義輝「む…ここはどこだ?わしは久通と三人衆の手の者に打ち取られたはず」 (52)

討手を数多討ち取りて、無法なる暗殺に対抗せし義輝なれど、衆寡敵せず哀れ畳にて押し潰され槍で突かれ戦国の露と消えた。
しかし無へと帰すかと思われた義輝の魂魄と肉体は、爽やかなる風が吹きわたる乾いた草原に横たわっていたのであった…

義輝「京ですらない。ここは一体…?」
義輝は上体を起こし周りを見渡したが、視界に入るのは一面の草原とマダラにはえる枝の広い木だけであった。
義輝「確か御所にいたはずだが、なんだこの草原は?」
戸惑う義輝であったが、そんな義輝を草間から伺う2つのまなこがあった。
???(あれ?あそこにだれかいる。狩ごっこで遊んでもらおう!)
そのまなこの主は、義輝が丁度自分と反対方向へ注意を向けたタイミングで勢いよく草間から飛びだす。

ドリフターズ!!

???「わーい!うあー!えへへへー」
流れるようなしなやかな肢体から、筋肉が波打つのが見てとれるような美しい跳躍、尋常な速度ではなかったが、その気配を見逃す義輝ではない。
義輝「む、何奴?」
飛びかかる影が視界の端にかかった瞬間、義輝の腰から電光のように鋭い刃が音もなく一閃した。
十分な間合いと必殺の意思に、確実に肉を断ち切る予感を感じていた義輝であったが、影は人ではあり得ない反応を示し刃をかいくぐり、義輝の太刀は手応えなく宙を切る。

???「わわわ、びっくりした~!髪の毛が切れちゃったよ~」
義輝「面妙な、妖か?」
呼びかけに応えてか、その妖は悪びれもなく義輝の眼前に姿を現したが…
義輝「やはり面妙な。女子の姿をしておる。お主只者ではないな。何奴?」
???「それはこっちのセリフよ~。あんな素早い動きは初めて見たよ!君はなんのフレンズなの?」
義輝「ふれんず…???」
初めて聞く言葉である。

妖はというと、既に害意はないらしく、無防備にかつ興味深く義輝を観察していた。
???「私はサーバル。よろしくね!」
義輝「さあばる?異国のものか。通りで我々と違うはずだ」
サーバル「あなたのちほーではみんなその格好なの?」
サーバルは義輝の直垂姿をしげしげと眺める。そして
サーバル「さっきのあれ何~?その光るすごい~その爪?」
サーバルの視線は義輝の右手に握られている鬼丸国綱に向けられていた。
義輝「これは太刀じゃ」
サーバル「すごーい!見せて見せて」
無防備に近寄るサーバルにもはや害意はないと感じた義輝は鬼丸を見せてやることにした。
サーバル「う…なんというか、見てるとすごく緊張するね」
義輝「刃の鋭さ故であろう。この太刀はなんでも断ち切るぞ」
サーバル「すごーい!あなたは切るのが得意なフレンズなの?」

義輝「そのふれんずというのはよくわからんが…」
サーバル「あなたはどこの子なの?」
義輝「京の都におったはずなのじゃが…そうだ!ここはどこじゃ?」
サーバル「ここはさばんなちほーだよ!」
義輝は目眩を覚えた。
どうやらとほうもないところへ来てしまったらしい。
サーバル「あなたここへ何をしに来たの?」
義輝「いや、気がついたらここで目が覚めたのじゃ」
サーバル「ええ?どうやって来たか来たかわからないの?」
義輝「そうなのじゃ」
サーバル「かわいそう。自分のちほーに帰りたいよね?」
義輝「まぁ、帰れるなら帰りたいが、残念ながらわしの出る幕はもうあそこにはないのかもしれんな」
サーバル「えー!そんなことないよお。そうだ!図書館に行ってきなよ~。あそこに行けば帰り方もきっとわかるよ!」

帰る場所など自分に有るのだろうか。義輝にはそれがわからなかった。
思えば常に狙われ、排除される人生であった。
そのような自分が、征夷大将軍という地位に固執し、室町幕府の権威を取り戻そうとしていた。
しかしそれが自分の本望であったのだろうか。
思えばすべてを忘れ自分自身を感じられていたのは剣を振っているときだけだったのかもしれない。
義輝「帰る…か。京からは幾度と追われその都度舞い戻ったが…こ度は…」
サーバル「行こうよ!あなた名前は?」
義輝「足利中納言源義輝と申す」
サーバル「なにそれー?長くて覚えられないよ」
義輝「むむむ」
サーバル「何がむむむなの?あなたはその、爪が特徴だからたちちゃん。言いづらいからたっちゃんだ」
義輝「たっちゃん?」
サーバル「そうだよ!たっちゃんだよ 。図書館に行けばたっちゃんのちほーも帰り方も、たっちゃんがなんのフレンズなのかも分かるよ」
義輝「ではそこへ参ろうか」
サーバル「うん!私が途中まで案内するよ!」
こうして義輝とサーバルの旅が始まった。

>>3
8時だよ!全員集合!

面白い。続きはよ

まさかのケモフレで草

>>10
仕事始まってしまったから夜ね~

>>12
夜は仕事だわ辛い。待ってるからな!!!!!!

文体が時代劇側に寄せてあってワロタ

もの書く仕事してる人?
クオリティ高いな。
早く続きを!夜まで待てん。

ヨシテルの画像ならあるが?

>>11
どうせ異世界ものやるなら全く親和性がないものを混ぜようと思ってね

>>13
はいよー。残業きつくなかったらね~

>>14
君は「食べないで~><」とかいう義輝が見たいのかい?

>>15
いやw別にクオリティ高くないし、ただのリーマンだし…

>>16
ハラデイ

ありがとう。全然知らん子だったw

>>20
マジかよ…勿体無いな。

>>26
なんかハードル上げられると書きづらいな…w

義輝がケモフレ世界に転移とかワロタ
頑張れv頑張れv

サーバル「ガイドーガイドー。ここって見晴らしがいいでしょう?」
草原の中をサーバルと義輝が行く。
茫茫とした草原は景色に変化がなかったが、不思議と荒涼とはしていないのだった。
義輝「がいどう?街道であろうか…?1つ聞くが、この広い草原にはお主1人で住んでおるのか?」
サーバル「違うよー。他にもいっぱいフレンズが住んでいるんだよ」
義輝「ふむ、お主の他にも妖が住んでおるのか」
サーバル「さっきから、あやかしってなーに?」
義輝「まさにお主のような面妙なもののことだ」
サーバル「難しい話は分からないなぁ。それにフレンズだよ!フレンズ!」
義輝「ふれんず?」
サーバル「そう!フレンズ!」
義輝「はて?馴染んでみれば何やら楽しき響きの言の葉よ」
サーバル「そうだよー!たくさんフレンズがいて楽しいんだよ!見て!あそこにはシマウマちゃんがいるよ」

>>28
なぜかこんな組み合わせにしてしまったw

サーバルが指差した先に、何かが動くのを感じたが、義輝にははっきりとは見えなかった。
義輝「お主、良い目をしておるの。剣術で鍛えた我が目でも追いきれなんだ」
サーバル「もう隠れちゃったよ。あっちにはトムソンガゼルちゃんがいるよ」
そこには女子の影が見えたが、どのような容姿かまでは確認ができなかった。
義輝「まことにたくさんのフレンズがおるの」
義輝にも状況を楽しむ余裕ができたのか、表情は緩み微笑んでいた。
サーバル「さばんなちほーは広いからたくさんのフレンズがいるんだよー」
義輝「そうか。他にもどんなフレンズがおるのか楽しみじゃのう」
このように純粋な好奇心だけで表を歩くのはいつぶりであろうか?
あるいは義輝にはそのような幼少期は無かったようにも思えた。
全てのしがらみを捨てて、ここを歩いている。
それだけで義輝の心は弾むのであった。

サーバル「図書館はじゃんぐるちほーの先にだから、さばんなちほーの出口まで案内するよ」
義輝「かたじけない」
サーバル「カタジケナイ?」
義輝「左様、かたじけない」
サーバル「カタジケナイ!カタジケナイ!変な言葉~」
笑いながらはしゃぐサーバルを見て、義輝はえもいわれぬ安息間に包まれていくのであった。

サーバル「はぁはぁ、たっちゃんすごい体力だねえ。私ちょっと疲れちゃった」
義輝「ははは、フレンズは情けないのう。それでは鞍馬の山も越えられぬぞ」
サーバル「私は短距離が得意なフレンズだから、長距離は得意じゃないんだよう」
義輝「それはすまなんだな。どれ、そこらで一休みしよう」
行けども行けども草原の景色は変わらず、日の本にこのような草原があったのだろうか、そもそもここは日の本なのだろうかと義輝は感嘆する。
それにこの平和さはどうであろう。
戦乱の中を生きてきた義輝にとっては、ここは伴天連のいう天堂なのではないかと思えてきた。
義輝「平和じゃのう」
サーバル「うん!フレンズはみんな仲良し。のけものなんかいないんだよ!」
義輝「そうか、それは羨ましいのう」
サーバル「たっちゃんもフレンズなんだから仲間だよ~」
義輝「それはありがたい」
サーバル「もう、たっちゃんは難しい言葉ばかり使うフレンズなんだから」
どこまでも緑の草原、そして青い空。
動くものはフレンズ。
ではこの丸い青いのは…?

義輝「サーバルよ、この青いのはなんのフレンズかの?」
義輝に促され、その視線の先へサーバルも自分の視線を落とす。
しかしその青い物体を見るなりサーバルにの表情に緊張が走った。
サーバル「あ、だめ!逃げて!そ、それはセルリアンって言って…」
義輝「敵か…」
敵と見れば義輝の判断は早い。
サーバルが皆まで言い終わるのを待たずに抜き打ちを一閃、青い物体はなすすべもなく両断されその後砕け散った。
サーバル「す、す、すごーい!セルリアンをこんなに簡単に。たっちゃんは物凄く強いフレンズなんだね!」
義輝「お主の身のこなしも尋常ではない。おそらくあのような物体に苦戦などせぬであろう」
サーバル「えへへ、まぁね」
褒められてまんざらでもなさそうなサーバルであったが、急に真剣な表情をすると義輝に顔を近づけてきた。
サーバル「でもね、あの大きさだから大丈夫だったんだよ。大きいのがきたら私でも手に負えないよ」
義輝「その時は守ってやろう」
サーバル「ええ!なんか嬉しい!」
2人の歩く距離が少し縮まった。

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