カロス地方
サトシ「さっき草むらで捕まえたんだ!」
メルエム「苦しゅうない」
セレナ「な、なにあのポケモン?」ヒソヒソ
シトロン「わ、わかりません……初めて見ました……」ヒソヒソ
ユリーカ「なんだか怖い……」ガクブル
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メルエム「…………おい女」ギロッ
セレナ「は、はひ!な、なんですか!?」ビクッ
メルエム「余は空腹じゃ…馳走を用意せい」
セレナ「ち、馳走……?」ビクビク
サトシ「おいおいメルエムー!さっき食ったばっかだろー?」
メルエム「あの程度では余の腹は充たされぬ」
サトシ「育ち盛りなのか?」
シトロン「セレナ、逆らわないほうがいいと思います…僕の勘がそう言ってます!」ヒソヒソ
セレナ「…………そ、そうね…」ヒソヒソ
セレナ「……わかりました」
メルエム「急げ!余は空腹だ」ギロッ
セレナ「は、はいー!」
10分後………
セレナ「で、できました……」
メルエム「……遅い」ギロッ
セレナ「す、すみません……」ビクッ
メルエム「……して、これはなんだ?」
セレナ「……マカロンです……」
メルエム「マカロン?」
シトロン「洋菓子みたいなものですね」
ユリーカ「わぁー!セレナのマカロン美味しそー!」
サトシ「メルエム!いいから一個食ってみろよ!セレナのマカロン、すっげー美味いんだぜ!」
メルエム「…………ふむ……」パクッ
セレナ「」ドキドキ
メルエム「…………」モグモグ
サトシ「マカロンうめー!」モグモグ
メルエム「……不味い」ペッ
セレナ「!?」ビクッ
サトシ「おいおいメルエムー!セレナのマカロン美味いぜー?ワガママは……」
ユリーカ「サトシ!」バッ
サトシ「モガ」
メルエム「……おい女」
セレナ「は、はひっ……!」ビクッ
メルエム「今すぐ次の馳走を用意せよ。次はないぞ?」ギロッ
セレナ「すぐって……そんな………」
メルエム「……余の命が聞けぬか……」スッ
セレナ「ひっ」ビクッ
シトロン「ま、待ってください!メルエムさん!」
メルエム「?」
セレナ「シトロン……」
シトロン「そ、その……僕たちにはルールがあるんです!」
メルエム「……ルール?」
シトロン「は、はい!"意見が割れた時はポケモンバトルで"」
メルエム「…………サトシ、その話しは真か?」
サトシ「ああ、本当だぜ?」
サトシ「へへっ!バトルか!丁度メルエムでバトルしてみたかったところだぜ!」ワクワク
メルエム「……ふんっ、まぁよい……サトシもノリ気のようだ。その余興、乗ってやる」ニヤッ
シトロン「あ、ありがとうございます…」ホッ
ユリーカ(良かった…)ホッ
シトロン「………セレナもいいですね?」チラッ
セレナ「う、うん……」
メルエム「……女、せっかくの余興だ……何か賭けぬか?」
セレナ「か、賭け……?」
メルエム「余がバトルに勝利した暁には早急に余の腹を充たす馳走を用意せよ」
セレナ「………なら…私が勝ったらあなたはここから出てって!」
メルエム「……ふんっ、賭け成立だな?」ニヤッ
サトシ「おい!勝手に決めんなよー!」プンプン
シトロン「セレナ、あのポケモンは見たところ虫タイプのようです」ヒソヒソ
セレナ「わかったわ」コクッ
サトシ「おーい!セレナー!準備はいいかー?」
セレナ「う、うん!」スッ
セレナ「………お願い!テールナー!」ポンッ
テールナー「テー!」
サトシ「へへっ、テールナーか!よし!メルエム!キミに決めたー!」
メルエム「……ふん」
セレナ「テールナー!ひのこ!」
テールナー「テー!」ボボボ
サトシ「メルエム!かわせ!」
メルエム「……避けるまでもない」スッ
キンキンキン
セレナ「!?」
テールナー「テー!?」
ユリーカ「し、尻尾で!?」
サトシ「おい!メルエム!ちゃんと言う事聞けよ!」
メルエム「……ふんっ」
シトロン「サトシ!あれは本当にポケモンなんですか!?」
サトシ「ん?ポケモンだぜ?それにさ?メルエムはすっげー特性持ってんだよ!」
シトロン「………すごい特性?」
サトシ「メルエムはさ?食べた相手の能力をそのまま自分の力にできるんだ!」
シトロン「ど、どういう事ですか……?」ゴクリ
サトシ「つまりメルエムは……食べれば食べるほど強くなる」
サトシ「相手が強けりゃ強いほどな?」ニッ
シトロン「!!!??」
メルエム「サトシ、此奴との余興はつまらぬ。決めるぞ」
サトシ「おう!メルエム!でんこうせっか!」
メルエム「………………」スッ
シュンッ
セレナ、テールナー「!?」
ユリーカ「き、消え……」
シトロン「い、今のがでんこうせっか!?」
メルエム「………………」ババッ
セレナ「」ビクッ
シトロン「い、一瞬でセレナの目の前に……?」
ユリーカ「セレナー!逃げてー!」
メルエム「………………」スッ
セレナ「……………………」
……その生物【ポケモン】が自らの目の前に現れた瞬間……
セレナは一瞬にして自分の運命を悟った
セレナ(あー……私、このポケモンに食べられちゃうんだ……)
セレナ(………もっとやりたい事たくさんあったのに……)
セレナ(カロスクイーンになって……親孝行して……)
……そう、それはその生物【ポケモン】と目が合ったほんの一瞬の出来事……だが彼女には…
その【刻】が永久に感じる程に様々な思いが頭を駆け巡った……
……そう、それはまるで走馬灯のように……
メルエム「覚悟はよいか?」
セレナ「……………………」
"生きたい"そう強く願った彼女のこの選択を……
セレナ「……………………」スッ
セレナ「………私の……敗けです……」
誰も責める事は出来ない………
メルエム「……ふんっ」
セレナ「……………………」
シトロン「そ、そこまで!勝者サトシ!」
サトシ「へへへっ!やったな!メルエム!」
メルエム「つまらぬ余興であった」クルッ
ユリーカ「ゼレナァァァァ!!」ビエーン
セレナ「…………………」
メルエム「女……」
セレナ「」ビクッ
メルエム「賭けは余の勝ちだ。早急に余の腹を充たす馳走を用意せよ」
セレナ「………仰せのままに…メルエム様」スッ
セレナ「………出て来て」ポンッ
ニンフィア「フィアー」
ヤンチャム「ヤンチャム」
テールナー「テー」オドオド
メルエム「……ふん」
サトシ「おっ!みんなで食料探しにいくのか?」
1か月後 マサラタウン
サトシの家
ハナコ「サトシ!ご飯よ!」
サトシ「ありがとうママ!」
ハナコ「はい、メルエムちゃんには特別製の肉団子よ?」スッ
メルエム「すまぬな、ママ」スッ
ハナコ「いえいえ」ニコニコ
メルエム「それにしてもカロス地方……温い地方であったな」ガジッ
サトシ「おい!メルエムのせいでカロスリーグに出場出来なかったのに良く言うよー!」ブー
メルエム「……ふんっ、あのアランとかいう小僧……少し小突いただけで崩れおった……」
メルエム「人とは脆くてかなわぬ」
サトシ「そのせいでリーグに出場出来なかったんだぜ?リーグ優勝の夢が…」ガクッ
メルエム「……気を落とすなサトシ……」
メルエム「……カロス地方はあらかた食った……日に日に己が強くなっていくのが実感できる……」
メルエム「……今の余ならば……ポケモンリーグ優勝ごとき赤子の手を捻るより易しい…」ニタァ
サトシ「へぇー?期待してるぜ?」ニッ
メルエム「ふんっ」ニッ
ハナコ「あらあら、サトシとメルエムちゃんは仲良しね?」ニコッ
メルエム「……だが……」
サトシ「…………ユリーカか?」
メルエム「……ユリーカとの軍儀……余は一度も勝利する事が出来なかった…」グッ
サトシ「ユリーカ……グンギ強かったもんなー?」
ハナコ「あらあら?なんの話し?」ワクワク
サトシ「いやぁ、実はメルエムの奴、ユリーカに一度もグンギで勝てなかったのが悔しいらしくてさー」
メルエム「止さぬかサトシ!余を愚弄する気か!」
サトシ「んで、俺たちがマサラタウンに帰るって言った時なんかユリーカの奴、泣いて大変だったんだぜ?」
メルエム「ふんっ」
ハナコ「あらあら、メルエムちゃんも隅におけないわね?」クスッ
メルエム「?」
ハナコ「………そんなサトシとメルエムちゃんに私からプレゼントがあるのよ?」ゴソゴソ
サトシ「プレゼント?」
メルエム「……………?」
ハナコ「ジャーン!アローラ地方の旅行券よー!」バーン
サトシ「……アローラ地方……?」
サトシ「………メルエム!」キラキラ
メルエム「……ふんっ」ニッ
サトシ「アローラ地方!ワクワクしてきたぜ!」
メルエム「うむ……余も疼いてきたわ!」ニタァ
ハナコ「ふふっ」ニコッ
アローラ地方
サトシ「ママには自由に見てきなさいって言われたけど…」
メルエム「……………」
サトシ「……ん?あれ学校かな?」
メルエム「……………」ピクッ
メルエム「サトシ、頭上に注意した方がよいぞ?」ニヤッ
サトシ「え?」
ヒュー
ババッ
サトシ「あー!俺の帽子がー!」
メルエム「……………」
カプ・コケコ「コケー!!」
サトシ「おっ!あれ、アローラ地方のポケモンかな?」ワクワク
バリバリバリ
サトシ、メルエム「!!」
サトシ「な、なんだ?急に電気のフィールドみたいなのが?」
メルエム「……………どうやら"円"とは違うようだ……すると……」チラッ
カプ・コケコ「コケー!」バリバリバリ
メルエム「彼奴の能力か?おもしろい」ニヤリ
カプ・コケコ「ゴケァー!!」バリバリバリ
サトシ「……俺たちを歓迎してくれてんのかな?」
メルエム「そのようだな」スッ
メルエム「サトシ、バトルの準備だ」
サトシ「!」
メルエム「目を凝らさずともわかる…アレはレアモノだ」ニヤリ
サトシ「………へへっ、ワクワクしてきたぜ!」ニッ
カプ・コケコ「ゴケァー!!!」ダッ
半年後
ポケモンスクール
ワイワイ
リーリエ「9_5_1 帥」パチッ
メルエム「……………ふむ……」
サトシ「あれ?マーマネ、新しいパソコン買ったの?」
マーマネ「ま、まあね?」
サトシ「へー……いいな……」
スイレン「さとしさとし」チョイチョイ
サトシ「ん?なんだよスイレ……」
スイレン「小指の爪ちょーだい」
サトシ「……………あー、そう言うことか……」
マーマネ「えへへ、ごめんね?」
サトシ「ほらっ、スイレン」ペリペリ
スイレン「さとしスキ」
メルエム「また"ナニカ"か…マーマネめ、賢しいマネを」パチッ
リーリエ「ふふっ、何せ"ナニカ"ちゃんはサトシにしかおねだりしませんからね?」パチッ
メルエム「…………サトシを"サトシ"と呼ぶ方が"スイレン"でサトシを"さとし"と呼ぶ方がどこからか来た"ナニカ"」パチッ
メルエム「ナニカはその者の願いを叶える代償に他の者へ"おねだり"を三回する……」
メルエム「世にはまだまだ余が知らぬ事が多いな」
リーリエ「ふふっ、ですね?」パチッ
スイレン「さとし、中指の爪ちょーだい」
サトシ「おう!いいぜスイレン」ペリペリ
スイレン「さとしスキ」
メルエム「ふっ、そういえばサトシが最近ナニカはサトシの私物まで要求してくるとこぼしていたな」パチッ
スイレン「サトシ!サトシの海パンちょうだい!」
サトシ「え!?海パン?ちょ、ちょっと待って!」アセアセ
スイレン「サトシ、好き////」ポッ
リーリエ(それは恐らくナニカちゃんではなくてスイレンですね……)パチッ
メルエム「時にリーリエ……ユリーカ程ではないがなかなかに軍儀が強いようだ」パチッ
リーリエ「ありがとうございます(ユリーカ?)」パチッ
メルエム「どうだ?この局……何か賭けるか?」ニヤッ
リーリエ「賭け……ですか?」
スイレン「さとし、親指の爪ちょーだい」
メルエム「左様……其方がこの局に勝てば……其方の望むもの、何でも与えよう」
サトシ「なぁスイレン?最近おねだりの回数増えてない?」ペリペリ
リーリエ「………………」
メルエム「ただしリーリエ……其方が負けたならば…」
メルエム「其方の左腕をもらう」ニヤリ
リーリエ「私の……左腕……」ゴクリ
メルエム「どうだ?」
リーリエ「…………嫌です……」
メルエム「…………………」
メルエム「…………そうか、嫌か…」パチッ
リーリエ「はい、論理的結論から言いますと嫌です」パチッ
スイレン「あい」
メルエム「……………くっ……」
リーリエ「私の勝ちですね!メルエム!」
サトシ「あ!メルエム!グンギ終わった?」
メルエム「…………………」
サトシ「マーマネ!バトルの特訓しようぜ!」
マーマネ「え!?きょ、今日はちょっと調子が……」ビクッ
サトシ「えー?今日もかよー」ブー
マーマネ「ハハハ………」
メルエム「…………………」グイッ
ブチブチブチ
リーリエ「!?」
サトシ「お、おい!メルエム!自分の腕なんて千切ってなにやってんだよ!」
マーマネ「ひぇ~~……」
スイレン「グロっ」オエッ
メルエム「……………余の敗けだ……持っていけリーリエ」ポイッ
リーリエ「ごめんなさい……いりません……」オエッ
メルエム「……左様か……いらぬか……」
サトシ「スイレン!メルエムの左腕治してやってくれよ!」
スイレン「パス」
メルエム「サトシ、賭けを持ち掛けたのは余だ…これ以上恥を上塗れとも……」
サトシ「これからハラさんとのバトルがあるのにどうすんだよ!」
メルエム「…………片腕でも問題はない」
サトシ「スイレン!頼むよ!メルエムの腕を治してやってくれ!」
スイレン「えー?」
メルエム(無視か……おもしろい)ニヤッ
スイレン「サトシ、ハグして」
サトシ「おねだり……よっしゃー!」ギュッ
スイレン「////」ポッ
マーマネ(スイレンにお願いしたらおねだりは他の人にいくんだから、騙されてるよサトシ……)
マーマネ「リーリエ」チラッ
リーリエ「わかりました……」ハァ
リーリエ「ドクターブライス」ポンッ
ドクターブライス「」ボンッ
メルエム「む?」
リーリエ「今から腕を治すので動かないでくださいね?」
メルエム「……余に恥を上塗れと……」
リーリエ「軍儀で勝ったのは私です!勝者の言うことを聞いてください!それにそんな気持ち悪い腕はいりません」
メルエム「……むぅ……」
メルエム「……近うよれ」
ドクターブライス「」カチカチ
メルエム「……………」カチカチ
スイレン「サトシ!お姫様抱っこして!」
サトシ「任せとけ!」ショッ
スイレン「///」テレッ
マーマネ「騙されてるよサトシ」
外
メルエム「リーリエ、其方のポケモンの修復能力は目を見張るものがあるな」
メルエム「誉めて使わす」
リーリエ「いえいえ」
サトシ「スイレンー!騙すなんて酷いぜー!」
スイレン「サトシ!騙される方が悪い!」ビシッ
スイレン「それに……ナニカのルールちゃんと覚えなきゃその内死んじゃうよ!これはサトシのため!」
サトシ「そ、そっか……サンキュースイレン!」
スイレン「うん!」ニコッ
マーマネ(上手く言いくるめられてるよサトシ……)
スイレン「それに……サトシの爪も治してあげたでしょ?」
サトシ「でもやったのもスイレ……」
スイレン「おねだりしたのはナニカ!」
サトシ「じゃあ、俺の爪返して?」
スイレン「いや」
サトシ「そっか」
メルエム「……カキとマオはどうした?」
リーリエ「カキとマオなら今頃は船ですね」
メルエム「船?」
マーマネ「なんかその船にマオのお兄さんの目を持った仇が乗ってるらしいよ?」
メルエム「仇……か……」
サトシ「なんとか団とかっていうすっげー悪い組織らしいぜ?」
スイレン「それで、マオちゃんはそいつらを倒すためにポケモンの強さを底上げする掟の鎖を自分に突き刺してるの」
リーリエ「詳しい説明は省きますが……マオの覚悟には制約が多すぎです……カキは……マオの護衛みたいなものですね」
メルエム「左様か」
メルエム「…………む?」ピクッ
サトシ「どうしたんだメルエム?」
メルエム「…………余の円を掻い潜れるとでも思ったか?」ニヤッ
「」ビクッ
メルエム「出て参れ」
「………………」ソロー
ハーハッハッハ
マーマネ「あー!」
リーリエ「あの方たちは!」
スイレン「ロケット団!」
ムサシ「バレちゃ仕方ないわねー!」
コジロウ「今日こそお前らのレアポケモンを!」
ニャース「ゲットにゃー!」
サトシ「メルエム!」スッ
メルエム「…………」スッ
ムサシ「………へ?」
コジロウ「な、なんであのデカイ岩山に手を向けて?」
ニャース「にゃ、にゃんのつもりにゃ?」
サトシ「メルエム!ひのこ!」
メルエム「…………」ボンッ
ドカン
ガラガラガラ
リーリエ「……あの巨大な岩山が……」
マーマネ「ひのこで粉々に……」
ロケット団「」
サトシ「俺たち今からハラさんとバトルしに行くんだよ」
メルエム「……次は…当てるぞ?」ニタァ
ナニコノカンジー
スイレン「あっ、逃げてった」
サトシ「さっ、行こうぜメルエム?」
メルエム「うむ」
サトシ「ハラさーん!」タッタッタ
ハラ「おぉ…!来ましたなサトシくん、そして…」チラッ
メルエム「……………」
ハラ「メルエム殿」
サトシ「ハラさん!早速大試練やろうぜ!」
ハラ「ふふふ、もう準備はできてますぞ。さぁ、奥へ」
サトシ「へへっ!行こうぜ!メルエム!」
メルエム「ふんっ」
リーリエ「大試練がこの目で見られるとは!」キラキラ
スイレン「うん!楽しみ!」
マーマネ「録画とかOKかな?」ゴソゴソ
ハラ「お待ちくだされ」
リーリエ、スイレン、マーマネ「?」
ハラ「………大試練は神聖な物故、ここから先に進めるのはサトシくんとメルエム殿のみ」
ハラ「申し訳ないですが、お連れ様の方々は試練が終わるまで外でお待ちくだされ」
マーマネ「えー?」
スイレン「いじわる!」プクー
リーリエ「どうしてでもダメでしょうか?」
ハラ「神聖な物故」
サトシ「ははは…ま、ハラさんが言うならしょうがないな?」
スイレン「サトシ……」
メルエム「リーリエ、スイレン、マーマネ。お前らは軍儀でもして待っておれ」
リーリエ、スイレン、マーマネ「!」
メルエム「余とサトシにかかれば大試練ごとき軍儀一局の間に終わる」ニヤッ
ハラ「……………」
スイレン「あい」
リーリエ「……わかりました!」
マーマネ「じゃ、僕たちは軍儀でもして待ってるよ!」
ハラ「……サトシくん、メルエム殿。私についてきてくだされ」クルッ
メルエム「……ふんっ」クルッ
サトシ「………………」ジーッ
メルエム「………なんだ?」
サトシ「へへへ、いやさ?メルエムが余と"サトシ"とか言うもんだからさ?」ニッ
メルエム「……………」
メルエム「阿呆が、早急に終わらせぞ」スタスタ
サトシ「お、おい!待てよメルエムー!」
タッタッタ
マーマネ「あれじゃどっちがトレーナーかわからないね?」
リーリエ「ですね?」クスッ
スイレン(サトシ、ファイト!)グッ
リーリエ「では、私たちは軍儀でもして待っていますか?」
マーマネ「……リーリエ強いからなぁ…」
スイレン「あい」
ワイワイ
半年前…カロス地方のとある空港で前代未聞の事件が起こった
まだ年端もいかぬ少女(仮に名前をYとする)が泣き叫びながら我々の元に飛び込んできた
『私はとんでもない悪魔を世に放ってしまった』
当然最初はYの保護にあたった空港の警備員たちも唐突に泣き叫び、現れたYの言葉を信じなかった
きっと親や兄弟、友達とケンカでもしてこんなことを言っているのだろう
警備員たちは少女Yを宥めるようにして聞いてみる『お嬢ちゃん お父さんやお母さん……若しくはお兄さんお姉さんは?もしかして迷子かな?』
少女Yは一旦泣くのを止めるとこう答える……
『いないよ。お兄ちゃんは悪魔のお腹の中』
普通ならば少女の妄言と受け流しても良かった言葉を空港の警備員たちは受け流す事が出来なかった……何故ならば
Yの眼には"生気"が感じられなかったからだ
これはただ事ではないと察した警備員たちはカロスのとある場所に少女Yを預ける事にする
そこで聞いた少女の話しに我々は戦慄する事になる……
そう、当時カロス地方で話題になっていた"カロス地方トレーナー・ポケモン大量失踪事件"と少女Yの話しがピタリと繋がったからだ
Yによるとその王を名乗る悪魔と悪魔のトレーナーである少年はトレーナーや野生のポケモンに勝負を仕掛け、敗北した物は全て悪魔の食料になっていたらしい
そしてその年端もいかぬ少女Yはずっと悪魔とトレーナーの少年の旅に同行していたらしい
我々は少女に質問した『何故君はそのような悪魔たちと一緒にいながら無事だったの?』
少女Yはこう答える
『私はある分野で悪魔に勝っていたから生かされていた』
そして……Yは泣きながら我々に嘆願する……
『悪魔たちの行為を知っていながら黙認する事しかできなかった私は死刑でもいい……だから……』
『どうかあの悪魔たちを殺して!』
……最後に我々はYに問う……その自らを王と名乗る悪魔の名を
Yは静かに答える
サトシ「ハラさん!大試練始めようぜ!」ワクワク
メルエム「ふんっ」ニヤッ
ハラ(メルエム……!!)グッ
ハラ(カロスリーグでの事件の時に撮られた彼らの一枚の写真……)
ハラ(それを手がかりにマサラタウンへ追っていった時には既にもぬけの殻だったと聞く……)
ハラ(彼らの目撃情報がアローラであったと警告された時には驚きましたぞ……しかし……)チラッ
サトシ「なぁ、メルエム!俺、試したい技があるんだ!」
メルエム「……………」
ハラ(先程のクラスメイトたちとのやりとり……そして今の彼らを見てもとてもカロスを震撼させた悪魔とトレーナーには思えないですな……)タラッ
サトシ「なぁメルエム!」
ハラはメルエムとサトシの事をカロスから聞いて知っていた
しかし信じられなかった……こんな純粋な少年とそのポケモンがカロスを震撼させた悪魔だとは
なので
ある"罠"を仕掛けていた
そう……茂みの洞窟で行われる"試練"という罠を………
ハラ「……………」
メルエム「……ハラよ、まずは礼を言おう」
ハラ(礼……?いったい何の話しですかな…?)
メルエム「昨日の茂みの洞窟における試練……」
ハラ「……………」
メルエム「ヤングース共は粗末な味であったが……あの主デカグース……アレは絶品であった」
メルエム「馳走になったな」ニヤッ
ハラ「!!!」
……そう…茂みの洞窟はハラが様子を見に行った先刻は何者かがデカグースとヤングースを食い散らかした形跡により
惨状だった
ハラは確信した
ハラ(やはりこの悪魔たちは……)
ハラ(今ここで討伐せねばなるまい!!)
サトシ「おい、メルエム!俺の話し聞いてんのかよ!」コンコン
メルエム「少し黙れサトシ」ヒュン
ペチッ
サトシ「いでっ!」
メルエム「っと……すまぬなハラ?話しの続きであった」
サトシ「いてて…」ヒリヒリ
ハラ「……………」
メルエム「島キング……王である余を差し置いて王を語る愚挙……本来ならば万死に値するが……」
メルエム「昨日の馳走の褒美だ。特例として赦してやるとしよう」ニヤリ
ハラ(許…す………?こ奴はいったいなにを………?)
メルエム「今すぐ余にこの島の王の座を……サトシにZリングを差し出して降伏せよハラ!」
サトシ「!?」
ハラ「………な!?」
メルエム「さすれば……見逃してやる」ニヤッ
サトシ「降伏って……メルエム!大試練は?バトルは!?」
メルエム「サトシ、少し黙っておれ」
ギャー ギャー
ハラ「……………」
ハラ(許す……見逃す……?こやつはいったい何を言っているのですかな…?)
ハラ(虫が…………)スッ
ハラ「上から物言ってんじゃねーーーぞ!!!」
ボンッ
ハリテヤマ「ハリ!」
サトシ、メルエム「!」
サトシ「あのポケモンは……!」
メルエム「ハリテヤマ つっぱりポケモン かくとうタイプ」
メルエム「力比べが 好きだが 優しさも あわせもち 戦った 相手を ねぎらうなど 礼儀を 重んじるポケモン」
サトシ「お前のその能力便利だよな~」
メルエム「なんなら種族値やレベルで覚える技も言えるぞ?」フッ
ハラ「ハリテヤマ!インファイト!!」
ハリテヤマ「ハリー!!」
ドドドド
メルエム「!」
ドカーン!!
フシュウウ……
メルエム「……気が済んだか?」パッパッ
ハリテヤマ「ハリ!?」
ハラ「無傷……ですと…?」タラッ
メルエム「……次はないぞ?」ニヤッ
ハラ「……………」
サトシ「へへへっ!大試練スタートだな!」
メルエム「いや、まだだ」
サトシ「メルエム!少しは俺のいうこと聞けよ!」
メルエム「くっくっく…サトシ…余を従えられぬのはサトシのトレーナーとしての技量が足らぬからだ」
メルエム「余を従えたければもっと腕を研け」クックック
サトシ「むぅ……」ムスッ
ハラ「ハリテヤマ!つっぱり!」
ハリテヤマ「ハリ!」ボンッ
メルエム「!」
ドカン!
メルエム「………………」スクッ
ハラ(やはりダメージ無しか……)
メルエム「……サトシ!」
メルエム「バトルスタートだ」ニヤッ
サトシ「よっしゃー!メルエム!」
メルエム「………………」スッ
バリバリバリ
ハラ「!」
ハラ(あ、あれはエレキメイカー!?あの特性を持つポケモンはカプ・コケコしかいないハズですぞ?)
ハラ「まさか………」
メルエム「ふっ」ニヤッ
ハラ(この悪魔にはゼンリョクで当たらねば……)ピカー
メルエム「……む?」
サトシ「あれは……Z技だ!」
ハラ「いきますぞ!ハリテヤマ!」ピカー
ハリテヤマ「ハリ!」ピカー
"全力無双激烈拳"
ハリテヤマ「ハリー!!」
ドドドド
サトシ「メルエム!」
メルエム「………………」ダッ
チッ チッ
ハラ「な!?」
ハリテヤマ「ハリ!?」
メルエム「………………」ザッ ザッ
ハラ(全力無双激烈拳をかすりながらも前進してくるですと!?)
ザッ ザッ
メルエム「……詰みだ」ニヤッ
サトシ「メルエム!アイアンテール!」
ハラ、ハリテヤマ「!?」
メルエム「……………ふんっ」ブンッ
ペチッ
リーリエ「私の勝ちですねマーマネ」パチッ
マーマネ「あー!負けたー!」
ザッ ザッ
スイレン「!」
スイレン「あっ!サトシたち戻ってきた!」
リーリエ、マーマネ「!」
サトシ「お待たせ!」
メルエム「………………」
リーリエ「サトシ!メルエム!」
マーマネ「大試練どうだった!?」
サトシ「へへへっ!ばっちりだったぜ!」ニッ
リーリエ「それは……Zリング!」
サトシ「大試練をクリアしてゲットしたんだ!」
スイレン「すごい!」キラキラ
メルエム「つまらぬ余興であったな」
メルエム「それと……今よりこの島の王は余とサトシとなった」
マーマネ「サトシとメルエムが島キングに!?」
リーリエ「ど、どういう事ですか!?」
メルエム「ハラと賭けをしたのだ。大試練をクリアすれば余とサトシをこの島の王にせよ…とな?」
マーマネ「なるほど……」
スイレン「島キング、サトシとメルエム爆誕!」ビシッ
サトシ「へへへ…島キングかぁ……ポケモンマスターに一歩近づいたかな?」
リーリエ「では……今日はみんなでサトシとメルエムの島キング就任を祝ってパーティーをしませんか?」
サトシ「パーティー!?」
マーマネ「いいね!」
スイレン「楽しみ!」
リーリエ「メルエムはどうですか?」
メルエム「苦しゅうない……」
メルエム「馳走を用意せよ」ニタァ
1か月後
ポケモンスクール
メルエム「………………」パチッ
サトシ「またグンギかよメルエムー!Z技の特訓しようぜー?」
メルエム「今余は忙しい。後でな」
サトシ「えー?」ブー
スイレン「サトシ!だったら私と釣りいこうよ!」
サトシ「釣りかぁ……それもいいかもな!」
サトシ「だったらさ、マーマネも一緒に……」
スイレン「………………」ジトー
マーマネ「ぼ、僕は今日は遠慮しとくよ!」ビクッ
サトシ「そっか?」
サトシ「スイレン!今日もせせらぎの丘か?」
スイレン「うん!」
サトシ「わかった!んじゃ、いくかベベノム」
ベベノム「ベベー!」ヒュー
スイレン「いこっ!カプ・テテフ!」
カプ・テテフ「………………」ヒュー
タッタッタ
マーマネ「スイレンも今やアーカラ島の島クイーンだもんね…」ハハハ
リーリエ「……………」パチッ
メルエム「………アローラに来て数ヶ月……余は王として様々な事を学んだ……」パチッ
リーリエ、マーマネ「!」
メルエム「人やポケモンの中にも生かす価値のある優れた者とそうでない者……」
メルエム「ただ悪戯に奪うだけでは王とは言えぬ……」
メルエム「…………リーリエ、マーマネ…今後の働き次第では其方らにもこれから食らうウラウラとポニを与える」ニヤッ
マーマネ「本当!?」キラキラ
メルエム「うむ、今後の働き次第だがな?」ニヤッ
リーリエ「………その先にはいったい何があるんですかメルエム?」パチッ
メルエム「………余がアローラを全て食らった後はこのアローラを拠点とし……」
メルエム「余がこの下らぬ世界を統べる王となる」パチッ
リーリエ「……………」
リーリエ「メルエム、それは論理的結論としては支配や侵略と変わらぬのではありませんか?」
メルエム「うむ…確かに始めの内は力や恐怖を使うことも否定はしない」パチッ
メルエム「だが……先刻のウルトラビースト・ウツロイドやマッシブーンは余に反抗し、世の統率や秩序を乱すと判断したから排除したまで」
メルエム「逆に…ベベノムのように協力的であったり、カプ・テテフのように服従を誓うならば生かす」
メルエム「これは……余の目指す"平等とは言えぬまでも理不尽な差の無い世界"の秩序維持のためだ」
リーリエ「………そうですか」パチッ
リーリエ「ですが…そう簡単にいくでしょうか?」
メルエム「?」
リーリエ「本で読んだのですが…世界には海や大地を創った"伝説"と呼ばれるポケモンや世界を創ったと言われる"幻"と呼ばれるポケモンもいると聞きます」
メルエム「ほう?其奴らは余よりも強いと申すか?」パチッ
リーリエ「さぁ?それはわかりません…本で読んだだけですから」パチッ
メルエム「…………………」
メルエム「…………む?」
リーリエ「さぁメルエム、次の手をどうぞ」ニコニコ
メルエム「……無い、余の敗けだ…」
リーリエ「ふふっ」クスッ
リーリエ「論理的結論から言いますとメルエム」
メルエム「?」
リーリエ「あまり…人やポケモンを侮らない方がいいですよ?」ニコッ
メルエム「……おもしろい」ニッ
ビー ビー
メルエム、リーリエ「!」
マーマネ「大変だよメルエム!リーリエ!今、リーリエのお母さんからの通信が入って、ウラウラ島にウルトラビーストが出現したって!」
リーリエ「ウルトラビーストが!?すぐにサトシとスイレンを呼び戻して出撃しなくては!」
メルエム「よい」
リーリエ、マーマネ「!」
メルエム「余、一人で充分だ」
ウルトラスペース
テッカグヤ「~~♪」スイー
パリパリパリ
テッカグヤ「?」
「くっくっく」
メルエム「ウルトラビーストのウルトラスペースを移動する能力とは便利なものだな?」ニッ
テッカグヤ「!?」
メルエム「………む?データに無いポケモンだ…まぁよい」
メルエム「ウルトラビースト……目を凝らさずともわかる…レアモノだ……だが…今の余の敵ではない」
テッカグヤ「っ~~~!!」ブンッ
メルエム「……ふんっ、軽いな」パシッ
テッカグヤ「!?」
メルエム「……………」ブンッ
ペチッ
テッカグヤ「」ドサッ
メルエム「余の攻撃で絶命せぬとは…さすがはウルトラビースト、誉めて遣わす」
テッカグヤ「……」ヨロッ
メルエム「さぁ選べウルトラビースト」
テッカグヤ「………?」
メルエム「……余に服従するか……餌となるか……」ニヤッ
テッカグヤ「」ガタガタガタ
サトシ「えぇー!?ウルトラビーストが出たのかよ!何で呼んでくれなかったんだよメルエムー!」
メルエム「余一人で充分だと思ったまでの事」
サトシ「でもさ~」
メルエム「それに……余とて其方らのデートを邪魔する程無粋ではない」ニヤリ
スイレン「ででででデート!?な、何言ってるのメルエム!そ、そそそそんなつもりじゃ/////」
リーリエ(確かに……メルエムも初めてスクールに来たときとは変わってきているようですね)
サトシ「で、これがそのウルトラビースト?」
テッカグヤ「カグヤー」
マーマネ「そうだよ!」
サトシ「へぇー、マーマネのポケモンになったのか~いいなぁ」
マーマネ「ま、まあね?///」テレッ
メルエム(戦力も整いつつある……そろそろ頃合いか……)ウム
メルエム「サトシ、そろそろウラウラ島に侵攻しようと思うのだがどうだ?」
サトシ「!」
リーリエ(メルエムが他人の意見を伺うとは……)
サトシ「へへへ!いよいよかメルエム!」
メルエム「サトシ、余について来れなくては置いていくぞ?」ニヤリ
サトシ「それは俺のセリフだぜメルエム!」
メルエム「ふんっ」ニヤッ
スイレン「サトシ!私がサトシをサポートするから安心して!」
サトシ「サンキュー!スイレン!」
スイレン「////」テレッ
メルエム「リーリエ、マーマネ。其方らの働きにも期待している」
マーマネ「任せてよ!」
リーリエ(メルエムが"期待している"と言うとは…)オクチアングリ
サトシ「ワクワクしてきたぜ!」
スイレン「私も!」
マーマネ「あっ!今の内にナニカに必要な物を頼んで……」
リーリエ「やめてくださいマーマネ」
ワイワイ
メルエム「…………………」
メルエム(余には過ぎたる者たちよ…)フッ
メルエム「…………アローラの…世界の王となるため……」
サトシ「ポケモンマスターになるために!」
サトシ、メルエム「行くぞ!ウラウラ島!!」
おわり
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