【艦これ】にしむらめしばな (24)
時雨「今日の種目はなににする?」
最上「トランプ」
滿潮「こないだもやったじゃない」
朝雲「テニスとかどう?」
山雲「え~ 今出撃したばっかで疲れた~」
最上「お腹空いてるし運動はパスパース」
扶桑「確かに少々空腹」
扶桑「…それでは旨いもの話なんてどう?」
朝雲「旨いもの話?」
山城「姉様の言うとおりに」
時雨「じゃ一番食欲をそそる話をした人が間宮券を受け取るということで」
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今日も今日とて少女たちは争っていた
理由はMVP獲得し者への出撃手当に支給された間宮券1枚
誰がそれを受け取るか
本来通りMVP獲得者? 対空担当が不利
腕力? それでは駆逐艦が不公平
ジャンケン? それじゃあつまらない
娯楽の少ない軍の中
いつもいつも突拍子もない勝負が考案される
それもまた皆の楽しみ
満潮「旨そうな話ってどういう基準で決める気?」
扶桑「自己申告と表情で決めます」
時雨「じゃ僕が審判をしよう」
時雨「客観的に判断するよ」
最上「食欲だね! 先が有利だ、じゃあ僕からいいかなぁ?」
時雨「はい どうぞ」
最上「よっしゃ!」
最上「えっとね~ ハンバーグ!」
「…?」
最上「だめ? じゃあコロッケ! エビフライ! オムライス!」
朝雲「いや、ただ料理の名前を連呼すればいいってもんじゃないでしょ」
山雲「情景が~ 大事なのね~」
最上「えーっ? あの その ハンバーグは…おいしい」
時雨「はい、最上 0点と」
最上「そんなぁ…」
扶桑「では…次は私が」
山城「お手本ですよく見ておきなさい」
扶桑「あれは軍に入る前の日のこと…」
扶桑「私は『しばらく食べおさめ』 と、思って大好物をお腹いっぱい食べることにしたの」
最上「ああ」
朝雲「やったわぁ」
山城「皆が共感できる場面を作り出すさすがです姉さま」
扶桑「そう あの」
扶桑「お好み焼きを」
入隊の支度金を握りしめて潜った赤い暖簾
普段は豚玉のみのところ豪華に
鉄板の上に広げられた生地の上に山盛りのキャベツ
さらにその上には
エビとイカに桜えび 牡蠣を乗せた大豪勢海鮮お好み焼きうどん入り
ふわっふわの生地に甘めのソース
扶桑「さらに山盛りのかつぶしが踊って…」
扶桑「それで一気に…かぶりつく!!」
扶桑「口いっぱいに広がるソースの味が!!」
扶桑「そして蒸されたキャベツに染み込む魚介のうまみ!」
最上「ゴクリ」
朝雲「美味しそう…」
扶桑「あの特製スペシャル焼き いつかもう一度…」
時雨「二票ってとこだね」
扶桑「…あなたたちは同意してくれないのね」
山雲「う~ん 混ぜないお好み焼きはちがうかな~って」
扶桑「山城まで」
山城「いや、あのその うんえっと お、おいしそうでした…はい」
時雨「無理すんな神奈川県民」
横須賀造船所→山城
浦賀造船所→時雨
扶桑「満潮もダメ?…やっぱり大阪県民は広島焼きをばかにするの?」
滿潮「…そもそも私お好み焼きって食べたことないのよね」
扶桑「はぁ?」
山雲「そんな人~この世に存在するの? していいの?」
山雲「っていうか~ どこの人?」
滿潮「同郷民でしょうが」
藤永田造船所(大阪府)→満潮・山雲
滿潮「でもそうねぇ 私が食べた一番おいしいものは… お母様の手料理」
(お袋の味できたか!)
(ううう、思い出すなぁ子供のころを)
(かあちゃん…)
滿潮「そう あの子牛のテリーヌが」
最上「…ちょっとまった」
滿潮「何よ、話の腰を折らないでよ」
時雨「満潮っていいとこのお嬢様かなんかだったのかい?」
滿潮「…別に普通よ」
扶桑「普通の家でそんなのでてきません」
滿潮「うるさいうるさいうるさい!
とにかく!私はお母様の子牛のテリーヌと鴨のソワレがおいしかったの! 文句ある!?」
山雲「文句はないけど~ イメージもないの」
時雨「そうだねということで満潮は0票」
滿潮「ふん! 別に票なんて欲しいわけじゃないんだからね! 0票だっていいんだからね!」
朝雲「私は一票入れる」
滿潮「えっ? あの…えっと…ありがと」
滿潮「でもなんで? 別に食べたそうな顔もしてなかったけど…」
朝雲「確かにテリーヌは食べたことないけど満潮の母親を思う心が伝わってきたから…」
朝雲「誰かを思う心 それは最高の調味料だと思う
私がこれまで食べた一番のもの それも心の食べ物だったわ」
滿潮「…心の食べ物?」
朝雲「そう それは手の込んだ料理でもない 希少な珍味でもない」
朝雲「ただの…トマト もぎたてのトマトだった」
そして語られる朝雲と山雲との出会いと衝突
葛藤と慈愛に満ちた感動のストーリー
ラストシーン 山雲から手渡されたもぎたてのトマト
それを一口齧った瞬間朝雲は…
全米が泣いた感動のストーリー
見事現時点のトップ。4点を獲得した朝雲は次にかつ丼の話をした山雲が5点取ったので暫定2位となった
最上「やっぱ肉だよ」
滿潮「庶民の飯なんかで… 不覚…っ」
扶桑「ぐぅ」
山城「ぐぅぐぅ」
時雨「審査員であろうとも票を入れざるをえない」
扶桑「…これはもう決まりかしら」
山城「ふふふふふふふ」
山城「姉様。ご安心ください」
山城「私が本当のめしばなというものを聞かせてあげましょう」
扶桑「自信ありなのね! 山城!」
山城「ええ、姉様 私は本当の美味というものを知っています」
朝雲「横須賀海軍カレー?」
山城「あれはできそこないだ たべられないよ」
時雨「こら」
山城「あれはそう…一昨日のこと…」
最上「おや 本当に最近だ」
山城「戦闘を終えた私は小破していたのでお風呂に入りました」
ガラッ
とドアを開けるとそこは大浴場
200人以上が在籍している鎮守府だもの
大勢が同時に入れる大型の湯船あり、サウナあり、打たせ湯あり
私はジェットバスで存分に体を温め、心を癒し
最上「あ、わかった 牛乳の話だね」
山雲「山雲は~フルーツ牛乳好き~」
時雨「いやいやカルピスかもよ」
扶桑「満潮ちゃんの家ってカルピス濃かったの?」
滿潮「…別に普通よ こう指3本分くらい」
朝雲「スリーフィンガー!! まさか実在したとは」
山城「残念ながらみんなはずれ
私が味わったのは…お湯」
満潮「お湯?」
朝雲「温泉でもないでしょうに」
山城「と・に・か・く あたたまった私はジェットバスを出て
ふと、つぼ湯 1人用のお風呂を見たときそこにいたのは……!!」
山城「姉様!!
気がつかれないようにその場で息を潜め
姉様が出るとすかさずそのつぼにドボン! ゴクン! ああ、甘露!!」
時雨「よし、終わり」
山城「その扶桑汁を存分に飲み干すと次は肌
エキスを腕や腿 全身で吸い込んで」
山城「そこでかをる慣れ親しんだ戦闘機の香り 嗚呼、やはり二人は繋がっているそう確信させる」
満潮「あんたの妹でしょなんとかしなさいよ」
扶桑「うち呉じゃけ 横須賀人の妹なんぞおらん」
山雲「…っていうか~ 扶桑さんの汁は入ってると思うんだけど~」
山城「ん?」
山雲「入れ替わり立ち代り入るんだから他の人の汁のほうが多いんじゃないの~?」
扶桑「ちなみに私の前は夕張さん」
扶桑「……なんか体をよく洗ってなかったみたいで機械油が浮いてたからすぐ出たもの」
山城「うげ」
最上「ゆ、夕張さん? 一昨日で?」
最上「…ひえぇ その前僕だよぉ 飲まないでぇ」
山城「ふっ あの瑞雲味は最上だったのね ぬかったわ」
最上「いや、僕の前日向さんだった」
山城「……えっ」
時雨「じゃ結果発表 一位はロース二段かつ丼で山雲」
山雲「わ~い♪」
時雨「ではこの間宮券は賞品として山雲に」
最上「ん? 時雨は話さないの?」
時雨「…僕はいいよ」
最上「またまた~ 一つくらいあるよね?」
満潮「一人だけ不参加なんてよくない」
山雲「ね~」
時雨「まぁそうかな」
山城「話すだけ話してみたら?」
時雨「じゃ えっと」
時雨「僕が一番おいしそうと思うものは…」
時雨「夜戦の空母かな」
「ジュルリ」
6つの音が響き渡った
時雨「耐えて耐えて耐えて」
時雨「夜まで耐えて無効化した空母を一撃轟沈蹂躙する感触は」
「「「「さいこーです!!!」」」
時雨「さて ひと狩いっちゃう?」
「「「「урааааааааа!!」」」」
その後6回に渡り反復出撃が繰り返され、空母は狩られ
間宮では7人仲良く甘味を食べている姿が目撃されたという
めでたしめでたし
土山しげる先生リスペクト
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