駅内放送『手前にあるのは、滝のおトイレです』
男「!?」ビクッ
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男「な、なんだ今の!?」
友人「どうした?」
男「今、何気なく放送聞いてたら、“滝のおトイレ”って……! なんだよ“滝のおトイレ”って!?」
友人「滝のおトイレ?」
友人「ああ、お前この駅あんまり使わないもんな。だからはじめて聞いたのか」
友人「あれはな……“多機能トイレ”って言ってるんだよ」
男「多機能トイレ?」
友人「多機能トイレってのは、広いスペースの中に便器があるから」
友人「車椅子の人も入りやすいし、あと赤ちゃんのオムツを替える台もあったりする」
男「へぇ~」
友人「ようするに、どんな人でも利用しやすいバリアフリーのトイレ……ってとこだな」
男「そういうことか。ビックリしちゃったよ」
男「今、駅に多機能トイレ必要としてそうな人いないよな?」
友人「んー……特にいないな」キョロキョロ
男「じゃ、せっかくだから多機能トイレで用足してくるわ」
友人「お前もヒマだねぇ~」
男「行ってきまーす」
男「このドアを横に開いて、と」ガラガラ…
ドドドドドドドドドドドドド……!
男「え……」
扉を開けると、そこにはまさに滝があった。
そびえ立つ険しい天然の崖からは、けたたましい音を上げながら、絶えず流水が落下している。
幅は5メートル、落差は30メートルほど、といったところだろうか。
時折、水飛沫が体じゅうにふりかかる。
しかし、それは決して不快なものではなかった。むしろ心地よかった。
俺は滝壺の前で立ち尽くした。
駅の中にある滝という幻想的なこの光景に、しばし心を奪われていた――
ドドドドドドドドドドドドド……!
男「え、と……」
男「ここですればいいのかな?」
チョロチョロ…
男「ふぅ~……スッキリした」
ドドドドドドドドドドドドド……!
男「せっかくなので……滝で手を洗わせてもらおう」
バシャバシャ
男「おほっ、つめたっ!」
男「いつもよりキレイになった気分だ!」
友人「ずいぶん長かったな! どうだった?」
男「うん……いい滝のおトイレだった」
おわり
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