【ラブライブ!】私のダイヤちゃん【サンシャイン】 (65)

二期4話の後日談?的な話です
キャラ崩壊・・・はご容赦を

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『曜ちゃん・・・。』

その日、私こと渡辺曜は真実の恋に目覚めちゃったかもしれません・・・。

何か真実のーなんて言っちゃうと、善子ちゃん辺りの精神世界に毒されたみたいだけど、違うんです!

それは、ある日の出来事でした・・・。

アイドル活動費の為に、水族館へバイトに来た私たち。

各々分かれてお仕事に励んでいたのですが・・・。

「ダイヤさん、何か言いました?」

後ろから、ダイヤさんが何か言われたような気がして振り向いたの。

あ、きっと子供たちへの風船プレゼントがやりたいのかなって思って風船を渡そうとしたときの事でした。

「ありがとう、曜ちゃん・・・。」

ちょっと俯き、つぶやく様に手を出してきたダイヤさんの口から発せられた衝撃の一言!

その威力たるや、一瞬で頭のてっぺんから足のつま先までを貫いて、私の全身を縛り付けました!

曜ちゃんって呼び方は極々当たり前で。仲のいい人の殆どは私の事をそう呼びます。

千歌ちゃんだって同じ。

でも、ダイヤさんから発せられたその言葉は未だかつてない程、私の感情に訴えかけてきたんです。

直後に善子ちゃんと何か話した気がするけど、そんな事は私にとって些細な事。

その後のバイトも何かフワフワしながら過ごしてて、気付けば家に帰りついていました。

帰宅してからも、ボーっとその言葉を反芻する。

『曜ちゃん』

『曜ちゃん』

『曜ちゃん』

普段、誰の事であっても「さん」付けするダイヤさんが私にだけ、私にだけ「曜ちゃん」って・・・。

きっと、ダイヤさんは私の事が好きなんだ。

そうに違いない!

私との距離を縮めようと、ダイヤさんは勇気を振り絞って『曜ちゃん』って言ってくれたんだ!

どうしよう・・・。

私には千歌ちゃんっていう、心に決めた想い人がいます。

ずっと片思い中だったけど、それを今更反故にするなんて・・・。

あぁでも、ダイヤさんに呼ばれた瞬間、私は逃れられない鎖に縛られた。

『曜ちゃん』と言われた時の、あの心の高揚!

激しく私を打ちのめしながらも、心を包み込む優しさ。

そんな人が私の目の前に現れてしまった。

「もう、全速前進するしかないよっ、ヨーーソローーーー!!!」

ベッドでクネクネしていると、突然部屋のドアが乱暴に開かれる!

「話は全て聞かせて貰いましタ!全力で、応援しまっショー!」

「ええ~~~!鞠莉ちゃん?!」

おかしいな・・・さっき叫んだ以外は心の中で呟いてたはずなのに・・・。

いやいや、突っ込むべきはそこじゃないよ。

「ノンノン。曜、さっきから心の声がダダ漏れネ!」

ビシッと指さす鞠莉ちゃん。

「この恋の指南は、マリーにお任せ♪」

自信満々にポーズを決める鞠莉ちゃん。

「オホン。それでは、幼馴染が語る!ダイヤ攻略指南~~~っ!」

いつもより1オクターブくらい高めのハイテンションで鞠莉ちゃんが猛っている。

「細かい小細工は無しネ!ダイヤには直球勝負!ヨーソローね!」

「は、はぁ・・・。」

弱冠、テンションに押され気味になりながら、ちょっと良く分からない指南に耳を傾ける。

「良い?曜!ダイヤはああ見えて、ガラスの盾。一度壊せばすなわち、ノーガード!」

「えっと、それはどういう・・・。」

「もぅっ!曜は肝心な所でヘタレさんの癖は治さないと!」

すごく酷い事を言われた気がする。

「だから、ダイヤは押して押して、押しの一手なのデェス!」

「それはつまり、ダイヤさんの鉄壁の防御を貫く全速前進?!」

「イエェス!一度突き抜ければ、そこは魅惑のパラダーイス!」

言いたい事を言いつくしたのか、上機嫌で鞠莉ちゃんは帰っていきました。

次の日、私は何時になくドキドキソワソワしてたと思う。

ダイヤさんに、あのダイヤさんを『ダイヤちゃん』って言う・・・。

ダイヤちゃんの想いに応えるんだ!

興奮しっぱなしの私を、千歌ちゃんと梨子ちゃんが怪訝そうに眺めてた気がするけど、そんな事はもうどうでも良いの!

千歌ちゃん、ごめんなさい!

私は今日、ダイヤちゃんのものになります!!!

キーーンコーーンカーーンコーーン

私の航海を告げる汽笛が鳴り響く!

ダイヤさんは、普段直に部室へ来ない。

立場上必ず生徒会室へ立ち寄ってから部室へ来る。

チャンスはここしかない!

「千歌ちゃん梨子ちゃん、ちょっと用事があるから先に行ってて!」

私は大急ぎで荷物をまとめると、生徒会室へ走る。

「曜ちゃん、今日はどうしたの?」

「さぁ・・・。」

生徒会室前。

この扉の向こうに、愛しのダイヤさん・・・もとい、愛しのダイヤちゃんが待っている!

ついに意を決し、ドアに手をかけたその時!

「あら、曜さん。どうかなさいましたの?」

不意に背後から声をかけられ、ビクりとする。

しまった!

ダイヤちゃんに会いたい一心で本人より早く来すぎちゃった。

声の主を一瞬で理解し、高速の速さで振り向けば、そこには麗しのダイヤちゃんが!

あぁ、その綺麗な黒く長い髪。

端正な顔立ち。

劣情を煽るホクロ。

もう私を阻むものは何もないんだよ!

ダイヤちゃんの手をガッチリ掴むと、そのまま生徒会室の中へ連れ込む!

「ちょっ!」

ダイヤちゃんのささやかな抵抗も何のその。

部屋に連れ込むなり、私はダイヤちゃんを前に壁ドンをしていました。

「よ、曜さん?一体何ですの、これは。」

あぁ、不測の事態にちょっと腰が引けてるダイヤちゃん、すっごく可愛い・・・。

私は努めて冷静な振りをしながら、彼女の眼を見据え、乾坤一擲の一撃を放つ!

「ダイヤちゃん・・・。」

その瞬間、湯立つ程顔を真っ赤にするダイヤちゃん。

「だだだだ、ダイヤちゃん?!」

「昨日のダイヤちゃんの勇気、しっかり受け取ったよ。」

「ななな、何の事ですの?!」

「もう・・・、ダイヤちゃんって恥ずかしがり屋さんなんだから・・・。」

「よ、曜さん?冗談なら怒りますよ!」

「冗談なんかじゃないよ。それに、誘ったのはダイヤちゃんでしょ・・・。」

「ぅ、ダイヤちゃん・・・。」

私の攻勢に、完全に眼が泳いでる。

これはもうひと押し!

「ダイヤちゃん。私ね、ダイヤちゃんの事・・・。」

これを言ったら最後、もう後には戻れない!

「す(きになっちゃったみたい)。」

「ダーイーヤ、ちゃーーーん!」

私の告白を打ち破るように開け離れる扉。

その突然の出来事に、壁ドンの体勢のまま入り口に目をやる私たち。

『善子ちゃん(さん)?!』

二人の声が、微妙にシンクロしなかった・・・。

そこには、まごう事なき善子ちゃんの姿が!

「ヨハネよー!はっ、そうじゃない!」

もはや脊髄反射芸と化したやり取りを経て、善子ちゃんも私達に気が付く。

「ちょっと!何で曜がいるのよ!」

「なんでって、そっちこそなんでココに来てるの!」

一番いい時を邪魔されて、ちょっとカチンと来たせいか、言葉尻が強くなる。

「なんで?・・・フッ、私はついに常闇の世界へ身を賭したダイヤちゃんを迎えに来ただけ・・・。」

その言葉で、善子ちゃんは私の敵・・・いえ、好敵手『ライバル』なんだと直感した!

「と、とにかく!私の用事が先なんだから、善子ちゃんは外に出ててよ!」

ダイヤちゃんを挟んで、善子ちゃんと火花を散らす。

「ちょ、ちょっとお待ちなさい!何が何だか私にはサッパリ分かりませんわ!」

「良いのよ、ダイヤちゃん。堕天は怖くも恐ろしくもない。このヨハネが傍に付いているから!」

「何訳の分かんないこと言ってるのよ!ダイヤちゃんは私と一緒にヨーソローするんだから!」

「そっちこそ訳わかんないわよ!あんた千歌の事は良いの?!このまま梨子に取られても言いわけ?」

「なっ、千歌ちゃんは関係ないっ。そっちこそ、花丸ちゃんが黙ってないんじゃないの?!」

「お・ま・ち・な・さい!」

怒号と共に、私と善子ちゃんの首筋に鋭い手刀がヒットする。

明らかに取りに来てた手刀の鋭さに、私と善子ちゃんは意識を失いかける。

「はぁ・・・。さて、どうしてこんな事になったのか、最初から説明してくださいますわね?」







『プルプルプルプル』

何故かダイヤちゃんが肩を震わせている。

「つ、つまりお二人とも、私が”ちゃん”付けで呼んだことから、今回の行為に及んだと言う事なのですね・・・。」

『だってそうじゃない!あのダイヤちゃんが、私に親愛なる”ちゃん付け”してくれたんだから!』

この日一番の善子ちゃんとのシンクロ具合に、ダイヤちゃんはこめかみを抑えている。

これまたこの日一番の溜息をつくと、ダイヤちゃんは静かに息を吸い込む。

「宜しいですか?!私にお二人が勘違いしているような意図は、まっっっったくございません!」

『ええ~~~?!』

「そもそも私は、皆さんとの距離感を縮めたいと思っていたのです。特別な、ふ、二人の関係になろうなんて、これっぽっちも考えていませんでしたわ!」

ガーーーン!

これほど、この効果音が似合う場面は早々ないだろうなって感じ。

私も善子ちゃんも早とちりの勘違いさん?!

今に限って言えば、隣の善子ちゃんの気持ちが手に取るようにわかる・・・。

『勘違い』

『勇み足』

『痛すぎる暴走』

どれをとっても恥ずかしすぎる。

善子ちゃんも同じように肩を震わせながら俯いている。

「でも。」

ダイヤちゃんの言葉に私と善子ちゃんが顔を上げる。

「お二人が私の事をダイヤちゃんって呼んでくれた・・・ことに、ついては・・・、ことに、ついては・・・。」

何故か顔がどんどん赤くなるダイヤちゃん。

「す、素直に、嬉しいのですよ。」

少し視線を逸らし、吐き捨てるように呟く

ドギューーーーン!!!

・・・か、可愛い・・・。

これはもう、勘違いでも勇み足でも、痛すぎても構わないっ!

隣の善子ちゃんも、目がそう言ってる!

『だ、ダイヤちゃーーーーん!』

そう言って私と善子ちゃんが抱きつこうとしたちょうどその時、再びドアが勢いよくはなたれる!

「そっかぁ、曜ちゃんはダイヤちゃんの事が好きだったんだぁ。」

「善子ちゃんも恋愛に興味があったみたいで良かったズラ?」

「ち、千歌ちゃん?!」

「ズラ丸ぅ?!」

それだけではない。

更に向こうには、苦笑いをする梨子ちゃんルビィちゃんと、今にも吹き出しそうな果南ちゃんと鞠莉ちゃんまで・・・。

「どうして・・・なんで、みんなまでここに・・・。」

思わず言葉には出たが、何が何だか訳が分からない。

でも、そんな私や善子ちゃんよりも、体を震わせ空気を震わせる人が・・・。

「なるほど・・・。」

ゴゴゴゴゴって効果音はこういうときに使うんだ・・・なんて感心してしまう。

それほどの空気をダイヤちゃんは纏っていた・・・。

「果南さん・・・鞠莉さん・・・あなた方の差し金でしたか・・・。」

吹きだしそうに体を震わせていた二人が、一転して息を飲んで固まる。

「純情な曜さんと善子さんを弄ぶ所業・・・断じて許す訳にはいきませんわ!」

「だ・・・ダイヤ?これは、あのーそのー、ハグする・・・?」

「こ、これはほんの出来心なんデェス♪・・・。」

「笑止・・・、もはや問答無用!」

逃げようと踵を返した果南ちゃんと鞠莉ちゃんよりも数段素早く、ダイヤちゃんが間合いを詰める。

「言い訳は後でじっくり聞かせていただきますわ。」

そういうダイヤちゃんの後ろには、電光石火の手刀を首筋に受け、力なく崩れ落ちる果南ちゃんと鞠莉ちゃんの姿が・・・。

『か・・・。』

誰が発したのか判らない位一様に、みんなが言葉を発する。

『カッコいいーーー!!!』

「ねえねえ、ダイヤさん!今のどうやってやったの?見せて見せて?!」

「ダ、ダイヤさん。今のリズム、もう一回見せて?!」

「ダイヤさん。マルにも今のを教えて欲しいズラ!」

「お姉ちゃん・・・。素敵すぎるぅ。」

ぽかーんとする私と善子ちゃんを他所に、ダイヤちゃんとみんなが楽しそうにしている。

『終わった・・・。』

そんな空気が、ついさっきまで狂喜乱舞していた私達の間を吹き抜ける。

「よ、善子ちゃん?」

「よ、ヨハネよぉ・・・。」

「部室に行こっか・・・。」

「私もそう思ってたとこ。」

「何もなかった。今日は何もなかったんだよね?」

「そ、そうね・・・。」

今日は帰るまでみんなにイジリ倒され、その都度ダイヤさんが発狂すると言う事を繰り返していた。


家に帰りつくと、そのままベッドへ倒れ込む。

あ~~~!

ダイヤちゃんへの想いは一時の気の迷いだったのかなぁ。

それとも、千歌ちゃんへの想いを反故にしたから罰が当たったのかなぁ・・・。

もうっ、訳わかんないよー!

ベッドでクネクネしていると、突然ドアが乱暴に開け放たれる!

「はぁい!今日は残念でしたネ♪でも~、ダイヤの心に爪痕は残したはず!勝負はこれからヨ!」

またもやタイミングを計ったように現れる鞠莉ちゃん。

「あ、あのぉ鞠莉ちゃん・・・もしかして今も私の心の声ダダ漏れ?」

「イッエェ~す!このくらいの困難で、立ち止まってはいけませ~~~!」

言い終わらない内に、鞠莉ちゃんがバタリと倒れ込む。

「まったく、舌の根も乾かない内から・・・。」

その後ろには手刀を光らせたダイヤちゃんが!

「鞠莉さんも困った事ですわ。」

「あ、あのぉ、ダイヤちゃん?」

私がそう切り出した瞬間、ダイヤちゃんの眼が鋭く光りました。

「あ・・・。」

「私の発した発言が元とは言え、これでは示しがつかないのです・・・。」

私の意識は深い闇へと落ちていきました。

チュンチュン!
あ、あれ?
いつの間に私寝てたのかな。
昨日はダイヤちゃんに告白して・・・あれ?昨日はみんなと水族館でバイトしたんじゃなかったっけ?
寝起きのせいかな、記憶がハッキリしない。

なんかダイヤちゃんに告白して大変な事になった気がするけど、それって日曜じゃないよね。

んん??

今日は月曜日。

もしかして夢だったのかな・・・。

何かすごいリアルな夢だった気がするけど・・・。

こんがらがった記憶を整理しながら、支度を整える。

そっか、あれは夢だったんだ。

・・・そうだよね。

ダイヤちゃんが私や善子ちゃんの事をちゃん付けで呼んでくれる訳ない。

バスに揺られながら、当たり前のことを反芻している。

なんか変な寝起きのせいかいつもより早く学校に来ちゃった。

気を取り直して、校門を抜けようとしたときに後ろから声をかけられる。

『よ、曜ちゃん、おはようございます。』

以上になります。
本編では結局ダイヤさんはダイヤさんのままでしたが、こんなダイヤちゃんも良かったかなぁと書いてみました。

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