千川ちひろ「ええ、連絡も取れなくて……お仕事が終わったらとりあえずマンションに向かおうかと思っているんですけど」
櫻井桃華「プロデューサーちゃまを放っておくなんて出来ません!わたくしが今すぐ向かいますわ!」
ちひろ「えっ、でもプロデューサーさん今どんな状態かわかりませんし、桃華ちゃんじゃ危ないかも……」
桃華「プロデューサーちゃまはきっと今苦しんでいる……それを助けるためならリスクだって負います!」
ちひろ「そうですか……気を付けて行ってきてくださいね」
桃華「ここがプロデューサーちゃまが住んでいる部屋ですわね……まずはインターホンを鳴らしましょう」
チャイムの音が鳴る。しかし、誰も出てこない
桃華「……聞こえなかったのかしら。もう一回」
もう一度押してみるが、中から人が出る気配はない
桃華「……出ませんわね。一応扉を……」
試しにドアノブを回すと、何の抵抗もなく扉は開いた。桃華は何かあったのではないかと警戒をしながら部屋に入っていく
桃華「プロデューサーちゃまー、居ますのー?」
彼女は声を出しながらプロデューサーを探す。そして奥の扉を開けると見覚えのある人影を見つけた
桃華「あっ、プロデューサーちゃま……」
P(画面の前の貴方ですわ)「来ないでくれ!」
プロデューサーを見つけて、強盗などの犯罪に巻き込まれたわけではなさそうで安心した桃華をプロデューサーは今まで聞いたことない声で拒絶する
桃華「っ!?プロデューサーちゃま、いったいどうしましたの?」
P「俺は、もう自分が嫌になったんだ……上司には怒られ、取引先には見下され、同僚には嗤われ、挙句あんな失敗をして……もうプロデューサーもやめるから来ないでくれ……」
桃華「そんな……プロデューサーちゃまがスカウトしたアイドルはどうなるんですの?」
P「申し訳ないとは思うよ……でも俺なんかより他のプロデューサーにプロデュースされた方がきっと成功するよ」
自嘲する彼の姿は現実に打ちのめされ、折れて挫折したことが幼い彼女にもわかるものだった
桃華「プロデューサーちゃま、こちらを見てくださいまし」
P「桃華……」
そんな彼にとって目の前のアイドルの姿はとても眩しく、目を逸らさずにはいられなかった
その様子を見た桃華は自分のプロデューサーがこんなになるまで気づけなかったことを自責し、そんな彼を救うためにどうすればいいのかを考える
桃華「……プロデューサーちゃま」
P「!?」
桃華の選択はプロデューサーの手を優しく握る事だった。最初は驚いた彼も手から伝わる確かな温度に少しずつ安心感を覚えていた
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