【艦これ】艦娘で学べないシリーズ「塩」 (51)

キャラ崩壊注意
学べない注意
人によっては閲覧注意



特別酒保――



からんからんっ

明石「ありがとうございまーす!」

明石「ふう……今日はこれで店じまいかしら」

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ガチャリ



提督「お、精が出るな」

明石「あれ、提督? 珍しいですね、こんなところに来るなんて」

提督「今、新人を案内していたところだ」

陽炎「陽炎です! よろしくお願いします!」ノ

不知火「不知火です、ご指導ご鞭撻を」ペコリ

黒潮「黒潮や、よろしゅうな」

明石「工作艦の明石です。よろしくね」

提督「えー、ここは民間人向けの販売店舗で……まあ見て分かるか」

提督「知っているだろうが、深海棲艦に対抗できる唯一の存在――それが艦娘だ」

提督「軍事機密ということもあり、海軍もはじめは存在すら知らせない方向だったんだが……」

提督「深海棲艦が世界各地で猛威を振るうようになったこと、また現在の情報社会による情報拡散の結果、瞬く間にその存在が広まってしまった」

提督「現在はこうして、我々から小出しで情報を与える形で、機密情報の流出をコントロールしている」

不知火「なるほど」メモメモ

黒潮「ここでは実際に何を売っとるん?」ノ

提督「行楽地で見られるようなお菓子から、怪しげなお店で並んでるような艦娘の私物まで、各種取り揃えているぞ」

陽炎「結構商品が充実してるのねー」メモメモ

提督「また、定期的にファン感謝祭も開催している」

提督「先日はじゃんけんの優勝者に、この新商品『秋刀魚Tシャツ』を着た卯月が、目の前で脱いで手渡すイベントを開催したよ」

明石「あの時は大変でしたね」

提督「ああ……なにせ入場者数が1万人を突破したからな」

提督「睦月型に列整理をしてもらわなかったら、今頃この一帯が踏み潰されるところだった……」ウンウン

黒潮「『うーちゃん大人気』と……」メモメモ

陽炎「ここって採算取れてるの?」ノ

提督「取れてるぞ? 尤も、採算は二の次だが」

黒潮「えっ何でなん?」

提督「それは、ここは営利目的の施設では無いからだ」

提督「今や艦娘という存在は市民権を得た」

提督「それはつまり、玉石混交のファンの登場を意味する」

提督「中には艦娘を執拗に追い求める『自称提督』なるものが現れ、軍事施設に侵入するなど、社会問題にまでなったのは記憶に新しいだろう?」

不知火「えぇ、ありましたね」

明石「先日も『鹿島に逢いたかったから』という理由で、艦娘寮に忍び込んだ不届き者がいましたね」

提督「あーいたいたw」

提督「……あいつ、何で建設中の寮に忍び込んだんだ……?」ウーム

明石「提督でなくても、あそこに鹿島さんがいないことくらい、すぐ分かると思いますけれど……」ウーム

黒潮「あちゃー……」

陽炎「『1人の男の人生を狂わせた女・鹿島』と……」メモメモ

提督「そんな問題が立て続けに発生した結果、大本営はある結論にたどり着いた」

提督「『彼らをコントロールするのは情報規制ではなく、我々からの情報提供である』」

提督「その日から各鎮守府に、この民間用の特別酒保を設置し、艦娘関連商品や鎮守府オリジナルグッズを発売するようになったわけだ」

陽炎「そうなんだー」

提督「また、大本営から提供される共通商品だけでなく、大本営の許可が通れば、鎮守府独自の商品も販売可能となっている」

明石「如何に他店と差別化を図るかがお店の売り上げ、ひいては販売員の給与に直接響くので、腕の見せどころですよ!」

黒潮「『バイト代は売り上げに左右される』と……」メモメモ

不知火「では、ここの人気商品は何ですか?」ノ

提督「良い質問だ」

提督「ここからは、うちの全艦娘に関わる話になる」

提督「もちろん君たちも同様なので、よく聞いておくように」

YAGGY「「はい!!」」

提督「明石、商品を取ってきてくれ」

明石「分かりました」スタスタ

明石「こちらです」コトッ

陽炎「これは……?」

不知火「小瓶……?」

黒潮「中に粉……?」





提督「それは塩だ」

YAGGY「「塩?」」

提督「この鎮守府では艦娘たちが塩を作り、それを商品として販売している」

陽炎「へぇー、お手製ってこと?」

不知火「楽しそうですね」

黒潮「どうやって作るん?」

提督「よろしい。ではこれより塩の作り方を、現場に赴いて説明しよう」

YAGGY「「よろしくお願いします!!」」

入渠ドック――



提督「――というわけで、我々はドックまでやって来たわけだが……」



陽炎「あの……この格好じゃないとダメなんですか……?///」タオルイチマイ

提督「ダメだ」

不知火「司令官として、その必然性を答えてください///」タオルイチマイ

提督「塩をつくるにはまず、艦娘がサウナに入ることが絶対不可欠なのだ」

提督「まさか水着で入るわけにはいかないだろう?」

黒潮「サウナかー……なら、しゃあないな///」タオルイチマイ

提督「まずは各自、サウナに入ってくれ」

陽炎「……あ、思った以上に立派な施設だね」ガチャリ

提督「国家の存亡を担う鎮守府だからな、施設投資はバッチリだ」

不知火「それで、どれだけ入ればいいのでしょうか?」

提督「それは艦種ごとに決められている」エット...

提督「駆逐艦は『110度で20分』だな」

黒潮「それ熱すぎとちゃう!?」

提督「なら重巡や戦艦の数値を聞くか?」

黒潮「あっ遠慮しまーす」ササッ

陽炎「それでは、サウナ任務、開始します」ビッ

提督「幸運を祈る」ビッ

5分後――



陽炎「あっつ……」ダラダラ







10分後――



不知火「ちょっと慣れてきました……」ダラダラ







15分後――



黒潮「死ぬ……干からびて死ぬ……」ダラダラ

20分後――



コンコン



提督<入って良いか?

陽炎「やっと……終わったね……」グッタリ

不知火「牛乳……水風呂のほど……お願いします……」グッタリ

黒潮「2人とも! 前! 前隠して!」

黒潮「開けたらあかんよ司令はん! これフリちゃうで!? これフリちゃうしー!!」アワワワ

提督<なら、渡したいものがあるから、ドアの隙間から受け取ってくれないか?」

黒潮「それならえぇで」

提督<それでは各自、このタオルで汗を拭ってくれ

提督<全て拭ききったら、サウナから出るように

黒潮「はーい!」

黒潮「ほら、2人とも」つタオル

陽炎「これで汗を拭けって言われても……」

不知火「こっちのタオルではダメなのですか?」

黒潮「今は黙って指令はんの言うことを聞く!」フキフキ

陽炎「そうね……」フキフキ

不知火「兵隊は考えない……」フキフキ









ズキュウウウウウウウウンッッ!!

3人「「お、おおッ!?」」

ズキュウウウウウウウウンッッ!!



陽炎「凄い! 汗がみるみる吸い込まれていくッ!」

黒潮「なんなんコレ!? こんなん、使うたコトあらへん!」

不知火「この圧倒的な吸水力……ただのタオルではないですね……!」

陽炎「こんなに凄いタオルを3人分! ポンと出すことが出来るなんて……!」



ズキュウウウウウウウウンッッ!!

ドドドドドドドドドドド……



黒潮「この鎮守府……!!」

陽炎「塩を作ると言ったら作る……!!」

不知火「『凄み』があるッ……!!」



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……









提督「もう良いー?」

ガチャリ

黒潮「ええでー」スタスタ

陽炎「ただいまー」スタスタ

不知火「サッパリしました」スタスタ

提督「それは良かった」

提督「それでは各自、このビーカーを渡そう」

不知火「まるで理科の実験みたいですね」

提督「いい感想だ」

提督「そして、そのタオルを絞り、汗をビーカーに溜めてくれ」

黒潮「うち、雑巾搾り嫌いやねんけどなー」ギュー

陽炎「このくらい自分でしてよね?」ギュー

不知火「誰も頼もうなんて思ってませんよ」ギュー

提督「……うん、溜まったみたいだな」



黒潮「うわー」タプタプ

陽炎「結構な量になったね」タプタプ

不知火「サウナですから」タプタプ

提督「それでは最後の工程に入る」

提督「ビーカーを加熱し、抽出液を蒸発させるように」

提督「なお、必要な道具はこちらに用意しておいた」

ずら?

不知火「完全に理科の実験じゃないですか」カチャカチャ

陽炎「どうしよwガスバーナーちゃんと使えるかなww?」カチッ

黒潮「沸騰石どこー?」ガサガサ

しばらくして――



YAGGY「「できたー!!」」





さらさら……

からから……





提督「うむ、お疲れ様!」

提督「これが、我が鎮守府で発売されている塩と、その作り方だ!」

不知火「私のだけ、ちょっと多いですね」ザラザラ

提督「そのあたりは個人差があるからな」

提督「案外、不知火の体がしょっぱかったりして」




陽炎「えっ本当?」ペロッ

黒潮「んー……なんとなーく辛いかもなー?」ペロペロ

陽炎「……あ、首筋が割としょっぱい」レロレロ

黒潮「額もなかなか……」ハムハム

不知火「ふえぇ……」ベタベタ

提督「……」●REC

提督「艦娘から塩を生成する方法は、以上だ」

提督「『艦(フリート)娘から精製された塩』……そう!」









提督「これが伝説の『フリート塩』だ!!」キリッ

陽炎「へえー」パチパチ

不知火「ふーん」パチパチ

黒潮「ほおー」パチパチ

提督「さて、作り方は分かったかな?」

提督「今度からは自分たちで作ることになるから、しっかり覚えるんだぞ?」

YAGGY「「はい!!」」

提督「分からなくなっても、誰かに聞けば良い」

提督「遠征常連の睦月型に天龍型、それに吹雪型や六駆あたりがオススメだ」

提督「あと千歳型も詳しいかったな」

提督「……あ、間違うなよ? 空母の方じゃなくて水母の方だからな? 分かったか?」

YAGGY「「『水母の千歳型に聞くべし』と……」」メモメモ

提督「さて、さっさと梱包を終わらせてしまおう。ついて来てくれ」スタスタ

陽炎「いよいよだね」スタスタ

黒潮「緊張してきたわー」スタスタ

不知火「先ほど見た商品のように、瓶詰するのでしょうか?」スタスタ

提督「そうそう」

提督「ただ、3人とも初回だから、少し作業が必要になるんだ」

提督「これは俺が立ち会うことになっているからな」

特別酒保――



明石「お疲れ様です」

提督「それじゃ、さっそく始めるぞ」

明石「はい、もう準備は完了しています」

黒潮「これは何の機械なん?」

提督「ただのパソコンだ。商品管理用のな」

提督「今からここに、お前たちの塩を流通させるために、商品名を入力する」

陽炎「あぁー! そっか! それがいるんだ!」

黒潮「うちら、さっぱり忘れてたわ」

不知火「不知火たちの落ち度です」ヌイー

提督「まあ、今までの商品の命名規則に従うだけなんだけどさ」

提督「まず分かりやすい黒潮から……」カタカタ



『黒塩』



黒潮「せやな」

陽炎「それしかないよね」

提督「次に不知火は……」カタカタ



『しおぬい』



陽炎「なるほどー」

不知火「しおぬい……」キュン///

提督「陽炎は……」カタカタ



『陽炎の塩』



陽炎「無難だ……」

提督「ダジャレよりも、どの艦娘の塩か判断できることが最優先だから」

不知火「それは仕方ぬいですね」

黒潮「なー」

黒潮「このフリート塩って、皆作っとるん?」

提督「もちろん」

提督「駆逐艦から戦艦、戦場に赴く艦娘から運営に携わる艦娘まで」

提督「全員が作っているぞ」

不知火「やはり艦娘ごとに人気はあるのでしょうか?」

提督「誰であろうとすぐ売り切れるから、あまり信頼できるデータではないが……」カタカタ

提督「『朝塩』『長良の塩』『リベッ塩』は安定して人気だな」

黒潮(あっこれ理解出来たらあかんやつやん……)

陽炎「……あれ?」ジー

陽炎「私『塩風』が一番人気だと思ってたんだけど……」

陽炎「思ったより売上が低いわね」

黒潮「人気あらへんの?」

提督「いやいや、大人気だぞ?」

提督「ただ、店頭に並べた瞬間に買われてしまうから、販売価格が上昇しないだけだ」

不知火「はっやーい」

提督「よし! それでは作業に戻る」

提督「そこの棚の中から、適当な空瓶を取り、精製した塩を移してくれ」

提督「口は広いから、零れる心配は無いはずだ」

陽炎「任せといて!」サラサラ...

黒潮「うちら、これでも器用やねんで?」サラサラ...

不知火「私は、少し大きめの瓶に入れます」サラサラサラー...

提督「入れ終えたら、同じ棚から蓋を選んで締めるように」

陽炎「よいしょっと」キュッ

不知火「入れました」キュッ

黒潮「よっしゃー! 完成やー!」キュッ

提督「まだ作業は残ってるぞ?」

提督「後は、この『印刷』のボタンを押せば……」ポチッ



ウィーン……

ガーガー……ガーガー……

バサッ



提督「商品名が印刷されたラベルシールが完成だ」

不知火「なるほど、これを瓶に貼りつける……と」ペタペタ

黒潮「あー、それは大事やね」ペタペタ

陽炎「多少ズレても大丈夫かな?」ペタペタ

提督「……うん、全部貼れてるな」









提督「フリート塩のッ!! 完ッ成ッですッッ!!」

YAGGY「「やったー!!」」パチパチ




不知火「このフリート塩の販売価格はいくらですか?」

提督「そうだな……この量だとおよそ7グラムほどだから……」

提督「大体7万円だ」

陽炎「ハァッ!? そんなにするの!?」

不知火「たったこれだけなのに……!?」

黒潮「高っ! フリート塩高っ!!」

提督「それが最低価格な」

YAGGY「「ファッ!?」」

提督「お前たちの場合は初物だから、そこに1.5倍の補正がかかる」

提督「それに精製度合いも良好だから、さらに1.2倍で……」

提督「12万6千円といったところだな」

YAGGY「「」」

提督「それに陽炎と黒潮のも、パッと見10万は下らないだろう」

提督「つまり君たちは、総額30万円以上にのぼる商品を、親指と人差し指でつまんで持ち歩いている……というわけだ」

YAGGY「「」」

提督「いや?……」

提督「こっちもぼったくり価格だという自覚はあるぞ?」

提督「だけど、それでも速攻で売れ切れてしまうから……」

提督「下げようにも下げられない状況でさ」タハハ

YAGGY「「」」

提督「あちゃー……」

提督「全員、気を付け!!」

YAGGY「「はっ!!」」バッ

提督「……」



提督「これで塩作りの説明は以上だ」

提督「3人とも、鎮守府にやって来たばかりで、色々と不安もあるだろう」

提督「だが! ここは君たちの職場であり! 戦場であり!」

提督「……そして、帰る家である」

提督「辛いことがあるなら相談してくれ、嫌なことがあるなら打ち明けてくれ」

提督「私は君たちを守る者として、全力で解決するつもりだ! だから!!」

提督「……君たちの力で、この国を守ってくれ」

YAGGY「「……はい!!」」キリッ!

提督(皆……良い面構えだ)

提督(艦娘たちの努力の甲斐あって、戦況はわずかずつ改善されている)

提督(3人の力が加われば、それはもっと加速するに違いない)

提督(君たちが諦めない限り、私は応援し続けよう)

提督(陽炎……不知火……黒潮……頼んだぞッ!)

提督「……さて、質問があれば受け付けるが……どうかな?」

不知火「あ、では……」ノ

提督「何が知りたい?」

不知火「知りたいというか……気になるというか……」









不知火「この塩……何に使うものでしょうか?」

提督「今頃気になったんかーい!!!!!!!!」ドンガラガッシャーン!!

「「HAHAHAHAHA!!」」



おわり

以上です、ありがとうございました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年11月05日 (日) 05:17:45   ID: 7QpvuoE-

最後あうえ

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