高森藍子「そして彼はすべてを投げ出した」 (13)
ワ-ワ-ワ-ワ-ヤミニノマレヨ-ワ-ワ-……
藍子「また、負けちゃいましたね……」
P「ああ……ごめんな勝たせてやれなくて」
藍子「Pさんが謝らないでくださいよ、私の実力不足が悪いんですから」
P「いや、俺が相手の実力を見誤ったせいで勝ち目の無いライブを組んでしまったから……本当にごめん、こんな無能なプロデューサーで……」
藍子「自分のことを無能なんて言わないでください。私はPさんがプロデュースしてくれたおかげで今アイドルをやれてるんです。ちゃんとファンの皆さんもついて来てくれます。だからPさんは無能なんかじゃないです」
P「……ありがとな藍子。ほんとは俺が励ましてあげるべきなのに……」
藍子「どういたしまして。さっ、明日からまた一緒に頑張りましょうっ!」
P「……ああ!」
P(本当は藍子だって辛いはずだ……俺のせいでまた辛い思いにさせてしまった。もっと藍子のために頑張らなければ……もっと、もっと)
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まさかの酉文字化け
P カタカタカタカタカタカタ……
ガチャ
ちひろ「プロデューサーさん、またこんな時間まで残ってるんですか?」
P「あれ、ちひろさん。どうしたんですか?」
ちひろ「私は家の鍵を忘れたので取りに来ただけです。それよりプロデューサーさんですよ。昨日も遅くまで残ってましたよね」
P「なんで知ってるんですか……まあ、次こそは藍子に勝たせてやりたいですから」
ちひろ「藍子ちゃんのために頑張るのもいいですけどちゃんと休んでくださいよ?」
P「わかってますよ。もう少しやることあるので戸締りは任せてください」
ちひろ「はぁ……言ったそばからそれですか。スタドリ、ここに置いておきますけどできれば飲まないで帰ってください」コト
P「ありがとうございます。えーと、お金は……」
ちひろ「今日は私の奢りです、ではおやすみなさい」
P「おやすみなさい」パキッ ゴクッゴクッ
ーーーーーーーーーー
P カチッ……カチッ
P(やっぱり設備がなあ……せめてもっと良い環境があれば……)
P(藍子は絶対にトップアイドルになれる素質がある。ライブで勝てないのは藍子の素質を引き出せてない俺が原因だ……)
P(いっそのこともっと大きなプロダクションに……)
藍子「おはようございま……Pさん?!酷い隈……もしかしてずっと仕事してたんですか!?」
P「ああ、おはよう藍子。んーまぁ今は大切な時期だし、藍子の為にもこれくらいはしなきゃな」
藍子「私の為って……とにかく今はもう休んでくださいっ!」
P「いや、もう営業に行かなきゃだから。ごめんな、藍子の送迎はいつもどおりちひろさんに頼んであるから。じゃ行ってきます」
藍子「ちょ、ちょっと!Pさん!……もう……」
ちひろ「プロデューサーさんが徹夜で仕事してた?」
藍子「はい……隈も酷かったですし、たぶん仮眠すら取ってないと……」
ちひろ「まったくあのプロデューサーは……」
藍子「……私が勝てないからPさんがあんなに無理して」
ちひろ「違う違う、プロデューサーさんが無理するのは不器用なくせに熱意が無駄に高くて妥協しようとしないからよ。もっと効率的にやればいいのに変なとこにこだわるから、まあそれだけ藍子ちゃんが大事にされてるってことよ」
藍子「私を大事に……ふふ」
ちひろ「嬉しそうね……まあうちみたいな弱小プロダクションが今やっていけてるのはプロデューサーさんと藍子ちゃんのおかげなんだからもっと自信持っていいと思うわ、と着いたわよ」
藍子「ありがとうございます、ちひろさん。行ってきます」
ちひろ「行ってらっしゃい」
ーーーーーーーーーー
P「……はい、はいっ!宜しくお願いします!ありがとうございました!」
P(よしっ!これでレッスン場の件はどうにかなりそうだ。後はもっと知名度を上げるためにももっとメディアへの露出を……)フラッ
P(ッ……!危ない、今は倒れてる暇なんて無いんだ)
P(次のliveバトルまで後2ヶ月。それまでに少しでも藍子の為に……)
P(スタドリを多めに買っといてよかった……ほんと良く効くもんなこれ)パキッ ゴクゴク
P「さて、頑張るか。次こそ藍子を勝たせてやらなきゃ」
ーーーーーーーーーー数日後
藍子「それで話って何ですかPさん?」
P「ああレッスン場の事なんだがな、来週から新しい場所に変わるぞ!設備も今よりもっと良いやつになる!」
ちひろ「今の場所もそこまで悪くない筈なんですけどねぇ。で、どこになるんですか?」
P「ああ、場所はCGスタジオ、レッスンは基本的に他のプロダクションのアイドルとの合同レッスンとなる」
ちひろ「は……し、CGスタジオってあのCGプロダクション附属の!?そんな大手の場所のレッスン代なんてうちにはとても……それ以前にどうやってそんなとこに」
P「地道な営業の成果です。あとお金は気にしないでください、その……意外と安く済んだので」
藍子「あの……CG プロって良く聞きますけど、そんなに凄い場所なんですか?」
ちひろ「凄いも何も規模だけで言えば最大級の超大手プロダクションよ……たしか、前藍子ちゃんが負けた神崎蘭子もCGプロだったはずよ」
藍子「そ、そんな凄いとこに!?わ、私やっていけるんでしょうか」
P「大丈夫だ!藍子は才能ならあの神崎蘭子にも負けてない、それにうちだけじゃなくて他のプロダクションからもレッスンを受けに来る子達がいるからな。きっといい刺激になるはずだ」
藍子「……はい!私頑張りますねっ!」
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