男「スキュラを拾ったのでペットにした」 (30)

男「なんか変なのが釣れた」

スキュラ「!?」

数分前

男「むっ、これはなかなかの引き」グググッ

男「うおおおおおお、これは大物に違いな…ん? 急に抵抗が…」チャポンッ

スキュラ「………!」

男「なんかタコ…みたいな女の子がくっついとる」

スキュラ「…!!」

男「なんか慌ててるけど…ん? ああ、ウツボか」

スキュラ「…!…!」

男「…助けて欲しいのかな」

男「とりあえずバケツに移した」

スキュラ「………」

男「この子に針刺さってるのかと思ったら、俺が釣り上げたアジにしがみついてただけだったわ」

スキュラ「………」

男「結構いい手応えだったのに、アジのサイズが人差し指くらいとかめっちゃ泣ける」

男「まあアジはいいか」

スキュラ「………」バケツの中で脱力している

男「上半身が女の子なのに、下半身は完全にタコだわこの子」

スキュラ「………」

男「しかしキャッチアンドリリースが信条だからな、そろそろ帰るし海に帰すか」バケツを持ち上げる

スキュラ「!!!!」

男「うおっ、暴れ…いててて、手に引っ付かないでくれ。地味に痛い」

男「とりあえずちっさいアジは海に帰した」

スキュラ「………」

男「お前もそろそろ海に帰ろう」

スキュラ「………(うるうる」

男「いやそんな目で見られても…お前海の民だろどう見ても」

スキュラ「………(うるうる」

男「えぇ…」

男「泣き落としに負けて連れて帰ってきた」

スキュラ「♪~」

男「おかしいだろ…海に帰れよ…」

スキュラ「!!?!?!?」

男「そんな悲痛な顔しないで。わかったから」

スキュラ「………(じー」

男「ウツボに追っかけられたのがトラウマになったのかな」

スキュラ「………(ガクガクガク」

男「分かり易すぎるPTSD」

男「水槽なんてないからとりあえず虫カゴに塩水を入れてみた」

スキュラ「………(じー」

男「そんな不満そうに見ないで。ちゃんとしたの明日買ってくるから」

スキュラ「♪~」

男「なんでこんな態度でかいんだこいつ」

男「水槽高い」

スキュラ「♪~」

男「なんだかんだで手の平サイズあるからなこいつ。それなりの大きさのを買うことになってしまった」

スキュラ「♪~」水槽の中を泳いでいる

男「しかもタコを買うって店員に行ったら、なんか色々おススメされたから一緒に買ってしまった」

スキュラ「………」ピチャッ

男「冷たっ」

スキュラ「………(じー」ピチャッピチャッ

男「うおおい、部屋が濡れるだろ。何を怒ってるんだ」

スキュラ「……(むー」

男「タコ扱いされたのを怒ってるのか」

スキュラ「…(こくり」頷く

男「いやどう見てもタコでしょお前」

スキュラ「…!」バシャッ

男「冷たっ、ああ…部屋が…」

男「餌だぞー」

スキュラ「……(むー」ピチャッ

男「冷たっ、すみません餌じゃなくてご飯の時間でございます」

スキュラ「……(むふー」水槽の中で偉そうに仰け反る

男「俺が家主のはずなのになにこの扱い」

スキュラ「………」ピチャッピチャッ

男「わかった、わかったから、やめて。こちら本日のお刺身です」

スキュラ「♪~(もぐもぐ」

男「餌代が地味に高い」

男「良いご飯を食べてるせいか、ウチのタコ娘の成長が著しい」

スキュラ「………(むー」ピチャッ

男「あ、はい、すみません。タコじゃないんでしたよね」

スキュラ「……(うんうん」満足気に頷く

男「しかし手の平サイズが両手サイズになってしまったからな。流石に手狭に見える」

スキュラ「…(こくこくこく」何度も頷く

男「しかしお金がない」

スキュラ「……(ガックリ」

男「…もうすぐお給料日だから、そしたらもう一回り大きいの買おう」

スキュラ「!!」

男「良い笑顔だ」

男「なんかすぐ大きくなりそうだったし、一回りどころか三回りくらいデカイ水槽を買ってしまった」

スキュラ「♪~」水槽の中を悠々と泳いでる

男「部屋の壁の一面が完全に水槽だけになったわ」

スキュラ「♪~」

男「水槽の中に入れる諸々も合わせると、かなりの出費だったな…」

スキュラ「………」

男「まあ今更だな。喜んでくれてるしいいか」

スキュラ「!!///」

男「うーん」

スキュラ「…?」

男「これだけデカイ水槽なら、別の魚も飼えるんじゃなかろうか」

スキュラ「!!!?!?」バシャバシャッ

男「うぉい! わかった、飼わないから落ち着け」

スキュラ「…(むー」

男「ここは貴女様だけの城でございますお姫様」

スキュラ「…///」バシャ

男「冷た」

スキュラ「……///(むー」

男「なんでだ」

男「他の魚を飼うことは諦めた」

スキュラ「……(じー」

男「わかってるから、だから諦めたって」

スキュラ「……(むふー」満足気

男「しかしだな」

スキュラ「…?」

男「アクアリウムとかいうものがあるらしいんですよ」

スキュラ「………」

男「こんな感じに、船沈めたり、石を沈めて景色を作ったり…カッコよくない?」タブレットで画像を見せる

スキュラ「…!(こくこくこく」何度も頷く

男「おお、わかってくれるか」

スキュラ「…(にこにこ」

男「そこでだな、俺はこのリアルなドクロを沈めたいんだけど」

スキュラ「………」バシャアッ!

男「冷…うおおお、部屋がびしょ濡れだ…」

男「お食事の時間ですお姫様」

スキュラ「♪~」

男「どうぞお召し上がりください」

スキュラ「♪~(もぐもぐ」

男「……しかし、大きくなったな」

スキュラ「…?」

男「もう小学生くらいの大きさがあるじゃんね」

スキュラ「………」

男「これならもう、海に帰ってもウツボにイジメられないんじゃないか?」

スキュラ「ッ…」

男「あれからご飯を食べてくれない」

スキュラ「………」

男「口も聞いてくれない…のは元からだけど、顔も見せてくれないとは…」

スキュラ「………」

男「ご飯食べないのは病気だからじゃないよな? どこか辛いのか?」

スキュラ「……………」

男「……ここにご飯置いとくぞ」

男「あ、そこに置いといてください。あとは自分でやりますんで」

スキュラ「………?」

男「ただいまー」ガチャ

スキュラ「………」

男「ご飯、食べてないんだな」

スキュラ「………」

男「………よし、やるか」

数時間後

男「おーい」

スキュラ「………」

男「体の具合は大丈夫か?」

スキュラ「………」

男「……うーん、わからん」

スキュラ「………」

男「……ちょっと我慢してくれよ(バシャアッ」水槽の中からスキュラを抱き上げる

スキュラ「…!!!?!?」

男「おお、結構元気そうでよかった。ちょっとの間だけ我慢してくれよ」スキュラの頭を撫でる

スキュラ「…!!///」

男「部屋を一つまるごと水槽にした」

スキュラ「!?」

男「あんな窮屈なところじゃ、具合も悪くなるよな」

スキュラ「ッ……!」

男「お前は外にも出れないもんな。俺だってそんな生活は耐えられないわ」

スキュラ「………」

男「ここもまだまだ狭いけどさ、まあ少しは広いだろうから」スキュラの頭を撫でる

スキュラ「………///(ぽー」男に見惚れている

男「だいぶ元気になったな」

スキュラ「♪~」

男「ほい、ご飯だぞー」

スキュラ「……」パチャッ

男「うおっ、すみませんでした。お姫様お食事の時間でございます」

スキュラ「♪~///」もぐもぐ

男「…元気になったのはいいけど、食べる量も増えたな」

スキュラ「………」

男「ああ、いや、悪い意味じゃない。変な言い方して悪かった」

スキュラ「………(じー」

男「ごめんごめん、もっと沢山食べて、大きくなれよ」

スキュラ「……///(こくり」恥ずかしそうに頷く

男「うんうん、お前ならきっと、将来美人さんになるぞー」撫で撫で

スキュラ「…///」

数ヶ月後

男「いやぁ…育ったなぁ…」

スキュラ「………」

男「いや、悪い意味じゃないんだ。言い方が悪かったな」

スキュラ「………(じー」

男「あー、うん…凄い、美人に、なったなぁ、ってさ」

スキュラ「…///」

男「……そろそろ、海に帰るか?」

スキュラ「……!?」

男「体調も良いみたいだし、お前にも家族がいるだろうしさ」

スキュラ「………(バシャアッ」水槽から出てくる

男「うわっ、お前水槽から出てて大丈夫なのか?」

スキュラ「………(ニュル…ニュル…」男にジリジリと近付く

男「目がめっちゃ怖い」

スキュラ「…(シュルシュルシュルッ!」足を男の体に絡めつける

男「うおおおっ!?」

男「いきなり何す…んグッ!?」

スキュラ「…(ちゅ…」男を抱き締めながらキス

男「んんん…プハッ…ンッ…」

スキュラ「…ちゅる……ちゅっ……ぺろ……」複数の足を使って男を裸にする

男「んんー!?」

スキュラ「………ちゅ」

数時間後

男「か、体が震える…」ぐったり

スキュラ「………///(ぎゅー、すりすり」男に足を満遍なく巻き付けて抱き着く

男「うあ、ちょ…まだ敏感だから」

スキュラ「………///(ぎゅ」男の頭を優しく抱き締める

男「………本当にいいのか? 海に帰らなくて…」

スキュラ「……(むー」

男「どうし…むぐっ!?」

スキュラ「ちゅうっ…ピチャ…ちゅ……」男にキスをする

男「んっ…はぁ…、っ…」

スキュラ「……ちゅっ…どうか永遠に側にいさせてください、私の王子様///」

終わります

ご視聴ありがとうございました。
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