育「あ、千早さん。おはようございます。」

千早「おはよう、育。律子を見なかった？」

育「今日は見てないよ。｣

千早「そう、じゃあここで待ってようかしら…よいしょ。」

育「あ、それコーヒー？」

千早「ええ、寒かったからコンビニで買ってきたのよ。」

育「ふうん。」

育「…」

千早「どうかした？」

育「ね、それおいしい？」

千早「まあね。飲んだことない？」

育「眠れなくなるから飲んじゃだめだって、おかあさんに言われてるの。わたしはそこまで子どもじゃないのに。」

千早「そうなのね…飲んでみる？」

育「え、いいの？」

千早「少しだけならね。お母さんには内緒にしておいてあげる。」

育「やったあ、ありがとう！」

育「……にが。何でこんなの飲むの？」

千早「眠気覚ましになるから、かしらね。」

育「ふうん、そういうものなの？」

千早「ええ。慣れてきたらこの苦さが美味しいって思えるようになるわ。砂糖やミルクが無いと飲めないって人もいるけどね。」

育「そっか…やっぱり、わたしはまだ子どもなんだね。」

千早「焦らなくてもいいわ、大人になんてすぐなれるものよ。」

育「そうかなあ。わたしは今すぐ大人になりたいけど。」

千早「今はたくさん食べて元気に遊んで、頑張ってアイドルをやってなさい。そしたらすぐだわ、あっという間よ？」

育「本当に？」

千早「ええ、間違いないわ。」

育「千早さんが言うならそうなんだね、がんばろっと。」

千早「そう。あなたはすぐ大人になれるわ、だけど。」

育「…千早さん？」

千早「ごめんなさい、何でもないわ。」

育「ならいいけど。あんまり無理しちゃだめだよ？」

千早「平気よ、ちょっと眠たいだけだから。」

育「ソファーで寝てたら？律子さんが来たら起こしてあげるよ。」

千早｢大丈夫よ。でも、ありがとう。コーヒー返してもらえる…あら、随分飲んだのね。」

育「ご、ごめんなさい。」

千早「いいわ。でも、今からあまり沢山飲まない方がいいわよ？」

育「うん。えへへ、大人の味だったよ！」

千早「ふふ。変な事言わないの。」

千早(…大きくなってね、育。そして、いつまでも元気に。もうそれが、叶わない子だっているんだから。)

千早「………」


育「ねえ、そういえばこの前見たアニメでね…あれ。」

律子「お疲れ様。千早、お待たせ…あら？｣

育「律子さん、しーっ。」

律子「あら。珍しい事もあるわね、千早が居眠りだなんて。」

育「疲れてるんじゃない？あんまりむりさせないように、プロデューサーさんに言っておかないと。」

律子「そうね、放っておくと千早はすぐ無理するから…ふふ、育も頼もしい事言うわね。」

育「とうぜんだよ、わたしは子どもじゃないんだから。」

律子「はいはい。ほら千早、起きて。」




育「ついさっき、ちょっとだけ千早さんに大人にしてもらったしね。」

律子「千早、起きなさい。いったい何をしたの！」

おしまい。毎度短いお目汚し失礼致しました。

これからも千早が活躍する
「ミリオンライブ　シアターデイズ！」を
どうぞよろしくお願い致します。