ななか「お久しぶりですね、フェリシアさん」
フェリシア「ぐあるるるる!」
いろは「だ、駄目だよフェリシアちゃん、そんなに歯を向きだしにしちゃ」
フェリシア「けど!こいつには色々酷い事を言われた事があるんだよ!」
いろは「ひどいこと?」
ななか「私は別に酷い事を云った記憶はありませんが、単に傭兵としての契約を継続できないと通達しただけです」
フェリシア「がるるるるるる!」
いろは「え、えっと……フェリシアちゃんが傭兵やってたというのを知ってるって事は……」
ななか「はい、私も魔法少女をさせていただいています」
ななか「環いろはさん、貴女と同じように」
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いろは「……私の事を、ご存じなんですか?」
ななか「はい、古参の魔法少女である七海やちよさんの新しいパートナー」
ななか「一部の魔法少女たちの間で、話題になっていますよ」
いろは「そ、そんな、パートナーだなんて……」
フェリシア「なぁなぁ!そんなヤツ放っておいて、さっさと買い物に行こうぜー!」グイグイ
いろは「あっ、フェリシアちゃんひっぱらないで……」
ななか「ふむ、フェリシアさんは騎士同盟の皆さまと懇意にされていたと記憶していますが」
ななか「七海やちよさんの派閥とも関係を持ったのですね、良い事です」
フェリシア「うっせー!誰と組もうがオレの勝手だろ!」
いろは「もう、フェリシアちゃん、普通にお話しようよ、乱暴な事言ったりしちゃ駄目だよ」
フェリシア「う……だって……」
ななか「……」
ななか(あの深月フェリシアが、大人しく従っている……)
ななか(環いろは、見かけは気弱そうですが、実は優秀な人間なのでしょうか)
ななか(それに……ここ暫く単独で活動していた七海やちよが突然派閥を作り上げたというのも気になります)
ななか(ここは、次の手の為に布石を打っておいた方が良いかもしれませんね)
ななか「……フェリシアさん」
フェリシア「……なんだよ」プイ
ななか「私達は、お互い行き違いがあったようです」
フェリシア「は?」
ななか「貴女は現在、二つの勢力と友好関係にあります」
ななか「つまり、貴女には他人と協力し合える下地があったという事です」
ななか「私には、それを見抜く事が出来なかった」
ななか「それが故に、貴女との契約を切ってしまった」
ななか「申し訳ありません」
フェリシア「……い、今更言っても遅いっての……」
ななか「遅いでしょうか、私としては何時かまた契約を再開したいと思っているのですが」
ななか「勿論、環さん達の事情もあるでしょうから、即座にという訳にはいかないでしょうけれど」
フェリシア「傭兵契約はもうやってないって、だっていろは達と専属契約したし……」
いろは「フェリシアちゃん、何があったか知らないけど、仲直りするのはいいことだと思うよ」
フェリシア「けど……」
いろは「それに、同じ魔法少女同士なんだし、協力出来るときは協力してあげた方がいいと思う」
フェリシア「……」
いろは「駄目かな?」
フェリシア「……いろはが、イイって言うなら、イイけどさ」
いろは「ふふふ、フェリシアちゃん偉いね」ナデナデ
フェリシア「ううう///」
ななか「まるで犬と飼い主ですね」
いろは「え?」
ななか「いえ、なんでも」
いろは「あの……常盤ななかさん」
ななか「はい」
いろは「えっと、フェリシアちゃんはちょっと乱暴な所があるんですけど、根は良い子なんです」
いろは「だから、あの、あまり酷い事を言わないであげて欲しいんです」
いろは「その約束が出来るなら、私はお二人の事を仲直りを応援したいと思っています」
ななか「ええ、勿論です、酷い事は言わないと誓います」
いろは「よかったぁ」ホッ
ななか「こちらも良かったです」ニコ
ななか(よし、これで七海やちよ勢力と繋がりができました)
ななか(頃合いを見て七海やちよ本人に接触して……可能ならば駒として使いましょう)
いろは「じゃあ、あの、目を瞑って舌を出してもらえますか?」
ななか「え?どうしてです?」
いろは「えっと、約束のおまじない、みたいな感じのをやろうかなって」
ななか「おまじない……ですか」
ななか(指きりとか、そういうのでしょうか)
ななか(目を瞑って舌を出す、というのは聞いたことがないおまじないですけど)
ななか(まあ、その程度で友好関係が結べるのであれば、安いものです)
ななか「構いませんよ、これで宜しいでしょうか」
いろは「あ、えっと、もう少し屈んで貰えると……」
ななか「こう……ですか?」
いろは「はい、良い位置です」
ななか(良い位置?)
ななか(一体何を……)
ペロリ
ななか(……?)
ななか(今、何か舌の先に……)
ななか(柔らかいものが……)
ちゅぷー
ななか(……え?)
ななか(何か、何かが舌に、いえ、口に押しつけられて……)
ななか(そのまま口の中に……)
いろは「んんー……」
ななか「!?」
ドンッ
いろは「あうっ……」
ななか「な、な、な///」
いろは「ひ、ひどい、おまじないまだ終わってないのに……」
ななか「貴女は何をしやがってるんですか!?」
いろは「何って……おまじないです」
ななか「お、お、お、おまじない!?人の口に舌を……あ、あんな事するのがおまじないですか!?」ハァハァ
いろは「は、はい、約束をする時のおまじないです、よ?」
ななか「くっ、キョトンとした顔で良くも……!」
ななか(しかし、しかし何故突然こんな事を!先ほどまでは普通に会話していたのに!)
ななか(……いいえ、落ち着くのです私、そう、これは恐らく環いろはの姦計)
ななか(きっと何かを企んでいて、私の冷静さを失わせ、交渉を有利に進めようという考えなのでしょう)
ななか(はじめての接吻を奪われて、少し、ほんの少し狼狽してしまったのは事実ですし)
ななか(……しかし、私には通じません)
ななか(私の『復讐する相手を見極める能力』の前には、如何なる企みも無意味)
ななか(貴女の考えを見破り、逆に利用して差し上げます!)
ななか「そ、そうですか、少し珍しいおまじないだったので狼狽してしまいました」
いろは「えへへ、私も初めて知った時はびっくりしちゃいました」
いろは「それで、あの、おまじないの続きなんですけど……」
ななか「つ、続き?」
いろは「はい、これは『口寄せのおまじない』って言って」
いろは「舌が絡むくらい口を寄せあって、その状態で約束を呟く必要があるんです」
いろは「さっきは途中までで終わっちゃいましたから……」
ななか「……」
いろは「常盤さん?」
ななか(おかしいですね、私の能力がこう呟いています)
ななか(復讐すべき相手は環いろはではない、と)
ななか「……」
ななか「……あの、一つよろしいでしょうか」
いろは「はい」
ななか「その珍しいおまじないを環さんに教えたのは、どなたですか?」
いろは「やちよさんです」
ななか(な、な、な、な)
ななか(何をやっているのですか七海やちよは!)
ななか(中学生にこんな如何わしいおまじないを教えるだなんて!)
ななか(はしたない!えっち!)
ななか(軽蔑します!)
いろは「あ、あの?」
ななか「……」
ななか(い、いえ、待ちましょう、もう一度冷静になりましょう)
ななか(冷静に、冷静に……)
ななか(私が知っている七海やちよは、理知的かつ合理的で他者にも自分にも厳しかったはずです)
ななか(神浜に不覚的要素が発生するのを防ぐ為ならば、同じ魔法少女に戦闘を仕掛ける事すら厭わないとも聞きます)
ななか(そんな七海やちよが、自分の欲望を優先する為にこんなエッチなおまじないを教えたとは考えにくい)
ななか(環いろはが彼女の言葉を勘違いして受け取った可能性が高いのではないでしょうか)
ななか(そうです、きっとそうで……)
いろは「ほら、フェリシアちゃんも」
フェリシア「はあ、しゃあねーな、コレやらないとやちよが怒るからなぁ」
いろは「はい、舌出して?」
フェリシア「んー」ベー
いろは「んー」チュー
ペロペロペロ
ななか(はああああああああ!?)
ななか(な、何をしているのでしょうかこの二人は!?)
ななか(い、いえ、私も子供ではないのですから行為の意味は判ります!)
ななか(それに先ほどの深月フェリシアが漏らした発言から)
ななか(この行為の裏にやはり七海やちよの影がある事も判ります!)
ななか(その辺の状況は確かに、理解して、理解しています、が)
ななか(理解していますが……わわっ)
ななか(そ、そんな、2人の舌が、外からも見えるくらい絡まって……)
ななか(え、ええ?た、垂れてますよ、涎、拭かなくてもいいんですか?)
ななか(あんなに凶暴だった深月フェリシアが、あんな、あんな顔をするなんて)
ななか(それに、音が、音が)
クチャクチャペロペロ
ななか「……」
ななか「……」
ななか「……」
ななか「///」プシュウ
フェリシア「ふー……やっぱりコレすると、何か身体が熱くなるなぁ……」
いろは「ふふふ、おまじないが聞いてる証拠だよね」
いろは「だからね?約束だよ?もうケンカしないでね?」
フェリシア「はぁーい」
いろは「えっと、常盤さん?」
ななか「///」
いろは「うう、どうしちゃったんだろ……」
フェリシア「コイツは性格はアレだけど、頭はいいからな、何か考え事してハマっちまってるんじゃね?」
いろは「ううん、どうしよう、私も買い物に行かないといけないんだけど……」
フェリシア「放っとこうぜ~」
いろは「駄目だよ、何だか天気も悪いし、雨が降ってきたら濡れちゃう」
いろは「フェリシアちゃん、常盤さんの家って知ってる?」
フェリシア「んー、家は知らねえけど、アジトなら知ってるぞ」
いろは「じゃあ、送って行ってあげてくれないかな?」
フェリシア「えええー!オレも買い物行きたいー!」
いろは「ごめんね、アイス買ってあげるから、お願い」
フェリシア「ホントか!?高いアイスでもいい?」
いろは「ううん、ちょっとだけ高いアイスなら……」
フェリシア「よーし!約束だぞ、いろは!」
いろは「うん、約束だね、フェリシアちゃん」
チュッチュッレロレロ
~ななかアジト~
フェリシア「おーっす、かこ、届けモノだぞー」ズルズル
かこ「あ、フェリシアちゃん……?」
美雨「契約切れの傭兵か、何のようネ」
あきら「って言うか、ななかを引きずってるじゃない!どうしたの!?」
フェリシア「知らねーよ、何か、道の真ん中で突然固まっちまったんだよ」
かこ「うわあ、ななかさん、凄く顔が真っ赤……」
あきら「と、取りあえず濡れタオル持ってくるよ!」
美雨「……傭兵、お前、契約を切られた腹いせにななかを襲ったんじゃないアルか」
フェリシア「むっかー!そんな事するかよ!」
美雨「……まあ、確かにお前ではななかを倒せるはずはないネ」
フェリシア「はぁ!?んなもんやってみないと……」
「ケンカしないでね?」
フェリシア「うっ」
美雨「どうしたネ、決斗なら受けて立つネ」
フェリシア「……やんねーよ、そんなこと」
美雨「……ほう」
かこ「あ、あの、2人とも落ち着いて……」
~数分後~
ななか「ふぅ……ありがとうございます、あきらさん、随分落ち着きました」
あきら「もう、一体何があったの?あんな状態になるななか何て初めて見たよ」
かこ「は、はい、真っ赤でした……」
ななか「あんな……状態……」
ななか「あんな……」
ななか「……あんな……えっちな」
あきら「ななか?」
ななか「ふぇっ!?い、いや、何でもありません!」
あきら(ん?)
かこ(今?)
美雨(ふぇって言ったアルか?)
美雨「……そこの傭兵に何かされたんじゃないアルか」
フェリシア「だーかーらー、何もしてねーって」
ななか「……」
かこ「え、えっと、フェリシアちゃんは、上手に嘘がつけるほど器用な子じゃないですし……」
あきら「かこ、地味に酷い事言ってるね」
ななか「そ、そうですね、フェリシアさんに何かされたワケでは……ありません」
フェリシア「うん、約束したしな」
かこ「約束?」
フェリシア「ああ、オレとそいつは、喧嘩しない、酷い事も言わないって約束したんだ」
フェリシア「口寄せのおまじないまでしたんだから、ちゃんと守らないとな!」
ななか「い、いや……あれは……」
あきら「へえ、フェリシアって、おまじない好きなんだ、ちょっと意外かも」
美雨「……くだらないネ」
かこ「どんなおまじないなのかなあ」
フェリシア「えっと、まず1人目が舌を出して……」
ななか「ま、待ちなさいフェリシアさん!」
フェリシア「2人目が相手の舌に自分の舌を這わせて、絡めあった状態で約束事を唱えるんだぜ」
かこ「……」
あきら「……」
美雨「……」
ななか「……」
あきら「え、ちょっと待って、え?」
美雨「ななか?」
かこ「……」
ななか「ち、違うのです、違うのです!」
あきら「そ、それって、キスって事?キスって事?」
美雨「ななか?」
かこ「……」
ななか「ち、違います!接吻ではありません!あれは事故みたいなもので!」
あきら「じ、事故って事は、キスしたんだ、やっぱりしたんだ、フェリシアと?」
フェリシア「ばっか、違うよ、いろはとだよ」
あきら「いろは?いろはって、環いろは?ななかが前に調べてた環いろは?もしかしてこの為に?」
美雨「ななか?」
かこ「……」
ななか「ち、違います!接吻する為に調べていた訳ではありません!」
ななか(い、いけません、このままでは誤解が広がってしまいます)
ななか(何とか、何とか話題を逸らさないと……)
ななか「そ、そう言えば、かこさん、先日話していた本は持ってきていただけましたか?」
あきら「待ってよななか、まだこっちの話が……」
美雨「ななか?」
ななか「い、いえ、こちらの話も重要ですので!」
かこ「……」
ななか「かこさん?」
かこ「あ、あの……えっと……」モジモジ
ななか「大丈夫ですよ、かこさん、ゆっくりご自分のペースで話してください」
かこ「は、はい……」
ななか「……」
ななか(……夏目かこ)
ななか(積極的に自分の意見を言う事は少なく、戦闘でも直接戦闘より支援行動をお任せしています)
ななか(ですが、愚昧という訳ではありません、寧ろ私達とは違う視点からの意見を述べてくる事が多いです)
ななか(趣味の読書の影響で、物事を俯瞰して見る癖が付いているのかもしれません)
ななか(実際、今の状況でも周囲に流される事無く、黙考されていましたし)
ななか(きっと、きっと今の状況を打破するような意見を言って下さるはず……!)
かこ「……」ボソッ
ななか「ん?かこさんもう少し大きな声で……」
かこ「じゅう……さいです……」ボソッ
ななか「え?」
かこ「じゅうさん、さいです……」
ななか「じゅうさんさいです?」
かこ「は、はい///」
ななか「……」
ななか(ふむ、これはどういう意味でしょうか)
ななか(単純に読み取ると、13歳という意味になるのでしょうが……)
ななか「13歳……ああ、確か、かこさんは13歳でしたね」
かこ「はい、13歳なんです///」
ななか「……すみません、少し意味が」
かこ「前にななかさんが調べていたのを、私も確認していました……」
かこ「いろはさんも、13歳でした……」
ななか「ああ、そういう……」
かこ「……ななかさんが、キスしたいろはさんは、13歳なんです///」
ななか「は?」
かこ「13歳の、女の子の、舌は、どんな感触でしたか///」
ななか「え?」
かこ「私も、13歳なんです///」
かこ「ななかさんがキスをした、いろはさんと///」
かこ「同じ年齢、です///」
ななか「……」
ななか「……」
ななか「///」ボシュッ
ななか(え、えええ、何故私は赤面してるのでしょうか///)
ななか(赤面する道理はないはずです///)
ななか(ああ、けど、けど何か///)
かこ「///」
ななか(何か、かこさんの唇を見ていると、何か思い出してしまって///)
かこ「えっと///」
かこ「13歳の女の子に、舌を入れられて、どんな気分でしたか///」
かこ「13歳の女の子の、唾液は、どんな味でしたか///」
かこ「13歳の女の子の、吐息は、どんな匂いでしたか///」
かこ「私も、私も13歳なんです///」
かこ「一緒ですね///」
ななか「う、うああああ///」
ななか「はぁ、はぁ、はぁ///」
ななか(くっ、油断しました、かこさんがこんなにもキスに興味津々だとは)
ななか(いや、コレはキスというよりも『13歳の魔法少女』という概念自体に興味津々なのでしょうか)
ななか(と、兎に角、もう一度話題を変えて……)
あきら「……あのさ」
ななか「は、はい、何でしょうかあきらさん」
あきら「ボク達って、同じ目的を果たす為に集まった同盟だよね?」
ななか「……」
ななか(……志伸あきら)
ななか(実直で頼み事をされると断れない性質、初期の頃から私の手伝いをしてくれていますが……)
ななか(流石にこの状況だと、私に対する不信感が湧いてしまったのかもしれません)
ななか(戦闘力が高い彼女に疑惑の種を植えたままにするのは得策ではないでしょう)
ななか(多少強引にでも、疑惑を払拭した方が良いのかもしれません……)
あきら「ななか?」
ななか「……はい、そうです」
ななか「神浜市の広域に影響を与えている魔女『飛蝗』を探し出し、力を合わせて討伐すると誓い合ったのが、今の私達です」
ななか「同盟の誓いに、何ら変更はありませんよ、あきらさん」
あきら「……けど」
ななか「私の事が、信用できなくなりましたか?」
あきら「ボクは、信用してるよ、けど……ななかは、してないじゃないか」
ななか「してない?」
あきら「うん」
ななか「してないって……何をです?」
あきら「だから……」
あきら「キスをだよ」
ななか「んん?」
あきら「ななかは、誰かと約束する時にキスするんだよね?」
あきら「けど、ボクはしてないよ、キス」
あきら「同盟の誓いって、言ってみれば約束のもっと凄いやつだよね?」
あきら「もっと、もっと、もーっと凄い、命がかかるくらいのヤツだよね?」
ななか「そ、それは、確かにそうですが、キスとは関係が……」
あきら「環いろはとは約束の為にキスしたんだよね、じゃあボクとキスしないのは変なんじゃないかな」
あきら「おかしいよ、ななか、これおかしいよ」ズズズイ
ななか「え、えっと……あきらさん、顔が近いんですけど」
あきら「そもそも最初に会ったときから可愛いなーと思ってたんだよ」ブツブツ
あきら「ボクは、喋り方は男の子みたいだけど、実は可愛い物が大好きだし」ブツブツ
あきら「部屋も可愛い人形とか可愛い服とか可愛い写真とかがいっぱい飾ってあるし」ブツブツ
あきら「ななかも連れて帰って部屋に飾りたいなーと思ってたけどずっと我慢してたんだ」ブツブツ
あきら「同盟に入ったのだって半分は家族を貶めた魔女を倒す為だけど、残りの半分はななかが可愛いからだし」ブツブツ
あきら「ななか、可愛いよね、性格はちょっとアレだけど顔も服も仕草も凄く可愛い」ブツブツ
あきら「キスしたらどんな表情してくれるのかな、写真に撮りたいな」ブツブツ
ななか「ひっ」
ななか(あ、あきらさんの様子が何か変です!)
ななか(この状況は、この状況は想定していません!)
ななか(何か、何か策は……)
かこ「13歳……」ジリッ
あきら「キス……」ジリッ
ななか「は……」
ななか「はわわわ……」
ななか「や、やめ……」
「いい加減にするネ!」
ななか「こ、この声は!」
美雨「全く、さっきから聞いていれば片腹痛いネ」
ななか「美雨さん!」
ななか(そうです、美雨さんがいました!)
ななか(思慮深く、尚且つ狡猾な彼女は、最初の頃は私を信用してくれていませんでしたが……)
ななか(今は、仮初ではありますが絆が結ばれているはずです!)
ななか(きっと、きっと彼女なら2人を押しとどめてくれるはず……!)
美雨「13歳?おまじない?挙句の果てにキス?」
美雨「はっ!約束の為にキスするなんて風習、聞いた事無いネ、そんなの嘘っぱちヨ!」
美雨「蒼海幇である私が言うんだから、間違いないネ」
美雨「与太話はそこまでにして、もっと実のある話を……」
ななか「そ、そうです、美雨さんの言うとおりで……」
かこ「中国に……血の契りを交わす……という風習がありますよね、お互いの血をお酒に垂らして飲みかわすって本に書いてありました……」
あきら「あ、それってお互いの体液を交換して義兄弟の契りを交わしてる訳だから、まあキスと一緒だよね」
美雨「……あ!」
ななか「美雨さん?」
美雨「本当アル!」
ななか「美雨さん?」
美雨「そう、そうアル、義兄弟の契り、いやこの場合は義姉妹の契り、何か格好いいネ!」
美雨「凄く中国っぽいヨ!」
美雨「やるべきネ!やるべきヨ!」
かこ「美雨さん、判ってくれたんですね」
あきら「あー、よかった!」
ななか「……」
美雨「じゃあ、順番はどうするネ」
かこ「あの……私が最初で、いいですか?」
かこ「聞きたいんです、13歳のいろはさんと、13歳の私で、違いがあったかどうかを」
あきら「うん、ボクは写真撮りたいから後でもいいよ」
美雨「ふっ、今回は貸しにしておいてやるネ……」
かこ「あ、ありがとうございます……」
ななか「……」
かこ「……ななか、さん?」
ななか「ひゃ、ひゃいっ……」
かこ「いいです、か?」
ななか「い、い、い……」
ななか(ま、待ちなさい、常盤ななか)
ななか(ここで、ここで「いやです」と言うのは簡単です)
ななか(しかし、コレを言ってしまうと同盟に罅が入る可能性があります)
ななか(しかも彼女達を納得させる為の策は無い状態です)
ななか(……今、この子達を手放す訳にはいきません)
ななか(そう、そうです、同盟の為、いや、私の目的の為に)
ななか(こ、この程度の事は、軽く飲み干さないと)
ななか(だから、だから……)
ななか「……」
ななか「……」
ななか「……」
ななか「い……」
ななか「い、いいです、よ?」
ななか「あ、あの、優しく、してください?」ウルッ
かこ「はい♪」
1人目は、時間をかけて味わうようにネットリとしたキスをされた。
2人目は、自分の歯形を残そうとするかのように力強くキスをされた。
3人目は、柔らかく、舌を包み込むかのように優しくキスをされた。
頭がボーっとして、その後の会話をあまりよく覚えていない。
けど、その後、何故か2週目、3週目のキスが行われたのはボンヤリと覚えている。
~数日後~
ななか「はぁ……何か、最近疲れます……」
ななか「アジトにいると、他の三人から何かやたらと身体を触れられますし……」
ななか「だから魔女探索を言い訳にして町に出てきた訳ですけど……」
「あー、見つけました!」
ななか「あら、貴女達は……」
明日香「もう!ずっと探してたんですよ!」
ささら「最近姿を見なかったから、ちょっと苦労したよ」
ななか「……」
ななか(竜城明日香と美凪ささら)
ななか(攻撃偏重型と、守護偏重型の魔法少女コンビ、通称、騎士同盟)
ななか(私達と協力関係にある魔法少女ですが……はて)
ななか(こんな剣幕で私を探すなんて、何かあったのでしょうか)
>>32
「同盟に入ったのだって半分は家族を貶めた魔女を倒す為だけど、残りの半分はななかが可愛いからだし」
↓
「同盟に入ったのだって半分は周囲に呪いを振りまく魔女を倒す為だけど、残りの半分はななかが可愛いからだし」
あきらの動機を他の魔法少女の物と混同していました
ななか「お二人とも、どうかなさいましたか?」
明日香「どうもこうもないです!ショックです!」
ななか「ショック?」
明日香「まさか、ななかさんにそう思われていたなんて!切腹したいです!」
ななか「明日香さん、落ち着いて……」
ドンッ
ななか「え……?」
ささら「……ななかさん、私もちょっと納得いかないんだけど」
ななか(あ、あれ、壁が後ろにあるから下がない)
ななか(目の前にはささらさんが居ますし、横はささらさんの腕で防がれてますし)
ななか(何か、逃げ道が無い感じが……)
ななか「え、ええと、私に何か不手際がありましたか?」
ささら「……私はななかさんの事を割りと信用してたんだけど」
ささら「ななかさんは、私たちの事をそんなに信用してなかったのかなって」
ななか(あれ、この流れ、何か既視感が……)
明日香「皆さんが噂しているのを聞きました!ななかさんは自分が信用している魔法少女に、その……」
ささら「口づけをしている、ってね」
ななか「えっ!?」
ななか「ま、待ってください、そんな噂を何処から!?」
明日香「何処からでしたっけ?」
ささら「具体的な発信源はわからないけど、みんな言ってるよ」
ななか「ええと、みんなというのは、どの範囲のことでしょう」
ささら「んー、知り合いの魔法少女は全員知ってたから、多分、神浜にいる魔法少女の大半に広がってるんじゃないかな」
ななか「たいはんに……」
常盤ななかは策士である。
策を練るには情報や手駒を手に入れなくてはならない。
その為に、彼女は神浜にいる複数の魔法少女グループと接触を持っている。
そして「駒」として使えそうな魔法少女と、仮初の友好関係を結んでいるのだ。
無名の魔法少女も含めると、その数、凡そ50名。
神浜に存在する魔法少女の半数は、常盤ななかと何らかの関係があるという事だ。
つまり。
ななか(このままでは今まで築き上げてきた人間関係が破綻してしまいます……)
ななか(誤った情報だと主張したい所ですが、確固たる証拠が無い以上、不信感が付きまとうでしょう)
ななか(それに、それに、アジトであきらさんが接吻の写真を撮ってらしたと思います)
ななか(あの時はボーっとしていて回収できませんでしたから)
ななか(もしアレが流出してしまったら、言い逃れが出来なくなります)
ななか(打開する為の策はありません……)
ななか(それなら、それならもう……)
ななか「……噂が禍根を生むというなら、もう皆と接吻するしかないじゃないですか……」
こうして、噂に引き寄せられる魔法少女達とキスをする事に決めた常盤ななかは。
毎日毎日、色んな魔法少女達の舌に弄られて。
彼女達から偏執的な程の信頼を受けて。
幸せに暮らしましたとさ。
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