楠雄(僕の名前は楠雄楠雄。超能力者である)
楠雄(超能力者と言うとスプーン曲げを行うバラエティな感じを連想するかもしれないが、僕は正真正銘の超能力者である)
楠雄(念力、透視、テレパシー、発火、冷凍、変身能力、物質復元…使える超能力は挙げればキリがない。しかし、普段はこの能力のことは隠している)
楠雄(騒ぎになると面倒になるためだ。そして僕は注目されることが嫌いなのだ)
楠雄(そのため普段は普通の高校二年生を演じ、平穏な毎日を送っている)
楠雄(はずだったのだが…)
裕子「もしかして、超能力者なんですか?」
楠雄(なぜこうなった)
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楠雄(僕の名前は斉木楠雄。超能力者である)
楠雄(超能力者と言うとスプーン曲げを行うバラエティな感じを連想するかもしれないが、僕は正真正銘の超能力者である)
楠雄(念力、透視、テレパシー、発火、冷凍、変身能力、物質復元…使える超能力は挙げればキリがない。しかし、普段はこの能力のことは隠している)
楠雄(騒ぎになると面倒になるためだ。そして僕は注目されることが嫌いなのだ)
楠雄(そのため普段は普通の高校二年生を演じ、平穏な毎日を送っている)
楠雄(はずだったのだが…)
裕子「もしかして、超能力者なんですか?」
楠雄(なぜこうなった)
楠雄(事の発端はこうだ)
楠雄(木に風船がかかってしまい、取れずに泣いている女の子がいた)
楠雄(超能力を使いその風船を取ったのだが、その風景をどうやら彼女…今も僕に話しかけてくる子に見られてしまったらしい)
裕子「超能力者なんですか!?」ズイッ
楠雄(女の子は俯いて泣いていたため、女の子に僕の姿を見られることはない。さらに周囲をテレパシーで探り誰もいなかったことまで確認した。そこまで調べて風船を取る超能力を使ったのだが…何故か彼女の存在に気がつくことはできなかった)
楠雄(前も風船関連で似たような失敗をしたため、今度こそ…と思ったのだが。変な気を起こすんじゃなかった。やれやれ…)
裕子「サイキックアイドルの私以外にも、超能力を使える人がいるなんて!」
楠雄(今は何と言いごまかそうか考えている最中だ)
裕子「しかし綺麗なサイキックでしたね!」
楠雄(サイキックなのか超能力なのか呼び方を統一してくれ。僕も言いにくい)
裕子「なんて名前のパワーなんですか?」
楠雄(また一つ増えた)
楠雄(彼女が普通の一般人ならばここで無視して逃げてしまってもいい)
楠雄(しかしそれはできない。なぜなら彼女はアイドルだからだ)
楠雄(下手にこの出来事をテレビショーなどで話の種にされてはかなわない。よって穏便に物事を済ませる必要がある)
楠雄(ちなみに、何故僕が彼女のことをアイドルだと知っているのかは…別に僕がアイドルのファンだからというわけではない)
楠雄(テレビや本は嫌いではないため、よく見るほうだ。なので彼女の顔を目にすることはある)
楠雄(嫌いな芸能人もいるため芸能情報はそこまで見ないのだが、彼女のことはなんとなく知っている)
楠雄(出来ない超能力を売りにするアホの子、という認識だった)
楠雄(ただの芸風の一つだと思っていたが…)
裕子「あ、私もお返しに超能力見せないとつりあいとれませんね!失礼しました」サッ
楠雄(急にスプーン取り出したぞ)
裕子「ムムーン!ムムーン!」
楠雄(必死になっているが曲がる気配は無いな)
裕子「サイキック力技ー!」ググッ
楠雄(物理的に曲げたぞ)
裕子「どうですか!曲がりましたよ!」
楠雄(なるほど正真正銘のアホの子か)
楠雄(アホの子ならば納得のいく点もある。テレパシー能力で彼女の思考を読み取ることが出来ないのだ)
楠雄(何も考えていないアホの同級生を知っているため、おそらくそれと同じだろう)
楠雄(最初に彼女の気配に気が付けなかったのもこれのせいだろうな…やれやれ)
楠雄(と、なると厄介だ。テレパシーで思考を読み取ることが出来ないとなると、彼女が今何を考えているかわからない)
楠雄(相手の考えていることが理解できれば、僕に有利に話を進められるのだが…)
裕子「超能力者なんですよね?」(超能力者なんですよね?)
楠雄(この通りだ。言うことと考えていることが同じなのだ)
楠雄(さて…どうしたものか)
楠雄(彼女は未だに僕にかまっている。辺りに人はいないが彼女が見つかればちょっとした騒ぎになるだろう)
楠雄(早く彼女の興味を逸らさなければならない)
楠雄(試しに風のせいとでも言ってみるか)
裕子「え?偶然風が吹いただけ?」
裕子「そうだったんですか…すいません!そうとは知らず付きまとってしまって…」
楠雄(単純すぎるだろう)
裕子「お詫びといっては何ですが、私が曲げたスプーンあげます」
楠雄(こんなカレーの食べにくいスプーン貰っても困るんだが)
裕子「じゃあ私はこれで…。…しょんぼり…」
楠雄(露骨にガッカリされているが仕方がない。僕も超能力者であることがバレるわけにはいかないのだ)
楠雄(さて、僕も帰るか)
裕子「あの、すいません!」
楠雄(!?)ビクッ
裕子「ここ、どこなんでしょう」
楠雄(…はい?)
裕子「サイキックの練習してたら…綺麗な色のちょうちょ見つけて」
楠雄(ちょうちょ?)
裕子「追っかけてきたら見たことの無い道に…ここにも最近来たので、詳しくなくて…。あはは、ここどこだかわかります?」
楠雄(確か僕と同い年だよな…最近の16歳ってこんなにアホだっけ?)
裕子「そうだ携帯で…無い!あああ!どうしよう」
楠雄(…。やれやれ)
楠雄(このあたりの地図を念写して渡すか)
裕子「おお、ありがとうございます!どこから取り出したんでしょう」
楠雄(気にしないでほしい)
裕子「色々とありがとうございました!えーっとこっちかな」
楠雄(やれやれ…一段落したな)
数分後
裕子「あ、また会いましたね!」
楠雄(何でだよ)
裕子「あれ?このへんぐるぐる回ってたのか…ええと…」
楠雄(最近のアイドルってこんなにアホだっけ?)
裕子「わかった!こっちだ!」タタタッ
不良A「ぐへへお嬢ちゃん可愛いね」
不良B「地図持ってどうしたんだい?手伝ってあげようか?」
裕子「ホントですか!」
楠雄(おいバカやめろ。何だ不良Aっていうわかりやすい名前は)
不良A「まずはこっちの裏道に…あいだだだだだ!いだだだ!」
裕子「?」
不良B「おいどうし…いだだだだ!何だ!いだだだ!」
裕子「あれ?おーい!…行っちゃった?」
楠雄(念力で耳をつねって追っ払っただけだ。危なっかしいな…本当にアイドルか?)
裕子「…一体何が?あっそうだ!早く帰らないと」
楠雄(そうだ早く帰れ。僕も帰ろう…)
楠雄(…。ん?)
裕子「はしを持つほうが東だから…わかった!こっちだ!」タタッ
楠雄(迷っている理由がわかった。持っている地図の向きが逆だ)
楠雄(あの調子だといつ辿りつくんだ?…仕方ない。少しだけ付き合ってやる)
裕子「あー…こっちだったんですね!どうもありがとうございました!」
楠雄(気にしなくていい。今度こそ僕は帰る)
裕子「それではまたー!」タタッ
楠雄(ちゃんと前を見て走れ。…待てそれ以上進むな。そっちは車道だ)
ブーン キキーッ
裕子「えっ?車…」
楠雄(何をやっているんだ!)
裕子「きゃっ!轢かれ…!」
フワッ ズズーン
裕子「…あ、あれ?車が浮いて通り過ぎちゃった…」
楠雄(…思わず念力を使ってしまった。それもこんな近距離で)
楠雄(これも風船のように勘違いしてくれるといいんだが…やめろそんな目を輝かせてこっちに来るな)
裕子「あの、やっぱり超能力者ですよね!」ガシッ
楠雄(oh…)
裕子「助けてくれてありがとうございます!」
楠雄(風のせいだ)
裕子「あんな強風吹きませんよ!サイキックを使ってくれたんですね!」
楠雄(君の力が目覚めたんじゃないのか)
裕子「まだ修行中なんです!」
楠雄(マズイな思った以上にぐいぐい来るぞ)
裕子「師匠と呼ばせてもらってもいいですか!」ズイッ
楠雄(チッ…仕方がない。この手は使いたくなかったんだがな…嫌な思い出に変えてやる。見せてやろう、この迷惑顔をな)
裕子「綺麗な髪の色ですね!」スッ
楠雄(いつの間に後ろに回り込んだんだ。見ろ、この迷惑顔を)
裕子「このメガネも変わった色してますね!」スッ
楠雄(いつ正面に回り込んだんだ。何なんだ君は)
楠雄(チッ…完全に弄ばれているな。心が読めないというのは本当に厄介だ)
楠雄(だがスプーンを力で曲げるアイドルに本物の超能力者の僕がペースを握られる、なんてことはあってはならない)
楠雄(多少強引だが記憶を消すしか…)
タタッ
雨緑「もしやと思って来てみれば…その姿は師匠!」
裕子「え?師匠?」
楠雄(面倒なのが増えた)
雨緑「こんなところで師匠に会えるなんて…感激です!」
楠雄(知らない人のために説明しておくと彼の名前は蝶野雨緑、イリュージョニストだ。27歳になる)
楠雄(彼にイリュージョニストという道を諦めさせるため、マジックに見せかけた超能力を見せたことがある。するとえらい方向に勘違いしてしまい、僕のことを師匠と呼ぶようになった)
楠雄(それ以降、何かと付きまとわれている)
裕子「え?師匠って…おお、もうサイキックの弟子がいるんですね!」
雨緑「ん?何だいサイキックって。新しいマジックの名前かい?」
裕子「違いますよ!マジックとは違います!」
楠雄(何だか面倒なことになりつつあるな…。…。ん、いや待て。もしかしたら利用できるかもしれない)
裕子「え、イリュージョニスト…。マジシャンだったんですか?」
雨緑「ははは、超能力と勘違いしてもしょうがないよ。師匠のマジックはすごいからね!」
裕子「そうだったんですか…ううむ勘違いでした」
楠雄(路線変更だ。超能力者ではなくマジシャンということにした。これで超能力者という疑いも晴れるだろう)
楠雄(根本的な解決にはなっていないかもしれないが…まあ超能力者よりはマシだ。そこまで話題にもならないだろう)
裕子「ということは、さっきの車を浮かせたのもマジックだったんですね!すごい!」
雨緑「車を!?さすがは師匠!カバンの中から人間を取りだしたことはありますね!この前はボールを空中に固定して…」
裕子「え!?カバンから人を!?」
楠雄(やめろ余計なことを言うな)
雨緑「…ハッ!話してる場合じゃなかった!師匠!お願いします!協力してください!」
楠雄(は?)
雨緑「僕の助手として、マジックショーに出てください!」
楠雄(またかよ。助手のイケさんはどうした)
雨緑「それが…二日前に急に腰を痛めてしまったんです!」
楠雄(マジかよ。しかし三日前か…ダメだな。僕は物質を復元することも出来るが、一日前の状態にしか戻せないのだ)
雨緑「イリュージョニストは助手がいないと何も出来ないんです!」
楠雄(イリュージョニスト辞めちまえ)
雨緑「お願いします師匠!僕を助けると思って!」
楠雄(これ以上面倒に巻き込まれるのはごめんだ。僕の超能力者という疑いも晴れたことだし帰る)スタスタ
雨緑「あ、師匠!待ってください!」
裕子「もしかしてお困りですか?だったら私が手伝いますよ!」
雨緑「…え?君がかい?」
楠雄(…ん?)ピタッ
裕子「安心してください!私は正真正銘のエスパーなんです!マジックショーも出来ますよ!」
雨緑「エスパー?…そういえばどこかで見たことあるような…。もしかしてエスパーユッコ?」
裕子「名乗るほどでは…ユッコです!」
雨緑「アメージング!まさかこんなところで今をときめくアイドルに会えるとは!」
裕子「はっはっは!助手ぐらいこなしてみせますよ!どうでしょう?」
雨緑「もちろん!こちらからお願いしたいぐらいだよ!」
楠雄(…嫌な予感がする)
楠雄(一応もう少し聞いてみるか…)
裕子「それで、何をするんですか?」
雨緑「箱の中に入ってくれればいいよ。新品の120万円の人体切断マシーンがとうとう手に入ったんだ!」
裕子「人体切断マジックですね!わかりました!」
楠雄(おい待て。その箱は何のタネの仕掛けもない普通の箱だぞ。お前今をときめくアイドルを文字通り真っ二つにする気か)
雨緑「じゃあ行こう!」
裕子「はーい!」
タタッ
楠雄(…いかん、このままではマジックショーが悲惨なことになってしまう)
楠雄(やれやれ、仕方ない…)
タタッ
ステージ会場
MC「ラストを飾るのはもちろんこの男!若手実力派のイリュージョニスト、蝶野雨緑ー!」
雨緑「アメージング!」
ワー ワー
MC「そして今回はスペシャルゲストとして、エスパーユッコも来てくれました!」
裕子「サイキーック!」
ワー キャー ワアアア キャー ワー カワイイー
裕子「どうもありがとー!」
雨緑(僕より歓声が多いような)
楠雄(そりゃそうだ)
楠雄(まあ…それはともかく。また助手として参加することになってしまった)
楠雄(だがマジックを見に来たのに、アイドルが真っ二つになることを見せられては客も可愛そうだろう)
楠雄(手早く安全に終わらせて帰るとしよう)
雨緑「ではイリュージョンをお見せしましょう!人体切断イリュージョンです!」
楠雄(いきなりやるのかよ)
雨緑「今からエスパーユッコちゃんにこの大きな箱の中に入ってもらいます」
雨緑「入ったら助手のサイケルがチェーンソーの刃を入れていきます!」
楠雄(ちなみにサイケルは僕だ。なんでサイケルなんだ)
雨緑「さらにその後箱をずらして色々やったのち箱を戻すとあら不思議!体は元通り!…ってやつをやります!」
楠雄(最初に全部説明するなよ)
裕子「エスパーユッコ、箱に入りまーす!」
楠雄(雨緑は何もやらないのかよ、という声も聞こえてきそうだが…チェーンソーは僕がやらせてほしいと頼み込んだ。直接関わる方が超能力を使いやすい)
楠雄(しかし会場がざわついているな…そりゃそうだろう。アイドルをフリとは言え真っ二つにするのだ)
楠雄(傷を付けたらタダじゃすまさない、という観客の感情も伝わってくる)
楠雄(ふっ…傷を付けるだと?バカを言え。正真正銘の超能力者の僕が、この程度の見世物でミスをするはずがないだろう)
裕子「さあいつでもどうぞ!」
楠雄(動くなよ)
ギュイイイイイン
ガリガリガリ
雨緑「箱を戻して…。3、2、1、0!ハイ元通りー!」
裕子「無事に戻りましたー!」
雨緑「アメージング!」
ワアアアアア ワー パチパチパチ
楠雄(やれやれ…上手くいったな。マジック中の描写は複雑なのでカットした)
楠雄(傷は一つも付けていないので安心してほしい)
楠雄(後は蝶野が挨拶をして終わるだけだ)
裕子(えへへ、楽しいなあ)
楠雄(…?彼女の心の声か?)
楠雄(今まで聞こえなかったはずだが…)
裕子(みんなを笑顔にできるマジックって凄いなぁ…。私もいつかは本当のサイキックを使いたい)
裕子(そしてもっとみんなを笑顔にするんです!)
楠雄(…)
裕子(今はちょっと不完全なサイキックだけど…頑張ろう!)
楠雄(…なるほど、ただのアホの子というわけではないようだな)
裕子「次は私の番です!今からこのスプーンを曲げます!」サッ
雨緑「アメージング!いつものやつだね!」
裕子「ムムムーン!はあっ!」
グニャッ
裕子「ええっ!?曲がった!?」
雨緑「!?…あ、アメージング!」
ワアアア スゴーイ ハジメテミター ワアアア ワー
裕子「や…やっほー!」
楠雄(まあ、これぐらいならいいだろう)
楽屋
雨緑「今日は本当にありがとう!一番盛り上がったかもしれない!後で事務所の方に改めてお話もしておくよ」
裕子「こちらこそありがとうございました!楽しかったです!…あれ、師匠は?」
雨緑「先に帰っちゃったみたいだね」
裕子「そうですか…ちょっとお話をしてみたかったんですけど。…あ、そう言えば名前聞いてなかった。なんて名前なんですか?」
雨緑「名前かい?確かね…」
楠雄(超能力…サイキックは実在する。僕が言うんだから間違いない)
楠雄(彼女には、これからもあの調子で頑張ってほしいものだな)
数日後
私立PK学園高校 2年巛組 教室
ガヤガヤ
楠雄(…)
ザワザワ
楠雄(…何で場面が高校に変わるんだ?あの流れでこの話は終わりじゃないのか)
先生「席に付け。今日は転校生を紹介するぞ」
楠雄(…。まさか)
ガラッ
裕子「名乗るほどでは…あ、師匠ー!」
先生「師匠?」
シショウ? ザワザワ サイキノホウミテイワナカッタカ? ザワザワ
楠雄(転校生かよ…)
休み時間
女子A「裕子ちゃんてアイドルなの?」
裕子「はい!アイドルです!」
女子B「えーすごーい!」
女子C「斉木のこと師匠って言ってたけど、どういう関係なの?」
裕子「師匠は、師匠なんですよ!」
女子A(どういうことだろう)
男子A「斉木ー!どこだ斉木ー!」
男子B「ユッコちゃんとの関係を説明しろー!」
男子C「そっちにはいたか?とにかく探せ!」
ガヤガヤ ワーワー
楠雄(めちゃくちゃ面倒なことになった)
楠雄(何でいきなり師匠とか呼ぶんだ。ラブコメでもないぞこんな展開)
楠雄(こんなことになるなら超能力でスプーン曲げたり、最後にそれっぽい言いこと言うんじゃなかったな…やれやれ…)
楠雄(とにかくこれ以上問題が起こる前にこの現状を解決しなくてはならない)
楠雄(人気のない場所に行き作戦を立てねば)タタッ
心美「あ、斉木君!」
楠雄(何故照橋さんは僕の行き先に現れるんだ…)
心美「あの、転校生のことだけど…」
楠雄(知らない人に説明すると彼女は照橋さん。神に愛されしスーパー美少女だ)
楠雄(彼女にはファンクラブもあるが、大物政治家までも入っている超巨大組織と化している)
楠雄(そんな彼女が何故僕に関心を持っているかはいろいろと察してほしい)
心美「師匠って呼ばれてたよね?どういう関係なの?」
楠雄(やはり来たか…)
楠雄(照橋さんに目を付けられているだけで厄介だというのに…アイドルにまで関心を持たれては過ごしにくいことこの上ない。かなり面倒だ)
心美「アイドルに師匠って呼ばれてたってことは…まさか斉木君はアイドルだったの?」
楠雄(何故そうなる)
心美「いや、でも斉木君をテレビで見たことないし…まさかトレーナー?いや、うーん…」
楠雄(混乱しているようだな、無理もない。ならば逃げ出すチャンスだ)
タタッ
心美「…。あれ、斉木君?」
屋上
楠雄(やっと一人になれた。しかし…どうしたものか)
楠雄(アイドルに師匠呼ばわりされるなど目立つことこの上ない)
楠雄(僕の平穏な日常を取り戻すためにも、彼女の僕に対する関心を逸らさなければならない)
楠雄(まず思いついたのは彼女の僕に対する記憶を消すことだが、今となっては多少面倒だ)
楠雄(記憶を消したい人物の頭部を思い切り強打することで記憶の改ざんは行えるのだが、行動が過激なので周囲に気を配る必要がある)
楠雄(それに消せる記憶は1分間だけ。記憶も完全に消せるわけではない。別のワードがそれに置き換わってしまうだけだ)
楠雄(ということでこの手は現実的ではない)
楠雄(強引な手段としては、マインドコントロールという手もある)
楠雄(全世界中に『斉木楠雄とアイドルが知り合いなのは不自然ではない』と思いこませてしまえばいい)
楠雄(言葉だけ見れば無茶苦茶だが、僕ならば可能だ)
楠雄(しかしこの力を発動する為には制御装置を外し、強力な超能力を使わなければならない)
楠雄(なにより世界のバランスを根本から歪めてしまう可能性もあるため、危険だ)
楠雄(これは本当に最後の手段だ、まだ使うときではない)
楠雄(やはり一番現実的なのは、彼女をひたすらに避け続けるという方法だろう)
楠雄(過去にも別の女性から関心を持たれたことがあるが、その際もテレパシー能力を使いひたすらにその女性との接触を避け続けた)
楠雄(気がつけばその女性は僕に対する関心を無くし、電柱のような男性と付き合い始めていた)
楠雄(よってこの作戦はかなり有効だといえる)
ガチャッ
裕子「あ、師匠!ここにいたんですか!」
楠雄(問題は彼女の心が読めないということだが)
楠雄(やれやれ…何故こうも僕の場所がピンポイントにわかるのだろうか)
裕子「まさか同じ高校だったなんて…びっくりです!師匠!」
楠雄(まず師匠呼びをやめてくれないか。不愉快な霊能力者に一時期そう呼ばれていたことを思い出してしまう)
裕子「あの後お話ししたかったんですけど、すぐ帰っちゃうから…。あ、私のことはエスパーユッコとでも何とでもお呼びください!」
楠雄(じゃあ裕子さんで)
楠雄(そもそも何で師匠呼びなんだ?君が目指しているのは超能力者だろう。僕は一応イリュージョニストということになっているはずだが…)
裕子「マジックショーの後、使われている道具を見せてもらったんですが…タネも仕掛けも見つからなかったんです!これはもうサイキックと言ってもいいぐらいのマジックでした!」
楠雄(本気出しすぎたか)
裕子「私も、ああいうサイキックみたいなマジックを覚えてみたいんです!ちゃんとサイキックもやりますけど…あはは。ということで、師匠です!」
楠雄(やれやれそういうことか…。だが師匠呼びはとにかくやめてもらいたいな。とにかく目立つんだ)
楠雄(…よし、僕がイリュージョニストということを信じているのなら、その路線で行こう)
楠雄(学校に僕がイリュージョニストということがばれるともう二度とマジックを行えなくなる、だから秘密にしておいてほしい…とでも言うか)
裕子「え?学校にばれると…。ごめんなさい!私、そうとも知らず…」
楠雄(単純すぎるだろ)
裕子「あー!朝に盛大に師匠って言ってしまいました!どうしましょう!」
楠雄(こっちの台詞だよ)
裕子「…ハッ!名案を思いつきました!これなら行けます!」
楠雄(何だ?不安なんだが。説明してからにしてくれ)
裕子「では、ちょっと説明してきます!テレポート!」ダダダッ
楠雄(人の話を聞け。テレポートと言いながら走り去って行ったぞ。…しかし大丈夫か?)
放課後
男子A「おー!ししおどし!元気か?」
男子B「なんだー師匠ってししおどしの言い間違えだったんだな!ししおどし!」
楠雄(アイツ後で覚えてろよ)
男子C「斉木って緑の眼鏡してるもんな!ししおどし!」
楠雄(そしてお前らも例外ではない)
心美(何だ…師匠ってししおどしのことだったのね。確かに斉木の眼鏡って緑色だし)
心美(まあ完璧美少女である私がいるのに、斉木が他の女の子に目を奪われるなんてことないわよねー。ウフフフ)
楠雄(くっ…なんという屈辱だ。だが『アイドルと知り合い』から『アイドルにししおどしと呼ばれた』までランクは下がったな。この調子ならすぐに忘れられるだろう…数日の我慢だ)
楠雄(フッ…超能力者であるこの僕に、怪しいフラグが経つと思うなよ)
楠雄(さて、帰ろう)
廊下
先生「おーい斉木、ちょっといいか?」
楠雄(ん?)
先生「堀裕子さんに渡し忘れていた書類があったんだ、届けてもらえないか?」
楠雄(oh…)
楠雄(しかし何で僕が)
先生「なんだか面識ありそうだったろ?スムーズに渡せるだろうと思ってな」
斉木(まだししおどしは先生には広まってないのか。重要な書類ならなおさら先生が行けばいいだろう)
先生「それが…あいつが所属しているプロダクションって警備が厳重でな、中年男性が行くと普通に取り押さえられてしまうんだ」
楠雄(何でだよ)
先生「例え先生が訪れに行くにしても整理券が必要でな…調べたら一カ月待ちだったんだ」
楠雄(料亭か何かか)
先生「というわけで、確かに頼んだぞ」
楠雄(これ以上彼女に接触するのはゴメンだ。何としてでも断ろう…何か理由を考えなければ)
零太「え?アイドルプロダクションに届け物!俺が行くっス!」ズイッ
楠雄(急に出てくるな)
楠雄(しかし名前が付いているモブキャラというのも珍しいな)
零太「斉木さーん!モブキャラじゃないでしょうがー!俺っスよ俺!鳥束零太!斉木さんとはマブダチの霊能力者じゃないっスか!」
楠雄(誰がマブダチだ。邪魔だからあっちにいけ)
零太「何か俺だけ紹介が雑っス!俺にも知らない人に説明とかしてくださいよー!」
楠雄(正直なところお前を知らなくても一切問題はないと思う)
零太「大ありっスよ!俺は第一回人気投票で四位を獲得したこともある人気キャラじゃないっスか!」
楠雄(最近本誌でお前の顔を見たことが無いんだが)
零太「こ、細かいことはいいんスよ!とにかく、このプリントを届ければいいんスね!じゃあ行ってくるっス!ひゃっほー!」ダダダッ
先生「あ、オイ!…行ってしまった。大丈夫か?」
楠雄(チッ…また面倒なことに)
零太「あれ?斉木さん、付いてきたんスか?」
楠雄(お前が何をしでかすかわからないからな。うちの高校から犯罪者を出すわけにはいかない)
零太「犯罪って…しませんよそんなこと!俺はただ、アイドルを生で見たいだけっス!」
楠雄(お前が言うと犯罪に聞こえる)
零太「あのプロダクションだけはやけに警備が厳重っスからね…霊達もあのプロダクションにだけは何故か近づけない、と不思議がっているっス」
楠雄(結界でも張ってるのか?)
霊太「いや、そんなチャチなもんじゃないと思うっス。もっと凄い何かがあるに違いないっス!」
零太「おかげで霊を忍び込ませて下着の色やメーカーを調査させるも出来ないっス」
楠雄(話は終わりか後は署で聞こう)
霊太「ちょ、ちょっと斉木さん!冗談じゃないっスか!そもそも霊はいい奴で悪いことは出来ない…」
楠雄(目は完全に本気だったぞ)
霊太「あ、知らない人のために説明すると俺は鳥束霊太っス!斉木さんが超能力者なら俺は霊能力者!斉木さんとは双璧を成す存在になっているっス!そして斉木さんの正体を知る数少ない人物っス!現在進行形で素敵な恋人も募集中っス!宛先は…」
楠雄(道はこっちで合っているのか?)スタスタ
霊太「ちょ、ちょっとー!無視しないでくださいよー!」
プロダクション前
警備員A「顔つきが怪しいのでこちらまでお願いします」グィッ
霊太「同級生!同級生って言ってるでしょーがー!斉木さーん!何か言ってやってくださーい!」ズルズル
楠雄(じゃあな鳥束、もう会うこともないだろう)
警備員B「あなたは普通そうですね。では次は身体検査を行います」
楠雄(いちいち厳重すぎるだろう。なんだここは)
警備員B「結構です、ではどうぞ」
ガラガラ
楠雄(やれやれ…なんとか敷地に入れたな)
楠雄(だが入ってしまえばこっちの物だ。よくよく考えれば本人に直接プリントを渡す必要は無い)
楠雄(適当な人物に話を付けて渡せばいい。簡単な話だ)
楠雄(なるべく面倒そうではない人物を探して…)
信「お前はメガネ!何故ここにいる!」
楠雄(こっちの台詞だよ)
楠雄(何故ここにいる…と思ったが、この人の職業を考えたら不自然ではないのか)
楠雄(知らない人に説明すると、この人は照橋信、照橋さんのお兄さんで芸能人だ)
楠雄(女性アイドルが出てくる話で男性芸能人が出てくるなど、可能性を生み出しそうなものだと心配されそうだが、その心配は無い)
楠雄(何故ならこの人は妹一筋のシスコン変態お兄ちゃんだからだ。だから近寄らない方がいい)
信「?どこ向いてるんだ?」
信「それよりここであったが100年目だクソメガネ!この前の心美とのデートの件を説明してもらうぞ!」
楠雄(まだ覚えていたのか…)
信「『斉木楠雄のψ難』単行本第8巻の話だ!忘れたとは言わせねえぞ!」
楠雄(メタい説明をするな)
信「『斉木楠雄のψ難』単行本第11巻でも遊園地でデートしてたらしいじゃねえか!」
楠雄(そっちもか)
信「3巻ペースでデートしやがって…お兄ちゃんはまだ5巻でしかデート描写が無いんだぞ!」(コミックス12巻現在)
楠雄(知らん)
信「そもそも何故メガネのようなカメのようにトロくさい奴がここにいるんだ?…まさか!アイドルになろうと思ってここに来たのか!?」
楠雄(思ってないが)
信「アイドルになって注目を浴びれば心美を振り向かせることが出来るとでも思ってんじゃねえのか?」
楠雄(思ってないです)
信「ハッ!あまりにも短絡的な考えだな…心美にはお兄ちゃんという数々の賞を総ナメにしている若手No1と呼び声高いこの俺がいる。例えお前のようなメガネがアイドルになったところで、勝負になると思っているのか?」
楠雄(思ってねえって言ってんだろ)
信「貴様のような無個性カメ男がアイドルを目指そうなんて、ウサギにマラソン勝負を挑むようなものだ」
楠雄(ウサギとカメって最終的に勝つのカメじゃなかったか)
信「まあいい、何にせよこの前のことについて話を聞かないとな。付いてきてもらうぞ」
楠雄(チッ…また面倒なことに。照橋さんのお兄さんでなければ超能力で首の後ろをトンして逃げているところだ)
楠雄(しかしプリントを届けに行く予定もある。どうしたものか)
楠雄(…よし、テレパシーを適当に送って、誰か職員っぽい人物を呼んでやり過ごすか)
タタッ
モバP(以下P)「信さーん!おーい!」
楠雄(と思ったら来た)
楠雄(しかし毎回都合よく誰かが乱入して来るな)
P「信さん、忘れ物ですよ!カバン」
信「え?…ああ、本当だ忘れてた!Pさん、どうもありがとうございます」
楠雄(コイツ外ヅラだけはいいんだよな)
P「いえいいんですよ。今度の仕事もよろしくお願いしますね!…と、誰ですか?その子は、お話していたみたいですが」
信「ん?妹の同級生です。何でここにいるのかは…。…何でいるんだっけ?」
楠雄(このPという男は職員か。話が通じるっぽいな…ちゃんと説明しておこう)
P「裕子にプリントを?ああ、どうもすいません。見た制服だと思ったら、裕子の転校先の子だったんですね」
楠雄(よしプリントは渡せた。後は…コイツか)
信「…。次、急ぎの用事…。…あっ!この後急ぎの予定があるんでした!ではこれで!」
タタッ
楠雄(コイツのカバンの中にある予定表を透視し、スケジュールの予定を頭の中にテレパシーで送り込んだ。急がないとマズイ、という言葉も加えてな)
楠雄(これで一件落着だな)
P「君、ちょっといいかい?」
楠雄(と思ったらコレだ)
P「裕子に高校生のイリュージョニストが居るって聞いたんだけど」
楠雄(めちゃめちゃ話されてるがな)
P「その人の容姿の特徴が君に似ているんだよね、まさか君が師匠?」
楠雄(人違いだ)
P「少し話を聞きたいんだけどさ、上がっていかないかい?」
楠雄(悪いがこれ以上の面倒はゴメンだ。僕は帰らせてもらうぞ)
P「そうか用事があるのか…参ったな。コーヒーゼリーの贈り物が大量にあって、誰かに食べてもらいたかったんだけど」
楠雄(グズグズするな早く案内しろ)スタスタスタ
P「あれ!?上がるのかい!?」
事務所
楠雄(コーヒーゼリーは嫌いではない)
楠雄(珈琲豆の豊潤な深い香りとコク)
楠雄(それをそのまま閉じ込めた気品を感じさせる味…)
楠雄(全く嫌いではない)モニュモニュ
P「おいしそうに食べるね。一杯あるから遠慮せずに食べてくれていいよ」
楠雄(しかしこのPとか言う男、やけに丁寧だな)
楠雄(話していて特に不愉快な感情も無く、テレパシーでも全く負のエネルギーを感じない)
P「あ、言うのが遅れたね。こういうものです」スッ
楠雄(名刺か。…プロデューサー?この男が…このプロダクションのプロデューサーか)
楠雄(不眠不休で200人以上のアイドルをプロデュースする化け物と聞いていたが…外見は全く普通じゃないか)
楠雄(それに心も綺麗だ。こういう人間もいるのか)
P「ところで…裕子の学校の同級生で師匠なんだって?」
楠雄(いかん忘れてた。どう処理しよう)
P「よかったら仲良くしてやってほしいんだ」
楠雄(…?)
P「裕子は本格的にアイドル活動を行う、ということでこっちに上京して来たんだけど…知らない人も多いからな、少し不安そうにしてたんだ」
P「そしたらイリュージョンの師匠に会って、おまけに高校の同級生!本人はとても喜んでたよ」
楠雄(…)
P「だから…いいかな?」
楠雄(やれやれ…真面目な顔で頼まれたら断りにくいな)
楠雄(しかしそんな心配しなくても彼女なら大丈夫だとは思うがな…テレパシーで探ったが彼女に不愉快な感情を抱いている人物は一人もいなかった)
楠雄(まあハイと答えておくか。変に断るのも変だ)
P「よろしく頼むね、えーと斉木君でよかったのかな?」
楠雄(どうやら『高校の同級生』ぐらいの認識らしいな、これならそこまで騒がれることもないだろう。それにアイドルはイリュージョニストとの接点は少ない、今後関わることもないはずだ)
楠雄(後は裕子さんか…。僕に極力接触しないよう、誘導しなくては)
楠雄(僕以外に興味を持ってくれればいいのだが)
ガチャッ
裕子「ただいまテレポートで戻りまし…。あ、プロデューサーと斉木さん!」
楠雄(またちょうど良く来たな)
P「お、裕子お疲れ様」
裕子「お疲れ様です!斉木さん、今日はどうしたんですか?」
P「プリントを届けに来てもらったんだ」
裕子「おお、本当ですか。ありがとうございます!」
P「どんなプリントなんだ?」
裕子「ええと…。学級新聞ですね!」
楠雄(別に明日渡してもよかったじゃねーか)
楠雄(今までの僕の苦労は一体)
P「…。おっと電話か、ちょっと二人で話しててくれ」
裕子「はーい!」
バタン
楠雄(やれやれとんだ無駄骨だったな…中身を確認しなかった僕も僕だが)
裕子(…。えへへ…プロデューサー)
楠雄(…?また…彼女の心の声か?)
裕子(…今日もかっこいいなあ)
楠雄(…おっと、そういうことだったか)
裕子(…)
楠雄(また読めなくなった。いや、無心なだけか…考え込んでいるだけか)
裕子(…今度の単独ライブも…頑張らないと!)
楠雄(ふむ…感情が高ぶったり、ピンクになっているときは考え事を行うようだな)
楠雄(逆にそれ以外のときは、全部本能で動いているようだ)
裕子(今事務所にいるのは斉木さんと…私、そしてプロデューサー。これはほぼ二人きり…いや、1たす1たす1は3ですね、二人っきりじゃないです)
楠雄(どんな計算だ)
裕子「あ、ごめんなさい斉木さん!ぼーっとしてて、ちょっと考え事していました」
楠雄(別にかまわない。おかげで君の関心を反らす方法を思いついた)
楠雄(裕子さんはPさんに好意を抱いている。そしてPさんも裕子さんのことは嫌いではない)
楠雄(これをもう一歩進めることが出来れば、裕子さんが今よりPさんに夢中になる)
楠雄(そうすれば、裕子さんも僕に対する興味を失っていくはず。要は二人を今よりもっといい関係にする)
楠雄(裕子さんは16歳だが…このPという男なら、節度を持って接するだろう)
ガチャッ
P「やあ終わったよ」
楠雄(そうと決まれば行動開始だ)
楠雄(久々に使うか…『高感度メーター』を)
楠雄(高感度メーターとは、テレパシー応用能力の一つだ。高感度を割り出し、数値化して表示できる)
楠雄(Pさんの裕子さんへの高感度は75…十分だな。なかなかの数値だ)
楠雄(対して裕子さんのPさんへの高感度は…92。…高すぎないか?まだ高校二年生のはずでは)
楠雄(…まあそれだけ、このPという男が魅力的なのだろう)
楠雄(恋愛の手ほどきなど僕にできるのか、と不安がる人もいるかもしれないが、その心配は無い)
楠雄(僕は過去に何度か恋愛の手ほどきを行っている)
楠雄(結果自体は不発に終わることも多いが…今回は大丈夫だろう)
楠雄(Pさんも裕子さんも真面目な方だ。多少シチュエーションを設定してやれば、上手くいくだろう)
楠雄(まずは吊り橋効果で…)
ガチャッ
まゆ「はぁい、Pさん。まゆですよぉ」
P「あれ?まゆ、どうしたんだ?今日はオフじゃあ…」
楠雄(急に来るな…Pさんが知っているということは、この事務所のアイドルか)
まゆ「ちょっと不思議な空気を感じたので…遊びに来ました」
P「?…そうか、遅くならないようにな」
まゆ「はぁい」
楠雄(何だ不思議な空気って…。…!?高感度メーターの様子がおかしい)
楠雄(今はこのまゆという人のPさんへの高感度を測定しているらしいが)
ピーピーピー
楠雄(…!100からさらに数値を上げようとしている!?バカな…このまゆという人のPさんへの高感度は、100以上だと言うのか!?)
ピーピーピー ボンッ
楠雄(…!?高感度メーターが壊れた…?)
裕子「あれ?斉木さん、どうしたんですか?驚いた顔して」
まゆ「急に入ってきちゃいましたから驚かせてしまいましたね、ごめんなさい。…あと、この人はどなたでしょう?」
裕子「高校の同級生なんです!師匠で…」
まゆ「ああ、裕子ちゃんが言ってた人ですね。初めまして、佐久間まゆです」
まゆ(他の子がPさんを誘惑していそうなオーラを感じ取りましたけど…何もないみたいですね?)
楠雄(…何だと?)
まゆ(ああ…Pさん…今日も素敵です…うふふ…)
楠雄(なんだこの子は)
楠雄(確かに僕は二人をくっつけようとしていたが、その考えを感じ取ったと言うのか?)
楠雄(アイドルは200人以上いると聞いていたが…やれやれ。このPという男、モテるらしいな)
楠雄(これは一苦労しそうだな)
ガチャッ
凛「プロデューサー、いる?」
P「あれ?凛、どうしたんだ?」
凛「うん、ちょっとね」
凛(急に事務所から不穏な空気を感じ取ったけど、なにも無さそう)
楠雄(君もなのかよ)
凛(まゆもいつも通りだし…)
楠雄(いつも通りなのかよ。一心不乱にPさんを見つめてるけどいつも通りなのかよ)
凛(今日のプロデューサーのワイシャツは三日目か…)
楠雄(待てなんだ三日目って)
凛(あと一週間ぐらいしたら回収に行くかな)
楠雄(十日も寝かせたワイシャツを回収して君は何をする気だ)
ガチャッ
留美「Pさん、いるかしら」
P「あれ、留美さん。どうしたんですか?」
留美「ちょっと嫌な空気を…いえ、何でもないわ。ところでこの書類のことだけど…」
P「…どれどれ。って婚姻届じゃないですか」
楠雄(さらっとなんてもの渡してるんだこの人)
P「留美さん、気持ちは嬉しいですけどね…あはは。これで今月九回目ですよ」スッ
楠雄(初めてじゃないのかよ。何回もやってるのかよ)
留美「大丈夫よ、私、待てる女よ」
楠雄(そういう問題か?)
留美(今日もガードが堅いわね…。でも寝込みさえ襲えれば、あとは既成事実の出番よ)
楠雄(もう突っ込むのも面倒になってきたな)
ガチャッ
ありす「Pさん、いますか?」
P「お、ありす。どうしたんだ?」
ありす「いえ、その…ちょっと」
楠雄(明らかに裕子さんより年下の子が来たな…この子もあんな調子だったら、もう終わりだぞ)
ありす「ところで、Pさん。私が結婚できる年齢になるまで待てるか、と言う話ですけど…待てますか、待てませんか。答えてください」
P「ははは、大人をからかうもんじゃないよ、ありす」
ありす「むー」
楠雄(ハイ終わりー)
ガチャッ
加蓮「Pさん、いる?ちょっと…」
みく「Pチャン!いるのかにゃ!」
幸子「Pさん!カワイイボクが来ましたよ!」
奏「Pさん?いるのかしら?」
ゾロゾロ ゾロゾロ
楠雄(おい待て何人来るんだ)
ザワザワ ワーワー
楠雄(…あれから何人ものアイドルが来たが…全員が全員このPさんに好意を持っている)
楠雄(誰一人の例外も無くだ)
楠雄(馬鹿な、ラブコメの主人公かPさんは)
P「どうしたんだい?俺の顔に何かついてる?」
P(みんな今日も元気だなあ)
楠雄(ラブコメの主人公だ。いやそれ以上か)
楠雄(しかしそれはいい…今はこの空間だ)
楠雄(嫉妬、恋情、鈍感、一途、病的…さまざまな感情がこの事務所で交差している)
楠雄(その感情がずっと僕の頭の中に入ってきている。テレパシーにオフの機能は無い。これ以上ここに居たらどうにかなってしまいそうだ)
楠雄(この200人に勝ちぬいて裕子さんをPさんとくっつけるなど…僕は何を考えていたんだ、危険すぎる)
楠雄(アイドル200人勝ちぬきなどリスクが多すぎる!絶対にダメだ…離れるしかない)
楠雄(やはり徹底的に近づかないことがベストのようだな)
晶葉「あのピンク髪の男は誰だ?」
志希「わかんなーい。でもなんだか面白そうな匂いだねー」
楠雄(さっきから視線も熱いしな、これ以上ここに居るのは危険だ)
楠雄(やれやれやっと抜け出せた…。こんな事務所があるとは信じられないな)
裕子「あ、おーい!斉木さーん!さよーならー!」ブンブン
裕子「また明日ー!」ブンブン
裕子「…あれ、振り向かずに行っちゃった。聞こえてなかったのかな?」
楠雄(じゃあな裕子さん、事務所の生活は大変かもしれないが頑張ってくれ。もうそこまで話すこともないだろう)
斉木家
楠雄(やれやれ今日は大変だったな…。早く寝よう)
斉木父「お、楠雄。ちょっといいか?頼みがあるんだけど」
楠雄(この人は斉木父、僕の父さんだ。名前は無い)
國春「名前あるよォー!斉木國春!お前たった一人の父さんをモブキャラ扱いするんじゃない!」
楠雄(おっとそうだったな)
楠雄(それで、何だ?頼みは)
國春「ん、ああ…お願いがあるんだけど。お前のクラスにエスパーユッコちゃんが転校してきただろう?」
楠雄(…またその名前を聞くことになるとは)
國春「今度その子が単独ライブやるんだけど…ちょうどその当日に台風が直撃するらしいんだよ」
楠雄(なんだその悲惨な日程は)
國春「それで頼みなんだけどさ…台風追っ払ってくんない?」
楠雄(無理)
國春「即答!?もうちょっと粘ってよ!」
楠雄(無理なものは無理だし、ダメだ)
國春「いやほら、そこは…お前の超能力でチョイチョイと。さ?」
楠雄(ダメだ。そんなにライブが見たいのか?)
國春「頼むよ楠雄!取引先の人がファンだって言うから死ぬ気で取ったチケットなんだよ!これでライブが中止になって機嫌を悪くされたら…上司にまたビンタされる!」
楠雄(てるてる坊主でも作ったらどうだ)
國春「頼゙む゙がら゙ざあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」
楠雄(藤原竜也っぽく言ってもダメだ)
久留美「あなた、アイドルのライブって聞こえたけど…」
國春「わあ!ママ!」
楠雄(知らない人に説明すると、今出てきた人は斉木久留美。僕の母さんだ)
國春「なんで母さんは知らない人に説明するんだよ!」
久留美「アイドル…好きなの?やっぱり若い子の方が…」
國春「違うよママ!これは仕事で必要になっただけだよ!それに僕のアイドルはママだけだよ…」
久留美「まあパパったら…」
國春「それに君は永遠の17歳さ…出会ったころと何一つ変わっていないよ…」
久留美「パパ…」
楠雄(まーた始まった。僕は寝る)
楠雄(超能力で台風を退ける、と言っていたが、別に出来ないわけではない)
楠雄(頭の制御装置を取り外し本当の力を出せば、台風の進路を変えることは出来る)
楠雄(だが僕は正義の味方では無い、自分に被害や不利益が生まれるものに生じてのみ行動する)
楠雄(話の冒頭で裕子さんを何度か助けたかもしれないが、僕は基本的には人を助けたりはしないのだ)
楠雄(それに何か起こるたびに超能力を使っていてはキリがない)
楠雄(自然現象に予定を狂わされるのも経験の一つだ、悪く思わないでくれ)
数日後
久留美「くーちゃん。Pって人から電話よ」
楠雄(…?何だ?)
P「おお、斉木君!裕子がどこに居るか知らないか!?」
楠雄(?…行方不明なのか?)
P「昨日から連絡しても繋がらなくて…レッスン場にも来ないし、見ていないか?」
楠雄(見ていないな)
P「そうか…ごめんね遅くに。じゃあ」ガチャッ
楠雄(連絡が取れないか…何をやっているんだか)
楠雄(しかし裕子さんはPK学園の生徒だ。何か面倒を起こされると嫌だな…学校にマスコミが来ては面倒だ)
楠雄(仕方がない、場所だけ探してやる)
楠雄(場所を見つけたらPさんに虫の知らせで場所を伝えればいい)
楠雄(それにしても何をしているのやら)
学校
多目的室
裕子「サイキック~…てるてる~…」ブツブツ
楠雄(目をつぶりながらてるてる坊主作ってる…寝てなさそうだな)
楠雄(…なるほど、見つかったら連れていかれるから、ここでこっそりと作業していたんだな)
裕子「1000体作れば台風がどっか行くって…夢のお告げが…」ブツブツ
楠雄(それで台風が消えるなら気象庁はいらないな)
裕子「よし、200体目!…なんとかライブに間に合うよう…」
楠雄(そのペースだと無理だろう)
楠雄(しかし場所はわかった。あとはPさんに虫の知らせで場所を伝えて、引き取りに来てもらうか)スッ
裕子(…初の単独ライブ…何としても…)
楠雄(…。また心の声か)
裕子(ライブ…何としても!晴れさせたい!)
楠雄(…)
裕子(プロデューサーと一緒に準備して来たんです…何としても!)
楠雄(なら次に繋げるために、今はゆっくりと休んでおくのがいいんじゃないのか)
楠雄(そこまで無理していては元も子もない)
裕子(私のサイキックで…皆を笑顔に!)
楠雄(…サイキックか)
楠雄(蝶野の時とのステージにも言っていたな、サイキックで人を笑顔に、と…)
楠雄(おそらくそれは彼女の本心だろうが…僕には信じがたい)
楠雄(サイキック…超能力、異常な力を与えられることは奪われることでもある)
楠雄(実際超能力者として生活している僕の日常には、大きな喜びも悲しみも無い)
楠雄(達成感が無いからだ)
楠雄(だから超能力で人を笑顔に、など…)
楠雄(…)
14年前
楠雄(2歳)「」スッ
國春「わあ!僕の似顔絵か!上手だね!」
楠雄(2歳)「」ネンシャー
國春「おお!そうやって描いているのか!」
久留美「素晴らしい芸術センスだわ!きっとパパに似たのね!」
國春「フッ、僕の美的センスは世界一だからね。だから世界一美しい君を妻に選んだんだよ…」
久留美「やだぁ、もう~!」
國春「アハハ」
久留美「ウフフ」
楠雄(2歳)「」キャッキャッ
楠雄(…)
楠雄(…こんな昔のことを思い出すとは)
楠雄(超能力で人を笑顔に、か…)
ドサッ
楠雄(!?)
裕子「ぐーぐー」
楠雄(…寝ているだけか、ずっと寝ていないんだろうな)
裕子「うーん…サイキック…むにゃむにゃ…」
楠雄(…)
楠雄(…チッ)
楠雄(今回だけだぞ)
学校
多目的室
裕子「ぐーぐー」
P「裕子!ここにいたのか!」
裕子「きゃあ!プロデューサー!なんでここがわかったんですか!?」
P「虫の知らせ、って奴かな…なんかいる気がしたんだ。ところで裕子、何してたんだ?」
裕子「さ、サイキックてるてるを…。ハッ!なんとしても1000体作らないといけないんです!寝てる場合じゃ…」
P「…1000体?何言ってるんだ?」
裕子「急がないと…」
P「待て、もうあるぞ1000体。いやそれ以上あるぞ。よくこんなに作ったなあ」
裕子「え?…え!?あれ、こんなに作ったっけ…」
P「2000体はあるな」
裕子「…うーん、一ケタ数え間違えたのかな…」
P「よくもまあこんなに…何日も寝てないんじゃないのか?体調はどうなんだ?」
裕子「眠気は…眠くてもう…。あれ、眠くない。なんでだろう。一日前の元気な私に戻ったみたい」
P「?…何ともないのか。そうだ裕子!良い知らせがあるぞ!」
裕子「何ですか?」
P「台風がコースを変えたんだよ!」
裕子「…。え?ということは…」
P「ライブ出来るぞ!」
裕子「…や、やったー!やったやったー!」
P「ははは、やったな裕子!」
ライブ当日
ライブ会場
裕子「私の力で晴れちゃいましたよー!」
ワー カワイイー サイキックー サイキックカワイイー
裕子「今日はみんな、来てくれてありがとうございまーす!」
ライブ会場から少し離れた場所
楠雄(念のために見に来たが特に問題もなさそうだな)
楠雄(だが、僕が手を貸すのは本当に今回が最後だ)
楠雄(未だにししおどしと呼ばれていることを除けば、明日からまた僕の平穏な日常が戻ってくる…)
ズキッ
楠雄(くっ、頭が…頭痛?)
楠雄(僕の超能力の一つに予知夢がある。未来の出来事を少しだけ見れる能力だ)
楠雄(予知夢は決まって頭痛の後に発生する)
楠雄(だが未来に起こる出来事をランダムに教えてくれるだけだ…今回は何があるんだ?)
ゴオオオオ ザアアアア
TV「突如発生したゲリラ豪雨は、未だに降り続いております。被害はライブ会場にも…」
楠雄(…。マジかよ)
楠雄(彼女には関わらない、とは言ったが…今回は状況が違う)
楠雄(僕があの台風を退けたことで、ゲリラ豪雨が発生した)
楠雄(つまり今回の予知夢の結果は僕にも責任がある)
楠雄(やれやれ…仕方ない。不穏な雲を片っぱしから蹴散らすしかない!)
ピシュン
ライブ会場
裕子「それでは次の曲…」
裕子(…でも何で晴れたんだろう?まさか本当に私の能力が…)
ピチョン
裕子「わっ!水滴が…顔に!」
裕子(雨でも降るんでしょうか…)
裕子(上でも見て雨雲を探すとしましょう!)
裕子(…)
裕子(あれ?あのピンク…)
裕子(…)
裕子(…!?)
裕子(…)
裕子(…?)
裕子(…!)
裕子(…?)
裕子(…)
裕子(…)
P(裕子!固まってどうした!)
裕子「あっ…えーっと!じゃあ!次の曲に…!」
翌日
斉木家
朝
TV「エスパーユッコちゃんの単独ライブ、大成功に終わり…」
國春「いやーハッハッハ!さすがはくすえもん!台風を追っ払ってくれたんだな!おかげで取引先の人も上機嫌だよ!」
楠雄(くれぐれも他言するなよ)
國春「大丈夫だって!また何かあったら頼むぞ!楠雄!」
楠雄(アテにするな)
通学路
楠雄(今日も学校か…)
楠雄(苦労は多かったが、また僕の平穏な日常が戻ってきたな)
裕子「斉木さん!」
楠雄(!?…何だ君か。急に声をかけるな、君の心は読めないんだ)
裕子「本当にありがとうございます!」
楠雄(何だ?礼を言われる覚えはないぞ)
裕子「その…斉木さんも色々あるんですよね!だから…今は、本当にありがとうございました!これだけ言います!」
楠雄(何だよ。気になるよ。全部言えよ)
裕子「そのうち、私も…サイキックマスターして、全部言いますね!」
楠雄(…)
楠雄(…まさか?)
楠雄(いや…しかし…チッ、判断に困るな…どうする。やはり変な気を起こさなければ…。どこで間違えた?最初か?それとも…)
裕子「ですので、これからもよろしくお願いします!」
楠雄(…。何をお願いするんだよ)
楠雄(だが、もう必要以上のことをしなければ、これ以上巻き込まれることは…)
ズキッ
楠雄(くっ、頭痛が…。なんだ、長い、長いぞ!)
ちひろ「ああっ!Pさんが倒れた!臨時のプロデューサーを誰でもいいから…そうだ!そこの君!代理でお願いします!立ってるだけでいいんで!」
幸子「バンジージャンプ中にゴムの切れる音しませんでしたか!地面にぶつか…。…あれ、なんともありませんね…?」
ほたる「私の不幸のせいで急にゲリラ豪雨が!もう辞めるしか…。あれ、止んだ」
P「君、いや斉木君!アイドルになんてなる気ないかい?」
凛「斉木って…何者?」
晶葉「よいしょっと。取れた…なんだこの斉木という男の頭に付いているヘアピンは」
都「謎の高校生?…これは、私の出番ですね!操作です!」
芳乃「あなたは一体、何者でしてー?」
まゆ「うふふ、まゆ…斉木さんの正体…」
楠雄(…ッ!バカな…なんだ今の長い予知夢は!アイドルとの展開の一部が断片的に出てきたぞ)
楠雄(…。まさか本当に裕子さんとアイドル200人勝ちぬきをやらされるのか?)
楠雄(クッ…冗談じゃないぞ!あの環境で過ごすなんて僕はゴメンだ!)
楠雄(何より僕の正体に関わる台詞が結構あったぞ!絶対に嫌だ…)
裕子「それで、斉木さん!相談があるんですけど!」
楠雄(絶対に嫌なんだけど)
裕子「今度プロデューサーの誕生日なんです!だから、プロデューサーのプレゼント選び手伝ってください!」
楠雄(来たよなんか事務所に関わりそうなイベント)
裕子「それに、最近疲れてるみたいなんで…元気にしてあげたいなーって」
楠雄(倒れるとかやめろよ。…やれやれ…)
楠雄(なぜこうなった)
完
これで終わりです。プロローグみたいな終わり方になってしまいましたが…続きは今のところ考えていません、すいません。
アイドル200人勝ちぬきの行方は想像におまかせします。
最後まで読んでくださりありがとうございました!
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