乙倉悠貴「おめでとうが聞きたくてっ」 (22)

悠貴(おはようございますっ。乙倉悠貴ですっ!)

悠貴(今私は学校が終わって事務所に向かって走っていますっ)

悠貴(あ、いつも走っているわけじゃないですよっ。今日は特別なんです)

悠貴(それというのも、実は今日は私の誕生日なんですっ!)

悠貴(事務所の皆は忙しいのでパーティーは無理ですけど、皆におめでとうと言ってもらいたくてじっとしていられませんっ)

悠貴(ちょっとワガママでしょうか?でも、いいですよねっ)

悠貴(だって今日は誕生日ですからっ)


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事務所

悠貴「おはようございますっ!」

悠貴(えへへっ、いつもより声が大きくなっちゃいました)

悠貴「……あれ?」

悠貴(返事がない。それに部屋の電気が消えています)

悠貴「皆いないのかな?……あ」

悠貴(これ、知ってますっ!電気を点けたら、部屋の中はパーティーの飾り付けがしてあるやつですっ!)

悠貴(そして驚いた瞬間、部屋に隠れてた皆がクラッカーを鳴らすんですよねっ!)

悠貴(えへへっ、プロデューサーさん「パーティーしてやりたいが皆は忙しくて時間が取れないんだ」と言ってたのは嘘だったんですねっ!)

悠貴(このサプライズパーティーを開くためのっ!)

悠貴(ふふっ、よーしそれなら私も何も気付かないフリをしながら……)

悠貴「おかしいなあ。とりあえず電気点けないと」パチッ

悠貴「……わあ!」

悠貴(予想的中!明かりの点いた事務所は予想通り、飾り付けられていました)

悠貴(テーブルには料理のお皿が)

悠貴(壁には星や葡萄のシールが)

悠貴(高いところには『悠貴ちゃん誕生日おめでとう』の幕が)

悠貴(少し離れたところに置かれている箱はプレゼントでしょうか?)

悠貴(もうこの光景だけで胸がいっぱいで泣きそうですっ)

悠貴(でも、まだです)

悠貴(まだパーティーは始まっていません)

悠貴(ありがとうございます、皆さんっ!ここまでしてくれるなんて、本当にびっくりしましたっ!)

悠貴(さあ、クラッカーを鳴らしてくださいっ!)

悠貴「……」

悠貴(さあっ!)

悠貴「……あれ?」

悠貴(いつまでたっても鳴らないクラッカーに戸惑い、まわりを見渡すと誰もいませんでした)

悠貴(隠れてるのかな、と探してみてもいません)

悠貴「……これはもしや、やっちゃったんじゃ」

悠貴(実は少し気になることがあります)

悠貴(テーブルの上にお皿はあっても、料理が乗っていません。飲み物すらありません)

悠貴(壁のシールですが、部屋の半分にしか貼られていません)

悠貴(幕はちゃんと張られていますが、近くのソファーにまだこれから飾るための飾りが置かれています)

悠貴(これってもしかして)

悠貴「準備前に来ちゃいましたっ!?」

悠貴「ど、どうしましょう!?ええっと、そうだ!一度事務所を出て時間をおけばっ!」

悠貴(そうと決まればすぐ行動です。荷物を持って、部屋の電気を消して、駆け出しま)

モバP「まさかケーキを買い忘れるとはなあ」

忍「もう、しっかりしてよね」

悠貴(ストーップ!からの机の下へダッシュ!)

菜々「ピピッ、ただいま買い物から戻りました」

くるみ「ジュース買ってきたよぉ」

愛海「後は飾り付けするだけだね」

悠貴(みんな戻ってきちゃいましたっ。どうしましょうっ!)

愛海「……あれ?」

菜々「どうしました?」

愛海「今、お山センサーに何か引っ掛かったような」

モバP「何だその怪しいセンサー?」

愛海「お山センサーはお山を探知するセンサーだよ。72センチのお山から存在を察知できる優れものだよ」

モバP「ほう。それでそのセンサーに反応があったのか?」

愛海「んー、あったと思ったけど気のせいだったみたい」

忍「はいはい。バカなこと言ってないで飾り付けやるよ」

悠貴(助かりましたっ。けどなんでしょうこの哀しみは)←70センチ

くるみ「こっちの高いところにもシール貼るねぇ」

忍「椅子から落ちないように気を付けてね」

愛海「落ちたら大変だからあたしが支えてあげるよ。うひひ」

モバP「こら、愛海。邪魔をするな。それは俺の役目だ」

くるみ「ふええ」

忍「……二人とも」

菜々「あ、くるみちゃん。高いところは危ないのでナナがやりますよ」

モバP「菜々さん無茶しないで。くるみも、そこは俺がやるからくるみは低いところを頼む」

くるみ「うん、頑張りゅ」

愛海「料理は全部出しちゃう?」

菜々「悠貴ちゃんはそろそろ来ますかね?」

モバP「いつも通りならそろそろですね」

悠貴(ごめんなさいっ。もう来てますっ)

菜々「なら、くるみちゃんが作ったプリンは冷蔵庫に入れておいて、他の料理はお皿に並べちゃってください」

忍「はーい。わあ、すごい豪華。これ菜々さんが作ったんだよね?」

菜々「仕込みは昨日愛海ちゃんとくるみちゃんにも手伝ってもらいましたから」

忍「いいなあ。あたしも仕事がなかったら参加したかったよ」

悠貴(私も次の機会には参加したいなっ)

忍「並べてみたけど、なんかハンバーグ多くない?」

モバP「愛海だろ。こいつ後先考えず肉をこねたがるから」

愛海「だって楽しいんだもん」

モバP「お前なあ」

菜々「まあまあ、料理が足りないよりはいいじゃないですか。それにみんな育ち盛りなんですから食べますよ」

くるみ「えへへ、菜々しゃんママみたいなこと言うねぇ」

菜々「うぐっ」

モバP「あ、いいの入った」

モバP「よし、飾り付けはこんなものか」

悠貴(どうしましょう。出ていくタイミングがまったくありませんでした)

菜々「それじゃあ今回のメイン企画やりましょう。みんなちゃんと用意してきましたか?」

くるみ「大丈夫でしゅ」

愛海「待ってました」

悠貴(メイン企画?何が始まるんでしょう?)

モバP「ミキサー用意。忍」

忍「いつでもいいよ!」

悠貴(あ、プレゼントだと思ってた包みはミキサーだったんですねっ)

モバP「それじゃあ今回のメイン、事務所特製ミックスジュース作りを始めるぞ」

菜々「わー」パチパチ

忍「悠貴ちゃんミックスジュース好きだもんね」

くるみ「くるみたち特製のジュース、喜んでくれたりゃいいなぁ」

悠貴(私のためにそんなことまでっ!感激ですっ!)

モバP「では菜々さん説明お願いします」

菜々「はい。ではルールを確認しますね。みんなには一品ずつ食材を持ってきてもらいました」

菜々「事前の打ち合わせ禁止で用意した食材を順番に入れて、ミックスジュース作りをします」

悠貴(ミックスジュースというより闇鍋みたいになってませんか?)

菜々「わかりましたね?では、みんなも楽しんでやみな、ミックスジュース作りをしましょう!」

悠貴(今、闇鍋って言いかけましたよっ!?)

菜々「言っておきますけど、食べ物じゃない物は禁止ですよ。悠貴ちゃんは飲むんですから」

悠貴(私はっ!?皆さんは飲まないんですかっ!?)

忍「じゃあ、トップバッター菜々さん」

菜々「じゃん!ナナはウサミン星の特産品、落花生です」

悠貴(落花生ですか。ジュースに使ったことはないですけど、美味しそうですっ)

悠貴(入りは不安だったけど、美味しいジュースになるかもっ)

菜々「入れますよー」ギュイーン パキパキ

悠貴(殻ごと!?落花生って殻は食べられるんでしたっけ?)

くるみ「らっかしぇいって殻も食べられりゅんだっけ?」

菜々「食べる人もいるみたいですよ」

悠貴(あ、そうなんだ)

菜々「まあ、ナナは食べないですけど」

悠貴(菜々さんっ!?)

モバP「次は」

忍「はい!アタシはリンゴを持ってきたよ。なんたって青森の特産だからね」

愛海「あたしもリンゴ持ってきたよ。青森特産のね」

忍「アタシはちゃんと青森産のリンゴを持ってきたよ」

愛海「あたしのは青森産の本物のリンゴだよ」

忍「アタシのリンゴは一昨日青森から届いたばかりの」

愛海「あたしのだって一昨日実家から届いた」

悠貴(なんで張り合ってるんですかっ!?)

菜々「どっちも同じ日にリンゴが届いたんですか?すごい偶然ですね」

忍「いや、アタシのお母さんと愛海ちゃんのお母さん仲いいから、皆でわけるような仕送りは一緒に送られてくるんだよね」

愛海「ぶっちゃけこのリンゴも同じ段ボールに入ってたリンゴだしね」

悠貴(じゃあなんで張り合ってたんですかっ!?)

モバP「リンゴが被っちゃったけどいいだろ。気にせず入れとけ」

忍「そうだね」ギュイーン ガリガリ

愛海「わかったよ」ギュイーン ガリガリ

悠貴(そのままっ!?切ったりしないんですかっ!?ミキサー壊れませんかっ!?)

悠貴(というか何でみんな地元の特産品なんでしょう?)

くるみ「ぐしゅ……」

菜々「くるみちゃん?どうしました?」

くるみ「ごめんなしゃい……あのね、くるみが持ってきたの地元のとくしゃんひんじゃなくてぇ」

悠貴(ああ、くるみちゃん泣かないでっ!私は気にしてませんからっ!本当にっ)

くるみ「ぐすっ、石川県は特産品ないからぁ」

悠貴(ありますよっ!?えーっと、とにかく何かありますよっ!)

愛海「特産品なんてルールはないから好きな物を入れようよ。くるみちゃんは何を持ってきたの?」

くるみ「くるみが持ってきたのはね、お気に入りの豆乳だよぉ」

悠貴(液体ですかっ!?ミキサーの意味はっ!?)

モバP「なるほど、豆乳を投入だな」

くるみ「豆乳をとうにゅ、あは、あはははは!」

悠貴(大ウケしてる)

くるみ「はぁはぁ……22点」

悠貴(笑ったわりに辛辣ですねっ!?)

モバP「これで全員入れたな」

忍「プロデューサーさんは?」

モバP「え?」

くるみ「ぷろでゅーしゃーは何を持ってきたのぉ?」

モバP「……あ」

忍「もしかして忘れたの?」

モバP「いや、こういう企画はアイドルだけでやるものだと思って」

愛海「仕事じゃないんだからそういう線引きはないでしょ」

菜々「プロデューサーさんも入れましょうよ。悠貴ちゃんもプロデューサーさんに誕生日を祝ってほしいはずですよ」

悠貴(はいっ!プロデューサーさんにも一緒におめでとうって言ってほしいですっ!)

モバP「なら俺も何か入れます。えっと、何かあったかな」

愛海「……あ」

くるみ「?」

モバP「……スタドリしか持ってねえ」

忍「ここ事務所だもんね。プロデューサーさんは家近いんだから、ちょっと帰って取ってきたら?」

モバP「家か。何かあったかな」

愛海「いや、家にもないよ。昨日プロデューサーの家行ったけど、冷蔵庫にはスタドリしか入ってないよ。あとあたしが差し入れたリンゴ」

悠貴(私生活酷すぎませんかっ!?)

モバP「仕方ない、スタドリ入れるか」

くるみ「みきしゃーの意味ないねえ」

悠貴(それくるみちゃんが言いますかっ?)

菜々「完成です!」

くるみ「わー!」

悠貴(途中不穏でしたけど、入ってるのは落花生と林檎と林檎と豆乳とスタドリ。あ、けっこう美味しいかもしれませんっ)

モバP「普通だな」

愛海「普通だね」

悠貴(私はこれで満足ですよっ!?)

くるみ「面白くないでしゅね」

悠貴(くるみちゃんっ!?)

モバP「もう一周するか」

愛海「おー!」

悠貴(えーっ!?)

菜々「たしか事務所にアレの買い置きが残ってたような」

忍「あ、ちょうど今日事務所に持ってきてたのを」

愛海「余ってるから入れようかな」

くるみ「くるみはこれにしましゅ」

モバP「さてと俺は何にするかな」

ワイワイ ガヤガヤ

悠貴(まだパーティーの準備中なのに、みんな楽しそうですっ。私、この事務所のこういう賑やかなところ大好きですっ)

悠貴(でも、こんなに楽しそうなのを隠れて見てるだけなんて勿体ないですよねっ)

悠貴(えへへ、というわけで)

ガタッ

悠貴「みなさん、おはようございますっ!あとありがとうございま」

菜々「え?」←コーヒー豆を持っている

忍「あ」←リンゴを持っている

愛海「悠貴ちゃん!?」←ハンバーグを持っている

くるみ「いたんでしゅか?」←プリンを持っている

モバP「あ、やば」←ケーキを持っている

悠貴「なに入れようとしてるんですかっ!?」

モバP「やられたよ。ビックリさせようと思ったんだが、逆ビックリされるとは」

悠貴「いえ、ビックリはしましたけどっ」

忍「リンゴ食べる?青森県産のリンゴだよ。皮ごと食べても美味しいよ」

悠貴「まるごとじゃなくてせめて切り分けるとかしましょうよっ」

愛海「ハンバーグ食べる?頑張ってこねたんだよ」

悠貴「さっきミキサーに入れようとしてましたよねっ」

くるみ「プリン食べりゅ?固めるの大変だったんだよぉ」

悠貴「さっきミキサーに入れようとしてましたよねっ」

モバP「ほらお祝いのケーキだぞ」

悠貴「買うの忘れてたしミキサーに入れようとしてましたよねっ!」

菜々「悠貴ちゃん悠貴ちゃん」

悠貴「なんですかっ?」

菜々「お誕生日おめでとうございます」

忍「おめでとう」

愛海「おめでとう悠貴ちゃん」

くるみ「おめでとうございましゅ」

モバP「おめでとう悠貴」

悠貴「あ……はいっ!ありがとうございますっ!」

おしまい!

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