提督「えぇ...上官殿がドッキリですか?」 (26)

大本営 会議終了後
提督「えぇ...上官殿がドッキリですか?」

上官「うむ、君のところに霞がいただろう?あの子にな」

提督「はぁ、仰る通り霞は我が艦隊に所属しておりますが、どうしてまた霞を?」

上官「いや実はな、あのしっかり者の霞が泣き崩れる様が見たくて夜も眠れんのだよ」

提督「ドン引きですよその発言」

上官「君は見たくないのか?」

提督「見たいです見たいです」


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上官「よし、それでは早速作戦を練って行こうか。これには元帥殿も乗り気でな、隠し撮り映像と引き換えにドッキリの許可を頂いたのだよ」

提督「元帥...けど泣かせるってもどうやるんですか?失礼ですが私自身彼女が泣いている所なんて見たことがありませんし、ちょっとやそっとのことで泣く子じゃありませんよ?」

上官「実は秘策があるのだよ...」

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霞「ちょっと!早く起きなさいよクズ司令官!もうすぐ朝食だってば!」

提督「アサゴハンイラナイモウスコシネタイ」

霞「バカなこと言ってんじゃないわよ!早く起きろっての!」バサッ

提督「分かった分かった!寒いんだから急に毛布剥ぐのはやめてくれ!」

霞「たくもう...先行ってるわよ」

提督「了解」

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食堂

提督「間宮さんが作った朝飯を...最高やな!」

霞「そう?いつも通りじゃない。美味しいのは間違いないけど」

大淀「あの、提督」コソッ

提督「どうした?席外した方がいいかな?」

大淀「いえ、そのままで結構です。先ほど上官様より電報がありまして、本日の昼よりお忍びの視察を行うそうです」ボソボソ

提督「急だな...分かった。お忍びというなら皆には内緒にしていてくれ。昼からは席を外して応対にあたる。秘書には君を任命するからついてきてくれ」ボソボソ

大淀「分かりました。それでは失礼します」ボソボソ

霞「さっきから何コソコソ話してんのよ」

提督「えっ?あぁ、いや昼からの演習がキャンセルされたって報告があってな」

霞「ふぅん」

提督「(あのクソ上官、言ってから行動に移すまでが早すぎなんだよ!とりあえずすぐに飯食ってそれらしい出迎えの準備しとかないと)」

提督「霞、悪いけど急用が出来たから先に帰るわ」

霞「はぁ!?折角あんたと...!」

提督「俺と?」

霞「な、なんでもないわよ!早く行きなさいよこのクズ!」

提督「お、おう」

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執務室

提督「(今回の変態上官と元帥殿の目的は、あの強気な霞の表情をボロボロに打ち砕いてやること。その口実はあいつの口の悪さだ)」

提督「(ドッキリとはいえしばらくここを空けることになるから、大淀に指示書を書いとかないとな...)」

コンコン

提督「どうぞ」

大淀「失礼します。出迎えの準備についてなのですが...」

提督「あぁ、ちょうど良かった。君にだけはあらかじめ真実を話しておくから、これから起こることに話を合わせてくれないか?」

大淀「すみません、話がよく見えないのですが?」

提督「あぁ、実はな」
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大淀「霞ちゃんを泣かせるドッキリ!?」

提督「しっ!声がデカイ!」

大淀「いやいや、そんな事に軍事予算と勤務時間を割いていいとお思いなんですか??」

提督「実はな、元帥のお墨付きだそうなんだ...今回限りということで許してやってくれないか?」

大淀「上に責任を押し付けようとしてますけど、提督も了承したからこうなってるんですよね?」

提督「...バレた?」

大淀「バレバレです。しかし、私も時折彼女の言動には軍紀の乱れを感じさせられることがありましたから、いい機会です。協力しましょう」

提督「サンキュー大淀!愛してるぞ!」

大淀「はいはい」

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トラック泊地上空 輸送機

上官「憲兵君、提督君にそろそろ着くから気合を入れておけと電報を送っておいてくれたまえ」

憲兵「はぁ.,.あの、なんと言いますかこれは職権濫用、しかも本来の任務から逸脱していませんか?」

上官「憲兵君、出世の近道は上に気に入られることだよ」

憲兵「失礼しました!微力ながらお手伝いをさせて頂きます!」シッポフリフリ
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大淀「提督、起こしになられました」

上官「やぁ」

提督「お久しぶりです。それではご案内させて頂きますね」
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霞「クズ司令官、秘書艦ほったらかしにしてどこほっつき歩いてんのよ!見つけたらただじゃおかないんだから!」

霞「あっ!」

提督「~で、ここが食堂です。食事の品質、味はもちろん衛生環境も完璧です。次が...」

上官「うむ」

霞「ちょっとこのクズ!何こんなとこで油売ってんのよ!」

提督「(きたっ!)か、霞!」

上官「(キタァァァァァ)...」

霞「(!しまった、提督の影に隠れて見えなかったけど、誰かいる!)」

上官「おい、貴様」

霞「は、はい!」

上官「所属と名を名乗れ」

霞「(あの階級章は中将...!)」

霞「あ、朝潮型駆逐艦十番艦、霞です!」

上官「(声震えて可愛い)貴様こいつに向かってなんと言った?」

提督「...」

霞「えっ...」

上官「答えろぉぉぉ!こいつに向かってなんと言ったぁぁぁ!」

霞「え、あ、その...」

提督「上官殿、やめて下さい。霞が怯えています」

上官「なんだと?貴様なんの権限があって私を止めているのだ?」

提督「すみません」

上官「えぇ?ここの人間は揃いも揃って口の利き方がなっていないようだなぁ?」

提督「私の監督責任です」

霞「ちっ、ちが!」

提督「いいんだ霞。下がりなさい」

上官「貴様誰の許可を得て発言しているんだ?」

提督「...失礼致しました」

上官「反抗的な目だな...ッ!」バキッ

提督「クッ...!」

霞「司令官!!!」

大淀「(私完全に空気ですけどこの状況、正直めちゃくちゃ興奮します)提督ッ!」

上官「立て、提督」

提督「はい」フラッ

上官「ッ!」バキッ

提督「グァ!」ドサッ

霞「もうやめてください!!全部私が悪いの!私が司令官のことをクズって言ったことは認めます!処分するなら私にしてください!」

上官「そうか、なら解体だ。軍紀を乱す艦娘はいらん」ゾクゾク

提督「霞!!余計なことを言うな!!!」ゾクゾク

上官「ほぅ...美しい上下関係だな。その気持ちに免じて提督君にチャンスをあげようじゃないか」

提督「...なんでしょう」

上官「そう怖い顔をするな。君は霞君を処分したくない。そうだね?」

提督「はい」

上官「そして君は自らの監督責任を述べたね?」

提督「...はい」

上官「憲兵君、彼は真っ当な職務を遂行できていないことは霞君の言動からも明らかだ。提督君を営倉に送りなさい」

憲兵「はっ」

霞「嘘ッ!そんなのおかしいわよ!」

上官「何度言わせるつもりだ?口の利き方には気をつけろ」

霞「ッ!」

上官「連れて行け」

霞「司令官!待って!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」ポロポロ

提督「霞、いいんだ。すぐに戻るから待っていてくれ」ニコッ

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それから数週間経ってもあいつは戻ってこなかった。
大淀さんから聞いた話によると、後日あのクソ上官が行なったこの鎮守府の極秘調査の結果、軍紀を乱していると見なされた艦娘が多数確認されたらしい。
それでもあいつは私達の責任ではなく、あくまで自分の監督責任だと言って聞かず、憲兵が作成した私達に不利な調書への署名も拒否していると聞いた。
あれから皆の視線も心なしか冷たい。私に後ろめたいことがあるからそう感じるだけだって本当は分かってる。
けど本当にそんな目を向けられても私の一言がきっかけであることは間違いないから文句は言えないわ。
そういえば最近、人間関係にも変化があったわ。
司令官が営倉に連行されたその日、七駆の潮が私達の部屋に殴り込んできたの。流石に予想外だったわ。
潮は前々から私や曙にあいつへの言葉遣いを口うるさく注意してきたの。それに今回潮が泣きながら話す中で初めて知ったんだけど、潮とあいつは恋人関係にあったんだって。
バッカみたい。誰がって?私に決まってるじゃない。
好きな人には口が悪くなるなんて子供みたいなことして、それをその人の恋人から注意されてたなんて知らずに今回の事件を引き起こして...。
司令官、早く帰ってきてください。
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鎮守府隠し部屋

上官「最&高」

提督「これが霞の日記ってマジか」

大淀「はい、提督が連れていかれてから相当病んでるみたいですよ」

上官「てか君潮君と恋仲ってマジなのか?」

大淀「ロリコン提督ってマジですか?」

提督「まてまて、恋人って言っても清い関係だぞ?去年潮に想いを打ち明けられたから、とりあえずはケッコンカッコカリで応えたんだ。もし君が本当に結婚できる年になってその気持ちが変わらなければ結婚しようってな」

上官「めっちゃ早口で言ってるね」

大淀「キモいです」

提督「グスッ」

上官「あっ、噂をすればモニターに潮君が」

大淀「本当ですね。また霞ちゃんの所へ行くんでしょうか?」

提督「なんだかんだ潮が一番病んでないか?目に光がないんだが」
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鎮守府廊下

曙「潮!やめなさいってば!」

漣「霞だって反省してんだからさー!」

朧「もし今霞の立場が曙だったらそんなに怒らないでしょ!?」

曙「わ、私は上官の前で暴言を吐くなんてヘマは...」

潮「関係ないよ」

曙 漣 朧「!?」

潮「提督を傷つけたのが赤の他人だろうが実の姉妹だろうが、私は容赦しないよ?」ニコッ

曙 漣 朧「」

朝潮「あら?これは七駆の皆さん!何かご用ですか?」

潮「霞さんいる?」

朝潮「か、霞ですか?霞はその...」

潮「いるよね?」

朝潮「は、はい!います!」

潮「呼んでくれないかな?」

朝潮「喜んで!」ピュー

霞「なによ?」

朝潮「あ、霞!丁度いいところに!」

潮「ねぇ霞さん。提督はいつ帰ってくるの?もう鎮守府を空けて1週間も経つんだよ?」

霞「はぁ?そんなの知るわけないじゃない!大淀さんにでも聞きなさいよ」

潮「なんで?原因は霞さんだよね?自分から引き起こしといて無責任じゃない?」

霞「だ、だって...」

潮「だって?何がだってなの?お願いだから少しは提督に対して誠意を見せてくれないともう我慢できないから」ニコッ

霞「分かったわよ...」
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上官「だいぶヤバイのと付き合ってるね君ィ」

提督「いやいや潮をあぁさせたのはあなたでしょ。普段はあんな子じゃないですよ」

大淀「ところでそろそろ戻った方がいいんじゃないですか?流石に鎮守府の皆さんも混乱してきてますし...」

提督「上官殿、もうよろしいですかね?」

上官「そうだなぁ、もう少し引っ張りたかったが仕方あるまい。ドッキリの件は伏せた上で戻るんだぞ?」

提督「了解しました」

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鎮守府 司令室

大淀「マイクテストマイクテスト」

大淀「皆さん、提督が釈放されました。数分後には鎮守府に帰還するそうです」
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輸送機
提督「あー、緊張する」

提督「これからも俺が憲兵から尋問を受けたことは事実という事にして彼女たちに接せねばならんのだろ?つまり私は退任の時まで演技を続けなければならないわけか...」

憲兵「なんだかんだバカンスだって楽しんでたじゃないですか。さて、着きましたよ」ガラガラ

提督「うむ、ご苦労だった」

憲兵「それではまた」ケイレイ

提督「あぁ、二度とお目にかかりたくないものだがな」ケイレイ

提督「さて」

霞「...」

提督「霞、おいで」

霞「!」

提督「こんな目に合わせてごめんな?辛かっただろ?」ギュッ

霞「辛かったのはあんたの方でしょ...私は辛くなんて...」ポロポロ

提督「ごめんな」

霞「私の方こそ、酷いことばっかり言ってごめんなさい。あなたはカッコよくて頭も切れて、それでいて優しくて..,最高の司令官よ」ギュゥゥ

提督「霞が俺のことを評価してくれてたのは知ってるよ。俺もお前みたいな優れた秘書艦を持てて幸せだ」

潮「あの...」

提督 霞「!」

提督「(やばい!先に潮を慰めるべきだったか??完全に忘れてた??)」

潮「霞“ちゃん”、もう提督に意地悪言わないでね?」ニコッ

霞「え、えぇ。あなたにも悪かったわね。ごめんなさい」

潮「もうしないならいいの!提督、皆待ってますから早く入ってください!霞ちゃんもほら!」

提督「天使だ」

おしり

潮は天使

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