戦士「俺の首を落とす前に、話をさせてくれ」 (12)


処刑人「……」チラ

神官「どうなさいますか、王」

国王「……」

国王「良かろう、申してみよ」


戦士「最後まで迷惑をかけてすまない、王様」

戦士「はぁ……」

戦士「どうしても話したかったが、誰も話を聞いてくれなかったんだ」

戦士「何故、俺が勇者達を殺したのか」



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『ふざけるな……!! 殺せー! 裏切り者の魔物を殺せー!!』

『そうだそうだ!! 命乞いをするつもりだ!殺せ!』

『早く処刑しろー!!』



< ヒュッ!!

戦士「つッ……!」ゴスッ

神官「鎮まれ民達よ! 我が王の御意向である、静まれッ!!」


『『・・・』』シーン


戦士「……本当に迷惑をかけてすまない」

神官「貴様の為ではない、命乞いがしたければ好きにしろ戦士」

戦士「ああ……」




戦士「俺は戦士。知っての通り勇者一行で前衛を務めていた」

戦士「二年前俺は『勇者』、『魔法使い』、『賢者』、『剣士』達と共に旅に出た」

戦士「果ての島にいる悪しき存在。 魔王を討つ為にだ」

戦士「少なくとも俺はそのつもりで勇者の仲間になった」


戦士「魔王を倒して数百年、再び現れた伝説の魔物と戦う為に生まれた勇者と旅をする事に、俺は誇りを感じていた」


戦士「だが……」


戦士「あの男は正義ではなかった」



……【二年前】……


戦士「敵の匂いだ勇者」スンスン

勇者「やっとか! 行くぞ諸君、全員戦闘準備!」

勇者「私と魔法使いが援護する。 戦士君と剣士君は前へ、賢者は戦況を見て指示を出してくれたまえ!」

剣士「行くぜ戦士ィ! ヒャァッ!!」バッ

戦士「……」


……俺達は碌な訓練もしていなかった。

だが、勇者に導かれた者故か連携は完璧だった。

まるで長年の戦友と共にしているかのように、俺達は互いの動きを把握して動けていた。

悪くは無かった。

常に危険と隣り合わせの旅が、頼もしさで満たされていた。




勇者「やぁやぁ、私達は勇者一行だよ」

町長「お待ちしておりました勇者様、どうか旅のお疲れを取って下さい。町総出でおもてなしの用意をしていますとも!」

勇者「殊勝な事だね」

勇者「しかし、私が欲しいのはもてなしではないのだよ町長殿」

町長「はい?」

勇者「旅は一刻を争うものだ、長々と滞在するつもりは無いのだ」

町長「こ、これは大変な失礼を……! では必要な物資の補給を……」

勇者「適当な馬車を数台、そこに次の街まで若い娘と男を乗せてくれたまえ」


町長「…………は?」


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