ゲンドウ「冬月」
冬月「何だ碇。」
ゲンドウ「使徒が来なくなってから、平和続きで退屈だ」
冬月「そうだな。丁度何かないかと、考えていたところだ。」
青葉「失礼します!」
ウイーン
ゲンドウ「どうした」
青葉「我々ネルフオペレーターは、賃金の引き下げに断固反対します!!」
日向「お願いします!」
マヤ「こんな金額では、生活が苦しすぎます!」
冬月「だがな、君たち。ネルフは今、財政的にも苦しいのだ。分かってくれ。」
青葉「こんなのあんまりですよ!どこのアルバイトですか!」
日向「我々は、命をかけて業務にあたっているんですよ!」
ゲンドウ「金は無い。帰れ。」
冬月「使徒が来ないと、ゼーレから予算が下りんのだよ。頼む、今月はそれで我慢してくれ。」
日向「しかしですね、我々の生活のことも」
ゲンドウ「そんなに金が欲しければ、自らの手で何とかしろ。」
冬月「碇、公務員の副業は認められておらんぞ。」
ゲンドウ「かまわん。私が許可する」
マヤ「しかし!!」
ゲンドウ「それ以上続けると、降格も考えることになる。下がりたまえ!」
プシューー
マヤ「…っ」
日向「諦めるしかないのか…」
青葉「ちくしょう!!」
マヤ「あんまりです!」
日向「こうなったら、僕らで何か始めるか…」
青葉「何かって何だよ。」
日向「それは…」
日向「これから考えるとしよう。」
アスカ「あ~あ、つまんな~い。使徒もアレ以降ぱったり来なくなったし…。バカシンジ、何とかしなさいよ!」
シンジ「そんな!無茶だよアスカ!」
ピリリリリリリ
レイ「…もしもし。はい、そうですか。わかりました」
ピ
シンジ「誰?」
レイ「碇司令から、給与の件に関しての通達」
シンジ「えっ、僕たちに給料ってでてたの!?」
アスカ「アンタバカぁ!?命がけで戦ってんだから、給料ぐらい出て当然じゃないの!」
レイ「ネルフ職員の給与、今月から全員減額だそうよ」
アスカ「え~~っ!?嘘、そんなの無いわよ!!」
レイ「足りない場合は、副業を許可するそうよ」
シンジ「何考えてるんだよ父さん…」
アスカ「ちょっとバカシンジ!あんたの親父でしょ!責任取りなさいよ!」
シンジ「無茶だよ!」
レイ「あと、碇司令は反対するなら更迭も辞さない考えのようよ 」
アスカ「ありえなーい!」
ミサト「うそぉ!」
リツコ「ホントよ。今月から減給。不況だからしょうがないわね。」
ミサト「アンタは何も不平とか感じないわけ!?」
リツコ「そりゃ感じるわよ。でも、反対すると更迭か降格よ」
ミサト「マジ!?」
リツコ「マジよ。あと、足りない場合の副業が許可されたわ。」
ミサト「そういう問題じゃないわよ…。」
リツコ「我慢しなさい、ネルフだって金銭的に楽じゃないのよ。」
冬月「いいのか、碇。職員たちの不満は募る一方だぞ。」
ゲンドウ「そうは言っても、金がないのだ。倹約してもらうしかあるまい。」
冬月「碇、お前の給料はどうなんだ。」
ゲンドウ「無論、減額は無しだ。私は司令だからな」ニヤ
冬月「はぁ…」
日向「とりあえずさ、少しでも倹約するために、僕たちみんなで同じ場所に住むんだ。」
青葉「マジか!?…まあ、でも、いいんじゃない?電気代とか家賃とか、3人で分散されるしさ。」
マヤ「…仕方ないですよね。」
日向「で、ネルフの職員寮の部屋を、もう借りてあるんだ。」
青葉「はえーな。お前、たまに行動力あるよな。」
マヤ「でも、自分のプライバシーは守りたいですよね…。」
日向「もちろん、一人一部屋はあるよ。飯とかを、共通のリビングでやるんだ。つまり、3人だけの、ミニシェアハウスってわけだよ。」
青葉「ここが新しい家か。」
日向「いいところだろ?部屋は、適当に選んで。」
マヤ「きれいな部屋ですね~。じゃあ、私この部屋にします。」
青葉「じゃ、俺この部屋で。」
青葉(しかし、今夜からオ●ニーができなくなるな…)
日向「じゃあ、僕は残った部屋のここだね。」
こうして、3人の共同生活が始まった。
…が。
物事何もかもうまくいくということは無く…
マヤ「キャーーーーーーーー!!」
日向「どうした!?」
マヤ「なんでリビングにパンツが落ちてるんですか!?」
青葉「悪い悪い、俺のパンツだ、それ。」
マヤ「不潔です!」
日向「普段の生活がいかにだらしなかったかが、よくわかるな…。」
青葉「飯、できたよ~。」
マヤ「キャーーーーーーーーーーーー!!!!!!何ですかこれ!?」
青葉「これ?パンツに生えてたキノコの雑草和えと、木の皮のてんぷら、それからこれはカナブンの刺身。」
日向「うわぁ…」
マヤ「信じられない!見たくありません!」
青葉「そんなこと言うなよ。結構うまいんだぜ。」サクサクモグモグ
青葉「うめー!!!」
日向「」
マヤ「」
~~翌日~~
リツコ「おはよう、マヤ。元気ないわね、どうしたの?」
マヤ「先輩。実は昨日…」
リツコ「あら、栄養価の高い、いい食事ね。やるじゃない、青葉君。」
マヤ(うわぁ…)
日向(カナブンの刺身とかどういう神経してんだよあいつ。)
日向(節約のためとはいえ、あいつの料理はキツいな…)
青葉「どうしたんだよ、気難しい顔して。」
日向「あ、いやちょっとね。」
青葉「ほれ、弁当。節約しなきゃだから、作ってきた。」
日向「あ…、ありがと…」ハハハ…
青葉「ほい」
アスカ「な、何なの、これ。」
青葉「弁当。余ったからね。おっ、君にも。ホレ。」
レイ「…お弁当?」
青葉「昼飯にでも食ってくれ。じゃあな。」
アスカ「…何で青葉さんが弁当なんかくれるのよ…」
レイ「…珍しいわね」
アスカ「うわっ、何よこれ!なんか虫の足みたいなのが!キャァァァァ!!!」
レイ「…これは何?」
レイ「先にふさふさしたものが付いている」
アスカ「それ!ネコジャラシよ!何て神経してんのあの人!!」
青葉「よっ、シンジ君。」
シンジ「ああ、青なんとかさん。」
青葉「弁当あげるよ。」
シンジ「あ、ありがとうございます。」
シンジ「あの人が話しかけてくるなんて珍しいな…。」
カパッ
シンジ「うわ」
アスカ「バカシンジももらったの?その弁当。」
シンジ「アスカも…綾波も!?」
アスカ「私たちを殺す気かしら!?」
レイ「たぶん、殺意はないと思う」
アスカ「じゃあ何だって言うのよ!こんなゲテモノ弁当、食べられるわけ無いじゃない!」
レイ「そうかしら」ガツガツムシャムシャ
シンジ「綾波…」
青葉「失礼します。」
ウイーン
ゲンドウ「君か。給料は上げんと言っただろう」
青葉「いえ、今日はお弁当を届けに。」
冬月「ほう、弁当かね。碇、今日はそれを食べるとするか。」
ゲンドウ「そうだな」
カパッ
ゲンドウ「うわ」
冬月「においが強烈だな」
ゲンドウ「ああ」
冬月「それだけじゃない。食材も極めてゲテモノだ。これは恐らくカナブンだろう。」
ゲンドウ「…冬月」
冬月「味もひどい。これはサードインパクトより前に人類が滅ぶレベルの味だ。」
ゲンドウ「…冬月」
冬月「何だ」
ゲンドウ「コードgeroを発動する。」
冬月「まさか!」
ゲンドウ「もう吐きそうだ」
冬月「まずい!誰か!洗面器だ、洗面器を用意しろ!」
黒服「こちらです!」
ゲンドウ「たすか…った…」ゲロゲロゲロゲロオエーーーーーー
冬月「大丈夫か碇!」
ゲンドウ「あ゙あ゙」オエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
冬月「青葉め、いったい何をしたいんだ…」
冬月「まさか!給料の件に対する腹いせか!?」
青葉「いいえ、そのような事実はありません。」
黒服「ウソをつくな!じゃあなんであんな弁当を司令に食わせた!?」
青葉「あんな!?めっそうもない!」
黒服「なんだと!?ならお前、この俺の前で、その弁当を食ってみろ!」
青葉「はい」ガツガツガツガツモリモリムシャムシャ
黒服「うわぁ…」
冬月「もうよい、君に悪意が無かったことは認めよう。」
青葉「ありがとうございます!!」
冬月「しかし…それを食べて碇が入院したのも事実だ。責任はとってもらうぞ。」
青葉「ひゃあ」
冬月「きみは二尉から三尉に降格とする。」
青葉「そ、それだけは!!せめて、給料減額とか!」
冬月「そうしたら、また君は『倹約』と言ってあの弁当を作るだろう。」
青葉「そんなことは!」
冬月「無いとは言い切れないだろう。」
青葉「うう…」
青葉「はあ」トボトボ
日向「それだよ!!!」
青葉「うわびっくりした!それって何だよ。」
日向「上司には敬語を使いたまえ、青葉三尉」
青葉「な…、くそ…!」
日向「まあ、いい。それとは、君の弁当のことだ。」
青葉「あっそ」
日向「聞けよ」
青葉「誰が!」
日向「命令だよ」
青葉「く、くそぉ~~~!!!」
日向「君のお弁当だけを、ネルフの食堂で売ってもらうんだよ!」
青葉「ふーん」
日向「いかにもうまそうなパッケージで!」
日向「そうすると、司令たちは、その弁当だけを食うことになる!」
日向「そこで、食堂のおばちゃんが、こう言うんだ!!」
日向「『あたしの給料をあげてくれなきゃ、これしかだせないよ』」
日向「碇司令は困る!こうして、給料がうpするわけだ!」
~~後日、食堂にて~~
ゲンドウ「私の好きだった2段アダム弁当が発売中止…」
冬月「ほう、全品廃止して、新商品の弁当がでたのか。」
ゲンドウ「『ブルーリーフ弁当』か。」
冬月「どうする碇。」
ゲンドウ「やむを得ん。おばちゃん、これをくれ」
おばちゃん「はいよ。」
冬月「碇と同じのを頼む。」
おばちゃん「はいはい。」
ゲンドウ「うまそうだ。何よりレイのフィギュア付きというのが気に入った」ニヤァ
冬月(ロリコン野郎め)
カパッ
ゲンドウ「…冬月」
冬月「何だね」
ゲンドウ「これは、例の弁当ではないか」
冬月「…恐らくな」
ゲンドウ「…お前はこれを食うのか」
冬月「やむをえまい。」
ゲンドウ「では私も食う。」
ゲンドウ「オオオオオエエエエエエエエエエエーーーーーーー」
冬月「大丈夫か、碇!」
冬月「おい、おばちゃん!何故こんなものを売った!?」
おばちゃん「あたしの給料をあげてくれなきゃ、これしかだせないよ」
冬月「はて…、おばちゃんは減給の対象外だった気がするな」
おばちゃん「そんなわけあるかい!?冗談じゃないよ、まったく。」
冬月「…そうか」
冬月「碇。やはり今回の賃下げは、法外過ぎたかもしれんな。」
ゲンドウ「勃起していない状態」
冬月「…は?」
ゲンドウ「チン下げ、ってな」ニヤリ
冬月「やはり今回の賃下げは、法外過ぎたかもしれんな。」
ゲンドウ「ああ。無視が一番きつい。」
冬月「すまないな」
ゲンドウ「…しかし、おばちゃんがそう言っているのなら、やむを得ん」
冬月「というと」
ゲンドウ「給与の減額は、撤回する」
日向「万歳!!」
マヤ「やった!」
青葉「…俺の弁当そんなに不味いのか。」
マヤ「不味いなんてもんじゃありませんよ、あれは。不潔です、フ・ケ・ツ。」
青葉「そうかな」
日向「それにしても、おばちゃんの影響力スゲーな…。」
青葉「そーだね。」
青葉「使徒とか倒せそう。」
日向「ああ、そうだね!なんか、エヴァなしでも勝てそうだな!」
マヤ「それは無理ですよ。使徒にはa.t.フィールドがありますから。」
青葉「この前おばちゃんがa.t.フィールド展開してるの見たぜ。」
マヤ「嘘つき…」
日向「あっはっは、まあ、給料上がったし、一件落着…かな。」
青葉「あっ、一件落着じゃない!!俺の階級!!三尉のままだ!」
日向「じゃあ、アンパン買ってきて。」
マヤ「私、メロンパン。」
青葉「ちょ、おま!なんで俺が!」
日向「命令だよ。」
青葉「くっそおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
【完】
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