工藤忍「目玉焼きの黄身、いつ潰す?」 (27)

目玉焼き


工藤忍「ねえねえ柚ちゃん」


喜多見柚「な~に忍ちゃん?」


忍「目玉焼きの黄身っていつ潰す?」


柚「へ?」


忍「だから、目玉焼きの黄身、どのタイミングで潰す?」


柚「え~どうしてまたそんなことを…」


忍「え、何となく?」


柚「……漫画でも読んだの?」


忍「……まあ読んだよ」


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柚「それで聞いてみたくなったと」


忍「……うん」


柚「カワイイね」


忍「恥ずかしいからそこら辺をつっこむのはもうやめて」


柚「カワイイ~」


忍「も、もうっ!ヤメテって……ほら、柚ちゃんいつ潰すの!」


柚「え~アタシ目玉焼きの黄身、潰さないよ」


忍「え、なんで?」

柚「目玉焼き食べないから」


忍「柚ちゃん目玉焼き嫌いだったの?」


柚「いや、なんとなくアレルギーっぽいから」


忍「アレルギー?」


柚「ウン。生卵がちょっとね。なんか食べると口がかゆくなるんだよね」


忍「へー……知らなかった」


柚「そう。だから全然目玉焼きとか食べないんだよね~。食べるとしても黄身の部分が固くなるまで調理してもらうから、潰す余地がない」


忍「…そっか~」


柚「まあ卵かけご飯は食べるけどね」


忍「……は?」

柚「調子が万全な状態で卵かけご飯を食べる。ウマイ」


忍「アレルギーとは」


柚「体調が芳しくないときに卵かけご飯を食べるとおなかの中がかゆくなるっていうこの地獄を忍チャンは知らないでしょ」


忍「もちろん知らないけど……バカじゃないの?」


柚「かゆくてかゆくて仕方がないのに、かけないっていうこの苦しみ。アタシは某農家アイドルT〇KI〇のボーカルの人が『上唇の皮膚を切り取って洗いたい』っていう発言を見て『わかる~』って一人ではしゃいでたんだから」


忍「なにそれ……」

柚「忍チャンはなんかアレルギーとかないの?リンゴとか」


忍「ないよ。あと、さりげなくアタシからリンゴ取ろうとするのやめてくんない?」


柚「え~」


忍「柚ちゃんから柚取っていいの?」


柚「ダメ」


忍「そういうこと」


柚「ゴメン」


忍「よろしい」


柚「そういえば、忍チャンはいつ潰すの?」


忍「アタシは…」




忍「一番最後かな」

クリームソーダ


柚「シ・ノ・ブ・チャン!」


忍「何?」


柚「喫茶店に行って頼むものって言ったらもちろんクリームソーダだよねぇ?」


忍「そうだね。異論はないよ」


柚「じゃあ忍チャンに質問~。たぶんアタシと答えが一致するんじゃないかなぁ?」

忍「よし来た。ばっちり当てて見せる!」


柚「クリームソーダのアイス、いつ食べる?せ~の」


柚忍「「一番最初!」」


忍「ですよね~よかった~一緒だった~」


柚「よかった。忍ちゃんがまともな感性を持ってた人で本当に良かった……」


忍「クリームソーダのアイスを食べるタイミングだけで人の感性を評価するのは良くないと思うけど……」


柚「じゃあ忍チャンは氷で薄まったアイスを食べる人に対して共感できるってわけ!?」


忍「それは時と場合によるでしょう……ってかなんでそんなにキレてんの?」


柚「え……?なんとなく?」


忍「う~ん……」




忍「……共感できないなぁ……」

チョココロネ、他


忍「柚ちゃん、チョココロネ食べる?」


柚「食べる~。でもなんで?」


忍「え?なんでって?」


柚「いや、なんでチョココロネ二つもあるんだろうなって」


忍「え、ああ。これはたまたま行ったパン屋さんのチョココロネが安くて……」


柚「ふ~ん。まあいいや。ありがと!」

忍「どういたしまして。あ、柚ちゃん」


柚「フガ?」


忍「あ、柚ちゃんはお尻から派なんだ」


柚「ん」


忍「アタシは頭から派なんだよね~。いっただっきま~す」


柚「フガフガ」


忍「……」


柚「フガ」


忍「……」


柚「……うん。ここのチョココロネおいしいね」


忍「そうだね」

柚「でも、なんで忍ちゃんは頭から派なの?」


忍「え……そういう柚ちゃんはなんでお尻から派なの?」


柚「アタシは最後に幸せを感じたいからかな」


忍「あ~、なるほど~。じゃあたぶんアタシは逆で、最初に幸せを感じたいからかなぁ?」


柚「でも、頭から食べると、最後にさみしい思いしない?」


忍「そこはちゃんと考えてますよ柚サン」


柚「何?」


忍「最後の方は一気に口の中に入れちゃうんだよ」


柚「ふ~ん、なるほどね」


忍「でも、このやり方だと尻尾が大きい時キツいよね」


柚「だよね」

次の日


忍「柚ちゃ~ん」


柚「な~に~?忍ちゃ~ん」


忍「みかん買ったから食べない?」


柚「りんごじゃなくて!?」


忍「うん」


柚「今日は槍か何かが降るのかな?」


忍「いや、アタシがりんご以外の果物食べないと思ったら大間違いだよ!?」

柚「あ、そうなんだ~」


忍「いや、当然じゃない?」


柚「そう?」


忍「うん」


柚「そっか~。まあじゃあいただきま~す」


忍「……」


柚 ムキムキ


忍「柚ちゃん、みかんもお尻から派なんだね」


柚「ん?ああ、そうだね」


忍「アタシはヘタの方から派だからさ。やっぱり人によって違うんだね」

柚「お尻からとると、最後にヘタと芯みたいな部分が白いヤツを取ってくれるから良いんだよね~」


忍「え~白いとこ栄養あるのに?」


柚「いや、栄養あるのはわかってるんだよ?だけど、多すぎじゃない?」


忍「そうかな……?」


柚「だいたいみかんって栄養のために食べてるんじゃないし!おいしいからだし!」


忍「う、うん……」


柚「そんなに栄養が大事なら青汁でも飲んでればいいじゃん!ねえ?忍ちゃん!?」




忍「アタシ、青汁毎日飲んでるよ?」

カレーのルー


忍「ほい出来た」


柚「わ~い!いい匂い……さっすがカレールー!」


忍「ちょっとちょっと?ルーじゃなくてアタシをほめるべきじゃない?」


柚「まだ食べてないし?」


忍「確かに。じゃあ食べよっか」


柚「イエス・マム!」


忍「はい、どうぞ」


柚「いっただっきま~す!」

忍「……どう?」


柚「ウマイ!」


忍「よかった~、これで一安心だよ……あ」


柚「ん?」


忍「柚ちゃん、カレールーの位置、右なんだね」


柚「そうだね。いつもだよ?」


忍「ふ~ん……」


柚「な、何?」


忍「いや、アタシは左だからってだけだけど……」


柚「けど?」


忍「食べにくくないの?」

柚「全然食べにくくないよ?」


忍「ルーがなくなったりとかしない?」


柚「そこはちゃんと考えて食べてるから大丈夫だよ?」


忍「へ~……そうなんだ~」


柚「じゃあ逆に聞くけど、忍ちゃんはどうなの?ルーが左にあって食べにくくないの?」


忍「食べにくくないよ」


柚「でしょ?それとおんなじだよ」


忍「う~ん……」


柚「何?」

忍「いや、なんで左右に分かれるんだろうと思って……」


柚「あー、う~ん……なんでだろうねぇ」


忍「で、一つ仮説を立てたんだけど」


柚「え?早くない?」


忍「柚ちゃんみたいにルーを右に置く人は、カレーという存在の中でお米を重要視してるんじゃないかな?逆にアタシみたいに左に置く人は、カレーという存在の中でルーを重要視してるんじゃないかな?みたいな?」


柚「なるほど~。確かにそうかもね。アタシはルーよりお米が多くても全然平気だし」


忍「いや~。新発見だね」


柚「そうだね~。でも、まさかカレーのルーの位置の話になるとは……」


忍「なんで?」


柚「アタシはてっきり、『福神漬けいる?いらない?』の話になるかと思ってたんだけど」


忍「ああ、福神漬けね……」




忍「あってもなくてもいいかな」

ラーメン


忍「やっぱりあそこのお店はおいしいな~」


柚「あ、忍ちゃんだ!ヤッホー!」


忍「あ、柚ちゃん」


柚「どこ行ってたの?」


忍「どこだと思う?」


柚「う~ん……ヒント!」


忍「じゃあ、質問です」


柚「お?」


忍「ラーメンのスープ、飲み干す?」


柚「ラーメン屋か!」


忍「う~んまあ正解で良いでしょう!」

柚「?ラーメンって言ってなかった?」


忍「で、飲み干す?飲み干さない?」


柚「えっと・・・アタシは場合によるけど、最近は飲み干してるよ。スタンプ欲しいし」


忍「え、まさかの家系?」


柚「うん、最近ハマっちゃってさ~」


忍「なるほどね~そういう制度があるってことは小耳にはさんだことがあるけど……」


柚「アタシがよく行くお店にはあるかなぁ。どこのお店にもその制度があるってわけじゃないと思うけど」


忍「ふ~ん」


柚「忍ちゃんは?」


忍「アタシも場合によりけりだけど、最近は飲んでないかなぁ」


柚「へぇ、なんで?」


忍「え、なんでって……」




忍「最近油そばにハマってるから」

忍「ちなみに最近穂乃香ちゃんは二郎系に行って衝撃を受けたっぽいよ」


柚「あら~」


忍「この前話してくれたんだけど、ナチュラルに『誘われたらもう一回食べてもいいかも』って言ってよ。あれは完全にハマったクチだね」


柚「あら~。ちなみにあずきちゃんは?」


忍「あずきちゃんは刀削麺にハマってるらしいよ」


柚「あらら?????」

ケーキ


柚「ケーキを買って参り申したぞ、お代官様」


忍「お主も悪よのぉ……」


柚「ショートとショコラどっちが良い?」


忍「ショートかなぁ」


柚「おっけー。じゃあ、お皿を準備してっと」


忍「おおー」


柚「はい、これで準備万端!」


忍「ではでは、いただきます!……あ!」


柚「うん?」


忍「一つ聞いてもよろしいですか?」


柚「なんだ。申してみよ」


忍「このケーキの周りについているビニールを舐めるのは……?」


柚「……セーフ!」

忍「ありがたき幸せ!」


柚「まあ、アタシはそんなことしないけどネ」


忍「な、何?」


柚「昔はそれはもうベロンベロン舐めてたよ?でも今は違う!」


忍「今は?」


柚「今はこうして限界までフォークでビニールに付いてるクリームをこそげて……」


忍「こそげて……?」


柚「舐める」


忍「舐めるんかい」




忍「いや、舐めるんかい!」

エビフライ


柚「エビフライうみゃ~!」


忍「エセ名古屋弁使うと、ふじともちゃんに怒られるよ」


柚「でも、この店に来ると使ってしまう……そんくらいおいしい……」


忍「まあ良いけどさ」


柚「アレ?」


忍「ん?何?」

柚「忍ちゃん、エビのしっぽ食べない派だったったけ?」


忍「ああ、これ?アタシ、エビフライの時はしっぽ食べないんだよね。てんぷらの時は食べるけど」


柚「ふ~ん……なんで?」


忍「う~ん……てんぷらだと柔らかいけど、エビフライだと固いから……かな?」


柚「へ~」


忍「柚ちゃんはどっちも食べる派なんだね」


柚「そうだね。手軽に甲羅食べてる感味わえるし」


忍「え、なにその独特な感性」

柚「いやほら、甲羅を食べてるって感じると、まだまだ自分のあごや歯は大丈夫なんだなって思えるじゃん?」


忍「いや、じゃん?って言われても……」


柚「だから、カニ食べるときは甲羅に手間取っちゃって大変なんだよね~」


忍「ふ~ん……」




忍「え?カニの甲羅も食べるの?」

おしまい

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