準決勝大将戦が終わり
咲「ただいま戻りましたー」ペコリ
まこ「おおっお疲れ。逆転ありがとな」
和「すいません。いつも咲さんに助けられてばっかりで」
咲「今回も一番強い末原さんが残ってしまって決勝戦が不安です」
優希「ところで?部長は?」キョロキョロ
まこ「今日は一人にしてくれって。また愛宕洋榎にカモられたの気にしとるみたいで」
咲「団体戦ですから仕方ないですよ。あの人強そうだし」
優希「でも部長って全国来ていい所ないじぇ」
和「優希!」
まこ「いやー本人も自覚しとるよ。唯一の三年生なのに不甲斐ないって」
優希「三年生は三年生ブーストなるものがかかるらしいじょ。臨海の三年生強かったじぇー」
まこ「久から三万預かっとる。これで今夜はいい物食べろって」
咲「三万円も!?」
優希「回らないお寿司が食べられるじぇ」
まこ「そうじゃの。回らない寿司にするか」
和「焼肉なんかも捨てがたいですね」
会場外
久「はぁ…、全国の壁は厚いわね」トボトボ
久(一年生達が活躍、まこは地味にいい仕事をしてる。そして私は…。ただ点棒を失っただけ)
久「全国大会に来られたら御の字。でも流石に決勝戦まで来ると欲が出るわね」
久「勝ちたい…、勝ちたい!勝ちたい!勝ちたいッッ!白糸台も姫松も阿知賀女子も倒して…、全国大会初出場初優勝!」
久「はぁ~って言っても厳しいかなぁ。阿知賀以外は超名門だしね」
久「阿知賀女子も全国に出た事あるし、白糸台を抑えての一位で決勝戦進出だし」
久「清澄の監督は…名前だけ借りた先生だしね」
久「にしても全国来てから、全部-収支って痛いわね。私が清澄の足引っ張ってる…」
久「靖子に特訓でも頼もうかしら。一日で麻雀強くなれる特訓とかあったらなぁーははは、あるわけないか」
代行「でな~」テクテク
絹「はいはい」テクテク
久(あっ…姫松の人達だわ。か、隠れなきゃ)
ササっ
久(なんで隠れちゃたんだろ私)
代行「まさか決勝戦まで来れるとは思わんかったわ」
絹「お姉ちゃんと末原さんが聞いたら大激怒ですよ」
代行「いやいや、だって善野ちゃんおらんねんもん。私なんかただの代わりやし」
絹「まぁ…それは…、少しあるかもですけど」
代行「まっ私が教える事なんかなんもあらへん。コーラでええか?」
絹「ダイエットしてるんで、0カロリーのでお願いします」
代行「はいはい、ポチッとな」
ガコン
絹「コーラ振らんといて下さいよ」
代行「そんな悪戯するのは末原ちゃんの前だけやって」
絹「私だけに話ってなんですか?」
代行「せやね。本題入ろっか。時間もない事やしな」
久(これは…、隠れた甲斐がありそうね)
代行「絹ちゃん。決勝戦勝ちたいか?」
絹「当たり前です。決勝まで来て負けてもいいなんて思う雀士居ないですよ」
代行「当たり前やな。姫松悲願の優勝まで後もう一歩」
絹「お姉ちゃんと最初で最後の夏です。悔いだけは残したくないんです」
代行「せやろなぁ…。洋榎ちゃんも緊張してるやろなぁ~」
絹「決勝に向けて何か作戦とかないんですか?」
代行「あらへんよ。大星淡のデータも揃ったし。まぁ絶望やね」
絹「絶望って…」
代行「末原ちゃんにやるだけはやったから、後は末原ちゃんに託すしかないかな。姫松の大将を信じ~」
絹「もちろん信じてますよ。大星や宮永や高鴨みたいな1年生には負けるはずありません!」
代行「ただ大将戦までに5万点はリードしときたいね」
絹「5万点ですか…。ちょっと自信ないです」
代行「決勝戦の稼ぎ所って中堅戦と副将戦やと思うねんな」
代行「中堅戦に関しては何の心配もしてへん。姫松のエース洋榎ちゃんを置いてるわけやし」
久(ぐっ……)
代行「大将戦で稼いで来いって言うのは酷や。って言うか無理やと思うわ」
絹「は、はい」
代行「だから副将戦や。副将戦で一気に稼ぐんや!」
絹「!?」
代行「姫松のキーパーソンは絹ちゃんやと思ってるわけ。うちは」
絹「わ、私かて出来る限りの事はするつもりです」
代行「うん。全力を尽くすのは当然やとして~」
代行「なぁ絹ちゃん」
絹「はい」
代行「強くなりたくない?」
絹「も、もちろん」
代行「簡単にパワーアップする方法があるんや。話しだけでも聞く事をオススメするで~」
久(麻雀が強くなれる方法ですって!?)
代行「通称iPSブースト」ボソッ
絹「iPSブースト?」
代行「準決勝で新道寺と千里山が見せ……」
久(iPSブーストですって!?初めて聞く単語ね)
代行「それは……」ゴクリ
絹「それは……」ゴクリ
池田「あー竹井さんだし!キャップ!竹井さん竹井さんが居ますよー」
美穂子「か、華菜。私は上埜さんに会いたいから会場の外を歩いてたわけではなく、ただ散歩したかっただけで」アセアセ
久(げっ!?まずっっっ!)
ガサガサ
代行「誰や~そこに居るんわ~」
久「あ、あの…。ど、とうも…」ペコペコ
絹「清澄の中堅の人!」
代行「盗み聞きとは感心せんね~、絹ちゃん行こか」
絹「はい。続きは私の部屋で話しましょう。お姉ちゃん江口さんと晩御飯食べる言うてましたし。部屋に居ませんよ」
代行「あーそうなん。行こ行こ」
ササっ
池田(なんか話しかけたら不味かったかなー)
美穂子(池田ァァァァ!)
久「はぁ~もう少しで聞けそうだったのに。iPSブーストって何なのかしら」
久「iPSブースト…知ってそうな人…、あっ靖子なら知ってるかも」
美穂子「iPSブースト///上埜さん、使うつもりですか?」
久「そりゃ使えるもんは使うわよ。私も勝ちたいし」
美穂子「///」
久「あっ今夜、部屋に来てほしいの(阿知賀のデータで気になる所があるのよね。美穂子は打った事あるって言ってたし)」
美穂子「こ、今夜ですか!?」
久「だって決勝戦明日だもの…。嫌ならゆみと相談するけど」
美穂子「とんでもない!嫌だなんてそんな」ブンブン
久「じゃあ私、用があるから(靖子にiPSブーストの事聞かなくちゃ)」
美穂子「は、はい///」
久「うん、また後でねー」
タッタッタ
池田「竹井さんiPSブースト知らないのかー。そっち側だと思ってたのに」
美穂子「華菜」
池田「キャップ、蒲原さんのお祖母さんの家でもんじゃ焼きが食べれるそうですし、今から行きましょう」
美穂子「華菜。私とっても大切な用事が出来ました。もんじゃ焼きは食べに行きません」
池田「えーみんな来ますよ?」
美穂子「体を清めなくちゃ…今すぐに…」ドヒューー
池田「あーあー行っちゃったし」
久「靖子に電話っと」ポチポチ
久『あー靖子?聞きたい事あるからハニレスに来て欲しいの』
靖子『それは構わんが…。外では敬語使えよ?誰が見てるかわからんぞ』
久『わかってるって』
そして一時間後
靖子「お待たせ。決勝戦進出おめでとう」
久「私の力じゃないけどね。一年生とまこの力よ」
靖子「それで聞きたい事って?」
久「清澄が白糸台を見事打ち倒して、優勝する秘策」
靖子「タバコ吸うぞ?」
靖子「……」カチッ
靖子「……」プカー
靖子「ないな。プロ雀士で清澄が優勝すると思ってる人は一人も居ないよ。無論、私もだ」
久「そっか…。そうよね…」
靖子「宮永照、愛宕洋榎が風邪で倒れたらひょっとして優勝するかもな」
久「非現実的ね」
靖子「まっ…こればっかりはどうにもならんさ。宮永咲に全て託すしかないんじゃないか?」
久「咲だけに負担をかけるのもね……。あの子、一年生だし」
靖子「私の考えうる所、高鴨穏乃は宮永咲の天敵だよ。まだ確信は持ってないけどな」
久「やっぱり咲でも厳しいかしら?大将戦までに大量失点すると無理?」
靖子「まくりの女王の私なら大量失点でも取り返せるんだがな。宮永咲の底力も計り知れないが…。厳しいだろう」
久(優希は宮永照と戦う。失点はある程度覚悟しとかないと駄目ね)
久(次鋒戦はまこ次第だけど…。中堅戦。大会中最多役満の渋谷尭深と姫松のエース愛宕洋榎)
久(阿知賀の新子憧もかなり上手いと聞く)
久(この三人を抑えて+収支で和にバトンを渡したい…)
久「私…、強くなりたいの…。明日までに!」
靖子「私も小鍛治プロを倒せるくらいに麻雀強くなりたいよ」プカー
靖子「麻雀で強くなる秘訣があるなら私に教えて欲しいよ。また特訓するか?しかし時間がないぞ」
久「それは…わかってる…けど…」
靖子「衣とでも打って来い。魔物耐性がつくかもしれん」
久「iPSブースト使えば何とかなるのかしら?」
靖子「……」プカー
靖子「知っていたのか」
久「ううん。知らない。靖子なら知ってるんじゃないかと思って」
久「ちなみに靖子はiPSブーストとやらを使えるのかしら?」
靖子「私は使えん。私は衣みたいな子が大好きなロリコンだが、本来はショタコンだ」
久「そんな真顔で言われても……」
靖子「将来の夢はロシア人の小さな男の子を数人囲って一緒に暮らす事だ」
久「……」ポカーン
靖子「iPSブーストは同性愛者だけに許された火事場の馬鹿力のようなものだ」
久「どうせいあい?」キョトン
靖子「愛の力が起こす奇跡だな」
久「愛ねぇ…オカルトもいい所だわ」
靖子「しかし結果も出ている。プロのトッププレイヤーに同性愛者が多いのは知っていたか?」
久「いいえ。初耳だわ」
靖子「瑞原プロが長年アイドルやって一度も熱愛スクープされた事無いのはレズだからと言われている」
久「へー」
靖子「野衣プロは出身校からしてアレだ。間違いないだろう」
久「確か新道寺女子だったわね。準決勝で敗れちゃったけど」
靖子「三年生ブーストは聞いた事あるか?」
久「あぁそれは知ってる。麻雀部の三年生が最後の大会でいつもより活躍したり、ヒキが良くなったりするのよね」
靖子「そうだ。久、今年はヒキが強くないか?」
久「まぁ言われてみれば……。全国にも来れたわけだし。ゆみも県大会決勝で国士無双聴牌しかけてたわね」
靖子「それの同性愛者限定で使えるのがiPSブースト」
久「へぇー」
靖子「三年生ブーストは三年生であれば誰でもかかる事がある。しかしiPSブーストは同性愛者にしか発動しない」
靖子「私は同性愛者ではないから資質がない」
久「そうなんだ」
靖子「久、お前はどうだ?」
久「いや…別に否定する気はないけど私自身はわからないわ」
靖子「好きな子とか居ないのか?それが女子だったり」
久「特に…ないかな…」
靖子「恋人も居ないよな?」
久「う、うん」
靖子「久、お前ひょっとして処女なのか?」プカー
久「ぶーーーーーー!」ケホケホ
久「いきなり何言い出すのよ!」
靖子「iPSブーストを使うとなれば同性愛に目覚めるって事だからな」
久「う、うん」
靖子「てっとり早く誰かに抱かれて来ればいい。女性だぞ。もしかしたら目覚めるかもしれん」
久「でもねぇ……いや…しかし…」
靖子「ちなみに私は嫌だぞ。そもそもレズでもないし、女子高生に手を出したら捕まる世の中だ」
久「あーそー」
靖子「そうそう。言い忘れてたよ。阿知賀女子」
久「ん?阿知賀がどうしたの?」
靖子「iPSブーストを使える子が…、現れる気がする。そもそもあのブロックは新道寺と千里山のiPSブースト発動でどの高校が決勝戦に残ってもおかしくなかった」
久「!?」
帰り道
久「いきなりiPSブーストとか言われても……」トボトボ
久「それしか麻雀強くなる方法はないのかしら?いや、一時的にでも運が強くなれば有難いけど」トボトボ
靖子『10年前の話をしよう。小鍛治プロが当時高校生だった時の話だ』
久『グランドマスターの小鍛治プロね』
靖子『当時の彼女はすでに完成されていた。異能がこれまた強烈なヤツで高校生に対抗しろと言っても無理な話だ』
久『へぇー宮永照みたいな感じ?』
靖子『そうだな。止められる人が居ないみたいな高校生だったそうだ。瑞原プロ曰くな』
10年前
実況『前半戦半荘終了です』
健夜『お疲れ様です』
モブA『』ブルブル
モブB『』カタカタ
晴絵『』ガタガタ
タッタッタ、バーン
望『晴絵!あんた大丈夫!?顔色悪いよ!』
健夜(今の内にトイレ行こうっとー。後半戦は私から親か。南一局あれば十分かな)
健夜(さっさとトドメ刺してあげた方が楽だよね)
晴絵『わわわ、わたしもう駄目無理。勝てっこない…勝てない勝てない』カタカタ
晴絵『もう私達の負けでいい…、麻雀なんて見たくもない』ガタガタ
望『晴絵』
晴絵『私は井の中の蛙だった。奈良県でいくら強くても全国には桁外れに強い人も居る』
望『晴絵』
晴絵『昔高校野球で33-4なんて試合を見たよ。当時は情けないなーなんて笑ってたけど…、気分はまさにこれ。勝てるわけないよムリムリ。やるだけ無理だって』
望『晴絵!!!!!!』
パーン!
望『しっかりしろ!』
晴絵『い、痛い』
望『それでも阿知賀のレジェンド!?あんたに負けた晩成のみんな、いや奈良県のみんなが浮かばれないよ』
晴絵『そんな事言われても…、小鍛治さんと打つのが私じゃ無くても同じ結果に…』
望『ならない!』
晴絵『!?』
望『私達、みんな晴絵に期待してこのオーダーを組んだ。ここはエースのポジション。誰でもいいなら私がここに座ってるよ』
晴絵『……望』
望『晴絵ならきっと…何とか…してくれる…、一泡吹かせてくれる…、晴絵にしか出来ない!』
健夜(トイレから帰って来たらH2が展開されてたー)
モブA『せ、先輩。もう無理やけん』
モブA先輩『諦めたらそこで試合終了ばい』
モブB『ごめんね。カッコ悪い姿晒しちゃってさ』
モブB後輩『落ち込んでる先輩の顔でご飯が三杯行けますよー』
健夜(私の所、誰も来てないよー。まぁ今回も跳満どころか1000点すら振り込んでないし誰も心配してくれないけど)
望『……///』ボソボソ
晴絵『そ、それって……』
望『小鍛治さんに勝ったら付き合ってあげる///』
健夜『あ?』ピキピキ
靖子『その後、跳満を振り込む。小鍛治さんが高校生時代に唯一振り込んだ跳満さ』
久『ほぇ~』
靖子『後半戦から赤土さんの配牌が別格でな。有効牌もガンガン引いて来た。牌譜を見て見ると何か不思議な力が働いたとしか思えない』
久『後でネットで見て見るわ』
靖子『まぁその時の阿知賀女子は敗退してしまったんだが。小鍛治さん相手に奇跡も魔法もないんだよ』
久『……』
靖子『今の阿知賀の監督が赤土晴絵だ。決勝戦で何もしてこないのは考えられない』
久『そっか手強い相手なのね』
風越の泊まってるホテル
美穂子「お風呂も三回入ったし、毛の処理も完璧」
美穂子「同室の華奈と未春は蒲原さんの祖母の家に泊まるらしい」
美穂子「……つまり今夜///」
コンコン
美穂子「は、はい!上埜さんですか?」
久「いや竹井」
美穂子「い、今開けますね」カチャカチャ
美穂子「上埜さん!お待ちしておりました」パアァァァ
久「だから竹井だって言ってるじゃない」
久「まぁいいわ。美穂子さー、実は一生で一度のお願いがあるんだけどー」
翌日の決勝戦
洋榎(こ、この一年!?なんやコイツ)
尭深(駄目。聴牌速度が早すぎて着いて行けない)
久(くっ…iPSブースト私にもかかってるはずなのに…、こうなったら渋谷さんに役満上がらせない事だけを考える)
憧(不思議。人生で一番って思うくらい頭が冴えるし、運もいい)
憧(これか…、私の新しい力。いや、シズとの絆の力)
憧(負ける気がしないわね)
憧「リーチ!さぁ、四本場行くわよ」
中堅戦では新子憧のぶっちぎりトップだったらしい
終わる
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません