[過去作]
【モバマス】 楓「日高屋には人生がある」
【モバマス】 楓「日高屋には人生がある」 - SSまとめ速報
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【モバマス】 速水奏「ゴーゴーカレーには人生がある」
【モバマス】 速水奏「ゴーゴーカレーには人生がある」 - SSまとめ速報
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※前置きが長すぎるって、それ一番ry
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美嘉「プロデューサーだけは、信じてくれてると思ってたのに……!!」
P「美嘉、あのな……」
美嘉「もうマジ無理!!」バァン!!
P「おい、美嘉……!!」
P「……」
P(それは、かつての俺を見ているようだった――)
P(どうしてこうなったのか……。事の発端は数日前まで遡る)
【数日前】
P「はぁ……」
ちひろ「あの……。その、先程のお電話はどういった……」
P「先生ですよ、先生(天海春香)」
ちひろ「先生、ですか……?」
P「はい」
ちひろ「プロデューサーさんの師匠的な人とか……?」
P「いえ、マジもんのティーチャーです」
ちひろ「……?」
P「グレートティーチャーとは、ああいった人のことを言うんでしょうね……」
ちひろ「あの、一体全体どういうことですか?」
P「先生からお電話を頂いたんです――美嘉の学校の担任教師から」
ちひろ「え……。えぇ……!?」
ちひろ「マジッすか!?」
P「マジです」
ちひろ「確かに美嘉ちゃんは高校生ですし、アイドルをしていることは学校側も知っていると思いますが……」
ちひろ「どうして私たちの事務所の電話番号を……!?」
P「まあ、さしずめ緊急連絡先として美嘉本人から聞いていたんでしょう」
P「ほら、アルバイト可能な高校とかって、たいてい学校側から許可をもらう必要があるじゃないですか? それで、アルバイト先の情報についてももちろん報告しなくてはならないし……」
P「まあ、隠れてバイトしてる学生なんてザラですけど……」
P「それで美嘉の場合はバイトではないですけど、だから余計に報告する必要があるんでしょう」
P「そういうわけで、何か起きた際の緊急連絡先の一つとして、うちの電話番号を本人から聞き出して登録していたと……」
ちひろ「なるほど、確かにそうですね……。動揺して気が付きませんでした……」
ちひろ「――ということは、美嘉ちゃんに何か起きたんですか!?」
P「まあ、起きたといえば起きました」
ちひろ「マジッすか!?」
P「マジです」
P「あ、安心して下さい。生命に関わる問題じゃないので」
ちひろ「そんなハリーポッターのスネイプ先生みたいな顔をされたら、嫌でも分かります」
P「スネイプ先生というか、例のあの人が現れた気分ですけどね私は」
ちひろ「そんな強敵ですか?」
P「強敵です」
ちひろ「それは、どういった内容で……?」
P「まあ、一言で表すと『成績の低下』です」
ちひろ「成績の、低下?」
P「ええ。ここ最近美嘉の成績が徐々に悪くなっているらしくて」
ちひろ「それで、なぜ私たちに電話を……?」
P「何か心当たりがないか――そういうことです」
ちひろ「確かに学校にとっては大事なことですけど、それでうちへ連絡されても……」
ちひろ「高校生という立場を考えて、当たり前ですが労働基準も遵守していますし」
P「まったくです。普通なら家庭の方へ連絡するでしょう――が、家庭に連絡しても見当がつかなかった、そういうわけでここにも連絡したんでしょう」
ちひろ「でも、なんだか今時珍しい先生ですね」
P「ええ、凄い熱血な感じでしたよ……。生徒想いと言えば聞こえはいいですが……」
P「しかし、要するに『学生である美嘉に、成績が低下するほど仕事をさせていないか』という探りもいれてきたんでしょう……」
P「美嘉ももう高校三年生になりましたし……」
P「♪赤い夕陽が校舎を染めて~♪」
P「♪あぁあ~あ~あ~あ~ 高校三年生♪」
ちひろ「それ、舟木一夫さんの『高校三年生』ですよね……?」
ちひろ「1963年にリリースされた昭和歌謡をよく知ってましたね……。プロデューサーさんって一体何歳ですか……?」
P「ちひろさんこそ、1963年にリリースされた昭和歌謡の名曲をよく知ってましたね。お歳は……」
ちひろ「……」
P「……」
P「ともかく美嘉は多感な時期ですし、進路選択も大詰めの大事な時期です」
P「そして成績低下の原因がアイドル活動じゃ元も子もないというか……」
P「見過ごせない事態ですね……。このままだと美嘉の仕事についても改めて考えないといけませんし」
P「仕事が振りにくくなる」
ちひろ「そうですね……」
P「何より一番大切なのは『本人がどう思っているか』ということでしょう」
P「高校三年生かぁ……。俺もそういう時期あったなぁ……」
ちひろ「ちょっと、他人事じゃないですよ」
P「ですよね(現実逃避)」
P「これはもう、本人と話すしかないでしょう」
ちひろ「ですね」
P「はぁー……。怖いなぁ(稲川淳二)」
P「まぁ、後でそれとなく話を振ってみます……」
ちひろ「頑張って下さい」
P「ちひろさんも他人事じゃないですよ」
ちひろ「――お疲れ様でーす」
P「あ、待て……!!」
P「鬼! 悪魔! ちひろ! 東京メトロ千川駅! 要町!」
【現在】
P(というわけで、美嘉にそれとなく話を振って、そして俺なりの人生論を説こうとしたところ――)
確かに成績が落ちたのはアタシが悪いけど……。アイドル活動に集中しようと思って……! アタシ、アイドルで生きていくつもりだから……! 先生も分かってない! そんなことならアイドル辞めちまえーってさ。あり得なくない!?
P(などと意味不明な供述をしており――じゃなく、気持ちは大いに分かる)
P(しかし、だからといって学業が疎かになり中途半端になるのが一番駄目だ)
P(別に学業も完璧にしろというわけではないが……)
P(この世界、いつ首が飛ぶか分からない)
P(オーディションに受からなければ失業中と同じ――そう言ったどこぞの俳優の言葉の通り、非常に厳しい世界。それはアイドルも同じ)
P(変わりはいくらでもいるのだ)
P(プロデューサーとして、俺は美嘉がそうならないように努めている)
P(しかし、肝心の美嘉自身がブレていては話にならない)
P(――選択肢は多い方が生存確率は上がるのだ)
P(何事も保険は必要なのである……。保険を準備することだけに集中するのもまずいが)
P(もし彼女が壁にぶつかって、その時何も選択肢がなかったら……)
P(これほど恐ろしいことはない)
P(まあ、要はバランスだ)
P(だから、そのバランスについて俺が説明しようと切り出したところ――)
プロデューサーだけは、信じてくれてると思ってたのに……!!
P(そう言って、大粒の涙を流し事務所を出て行った……)
P「……」
P(俺が間違っていたのだろうか)
P(正しいことをしたはずなのに、間違っている気がしてならない……)
ちひろ「プロデューサーさん……!!」ガチャッ
P「……」
ちひろ「……美嘉ちゃん、追わないんですか?」
P「……」
ちひろ「私、行ってきます……!!」
P「――恐らく、家に帰ったんでしょう」
ちひろ「……!?」
P「美嘉は仕事終わりでした。だから、そのまま帰ったんでしょう……」
ちひろ「プロデューサーさん……」
P「ちょっと、事務所を空けます――」
P(そして、俺は美嘉を追いかけた)
P(しかし、遂に彼女を発見するには至らず……。その後自宅に連絡したところ、ちゃんと家に帰っていたのでとりあえずは一安心した)
P(それから――彼女はいつも通り事務所に顔を出した)
P(仕事もいつも通りこなした)
P(一見何も変わらない……。しかし……)
P「なあ、美嘉」
美嘉「……なに?」
P「プロデューサーのここ、空いてますよ?(激寒)」
美嘉「……いい」
P「……」
P(ファッション誌の撮影、その打ち合わせを都内のカフェで行っていた)
P(それが終わって、帰り道――社用車の中)
P(いつもなら助手席に座る美嘉が、今日は後部座席……)
P(間が持てない……!! プロデューサーのライフは0よ!!)
P(バーサーカーソウル!!)
P(こうなったら……。☆最終兵器カーステレオ☆)
P「……」ポチッ
美嘉「ごめん……。ちょっとウルサイかも……」
P「す゛み゛ま゛せ゛ん゛(号泣)」
P「……」
美嘉「……」
P(はぁー、死にたい)
P(まるで年頃の娘を持つ親父……。世のお父さんはこんな地獄を耐えているのか)
P(そのうち、『臭いんだよハゲ』とか言われる日が来るのかぁ)
P「――誰がハゲだ!!」
美嘉「……」
P「/(^q^)\ ウジュジュ」グシャア
【事務所】
P「はぁー……」
ちひろ「プロデューサーさん、これで本日101回目のため息ですよ」
ちひろ「プロポーズでもするんですか?」
P「僕は死にましぇん!!」
P「――ちひろさん、年齢がバレますよ」
ちひろ「プロデューサーさんこそ、何でこのネタ知ってるんですか?」
P「……」
ちひろ「……」
P「いやぁ、反抗期の頃の自分を見ているようです……」
ちひろ「――私からも、美嘉ちゃんにお話ししてみます」
P「いや、ちひろさんだけでもアイツの受け皿になってあげて下さい……」
ちひろ「しかし……」
P「憎まれ役は俺だけで充分です……」
ちひろ「今のセリフ凄いかっこいいですけど、顔がヴォルデモートになってます」
P「褒めたいのかディスりたいのかどっちなんですか」
P「はぁ……。しかも、ここに来て追い打ちのように問題が増えました」
ちひろ「――えっ!?」
P「私事で非常に申し訳ないんですけど……。明後日、地元の友人の結婚式に参列することになってまして……」
ちひろ「あぁー、以前おっしゃっていましたよね」
P「はい、それです。当日は担当アイドルの仕事もゴリ押しで調整して全員オフにして、それで有休もらって行ってくるっていう、あの話です」
ちひろ「しかし、おめでたい席ですよね? 問題というのは……」
P「失礼な言い方ですけど……。こんな状況の時に人様の結婚を祝っている場合じゃないっていう……。こちらとしては、美嘉の問題に集中したいのに……」
ちひろ「まあ、そうですよね……。やっぱり、私も美嘉ちゃんに話してみます」
P「……すみません」
ちひろ「いえ、同じ女性として何か力になれるかもしれませんし……。女性という視点で……」
P「ありがとうございます」
ちひろ「こちらこそ、何もできずにすみません……」
P「いえ……」
ちひろ「――明日、こちらを出るんですか?」
P「そうですね。明日仕事が終わったらそのまま新幹線で地元へ戻ります」
ちひろ「あんまり、思いつめないでくださいね?」
ちひろ「せっかくの祝いの席なんですから」
P「ちひろさん……。今日はやけに優しいですね」
ちひろ「一言余計です」
ちひろ「そしてそのままプロデューサーさんが帰って来なかったら、私の仕事が増えるので」
P「――その手があったか」
ちひろ「……」
【事務所・通路】
美嘉「……」
明日仕事が終わったらそのまま新幹線で地元へ戻ります。
美嘉「――ッ!?」
あんまり、思いつめないでくださいね?
美嘉「え……?」
そしてそのままプロデューサーさんが帰って来なかったら――
美嘉「どういうこと……?」
美嘉「プロデューサーが、地元に帰る……?」
美嘉「もしかして……」
美嘉「プロデューサー、辞めちゃうの……?」
美嘉「アタシの、せいで……?」
美嘉「そんな……」
【オフ当日、とある喫茶店。土曜日】
美嘉「なんだか、こうして二人で遊んだの久しぶりだよね」
奏「ええ、そうね。お互い忙しいものね――おかげさまで」
美嘉「うん……」
美嘉「……」
美嘉「あのさ――」
奏「どうするの?」
美嘉「……え?」
奏「プロデューサーさんと、喧嘩しちゃったんでしょ?」
美嘉「……」
美嘉「あはは……。いきなり来るか……」
奏「むしろ、それを相談したくて私を呼んだんでしょ? 今日一日中、なんだか難しい顔してたわよ?」
美嘉「奏にはお見通しってわけね……」
奏「私じゃなくても、見れば分かるわ」
美嘉「だよね……」
奏「プロデューサーさんと喧嘩しちゃった――なんてメッセージ送ってきたのに、いつ話してくれるのか私の方も一日中気が気でなかったわ」
美嘉「ごめんね、奏を巻き込んじゃって……」
奏「私のことは気にしないで。お互い様でしょ?」
美嘉「うう……。かなぁ~……!!」
奏「もう、泣かないの」
美嘉「うう……」
奏「それで、美嘉はどうしたいの?」
美嘉「もちろん、プロデューサーと仲直りしたい……!! ってゆーか仲直りっていうより、アタシが一方的にプロデューサーに酷い言葉を言っちゃったんだよね……。だから喧嘩ってわけでもなくて……。とにかく、プロデューサーに謝りたい……」
美嘉「――でもね、もしかしたらそれもできないかも」
奏「……どういうこと?」
美嘉「あのね……。プロデューサー、プロデューサーが……!!」
美嘉「うう……。かなぁ~……!!」
奏「もう、泣いてちゃ分からないでしょ?」
美嘉「ごめん……」
奏「それで、プロデューサーさんがどうしたの?」
美嘉「あのね……」
美嘉「プロデューサー、もしかしたらアタシのせいで辞めちゃうかもしれないの」
奏「……」
美嘉「今日、アタシたちってオフじゃん……?」
奏「……ええ」
美嘉「アタシ、事務所の通路で聞いちゃったんだ……。今日、プロデューサーが地元に帰るって話……」
奏「でも、それだけで辞めるって……」
美嘉「うん……。でも、ちひろさんが『あんまり思いつめないで』って、『プロデューサーさんが帰って来なかったら――』って、そう言ってるのも聞こえて……」
美嘉「きっと、アタシのせいでプロデューサーは悩んでて……。それで実家に帰っちゃったんだよ……。きっと」
美嘉「だから今日、実家に帰る為にアタシたちをオフにしたんだと思うの……」
奏「美嘉、それは早計よ」
美嘉「……え?」
奏「だって、実家に帰ることと辞めることはイコールにならないじゃない」
美嘉「そうだけど……。今日は別に長期休みでもないじゃん……? それで地元に戻るっていったら、きっと両親に相談とかしてるのかなって……。もしかしたら、プロデューサーを辞めることを報告してるのかも……!!」
奏「悪い方に考えちゃダメよ、美嘉。あなたらしくないわ」
美嘉「でも……」
奏「あの人が、そんな簡単にこの仕事を放り投げるわけがないわ」
奏「……そうでしょう?」
美嘉「そう、だけど……」
奏「それに、今日のオフは結構前から決まってたじゃない? 美嘉が喧嘩する前から」
美嘉「……」
美嘉「今後のことを考えるために今日をオフにしたのかも。今回に限らずアタシは前々から、知らず知らずのうちにプロデューサーに迷惑かけていたのかも……!!」
奏「もう……。違うわ……」
奏「とにかく実家に帰ったにしても、その理由を知らないうちに決めつけるのはよくないわ。きっと他の理由があるのよ」
美嘉「他の、理由……?」
奏「地元に戻る理由――ちょっと言いにくいけど、身内にご不幸があったのかもしれないし」
奏「もしくは、結婚式とか……」
美嘉「け、結婚式……!? プロデューサーの!?」
奏「プロデューサーさんの結婚式だったら、前もって私たちに報告するじゃない」
奏「それに、式はこちらで開くはずよ」
美嘉「そそそ、そうだよね……!!」
奏「とにかく、大人が長期休みでもなく帰省するって言ったら、きっとそういう理由よ」
奏「わざわざ私たちに報告する必要もなかった――だから、説明せずに帰省したのよ」
奏「私たちに関する大事なことがあったら、あの人なら必ず説明してくれるもの……」
美嘉「そっか……。そう、だよね……」
奏「ええ。だから、あなたが原因で帰ったわけではないわ」
美嘉「うん……。それならいいんだけど……」
美嘉「もし帰って来なかったらって……。怖いんだ、アタシ……」
美嘉「ちひろさんも色々と励ましてくれたんだけどさ……。アタシ、そのことについて怖くて聞けなくて……」
奏「大丈夫。帰って来るわよ」
美嘉「うん……」
奏「……」
美嘉「あのさ――」
奏「……?」
美嘉「奏は、これからもアイドル続けるの?」
奏「急にどうしたの……?」
美嘉「うちらって、もう17歳じゃん……? その、進路とか決める時期だし……」
奏「……なるほどね」
美嘉「アタシ、最近成績落ちててさ……。先生にそれ指摘されて、ついカッとなって『アタシはアイドル続けるからいいの』って言っちゃって……」
美嘉「でも、気付いてる自分がいるんだ――それを言い訳にしてるって」
美嘉「もちろん、アタシはこれからもアイドル続けたいし、妥協したくない」
美嘉「でも……。どこかで天狗になってたのかも」
美嘉「カリスマなんて言われて、自分はいつまでもそういう存在でいられるって……」
美嘉「どこかで、甘えていたのかもしれない」
美嘉「自分自身に、そしてプロデューサーにも……」
美嘉「だからプロデューサーに指摘された時も、分かってるのに、分かりたくなくて」
美嘉「それで現実から目を背けて……。ネバーランドみたいに、いつまでもそういう世界にいたくて……」
奏「……」
美嘉「でも、おとぎ話はいつか終わってしまう……。シンデレラの魔法もいつか解ける」
美嘉「分かってるのに、その現実を受け入れたくなかった……」
奏「――私も、アイドルを続けたい」
美嘉「……?」
奏「でも美嘉が言った通り、いつかは終わりが来る」
奏「物語が終わった時、自分がどうなるか考えたら正直怖い」
奏「でも、そこで全てが終わるわけではないわ」
美嘉「……」
奏「きっと、そこには新しい道がある」
美嘉「新しい道……?」
奏「ええ……。きっと、その道を見つけろってことだと思う」
奏「美嘉の先生も、そしてプロデューサーさんも、そういうことを言っていたんじゃない?」
美嘉「……?」
奏「私もいつかアイドルを卒業する日が来る……。そしてその日を迎えた時、目の前に何も道がなかったら……。選択肢がなかったら……」
奏「もしかしたらそこで燃え尽きちゃって、最悪人生を終わりにしてしまうかもしれない」
奏「そうなって欲しくないから、広い視野で世界を見て欲しい――そう言ってくれてるのよ」
美嘉「広い、視野……」
奏「――選択肢は多い方がいいじゃない?」
美嘉「……うん」
奏「大学に行ってもいい。そこで好きな分野を学んで、その道へ行くのもいい」
奏「アイドルに専念することは大事だけど、それに依存するのは危ない」
奏「専念すること、ひたむきになることと依存は違うというか……。美嘉が言っていた通り、それを言い訳にしてはいけない」
奏「そういうことだと思う」
奏「今すぐに決める必要はないわ」
美嘉「……?」
奏「確かに私たちは進路を決める時期だけど……。人生の全てが決まるわけじゃない」
奏「私たちにはまだ、魔法がかかっているのだから」
奏「何にだってなれるのよ」
美嘉「……!!」
奏「自分は気付いてる――美嘉はそう言ったよね?」
美嘉「うん……!」
奏「なら大丈夫よ。あなたなら大丈夫」
美嘉「大丈夫、かな……」
奏「ええ。私が保証する」
美嘉「ありがとね、奏――アタシ、明日プロデューサーに謝ってみる」
美嘉「プロデューサーが予定通りなら仕事に同伴してくれるから……」
奏「ええ。応援してるわ」
美嘉「ありがと……」
美嘉「なんか、安心したらお腹空いちゃった……!」
奏「そうね、何か頼む?」
美嘉「……うん!」
奏「えーと、メニューは――」
美嘉「そういえば、奏ってプロデューサーのことどう思ってるの?」
奏「……!?」
奏「き、急に何……?」
美嘉「あ、赤くなってる!!」
奏「それを言うなら、美嘉の方こそ……!」
美嘉「――えっ!?」
奏「……//」
美嘉「……//」
【結婚式、二次会会場】
P「……」
友人「――一人で黄昏て、どうした?」
P「……また一人、独身が減っていくことに嘆いてるんだよ」
友人「ははっ、お前らしいな」
P「うるせー。新郎が抜け出して来ていいのか?」
友人「お前と同じ、タバコ休憩だ」
P「――お前、タバコ吸ってたっけ?」
友人「ああ……。だけど、これでおしまいになりそうだ」
P「奥さんがうるさいのか?」
友人「別に。ただ、そういう気分なだけだ」
P「……」
友人「……」
友人「こうして、みんなで集まるのすげー久しぶりだよな」
P「……ああ。まあ、なんつーか改めて、おめでとう」
友人「ありがとよ、キャプテン」
P「その呼び名はやめてくれ」
友人「俺も改めてお礼を言いたくてな」
P「なんだよ、急に」
友人「こういう場面でしか言う機会がないからな」
友人「お前のおかげで、あの時俺は部活やめなくて済んだし」
P「……あったな、そんなこと」
友人「こういう時を迎えて、改めて思うよ」
友人「やり通してよかったって」
友人「お前が説得してくれたから、今の俺がある。そう言っても過言じゃない」
P「褒めても何も出ないぞ」
友人「もし辞めてたら、絶対後悔してた。そして、それを言い訳にしてダラダラ生きてた」
友人「……ははっ」
P「……?」
友人「覚えてるか? あのステーキレストランで……」
P「……ああ。あれか」
友人「俺の退部騒動の時もそうだし、何か部内で問題が起きたら、キャプテンのお前が部員引き連れてあそこに連れて行ってさ……!」
P「俺がステーキ食いたかっただけだ。マジで」
友人「いつしか『ステーキ会議』とかいうイベントまで生まれてさ……!」
友人「ほんと、『ただステーキ食いたいだけだろ』っていう……!」
P「休日の練習後は、鉄板焼き屋かあのレストランよく行ってたよな」
友人「ああ……! なんだっけ、あそこの名前……」
P「おいおい。俺たちのソウルステーキをまさか忘れたのか?」
友人「冗談だよ! 忘れるわけないだろ、『ステーキ宮』を」
P「ああ。今でも忘れねぇ、あの味……」
友人「あの味、俺にとっちゃ『仲直りの味』なんだよな……」
P「……」
P「久しぶりに食いてぇーなぁ……。でも、東京にはなさそうだしなぁ」
友人「オイオイオイ。あれだけ好きだったお前が鈍ったか?」
P「……え?」
友人「東京にも進出して何年も経ってるはずだぞ、ステーキ宮」
P「……マジで?」
友人「ああ、調べてみろよ」
P「――マジだ」
友人「だろ? まあ、次こっちに帰ってきたら、あいつら呼んでまた行こうぜ!」
P「そうだな。やりますか、ステーキ会議……!!」
【翌日の日曜日、お昼過ぎ。東京郊外】
P「お疲れ、美嘉」
美嘉「うん……」
P(今日は美嘉の撮影に同伴していた。場所は東京の郊外、とある公園。若者向けのファッション雑誌、その巻頭グラビアの撮影だ)
P(その撮影も終わり、俺が運転する車で事務所へ戻るところ――)
P「撮影、良かったぞ」
美嘉「うん……」
P(噛み合わない歯車。依然として美嘉は『うん』しか言わない『うん製造機』と化している。誰だ今『う〇こ製造機』と勘違いした奴は――俺だ)
P(――などと自分の中で一人漫才でもしないとメンタルが保てない状態だ)
P(胃が痛いとはこういう感覚か)
P「じゃあ、行くか……」
美嘉「……」
P(美嘉はもう助手席に座らない。隣の空間がぽっかりと空いている違和感は久しぶりだった)
東京にも進出して何年も経ってるはずだぞ――
P(俺の脳裏で友人の声が再生される)
P(同時に、カーナビで『あの場所』を検索する……)
P(――お、意外と近くにあった)
P(目的地を設定っと)
P「美嘉、お腹空いてるか?」
美嘉「……ちょっと」
P(あ、『うん』以外のワードきた)
P「それじゃ、事務所へ戻る前に飯食ってくか」
美嘉「……うん」
P「(^p^)」
P「……吉幾三」ガッ!
P(未だ感情を取り戻さない髪色ピンクのサウスポーにSOSを出したくなるが、きっとあの場所に連れて行けば……)
P(なんせ、『仲直りの味』なんだろ……?)
【ステーキ宮店内】
P「奢ってやるから、好きなの食っていいぞ。会社の経費で落としちゃうから☆(無理)」
美嘉「……うん」
P「ここは初めてか?」
美嘉「……うん」
P「……」
美嘉「名前、聞いたことあるけど……。初めてかな……」
P(おっ……。興味を示してるな)
P「埼玉にも数店舗あるみたいだな」
P「ちなみに、東京は今のところここを含めて二店舗らしい」
P「一応全国規模のチェーン店だ。秋田とか和歌山とか中国・四国地方にはないけど……。あと福岡を除いた九州と沖縄にもなかった気がするな……」
美嘉「そうなんだ……」
P「ああ。ここは俺のソウルフードならぬソウルステーキの店と言っても過言じゃない」
P「栃木県は宇都宮発のステーキレストラン――名前の由来は宇都宮の『宮』だ。栃木ではステーキといったらこの店を連想する人間が多い。まさに国民食ならぬ県民食とも言えるステーキレストランだ」
P「特別な、晴れの日にステーキという人間は多いかもしれないが、栃木の人間はそういった日に食べるステーキはここで済ませることが多いらしいぞ」
P(まあ、『爆弾ハンバーグ』でお馴染みのフライングガーデンという栃木発祥の鉄板焼きチェーンも人気だが、俺は断然ステーキ宮だ)
P「ここでステーキを食ったことが一つのステータスになる……。そんな時代もあったそうだ……。思い出の味ってやつだなぁ……」
美嘉「く、詳しいんだね……(ドン引き)」
P「まあな――そして、メニューを見てみろ」
美嘉「……?」
P「昼飯にしてはだいぶ遅くなってしまったが……。現在三時をちょっと過ぎたところ……」
P「――しかし、メニューは『ランチ』だっ!」
P「そう、この店では11時から16時までランチタイム! つまり、遅い時間帯でもこうしてランチを楽しめるってわけだ!(全店舗かどうかは不明)」
P「というわけで、好きなメニューを選べ」
美嘉「う、うん……」
美嘉(はぁ……。あれだけ『謝る』って意気込んでいたのに……)
美嘉(結局謝れてないじゃん……。アタシのバカ……)
美嘉(それにしても、ステーキかぁ……。プロデューサーはどうしてこのお店を選んだんだろう……)
美嘉(やけに熱く語っていたけど……)
P「そうだな……」
美嘉「……?」
P「俺はやっぱ、この『スペシャルトリオランチ』だな」
美嘉「スペシャルトリオ……?」
P「名前からしてスペシャルだろ? かっこいいじゃん」
美嘉「……」
P(滑った)
美嘉「……ふひっ」
P「……!?」
美嘉「プロデューサー、子供みたい……!」
P(わ、笑った……)
P「見てみろ。ハンバーグにチキンにソーセージ……。まさにバース・掛布・岡田時代の阪神のような最強のラインナップ……!」
美嘉「その例えは分かんないかな」
P「……」
美嘉「でもステーキレストランに来たのに、ステーキにしなくていいの……?」
P「いいんだ――好きだから」
美嘉「……?」
P「確かに、人気メニューはこの『宮ロースランチ』だ。サーロインステーキを千円台というお得な価格で楽しめる」
P「だが、俺はスペシャルトリオだ。こちらも千円とちょっとでハンバーグとチキンとソーセージを楽しめる」
P「そのスペシャル感が好きだし、それにこういうメニューは俺にとって思い出の味でもあるからな……」
美嘉「思い出……?」
P「学生時代によく来てたんだ。ここじゃなくて地元の店だけどな」
P「そん時は確かこんな感じのメニューばっかり食ってた。だから、久しぶりに食ってみたくなった」
P「――それだけだ」
美嘉(思い出の味……。プロデューサーの学生時代かぁ……)
美嘉「じゃあ……。アタシも同じやつでいいよ?」
P「いや、ステーキ屋に来たんだからステーキ食えよ」
美嘉「……え!? なにそれちょっと酷くない!?」
P「嘘だよ」
美嘉「……」
P「ふっ……。やっと笑ったな」
美嘉「……!!」
美嘉「もう、知らない……//」
美嘉(プロデューサーの悪戯な微笑み――それに胸の高鳴りを覚えながらも、刹那的で儚い輝きに一抹の不安を覚えた)
美嘉(どこかに行ってしまいそうな……。そんな気がした)
P「――すみませーん」
美嘉「あ、ちょっと……!」
P「ん? 俺と同じやつでいいんだろ?」
美嘉「そうだけど――」
店員「はい、ご注文をお伺いします」
P「この、スペシャルトリオランチを二つで。ライスでお願いします」
美嘉「……え!?」
P「あ、すまんすまん。付け合わせをライスかパンか選べるんだよ。パンが良かったか?」
美嘉「いや、ライスでいいかな……」
P「プラス百円でガーリックライスに変更できるけど」
美嘉「プロデューサーは……?」
P「ただのライスだ」
美嘉「じゃあアタシも」
P「よし。それじゃ、二つともライスでお願いします」
店員「かしこまりました。ソースはいかがなさいますか?」
美嘉「ソース……?」
P「もちろん、二つとも『宮のたれ』で!!」
美嘉「え!? ちょっと!!」
P「大丈夫だ。俺を信じてくれ」
信じてくれてると思ってたのに――
美嘉(……あ)
美嘉「うん……。分かった」
P「――スープバーはついてますよね?」
美嘉「……?」
店員「はい。スープバーはあちらからご利用下さい」
店員「それでは、失礼致します――」
P「あ、ドリンクバーのこと忘れてた」
美嘉「もう、勝手に決めすぎだよプロデューサー」
P「ドリンクバー、注文するか? この店のドリンクバーはめちゃくちゃ種類あるんだぜ? 特にお茶とか」
美嘉「アタシは……。プロデューサーは?」
P「俺はいいな」
美嘉「じゃあ、アタシも別にいいかな」
P「そうか――それじゃあ行くぞ!」
美嘉「ちょっと、どこ行くの!?」
P「もちろん、あれに決まってるだろ!?」
[数十分後]
美嘉「はぁー……。なんだかこれだけでお腹一杯になりそう……」
P「これがステーキ宮の魅力であり、落とし穴でもある……!!」
P「そう、これがスープバーだ!!」
P「ランチメニューにはスープバーがつく!! しかも『おかわり自由』だ!! なんという太っ腹!! 解放的な響き!!」
P「スープは日替わりで数種類ある!!」
P「――今日は当たりだったな!!」
美嘉「……?」
P「ふふっ……。美嘉が既に2杯飲んだそのコーンポタージュ!!」
美嘉「ちょ……!? プロデューサーうるさい……!! 聞こえちゃう……//」
P「ここのコーンポタージュは、ハイパーでウルトラでアルティメットだ!! メインを張れるくらいな!!」
美嘉「大袈裟だけど……。まあ、確かにおいしいかな……。クリーミーだし、濃厚だし」
P「俺も既に3杯飲んでしまった……!! メインが来るし、それに出禁にはなりたくないからあと一杯までにとどめておこう……!!」
美嘉「あと一杯は飲むつもりなんだ……」
P「メインが来るまでの手持ち無沙汰な時間は、このスープバーでウォームアップするのがここのスタイルだっ!!」
ジュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ
P「はっ――来やがった!!」
美嘉「え?」
P「耳を澄ませ美嘉ッ!!」
美嘉「よ、寄り過ぎだよプロデューサー……//」
P「聞こえるだろ、『ミートヒーリングミュージック』が!! 福音が!!」
P「地獄の黙示録の『ワルキューレの騎行』のような……!!」
P「肉が奏でるオーケストラ、その圧倒的で破壊的で芸術的なハーモニー……!!」
P「鉄板の上で踊る、焼いている音が……!!」
P「――来たぞ」
店員「お待たせしました、スペシャルトリオランチでございます」
店員「ソースはこちらでおかけしても――」
P「オナシャス!! センセンシャル!!」
美嘉「――!?」
店員「かしこまりました。それでは――」
ジュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ
P「ファーwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
美嘉「――ッ!?」
美嘉(こ、この『ソースが焼ける匂い』はッ!!)
美嘉(久しぶりにステーキ屋さんに来た……。だから忘れてた……)
美嘉(そうだ……!! ステーキは『エンターテイメント』だった……!!)
P「この音色以上に、この世に美しい音があるだろうか(反語)」
P「そして、鉄板でソースが焼ける匂い……。昼のナパームの臭いは格別だ……」
P「まさに芸術であり最高のエンターテイメント!!」
店員「鉄板が大変お熱くなっておりますのでお気をつけください」
店員「ソースが足りなくなりましたら、こちらの容器からお好みでおかけになってください」
店員「それでは、失礼します」
P「……圧巻だ。開いた口が塞がらなかった」
P「未だ聞こえるこのミートミュージックをずっと聞いていたい……」
P「まるで原始に戻ったような……。懐かしい響き……」
P「匂い、そして音は人間の記憶を呼び覚ます」
P「家族に連れられ初めて訪れた日……。そして、休日練習の後に部活仲間と訪れた日……。なんでもないようなことが、幸せだったと思う……」
P「二度とは戻れない、あの思い出を連れて来る――このメニューが」
美嘉「……」ゴクリ
P「美嘉……。名残惜しいが冷めたらまずい。いただくとしようか」
美嘉「う、うん……」
P「では、いただきます」
P「……」カチャカチャ
美嘉「……え!?」
P「どうした?」
美嘉「いや、お肉から頂くのかと思った……」
P「ああ、これか……。これはな、『俺流』だ」
P「まず、店員さんが置いていってくれたこのソースポット、もしくは鉄板にかかったソースをこうやってスプーンや箸ですくって……」
P「ご飯にドン! だ」
P「そして、まずはソースでご飯をいただく……!!」
P「これが俺流、『底辺ステーキソースご飯』だ!!」
P「 う゛ ん゛ め゛ え゛ !! 」ハフハフッ
美嘉「う、うわぁ……(ドン引き)」
P「何だよ。美嘉もやってみろ」
美嘉「そ、それは……」
P「俺が勝手に美嘉の分のソースも『宮のたれ』にした理由が分かるぞ」
美嘉「そ、そこまで言うなら……」
美嘉「こうして――いただきます」
美嘉「……」モグモグ
美嘉「――ッ!?」
P「ふふっ、感じたか――小宇宙(コスモ)を」
美嘉「こ、これは……!!」
美嘉(香ばしく、あまじょっぱい……!! 味は濃厚なのにしつこ過ぎず、爽やかな感じさえある……!!)
美嘉(この物体は玉ねぎかな……。なるほど、特徴的な甘みは玉ねぎのものだったんだ……)
美嘉(それから、このしょっぱさと香ばしさは醤油かな……? ニンニクも入ってる気がする……)
美嘉(醤油のしょっぱさ、そしてニンニクのアクセント、玉ねぎの甘み……)
P(――酢も入ってるぞ)ニヤリ
美嘉(こいつ……!? 直接脳内に……!!)
美嘉(そっか、この爽やかさはお酢だったんだ……!!)
P「そのたれには玉ねぎ、ニンニク、醤油、酢しか使われていない」
P「シンプルなのに、その深み……。シンプルイズベストとはこいつの為にあるようなものだ」
P「――どうだ?」
美嘉「……」
美嘉「……ッ!!」モグモグ
P「……取り憑かれてしまったか」
P「さて、俺は肉を食うか」
P「ハンバーグ、チキン、ソーセージ……。どれにしようかなぁ」
P「よし、ハンバーグだぁっ☆」
P「いただきまぁす!」
P「……」
P「んんんんんんッ!! う゛ま゛い゛!!」
P「肉汁こぼれるハンバーグそれ自体も最高だが、宮のたれがかかったハンバーグはもう……!!」
P「難しい言葉などいらぬッ!!」
P「おいしい――その一言に全てを込めるッ!!」
P「俺は今、幸せを頂いているッ!! ありがとうッ!!」
P「肉を食べたら、間髪入れずライスをイン!!」モグッ
P「ん゛ん゛ッ!!」
P「次はチキンッ!! そしてソーセージもっ!! 付け合わせのスパゲティやポテトもたれに絡めて最高よっ!!」
P「選べることがこれほど幸せとはっ!!」
P「んんんんんんんッ!!」
美嘉「――ッ」ボーゼン
P「美嘉、どうした?」
美嘉「あ、気付いたらライスが……」
P(お前……。ソースだけでご飯を一杯、平らげてしまったか……)
P「ライス、食べてしまったんですか……!?」
美嘉「……うん」ションボリ
美嘉「ライスが……!! なくなっちゃったの……!!」
P「――ッ!!」ドキッ
P(あのカリスマギャルが……。宮のたれの衝撃的なうまさによって幼児退行した……!?)
P「よ、よくあることだ……。安心しろ、美嘉」
美嘉「えっ!?」
P「ご飯も お か わ り 自 由 だ」
美嘉「――ッ!?」
P「そう、ランチタイムはごはんのおかわりも無料だッ!!」
P「もちろん、食べるだろ……?」ニヤッ
美嘉「た、たべりゅ……//」パアアアッ
P「――すみません!!」
店員「ハイサイ!!(我那覇)」
P「ライスのおかわりを、『東京ドーム』でっ!!」
美嘉「――ッ!?」
店員「――ッ!!」
店員「何言ってんだコイツ(あの、それは一体……?)」
P「あれ、学生時代はこれで通じたんだけどな……。あはは……」
美嘉「プロデューサー、そんな地下鉄成増駅を営団成増駅と未だに呼んで駅員を困惑させるおじさんみたいなことやっちゃだめだよ(実話)」
P「す、すみません……。ライスのおかわり大盛りでお願いします!!」
店員「かしこまりッ!!」
P「あれぇ……。東京ドームって言ったら大盛りでくれたんだけどな……。ローカル過ぎたか……」
美嘉「東京タワーならいけたんじゃない?」
P「それはないだろ」
美嘉「えぇ……」
P「それを言うならスカイツリーだろ」
美嘉「それはない」
P「……」
美嘉「……」
美嘉「……ふひっ」
店員「お待たせしました。ライスです」
P「ありがとうございます」
P「……」
美嘉「……」
P・美嘉((戦争の始まりだ……!!))
P(それからは、ただ無言でスペシャルなトリオランチとライスを貪るように食った)
P(まるで血に飢えた野獣のように――本能のままに。牛・鳥・豚を)
P(まっさらになった鉄板と皿……。結局、ライスを何杯平らげたか記憶が定かではない)
P(美嘉も同じ……。宮のたれが入ったソースポットはあっという間にエンプティ)
P(そうして『締めのコーンポタージュ』も堪能し、最上級の幸福、その余韻に浸っていた……)
P「……」
美嘉「――凄いね、ステーキ宮」
P「……だろ?」
美嘉「おいしいお肉を、こんなお得な値段で食べられるなんて」
美嘉「アタシ、高級なお店よりこういうお店の方がいいかも……。なんかアットホームっていうか……。もちろん、高級なお店の方が味は上なんだろうけど」
P「まったくもって同感だ」
美嘉「それに、宮のたれが美味しすぎて……。これって、お店とかに売ってないのかな……」
P「ふっ……。さすがだな美嘉」
美嘉「……?」
P「あそこ――レジのカウンターを見てみろ」
美嘉「……あっ!!」
P「そう、宮のたれは市販されているッ!! スーパーにもあるぞ!!」
P「使い切りタイプとボトルタイプがある。一般的なソースと比べると割高になってしまうが、ステーキ宮の味を家庭で再現できるとなれば安いもんよ!」
P「これを使えばあら不思議!! ただの焼いた肉が最上級のそれへ変わる!! というか宮のたれの味しかしないっ!!」
美嘉「それ、褒めてるの……!?」
P「肉料理の他にも、もちろんサラダにかけてもよし! なんなら、俺たちみたいにご飯にかけて食ってもいい! 貧乏学生はこのたれさえあればおかずはいらない!(大嘘)」
美嘉「そうなんだ……」
P「家庭用にここで一本買ってくか! 奢ってやるZO! 是非ともカーチャンに勧めてくれ!」
美嘉「……えっ」
美嘉(そうだ――プロデューサー、このたれ大好きみたいだし、これを使ってお弁当でも作ってあげたいな//)
美嘉「そ、そうだね……!」
P「よし、それじゃお会計としますかっ!」
美嘉「うん……」
美嘉(なんか凄いホッとした……。この時間、ずっと続いたらいいのに……)
美嘉「……」
美嘉「――プロデューサー」
P「……?」
美嘉(でも、ちゃんと言わなきゃ……!)
美嘉「あのさ……」
P「……」
P「――人間、選択肢があると幸せだよな」
美嘉「……!?」
P「もちろん、一本の道を極めてる奴はほんとに凄い」
美嘉「……?」
P「俺な、プロを目指してた時期があったんだ」
美嘉「……プロ?」
P「まあ、こんなこと恥ずかしくてお前くらいにしか言えないが……。とある競技のプロフェッショナルになりたかった」
P「自分で言うのもなんだが、部活の中ではうまい方で、地域でもそれなりに名前が知られてた」
P「――それで天狗になっちまったんだな」
美嘉「……!!」
P「ステージが上がれば上がるほど、地域で有名な奴なんて一般レベルになる。それどころか、全国で有名な奴が争って、それで勝った少数だけがようやくプロになれるんだ……。俺はまさに『井の中の蛙』ってやつだった。俺みたいな奴が『プロになりたい』なんて軽々しく口にしていい世界じゃなかったんだ」
P「そんなろくでなしが壁にぶち当たったらどうなるか――燃え尽きた」
P「燃え尽きて、そしてホントにクズみたいな時間を長く過ごしたよ」
P「俺はプロになれたかもしれない、俺はあの時輝いていた――」
P「そんな言葉を言い訳にして、必死に言い聞かせていたクズだ」
美嘉「プロデューサー……」
P「――だから他の人間には、大切な人間には同じような思いを味わって欲しくない」
美嘉「……!!」
P「もちろん、美嘉は俺のような人間じゃない。お前は才能もあるし、ちゃんとした意識を持っている。実直な努力も怠らない」
美嘉「そんな……」
P「だからお前が『アイドル一本に集中する』っていうなら、俺はそれを全力でサポートするだけだ」
美嘉「……」
P「ただ、もしこれからお前の前に困難が立ちはだかった時……」
P「アイドルに集中していたから、アイドルなんてしていたから――そういう後悔の言葉や言い訳を使って欲しくないんだ」
美嘉「――ッ!!」
P「美嘉はそんな人間じゃない……。でもこれだけは言っておきたかった」
P「――俺がそうだったから」
P「燃え尽きて、気がついたら俺は何も持っていなかった。あの時もっと真面目に勉強しておけばとか、努力しておけば良かったとか、後悔しかなかった。道がなかった」
P「だからお前には、広い世界を見て欲しい」
美嘉「広い、世界……」
P「ああ、この世界は狭いけど広い。お前は何にだってなれる」
何にだってなれるのよ――
美嘉「……!!」
P「一本の道に集中することは大切だ。だが、一本の道でも途中で分岐することがある」
P「そして、分岐点は多い方が幸せだ」
美嘉「……え?」
P「あのスペシャルトリオランチと同じ――ハンバーグを先に食べようか、それともチキンか、ソーセージもいい」
P「そんな、選べる幸せがある」
P「その選択に悩めることは不幸じゃない、悩めるうちが幸せだ。クライマックスまでの過程でワクワクするのと同じように」
P「そうして、分岐した道はやがて一本に収束するんだ」
P「どの分岐点もお前を不幸にはしない。万が一不幸があっても、それはお前の人生を鮮やかにする肥やしとなる」
P「だから色んな世界を見て、色んなものに触れて、そうして成長して欲しい」
P(……俺は美嘉の親父かっ!)
美嘉「プロデューサー……」
P「この前も、こういうことを言おうとしたんだが……。なんだか説教くさいよな。すまん……」
美嘉「そんなこと……!」
P「さっさと会計しちゃおうぜ――」
美嘉「あ、待ってよ……!」
【店の外、駐車場】
P「帰るかぁ……」
美嘉(ここで言わないとダメだ……!!)
美嘉(プロデューサーが行ってしまう……!!)
美嘉(行って欲しくない……!! 傍にいて欲しい、傍にいたい……!!)
美嘉「プロデューサー……!!」
P「おぅっ!? 急に大声出すなよ。オラ死ぬかと思った――」
P(振り返った、その瞬間)
美嘉「……!!」ギュッ
P「お、おい……!?」
美嘉「プロデューサー……!! ごめんね……!!」
美嘉「ごめんなさい……!!」
P(美嘉が、俺の胸に飛び込んで来た)
P(顔を埋めて、こもる泣き声)
P(それは、俺の体内へジワリと浸透する)
P「お前が謝る必要はないぞ」
美嘉「そんなことない……!! アタシ、プロデューサーに酷いこと言った……!!」
美嘉「それに、全部図星だし……! 自分に、プロデューサーに甘えてた……!」
美嘉「アイドルを言い訳にしてた……!!」
P「美嘉……」
美嘉「でも、もう言い訳なんてしない……!! 自分で選んだ道を、後悔なんてしたくないから……!!」
P「……ああ」
美嘉「だからさ、プロデューサーを辞めないで……!!」
美嘉「アタシ、もっとプロデューサーの傍にいたい……!!」
P「美嘉……」
美嘉「プロデューサー……」ギュウウッ
P「……」
美嘉「……」
P「辞めるって、なんだ……?」
美嘉「……え?」
P「いや、俺プロデューサー辞めるなんて言ったっけ……?」
美嘉「え……。じゃあ、地元に戻ったのは……」
P「あ、そういや言ってなかったな――友人の結婚式に参列してたんだよ」
美嘉「……え」
P「すまんすまん。いやぁ、周りから独身がどんどん減ってくから寂しいもんだよこんチクショー」
美嘉「……」
P「どうした……? というか、美嘉は何で俺が辞めるって思ったんだ……?」
美嘉「だって、地元に戻るって事務所の中から聞こえてきて……! もしかしたら両親に仕事を辞める報告とか、相談とかしてたのかなって……!」
美嘉「奏も『それはないから』って言ってくれたけど、アタシ心配で……!」
P「あ……(遠い目)」
P「いやぁー……。なんかすまん。俺の方こそすまん」
美嘉「……」
美嘉「……ッ//」
美嘉「も、もう知らないプロデューサーのバカッ//」
P「お、おい待て……!! オコなの!? 美嘉ちゃんオコなの!?」
美嘉「オコだよ!!」
美嘉「もう、早く帰るよ!!」
P「ごめんってばぁ――あっ」
美嘉「……?」
P「美嘉、助手席……」
美嘉「……ッ!!」
美嘉「や、やっぱこっちの方が座り心地良いからさっ! それだけ、別に特別な理由とかないし……!!」
P「いただきました、ツンデレ」
美嘉「ツンデレいうなし……!! 早く車出してよ!!」
P「はぁーい(恍惚)」ホクホク
美嘉「に、ニヤニヤするなキモいっ//」
P「しゅっぱーつ☆ にょわー☆」バァン!
美嘉「……」
P「……」
美嘉(心地よい沈黙が、満腹の体に睡魔を連れて来る)
美嘉(体だけじゃなく、心も満たされた……)
美嘉(プロデューサーと、それからあのステーキ宮はズルい)
美嘉(アタシの心の深くに簡単に入り込んで、あっという間に染め上げてしまう)
美嘉(でも、それがいい……)
美嘉(社用車の中がステーキ臭い……。きっと、アタシとプロデューサーも同じ臭い)
美嘉(でも、その事実が嬉しくて……)
美嘉(他の人から見たら、あそこはただの一般的なレストランかもしれない……。でも、アタシにとっては思い出の場所になって……)
美嘉(そしてあのスペシャルトリオランチは、アタシにとって『仲直りの味』となった――)
大切なのに傷つけて 傷つけるのに守りたくて
それでも弱さを見せ合って 温め合って積み重ねて来た――
美嘉(いつか拒絶したカーステレオ……)
嬉しくて上手く笑えなくて 悲しくて上手く泣けなくても
目に見えない心のかたちを 確かめ合って朝を迎えるんだ
迎えよう――
美嘉(そこから流れる音楽が、今は雪のように染み渡る)
【それから――とある路上】
美嘉「それでさ、先生も『言い過ぎた』って言ってくれて――」
P「まあ、なんにせよ和解できたみたいで良かったな」
美嘉「うん!」
美嘉「あー、でもさー……」
P「……?」
美嘉「仲直りしてから、先生の熱血具合がどんどん激しくなって……」
P「まあ、応援してくれてるならいいじゃないか」
美嘉「そうなんだけど、なんというか――」
外国人「Excuse me?」
P「――!?」
P「あ、yeah」
外国人「Where is Takeshita street?」
P「竹下通り……? あー、えーと……」
P「Go straight(too about)」
外国人「Go straight……。Untill go straight?」
P「アンティル!? どこまでまっすぐ!? ええと……」
P「アイアムえーっとスチューデント(錯乱)」
外国人「Oh, Crazy Japanese……」
P「はぁ、これはどうしたものか……」
美嘉(――あ、これ進研ゼミでやったやつだ☆)
美嘉「Vous allez tout droit cette avenue environ dix minute. Et, Il y a la porte de temple shinto. Donc, Passez la. Et, Tournez a gauche. Vous arriverez Harajyuku gare. Rue Takeshita est pres de la gare」
外国人「Oh, Danke schöne」
美嘉「Bon voyage!」
P「お前ら一体何人だよ」
美嘉「――どう? アタシも結構やるっしょ★」
P「結構どころじゃないんですがそれは……」
美嘉「アタシさ、決めたんだ」
P「……?」
美嘉「アイドルも、勉強も、上を目指すって!」
美嘉「勉強だって、どうせやるならいいところまで行きたい!」
美嘉「そうやって、広い世界を知りたい」
美嘉「――そういうことでしょ?」
P「……」
P「ああ、そうだな!」
P「頼んだぞ、カリスマ!!」
美嘉「へへっ☆ 一緒に頑張ろうね、プロデューサー!!」
P「おう!」
美嘉「それと――」
P「……?」
美嘉「この前プロデューサーは『自分は駄目なやつだ』って言ってたよね?」
P「お、おう……」
美嘉「そんなことない――アタシにとっては、今のプロデューサーも輝いて見えるよ!!」
P「――ッ!!」
P「……ありがとな」
美嘉「ふふっ、また一緒にステーキ宮に行こうねっ//」
P(彼女は今、確実な一歩を踏み出した)
P(この先、そんな彼女の前にも数々の壁が立ちはだかるだろう)
P(しかし彼女は知っている――一歩一歩の積み重ねがあれば、それを乗り越えられると)
P(一日20分、されど20分。その積み重ねが未来の自分を作る……!!)
P(さあ、君も進研ゼミで未来への投資をしてみないか――!?)
【蛇足】
楓「なるほど。ステーキとは素敵ですね」
奏「……」
美嘉「……ガハッww」
奏「ステーキかぁ……。最後に食べたのいつだったかしら……」
美嘉「ふふ~ん、いいでしょ★」
奏「まぁ、ステーキも食べたいけど、’’プロデューサーさんと’’食べるチキンカツカレーが一番ね――ゴーゴーカレーの」
楓「……」
美嘉「……」
美嘉「あ、アタシはやっぱり’’プロデューサーと’’食べるスペシャルトリオランチが最高かな! ステーキ宮の♪」
楓「……」
奏「……」
楓「私は『これ!』というメニューはありませんが、’’プロデューサーと’’お酒を飲むのが楽しいです――日高屋で」
美嘉「……」
奏「……」
楓「……」
ちひろ「――そ、そういえば! プロデューサーさんがこの間参列された結婚式なんですけど、プロデューサーさんと新郎さんは同級生で同じ部活だったようですよ!?」
ちひろ「プロデューサーさん、一体なんの部活をやられていたんでしょうねぇ!?」
楓「……」
奏「……」
美嘉「……」
ちひろ「……」
美嘉「アタシは、サッカーっぽい気がする! なんかそんな雰囲気するし!」
奏「ダメね美嘉……。あの長くしなやかで、それでいて引き締まった腕と脚……。そしてたくましい肩回りはきっと野球に違いないわ。伸びるストレートを投げる長身ピッチャータイプね」
楓「確かにそれも一理ありますが、あのワイシャツやスーツの上からでも分かる盛り上がった広背筋、綺麗な逆三角形……。そして、一見細く見えるけどグッと引き締まったふくらはぎ……。あれは、恐らく格闘技かもしくはボクシングでしょう。私はボクシングと推測します」
ちひろ「なるほどー。そうですね、私は――」
P「お、盛り上がってますね(話が)」
美嘉「あ、プロデューサーお疲れっ☆」
奏「いいところに来てくれたわね」
P「お? なんだなんだ?」
楓「プロデューサーって、学生時代は何の部活をされていたんですか?」
P「部活? 部活は――」
美嘉「あー、ダメ! みんなで当てっこしてるんだ!」
P「そういうことか……」
奏「一発で当ててみせるわ――野球でしょ?」
P「野球ではないなぁ」
奏「そんな……」
美嘉「奏、残念でしたぁ~★ アタシが当てちゃう! サッカーでしょ!?」
P「サッカー、でもないな」
美嘉「えぇ!? 嘘っ!?」
奏「ふふっ、あなたもまだまだね」
楓「ここは私が終わらせてみせます――ずばり、ボクシングでしょう」
P「いや、違うな」
楓「格闘技ではありませんか?」
P「うーむ……。格闘技っぽい要素はあるが、チームスポーツかなぁ」
楓「え……」
ちひろ「一般的なサッカー、野球でもない……。そして的確にも見えたボクシングという説もまさかの不正解……」
ちひろ「一体、何の部活動をされていたんですか?」
楓「……」
奏「……」
美嘉「……」
ちひろ「……」
P「……」
P「カバディです」
四人「「「「――へ?」」」」
P「だから、カバディです。カバディ」
ちひろ「えーと、インドの国技で『カバディ、カバディ……』って言いながらプレイするあのカバディですか……?」
P「ええ。まさしくそれです」
奏「走る格闘技とも称される激しいスポーツね……(灼熱カバディという漫画は少し読んだことあるわ)」
楓「なるほど、『格闘技の要素もある』というのはそういうことだったんですね」
美嘉(インド……。パッと思いついたのがタイガージェットシンくらいかなぁ……)
楓「それにしても、一部の大学のサークルや部活動ならまだしも、中学や高校の部活でカバディとは聞いたことないですね……」
P「そうか? バリバリ人気あるけどな。部活動の花形の一つだ」
奏「そんな風潮や地域、この国にあったかしら……」
美嘉「なんか、話が噛み合ってない気がする……」
ちひろ「えーと、待ってください――プロデューサーさんの出身地ってどこですか?」
楓「そうですね、そこから聞いた方がいい気がします……」
P「出身地ですか? コッテですね」
四人「「「「――んん?」」」」
P「コッテですよ、コッテ(天海春香)」
P「ああ、そっか――スリジャヤワルダナプラコッテです」
ちひろ「えーと、そこって確か――」
P「スリランカです」
終
※スリランカにステーキ宮はありません。
ありがとうございました。
乙
調べたら近くにあったので明日にでも行ってみる
>>60
ありがとうございます。
ここで書いた仕様と実際は違う可能性もありますが、もしそうだったらすみません! ご了承ください!
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