる...!一瞬しか見えなかったけど...これが本気の孫くんの力なの...」

フラン「あ...?ぐっ!わ、私を本気にさせたなっ!」


よろけながらも立ち上がるフランに向かって歩き出す悟空。フランは悟空を睨みつけると宙に浮かび、手から数え切れないほどの弾幕を展開させて撃ってきた!


フラン「き、消えろ!消えろ!消えろ!!」

悟空「無駄だ。そんなつまらねえ攻撃じゃオラを倒すことはできねえ」



雨のように降り注がれる光弾を超スピードでかわしながらフランに近づいていく!それを見たフランは撃つのをやめ、近づいてきた悟空に接近戦を仕掛けた


フラン「だだだだだぁぁっ!!」

悟空「すげえパワーだが当たらなければ意味がねえ。それに一瞬でも攻撃の手を緩めたときが...」


フランの怒涛の攻撃のを紙一重でかわしていく悟空が一瞬の隙を突く!悟空の鋭い右ストレートがフランの顔に直撃し、鈍い音がこの場所に響いた


フラン「ぐ、はっ...!?」

悟空「隙になるってわけだ。さて、オラからもいくぞ!」


フランが頭を揺らし、すぐさま体制を整えようとしたその直後、身体が大きく引っ張られ、回転させられる!

 
フラン「なっ!ぐっ...うわぁぁっ!!」


物凄い速さで何度も回転させられ、壁の方へ投げられたフラン。悟空の投げる力によって壁を貫通し、地上へ激突させられる!


フラン「ま、まさか...こんなことが...!?」


全身が砕け散るような痛みに耐え、何とか起き上がり、空中に飛び上がるフラン。貫通した壁の穴から両手に青白い気を溜め、腰に手を置いた悟空が飛び出してきた!


悟空「かめはめ波ーーーっ!!」



限界まで圧縮された悟空の必殺技がフランに向けて放たれる!フランはとっさに魔法陣を展開させ、弾幕を撃つ!


フラン「スターボウブレイク!...あいつはっ?」


互いの技がぶつかり合い、爆発する!その爆風で悟空の姿が捉えられなくなったフランは辺りを見渡す


悟空「こっちだ!おりゃあ!!」


瞬間移動により姿を消していた悟空はフランの後ろに現れる!フランが気配を察知し、後ろに向いたときには悟空の重たい一撃が腹に突き刺さっていた


霊夢「す、すごい...圧倒している...」

魔理沙「これが悟空の本気か...!いけるぜっ!」


悟空があの強大な力を持ったフランを圧倒している姿を見て勝利を確信し始めたその時だった


フラン「ふ、ふざけるなっ!私は...こんなところで、負けるわけにはいかないんだっ!!」


フランが全身から衝撃波を出し、悟空を後方へ吹き飛ばす。悟空を見るその目からは慢心が消えていた。手を悟空の方向へかざし、気を溜めていく!霊夢はその行動を見て声を上げた



霊夢「これは...まずいわ!破壊の能力を使うつもりよ!」


悟空は霊夢に向かって頷くとフランの方を見て、グッと構えた。破壊の能力を真正面から受け止めるようだ!

 
フラン「遊びは終わり...!これで、砕け散れっ!!破壊!!」


身体の周りに紫の炎のような物が吹き出し、苦しむ悟空。その破壊のエネルギーに押しつぶされないように気でバリヤーを作り、耐えていた!そして...!


悟空「ぐうっ!...こ、これが、破壊の力っちゅうやつか?」


破壊の能力を悟空は見事、耐えきった!破壊の力によって上半身の服は消滅し、口からは血が出ているが悟空から発せられる気は輝きを失ってはいない

 
悟空「お前の破壊する能力にも破壊できねえものがあるみてえだな」

フラン「な、なんで!?なんで破壊できないの!!」


自身の能力が効かない事に焦り慌てるフラン。霊夢が悟空に能力が効かなかった理由を説明する


霊夢「きっと、孫くんとフランの力が離れすぎているから、破壊の能力が通用しないんだわ!」

魔理沙「これで、やつは切り札をなくした!いけっ、悟空!」




フラン「私は外に出る...一度でいいから外に...」


フランが小声で呟く。自らの戦う理由を今一度、再確認し、悟空を睨みつけた。それに悟空は無言で構えをとる


フラン「お姉様まで手にかけてしまった...絶対に後には引けないの...ここで負けるわけにはいかないんだ!」

悟空「...最後の賭けに出るつもりか...!」


フランが両手を悟空に向けて構えた。破壊の能力を封じられたフランに残されたのは全力の一撃を悟空にぶつけることだ。悟空もこれに応えて気を溜めていく


パチュリー「フランに力が集まっているわ...!」

霊夢「孫くん...!」魔理沙「悟空...!」

 
空を見上げて、2人の戦いの行く末を見守る霊夢と魔理沙とパチュリー。3人は悟空の勝利を願う


フラン「495年...私は暗い地下室でずっと待った!お姉さまの言葉を信じて...!でも、何も変わらない。あのままだったら、私は外に出ることは叶わなかった...」


フランの感情が、希望が、その手に込められる。ただ外に出て普通の子のように遊ぶこと...それがフランの描いていた夢であった。その夢を叶えるため悟空に向かって全てをかけた一撃を繰り出した!

 
フラン「今、負けるわけにはいかないっ!!うわぁぁぁぁっ!!」

悟空「...はぁぁぁっ!!」


二つの強大な技がぶつかり合い、爆発する!爆風で紅魔館は全壊し残骸は吹き飛んでいく。霊夢は結界を張り、爆風を防いだ。この爆発を起こした悟空とフラン、2人はどうなったのか...



魔理沙「ど、どうなったんだ...?」

 
魔理沙が2人が浮いていた所を見る。今は煙が立ち込めているがその煙は徐々に晴れていく!


パチュリー「なっ...そ、そんな...」

霊夢「そ、孫くん...!?」


驚く霊夢とパチュリー、2人が見るその先にいたのは力を使い果たし、通常の黒髪に戻った悟空の姿であった。片方の目を閉じ、片手を押さえ、身体中がボロボロの悟空...宙に浮いているのもつらそうだ


フラン「はっ…あはははっ!!まだ、天は私を見放してなんかいなかったってことだよねっ!!」


そんな悟空を見て、大声で笑うフラン。ダメージは受けているようで最初に感じられていた圧倒的な力こそ感じないが、それでも強大な力をまだ残しているように見える


悟空「...変身が解けちまった...すまねえ...っ...」


そう言い終えると空中から地上に真っ逆さまに落ちていく悟空。その小さな身体は瓦礫の中へ消えていってしまった


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