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ある日の通勤電車
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忍(ううっ...朝早い仕事は...電車に人が多くて...きつい...)
忍(でもアタシはすっかり都会人だからね...こんなきつきつの満員電車...慣れっこ...アイタっ...足踏まれた...)
忍(......)
忍(...慣れたけど...嫌なものは嫌だなぁ...)
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アナウンス「次はー○○。次はー○○です」
忍(あっ...降りなきゃ...)
忍(どうにか...人波をかけわけ...てっ!)
女の子「すみませーん、降りたいんだけどもぉ、いいですかぁ?」
忍(あぁ、小さい子がぎゅうぎゅうになって動けなさそう)
忍(仕方ない、ここは頼れる都会人のアタシが!)
忍「アナタ、アタシの手を握って」
女の子「あら。ありがとうねぇ」
忍「すみませーん!降ります!!」
忍「なっ...なんとか降りられた...」ゼーハー
女の子「本当にありがとうねぇ。いつも上手く降りられないんだわぁ」
忍「いえいえ...って、あなた...その訛り...?」
女の子「あぁ、東京来ていくらかたつんだけどねぇ、訛りは全然とれないべさ」
忍「アタシっ!アタシも北の出身なの!!」
女の子「そうなのかい。それは偶然だねぇ」
忍「うん、凄い偶然!なんだか嬉しいな」
忍「あっ!?ヤバっ!もうこんな時間...ごめんアタシ急ぐからこれでっ!」
女の子「はーい。気をつけてねぇ...ってもう行っちゃったべさ。忙しい人だねぇ」
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その日の午後
スタジオ
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忍「おはようございます!346プロの工藤忍です!よろしくお願いします!」
スタッフ「工藤さん、おはようございます。楽屋は今日一緒に出ていただく木下ひなたさんと同じ部屋です。ご案内しますね」
忍「はっ、はい!お構いなくっ!」
スタッフ「お構いなく?」
忍「あぁ、すみません///アタシ少し緊張してて...」
スタッフ「いえいえ。ではこちらになります」
忍「はいっ!」
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楽屋前
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スタッフ「ではこちらです。30分後くらいにお呼びしますので、よろしくお願いしますね」
忍「はいっ!よろしくお願いします!」
忍(ノックをしてっと...)コンコンコンコン
ひなた「はーい。どうぞ」
忍「失礼します!本日一緒に出演させていただきます、工藤忍です!よろしくお願いいたします!」
ひなた「はーい。よろしくお願いします」
忍「...へ?」
ひなた「...おやぁ?」
しのぶひなた「「今朝の人!!」」
忍「すごい!すごい!すごい!こんな偶然あるんだね!」
ひなた「いやーほんとに驚いたねぇ」
ひなた「今朝は本当にありがとうねぇ。おかげで打ち合わせに遅刻しないですんだべさ」
忍「ううん。こっちこそ、バタバタしててごめんね」
ひなた「いやいや大丈夫べさ。あぁ、自己紹介がまだだったねぇ。あたしは木下ひなただよぉ、よろしくお願いします」ペコリ
忍「ああいえ、こっちこそよろしくお願いします!」
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収録スタジオ
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大御所芸人「いやー!ひなたちゃんカワイイ!おじさん応援しちゃうしちゃう!」
大御所芸人「今度、一緒に日向ぼっこして隣に寝そべったりしようね!」
ひなた「いいねぇ、公園でひなたぼっこしたいべさ」
忍「ちょっと!?それセクハラですよ、セクハラ!!」
大御所芸人「なーんーだーよー!いけしゃあしゃあ前に出てきやがって!俺とひなたちゃんのラブロマンスを邪魔すんじゃねぇよ!」
忍「ダメです!ひなたちゃんは純粋なんだから、アタシが守ります!」
大御所アイドル「工藤は真面目だなぁ。頑張れ頑張れ」ケタケタ
大御所芸人「チクショー愛工大名電出身みたいな名前しやがって!大きく落ちるカーブが持ち球か!テメェ!」
忍「あいこー?カーブ?なんの話ですかそれ?」
ひなた「あらら、なんだかわかんないねぇ」
大御所芸人「ごめんねごめんね!ひなたちゃんにわからない話しして、チクショーおじさんここで伝家の宝刀見せたるけん!」
大御所アイドル「おっ!あれ出ます?あれ?」
大御所芸人「キック エンド ターン!」
大御所アイドル「出た」ケタケタ
ひなた「いやーすごいターンだねぇ、勉強になるべさ」
忍「もー!なんなのこの展開!?」
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しゅーろくごー
収録スタジオ
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しのぶひなた「「お疲れ様でしたー!!」」
大御所芸人「お疲れ様」
大御所アイドル「お疲れ様」
大御所芸人「ひなたちゃんすごく良かったよ。ほんわかした、お疲れ様」
大御所アイドル「このトークであれだけ癒しの空気出せるのはすごいな、また来いよ」
ひなた「ありがとうございます。またよろしくお願いします」ペコリ
大御所芸人「工藤も良かったよ。ガンガン前に来る感じが」
忍「ありがとうございます!ユニットでそういう役割なので、いつもの感じでやっちゃいました」
大御所芸人「ユニット組んでんだ?新曲出したら呼ぶからまた来なよ」
忍「はい!よろしくお願いします!」
大御所アイドル「346さんとは不思議な縁もありそうだしな、またよろしくな」
忍「???はい、よろしくお願いします」
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楽屋
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忍「うへー疲れたー」
ひなた「忍さんありがとねぇ、あたしあんましトークできないから助かったべさぁ」
忍「いやいや、今日一番おいしかったのひなたちゃんだと思うよ」
ひなた「おいしい?」
忍「あー、1番印象に残ったってことだよ」
ひなた「そうかねぇ、忍さんがたくさんトークしてくれてなんとかやれたんだよぉ」
忍「そうかな?そうだったら、なんだか嬉しいな!」
ひなた「たくさん頑張ったからお腹すいたねぇ。お菓子でも買ってくるべさ」
忍「お腹すいた?それならいいものがあるよ!」
ひなた「いいもの?」
忍「うん!ちょっとまってね」ガサゴソ
ひなた「なんだい?楽しみだねぇ」
忍「じゃーん!リンゴ!!」
ひなた「おー!すごいねぇ、美味しそう」パチパチ
忍「実家からたくさんリンゴ送られてきてさ、食べ切れないからこうやって持ち歩いてみんなに食べてもらってるの」
ひなた「そうなんだ、いいねぇ。うさぎさんになってるけども、忍さんがこれ切ったのかい?」
忍「うん。お母さんにリンゴの切り方教わったからね。包丁さばきはなかなかのものだよ」
ひなた「あたしもおばぁちゃんに教えてもらったけど、ここまではいかないねぇ。すごいよぉ」
忍「えへへ。なんだか恥ずかしいな。どうぞ、食べて食べて」
ひなた「はぁい。じゃあ、いただきます」
ひなた「うん。美味しい。懐かしい味だねぇ」シャリシャリ
忍「そう?良かった」シャリシャリ
ひなた「うん。皮も真っ赤だし、たくさん陽の光を浴びて育ったんだねぇ。優しい味がするよ」シャリシャリ
忍「ねぇねぇ?東京に来て、リンゴってこんなに高かったんだって驚かなかった?」
忍「3個パックがあんな値段だったり、こっちに来てアタシ凄く驚いたの」シャリシャリ
ひなた「そうだねぇ。実家じゃ、コンテナごとお裾分けしてもらったりしてたから、凄く驚いたよぉ」シャリシャリ
忍「だよねだよね。カルチャーショックってやつ?」
ひなた「かるちゃー?うん、そうかもしれないねぇ」シャリシャリ
しのぶひなた「「おいしー」」
ひなた「ごちそうさまでした。お父さんお母さんにもよろしく言っといてねぇ」
忍「うん。お父さんもお母さんもきっと喜ぶよ」
忍「そうだ!ひなたちゃん、近いうちにお休みの日ある?」
ひなた「お休みかい?あるよ、ちょっと確認するから待ってねぇ」ガサゴソ
忍「うん!予定が合ったらウチに来ない?まだまだリンゴたくさんあるからお裾分けしたいの!」
ひなた「そうかい。それは嬉しいねぇ。次の日曜大丈夫かい?」
忍「うん!その日はアタシも午後から空いてるから、是非おいでよ」
忍「トークアプリやってる?連絡先交換しようよ」
ひなた「トーク?アプリ?ごめんねぇ、機械はあんまり得意じゃなくてさぁ」
忍「いいよいいよ。アタシが教えてあげる。携帯貸してみて」
ひなた「ありがとう。なんだか忍さん、お姉ちゃんみたいだねぇ」
忍「お姉ちゃん?アタシが?」
ひなた「うん。いろいろお世話してくれるお姉ちゃん」
忍「お姉ちゃんか...なんだかいいね。よーっし!お姉ちゃんに任せなさい!」
ひなた「おー、ではおまかせしようかねぇ」
コンコンコンコン
スタッフ「失礼しまーす、木下さん工藤さん、歌収録の準備お願いしまーす」
しのぶひなた「「はーい!!」」
忍「ヤバい早くしないと!」
ひなた「そうだねぇ。はい携帯電話。よろしくねぇ」
忍「よし!任せられました!」
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数日後
忍の部屋
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ひなた「忍さーん、出来上がったよぉ」
忍「おっけー。じゃあお皿持ってくね」
ひなた「うわぁ、キレイにできたねぇ。美味しそうだべさ」
忍「良かった。タルトなんてあんまり作らないから心配だったよ」
しのぶひなた「「いただきまーす」」
ひなた「うん。美味しくできてるねぇ。忍さんのリンゴのおかげだぁ」
忍「青森のリンゴは日本一だからね!」(ドヤ
ひなた「そうだねぇ。美味しいよぉ」
忍「それにしてもタルトにリンゴたくさん使ったのに、まったく減ってないね」トホホ
ひなた「本当だねぇ。じゃあ、少し多めにいただいてもいいかい?シアターのみんなにも食べさせてあげたいべさ」
忍「ホント!?助かる!たくさん持って行っていいからね」
ひなた「ありがとうねぇ。じゃあお言葉に甘えるべさ」
忍「ところで、ひなたちゃんのいる765シアターって、765プロASの妹分みたいなもんなんだよね?」
ひなた「そうだよぉ。みなさんにはお世話になってるべさ」
忍「じゃあさ、そのね、リンゴの代わりと言ったらアレだけども...」
ひなた「アレ?」
忍「あのね、天海春香さんのサインってもらえるかなぁ?」
ひなた「春香さんの?うん。大丈夫だよぉ」
忍「やった!アタシ地元にいたときからファンなんだ!嬉しい!」
ひなた「じゃあ、春香さんにお願しとくねぇ」
忍「よろしくお願いします!!!」
忍「それにしても、ひなたちゃんといると落ち着くなぁ」
ひなた「そうかい。それは嬉しいべさ」
忍「心が田舎に帰る、みたいな?とにかくそんな感じ」
ひなた「おやぁ、おかえりなさい」
忍「ふふふ、なにそれ?」
ひなた「ふふふ、なんだろうねぇ」
忍「アタシさ、都会のスピードに少し疲れちゃう時があってさ」
ひなた「疲れる?」
忍「うん!電車は5分ごとにくるし、24時間ピカピカ光ってるし、何処に行っても人がたくさんいるし」
ひなた「そうだねぇ。都会はすごいねぇ」
忍「田舎なんて電車は1時間に1本だし、夜はまーっくらだし、人がいるところは限られてるし」
ひなた「そうだねぇ。懐かしいねぇ」
忍「都会に来たからには絶対に都会人には負けないぞーって、せかせか動くんだけどね」
忍「たまーに、誰もいない暗いところで夜空見ながらぽけーっとしたい時があるかなって」
ひなた「都会じゃ、あまりできないねぇ」
忍「うん。だからひなたちゃん凄いなって思うの」
ひなた「あたしが?」
忍「うん。アタシみたいに背伸びしてせかせかして、カッコよく言っちゃうと都会に染まりかけて」
忍「そういうのって、ひなたちゃんにはないなって」
忍「ゆーっくり、のーんびり、自分のペースをずーっと守って」
忍「そういうの、凄くカッコいいなって。自分を曲げない?みたいな」
ひなた「いやいや、あたしからみれば忍さんの方がすごいよぉ」
忍「アタシが?」
ひなた「うん。訛りもなくなってるし、都会に慣れてキビキビ動けるし」
ひなた「たくさん努力してるんだなぁって、凄くよくわかるよぉ」
忍「そっかな...うぅ、なんか少し恥ずかしい///」
ひなた「あたしは訛りもそのままだし、キビキビ動けないし羨ましいなって」
ひなた「それに」
忍「それに」
ひなた「都会で頑張っても、きちんと田舎のことを思えるって素敵だなって思うよぉ」
忍「そっか...」
ひなた「うん、そう」
忍「なんだかアタシ達アレだね『隣の芝生は青い』ってやつ」
ひなた「確かに、そんな感じだねぇ」
忍「うん。じゃあさ、お互いがお互いのいいところを勉強できるように、これからも仲良くしようよ」
ひなた「うん。よろしくねぇ、忍お姉ちゃん」
忍「.......グハッ」
ひなた「あれれ、どしたの忍さん?」
忍「......なにこの可愛い生き物...」
忍「そうだそうだ、この前ひなたちゃんが歌ってた曲」
ひなた「この前?あぁ、うたばん組のときかい?」
忍「うん。あの曲アタシすごく好き」
ひなた「ありがとうねぇ。あたしもすごく好きなんだわぁ」
忍「いつか一緒に歌いたいな、なんてワガママだね」
ひなた「そうだねぇ、いつか歌えるといいねぇ」
忍「うん!それまでアタシ頑張るね!」
ひなた「うん、あたしもがんばるよぉ」
忍「約束!」
ひなた「うん、約束」
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いつかの未来
ライブ会場
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ひなた「いやぁ、こうして故郷でライブできるなんて嬉しいねぇ」
ひなた「では次の曲の前に、紹介したい人がいます」
ファン\おー!!!?/
ひなた「都会でのあたしのお姉ちゃんみたいな人でねぇ、一緒に頑張って来たんだよ」
ひなた「その人も北の出身でね、お願いしたらおっけーをもらえたんだよぉ」
ひなた「じゃあ来てもらおうかねぇ、どうぞー」
忍「こんにちは!346プロの工藤忍です!」
ファン\わー!!!!/
忍「おー、凄い熱気だ!嬉しい!」
ひなた「じゃあじゃあ、早速歌おうかねぇ」
ひなた「次の曲は、ずっと2人で歌いたいねって言ってた曲なんだわぁ」
忍「へへへ、夢叶って嬉しいね」
しのぶひなた「「それでは次の曲はこの曲です!!」」
END
終わりだよ~(〇・▽・〇)
りんごのマーチをひなたと忍の二人で歌ったら素敵やんという欲望をただ殴り書きしました。
いつかの未来がおとずれることを願っています。
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