【モバマス】《堀裕子と雨の日》 (31)

サァァァァ...

P「雨。本格的に降ってきたな」

裕子「どしゃ降りですね」

P「朝は晴れてたのになぁ」

ピロロロロ...♪

P「お、電話だ。静かにしてなさいよ?」

裕子「お口にチャックしてますね」ム-ン

P「OK。いい子だ」

ピッ

P「もしもしPです。はい。そうですよね、わかりました。ええ、またよろしくお願いします」

ピッ

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P「デパートの屋上でのミニライブ。中止だってさ」

裕子「ええ、予想通りですけど悲しいです」

P「サイキックパワーで雨をなんとかできない?」

裕子「私のサイキックはまだ天候を操れるレベルではないので」

P「ので?」

裕子「いまここで天候を操れるようになります!!」カッ

裕子「為せば成る! 為さねばならぬホトトギス! です!」

P「さすがユッコ」パチパチ

裕子「レッツトライです! いきますよー!」

裕子「むむ…むむむ…ムムムーン!」シャキ-ン!

P「…」

裕子「…」

サァァァァァ...

P「…少し冷えてきたな」

裕子「ですねー」

ゴロゴロ...

裕子「ひっ!」ビクッ

P「雷が鳴ってきたな」

裕子「…お、落ちたりしませんよね?」

P「怖いのかい?」

裕子「…多少」

P「大丈夫。雷に打たれたら『覚醒』のチャンスだと思うんだ」

裕子「そんな荒っぽい方法でさいきっくに目覚めたくないですよ!?」

(しばらくして)

P「仕事もないし帰るか」

裕子「帰り。どこかでご飯食べていきませんか? プロデューサーにご馳走してもらいたいです!」

P「なんて図々しいやつなんだ。キミは」

裕子「ご飯が食べたいです!」カッ!

P「仕方ない。適当な店でいいかい?」

裕子「プロデューサーにお任せします。奢ってもらう身なので」

P「殊勝な心がけでよろしい」

裕子「私。控えめなんです」

P「ソウナンダー」

裕子「む。片言やめてください」

ドスッ! ドスッ!

P「痛い。ヘディングで攻撃するのはやめろ。痛いから」

裕子「サイキック・ヘッドアタックです!」

P「思いっきり物理攻撃だね」

P「そういやユッコ」

裕子「はい?」

P「傘は?」

裕子「へ?」

P「傘・アンブレラ・こうもり」

裕子「あ」

P「『そういえばそうだった』みたいな表情をされると困るよ」

裕子「も、持ってきてないです…」

P「ずぶ濡れか…可哀想に…」

裕子「いや、入れてくださいよっ!!」

P「それが人にものを頼む態度か」

裕子「ぐ…ぐぐぐ…」

裕子「お願いしますっ!! 傘に入れてください!!」ビシィッ!!

P「お辞儀が堂に入っているね」

裕子「怒られ慣れてますから」フフン

P「それは誇ってはいけないとこだよね」

裕子「とりあえず入れてください」

P「ほい」

ヒョイ

P「じゃあ行くか」

裕子「はい♪」

ザァァァ...
テクテクテク...

裕子「えへへ…こうして相合傘をしているとなんだか…♪」

P「そうだな。小学生の頃にいた『傘に無理矢理入ってくる図々しい奴』を思い出す」

裕子「…」

P「ああいう奴って万国共通でどこにでもいるのかな?」

裕子「…知りませんっ!」プイ-

P「どうしたユッコ。不機嫌だな」

裕子「気のせいですっ!」プイ-

ムギュ-...

P「抱きつきすぎじゃね?」

裕子「雨に濡れるのが嫌なので」ム-

P「…」

P「そう言うわりにはユッコ」

裕子「なんですか?」ム-

P「右肩ビショビショだぞ」

裕子「?」

チラリ

裕子「!」

裕子「ど、道理で冷たいと思いました…!」

P「気付かなかったのかよ」

裕子「ひーん! 冷たいです!」

P「おばか。ほれ、ちゃんと傘の中にお入り」

スッ...ギュ-

裕子「わ…///」

P「なに照れてんだよ」

裕子「う、うるさいですよ! 急に抱き寄せないでください!」ム-!!

P「追い出そうか?」

裕子「ごめんなさい」

P「ちゃんと中入ってろよ」

裕子「…はい。ありがとうございます」ギュ-

ザァァァァ...
テクテクテク...

裕子「…♪」

(お店)

店員「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか?」

P「俺は季節のランチAセットを」

裕子「私はBセットの方で」

店員「かしこまりました。少々お待ちください」

テクテクテク...

裕子「…」キョロキョロ

P「どした?」

裕子「いえ、プロデューサーがこんな小洒落たお店に連れてきてくれるなんて意外に思っただけです」

P「そういうことは口に出さないほうがいいね」

スッ...ビシッ!

裕子「あぅ。頭にチョップするなんてひどいです」

P「楓さんやら凛やらに『ここに行きたい』って連れ回されるからな。安くて美味しいお店を覚えちゃうんだよ」

裕子「…なるほど。プロデューサー」

P「ん?」

裕子「女子力高いですね!」グッ!

P「褒めてるのか喧嘩売ってるのか判断がつかない」

スッ...ビスッ!!

裕子「あぅ。ほ、褒めたつもりだったんですけど。チョップされました」ヒ-ン

P「ユッコはチョップしやすいんだよね」

裕子「それはどういう意味です?」

P「よくわかんないけど気軽にチョップできる」

裕子「むっ。もっと大切に扱ってくださいよっ。仮にもアイドルなんですから」

P「大切に扱うって例えば?」

裕子「...」

裕子「撫でるとかいいんじゃないですかね?」

P「任せろ」ワシャワシャワシャ

裕子「な、撫で方が雑です!! ざーつーでーすぅー!!」ムキ-!!

P「はははは」ワシャワシャ

裕子「ムー!」

店員「お待たせいたしました。前菜です」

P「ありがとうございます」

裕子「ありがとうございます。では、いただきましょう」

P「よし。食べよう」

(しばらくして)

裕子「満腹、です…」フゥ-

P「ユッコ。おへそ見えてるぞ」

裕子「嘘!?」

P「嘘」

裕子「…」ム-

P「ほっぺた膨らませてると可愛いなー」

裕子「か、可愛いですか?」

P「うん。マスコット的な可愛らしさ」

裕子「…」

P「なんだその『嬉しさ』と『不満』が混ざり合ったような表情は」

裕子「複雑なんですよっ!」ムッ!

(しばらくして)

P「さて…この後はどうしようか」

裕子「私。行きたい場所があります!」

P「そうか。楽しんでこいよ」

裕子「え…!」

P「俺は帰って寝ーーー」

裕子「…」ショボ-ン

P「ごめん嘘。冗談。マジへこみしないで」

裕子「…」グスッ

P「…泣いてる?」

裕子「すみません…なんか…反射的に涙が出ちゃったんです」ポロポロ

P「ご、ごめんて! ほら遊びに行こう!」

フキフキ...

裕子「…意地悪またしますか?」

P「もうしない。絶対しない」

裕子「なら…いいですよ」

P「よかった」ホッ

裕子「あ、プロデューサー。いまアタフタしてましたね?」ニマリ

P「さ、さあ」

裕子「実は…さいきっく嘘泣きだったのです!」ドヤッ!!

P「…」

裕子「♪」キラ-ン!

P「わかった。帰るわ」スタスタ

裕子「ごーめーんなさいー!! 本当に涙ちょちょぎれてましたー!」ガシ-!!

(しばらくして)

店員「ヒヒヒ。いらっしゃい」

P「…ここが来たかった雑貨屋さん?」

裕子「はいっ!」キラキラキラ

P「怪しげなもんがたくさん売ってるなぁ」

裕子「プロデューサー!」

P「なに?」

裕子「これ見てください! 念じれば1億円溜まる貯金箱だそうです!」キラキラキラ

P「ちひろさんに買って行ってあげなさい」

裕子「でも…これ9800円もするんですよね」

P「ぼったくりじゃねーか!」

裕子「ほら、次はこのスプーンです! 2480円のお買い得商品らしいですよ!」

P「(全体的に値段が高いな…)」

裕子「結局、何も買わずに出てしまいましたね。買おうとするたびにプロデューサーが止めるから…」

P「『念じれば曲がるスプーン』とか『祈れば砕けるコップ』とかを買っちゃったらずるになるだろ」

裕子「…ええ。自力でやってみせますよ!」グッ

P「その意気だ」

裕子「でも…サイキック運気があがるネックレスだけなら…買っても…」コソリ

P「駄目です」

裕子「でも、今なら4万円が半額で…」

P「駄目です」

裕子「えー…」

P「ユッコ。そんなんじゃ、そのうち悪い人に騙されるぞ?」

裕子「…」

裕子「じ、じゃあ…騙されないようにプロデューサーがずっと見ててくれませんか…?」

裕子「…///」ドキドキドキ

P「…」

P「んー、ずっとは難しいかな」

裕子「…」

裕子「そう…ですか」

P「どした?」

裕子「いえ。なんでもないですよ」

P「ならちょっと俺の買い物に付き合ってくれるか?」

裕子「…」

(しばらくして)

ザァァァァ
テクテクテク...

裕子「(ふん、別に期待なんかしてませんでしたし。いいですよ)」

裕子「(プロデューサーのバーカ。あほ。鈍感のせいたかのっぽ)」

裕子「(プロデューサーなんか…)」

裕子「…」シュ-ン

テクテクテク...

P「着いた。このお店だ」

裕子「…なんです。ここ?」

P「まあまあ。お入り」

ガチャ

裕子「…?」

(しばらくして)

裕子「あ、あの…///」

P「ん?」

裕子「このドレスは…なんです?」

P「見ての通りウェディングドレス。どれか着たいのあるか?」

裕子「そ、それより…どうしてウェディングドレスの試着なんです!?」

P「いや、今度の撮影で着てもらうから。ユッコが着たいやつを選んでいいぞ」

P「つーか、この前撮影があるって話をしたろ。お仕置きチョップ!」

スッ...トスッ!

裕子「あぅっ。い、いま思い出しました」

P「ほら。どれがいいんだ?」

裕子「んー…」

裕子「…」

裕子「では、このドレスが着たいです!」ビシッ!

P「OK。ところで、どうしたユッコ?」

裕子「何がです?」

P「顔がにやけてるぞ?」

裕子「…そんなことないですよ♪」ニマニマ

(試着後)

P「おー…」

裕子「ど、どうでしょうか…///」

P「馬子にも衣装」

裕子「似合ってるってことですか?」

P「あ、うん」

裕子「…えへへ///」テレテレ

P「…」

P「ごめんユッコ」

裕子「はい?」

P「すごく似合ってる。可愛いよ」

裕子「…そ、それは皮肉とかでは…」

P「本当に似合ってる。綺麗だ」

裕子「…ありがとう…ございます…///」

裕子「…///」カァァァァ

P「...」

裕子「ぷ、プロデューサー大変です…」

P「うん?」

裕子「なんだか…嬉しくてにやけてしまうのが止まらないんです…♪」

裕子「えへへ…///」ニコ-

P「…」キュ-ン

裕子「…今度の撮影の時、プロデューサーは来れないんですよね?」

P「悪い。他に仕事があるからな」

裕子「じゃあ…次に私のウェディングを見れるのは…少し先になってしまいますね♪」

P「少し先って…他にウェディングドレスを着る仕事の予定はないけど?」

裕子「いいんです」

P「?」

裕子「諦めずにいますから…だから…いつかまたプロデューサーにウェディングドレスを見せます…///」

裕子「ぜ、絶対ですからね!!」

P「…」

P「ユッコ」

裕子「は、はい」

P「あと2、3年したら…その…」

裕子「…」

P「…ドレス見るから。約束だぞ?」

裕子「…は、はいっ///」

終わり

以上です
お読みいただきありがとうございました

デレステに限定ユッコが来たのでユッコプッシュです
残念ながらユッコの期間はほんの少し前に過ぎてしまったので限定ユッコを手に入れるためには1年ほど待たなければいけませんが、これを機にユッコPが増えてくれると嬉しいです

では

?「ふーん?」

?「うふふっ」

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