【NEW_GAME!】青葉「私は……」 (8)


~昼休み~


青葉「珍しく私一人だけど…どこで何を食べよっかな~?」キョロキョロ

男「あのう、すみません?」

青葉「はい?」

男「涼風青葉さんでよろしかったでしょうか?」

青葉「そうですが、何か?」

男「あぁー、実は貴方に重要なお話がありまして……」

青葉「重要な??」

男「はい! あっ、詳しい事は近くのお店の中でお話ししましょう!!」

青葉(なんだろう…怪しいっ……。ハッ、もしかしてキャッチセールスとかっ!?)オドオド

青葉(あれっ? でも、私の名前を知ってるし、キャッチセールスじゃなくて、何か別の……??)

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~ファミレス~


青葉(怪しいと思いつつも気になって結局、ついて来ちゃいました…)

男「えー、それで重要なお話というのはですね…」

青葉「は、はいっ!?(なんだろう…?!)」

男「涼風さん、ぜひ我が社に来て頂けませんか?」

青葉「えっ?」

男「おっと、申し遅れました…私こういうものです!」スッ

青葉「あっ、どうも。(これが噂の名刺っ!? 社会人になって初めて貰うなぁ……)って、えぇっ!?」ビクッ

青葉「○○○って、あの大手ゲーム会社ですよねっ!?」

男「はい。」

青葉「その大手ゲーム会社さんが、いきなり我が社に来て頂けませんか、というのは一体?」

男「簡単に説明しますと引き抜きです!」

青葉「引き抜き?」

男「引き抜きというのは「他社から優秀な人材を引き抜く」……つまりはスカウトして転職させるというものですよ。」

青葉「えぇっ!? でも、私はそんなに優秀な人材ではありませんよっ!!」

男「いえ。貴方の事は前に他社同士との打ち上げで出会った葉月さんから伺っておりますが、イーグルジャンプでの仕事ぶりは中々良く、上司からもかなり期待されていて、また仕事に対するモチベーションやコミュニケーション能力が高いだとか。それを聞いてこれは優秀な人材だと私の中で確信しましたよ!!」

青葉「そ、そんな!? まだまだですよ……むしろ、私よりも八神さんの方が…」

男「確かに実力は八神コウさんの方が上でしょうが、貴方も中々のダイヤの原石です! 磨けば必ず光りますよ。」

青葉「だ、ダイヤなんて…とんでもありませんよっ?!」

男「ですが、私は確信を持ち、こうして貴方と会い、引き抜きの話をして今すぐにでも了承を得ようとした次第でありまして。」

青葉「えっ、今すぐですかっ!?」

男「えぇ。本来は長く返事を待つところもありますが、我が社は基本即対応、即答をモットーにしておりますので、そこの所はご了承ください!」

※このSSの時系列は二期の一話あたりになります!

青葉「そうなんですか……すみません、お断りします!」

男「理由をお願いします?」

青葉「私は小学生の頃からフェアリーズストーリーが好きで、その時にメインキャラデザイナーを担当した八神さんに憧れてキャラクターデザイナーを志しました! それからは大変でしたが、去年遂にフェアリーズストーリーを作った「イーグルジャンプ」に入社し、憧れの八神さんの元で働いて教わりながらキャラクターデザイナーになる為の一歩を少しずつ踏み出し始めました! それから一年、私は八神さんだけでなく同じ班の他のスタッフさんに支えられながら入社して初めて「フェアリーズストーリー3」のマスターアップまで頑張る事が出来ました!」

男「うんうん。それで?」

青葉「ですから、ずっと前から入社を望んでいたイーグルジャンプや憧れの人に優しい先輩たちの元を去ることなんて私には絶対に出来ません。私はずっとイーグルジャンプに居続け、八神さんたちと共にこれからも頑張っていきたいです! 皆さんと一緒にもっとたくさんの子供たちに夢と憧れを抱いて貰えるようなそんな素敵なゲームを作っていきたいからです!!」

男「成る程。涼風さんの言いたい事は分かりました…大変立派な理由でしたよ!」

青葉「そう、ですかっ///」

男「ですが、私共も諦めるわけにはいきませんので、貴方に我が社への転職がどんなに良いかをお教えしましょう!」

青葉「えっ?」

男「まずは高給な事です! もちろん、新入社員でも同じであり、それもイーグルジャンプよりも倍になります!!」

青葉「倍っ!? ハッ、イケないイケない…。私はお金が欲しくてゲームを作っているのではありません…全てはプレイヤーさん全員に楽しんで頂けるようにゲームを作っているだけですので、いくら高給でもそこまでは…」

男「次は働きやすい環境です! 我が社は常に清潔感を保ち、働きやすい会社を目指しております! もちろん社員も優秀な人材ばかりで仕事も早いですが、新人はおろか同僚にもかなり優しく、仕事も丁寧に教えてくれますよ…分かるまで何度も!」

男「それと涼風さんなら心配はいらないでしょうけど、もしも人間関係が無理、コミュ症とかで人と話すのがダメだ…という人がいた時は大丈夫! 我が社はそういう人たちがいらっしゃった場合、まず同僚の方から積極的に声を掛ける、話し掛けるように徹底的な指導をなさってますので、数日後にはいつの間にか輪の中に入れる、という状態を作っております! ちなみに過去にそういう苦手な方が転職してきましたが、数週間後にはほぼ輪に入れた、という声が届いております。」

青葉「へぇー、それはいいですね!(もし、ひふみ先輩とか昔の八神さんもここに入社したら、変わるのかな?)」

男「最後になんと、キャラクターデザイナーを目指す方に必見! 教育係を、あの有名キャラクターデザイナーの○○が務めます!!」

青葉「おぉっーー、○○さんと言えば、八神さんとも引けを取らないと噂される方ですよね!! 私もそちらのゲーム会社さんが作ったゲーム、少しだけプレイしたことがありますが、確か○○さんがほぼメインを担当していたんですよね?」

男「そうです、良くご存じで! それで涼風さん、どうでしょうか? ぜひ我が社に転職、お願いします!」

青葉「えっ……すみません、やはり私は八神さんたちとイーグルジャンプを……」

男「そうですか…。でも、涼風さん…貴方はこのままずっと八神さんの元にいるつもりなのですか?」

青葉「えっ?」

男「さっきも申されてましたよね、貴方はフェアリーズストーリーが好きで、キャラクターをデザインした八神さんに憧れてゲーム業界に入ったと? それで八神さんの元で働きながら色々な事を教わったと?」

青葉「はい…」

男「ですが、このままですと貴方は憧れの八神さんを超える事は出来なくなるんですよ?」

青葉「っ!?」

男「お分かり頂けましたか? 貴方は成長していますが、八神さんも成長し続けているんですよ…それは今の貴方以上に。そしてこれからもその先も貴方が成長する度に八神さんは更に更にと成長するはずです! 実力がある八神コウだからこそ…彼女の成長は当たり前。むしろ、それが八神コウと言えるべきでしょう!」

青葉「………」

男「そうなければ、彼女を超えるのは夢のまた夢になりますよ! もちろん、八神さんの元にずっといるという事は、貴方は常に憧れの人に負け続けてしまう…という意味にもなります!」

青葉「………」

男「今まで八神さんに憧れ、入社してからの一年の間に身近で八神さんの凄さを知ったのなら…今度は貴方がその八神コウという壁を乗り越える番です。貴方が八神コウ以上に凄い人になるのです!」

青葉「………」

男「それに我が社の長所として引き抜きは他者のある程度優秀な人材だけでなく、ダイヤの原石と見なした新人さんとかそんな人材もなんですよ! うちは基本、新人を育てる方に着目し、良い環境や条件の中で上手く成長していけば、後々磨けば光る正真正銘のダイヤという優秀な人材になっていけるだろうと考えての事なんです!」

男「ですから、入社一年の貴方でも…うちに来て仕事を重ねていけばきっと今以上に優秀となり、いずれは我が○○○の成長にも貢献して頂けると確信しているんです!! どうですか、涼風さん?」

青葉「私…言ったんです……」

男「えっ?」

青葉「私、フェアリーズストーリー3が完成した後、八神さんの過去を知って八神さんにこう言ったんです……『昔の八神さんがどんな人だったか私は知りません。でも…少なくとも…少なくとも今の八神さんは私の尊敬できる上司です!だから八神さんがアートディレクターになっても私は付いて行きますから!』と!!」

青葉「その八神さんは今、アートディレクターです! アートディレクターになった八神さんに付いて行く人は私の他にもいますが、私も八神さんに付いて行くと言った以上は絶対に八神さんの元を離れたくはないです!! もちろん、それで八神さんの過去の傷が癒えるのなら尚更です!」

青葉「それと確かに成長する上でいつかは八神さんという壁を越えないといけない時もあるでしょう…けど、八神さんは私にとって憧れの人です。越えたらそこで憧れの人では無くなってしまいます…むしろ、私はずっと八神さんには私の憧れの人でいて貰いたいんです。八神コウという壁や目標があれば、私もそれに応じて成長したいという気持ちが湧いて仕事にもなりますし!」

青葉「ですので、引き抜きの話はお断りします。すみません!」

男「……はぁ。一筋縄ではいかず、ましては意思が固いですね……流石は葉月さんが期待できると認めただけありますね。これは早々に手を打たねばなりません……」

青葉「えっ?」

男「あっ、いえ、こちらの話です。」

青葉「そうですか…。あっ、もうこんな時間っ!? すみません、私そろそろ休憩が終わりますので、これで! あっ、お金払わないと…」

男「いいですよ。ここは私がもちますので、涼風さんはどうぞ、行ってください?」

青葉「よ、よろしいんですか?」

男「もちろんです」

青葉「すみません。ごちそうさまです!」



男(涼風青葉さん……その真っ直ぐさと意思の固さ…ますます気に入りましたよ!! 絶対に貴方を我が社に……フフフッ♪)

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