律子「はい。劇場の大掃除ついでにタイムマシンのメンテナンスをしてたんですけど、そこでふと思い付きまして。」
千鶴「どこからつっこんだらいいか分からないような説明はおやめ下さいな、ただでさえツッコミ役は慢性の人手不足だというのに。」
律子「まあまあ。細かい事を気にしてたら芸能界は乗り切れませんよ。」
千鶴「あなたがそっちに回られるとどうにも出来ませんわね…それで、その機械とやらは具体的に何をする物なんですの。」
律子「読んで字のごとくです、アイドルになっていない別次元の自分を見に行けるというわけですよ。」
千鶴「別次元のわたくし?」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1513673076
律子「ざっくり言うとパラレルワールドみたいなものです。時間を直線ではなく双方向あるいは複数の軸で流れているという考え方をした場合に生まれる、いわゆる並行世界の自分を見に行けるわけですね。」
千鶴「すみません、おっしゃる意味があんまり…」
律子「そうですね、一例を挙げますと。 千鶴さんは大学のミスコンでウチのプロデューサーにスカウトされて、アイドルになったんでしたよね?」
千鶴「ええ、どうしてもと言うものですから。あの時はセレブのオーラを隠しきれませんでしたものね。おーっほっほ!」
律子「もしもですけど。そのスカウトを断っていたら、どうなっていたと思います?」
千鶴「ゲホゴホッ…うーん、そうですわね。わたくしならいずれ世に出ていたでしょうけど、今とは全く違ったものになっていたでしょうね…少なくとも今ここで、お茶を飲みながらヘンテコな会話をするようなアイドルにはなっていないと思いますわ。」
律子「まあそうでしょうね。この機械とは例えば『そのスカウトを断っていた世界』を見る事が出来る、というわけです。」
千鶴「ちょっと待ってくださいな、今のは仮定のお話でしょう?」
律子「それはあくまでも『この世界の千鶴さんにとって』です。逆に『もしスカウトを受け入れていたら』が仮定の話になっている、こことは違う世界があって、そこにいる千鶴さんは今とは全く違う人生を送っているんですよ。」
千鶴「な、なんだか頭がこんがらがりそうですわ…」
律子「難しく考えなくていいですよ。選択肢によって全く違ったストーリー展開になる、なんてゲームにもよくあるでしょう?それと似たようなものです。シュミレーターに近いですが、違うのはプログラムではなく別次元に実在する世界を見られるということですね。」
千鶴「とんでもない事をさらっと言いますわね。というかそもそも何で律子さんはそんなのを作れる技術をお持ちなんですの。」
律子「科学者アイドルも化学者アイドルもウチにいない以上仕方ないです、資格取得は私の趣味でもありますし。」
千鶴「どんな資格講座を受けたらそんな事が出来るようになるのかしら。」
律子「細かい事は気にしたら負けですよ。それよりどうします、お使いになりますか?」
千鶴「うーん…危険ではありませんの?別世界の自分にうっかり出会ってしまって大変なことになる、なんてその手の映画でよくある話ではありませんの。」
律子「100パーセント安全です。実際にその世界に行くのではなくて、ここから別世界を見る為の装置ですから。」
千鶴「そう言われましても。どうも何か不安ですし、使用するのは遠慮を…」
律子「これ、通信費がすごくかかるのでほんとならお金もらわないと動かせないんですよ。でも今ならモニターという事で無料に出来るんですが。」
千鶴「無料でしたら…いやいや、タダより高い物は無いですわ。ここはやっぱり。」
律子「他の子達に話すと使ってみたいという意見が多くて。今ならすぐ使えますけど、もし後から使いたいと言ってもこの次はたぶん二ヶ月は待つことになりますよ?」
千鶴「まあ!でしたら今やっておかないともったいないですわね、お願い致しますわ。」
律子(千鶴さんはこの手のセールストークに弱い、と。データ通りね。)
千鶴「それで、どんな機械なんですの?」
律子「はい、まずこれを。」
千鶴「腕時計?ってこれ、たしか律子さんが以前に作ってたのと似てますわね。」
律子「似てるも何もあの時のタイムマシンそのものです。時間旅行で使用する際は左腕にはめますが、今回はそれを右腕に付けて貰えればOKですよ。」
千鶴「それだけ!?なんか、えらく簡単、というよりも適当すぎませんこと。」
律子「この手の物はたいていがコロンブスの卵的発想の産物なんですよ。」
千鶴「そういう問題ではないようにも思えますけど。まあいいですわ、それでそのあとは?」
律子「そこにあるスイッチを押せば、装着した人の別次元の世界が無作為に出てきます。あとはBluetoothでペアリングしたタブレットにその世界の映像が出てきますから…」
千鶴「ぶ、ぶるーとぅす?べーりんぐ?律子さん、急にSF用語を使われても困りますわよ。」
律子「…まあ要は、このタブレットに別次元の世界が映し出されるという事です。」
千鶴「はあ、よく分かりませんけどこれで見ればいいんですのね、テレビに映せばよさそうなものですけど。」
律子(そういえば千鶴さん、機械オンチだったわね…)
千鶴「では。スイッチを押しますわ、律子さんもご覧になりませんこと?」
律子「この画面サイズだと二人で見るにはつらいので遠慮します、データが欲しいので後からどんな世界だったのか結果を教えてください。」
千鶴「分かりましたわ、そのデータがなんの役に立つのかは分かりませんけど。」
千鶴「では、スイッチオン!…あれ、何も映りませんわよ。壊れてますの?」
律子「ダウンロードには時間がかかるんですよ、叩かないでください!」
というわけで一旦ここまで。
ミリシタのイベント宣伝。というよりも千鶴さんの配役を妄想しながら書いていきます、続きはぼちぼち。
※なお、今後のお話しですが
『田中琴葉は現在劇場に不在』
という設定で書く予定です、不愉快に感じられる方がおられましたら申し訳ありません。
続き投稿します。
千鶴「あ、画面が付きましたわ、どうやら始まったみたい。けどずいぶん音が小さいですわね」
律子「でしたらこのイヤホンをどうぞ。私は事務仕事がありますので、どうぞごゆっくり」
千鶴「ありがとうございます。さて、どういうものなのかしら」
千鶴「ん、この景色。どこかで見覚えがあるような?」
千鶴「…そうですわ、間違いありません。このお店、ミリオンカフェにそっくりなんですわ!」
千鶴「なんて懐かしい、あの時は本当に楽しかったですわね…おや。」
別次元の千鶴(以下別千鶴)「よし、仕込みと開店前のお掃除はおしまい。そろそろ二人が起きる時間ですわね」
千鶴(わたくしですわ!ミリオンカフェの時と同じような制服を着てる。という事はこの次元でのわたくしは、カフェの店員さんなのかしら?)
別千鶴「二人とも起きてますの。もう朝ですわよ?」
千鶴(なんだか不思議ですわ、ライブやテレビの出演映像を見るのとは全く違う感覚ですわね。)
千鶴(あ、誰か降りてきましたわ。どうやらこのカフェは2階が住居のようですわね。あの二人って誰の事なのかしら、もしかして春香と海美とか?)
エレナ「はーいバッチリ!モウ起きてるヨ。オハヨウお姉チャン!」
静香「嘘、もうこんな時間?ごめんね姉さん、今日こそ朝の手伝いをしようと思ったのに」
千鶴(静香とエレナ?変な組み合わせですわね。というかお姉さんって…)
別千鶴「気にしなくていいですわよ静香。受験生のあなたに手伝わせるわけにはいきませんわ」
静香「でも、やっぱり悪いし…」
千鶴(受験生?静香は14歳ではありませんこと??)
エレナ「学校カラ帰って来た後にお手伝いすればいいんダヨ。おおっ、今日の朝ゴハンも美味しそうダネ!」
静香「もうエレナったら。先に手を洗わないと駄目でしょ、それに新聞は取ってきたの?」
エレナ「あ。ゴメンね静香お姉チャン、今行ってくるヨー」
千鶴(は、はあ!?静香がお姉さんで、エレナが妹?どうなってますのこれは?)
律子「ああそうだ。言い忘れてましたけど、次元が違うと人間関係や年齢が違う事もよくあります。この世界の友人が姉妹だったり親子だったりする事もありますから」
千鶴「あ、ああそういうことですのね。なるほど、道理で…」
律子「おや、もしかしてそういう世界をご覧の様子でしたか。それでは」
千鶴(驚きましたわね。どうやらこの次元ではわたくしと静香、それにエレナは三姉妹。長女はわたくしで静香が次女、そしてエレナは三女のようですわね)
千鶴(ますます不思議な気がしますわ、とりあえず続きはと…)
別千鶴「それじゃ二人とも、気を付けて行ってらっしゃい」
エレナ「行ってくるヨ〜」
静香「姉さん。なるべく早く帰って、お店手伝うからね?」
別千鶴「いいんですのよ、それよりしっかりと勉強してらっしゃい」
千鶴(玄関を出て外までお見送りとは。この世界のわたくし、少々過保護すぎませんこと?…おっと、また誰か来ましたわ)
りっちゃん万能説
一旦乙です
>>1
二階堂千鶴(21) Vi/Fa
http://i.imgur.com/JZNBL8I.jpg
http://i.imgur.com/wHN7zmx.jpg
秋月律子(19) Vi/Fa
http://i.imgur.com/0ssIIqD.jpg
http://i.imgur.com/mQuf3Ja.jpg
別千鶴「あら、おはようございます」
ジュリア「やあ、おはようございます。いい天気ですね」
千鶴(ジュリアですわ。けど随分と雰囲気が違いますわね。何かしら、この違和感。言葉遣い?)
エレナ「あ、おはようございマス」
静香「…どうも」
別千鶴「こら静香、挨拶はきちんとなさい。どうも妹が申し訳ありませんわ」
ジュリア「いいんですよ、お気になさらず。これから開店ですか?」
別千鶴「ええ、間もなく。珈琲でも召し上がっていきませんこと?」
ジュリア「そうしたいのは山々なんですが、すぐ現場に行かなきゃなんですよ。帰りにでも寄らせていただきます。じゃあね、静香さんにエレナさんも」
エレナ「ハーイ!えへへ、ジュリアさんとお話シしちやったヨ〜♪」
静香「くだらない事で喜ばないの。」
エレナ「シズカお姉ちゃん、ジュリアさん嫌いダヨネー。あんなにカッコイイのに」
千鶴(この世界でも静香は人によっては無愛想なんですのね。何か理由でもあるのかしら?)
静香「ええ。嫌いよ、あの人。エレナも気をつけた方がいいわ」
静香「男の人なんて、簡単に信用するものじゃないわよ」
千鶴(…は、はあ!?男の人って。次元が違うと性別まで違う事もあるんですの!?)
エレナ「そうカナ?ジュリアさんはいい人だと思うケド」
静香「男の人なんてみんな同じようなものよ、プロのダイナマイターだって言うし」
千鶴(ダイナマイター!?何ですのその謎ワードは。しかもプロ!?)
別千鶴「ほら二人とも。お喋りはそれくらいにして、早く学校へ行ってきなさい?」
静香「あ。ごめんなさい姉さん、それじゃ行ってきます。ほら、エレナも」
エレナ「行ってくるヨ〜♪」
千鶴(う、うーん。同じような世界でも、多少違う所もある、という事かしら?)
別千鶴「さてと。お店の看板を出さなくては…と、その前に」
???「ニャーン♪」
別千鶴「ふふ、いらっしゃいませ。今日もあなたが一番乗りですわね?」
千鶴(今の鳴き声は猫ちゃんでしたわね。毎日餌を貰いに来てるって所かしら、さてどんな猫ちゃん…)
茜「ニャーン♪」
千鶴(コントか)
別千鶴「はいはい。今ゴハンをあげますわ、お待ちになってね?」
千鶴(いやいやいや!どう見てもその子は我が765プロが誇るウザカワアイドル、野々原茜ですわよ?何で猫ちゃん扱いなんですの、ネコミミと毛皮付けて四つん這いで歩いてますけれども!)
別千鶴「はい、お待たせ。高級かつおぶしをタップリ使った、特製ネコマンマですわ」
茜「ぷりーん…」
千鶴(めっちゃ嫌そうな顔してますわ!というか鳴き声がおかしい!)
別千鶴「こーら。猫ちゃんプリンは特別な日だけってお約束したでしょう?」
茜「ぷりーん…」
別千鶴「はい、いい子ね〜」
千鶴(諦めたみたいですわね…って立ったし!箸を手に取ったし!)
別千鶴「いかがしら、美味しいでしょう?」
千鶴(あぐらかいてる、お醤油かけてる!『働いて疲れて帰ってきて、晩飯がこれか』みたいな表情してめっちゃため息つきながらネコマンマ食べてる!)
別千鶴「おごちそうさま?それじゃ、片付けますわね。またいらっしゃい」
茜「ぷりーん…」
千鶴(あ、移動の時は四つ足歩行なんですのね)
千鶴(…何だったのかしら今の。これも次元が違うせい、なんですの?)
別千鶴「さあ。今日も張り切って、お客様をおもてなし致しますわよ!」
千鶴(あ、今の台詞。わたくしがミリオンカフェをやっていた時の…)
千鶴(ふふっ。どこの世界にいても、わたくしはやっぱりわたくしですわね。)
別千鶴「ありがとうございました、またどうぞ」
千鶴(お店は繁盛しているみたいですわね、良かったですわ)
千鶴(それにこのお店。トイレや水回りが綺麗にしてありますし、カップや器も高級品のように見えて実は割れてもそれほど惜しくないような物ばかり。まるであの時のわたくしのようですわ、本当に別の世界にわたくしがいるんですのね…)
ジュリア「こんばんは。約束通り、寄らせていただきましたよ」
別千鶴「あら。おかえりなさい、お仕事は終わりましたの?」
ジュリア「ええ。珈琲をいただけますか?」
千鶴(おっと。ダイナマイターさんのお出ましですわ)
別千鶴「はい、お待たせしました」
ジュリア「ありがとう…うん、美味しい。一日の疲れが吹き飛ぶな」
別千鶴「あら。吹き飛ばすのはあなたの専門ではありませんこと?」
ジュリア「おっとそうだった。こいつは一本取られたな」
別千鶴「ふふっ♪」
千鶴(ほのぼのしてますけどぶっ飛んだ事言ってますわね、ダイナマイトだけに…って何言わせますのよ)
ジュリア「そういえば。駅の向こうに新しいカフェが出来たのはご存じですか?」
別千鶴「ええ。評判いいって、ここに来るお客様からも聞きましたわ」
ジュリア「何でもかなり高級志向のお店だそうですよ。一流ホテルから引き抜いたシェフとパティシエがいて、器もブランド品ばかりだとか」
別千鶴「へえ。うちとはだいぶ趣きが違うんですのね」
ジュリア「…どうでしょう。敵状視察、というのは」
別千鶴「え?」
千鶴(ん?それってまさか…)
ジュリア「……今度、一緒に行きませんか?」
千鶴(間違いありません。デートのお誘いですわ!)
本日はここまで。続きはまた後日とさせていただきます。
やばい、深夜なのに凄く笑ったわww
一旦乙です
>>14
島原エレナ?
http://i.imgur.com/JHy63l9.jpg
http://i.imgur.com/ltGah4K.jpg
最上静香?
http://i.imgur.com/8rwDTFp.jpg
http://i.imgur.com/9bmfY7U.jpg
>>18
ジュリア?
http://i.imgur.com/7kA1KSk.jpg
http://i.imgur.com/fAvSAp4.jpg
>>21
野々原茜?
http://i.imgur.com/kjpnJAQ.jpg
http://i.imgur.com/4OkyuRy.jpg
シアターデイズにて投票イベント開催中
http://i.imgur.com/g5e4QOT.jpg
二日も空けてしまいましたが続き投稿させていただきます。
別千鶴「あの。それはどういう…?」
千鶴(だ、ダメですわよ。アイドルがそんな真似…って、この世界のわたくしはアイドルじゃないんでしたわね)
ジュリア「お分かりになりませんか」
別千鶴「それは…」
ジュリア「明日、また来ます。無理にとは言いませんが良い返事を期待していますので。それでは」
別千鶴「ありがとうございました、またどうぞ…ふう」
千鶴(溜息ついてますわね。まあ無理もないか、いきなりあんな事言われたら…って、後ろ!)
別千鶴「まあいいですわ、とりあえずお店を閉めませんと…あら?」
エレナ「…」
静香「…」
別千鶴「お、おかえりなさい。帰ってきてましたのね。どうしましたの、そんな所に黙って立ったままで」
エレナ「千鶴お姉チャン、デートするノ?やったネ!」
別千鶴「ちょ、聞いてたんですの!?違います、そんなつもりありませんわ」
エレナ「いいジャナイ、お似合いだと思うヨ。ねえ静香お姉チャン?」
静香「…」
別千鶴「静香?」
千鶴(この子はジュリアを信用してないんでしたわね。なら、当然猛反対で…)
静香「そうね。デートうんぬんは抜きにして、姉さんが出掛けるのには賛成よ。」
千鶴(え?)
別千鶴「ちょっと、静香までそんな」
静香「だってそうでしょ、最後に用事以外で外出したのっていつ?」
別千鶴「大げさな。つい最近あなた達と映画に行ったばかりじゃありませんの」
エレナ「ソレ、去年の夏ダヨ?」
別千鶴「そ、そうでした?うっかりしてましたわ、いけませんわね」
静香「毎日お店と私達のお世話ばかり。休日は掃除と仕入れ。お化粧はほとんどしない、髪の毛も自分で切って」
千鶴(この世界のわたくし、苦労してますのね。他人事とは思えませんわ…ってわたくしなのか)
別千鶴「そ、それはほら。食べ物を扱うんですもの、そういうのは必要最低限にしておかないといけませんから」
エレナ「でもお姉チャン、外に出る時モあんまりお化粧しないデショ。試供品とかばっかり使ってるシ」
別千鶴「う。それは、その…ごめんなさい。ガサツにしてたらあなた達も恥ずかしいですわよね、気を付けますわ」
静香「そうじゃないわよ!」
別千鶴「静香?」
静香「どうしていつもそうなのよ。私達とお店の事ばかり、自分の事は後回しにして」
エレナ「静香お姉チャン、落ち着いてヨー…」
静香「私もエレナも姉さんには感謝してるわ。お父さんとお母さんが伝説の小籠包を探しに旅に出てからからずっと、親代わりになってくれたんだもの」
千鶴(それでこの家、三人暮らしなんですのね…小籠包?)
静香「お店を1人で切り盛りして、その上で私達の事もちゃんと面倒見てくれて。毎日とても大変なのに、文句ひとつ言わないで」
静香「本当にすごいって思う。世界一素敵な姉さんだって自慢出来るわ、尊敬してる」
別千鶴「し、静香。何を急にそんなこと…」
静香「でもね。だからこそ、姉さんには幸せになってもらいたい。いや、絶対にならなきゃいけないのよ」
エレナ「静香お姉チャン…」
静香「お願い。私達の為に自分を犠牲にしないで、もっと自分を優先して。」
静香「お店ならいいじゃない、一日くらい臨時休業にしたって誰も文句は言わないわ。家の事だって大丈夫よ、私達だってもう子供じゃないんだもの。そうよね、エレナ?」
エレナ「ウン。お店のお掃除も洗濯もちゃんとヤルヨ!」
別千鶴「あなた達…」
静香「正直、あの人はあんまり好きになれないわ。でも、悪い人じゃないと思う」
静香「デートぐらいならしてもいいと思うし、するべきよ。大人の女の人が当たり前に楽しんでる事を、姉さんにもしてもらいたいの」
エレナ「うん。チヅルお姉チャンが楽しみたいなら、私モ協力スルヨ」
千鶴(いい子達ですわ。どの世界でもそこは変わりませんわね)
別千鶴「……ありがとう。本当に嬉しいですわ、あなた達の気持ちはじゅうぶん伝わりました」
別千鶴「でもね静香。わたくしは自分が犠牲になってるだなんて思った事、一度もありませんわよ?」
静香「え?」
別千鶴「父と母が旅に出て、わたくしがこのお店の経営を引き継いだ時の事、覚えているかしら」
別千鶴「初めのうちは本当に大変でしたわ。ちっともお客様が来ない日もあれば、失敗してお客様を怒らせてしまったり、何度もお皿やカップを割ったりして」
千鶴(ミリオンカフェもそうでしたわね。春香がお皿を割って、海美は注文を取るのに失敗して…)
別千鶴「何度も挫けそうになりましたわ。もう駄目だ、わたくしにお店の経営なんて無理なんだって」
別千鶴「でもね。そんな時いつも、あなた達が助けてくれた。」
別千鶴「静香。あなたがくれた色んなアドバイスのおかげでお店は軌道に乗ったのです、感謝してますわ」
別千鶴「…うどんをメニューに加えるというのだけは、さすがに無理でしたけど」
静香「何でよ、美味しいのに」
千鶴(どこの世界でも静香はやっぱりそうなんですのね…)
別千鶴「エレナもいつも励ましてくれましたわね。あなたの明るい笑顔にわたくしはいつも救われてますわ。きっと何とかなる、大丈夫だって思えますの」
エレナ「そ、そうナノ?ワタシはただ、明るくシテルのが一番だって思ってただけダヨー」
別千鶴「私があなた達にとって良い姉だというなら、あなた達だって世界一素敵な妹ですわ。どこに出しても恥ずかしくない、自慢の二人です」
静香「そ、そんなこと…」
エレナ「言い過ぎダヨー…」
別千鶴「そんなあなた達のお世話をして、成長していく所を一番間近で見られるんですもの。こんな素敵な事はありませんわ。疲れる時はあっても、辛いと思った事なんてありません。」
別千鶴「わたくしがあなた達の犠牲になっているなんて、大きな間違いですわ、むしろその逆。」
別千鶴「あなた達がいるから毎日本当に楽しくて、幸せなんですのよ。これからもよろしくお願いしますわね?」
千鶴(…)
静香「姉さん…」
エレナ「お姉チャーン!」
別千鶴「きゃっ!?こらエレナ、急に抱きつかないでくださいな。服にシワがつくでしょう?」
エレナ「チャンとアイロンがけするから大丈夫ダヨー…」
別千鶴「もう、甘えん坊なんですから。静香もごめんなさい。きちんと伝えてなかったせいで、あなた達に余計な心配をかけてしまってたんですのね」
静香「そ、そんな。私たちの方がありがとうって言わないといけないのに。でも、本当にそれでいいの?もっと楽しい事だってあるんじゃないの?」
別千鶴「妹に嘘をつくはずないでしょう?こんなに楽しい事、他にありませんわ。正真正銘本心です」
静香「姉さん。その、うまく言えないけど…ありがとう」
別千鶴「ええ、こちらこそね」
千鶴(ぐすっ。いい話ですわ…)
別千鶴「さ、お店を閉めたら晩ご飯にしましょう?今日はコロッケですわよ」
エレナ「ホント?やった!」
静香「こらエレナ、お店の片付けが先でしょ。ほら、早くする!」
別千鶴「ふふ。じゃあ、そっちはよろしくお願いしますわね?」
エレナ「美味しいヨ〜♪」
別千鶴「そう、良かったですわ。静香もたくさんお食べなさい?」
静香「うん。そういえば結局、あの人の話はどうするの?」
別千鶴「それは、もちろん…」
ジュリア「…そうですか」
別千鶴「ええ。申し訳ありませんけど、お客様と出掛けたりというのはちょっと」
ジュリア「残念ですけど仕方ないですね、諦めますよ…今回は」
別千鶴「すみません、せっかくのお誘いを…今回?」
ジュリア「ええ。粘り強くなきゃダイナマイターはつとまりませんから」
別千鶴「そ、そう言われましても…」
千鶴(結局ダイナマイターって何ですの!?)
ジュリア「また来ますよ、それでは」
別千鶴「あ、ありがとうございました…」
別千鶴「はあ。困った人ですわね、どうしようかしら…」
エレナ「どうナルと思う?」
静香「姉さんが言ってたでしょ、どうもならないわよ」
別千鶴「ふ、二人とも聞いてたんですの!?」
静香「ええ、姉さんも大変ね。まあ頑張って」
エレナ「ワタシはいいと思うけどナー」
別千鶴「もう。面白がらないでくださいな、他人事だと思って」
静香「あら、心配してあげてるのよ?だって私たち…」
エレナ「姉妹だモンね!」
別千鶴「はいはい。さ、早く準備なさいな。学校遅刻しますわよ?」
静香「分かってるわよ、エレナもほら」
エレナ「うん。あ、猫ちゃんダ!ねえ、プリンあげてもいいカナ?」
別千鶴「ダメですわ」
茜「ぷりーん…」
静香「うどんならいいわよね?」
別千鶴「もっとダメ!」
別千鶴「…ふう。毎日色んな事がありますわね、大変ですわ。だけど」
千鶴(頑張ってくださいな、この世界のわたくし。きっと大丈夫ですわよね?だって…)
別千鶴「頑張れますわ。大切な家族がいるんですものね」
千鶴(ええ、その通りですわよね。応援してますわよ?)
別千鶴「さてと。それじゃあ、今日もコツコツ頑張りましょうか」
別千鶴「いらっしゃいませ、お客様!」
終わりだよ〜(●・▽・●)
千鶴「あら、再生はこれでおしまいですのね」
千鶴「…頑張ってましたわね、別の世界のわたくし。こっちも負けていられませんわ」
律子「お、再生は終わりましたか。どうでしたか、他の世界の自分を見た感想は?」
千鶴「そうですわね。色々気になる所もありましたけど、やっぱりわたくしはわたくしのままでしたわ」
律子「へえ。後で詳しく教えてもらってもいいですか?」
千鶴「ええ。ですがまず、その前に…」
伊織「あら千鶴。あれ、今日のレッスンルームの掃除当番、律子じゃなかった?」
千鶴「ええ。ですが、色々忙しそうになさってたので代役を引き受けましたのよ」
伊織「忙しいならあなただってそうじゃない。今日もこの後仕事入ってたでしょ?」
千鶴「セレブなわたくしにとってこれくらい問題ありませんわ、ご心配なく」
伊織「放っておけばいいのに、わざわざ手伝うだなんて物好きなんだから。疲れたって知らないからね?」
千鶴「平気ですわ、仲間の為にしてる事なんですもの。いくらだって頑張れますわよ?」
以上『カフェ三姉妹長女編』でした。
ミリシタ設定とだいぶ違う、ベタすぎるお話しでしたが千鶴さん長女だとこんな感じかな、と。
劇場サスペンス編は後日投下させていただきます。
サスペンス編の作成がとっちらかってしまい投稿に時間がかかりそうなので、
申し訳ありませんがこのスレはいったん終了しHTML化依頼を出させていただきます。
ご覧いただけた方、誠にありがとうございました。
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