【安価】虚弱大魔法使い (137)

由緒正しき魔法使い一家

その跡取りとして産まれた筈の魔法使い

しかし、彼は虚弱体質だったのです

実地に赴き人を救う事を家訓としていた一家からは追放されてしまいました

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1525566062

~魔法使いの家~

魔法使いはどうにか過去に辿り着いたこの家を住まいとしている

その際に足の骨を複雑骨折してしまった

なので腐った布団で寝たきりの状態だった

しかし遂に魔法によって治療を終えた


魔法使い「はぁ...魔法でも治療に時間かかったね」

魔法使い「僕はここで人生を終えるのかな」

魔法使い「もう生きる目的も無い」

魔法使い「もし僕がここでこの家と共に朽ちたら」

魔法使い「野生の動物が喰ってくれるだろうか」


魔法使いは山の中まで逃げて来ているので、夜には野生動物の足跡が聞こえてくる


魔法使い「そうしたら、きっと神獣にでもなるのかな」

魔法使い「まぁどうせ理性のない魔獣になるだろうね」

魔法使い「...こんな思い上がりばかりだから追放されたんだろうね」

なんとノックの音が聞こえる


魔法使い「?」

魔法使い「どうぞ」


まだノックしている


魔法使い(声が届いてないんだ)

魔法使い「ど、どうぞっ」


ドアが開く

下2>>訪問者

少女「誰かいらっしゃいますか?」

魔法使い「ああ、ここに居る」

少女「ひっ!?お化けですか!?」

魔法使い「...まぁ、お化けみたいなモノかもね」

少女「おっおっ、お化けぇ!」ズルッ


少女は後退りしようとして転んでしまった

そのまま後頭部を地に強く打ち、気絶してしまう

魔法使い「...え?」

魔法使い「治療、しなきゃだね」


魔法使いは魔法の用意を始める

大汗をかきながら

~数分後~

魔法使い「うぅっ、げほげほ...」

魔法使い「はーっ、はーっ」

少女「...ん」

少女「...あれ、お化け?」

魔法使い「いや、ゲホッ!本当はお化けじゃないから」

少女「そうなの?」

魔法使い「うん。それより、君の目的を教えて欲しいんだ」

魔法使い「自分で言うのもなんだが、こんな家に立ち寄る理由なんてないだろう」

下2>>少女が魔法使いの家に来た理由

少女「私のおばあちゃんがね、詐欺師に騙されちゃったの」

少女「その人がおばあちゃんに教えた住所を元に来たの」

魔法使い「詐欺師が本当の住所教えるとは思えないけど」

少女「...あ、そっか」


魔法使いは笑いながら続ける


魔法使い「僕ならその人を喚べるけどね」

少女「じゃあ、私が」

魔法使い「とてもじゃあないが君には無理だね」

魔法使い「僕も無理だ。少し歩いただけで足の骨折っちゃうし」

魔法使い「でも、罰を与える事は出来る」

少女「罰...?」

魔法使い「うん。お仕置きをするんだ」

魔法使い「お仕置きしたい?」

少女「うん!」

魔法使い「分かった。ぞぉい”!」ポワ


浮遊するガラス玉が生成される


魔法使い「やばい...目眩がする」

魔法使い「ちょっと僕の右手を取ってね」

少女「こう?」ガシ

魔法使い「...あぁ、少し魔力を借りる」

少女「え」

魔法使い「っ!」ズッ


すると浮遊するガラス玉の中に、人が出現する


少女「あっ、あの人が!」

魔法使い「恐らく」

下2>>詐欺師の姿

老人「!?」

魔法使い「君が詐欺師だね」

老人「ふん!閻魔にでもなったつもりか?」

魔法使い「じゃあ閻魔でいいよ」

魔法使い「この少女に代わって罰を下す」

老人「けっ!こんな老いぼれに罰を下しても反省は得られんぞ!」

魔法使い「そのガラス玉はちょっとした永久機関でね」

魔法使い「生命維持と、一つだけ指令を課して動かせる」

少女「?」

老人「な、何をするつもりだ...」


ますます顔色が悪くなっていく


魔法使い「霞んだ瞳には映らないかも知れないが__」

魔法使い「だいたいこっちのクエーサーまで飛んでもらう」


魔法使いは虚空を指差す


魔法使い「時速30kmだ。じゃあね」

詐欺師はそのまま見えなくなってしまった


少女「あの人は...?」

魔法使い「ちょっとの間旅をしてもらう事にしたよ」

魔法使い「ゴール地点まで行ったら戻ってくるから心配ないよ。誰も殺してない」


魔法使いは唐突に布団に倒れこむ


魔法使い「あー...ごめん。意識が朦朧とする」

魔法使い「じゃあ、僕寝るから。またね」

少女「え、あ、えと...おやすみなさい」

~翌日~

魔法使い「朝だね」


ふと見渡すと、書き置きがあった

その内容は少女が魔法使いに宛てた物で、感謝の気持ちが綴られていた


魔法使い「...僕も、役に立てるかな」

魔法使い「僕にも、生きる意味があるんだろうか」

魔法使い(とりあえず、生きる意味を見つける為に生きよう)

魔法使い「でもねぇ、この状態じゃ遅かれ早かれ野垂れ死ぬなぁ」

魔法使い「お手伝いさん呼ぼう」

魔法使い「...恐いなぁ」


昔触媒にしようとしたトカゲに右腕を折られたのを思い出す


魔法使い「憂いていても始まらない。とりあえず喚ぼう」

魔法使い「召喚陣」


魔法使いが唱えると、部屋に魔方陣が現れる


魔法使い「ふぅ、出ろ...出ろ...ライフヘルパーっぽいの出て...」

魔法使い「触媒は...なんか前に拾った綺麗な石でいいや」ポイー

魔法使い「召喚っ」ゴーン

下2>>召喚されて出てきたもの

魔方陣から出てきたのは

小悪魔「小悪魔ちゃんでーす!」

魔法使い「こ”あ”く”ま”ァっ!」

小悪魔「何だコイツ」(素)

魔法使い「げほげほ...あぁ、ちょっと喉がね」

小悪魔「で、何の用?」

魔法使い「ら、ライフヘルパーをお願いしたい...」

小悪魔「イヤよ」

魔法使い「いや、汚い所とかは面倒見なくて良いから」

魔法使い「肉体的にやばい事だけやってくれれば良いよ」

小悪魔「えー。私小悪魔よ?自由に生きたいのよ」

魔法使い(弱ったな...どうにかして説得しないと)

下2>>どうやって説得する?

魔法使い「...キャストオフ」パサッ


魔法使いは全裸になった


小悪魔「!?」

小悪魔(こいつ、やはり相当な変態...?)


魔法使い「腕か?それとも脚?四肢でも良い」

小悪魔「あ、そういう事」

魔法使い「何を誤解したのかな?」

小悪魔「もし私が貴方の肉体を食べたら、私の位は上がる?」

魔法使い「保証は出来ない」

魔法使い「でも多分上がる」

小悪魔「ふーん」

魔法使い「ね。少しだけで良いから考えてごらんよ」

小悪魔「そうだねー...」

下2>>小悪魔の
返答

小悪魔「はぁ」

小悪魔「契約成立かな」

魔法使い「やった」

小悪魔「それにまだ食べない。けど」

魔法使い「...」

小悪魔「今の取引、忘れないようにね...」

魔法使い「分かっているさ」

魔法使い「ふーっ」

魔法使い「だいぶ疲れた」

小悪魔「随分ぐうたらだね」

魔法使い「ぐうたら出来るだけの体力もないよ」

小悪魔「ふん」

魔法使い「悲しいなぁ」

魔法使い「よし」

魔法使い「早速してもらいたい事がある」

小悪魔(だいぶ経ってる気がするけど)

小悪魔「へいへい...」

下2>>魔法使いの指令

魔法使い「アンパン買ってきて」

小悪魔「はぁ」

魔法使い「今、『どうでもいい事言いつけやがって』とか思ったでしょ」

魔法使い「ここ最近飲み食いしていないんだ」

小悪魔「どのくらい?」

魔法使い「二週間ぐらい」

小悪魔「...は?」

小悪魔「普通死ぬでしょ」

魔法使い「生命維持は得意だったり」

小悪魔「益々食べたくなったねぇ」

魔法使い「とにかく、アンパン買ってきて下さい」

小悪魔「金ある?」

魔法使い「...ははは」

小悪魔「無いの!?」

魔法使い「ま、街にまで出れば日雇いの一つや二つあるから」

小悪魔「めんどい」

魔法使い「そう言わずにさ」

小悪魔「行けば良いんだろ行けば!」


小悪魔はそう言うと、小さな蝙蝠になって飛んでいった

魔法使い「気の強い奴め」

魔法使い「なんだかんだ働いてくれそうだから良いけど精神削られるなぁ」

魔法使い「...そうだ!」

魔法使い「どうせしばらく帰ってこないし、あの書き置き触媒にしよう」


魔法使いは少女の残した書き置きを触媒にし、召喚の用意をする

下2>>召喚されて出てきたもの

シルキー「...」


シルキーが召喚された


魔法使い(少々アレな言い方をするなら、大当たり)

魔法使い「やあ、シルキーさん」

シルキー「こ、こんにちは」

魔法使い「ううっ」

シルキー「どうされました!?」

魔法使い「申し訳ない...こんな汚い所に喚んで...」

シルキー「えっ!?掃除の為に喚んだのではないのですか!?」

魔法使い「そうなんだけどね、余りにね、君がね、汚れなき姿をしていたからね」

シルキー「お気になさらず。掃除でもしているので、何か用があったら声をかけて下さい」

魔法使い「ありがたい。疲れたら好きなだけ休んでくれ」

シルキー「お気遣い、感謝致します」ペコリ

魔法使い(...寝ようかな)

~夕方~

魔法使い「...」ヒュー...ヒュー...

シルキー「なんだか危険の兆候のような音ですね」

シルキー「私がお医者様でしたら良かったのに」


割れた窓から小悪魔が帰ってくる


小悪魔「只今帰ったぞー!出迎えは無いのかー!」

シルキー「な、何奴!」

小悪魔「アンタこそ何奴だよ。私はコイツと契約したの」

シルキー「あ、そうでしたか。失礼しました」

小悪魔(かったい奴だねぇ)

小悪魔「ほーら起きろー」ツンツン

魔法使い「ぐぁぁ!」ビクンッ

小悪魔「起きたな」

魔法使い「悪い夢だと思うよ」

小悪魔「アンパン買ってきてやったのにそれか」ポイー

魔法使い「あぁ、ありがとう」ガブッ


魔法使いはアンパンを普通に食べた


小悪魔「いや、二週間なんも食って無いだろ。もっと貪るようにして食えよ」

魔法使い「喉に詰まらせたくない」

シルキー「ご主人様は虚弱体質なのですか?」

魔法使い「...」

シルキー「あ!すみませんこんな失礼な事を」

魔法使い「ややっ、気にしなくて良い。それに僕は虚弱体質さ」

小悪魔「そうそう。多分君でも殺せるよ」

シルキー「私はそんな事っ...!」

魔法使い「落ち着いてくれ」

魔法使い「とりあえず、素数を大きい方から数えよう。そうすれば落ち着く」

シルキー「無理です」

小悪魔「お前ちょこちょこ変だな」

魔法使い「そうかな?」

シルキー「ご安心下さい。誰にでも癖はあります」

魔法使い「ほぉん」

魔法使い「...あ」

小悪魔「?」

魔法使い「シルキーさんって、如何にも癖無さそうだよね?」

小悪魔「まぁ、模範的をベターとするなら」

魔法使い「でもシルキーさんは今、誰にでも癖はあると言った...!」

魔法使い「シルキーさんの癖を教えて下さい!」

シルキー「は、はい!?」


シルキーは動揺している

小悪魔「どうした?動揺しているぞ」


偉そうな小悪魔に苦笑しながら魔法使いが言う


魔法使い「ま、嫌なら構わないよ」

魔法使い「命令じゃないし。命令したくないし」

シルキー「それはつまり個人的な質問という事ですね」

魔法使い「うん」

シルキー「良いですよ。答えさせていただきます」

魔法使い「そう。嫌だよね...え?」

シルキー「質問に回答します」


今度は魔法使いが動揺する


魔法使い「で、では聞かせていただきます」

下2>>シルキーの癖

シルキー「実は私、仕事をしてないと気丈に振る舞えないんです」

シルキー「いつの間にかそんな癖がついてしまったんです」

小悪魔「じゃあ今は機嫌が悪いの?」

シルキー「いえ、その...」

魔法使い「それはワーカーホリックだね」

魔法使い「何かしら仕事を与えておくようにするよ」

魔法使い「でも、疲れたらすぐ言ってね」

魔法使い「倒れられたりしたら...」

魔法使い「...まぁ処置に困るし」

小悪魔「ふーん」

シルキー「はい。わかりました」

魔法使い「じゃあ、この家を片付けて下さい」

シルキー「もう終わりました」

魔法使い「えっ」

魔法使い「じゃあ、魔法に使えそうな物を持ってきて」

シルキー「すみません。私には魔法の知識が無いのです」

魔法使い「いや、それっぽい物で良いよ。基本的に差はない」

シルキー「分かりました」

魔法使い「そういえば小悪魔」

小悪魔「何?」

魔法使い「アンパンって旨いんだな」

小悪魔「食った事無いもの頼んだの!?」

魔法使い「うん。じゃあ寝ます。おやすみなさい」

~翌日~

魔法使い「おはようございます」


布団の中で言うため、違和感がある


シルキー「おはようございます」

シルキー「マジックアイテムのようなものを集めてきました」

小悪魔「私もちょっと手伝ったぞ!」

シルキー「貴女の言うちょっととは、四時間や五時間の事ですか?」

小悪魔「だ、黙れ!」

魔法使い「ははは。では拝見させて戴くよ」

下1、2>>シルキーが集めてきたもの

シルキー「こちらです」


シルキーはエクスカリバーを提示する


魔法使い「...えー?」

シルキー「ご期待に添えませんでしたか?」

魔法使い「いや、色々と疑問点があるから」

魔法使い「『これ』本物?」

シルキー「その、『これ』について私は知りません」

魔法使い「そうですかぁ」

魔法使い「これ地面に刺さってたりします?」

シルキー「いえ、落ちてました」

魔法使い「ふむ...」

魔法使い「これはエクスカリバーだ」

小悪魔「本当にエクスカリバーなの!?」

魔法使い「断言できないけど、多分ね」

シルキー「エクスカリバーとは?」

魔法使い「色んな伝承があるけど、どれが本当かは分からない」

魔法使い「基本的には剣だよ。見た目通り」

魔法使い「約束された勝利の剣だとか、刀身がビームで伸びるとか」

魔法使い「実は沢山あるとかね」

魔法使い「統一して、地に刺さったこれを抜ける人物は王」

魔法使い「マジックアイテムなのかな...そんな次元じゃないかも」

魔法使い「面倒だけど、それに勝る嬉しさがあるね」

シルキー「そ、そうですか。ありがとうございます」

魔法使い「おや、その本は一体?」


魔法使いはシルキーが手に本を持っている事に気付く

シルキーは困っているように見える


小悪魔「提示する順番を間違えた?」

魔法使い「結果は変わらないよ」

魔法使い「ささ、見せてよ」

魔法使い「あれ、題名がないや」


その本は傷んでいる様には見えない

寧ろ新品であるかと勘違いしてしまうような触り心地だ


魔法使い「...まさか」

魔法使い「誰かこれを読みましたか?」

小悪魔「私は読んでない」

シルキー「右に同じく」

魔法使い「内容が気になるなぁ。でも...」

魔法使い「これヤバい本かもなぁ」

小悪魔「何がヤバいの?」

魔法使い「さぁ分からない」

魔法使い「でも危険な匂いがする」

小悪魔「なんだ、そんな事?」

魔法使い「...!まさか」


小悪魔は魔法使いから題名の無い本をひったくり、続ける


小悪魔「私が読んでやる。歓喜して見ていろ!」

魔法使い「待て、それは...」


魔法使いの制止むなしく、小悪魔は本を広げる

下2>>本の内容

小悪魔「?何か邪悪な物が描かれている」

魔法使い「っ、しまった!それは暴発__」

小悪魔「わわっ!?」


本から黒い煙が小悪魔に噴射される

どうやら魔導書のようだ


魔法使い「あー、やっぱり」


煙を直に喰らった小悪魔はうつ伏せに倒れている

シルキー「い、如何しましょう」

魔法使い「下手に触れないほうが良い。仰向けにしてみて下さい」

シルキー「御意」ゴロン


シルキーが小悪魔を仰向けにする

しかしなんと、驚くべき事であったのは小悪魔の表情


魔法使い「なっ...」


小悪魔の表情は緩みきっていたのだ

そして目は薄く開かれ、痙攣している

その表情はまるで無垢な子供の寝顔のようであり

悦に浸る欲深き者の顔のようでもあった


小悪魔「ぁ...ぁ...」

シルキー「一体どのような状況なのですか。これは」

魔法使い「酔ってるんだろうね。あの煙は有害だが、悪魔の類にはその限りじゃなさそうだね」

魔法使い「とりあえずこれが収まるまで待とう」

~暫く後~

小悪魔「ひゅーっ、ひゅーっ」

魔法使い「どうだった?」

小悪魔「脳味噌吹っ飛ぶかと思った」

シルキー「まぁ、あんな痴態を晒すくらいですからね」

魔法使い「じゃあ、これは触媒にしよう」

魔法使い「あと、これに関して必要以上に触れるのも禁止しよう」

小悪魔「異議なし」

シルキー「畏まりました」

シルキー「大変申し上げにくいのですが」

魔法使い「何でも言ってよ」

小悪魔「ん?」

魔法使い「黙って」

シルキー「まだこの家の掃除は終了していませんでした」

魔法使い「誰にだって忘れる事くらいあるよ」

シルキー「ありがとうございます」

シルキー「しかし、さらに申し上げにくい事が」

魔法使い「えっ」

魔法使い「まぁいいよ。許容は求める限りする」

シルキー「感謝致します」

シルキー「ご主人様なのです」

シルキー「ご主人様及び、その布団!未だ汚れを纏っております」

魔法使い「あぁ、成る程」

魔法使い「布団は洗って下さい」

小悪魔「お前の体どうすんのさ」

魔法使い「流石に洗わせる訳にもいかないし」

シルキー「私は一向に構いません」

魔法使い「いや、僕にいい方法がある」

魔法使い「まず布団を洗って下さい」

小悪魔「その間お前どうすんの?」

魔法使い「いや、座れるし立てるからね!?その程度は出来るよ」


魔法使いは布団から出て立つ


シルキー「...えっ!?」

魔法使い「何か?」


シルキーはてっきり魔法使いを大人だと思っていた

だが魔法使いは低身長でとても大人には見えない


シルキー「いえ、なんでもございません」

魔法使い「はぁっ!」ポンッ

魔法使い「ゲホゲホ...出来たよ」


魔法使いは洗濯機のような物を造り出した


シルキー「親切痛み入ります。ですがどうかご自愛下さいませ」

シルキー「このような物の使い方は存じております」

小悪魔「桶?」

魔法使い「洗濯機と言ったかな。旧式だと思う」

小悪魔「ほぉーん。生き物も洗える?」

魔法使い「...止めた方がいいと思う」

洗濯機の使用を終えた


シルキー「さあ、次はご主人様です」

魔法使い「分かってるよ。とりあえず一回外にでも出て待っていて下さい」

シルキー「しかし...」

魔法使い「その仕事だと不満?」

シルキー「い、いえ!」

小悪魔「やれやれ。相当見られたくないみたいだね」


二人共どこか残念そうに出ていった

魔法使い「よし、誰もいないね」

魔法使い「一瞬の勝負だ...」


魔法使いは少し瞑想して詠唱する


魔法使い「業火っ!」ボボボゥ


魔法使いの体を炎が覆い尽くす


魔法使い「鎮火ぁ”!」プシュッ

魔法使い「ふーーーっ...」

魔法使い「やっぱり『脱皮』が一番楽だね」

魔法使い「もう戻って来ていいよ」


服を着ながら言う


シルキー「只今...!?」

小悪魔「うわっ!?」


見違える程魔法使いは綺麗な肌になっていた


小悪魔「どうやったらそんな綺麗な肌になれるの!?」

魔法使い「秘密」

シルキー(触ってみたい)

魔法使い「今日は疲れたし、早速この布団で寝させてもらうよ」

シルキー「おやすみなさいませ」

小悪魔「おやすみー」

下2>>今晩魔法使いが見る夢

~夢~

魔法使い「...」

シルキー「ご主人様」


何時ものように仰向けになって脱力している魔法使いにシルキーが話しかける


魔法使い「なんだい?」

シルキー「ご自身に硬化魔法をお使いになって下さりますか」

魔法使い「別にいいけど...」カチッ


魔法使いは自身に硬化を付与する

シルキー「そうです。ありがとうございます」


シルキーは魔法使いの股間に跨がる


魔法使い「え?え?」

シルキー「はしたない私をお許し下さい」


シルキーはそのままもたれ掛かるようにキスをする


魔法使い(何が起こっているんだ!?)

魔法使いはとりあえず抵抗しようとする

が、いつの間にか手足が布団ごと絹で縛られていて抵抗出来ない

小悪魔を呼ぼうにも口を封じられては声を出せない

集中できないので魔法も使えない


シルキー「ふぅ...そのままでいて下さいね」

魔法使い「はぁ、はぁ...」


魔法使いは色々な手で夜明けまで弄ばれた

そして最後の一発を終えたその時

...目が覚めた

~現実~

魔法使い「はっ」ガバァッ


勿論夢精していた


魔法使い「まぁすぐ乾くか」

魔法使い「なんだか朝からダルいな」

魔法使い「脱力しよう」

シルキー「おはようございます」

魔法使い「お、おはようございます」


一人で勝手に気まずくなるわけにもいかないので、いつも通り振る舞う事にした


小悪魔「もう起きてたの?」

魔法使い「うん。昨日は早く寝たからかな」

シルキー「本日は何をなさいますか?」

魔法使い「今日はこの布団を改造するよ」


勿論、魔法使いのいつも寝ている布団である


魔法使い「この布団が窓際にある事を利用して、ここから布団ごと外に出られるようにしたい」

小悪魔「どうやって改造するの?」

魔法使い「この前の題名の無い本のガス噴出力を利用するために魔導合成します」

魔法使い「ホバークラフトと呼ばれる乗り物に近付けていきたい」

魔法使い「最終的には布団で移動出来るようにしたい」

魔法使い「という訳であの本を下さい」

小悪魔「...」

シルキー「あぁ、それでしたら...」ガシッ

小悪魔「ひっ」


シルキーは唐突に小悪魔を掴む

そして揺さぶる

すると小悪魔の服の隙間から題名の無い本が落ちる


魔法使い「!?」

小悪魔「えっ、ええっ、何で分かったの!?」

シルキー「臭いです」

シルキー「あのガスと同じ臭いが貴方と、その本からするので」

シルキー「最近は一際濃くなって__」

小悪魔「黙れ!」

魔法使い「また使ったのか!?」

小悪魔「小悪魔は煩悩だらけなんですーっ!」

魔法使い「でも言うことを聞いて貰わないと困るんだよね」

魔法使い「やっぱり、そんな悪い子にはお仕置きしなきゃ」

シルキー「そこまでしますか?」

魔法使い「中毒を断ち切る為には致し方無いと思うけど」

シルキー「成る程。そうですね」

小悪魔「誰か助けてー!」

下2>>お仕置きの内容

魔法使い「安心して。そんなに苦しくはしないから」

小悪魔「ほんと!?」

魔法使い「うん。清浄魔法を応用するんだ」

魔法使い「ほい」スーッ


魔法使いは風のようなものを発した

それは小悪魔にまとわりつく


魔法使い「それはあのガスから君を守ってくれる風だよ」

小悪魔「うぅ...」

シルキー「不服そうですね」

魔法使い「そりゃあそうだろうね」

小悪魔「救いは無いの...?」

魔法使い「アレを救いだなんて、だいぶやられてるね」

魔法使い「魔法を解く方法...そうだね。前に君が言ったように僕を手にかけるとか」

小悪魔「えっ、いやそんな」


小悪魔は目に見えて動揺している


シルキー「私は承知しませんよ?」ギロリ

魔法使い「ふふ、冗談だよ」

魔法使い「それに、この本を僕が保管しておけばこんな事にはならなかった」

魔法使い「そんな話は置いといて」

魔法使い「今かけた魔法を早速活用しよう」

魔法使い「小悪魔、その本から一枚ページを破って僕にくれ」


小悪魔は落ちた本を拾い上げながら頷く


小悪魔「分かった」

小悪魔「オープン!」ペラ

小悪魔「文化価値の破壊!」ビリッ

小悪魔「クローズ!」バタン


少しガスは漏れたが、ほぼ無駄の無い完璧な動きだった

小悪魔「はい」ピラ

魔法使い「ありがとう」クイッ

魔法使い「じゃあ解析するから」


魔法使いは訝しげな表情で紙をいじっている


シルキー「なっ、何か仕事を!」

魔法使い「じゃあ、何か料理をしてよ」

シルキー「はい」

~暫くして~

魔法使い「あぁ、終わった」グデーン

小悪魔「大丈夫?」

魔法使い「うん。もう仕組みは把握したよ」

魔法使い「だからこんな風にしても問題ないよ」バリバリムシャムシャ


魔法使いは紙を食べてしまった


小悪魔「旨い?」

魔法使い「...やっぱり僕はヤギじゃないな」

シルキー「食事が出来ました」

小悪魔「おっ」

魔法使い「グッドタイミング」

シルキー「お褒めにあずかり光栄です」

魔法使い「ところで何を作ったの?」

シルキー「これはですね...」

下2>>シルキーの料理

シルキー「二郎ラーメンです」

魔法使い「なんですそれ?」

シルキー「旨いラーメンです」

魔法使い「へぇ、ところで、その柱はなんだい?」

シルキー「ゼンブマシマシです」

魔法使い「僕はそれを食べられる気がしないけど」

シルキー「普通の二郎ラーメンもありますよ」


全マシに隠れて見えなかった普通の二郎ラーメンが出てくる

魔法使い「ズルルルルッ...旨いね」

シルキー「でしょう!?」

魔法使い「元気だね。ところでその...ゼンブマシマシだっけ?それどうするの?」

シルキー「これは小悪魔さんの分です」

小悪魔「えっ」

シルキー「さあ食べて下さい」

小悪魔「無理無理無理無理」

~小悪魔が食べ終わるまでカット~

小悪魔「うぅ...キツぅ...」

シルキー「いきなりで食べきるとは、貴女かなり素質ありますよ」

小悪魔「嬉しくない...」

魔法使い「なんだか小悪魔が可哀想になってきた」

シルキー「お優しいんですね」

魔法使い「ありがとう」

魔法使い「それはともかく、布団の改造に成功したよ」モゾモゾ


魔法使いは布団に入り込む


魔法使い「思念の力で浮かせられる」フワーッ

魔法使い「ホバークラフトじゃなくて魔法の絨毯になっちゃった」

小悪魔「乗りたい!」

シルキー「私も気になります」

魔法使い「じゃあ、街にでも飛んで行こうか」

小悪魔「え?街行ったことあるの?」

魔法使い「ないよ?」

シルキー「あら」

小悪魔「じゃあ私がナビゲートするからその通りに飛ばして」

魔法使い「まず、窓から出る」

小悪魔「うん。で、20mくらい上昇して」

魔法使い「はい」フワーッ!

小悪魔「北に向かって全速前進!」

魔法使い「うん!」

~街上空~

小悪魔「到着だよ」

シルキー「下をみやれば街です」

魔法使い「どれどれ」チラッ


都会の街が見える

下2>>魔法使いの反応

魔法使い「....」

魔法使い「すっごいなぁ...」


魔法使いは食い入るように街を見ている


小悪魔「落ちないようにな」

魔法使い「うん」

魔法使い「あそこに行ってみたい!下りよう!」

シルキー「低空までにしないと人の邪魔になります。建物には入れないでしょう」

魔法使い「それでもいい!是非とも見てみたい!」


布団は降下を始める

その後、街を見て回った魔法使いは初めて見る物の奔流に流された

とても疲れたが、大満足のようだ


魔法使い「すごい面白かった!」


帰路にて言う


小悪魔「満足してくれて嬉しいよ」

シルキー「私もそう思います」

そのまま家にて満足のまま魔法使いは寝た


~翌日~

魔法使い「おはようございます」

シルキー「おはようございます」

魔法使い「今日は、さらにこの布団を改造するよ」

魔法使いは布団に潜ってもぞもぞしている


シルキー「...暇ですねぇ」

小悪魔「全く、仕事与えるとかなんとかの話はどうなったんだろうねぇ」

シルキー「何か食べます?」

小悪魔「食材あんの?」

シルキー「野草とか、何かの肉とか」

小悪魔「何かって怖っ、遠慮しとくわ」

~しばらくして~

魔法使い「魔法の布団Mk-2が完成しました」

小悪魔「大層な名前だな」

シルキー「さぞ素晴らしい出来でしょう」

魔法使い「この布団に付与した最大の特徴、それは...」バサッ


魔法使いは布団を身に纏った


魔法使い「着る布団モードです」

魔法使い「これを着る事によって身体能力を向上させます」

小悪魔「ふーん、どのくらい強いの?」

魔法使い「一般人レベルです」

小悪魔「残念」

シルキー「それよりも、歩き回れる事を喜びましょう」

魔法使い「まぁ、そんなオーバーパワー出したら僕の体が耐えきれないよ」

魔法使い「そんな事より街に行こうよ」

小悪魔「どうぶつの森?」

魔法使い「なんとこの状態だと空が飛べるんだ」

シルキー「スーパーマンみたいですね」

魔法使い「何かを引用して反応するの好きだね」

~街~

魔法使い「さあやってまいりました」

小悪魔「本当に楽しそうだね」

シルキー「私めも嬉しく思います」


魔法使いはまるで遊園地にきた子供のように落ち着きがない


魔法使い「まずあそこに行こうよ!」ビシィ


魔法使いが指差す先には___

下2>>魔法使いの行きたい施設

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