【モバマス】巨大怪獣現る (15)
鈍い光を放つビル群から、のそのそと四つん這いで巨大怪獣が姿を現しました。
獲物を探す鋭い眼光は宝石のようにきらめいています。
怪獣は地面に集中するあまり、前方不注意でビルに頭をぶつけてしまいました。
「あいたっ」
ああなんと恐ろしい雄叫び。
その一声で数万の命が天に召されるでしょう。
運良く一命をとりとめても、意識を失って倒れるかもしれません。
それほどまでに恐ろしい――ごく一部では愛らしいと表現する――咆哮でした。
清純令嬢の異名を持つ、その名は水本ゆかり。
私から見れば巨大怪獣ですが一般的には人間と呼ばれています。
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千川ちひろ「ゆかりちゃん、大丈夫?」
少し離れたところから声がしました。
黄緑色の怪獣、千川ちひろです。
ゆかり「あ、平気です……ちょっと頭をぶつけただけで」
ちひろ「気をつけてくださいね」
怪獣といえど、無知ではありません。仲間と連携し効率的に行動します。
はい、と返事をしてゆかりはビルを回り込みました。
キノコと絵本、そして作りかけの編み物を見つけました。
暗く湿ったこの場所を占拠している者たちも今はいません。
今度はしっかりと前方にも注意を払いながら、ゆかりは再び進撃を開始します。
フリフリとお尻を揺らして奥へ向かいました。
ふんわり広がったスカートですがその中は見えません。
もっと間近でなら見えるかもしれませんが、そんなことをすれば容赦なく踏み潰されてしまいます。
手近なビルの中を確認します。
あら、鍵がかかってる。
そこは重要書類を入れるところですからね。
そういえばこのビル群は、一般的にはオフィスデスクやキャビネットと呼ぶそうです。
ゆかりは再び向きを変えました。今度は横を向いています。
肩から背中、お尻にかけてのなだらかな曲線が強調されます。
そのまま横に進んで視界から消えました。
しばらくして再び姿を現したゆかりはまっすぐ私に向かってきました。
襟元のゆるい服を着ているので少し上からなら胸元が丸見えになるでしょう。
私の視線はそこまで高くありませんが。
後ろからでも横からでも正面からでも、その姿を見た者は決して忘れることが出来ません。
目に強く焼きつき三日眠れぬ夜を過ごさせるほどです。
なんておそろしい。
ゆかり「うーん、見つかりませんね……こちら側は一通り見て回ったんですが」
ちひろ「私の方も……どこに行ってしまったんでしょう」
ゆかり「もう一度探してみましょう。今度は私がそちらを探します」
ちひろ「私が見落としたところでも、ゆかりちゃんなら気付くかもしれませんね」
ちひろ「じゃあ私はそっちを」
担当区域をいれかえて、怪獣たちはオフィス街を蹂躙始めました。
……事務所という名の、オフィス街です。
ゆかりと同じように、ちひろも四つん這いになりました。
タイトスカートなのでぴっちりとお尻の形が浮き出ています。
ちなみにこの二人、身長スリーサイズともかなり近い数値です。
にもかかわらず印象が違うのは服装によるものでしょうか。
スラリと伸びた両足は、ストッキングの程よい透け感により絶大なる破壊力を秘めています。
男子中学生程度なら何千人束になろうと敵いません。
髪を三つ編みにして前に垂らしているためうなじが見えやすいのもポイントです。
こちらはむしろ、ある程度上の年齢の男性に効果を発揮するでしょう。
定期的なスタージュエルばら撒きで人心掌握にも長けています。
強い。絶対に強い。
遊佐こずえ「おはよぉー……なにしてるのー?」
ちひろ「はい、おはようございます」
ゆかり「おはよう、こずえちゃん。ちょっと探しものを……」
こずえ「ふーん……。ぷろでゅーさーは、どうしたの……? おねんね?」
P(ソファーに寝かされている)
ゆかり「ええと……ちょっとしたアクシデントで、気を失ってるんです」
ゆかり「プロデューサーさんの意識が、この部屋のどこかに落ちてるはずなんですけど」
ちひろ(そう……プロデューサーさんを揺すってみると、意識がないので異様に頭が軽いんです)
ちひろ(少し前……)
ちひろ(つまづいたゆかりちゃんを助けようとして、プロデューサーさんは手を差し出しました)
ちひろ(なにもないところで転ぶのはアイドルの推奨特技の一つです)
ちひろ(でも同時に私も、ゆかりちゃんを助けようとしていたのです)
ちひろ(そして三人はもみくちゃになり、気付いたときには……)
ちひろ(プロデューサーさんは、顔をゆかりちゃんのスカートの中に突っ込み)
ちひろ(両手は私の胸を鷲掴みにしていました)
ちひろ(そんなことあるわけねーだろ、と思う人は今すぐToLOVEるダークネスを買ってきましょう)
P「な、なんだ? 何が起きたんだ!? 真っ暗だ!」モゾモゾ
ゆかり「きゃっ、くすぐったい……っ!」
ちひろ「だ、だめぇ……あんっ」
ちひろ(ドタバタしているうちに、プロデューサーさんの顔を二人でお尻の下敷きにしてしまい)
ちひろ(プロデューサーさんの意識はどこかにふっ飛んでしまいました)
こずえ「わかったー……こずえもさがすぅー。んー……」
新たな仲間を加え、怪獣達は活動を再開しました。
こずえは無防備に座り込んだので丸見えです。何とは言いませんが。
顔を床すれすれまで落とし、ゆっくりとあたりを見回しました。
この世のすべてを見透かしているかのような澄んだ瞳。
じっと見つめられたら確実に昇天します。
こずえもまた、大量の犠牲者をうむ怪獣には違いありません。
どうやら私に気づきました。まっすぐ近づいてきます。
もう回避する暇もありません。
ますます近づいてまいりました、いよいよ最期です。
いよいよ最期、さようならみなさん。さようなら!
うわああーーーっ!!
こずえ「あったよぉー」
ちひろ「Pと書かれた小さなハート……間違いありません、プロデューサーさんの意識です」
ちひろ「こずえちゃん、ありがとう」
こずえ「えへー」
ゆかり「でも、これをどうやって戻せば……?」
ちひろ「とりあえず、口から飲み込ませてみましょうか……ホコリが付いてますね」
ちひろ「ふーっふーっ。なかなか取れない……ふっ! あっ!!」
ゆかり「えっ、どうなりました?」
ちひろ「強く吹きすぎてどこかに飛んで行っちゃったかも……」
ゆかり「ええっ!?」
ちひろ「ん? ……あっ、ゆかりちゃん、じっとして!」
ゆかり「はい?」
ちひろ「……良かった! ゆかりちゃんの胸元に落ちてる!」
ゆかり「!?」
ちひろ「ああっ、動いたら奥に入り込んで……!」
ゆかり「そ、そんなっ!!」
ちひろ「どこ? どこに行ったんですか、プロデューサーさん!?」
ゆかり「きゃあっ、服の中に手を入れないでぇっ!」
ゆかり「ちひろさん、身体をまさぐらないで……あんっ」
こずえ「…………ふわぁー」
ちひろ「無事確保!」
こずえ「やったー」
ゆかり「もうお嫁に行けない……くすん」
こずえ「こんどは……とばしちゃ、だめだよー」
ちひろ「そうですね」
ちひろ「ゆかりちゃんの汗付着してる気もしますが、このまま飲み込ませましょう!」
ゆかり「言わないでください!」
P「うーん……あれ、俺は何をしていたんだ?」
ちひろ「えーと、疲れが溜まっていたみたいで……仮眠を取ってましたよ」
P「あ、ちひろさん。そうでしたっけ……?」
P「でもたしかに夢を見ていた気はするなぁ。怪獣映画のような……」
ゆかり「怪獣映画ですか?」
P「そう、オフィス街を怪獣がのしのし歩いて……一体目はビルに頭をぶつけるんだ」
ゆかり(え、それって……でもまさか)
P「二体目は全身黄緑色で……ちひろさんのジャケットみたいな」
ちひろ(……!? あの小ささならたしかに怪獣のように見えなくも……でも、そんなことは……)
P「それから三体目に捕まって一体目に食べられて」
P「あれ、食べられたんだっけ?」
P「場面が変わったんだったかな? 母の胸に抱かれて」
ゆかり(わ、私を母親と錯覚……なんだか恥ずかしい)
P「ところで今気付いたんだけど……なんでゆかりは下着姿なの?」
ちひろ「さっき脱がせたの忘れてた!」
ゆかり「見ないでください!」バチーン
P「へぶっ!」ポーン
こずえ「……またとんでったよぉー」
おわり
ゆかりは清楚エロい
ソウルジェムとかゴーストアイコンのイメージです
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