【ミリマス】瑞希の怪 (33)
こんばんは。
真壁瑞希です。
<こんにちはー!
元気のいい春日さん、ありがとうございます。
今日、みなさんに聞いていただく話は
なんてことない普通の話です。
でも、なるべくなら、夜に読んでほしいぞ。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1520947211
これは、私が765プロに入る前の出来事です。
ある日、お金に困った私はバイトを始めることを決意したのです。
学校は幸いバイトを許可されている学校だったので、
私は面接を受けたりもしました。
私のことを知ってくださっている聡明な皆様なら
もうお分かりかと思いますが、中々バイトの面接にすら受かりませんでした。
どうしてだと思います?
私はありのままの私を受け入れて貰えるように
努力はしたのですが……。
前にこの話をプロデューサーに
お話した所、
「それは実は真壁の甘えなんだ」って言ってました。
「バイト先が欲しい人材というのは
バイト先でちゃんと働ける人なんだ」と言っていました。
< 知った風な口を……。
そうですよね。最上さん、これを言われた時、
同じ様なことをちょびっと思いました。ちょびっとだけ。
今になって思えばそれはごく当たり前の話ですが。
当時の私はまだ幼かったのでよく分かっていなかったのかもしれません。
当時と言っても1年も経ってませんが。
今もピチピチです。
< 私もピチピチよ?
百瀬さん、静かに。
さて、そうやってバイト探しに明け暮れている中、
あるバイトに受かったことがあるんです。
それは、とあるカラオケ店でのバイトでした。
面接の日は、お洒落でありながらも落ち着いた雰囲気のある
スカートとブラウスという
当時、私の中で流行ったファッションです。
面接をしてくれたのは、白髪が素敵な
初老のおじさま店長でした。
その御方は私の話を終始、
ニコニコと聞いてくれました。
「週に最低でも3日は入ってもらいたいんだけど、できる?」
「はい。大丈夫です。
もう少し入っても問題ありません。
やる気だけはこう見えてあるんです」
私はぐっと力こぶを作って見せます。
店長さんは「ふふ」と笑ってくれます。やった。
「真壁さんは、結構おとなしいタイプに見えるけど」
「人からはよくそう言われます。
ですが、内に秘める真壁はやんちゃです」
「そ、そうなのかい?」
おっと、この返しはよくなかったのかも。
あまりいい反応ではない。
お客様とトラブルを起こされるような
やんちゃタイプではないので
安心してください、とすぐに訂正を入れます。
「それなら良かった」と店長はまた素敵な笑顔に戻りました。
セーフ。
「そうそう、どうしてこういうことを聞くかって言うとね」
ニコニコの店長さんは私に少し
もったいぶって話します。
「ここって駅からも近いでしょう?
だから終電間際のお客さんとか
金曜の夜のお客さんとかお酒も入って
酔っている方も来られるんだ」
「はあ、なるほど」
「そういう時にね、飲み物を持って
部屋に入ったりすると
たいてい若い女の子だと
絡まれたりするんだけど」
「おお、それは……困りました」
確かに。それは盲点でした。
私もそういったウェイなノリの方達とは
この時はまだ合うかどうか分かっていなかったので。
正直、対処できるかどうか不安だったのです。
今でも伊吹さんとかどうしていいか分からない時がありますが。
あ、あと百瀬さんとか。お酒入った馬場さんとかも。
< え~! なんでですかー!
< どーゆー意味よー
< 私はまだいい方でしょー?
事務所での飲酒は禁止にしてほしいですね。
しかし、瑞希は負けませんでした。
数多の面接を受けては落ち、
受けては落ち、
ちぎっては投げられ、ちぎっては投げられを
繰り返した身。
「大丈夫です。そんな時は
手品で乗り切ります」
こう返したのです。
「おお、今できる?」
「はい」
ここでも数多の面接を受けてきた
経験が生かされました。
だいたいここで手品できると言うと
その場でやらされることは承知の上。
既に忍ばせておいた手品で
ポンっ、と勢いよくおもちゃの花を取り出してみせます。
「お~、本当だ。すごいね」
そして、店長さんからついに
一番聞きたかった言葉を聞くのです。
「うん、これならうちで働いても大丈夫そうだね」
なんとぉ。
この時、なんて嬉しかったことか。
今でも覚えています。
ただ、その喜びも次の店長さんの質問を
聞くまでの本当に一瞬の出来事でした。
店長さんは私にこう聞くんです。
「真壁さん。あとね」
「オバケって大丈夫?」
一瞬耳を疑いました。
「え? えっと、オバケ……ですか?」
ニコニコだった店長さんもこの時ばかりは
少し渋い顔をしていました。
そのお顔もまた素敵でしたけど。
「どうして、でしょうか」
店長さんは短く、うーん、と悩んだあと
「実はこの店にはねえ、
小さいこどもの幽霊がいるんだって」
「こどもの霊……ですか」
「実は僕はあまり見えないんだけどね」
どうやら子供の幽霊がいるし、
その上で目撃者も複数いるらしいんです。
それはバイトの子、
お客さん、色々な人が見ているそうです。
しかし、瑞希。
やっと受かりそうなバイトに
幽霊ごときでは負けられないぞ。と己を奮い立たせました。
「大丈夫です。私も見えたことありませんので」
実際に本当に見たこともないので
あまり幽霊という存在を信じていませんでしたので
こう答えました。
これは完璧な受け答えでは?
と内心小躍りしましたね。
「そっか。分かった。じゃあこれで面接は以上にしようか」
「はい、ありがとうございました」
この日、私はこれで帰りました。
店長さんからは
採用の連絡は早くて今日中にはできちゃうから。
ということだけは聞いていました。
ですので、携帯電話を前にしてそわそわと
連絡を待っていたのです。
そわそわ。
中々来ない採用の連絡に
段々と気分が落ち込んできます。
ですが、結局この日、連絡は来ませんでした。
この日は、もう諦めようか、とアルバイトをすること自体を諦めかけ
そのまま布団に入りました。
しかし、夜中の3時になり
私の携帯に着信が入ります。
誰だろう。
こんな時間に。
そう思い、携帯を見ると
昼間に受けたバイト先からだったのです。
こんな時間に?
採用の連絡をいれるの?
もしかしたら店長は閉店後に
残業してこの時間で電話をしたの?
それにしたって失礼な気がするけれど。
まあそれももう別にいいか。
と思い電話をとると
「今度いつ遊びにくるの?」
こどもの声ではっきりとそう聞こえました。
それを聞いた瞬間に
私はすぐに電話を切りました。
その後も……私の電話には
バイト先から着信がありましたが
私は絶対に出ませんでした。
以上になります。
事務所に入る前にも
実はアクティブに色々やっていたんです。
他にもあるかもしれませんが、
それはまた別に機会にしましょう。
今日は夜中の着信には気をつけてください。
おー、怖い。
おわり
春といえばホラーですよね。
お疲れ様です。
終わります。
元ネタ↓
https://youtu.be/oHJc2BMWfNI
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【ミリマス】恵美「Pと兄貴と妹馬鹿」その2
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