佐天「異世界に移動する能力かあ……」 (29)

初春「佐天さん。システムスキャンの結果はどうでした?」

佐天「うん。能力身についてたよ」

初春「おめでとうございます。どんな能力ですか?」

佐天「異世界に移動する能力なんだ」

初春「へえ。凄い能力ですね」

推奨BGM『極めて近く、限りなく遠い世界に』
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1507337002

佐天「能力発動してる状態で前に両足ジャンプすると異世界に移動するんだ」

佐天「後ろ向きにジャンプすると元の世界に戻れるんだよ」

初春「異世界に移動するということは、私からは佐天さんが消えた様に見えるんですかね」

初春「ちょっとやってみてくださいよ」

佐天「いいよ。何か珍しいものお土産に持って帰るね」

佐天「それっ」ピョン

佐天「よし!異世界に着いたぞ!」

初春「前にジャンプしただけじゃないですか」

佐天「あれ……?異世界なのに初春がいる。おっかしいなー……」

佐天「とりあえず元の世界に戻ろう。それっ」ピョン

佐天「これで元の世界に戻れたかな」

佐天「あ、初春。ごめん。珍しいものなかったよ」

初春「見てたから知ってますよ」

御坂「あれ?佐天さんに初春さんじゃない。何してるの?」

佐天「御坂さんこんにちは!」

初春「御坂さん。佐天さんが能力者になったらしいんですよ」

御坂「本当?佐天さんおめでとう!」

佐天「えへっ。ありがとうございます」

御坂「それでどんな能力なの?」

佐天「異世界に移動する能力です!」

御坂「え、何それ。何かヤバそう」

佐天「百聞は一見にしかず。実際にやって見せましょう」

佐天「それっ。前ピョン!後ろピョン!」ピョンピョン

御坂「え?な、何なの?」

佐天「御坂さん。今私異世界に行って戻ってきましたよ」

御坂「んんん?」

初春「佐天さん。やっぱりジャンプしてるだけにしか見えませんよ」

御坂「そ、そうよね」

佐天「おかしいなあ……。こうすれば異世界に移動出来るはずなんだけど」

御坂「あ。今のが異世界に行く為に必要な動作だったんだ」

佐天「何で異世界に移動出来ないんだろ。一人じゃ駄目なのかな?」

佐天「御坂さん。今度は御坂さんも一緒に異世界に移動してみましょう」

御坂「え?私?」

佐天「そうです。はい、私の手を握ってください」

御坂「まあ、いいけど……」キュッ

佐天「初春!今度は100次元くらい移動してくるよ!お土産期待しててね!」

初春「期待しないで待ってます」

初春「あとあまり遠くへ行っちゃうとアレなので、あそこら辺で円を描くようにジャンプするといいと思いますよ」

佐天「OK!さあ御坂さん行きますよ。手を離さないでくださいね」

御坂「う、うん」

佐天「1、2の、それっ」ピョン

佐天「くっ……。疲労が……。これが次元移動の代償か……」

御坂「100ピョンは地味にきついわね……。それに目が回って気持ち悪い……」

佐天「さあ何か珍しいものはないかな?」

初春「終わりましたか」

佐天「あ。また初春がいる」

佐天「何で異世界に初春がいるのさ!」

初春「そんなこと言われても困りますよ」

初春「御坂さんもお疲れさまでした」

御坂「うん……。大体流れは把握したわ」

初春「そもそも本当に佐天さん異世界に移動する能力手に入れたんですかね」

初春「嘘ついてるんじゃないですか?」

佐天「嘘なんかつかないよ!御坂さんは私の言うこと信じてくれますよね?」

御坂「ごめん……。ムリ」

佐天「そ、そんな……」

初春「本当だっていうなら診断表見せてくださいよ」

佐天「いいよ。はい」スッ

御坂「どれどれ」

『佐天さんの能力は異世界に移動する能力です。レベルは100万です。アレイスター・クロウリーより』

初春「どうやら本当の様ですね」

初春「もしかしたら、この世界は佐天さんと御坂さんにとって本当に異世界なのかもしれませんよ」

佐天「どういうこと?」

初春「二人の元いた世界を①、移動した後の世界を②とします」

初春「佐天さん達が①の世界から②の世界に移動するのと同じタイミングで、②の世界の佐天さん達も③の世界に移動したと考えるんです」

初春「それを繰り返してこの世界に辿り着いたということなのかもしれません」

御坂「ええと、つまり漫画なんかでよくある並行世界って奴?でも、まったく同じ世界っておかしくない?」

佐天「そうだよ!同じだったら意味ないじゃん!」

初春「おかしくないですよ。デジタルデータのコピーで考えてみてください」

初春「2個だろうが100個だろうがコピーしたデータは劣化もなく全部一緒。全てがマスターテープです」

初春「全く同じものが存在しうるわけです。同様に、全く同じ異世界が存在する可能性は否定出来ません」

初春「それに、佐天さんや御坂さんが気付いていないだけで差異はあるのかも」

初春「悪魔の証明ですけどね」

御坂「ん……確かに」

初春「世界が存在することに意味を求めるのもナンセンスです。それは単なる佐天さんの感傷に過ぎませんよ」

初春「そうやって、無慈悲で冷コクな世界から目を逸らす為に生まれたのが宗教です」

初春「この世界において、意味や絶対の真実に辿り着くことは神様にも出来ないんですよ」

初春「個々人の主観にすがるしかないんです。それすらも絶対ではありませんが」

佐天「初春が何言ってるのかさっぱりわからん……」

御坂「あの、初春さんて哲学とか好きなの?」

初春「わりと」

御坂「私達がいなくなった世界にも別の世界の私達が来てるのかな」

初春「それはわかりません。もしかしたら御坂さんじゃなくておさかなさんが来てる可能性だってありますよ」

初春「異世界や元の世界がどうなってるかなんて、その世界にいない人間にはわかりようがないんです」

御坂「でも……不安というか……何だか心がザワついてきたわ……」

御坂「ね、ねえ佐天さん!もう元の世界に戻りましょうよ!」

佐天「えー。でもまだ珍しいお土産見つけてないですよ」

御坂「そんなのいいから!元の世界に戻ったらクレープおごるから!」

佐天「わかりましたよ。じゃあね初春!異世界の私達にもよろしく!」

佐天「御坂さん。元の世界に戻りますから手離さないでくださいね」

御坂「う、うん」キュッ

初春「終わったら声かけてください」

御坂「今度は後ろに100ピョンか……。がまんがまん」

佐天「1、2のそれっ!で行きますからね」

初春「御坂さん。クツヒモほどけてますよ」

御坂「あ。本当だ。ごめん佐天さん、ちょっと待って」ギュッギュッ

佐天「それっ!」ピョン

御坂「え?」

御坂「あ、あ……ああああ!?」

佐天「ちょ、御坂さん!手離しちゃ駄目じゃないですか!」

御坂「わ、私……異世界に置いてかれちゃった……」

佐天「ほら。今度は手離しちゃ駄目ですよ」キュッ

初春「ここにいる佐天さんと御坂さん別の世界の出身じゃないですか?」

御坂「え?……あ。だ、駄目!」バッ

佐天「えー……。どうしろっていうんですか」

初春「佐天さん。とりあえず前に1回ジャンプしてあげれば御坂さんも落ち着くと思いますよ」

100ピョン終了

佐天「つ、疲れた……」

御坂「こ、ここは私が元いた世界よね?」

御坂「はあー。何かほっとするわ」

佐天「ごめん初春。100個の世界を渡り歩いたけど珍しいお土産は見つからなかったよ」

初春「見てたから知ってますよ」

初春「それにしても異世界に移動する能力ですか。元の世界との差異がなければ区別何て不可能ですよね」

初春「佐天さんは、何をもって異世界と元の世界を区別してるんですか?」

佐天「え?前にジャンプすると異世界に移動するらしいから、後ろにジャンプすれば元の世界に戻れるでしょ?」

初春「どういう理屈ですか」

御坂「え……?」

初春「まあ、現実的に考えたら、システムスキャンのエラーでしょうね。あるいはアレイスターのいたずらか」

御坂「アレイスター……?……うん、まあ。そうよね。本当のわけないよね。レベル100万とか書いてあったし」

初春「何ですかレベル100万って。どんだけ飛躍してるんですか。エグゼイドもビックリですよ」

御坂「え?だって佐天さんの診断表に」

佐天「これですか?」スッ

『佐天さんの能力は異世界に移動する能力です。レベルは1です。アレイスター・クロウリーより』

御坂「あれ……。見間違えたのかな……」

白井「あら。お姉様に佐天さんに初春まで揃って。何してるんですの?」

初春「白井さん。それが佐天さんがですね」

御坂「良いところに来たわ!ちょっとギュッとさせて」ギュッ

白井「おひょっ!?お、お姉様の方から抱き着いてくる日が来るなんて!」

御坂「うん。このウザさ。安心する。ありがとう黒子」

御坂(そうよ。何も変わらない。何取り乱したりしてたんだろ私)

白井「でも、白子のことは白子と、ちゃんと呼んで欲しいですの」

御坂「え?」

御坂「白……子……?」

佐天「あ。もしかして名字に白が入ってるから、名前は黒ってことですか?」

初春「うーん。でも、人の名前を弄ってネタにするのは感心しませんよ」

御坂「えっ……。でも……」

御坂「……」

御坂「そ、そうね。ごめんね白子」

白井「いえいえ。白子は気にしてませんの」

御坂「……ねえ。もしかしたら私、これからも時々変なこと言うかも」

御坂「その時は……ごめんね」

白井「んん?よくわかりませんが、白子のことをいつでも頼ってくださいな」

御坂「うん……うん……」ポロポロ

白井「な、なぜ泣いているんですの!?」

初春「佐天さんが変な嘘つくからですよ。レベル5の御坂さんだって、ナーバスで多感な中2の思春期乙女なんですから」

佐天「私のせいじゃないのに……」

佐天「よし。こういうときは美味しいものでも食べて元気を充電しましょう!」

御坂「あ。私、クレープおごるわよ!佐天さんと約束したし。もちろん初春さんと白子の分も!」

初春「クレープって何ですか?」

白井「新しいスイーツか何かですの?」

御坂「あ。ごめん。気にしないで」

佐天「それよりゲショギャブリ食べに行きましょうよ!」

初春・白井「行く行くー!」

御坂「行く行くー!」

BGMこっちの方がいいな
https://www.youtube.com/watch?v=hYkFsotwLGs

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