【モバマス】堀裕子「素直になれないから」 (11)
ご無沙汰しております。新米Pです。
限定奏さんが引けなかった悲しみから立ち直ったので、推しであるユッコのSSを書きました。
世間ではポッキーの日ということでポッキーSSが多いですが、流れに逆らってポッキーはおろかプリッツすら出てきません
今回、壮大にキャラ崩壊している可能性があります。また、相変わらずのにわか知識ですので、不快な点などはご指摘いただけるとありがたいです。
地の文含みます。よろしくお願いします。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1510402542
私は、最近プロデューサーの事が怖いんです。
あ!とはいっても、怒られるからとか、そういうことではないんですよ!
ただ、不安になってしまうんです。
私はいつか見捨てられてしまうのではないか、と。
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堀裕子(以下裕子)「ムムムムーーーン!!もう少しです!そう少しでサイキックパワーが…!」
MC「オーケーオーケー!ゆっこちゃん、面白い一発芸ありがとうございました!」
地方テレビの収録。
新人アイドル特集と題された企画にプロデューサーの頑張りもあって私は出演しました。
けれど、結果はダメダメ。
私のサイキックパワーは運悪く発動せず、
MCの人には軽く流されてしまい、スタッフさんには苦笑いされてしまいました…。
帰り道、プロデューサーさんはいつも私を車で送ってくれます。
裕子「ごめんなさいプロデューサーさん…。またダメでした…」
モバP(以下P)「しょうがないよユッコ。そういう日もあるさ!次の機会にまたがんばろう!な?」
そしてこれまたいつも通り、失敗した私を慰めてくれます。
そう、「いつも」
いつもいつもいつも。
私はプロデューサーさんにすら自分の力を見せれたことがありません。
それなのに、プロデューサーさんはいつもいつも頭を下げて仕事を取ってきてくれます。緊張している私を応援してくれています。失敗したら慰めてくれます。
本当に嬉しかったんです。私のことを信じてくれる人がいるということが。
でも、ふと考えてしまいました。
「プロデューサーは「いつまで」私を信じてくれるんだろう」と。
普通に考えてみたらおかしいと思ったんです。
なぜ見たことの無いものをいつまでも信じてくれるんでしょうか。
なぜ自分のプライドを捨てて頭を下げてまで、私を信じ続けてくれているのでしょうか。
でも、それを直接聞くことは出来ませんでした。もしかしたら、それを聞いてしまったらもうもとには戻れないかも知れないと、なぜかそう思えてしまえたから。
次第に私の中に不安と焦りが生まれていました。
はやく成功させなくてはいけない、と。
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P「いつになったら、成功するんだ?」
裕子「え?」
いつになく、プロデューサーさんは怖い顔をしていました。
P「早くみしてくれよ!そのサイキックってやつをさ!!」
バンっ!!と、デスクを力強く叩きました。
P「次の仕事でもし成功しなかったら、おれはお前の担当をおりるよ。」
待ってください。
P「まあ、どうせ次もダメだろうがな」
待ってください…
P「せいぜい新しいプロデューサーと、夢でもみてろ!」
裕子「待ってください!!!」ガバッ
勢いよく起き上がると、そこは真っ暗な私の部屋でした。
裕子「また、この夢…。」
最近、夢をよく見ます。
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「ーーーーコ。」
「ーーーーッコ?」
P「ーーーーーーーユッコ!!」
ユッコ「わわわ!!ひゃい!!!」
私は驚いて手に持っていた雑誌を落としました。
P「どうした、ユッコ。ぼーっとして。」
プロデューサーさんは落ちた雑誌を拾うと、ほら、と私に渡してくれました。
裕子「ありがとうございます。それが、最近サイキック寝不足でして…。」
原因はもちろんあの夢です。
P「サイキック寝不足ってなんだよっ!どうしたんだ?夜な夜なサイキックトレーニングでもしてるのか?」
裕子「えへへ、まあ、そんな所ですっ」
P「おいおい、ほどほどにしておけよ?もしもユッコが倒れたらと思うと、エスパーPはサイキック心配で仕事も手につかなくなっちまうよ。」
裕子「それ、仕事したくないだけじゃないですか?」
じとーっと見つめると、「あはは、ばれたか。」と目をそらしました。
裕子「まあ、そうですね、いつもお世話になっていますし、気苦労もたえないであろうPさんに、サイキック肩もみでもしてあげましょう!」
P「お?さすがユッコだ!コリの奥にとどきそうな名前の肩もみだな!」
それからは、談笑しつつプロデューサーさんの肩もみをしました。
私はこの何気ない一時が、とても幸せに感じれました。
プロデューサーさんがずっと近くにいてくれる気がして。
P「ふー、ありがとうユッコ、だいぶ疲れが取れたよ!」
プロデューサーさんは私の手が離れた肩を名残惜しそうに揉んでいます。
裕子「いえいえ!またいつでもいってくださいね!」
P「そうさせてもらうな。おっと、もうこんな時間か。次はダンストレーニングだっけ?」
裕子「はい!そろそろ行きますね!」
P「おう!がんばれよー」
本当は私の方が名残惜しいです。
手に残った微かな温もりが薄れていくのが切なかったです。
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ここはレッスンルームです。
最近は夏が近づいていることもあって、部屋は元からポカポカとしていました。
そこに私の熱気もくわわり、蒸し暑さを感じます。
裕子「はっ!ほっ!」
私は汗を足らしながら、おぼつかない足でダンスを踊っていました。
マストレ「そこでターンだ!」
裕子「はい!」
曲にあわせてターンを決めようとしたときでした。
裕子「あ…れ…?」
頭が急に重くなり、目の前に床の木目が飛んできました。
大きな音が頭に響きました。
そこからの記憶はありません。
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久しぶりに悪夢にうなされずよく眠れた気がします。
裕子「ん、んー…」
照りつける夕焼けに眩しさをおぼえ、目を覚まします。知らない天井が目に写りました。
裕子「こ、ここは…?」
P「ユッコ!目を覚ましたのか!」
横を向くとプロデューサーさんが安堵した顔で私を覗きこんでいました。
裕子「プロデューサーさん…?」
状況が飲み込めなくて混乱していると、それを察したのか、プロデューサーさんは説明を始めました。
P「ここは市内の病院だよ。ユッコがトレーニング中に倒れたから、救急車で運んでもらった。貧血だってさ。」
頭の中で整理するのに時間はかかりませんでした。私はまたプロデューサーさんに迷惑をかけてしまったんだな、と。
裕子「そっか…、私…。寝不足で…。ごめんなさい。迷惑をかけてしまいました…。」
P「まあ、気にするなよ!無事で何よりだ!」
Pさんは優しさでいってくれました。
でも、その言葉を聞いたとき、私のなかで何かが外れた音がしました。
裕子「気にしないわけ…ないじゃないですか…」
待って
裕子「いつもいつも失敗ばかりして、プロデューサーさんに励ましてもらって、それでも迷惑をかけてるのに」
待って
裕子「ただの自己管理不足で、貧血で倒れて病院にまで運ばれて」
待って…
裕子「お見舞いまでしてくれて!!それで、気にしないでって…!」
もう…ダメだよ…
裕子「あなたは何を考えてるんですか!?なぜ私を信じつづけてくれるんですか!?私はプロデューサーさんが怖くてたまらないんです!!」
言ってしまいました。もう、これで終わり。私はもう夢から覚めるべきなんです。子供の頃にみた自分の力はすべて夢だったんだと。それで、明日からは普通の子にもどるんです。
プロデューサーさんは、少し悲しそうな顔をしていました。でも、すぐに笑顔になりました。
P「ユッコはさ、自分の力を信じてるんだろ?」
私は力無く頷きました。
P「なら、俺も信じる。それだけでいいじゃないか。」
裕子「そんなの…、答えになってませんよ…。」
今欲しいのは慰めでも励ましでもありません。確かな答えなんです。
プロデューサーさんは一息つくと、
P「俺は知ってるんだよ。誰にも認めてもらえない辛さを。自分の言っていること、やっていることを誰にも信じてもらえない。それだけで、自分がどこにいるのかわからなくなるんだ。本当に自分は必要なのかわからなくなる。だから、俺はずっとお前の側にいてやりたい。ずっと応援してやりたい。ずっと信じていたい。それじゃあダメか?」
そう告げたプロデューサーさんの顔はとても切なそうに見えました。
私の目からは大粒の涙がボロボロと流れていました。
プロデューサーさんは自分の胸をポンとたたき、おいでと言いました。
私はプロデューサーさんの胸に顔をうずめ、ただただ泣きました。
裕子「怖かったんです。最近嫌な夢をずっと見るんです。プロデューサーさんが私をすてて遠くに言ってしまう夢を。」
P「ユッコ、もしかして寝不足って…。」
私は胸のなかで小さく頷きました。
P「はぁ、何してんだろうな、おれは。ユッコはいつも明るくてさ、ちょっとの失敗なんか気にしないやつだと思ってたんだ。でもさ、ユッコも女の子だもんな。辛いときは泣きたいし、誰かにすがりたいよな。ごめんな、気づいてやれなくて。」
裕子「謝らないでください!なにも悪くないですよ。」
P「いや、簡単な話だったんだ。たった一言かけてやればよかった。」
プロデューサーさんは、すぅっと息を吸いました。
P「俺はどこにもいかないし、ユッコを捨てたりしない。だから俺を信じて頼ってくれ。」
そう言い放ったプロデューサーさんの目はとてつもなく鋭くて、私の中の不安を切り裂いてくれたようでした。
涙が身体中の水分をすいとって、目から飛び出していく感覚でした。
裕子「それじゃあ二言です…」
照れ隠しで小言をいいました。
P「あ、あれ?そうか?ったく、こう言う時は素直に甘えろ!」
プロデューサーさんもちょっと恥ずかしかったのか、そういうと自分の胸に私の顔を押し付けました。
裕子「う、うぅ、うわぁああん!プロデューサーさん!!」
プロデューサーさんのぬくもりを感じた私は、とても安心して、しばらく泣いてしまいました。
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裕子「ムムっ!今日はちょっとサイキック腹痛でサイキックパワーが使えないみたいですね!昨日食べた牡蠣が当たってしまったのでしょうか」
MC「なんやねんそれ!仮病のいいわけかっ!」
ワハハハ!
MC「ユッコちゃん、お疲れさまー!今日も絶好調だねー!」
裕子「おつかれさまです!ありがとうございます!」
最近の私はお馬鹿タレントとしてバラエティー番組にひっぱりダコです。(不本意ではありますが!)
あの時、プロデューサーさんは私に言ってくれたんです。
「失敗を怖がって成功させよう成功させようと焦ったらダメだ。失敗しても、それを成功に変える。それが、ユッコのサイキックだ」と。
それからの私はみるみるうちに知名度をあげ、今ではいろいろなテレビ番組に出演させてもらっています。
プロデューサーさんには感謝してもしきれません。
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私は、最近プロデューサーさんの事が怖いんです。
あ!とはいっても、怒られるからとかそういうことではないんですよ!
ただ、不安になってしまうんです。
いつか、見捨てられてしまうのではないかと。
だって、私はアイドルでプロデューサーさんはプロデューサー。
今は駄目なんです。今はまだ。
でも、この思いを伝えなければいつかプロデューサーさんは他の女性とくっついてしまうかもしれない。
でも、素直になれないから。なってはいけないから、今はそっとあなたの背中に「その時が来るまで待っててください。」とテレパシーを送ります。
私は人生で初めて、失敗してほしいと思いながらサイキックを念じました。
プロデューサーさんはふと振り替えると、
「前にもいっただろ?俺はどこにもいかないし、ユッコを捨てたりしないって。」
と言って笑いました。
おしまいです。
・・・、果たしてこれはユッコなのでしょうか・・・?
前作といい今作といい、読みやすいように短くしているのですが、省略しすぎて葛藤とかが全然なくて不完全燃焼な感じがいたします。
かといって、長編をつくると私の文章力ではひどい出来になってしまいます・・・・。
本編でおバカタレントと書いておりますが、おバカアイドルに訂正します。
↓前作です。短めになっていると思いますので、お時間のあるお方は是非こちらもご覧いただければ幸いです。
【モバマス】速水奏「本当にお馬鹿さん」 - SSまとめ速報
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