リオレウス「新しい生徒を紹介するぞー」 (345)

だいぶ間が空きましたが

リオレウス「おーいチャイム鳴ったぞー」ガラッ

リオレウス「授業始めるぞー教科書開けー」
リオレウス「授業始めるぞー教科書開けー」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1489493911/)


の、続きを投下します。(長いです)

リオレウス「みんな静かにしろーー」

ティガレックス「新しい生徒?!!!」ガタッ

ラギアクルス「えっ、女の子???!」

ライゼクス「可愛いかな!!!?」

ざわ、ざわ……

リオレウス「みんなより年齢はちょっと上だが、この学校では後輩にあたるな。仲良くしろよー」

タマミツネ「珍しいね、このクラスに新しく入ってくるなんて」

ガムート「どんな人かな?」ドキドキ……

リオレウス「とりあえず紹介するからな。……おーい、入っていいぞー」


ガラッ……

ドス、ドス、ドス……

ひそひそ……


鏖魔「……初めまして……今日から、みなさんのクラスにやってきました」

鏖魔「『鏖魔(オウマ)ディアブロス』といいます……出身は砂漠です」

鏖魔「……友達欲しいです。よろしくお願いします」


ジンオウガ「ディアブロス???」

ブラキディオス「飛竜科のあのディアブロスと関係あるのか?イトコとか?」

鏖魔「あっ……な、ないです……」

ラギア「……すげぇツノだな」ひそひそ…

ティガ「でっっけー身体だな。表皮の色もなんか……変わった色だよな」ひそひそ

ライゼクス「なんだ男かよあいつ……でも確かにすげぇツノだ」ひそひそ

ラギア「どーなってんの………片方のツノが3つに分かれてるぜ……」ひそひそ



ガムート「………(うん……見た目ほど怖い人じゃないかも)」

ミツネ「(見た目はコワイのに地味そうだな……)」


リオレウス「……あれっ?あともう一人居たんだが……鏖魔、もう一人どこ行ったか知ってるか?」

鏖魔「……あぁ……」

鏖魔「………さっきまで隣にいましたが……」

鏖魔「いまは、あそこです」スッ

リオレウス「?」くるっ


……キィィィィン……


ガムート「あっ……窓の外!!」

ティガ「……あん?なんだあの赤い光」


……キィィィィン……


ライゼクス「なんかだんだん大きく……」

ラギア「……ちげーーーよ!!こっち来てんだよ!!」ぎょっ


キイイイイイイイン!!!!


ミツネ「わー嫌だな、ああいうの」

ジンオウガ「ヤバイって!!!ぶ、ぶつかるよ?!」


キィィイイイイイイイン………ガッシャアアアーーーーーン!!!!

クラス一同「!!!!!!!」


シュドドドド………
バサッ!


バルファルク「……ご紹介に与かりました!!今日からこの学校のこのクラスにやって来ました!!」

バルファルク「天彗龍『バルファルク』です!!」

クラス一同「…………」

バルファルク「出身は遺群嶺!趣味はジェット噴射!好きな色は赤と白!!」

バルファルク「男女共に僕と仲良くしてくれたらと思います!どーぞよろしくっっっ!!!」


……シーーーーン……


鏖魔「…………」

リオレウス「……あー、元気のいい挨拶だな、バルファルク」

バルファルク「どうもです!」

リオレウス「今日は初日だから許すけど……今度窓ガラス割りながら登校してきたら、一億ページ分の問題集全部終わるまで帰さないからな」

バルファルク「マジですか!すいません!」


ナルガクルガ「……一億ページの問題集って、レウス先生……恐ろしいもの持ってるんだな」

蒼リオレウス「10年くらい帰れなさそうでござる」

ティガ「ハイハイ!趣味はジェット噴射とか言ってるけどーー、どんなのですか!」

バルファルク「見る?!」シュッ!!

ガムート「わっ、翼が……」

ミツネ「あの翼がなにかエネルギーを噴射しているんだね」


リオレウス「はい、やめようなバルファルク」

バルファルク「すいません!」

バルファルク「見せられなかったけど、この翼の先っちょから龍気っていうエネルギーを出して、その勢いで飛行してます!」

ラギア「へー、よくわかんないけどすげー」

ライゼクス「すげーすげー」

バルファルク「世界中の誰よりも速い!!!このクラスのみんなは、僕に憧れる!!」

ナルガ「……あァ?」

ティガ「オイオイすげェ自信だな」


リオレウス「はいはい、お前の気持ちはよくわかったよ」

リオレウス「早速席着けよ。空いてる机に着いていいから」

バルファルク「ウイーース!!」ドスドス……

鏖魔「はい」ドス、ドス……

バルファルク「はいよろしくー、どうもよろしくー……」ドスドス……

バルファルク「……あ!!!女の子だ!!」ドドド……

ガムート「……えっ?」

バルファルク「つまらない男だらけのクラス!!その中の一輪の花は君だね!!」

ガムート「え……?」


ラギア「……あいつさっきから一言多くね?」

ライゼクス「ティガ、どーすんだよガムート取られちゃうぞ」

ティガ「別に俺のものじゃねーよ!へ、変なこと言うなよ」


バルファルク「毛がふさふさだね……女性らしい!僕、女の子が好きなんだ」

リオレウス「お前の気持ちはわかったから席に着けよバルファルクー」

バルファルク「ちょっと待っててください!」

バルファルク「……ねぇ、僕のことどう思う?やっぱすごいイケメンだと思う?」

ガムート「????急に………?………えーっと……うん、色も綺麗だし、顔もシュッとしてるからかっこいいと思うよ……?」

バルファルク「アーーーー!!!君は心も素晴らしいね」


ティガ「…………」イライラ


ミツネ「(なんなんだ、この人は……暑苦しいな)」

ガムート「えっと……席ついたほうがいいよ……」

バルファルク「牙がイカす!!」

ガムート「(全然聞いてないや……)」

リオレウス「バルファルクーーいい加減にしろよー先生怒るぞー」

バルファルク「あい!席つきまーす!!」スッ、ドスドス……

ガムート「…………?」

ミツネ「……災難だね、ガムちゃん」ぼそっ


ティガ「…………」イライラ


ブラキ「よろしくな~、俺ブラキディオス」

鏖魔「あっ……よろしく………」

ジンオウガ「俺、ジンオウガ!マンガ読んだりする?」

鏖魔「……読みます……△△ってやつが好きで……」

ジンオウガ「おお~、俺もそれ好き!」


リオレウス「えーっと、お前らよく聞けよー今日の3限は抜き打ちテストやるからなーー」

ライゼクス「先生!!言っちゃったら抜き打ちじゃないです!!」

リオレウス「予告なしで本当に抜き打ちでやったら、お前ら最低の点数取るからなー。先生予告しといたからなーいい点取れよー」


ゴア・マガラ「……フフフ……あの方……どうも古龍のようですが……」

ゴマ「クシャル殿とあの方……どちらのほうがお強いのでしょうね……フフ……」

クシャルダオラ「……さァ……」

ゴマ「頭脳のほうも……どちらのほうがより優秀なのでしょう……」

クシャル「さぁな」

ゴマ「フフフ……抜き打ちテスト……結果が楽しみですね……小生も負けませんよ……」

クシャル「……そうだな、お互い……頑張ろうな」


蒼レウス「クシャル氏ー、抜き打ちテストってなにが出題されるのでござろう?」

クシャル「たぶん、教科書の……ここからここだ」パラパラ…

蒼レウス「さすがクシャル氏!!クシャル氏のヤマカンは当たるでござる~」

クシャル「今日は当たるかわかんないけどな」


バルファルク「んーーーこれが学園生活かぁ~~」

バルファルク「楽しいことがいっぱいありそうだよね!鏖魔くん、君もよろしく!」

鏖魔「……あっ、うん……よろしく……」

バルファルク「~~♪~♪……」ニコニコ

------一限終了後休み時間、塔学校・メインモンス科------



ティガ「……あいつ別にイケメンじゃねーだろ!」

ライゼクス「なんだよどうしたんだよ」

ラギア「ガムートが褒めたからジェラスィーかな、ティガ君たら」

ティガ「べ、つ、に!!!だからそういうんじゃねーーーから!!俺は純粋に、あいつはイケメンだとは思わないってだけ!!!」

ライゼクス「はいはい」

ラギア「………でもさぁ、あいつ地味にすごくね?」

ラギア「女の子が好き~とか言いながら、ミツネには見向きもしなかったじゃん?」

ライゼクス「は?ミツネは男だからだろ」

ラギア「そう!男じゃん。でもぱっと見は女じゃん」

ラギア「俺なんか初めて見たとき、女にしか見えなかったぜ」

ティガ「あーーーそういや俺もそう思ってた」

ライゼクス「確かに!!つーことは、あいつは一発でミツネのことを男だって見抜いたっつーことだな」

ティガ「ぎゃはははは!!そーだよな!!スゲーーーーー!!ぎゃははは」



ミツネ「(失礼な噂話が聞こえる……)」イラッ

ガムート「ミツネっち~~トイレ行こ~~~」

ミツネ「あ、うん」

ミツネ「…………僕は男子トイレに入るよ?」

ガムート「え?いつもそうじゃん」

ジンオウガ「鏖魔はさ~、家族と一緒に住んでんの?」

鏖魔「あっ……いや、一人暮らしで……」

ブラキ「へーーそりゃいいな。俺も一人暮らししてェよ」

ブラキ「おっ母が許してくれねぇけど」

ジンオウガ「ブラキのお母さん怖いもんな!!」

鏖魔「…………」

バルファルク「怖いの?」

ジンオウガ「そそ!臨界ブラキさんって言うんだけど、おっかないんだよ」

ブラキ「宿題やらねェで遊びに行くと、すげー勢いで追いかけてくる」

ジンオウガ「『アンタァーーーッッ!!宿題やんなァーーーー!!』ってね!!」

ブラキ「そーそーーww」

バルファルク「臨界ブラキさんって言うんだ。変わってるね?」

ブラキ「あー本名は『猛り爆ぜるブラキディオス』。特殊個体っつーの?」

バルファルク「へー!かっこいーじゃん」

ブラキ「いや怖えーよ!」

ハハハ……

鏖魔「と…………特殊個体」ボソッ

ジンオウガ「ん?うん」

鏖魔「大変だね」

ブラキ「あ?あーー……まぁ、おっかねーよ」

バルファルク「……………へーーー」ニコニコ

------数時間後(三限、抜き打ちテスト)、塔学校・メインモンス科------



シーーーーン……
カリカリ………


リオレウス「…………」じっ……


カリカリ……

蒼レウス「(ムムム!!クシャル氏のヤマカンがやはり当たっているでござる!!)」カリカリ…

ティガ「…………」(静止)

ラギア「……ふぁ~~~……」カリ……カリ……

ミツネ「………」カリカリ…

ミツネ「………」チラッ


鏖魔「…………」カリカリ…

ミツネ「……(初日からテストなんか受けて大丈夫なのかな、あの二人……)」

ミツネ「(授業をどこまで理解しているんだろう?)」カリカリ……


クシャル「………」カリカリ……

クシャル「(……問題をザッと見る限りでは、満点取れそうだ……)」

クシャル「(……バルファルクは……)」チラッ

バルファルク「zzz…zzzz……」すぴーっ

クシャル「(バルファルクは、試験開始一分後には既に寝ていた……)」

クシャル「(まだ理解できていないことも多いだろうな。解けなくても仕方あるまい……)」

クシャル「…………」カリカリ

バルファルク「……zzz~……」すぴーすぴー

------更に数時間後、昼休み・塔学校、食堂------


ざわ……ざわ………ガヤガヤ……

ガムート「今日のテスト、結構難しかったよね」しゃくしゃく

ミツネ「そうだね。抜き打ちの割には、なかなかガチなテストだったよ……」はぐはぐ

ライゼクス「お前らちゃんと出来た?俺半分くらいできた」

ラギア「テストに関する全ての記憶を失いました」もぐもぐ

ティガ「同じく!」

ざわざわ……キャー……

ライゼクス「つーか新しく来た二人、ちゃんと授業内容理解できてんのかな?初日からテストとかキツいんじゃね?」

ガムート「私たちがそうだったように、学校に入る前に養成所に行ってたんだろうから……ある程度はわかるんじゃないかなぁ」

ざわ……ざわ……

ミツネ「今日のSHRで答案返されるよね、きっと」

ざわ……キャー……ざわ……

ティガ「……話変わるけどよぉ……なんなんだよ、アレは!!」スッ!

一同「?」くるっ




ざわざわ……

ザボアザギル「新入生ーー?!どこから来たの?」

バルファルク「遺群嶺だよ」

鋼ウラガンキン「大きいよね!体長何メートル?!」

バルファルク「25メートルだよ!」

クルペッコ「ねーー、鳴き声教えて?あとで呼んじゃうから?」

バルファルク「君の鳴き声も教えて欲しいな!」

白ケチャ「マジ超イケメンなんですけど!!」

ホロロホルル「彼女いるのー?!」

バルファルク「今いないんだぁ、募集中!」

キャアアアアア……

モノブロス「私わたし!!私彼女にして!!」

バルファルク「いいよ★」

ゲネル・セルタス「ちょっと!!アタシが彼女になるから!!」

バルファルク「もちろん、いいよ★」

キャアアアアアアアア!!!!

クイーンランゴスタ「ふざけないで!!アンタにはアルセルタスがいるでしょ!!」

鋼ガンキン「あたしも彼女になりたいーー!!」

バルファルク「いいよ★なりなよ!」

白ケチャ「本命はーー?!本命決めてよー!」

バルファルク「みんな本命に決まってるじゃん!」

キャアアアアアァァァァァァァ!!!

ザボアザギル「私が大本命になるんだから!!」

鋼ガンキン「なんですってーー?!あたしが大本命だってば!!」

ホロロホルル「アンタが大本命なわけないじゃんっ!バルファルク君、誰にするの!!」

バルファルク「みんな可愛くて大好き!僕にはもったいなくて決められないよ!」

キャアアアアアカッコイーー……
バルク様ーー……イケメンスギーー……
マジビケイーーー……
スキデスーー……



ラギア「……んな、なな、なんだアレは……!」ワナワナ

ライゼクス「なんであんなに女の子が……!!」ワナワナ

ガムート「わあ、すごいねー……」

ミツネ「みんなミーハーだね」

うおお支援

ティガ「あいつ全くもってイケメンなんかじゃねぇ……!!あいつよりババコンガのほうがイケメンだろ!!」

ライゼクス「いやさすがにそれはないわー……」

ラギア「……くそっ……くっっっっそ!!!!!チャラ男だあいつ!!!落ち着け、俺……俺にはキリンちゃんが!」チラッ!!



オオナズチ「あの人ホントかっこいいね~」もぐもぐ

キリン「そうだね、確かにイケメンだね」はぐはぐ



ラギア「………うそだーーーーーーーーーーーッッ!!!」

ライゼクス「桜ちん……!桜ちんは……!!!」チラッ!!



桜レイア「キャハハハ!!マジ笑えるくらいモテてる!!」もぐもぐ

風ベリオ「でも割とイケメンじゃない?」

桜レイア「言えてるーー!実際イケメン!」



ライゼクス「……………」ヒュウウ……

ラギア「………もう……終わりだ……この世の終わりだ……死のう」

ライゼクス「一緒に死のうぜ……」

ラギア&ライゼクス「…………」ずーーーん……

ガムート「そんなに落ち込むことじゃないよ……!」

ミツネ「そうだよ。別に褒めるくらいならいいじゃない」

ティガ「出た!!元祖モテ男の余裕!!」

ミツネ「……やめてよ……なに、元祖って」

ティガ「かーーっ、ムカつくなあいつ!!」

ティガ「……でもどーせ見た目がウケただけだ、あんな奴!!」

------五限(体育)、塔学校・校庭------



バルファルク「もーーーーーらいッ!!」バッ!

ラギア「あっ?!……クソ!!!」スルッ

ライゼクス「うわっ、バスケ少年ラギアからボール奪ったぜ、あいつ」

ティガ「ラギアーーーー!!!!俺に任せろーーー!!!」ドドドド

ティガ「ボールは返してもら……」

バルファルク「ごーーーめん★」ヒュッ!!

パスッ……

ピピッ!

リオレウス「得点、チームバルク!」

バルファルク「やったね!」


ガムート「ふーー、ふーーー、すごい距離からゴールしたねぇ」ゼイ、ゼイ

ミツネ「そうだね。運動神経もいいね、あの人は」


ラギア「クソッタレ、クソッタレぇぇぇぇぇ!!!!」



キャー……バルク様ー……
スゴスギーー……
アタシモボールニナリタイー……


リオレウス「うおーーーい、女子どもー窓の外見てないで前向いて授業受けてろー」ピッピー


ナルガ「……同じチームだけど、アイツに点取ってもらうのは癪だぜ……」

蒼レウス「なはは、拙者が全く動かなくても勝てそうでござる~」


ラギア「くそが!!!!」

ティガ「………あいつどーせ、頭は死ぬほどバカだろうよ!!!」

------六限後SHR、塔学校・メインモンス科------



リオレウス「うーし、お前らお楽しみのテスト返却するぞー」ニヤニヤ

クシャル「…………」

リオレウス「すごいぞー、満点が一人だけいる!」

どよっ

ナルガ「クシャル、すげー!!」

蒼レウス「さすがクシャル氏!ヤマカンも当たっていたでござるからな~」

ゴマ「………フフフ……小生、また負けてしまいましたか……クシャル殿、おめでとうございます……」

クシャル「…………」


リオレウス「じゃあ、返すからなー。蒼リオレウスー……」



ラギア「ぎゃははははは!!!!!ティガの点数ヤバっ!!」

ティガ「………」(静止)

ライゼクス「ぎゃーーーっはっはっはっ!!!マイナス10点!!0点より低いってwwwwww」

ラギア「名前の字が汚すぎてそこで減点されてるwww」

ライゼクス「ティカレシクスwww誰だよティカレシクスって!!!わざとだろwww」

ラギア「俺より20点も低いし!!雑魚すぎる!!!」

ライゼクス「ラギアも10点だなんて他人のこと笑えないぞ」



リオレウス「……えーーー、一位だ!!文句なしの満点、バルファルク!!!」

クラス一同「?!」
ザワッ!!

クシャル「……!」

ティガ「……なんだと?」

ラギア「空耳か?」


バルファルク「えー、僕、満点ですか!まいったなー」


ブラキ「……あいつ、満点だと……?」

ジンオウガ「え、ってことは……クシャルよりいい点ってこと?」


リオレウス「……クシャルダオラ!二位だ。一問だけ間違ってた、惜しかったなー」ペラッ

クシャル「………はい……」パサッ……

ゴマ「………そんな、まさか……クシャル殿……!」

クシャル「……引っ掛け問題だ……俺としたことが……」


ガムート「わっ、私とミツネっち、同点だ……」

ミツネ「結構いい線いってるね。よかった、僕もっと悪いかと思ったよ」

ガヤ……ガヤ……


リオレウス「……じゃあテストも返したし、今日はここまでだな。みんな気を付けて帰れよー!」ドスドスドス、ガラッ……

一同「さよーならーーー」



ガヤ……ガヤ………

ティガ「……おい!!!バルバルク!!!!」

バルファルク「バルファルクです!」

ライゼクス「ちょっとツラ貸せやファルバルク!!!!」

ラギア「ファルファルク!!!!お前、なんなんだよ!!もうガマンできねぇ!!!」

バルファルク「だからバルファルクだってば……」

ライゼクス「桜ちんたちの心を奪い、更にラギアからボールまで奪い!!!」

ティガ「テストじゃクシャルよりもいい点数!!なんなんだお前は!!!」

バルファルク「何って……新入生だよ」

ラギア「くーーっ!!!突然のクールキャラ!!ムカつく!!ハッキリ言うがお前ムカつくぞ!!」

ティガ「ちょっと身体でけーからって調子のんな!!」

ライゼクス「大体、いろんな奴とキャラ被ってんだよ!!」

ライゼクス「まず最初に言っておくが、美形のモテ男キャラっていうのは既にミツネが獲得してるんだぜ!!!」

ミツネ「えっ」

ラギア「悪いがスポーツマンも既に俺がいるぜ!!しかも俺は!!!イケメンだ!!男が憧れるイケメンアスリートだ!!!」

ティガ「秀才キャラもクシャルかゴマ!!!お前の入る隙はどこにもねェ!!!ムカつくから誰とも被らないキャラで来い!!!」


鏖魔「…………」


バルファルク「…………キャラって言われてもねぇ……じゃあ、なんのキャラならいいの?」

ライゼクス「ないね!!!お前は面白くないからそっち系のキャラもダメ!!」

ティガ「強いて言えばクソバカ陰気マヌケキャラ!!」

バルファルク「……まったく、なにをそんなに怒っているのさ」

バルファルク「……いーじゃんいーじゃん、僕のキャラは……『みんなから好かれるパーフェクトイケメンキャラ』ってことにしといてよ!」

ライゼクス「コラコラみんなから好かれてないぞ!俺はお前キライだね!!」

バルファルク「そんなに嫌わないでよ!君も僕を好きになる時が必ずくる!近いうちにね!」

ラギア「うおおおめっちゃムカつく!!性格に難アリだ!!!!」



クシャル「……大人気ないぞ。子供か、お前らは」

ティガ「くっ!秀才クシャル様のおなりだ!!」

クシャル「気に入らない気持ちもあるかもしれないが、慣れろ。同じクラスなんだ、あまりギスギスしないほうがいい」

ゴマ「(クシャル殿が仲裁に入るなんて……なんと珍しい…….)」

クシャル「ただ、バルファルク……正直言って、初日から俺よりも高い点数を取るとは思わなかった……」

クシャル「開始一分で居眠りしていただろう。……まさか一分で、あの簡単ではない問題を全て解いたのか?」

ざわっ

ブラキ「一分で……?」

ジンオウガ「……すっごいなァ……」

バルファルク「そうだよ!僕、はやいんだ。なにもかも!」

クシャル「……お前のような奴は初めてだ。お前……何者なんだ?」

バルファルク「………簡単だよ!」バサッ!!

バルファルク「ただの正義のヒーローさ!」シュドドドド……

キィィィィィィィン!!!!!


一同「……………」

ナルガ「……確かにすげぇ速い」

蒼レウス「でも窓から飛来するのはダメでござるよ~」

ジンオウガ「もう見えなくなった……」

ガムート「なんか変わった人だねぇ」

ミツネ「ヒーローだってさ。なんのつもりだろう」


ティガ「……あークソっ!気に入らねーな!」

ラギア「今日どっかで狩りして帰ろうぜ!!」

ライゼクス「さんせーさんせー!ミツネたちも!!」

ミツネ「僕は魚釣りがしたい」


ガラッ

矢文アイルー(茶)「……ライゼクス君に矢文ニャがー、まだいるかニャー?」ピョコピョコ

ライゼクス「おっ?」

ライゼクス「ハイハイ!いるー!」ドスドス

ティガ「学校宛に矢文なんて珍しいな?」

ラギア「誰からだー?」

ライゼクス「わかんね。銀パパあたりか?」パサッ

ライゼクス「……………」

ライゼクス「……………!」

ライゼクス「や……………」

ティガ「?」

ラギア「……おい、どーした?」

ライゼクス「ヤバイ……ごめん、俺すぐ帰らないと……」ドスドス……ガラッ

ラギア「待てよライゼクスーー」ドスドス……

ライゼクス「しょっ、職員室……成績表貰って……」ボソボソ

ティガ「ライゼクス、どうしたんだ?なんだよ、顔真っ青……っていうか真っ黒で」ドスドス

ラギア「それは元々だぞ」ペタペタ

ガムート「大丈夫……?具合悪くなっちゃった?」ドスドス

ライゼクス「ヤバイ……ヤバイ………」ボソボソ…

ミツネ「なにがヤバイのさ」ペタペタ

ライゼクス「………ち………か………んだ……」

ティガ「はぁ?チカン?!」

ラギア「どこにチカンがいるんだよ!!」

ライゼクス「……お父上が………」


ライゼクス「………お父上が……帰ってくるんだ!!!」

------数分後、遺群嶺・麓付近------



……シュドドドド……
バサッ!

バルファルク「……通学時間は片道10分ちょいか!楽ちんだな、朝ギリギリまで寝ていられる」ドス、ドス……

バルファルク「ふっふっ……楽しいクラスだったなぁ……」くすくす…

バルファルク「あ、ヤベっ……報告しないと」

ドス、ドス……

バルファルク「?!うわっ!!!」ビクッ!!

バルファルク「……………」じっ……

バルファルク「………水面か……びっくりした、とんでもないイケメンがいると思ったら」ドス、ドス……



バルファルク「……どうもー、矢文送りたいんですけどー」

矢文アイルー(桃)「ニャーっ!いらっしゃいませニャー!」

バルファルク「…………」カリカリ……

バルファルク「『学校、楽しい感じです』……」カリカリ……

バルファルク「『女の子はみんな可愛くて、彼女がたくさんできました』……」カリカリ

バルファルク「『天才なのでテストも完璧です』……」カリカリ

バルファルク「………『追伸:接触完了しました』」カリカリ……

------数十分後、雪山------



ティガ「ライゼクスはきっと、チカンが好きだよな」ドス、ドス

ガムート「どういうこと??」ドス、ドス

ティガ「チカンをするのが好きそうだ」

ガムート「そうかなあ、今度聞いてみようか」

ティガ「あいつにオヤジがいたなんて、知らなかった」

ガムート「そうだねぇ、今まで話に出たことなかったね」

ティガ「あんなに慌てて……どんなオヤジなんだろな」

ティガ「めちゃくちゃ怖いのかな」

ガムート「さぁ………でもきっと、ライゼクス君に似てて楽しい人じゃないかな?」

ティガ「ライゼクスに似てたら……嫁さん大好き男っていう可能性もあるよなぁ」

ガムート「明日、ライゼクス君に聞いてみよう。……あ、もうここか」

ガムート「ありがとう。もうお家だから、ここまででいいよ」

ティガ「あ……おーー。……じゃあ、また明日な」

ガムート「うん、バイバイ……」

ティガ「おーーー」ドス、ドス……

ガムート「……………//」じーーーっ……


ガムート「…………(最近、雪山まで送ってってくれることが多いけど……)」

ガムート「(なんでかな……)」ドキドキ

ガムート「……………」ドス、ドス

ガムート「……ただいまーー」ぼそっ

ガムート「(誰もいないけど……)」


???「………ガムート?」

ガムート「?!……えっ………」バッ

???「ガムート!!……おかえり!」

ガムート「ママ………?!ママ!!!」

???(銀嶺)「久しぶりね!元気そうだわ……こっちいらっしゃい!」

ガムート「ママーー!!いつ帰ってきたの?!久しぶり……!!」

ガムート「会いたかったよ……!」ぎゅーっ

銀嶺「ごめんね、なかなか帰ってこれなくて……お昼頃着いたのよ」ナデナデ

ガムート「そっかぁ……わーい、ママだ!!いつまでいるの?」

銀嶺「しばらく……一週間はいられるかな」

ガムート「やったーー!!ママの好きなお野菜あるよ!!晩ごはんはごちそうにしよう」

銀嶺「あら楽しみ」

銀嶺「学校はどう?楽しくやってる?ミツネ君は元気?」

ガムート「すっごく楽しいよ!ミツネっちも元気!」

銀嶺「そう……良かったわ、元気なら……」

ガムート「ミツネっち、彼女が出来たんだよ!すごい美人さんなの」

銀嶺「そうなのね。色々聞きたいわ」

ガムート「ごはんの支度するね!!」

銀嶺「うふふ、ありがとう」

------ほぼ同時刻、渓流------



ペタ、ペタ……

ミツネ「……………」ペタ、ペタ……

ミツネ「くぁ…………」(欠伸)

ミツネ「(眠いな……)」

ミツネ「(今日は、ヒマだ………少し昼寝して……)」

ミツネ「(テストの復習も……今日は、いいや………)」

ミツネ「…………」ペタ、ペタ


ミツネ「………?」

ミツネ「(あれ、巣の中にこんなに泡が……僕寝起きのまま出ちゃったのかな)」

ミツネ「(いや……絶対それはない……いつも破って片付けて巣を出ているしな)」

ミツネ「なんでこんなに……」パンッ


???「!!!!」ムクッ

???「…………何奴?!」

ミツネ「あ、オトーサン」

???(天眼)「ミツネ……息子よ!!帰ったか」

ミツネ「オトーサンこそ帰ってたんだね。驚いたよ、矢文くれれば良かったのに」

天眼「いやなに、驚かせようと思ってな」

ミツネ「うん、驚いたよ」

天眼「ミツネよ……こちらに来なさい」

ミツネ「………」ペタペタ……

天眼「………ああ、成長したな。立派な男になった」

ミツネ「見えてなくてもわかるの?」

天眼「ああ、見えずともわかる!……本当に立派になった、息子よ」

ミツネ「おほほ」

天眼「しかし、久しぶりだな……何ヶ月ぶりだろうか」

ミツネ「……10ヶ月?……いや、一年は会ってないかな」

天眼「正解は15ヶ月」

ミツネ「(数えてるんだ……)」

天眼「この15ヶ月、お前を思い出さない日はなかった……」

天眼「来る日も来る日も、ああミツネはいまどうしているだろう、ああミツネはいまどうしているだろうと考え続けていた」

ミツネ「へぇ……」

天眼「よし、ミツネ。再会を祝おう」

ミツネ「その前に少し泡を破って片付けてもいい?」

天眼「ム!すまない」

------ほぼ同時刻、森丘・ライゼクスの巣------



バサッ、バサッ……
ドスン………

ライゼクス「……………!」ドキン!

???「…………………」ドス、ドス……

ライゼクス「………………」ドキン、ドキン……

???「……………………」ドス、ドス……

???「…………なんだ、息子よ………5年ぶりに父が帰ってきたというのに………」

???(青電主)「………迎えの言葉も無しか」ドス、ドス

ライゼクス「……おっ、お父上……お帰りなさい……」

青電主「……………まったく、礼儀が……」ボソボソ…

ライゼクス「………」

青電主「………塔学校に通っていると聞いたが……勿論、優秀なのだろうな?」

ライゼクス「…………」

青電主「……なんとか言わんか!!!」

ライゼクス「!!……は、ハイ……いや……えっと……」

青電主「言わなくてもわかっているだろうな、成績表は貰ってきたのか」

ライゼクス「……ハイ………こ、これが成績表」パサッ

青電主「…………」

青電主「……………」

青電主「……ふざけているのか?」バサッ!

ライゼクス「…………」

青電主「なんだこの成績は!!!……11名中、6位だと……?!」

ライゼクス「……………」

青電主「学費だってタダじゃなかろうに」

ライゼクス「…………たまに鉱石とか売って、金作ってるから………」

青電主「………そんなことをしてまで学校に通い、それでこの成績か」

青電主「………脳みそが入っていないのか?その頭は」

ライゼクス「……入ってるよ……」

青電主「お前みたいなのが俺の息子だとは信じたくないな」

ライゼクス「…………」

ライゼクス「(………その言葉……そっくりそのまま返すよ)」

青電主「何か言うことは無いのか。俺を不愉快にさせたんだぞ」

ライゼクス「………ハイ……」すくっ

ライゼクス「……………ごめんなさい……!!」ザッ

青電主「土下座すらまともにできないのか。もっと頭を地面につけるんだ」ぐぐっ……

ライゼクス「…………」

青電主「ハハハ……」

青電主「俺はまた出掛ける。晩飯は……一緒に食うとするか」バサッ!


バサッ……バサッ………




ライゼクス「…………」むくっ

ライゼクス「…………」ギリッ

ライゼクス「…………クソが!!!!」ドガッ!!

ライゼクス「………死んでろよ………!!」

------数時間後・夜、塔学校・職員室------



シャガルマガラ「……………」カリカリ……

リオレウス「…………」カリカリ……

青クック「………それでは、お先に失礼します」

シャガル「はい、お疲れ様でした」ペコッ

リオレウス「お気を付けて」ペコッ


シャガル「…………」カリカリ……

リオレウス「…………」カリカリ……


シーーーーーーーーン……


シャガル「(もうこんな時間か。残っているのは私とレウス先生だけになってしまった……)」

シャガル「……レウス先生、少し休憩したらどうですか」

リオレウス「うう……っと。そうですね。ハァ……なかなか終わらなくて」

シャガル「明日のプリントを?」コポコポ……

リオレウス「はい。ちょっと問題を変えようと思って……」

シャガル「なぜ問題を変えるんですか?……どうぞ、茶を淹れました」コトッ

リオレウス「ああ、どうも……」ズズッ

リオレウス「バルファルクが、聞いていた以上に頭脳が良くて……予定の問題だと簡単過ぎるかと思いましてね」

シャガル「バルファルク……例の新入生ですか。どうですか、様子は」

リオレウス「なんだか……悪い奴じゃないし、頭脳は良いので成績面では申し分ないんですけどね」

リオレウス「まァちょっと、目立っちゃって……朝は窓ガラス割りながら教室に入ってくるし」

リオレウス「あと見た目もイマドキな雰囲気だから、もーーーモテてモテて……」

シャガル「ほぉ」

リオレウス「それでウチの男子はライバル心持っちゃいましてねー。なんだかんだ、みんなまだガキんちょですし。で、成績も良いし体育も良好で……変に目立ってるから、クラスに馴染むのに時間がかかりそうですよ」

リオレウス「女の子の友達ばっかりになっちゃって、男友達ができないんじゃないかって心配です」

シャガル「なるほど。しかしバルファルクとは古龍では?なぜメインモンス科に来たのでしょう」

リオレウス「私も、彼は古龍科のほうがいいと思うんですけどね。でもバルファルク種はメインモンスターだから、って」

リオレウス「塔学校にバルファルク種が入学するのは数百年ぶりだと校長は言っていました。もともと学校の設立当初からメインモンスターには入っていたんですが」

リオレウス「入学の勧誘をするにも、飛行速度が速すぎて……東の彼方に姿を見つけて声をかけようとしても、次の瞬間には西の彼方に消えているくらいの速さで」

リオレウス「なかなか、難しかったんですけど……今回、彼に限っては向こうから入学申請が来たらしくて。しばらく養成所に通ってもらって、入学試験は一発合格!」

リオレウス「……まぁ、優等生ですよ。ちょっと変わった性格ですが……同じ古龍のクシャルダオラもいますし、なんとか仲良くしてもらいたいと思います」

シャガル「そうですね。レウス先生のクラスは生徒も多いですから大変でしょうけど……」

シャガル「あともう一人いましたよね?鏖魔、とかいう」

リオレウス「ああ、ディアブロス種の特異個体ですね。俗に言う、二つ名と呼ばれるモンスターで……」

シャガル「紅兜先生や、宝纏先生も二つ名ですね」

リオレウス「二つ名そのものは、通常種の強化個体ということで珍しくないんですが……ディアブロス種の二つ名は、彼が初めてですよ」

シャガル「確かに聞いたことありませんね。唯一無二の存在なのでしょうが……何故また、メインモンス科なのか」

リオレウス「こればっかりは、わかりませんねー。校長や教頭あたりがメインモンスターに追加したんでしょうけど……見た目はね、確かに大きくてツノもなんだかすごくて、強そうなんですが」

リオレウス「大人しいっていうか、地味っていうか……体育の様子に限れば、はっきり言って鈍臭いんですよねーー。成績も、今日のところは中の下って感じで良くはないし……」

リオレウス「養成所も、ちょっと時間かけて通ったみたいで」

リオレウス「まぁでもなんとか、友達はできたみたいですが」

シャガル「なんだか……随分、対照的な二人ですね」

リオレウス「そう、まさしく対照的!……でもまだ初日ですから、ここから二人のイメージも変わってくるのかなぁ~~……」

------翌朝、森丘・ライゼクスの巣------



桜レイア「クーーーースーーーークーーーースーーーー!!!!!」バサッ、バサッ……ドスン……

ライゼクス「!!」

桜レイア「おっはよーーー!!!学校い……」

ライゼクス「ちょっ、ちょっちょっちょ!!!桜ちん!!入ってこないで!!」ドスドス……

桜レイア「ハァ?!!」ズリズリ……


青電主「………………」


桜レイア「……あれ?!誰、あの人!あたし見たことない!」ズリズリ…

ライゼクス「シーーッ!!シーーーーー!!!」ドスドス…

桜レイア「なによ!なんであたしのこと押し出してんのよ!!」ズリズリ…

ライゼクス「(ひそっ)ごめん桜ちん!先に学校行ってて……!俺今日遅れて行くから!」ドスドス…

桜レイア「なんでーーー?!なんでよ!!浮気?!!」ズリズリ…

ライゼクス「シーーーッ!!(ひそっ)浮気じゃないから!とにかくごめん!レウス先生とティガ達にも遅れるって言っといてもらえる?!」ドスドス…

桜レイア「いいけど……ホントに浮気じゃないのね?!他の女の子とデートとかじゃないんだよね?!」ズリズリ…

ライゼクス「(ひそっ)違うから!!絶対違うから!ごめん、頼むよ!先に行って!」ドスドス…

桜レイア「……もー、わかったわよ……じゃあクスクス!!絶対学校来てよね!!学校来たらまずあたしに会いに来て!!」ズリズリ…

ライゼクス「(ひそっ)わかった!わかったよ!絶対行くから!早く行って!頼むから!!」ドスドス…

桜レイア「はいはい行けばいいんでしょ!」バサッ…

ライゼクス「…………」ホッ…

桜レイア「……じゃあねークスクス!!宇宙一愛してるよ~~~~!!」バサッ、バサッ……

ライゼクス「俺もだよ~……」ぼそっ

ライゼクス「…………」

ライゼクス「…………」くるっ

ドス、ドス……


青電主「…………」

ライゼクス「……おっ、お父上……えーーっと……」ゴニョゴニョ…

青電主「………なんだ、あの派手な小娘は……」

ライゼクス「……えっと……かっ、彼女………」

青電主「…………」

青電主「………ハハハ………」

青電主「…………バカでどうしようもない!!!ガキが一端に女など作って……!」

ライゼクス「…………」

青電主「しかもあんな……ハハハ!!ハァーーッハッハッ!!!知能の低そうな……いかにもアバズレな小娘で!!」

ライゼクス「………」ギリッ…

青電主「……まぁ……まさかあの小娘と添い遂げようとまでは思っていないだろう……」

ライゼクス「…………」

青電主「せいぜい今のうちだけだ」

ライゼクス「…………」

青電主「………こんな時間か。遅れてはいけない……俺は出掛ける。お前、今日は早く帰って来なさい。紹介したい者がいる」

ライゼクス「………わかった………」

青電主「逃げたらどうなるかわかっているな」

バサッ!!
バサッ……バサッ…………


シーーーン……



ライゼクス「…………」

ライゼクス「………ハァ……」

ライゼクス「………逃げよう………」

------数時間後、休み時間・塔学校、メインモンス科------



桜レイア「ちょー遅いんですけど!!ちょーーーーー遅いんですけどーー!!!」バリ、バリ……

ティガ「……ライゼクスは、学校来たらまずお前んとこに行くって言ってたんだろ?大人しく自分のクラスで待てよ」

桜レイア「やだ!!待てない!!」バリ、バリバリ……

ラギア「桜ちゃんそれなに食ってんの?」

桜レイア「ランポスの干物!!おいしーよ!」

ラギア「へー、ひとつ貰うわ」ひょい、バリッ、バリ……

ラギア「うまい」

桜レイア「でしょーー!!いまあたしの中での一大ブーム!!!!」

ティガ「待てないのは仕方ねーけど、ライゼクスが来ねーのも仕方ねーだろ!自分のクラス戻れ!」

桜レイア「なんなの!ティガ君、あたしのことウザいって思ってるでしょ!」

ティガ「ウザい!!」

桜レイア「なによーーー!!」

ラギア「まーまー、落ち着けよ」

ラギア「その巣に居た見慣れない人って、ライゼクスの親父じゃねーかなぁ」

桜レイア「えっ……クスクスパパ?!クスクス、パパいたの?!」

ガムート「聞いたことなかったけど、昨日、ライゼクス君に矢文が来て……お父さんからだったみたいで」

ミツネ「急に態度変わっちゃって、慌てて帰って行ったよ」

桜レイア「なにそれ!あたし、クスクスにパパがいたなんて知らなかった!」

ラギア「俺も知らなかった」

桜レイア「サイアク……!クスクス、あたしに隠し事してたんだ!!!」

桜レイア「わあん……」しくしく


蒼レウス「……桜!!!まだいたでござるか!!目障りでござる、教室に帰ってくれ!」ドスドス…

桜レイア「ひどい!蒼まで!!妹が悲しんでるのに!!」さめざめ

蒼レウス「その情緒不安定、どうにかならないのでござるか?!迷惑でござる。……申し訳ないティガ氏たち……本当に、うるさい女でござるな」

ティガ「やーーもう正直マジでウルセーけど、仕方ねーよ」

ラギア「桜ちゃんを鎮められるのはライゼクスしかいねぇ」

ミツネ「そのライゼクス君がまだ来ないからね」

ガムート「(でもちょっと、桜ちゃん面白いなぁ……)」


ガラッ!!


黒ディア「………桜!!まだここにいたの?!次、体育だよ!サッカー!!早く行こう!」

ティガ「ゲッ」ぼそっ

ガムート「(……ティガの元カノさんだ……)」

桜レイア「クロローーー!!聞いてよ!蒼がひどいんですけど!」

黒ディア「ハイハイあとでゆっくり聞くから!」

黒ディア「とにかく早く外に……」

黒ディア「…………?」チラッ


鏖魔「……………」サッ


黒ディア「(新入生の一人か……いま、すごい視線を感じたような……?)」

黒ディア「(……騒いじゃったからかな。それに、同じディアブロス種だし……ただ見てただけか)」

黒ディア「……桜、早く!サッカー、男子たちに絶対負けないようにね!!!」

桜レイア「……やだーー……出たくないーー……見学するーー……」

黒ディア「いいから!」ぐいっ

桜レイア「……じゃあ昼休みもまたくるからねーー!!」ズルズル……


蒼レウス「来なくていいでござるーーー!!」

蒼レウス「……ハァ、やかましい………」

ティガ「兄の立場ってのもタイヘンなんだな」

蒼レウス「……たった3分、拙者の方が早く孵化してしまった……。たった3分の差で兄と呼ばれ、あんな風にワガママな妹に甘えられるようになってしまったでござる」

ラギア「そっかお前ら双子だもんなぁ」

蒼レウス「ライゼクス氏は、桜のどこがいいのでござろうか。甚だ疑問でござる」

ガムート「ずっと付き合ってるよねぇ。なんか……お互いがお互いの全部をとにかく大好きって感じがするよね」

蒼レウス「はーーーっ!もう少しワガママな性格を直してくれれば、兄としても可愛がれるのでござろうが……」


バルファルク「女の子は、少しワガママなほうが可愛いんじゃない?」


ラギア「うわっ、ファルファルクだ。あっちいけ、シッシッ」

バルファルク「やだなーー!バルファルクだよ!嫌わないで!」

ティガ「お前女臭い!!あっちいけ!!」

ミツネ「(また女の子に囲まれてキャピキャピしてきたのかな……)」

バルファルク「蒼レウス君。女の子はワガママなほうが可愛いんだよ!ライゼクス君は、あの桜色ガールのワガママなところも好きなんだと思うよ!」

蒼レウス「ははぁーーそうなのでござるか」

ラギア「こいつの言うことなんか真面目に聞くことないぜ!!」

バルファルク「なにさ。女の子のことに関しては、僕のほうが君より上級だよ」

ラギア「なんだとーーー?!」

ティガ「お前マジ一言多い!あっちいけよ!!」

バルファルク「はいはい行きますよーー」スタ、スタ……

バルファルク「~~♪~♪♪~~……」スタ、スタ……

ミツネ「…………」じっ…

ミツネ「(掴めない人だ……なんなんだろう)」じーーーっ……

ガムート「(ひそっ)ミツネっち!そんなに睨んじゃダメだよ。ミツネっちのほうがずっとかっこいいから、心配しなくても大丈夫だよ!」

ミツネ「えっ」

------ほぼ同時刻、密林・上空------



バサッ、バサッ、バサッ………

ライゼクス「…………」

バサッ、バサッ………

ライゼクス「………疲れた………」

バサッ、バサッ……

ライゼクス「(……残るは、酒のビンか……)」

ライゼクス「(アレ運ぶの面倒くせェなぁ……量もあるから重いし……)」

ライゼクス「(いいか……地下に隠してあるし……あとで運べば……)」

バサッ、バサッ……

ライゼクス「(……こんなことしても無駄か……)」

ライゼクス「時間の問題だよな……」


バサッ、バサッ、バサッ……

------数十分後・昼休み、塔学校・食堂------



キャー……キャー……ザワザワ……

クルペッコ「はい?あーんして??」ずいっ

バルファルク「あーーーん」パクッ

バルファルク「……美味しい!ペコちゃんが食べさせてくれるからかな?」

クルペッコ「キャーーーッ!!バルク君大好き!!!」

鋼ガンキン「ちょ!なんで独り占めしてんの?!!」ドスドス…

クルペッコ「今日は私の日だしーー!!」

バルファルク「鋼ちゃん、明日は君の日だよ」

鋼ガンキン「ヤダーーー!!好き?」

キャーキャー……



ティガ「うっっぜぇ」イライラ……

ラギア「そのうち生き残った奴とだけ付き合う~とか言って、女同士でバトルさせたらおもしれーな」

ミツネ「ゲネルさんが生き残りそうだね」はぐはぐ

ガムート「鋼ガンキンさんも、どうかなぁ」しゃくしゃく


ドス、ドス……

ライゼクス「……おはよーー遅れたわーーー……」ドスドス……


ラギア「!……ライゼクス!!お前マジで遅かったなー何やってたんだ?」

ライゼクス「あー、色々あってさぁ……何から話すかなぁ」


桜レイア「クスクスーー!!クスクスーーーーー!!!」ドスドスドスドスドス……

ライゼクス「あ、桜ちん」

桜レイア「おっっそいよ!!遅いっ!!あたしずっと待ってたんだからね!!」

ライゼクス「ごめんね?桜ちん、会いたかったよ!」

桜レイア「クスクス、あたしに隠し事してたでしょ!パパのこと!!」

ライゼクス「えっ……あーー……隠してたわけじゃないんだよ」

ライゼクス「ただ聞かれなかったから言わなかっただけで……」

桜レイア「隠してたんじゃんーー!!ひどいよ!あたしたちの間に隠し事はナシって言ったのクスクスじゃん!!」

ライゼクス「ごめん、怒らないで!」ナデナデ

ティガ「俺たちも驚いたぜーー親父の話なんて、お前一切しなかったじゃん」

ライゼクス「おう。……いい機会かな、みんなに話すわ」

ミツネ「気になるね。あんなに慌てて帰って行った理由が」

ガムート「その前にライゼクス君、ご飯は?」

ライゼクス「あー、いらね。食ってきた」

ライゼクス「……えーとまず……そもそも今日遅刻したのは、引越しをしていたから」

桜レイア「引越しーー?!えっ、森丘の中で引越し?それとも森丘出ちゃったの?!」

ライゼクス「森丘は出たよ。密林に引越した」

ガムート「大変だったねぇ」

ライゼクス「あぁ、まあ……運ぶものも結構あったからな」

ライゼクス「で、引越した理由なんだけど……昨日、俺のお父上が帰ってきたんだ。………5年ぶりに」

ミツネ「5年も?」

ライゼクス「俺にとっては、たった5年だ。……もう帰ってこないと思ってた。もう二度と、会うことはないと思ってたのに……」

ラギア「…………」

ライゼクス「どこかで野垂れ死んでいればいいって、本気で思ってた」

桜レイア「……なんで?自分のパパなのに……」

ライゼクス「あんなの父親じゃない」

ライゼクス「……父親だと思ったことなんて、一度もない」

ライゼクス「俺の父親は……銀レウスだけだと思ってるから」

ガムート「銀レウスって……桜ちゃんのお父さん?」

ライゼクス「うん」

ライゼクス「……ライゼクス種って、子育てしねぇんだよね」

ミツネ「?……じゃあライゼクス君、君はずっと一人なの?」

ライゼクス「ああ。卵から孵ったら、あとは放置。自分の子が生きてようが死んでようが、どーでもいいって性質でさ」

ライゼクス「俺の親もそうだった。……俺はガキの頃から一人でメシ探して、一人で寝てた」

ティガ「お前それすげぇな。よく生きてこられたな、今まで」

ライゼクス「それは、銀レウス……銀パパのお陰なんだ」

桜レイア「……あたしのパパ、警備のお仕事してるから……」

ライゼクス「そう。パトロールが仕事。森丘で一人でうろついてるガキの俺を見かけて、声掛けてきたんだ」



”君……まだ子供だろう?危ないぞ、こんなところを一人でうろうろしていたら”

”…………”

”名前は?”

”……ライゼクス”

”お父さんとお母さんは?”

”……?なに、それ”



ライゼクス「銀パパ優しくてさー。俺の事情察して、毎日会いに来てくれた」

ライゼクス「狩りとかちゃんと教えてくれて、養成所も通わせてくれたんだ」

ライゼクス「そんで……たまたま銀パパといるときに桜ちんと出会った」



”パパだーー!お仕事頑張ってねーー!!”

”おーー桜!気を付けて遊びに行けよーー!”

”………”

”………どうした、ライゼクス?”

”………あの子可愛い”
”なんて名前?”



ライゼクス「それが、俺と桜ちんの劇的な出会い……!フォーリンラブってやつ!!一目で大好きになった」

桜レイア「懐かしいね……思い出すと今でもキュンキュンしちゃう」

ライゼクス「桜ちん、可愛かった?」

桜レイア「知ってる?」


一同「……………」

ライゼクス「……とにかく。俺にとって親と呼べるのは銀パパしかいねぇ」キリッ

ガムート「あれ?でも、ライゼクス君のご両親はライゼクス君を育てなかったんだよね……?昨日、お父さんはどうして帰ってきたの?」

ライゼクス「ああ……そっから何年も経ってから、銀パパがお父上を見つけて連れてきたんだ」

ライゼクス「銀パパ曰く、お父上が俺を探してたらしくて……」

ティガ「探してた……?そ、育てなかったのにか?」

ライゼクス「な。……変な話だよな。でも間違いねぇ、それは俺のお父上だった。俺がずっと暮らしてた巣は、お父上が以前暮らしてた巣だった」

ライゼクス「そっから数年に一回、思い出したように帰ってくる」

ライゼクス「思い出したように帰ってきては、俺のこと一方的に怒ったり……ぶっ飛ばすこともあったよ」

桜レイア「ひどい……クスクスに暴力……?」

ライゼクス「おう。昨日も、お父上が帰ってくるってことを銀パパが矢文で教えてくれて……んで慌てて帰って会えば、まァ……意味のないお説教だよ」

ガムート「(昨日の矢文は、お父さんからじゃなくて銀レウスさんからだったんだ……)」

ライゼクス「……だから俺はお父上が嫌いなんだ。大嫌いだ」

ラギア「……嫌いなら、帰ってきたって無視してりゃいいじゃん……」

ライゼクス「そう思うだろ。俺、今まで何回も逃げてる」

ライゼクス「でもダメだ、絶対居場所を嗅ぎ付けて俺を見つけるんだ」

ライゼクス「……懲りずに今回も逃げたけど……どうせまた見つかる。でも俺、お父上にわかってほしいんだ」

ライゼクス「制裁を受けることをわかっていても、何度も逃げるほどお父上を嫌いなことが。それでお父上には、俺のことを忘れてほしい」

ライゼクス「無理だろうけど……」

ティガ「……引っ越しても、各地に矢文送られて探されたら一発でバレねぇか?」

ライゼクス「そうなんだよな。だから、密林の矢文アイルーには俺への矢文は取り継ぐなって伝えて……もちろん口止め料っつーことで金も渡してある」

ライゼクス「だから俺に矢文送っても届かねぇからよろしく」

ライゼクス「まぁ……矢文送るのもタダじゃねーし、お父上が俺のために矢文に金使うとは思えねぇんだけどな」

ガムート「学校は……?学校に来られたり、近くで張込みみたいにされたらバレちゃわないかな……」

ライゼクス「……わかんね。でも多分……学校には来ないと思うけど……」

ライゼクス「昔、生徒だったけど自主退学してるし……」

ミツネ「…………なんていう名前?君のお父さん」

ライゼクス「『青電主ライゼクス』だ。……めちゃめちゃ強い。んで……怖い」

ミツネ「……そっか。……僕たち、なにかできることあるかな」

ライゼクス「いや、いい。なにもしなくていいから」

ライゼクス「マジで……。またすぐいなくなるだろうし、それぐらい耐えっから」

桜レイア「クスクス………」

------ほぼ同時刻・天空山------



バサッ、バサッ………

銀レウス「…………」バサッ、バサッ……

銀レウス「!」バサッ……


野良イーオス「ギャッ、ギャッ……」

野良イーオス「ギャッ、ギャッ……」


ガツ、ガツ……ブシャッ、ガツ……


銀レウス「(……野良か……)」バサッ…

銀レウス「(……大型モンスターの死骸に群がっている……)」

銀レウス「(食われている大型モンスターも、野良のようだ)」


野良イーオス「ゲッ、ゲッ……」

野良イーオス「ゲッ………ゲッ……」

銀レウス「?!(………様子が変だ……)」

銀レウス「(なんだ、一体……なにが……)」

銀レウス「………まさか………!!」ぐぐっ……


グロォォォオォォォォン………
ボオオオオッ……ドサッ……


野良イーオス「……」


銀レウス「(全員、火球で燃えたか……まだ良かった)」

銀レウス「(……もう少し近づくか)」ドスン……

ドス、ドス……

銀レウス「(食われていたのは、野良ジンオウガ……?)」

銀レウス「(血の色がおかしい……)」はっ

銀レウス「…………ああ……これは…………!!」

------数時間後・放課後、森丘・ライゼクスの巣------



……ドスン!

青電主「…………」

青電主「…………逃げられた」

青電主「あのクソガキ、逃げやがったんだ」

青電主「……荷物が全てなくなっている」

青電主「紹介したい者がいるから、すぐに帰ってこいと言ったのに……」

青電主「…………」

青電主「…………」くるっ

青電主「……すまん。本当に紹介するつもりだった。逃げられた」


天眼「…………」

天眼「……いや、仕方あるまい」

天眼「若者だ。親の言うことなど素直に聞く年ごろではないのだ」

青電主「……親をバカにしている。舐めた息子だ」

銀嶺「……そんなに怒らないで。……また日を改めればいいじゃない」

青電主「胸糞が悪い。……ライゼクス……必ず見つけ出してやるぞ」

青電主「………」ギィッ……

青電主「………地下の酒は残してある。酒を飲もう、合う肴を取ってくる」バサッ、バサッ……

銀嶺「わかったわ……」



天眼「…………」

銀嶺「…………」

天眼「……我々が先に居所を特定しよう」

銀嶺「そうね……『彼』に頼みましょうか」

銀嶺「最速の彼に。……何をするにも早いから……きっとすぐに見つかるわ」

------同時刻、某所------



???「~~♪……♪~~……」

???「……ピ………デイ………」ぶつぶつ

???「………ユー………」

???「……ハッピー……バースデイ……」

???「……トゥー……ユー……」

???「~~♪……」

???「ハッピーバースデイ……トゥーユー……」

???「……おめでとう………」

???「少し早いけど………お祝いの……歌を……」ぶつぶつ……

???「ハッピーバースデイ……もうすぐだね……」

???「………おめでとう………」

------同時刻・未知の樹海、冥ラギア家------



冥ラギア「ディノ君。なんか……考えていることがあるの?」

ディノバルド「…………え………」

冥ラギア「なんだか、そんな感じがするよ。僕の気のせいかな?」

ディノバルド「…………イビルジョーのことを考えていました」

冥ラギア「……………」

ディノバルド「………俺はずっと、胸の内に鬱々としたものを抱えていて……」

ディノバルド「俺は父をイビルジョーに捕食され、その仇討ちをするために生きていたが……」

ディノバルド「結局、そのイビルジョーはオストガロアに捕食され、俺の仇討ちは叶わなかった」

冥ラギア「…………そうだね」

ディノバルド「俺のこの鬱々とした感情は、今後晴れることはないでしょうね」

ディノバルド「………この感情を何処へぶつければいいのか」



子ラギア「ディノたん」ぺたぺた

ディノバルド「!」

子ティガ「ディノたんーーしっぽ触らせてーーー」

大ティガ「コラ、ディノお兄さんと呼ぶのよ」

子ティガ「ディノたん」ぺたぺた

ディノバルド「……いえ、構いません」

ディノバルド「どうぞ」スッ

子ティガ「きゃー!!あおーい!!」

子ラギア「きれいだねぇ」

冥ラギア「ごめんよ、ディノ君。ありがとう」

ディノバルド「いえ……お子さんたち、すっかり大きくなりましたね」

大ティガ「そうねー。もう半年も経つのよね」

ディノバルド「……半年か………とういうことは、あの黒龍との戦いからも、半年経つのか……」

冥ラギア「そうだね。早いね、時が経つのは……」

ディノバルド「…………」

ディノバルド「………長い時が経ってもなお……父を殺した相手を憎いと思ってしまう俺は、愚かでしょうか」

大ティガ「そんなことないわよ」

大ティガ「……親を殺した相手は憎いに決まってるわ。貴方の気持ち、とてもよくわかる」

冥ラギア「…………」

ディノバルド「……そうですか……」

冥ラギア「君の悔しい気持ち、共感はできないけれど理解はできるよ」

冥ラギア「でもディノ君。君は若い」

冥ラギア「憎しみばかりに捉われず、自分の好きなように生きて欲しい」

冥ラギア「勉強が嫌いでないなら尚更、学校に戻って……友達と過ごし、楽しんだほうがいいと思うんだよ」

ディノバルド「……俺の心配をしてくれるのは冥さんたちだけです」

ディノバルド「でも俺は、学校のみんなには大きな迷惑をかけてしまった」

ディノバルド「イビルジョーやオストガロアとの戦いに巻き込み、更にハンター達に襲われるきっかけまで作ってしまった」

ディノバルド「俺が戻っても、嫌がられますよ……」

大ティガ「(……ディノ君って結構ネガティブねぇ……)」

冥ラギア「……そうかな。みんな気にしてないと思うけどね?」

ディノバルド「…………」


ディノバルド「(父上……俺の父上)」

ディノバルド「(イビルジョーに食われた俺の父上)」

ディノバルド「(イビルジョーが死んだ今、仇を討つことも叶わず、ただ生きているだけの俺には……)」

ディノバルド「(何の価値もないよな……)」

------同時刻・渓流、タマミツネの巣------



ラギア「………えっ?ミツネんとこも、親父が帰ってきてんの?」

ミツネ「そうだよ。今は出掛けてるけど……夜に帰ってくる」

ガムート「私のママも帰ってきてるよ」

ライゼクス「ガムートんとこも……?」

ティガ「みんな一斉に?親同士、知り合いか何か?」

ガムート「私のママとミツネっちのパパはずっと友達だけど、ライゼクス君のお父さんのことは聞いたことないなぁ」

ミツネ「僕もガムちゃんも、親に会うのは1年ちょっとぶりだし……ライゼクス君のお父さんとは頻度が全然違うから、関係ないと思う」

ライゼクス「ああ……俺も聞いたことねェ。まあお父上と会話する機会が少ないからかも知んねぇけど……」

ティガ「つーーか……お前らもちゃんと、親がいたんだなぁ……」

ラギア「なーー。聞いたことないから驚いたわ」

ミツネ「そうだね。滅多に会わないことが多いけど」

ガムート「親と暮らしてる子なんて少ないもんねぇ~」

ライゼクス「確かに……桜ちんの家なんかは、家族四人揃ってるけど……そんなの珍しいよな」

ティガ「で、お前らの親はなんの仕事してんの」

ミツネ「?」

ガムート「…………」

ミツネ&ガムート「…………?」

ティガ「………親が何してるか知らねぇの?お前ら」

ガムート「……なんだろう?……たまに帰ってきては、世界の色々な場所の話をしてくれるけど……」

ミツネ「……旅行者?冒険家……?確かにオトーサンがなんの仕事してるのかなんて考えたこともなかった」

ラギア「なんだそりゃ。親ってそういうもんなのか?」

ライゼクス「あれ?ラギアの親ってどんなん?」

ラギア「俺もわかんね。気にしたことなかったけど……そうか、俺にも親ってのはいるはずなんだよな」

ラギア「勝手に生まれてきた気でいたけど……」

ティガ「まぁ親なんて今時流行らねーよな」

ライゼクス「言えてるぜ!」

ガムート「私はママのこと大好きだよ」

ラギア「そうなんだ?へぇ、それは良いことなんじゃね?」

ライゼクス「ミツネは?」

ミツネ「うーん……あまり好きか嫌いかって考えたことないなぁ」

ミツネ「たまーーーーに帰ってきて一緒に食事して同じ場所で寝る、オトーサンという種類の生き物だと思ってるよ」

ミツネ「……でも嫌いではないかな。話が楽しいしね」

一旦止めます。
>>17さん、前回・前々回とありがとうございました。

ディアブロスはおらんのか

>>66亜種と鏖魔だけです。

------翌朝、塔学校・メインモンス科------



バルファルク「ライゼクス君」

ライゼクス「?」

バルファルク「君の彼女、可愛いね」

ライゼクス「…………はぁ?……なんだよ、ちょっかいとか出すなよ」

バルファルク「出さないよ!」

バルファルク「ただ、すごく可愛いなって……蒼レウス君の妹なんだってね」

ライゼクス「……………」

バルファルク「……どこに住んでるのかなぁ……」

ライゼクス「………蒼レウスに聞けよ」

バルファルク「つれないなぁ、君は……」

ライゼクス「………」

バルファルク「君とは、住んでいる場所は近いの?」

ライゼクス「………近かったけど……俺、引っ越したから今はそんなに近くない」

バルファルク「へぇ……引っ越したんだ」

バルファルク「……………どこに?」

ライゼクス「…………密林だけど……旧大陸の」

バルファルク「密林か!いい場所だよねぇ。海が綺麗でさ……」

バルファルク「今度遊びに行ってもいい?」

ライゼクス「いや全然ダメだけど……」

バルファルク「本当、つれないね」


ティガ「……バルバルク!お前ナンパする相手間違ってっぞ!!」ドスドス……

バルファルク「だから、バルファルクだってば」

ティガ「ナンパすんなら女にしろよ」

バルファルク「別にナンパしてたわけじゃないけどね~」

ラギア「あっちいけよ!バーカ!」

バルファルク「はいはい、本当……冷たいなぁ君たちは……」ドス、ドス……



ガラッ

鋼ガンキン「……バルク君ーーー!!おはようーーー?」

バルファルク「ああ、鋼ちゃん……!僕の女神!!」

鋼ガンキン「今日お弁当作ってきたから屋上で食べようね」

バルファルク「本当?楽しみだなぁ」スタスタ…

鋼ガンキン「……あれ?どこか行くの?」

バルファルク「うん、ちょっと……」

バルファルク「すぐ戻ってくるよ」


ドス、ドス……


バルファルク「………あれっ鏖魔くん!今来たんだ」

鏖魔「………あっ………」

バルファルク「おはよう!」ニコニコ…

鏖魔「…………」ペコッ……

------数十分後・霊峰------


サァァァァァァァ……



『”空を見よ”
我らが大いなる師
嵐龍 アマツマガツチ
ここへ眠る』



天眼「…………アマツ先生が亡くなったなど、信じられない」

天眼「彼女は強かったはずだ。なのに、死んでしまったのか………」

銀嶺「………強者が次々と死んでいく」

天眼「……………」

銀嶺「………もう分かったらしいわ………ライゼクスの新しい住処は、旧大陸の密林」

天眼「そうか。……さすが、早いな」

天眼「それでは青電主に伝えよう」

天眼「……………『ライゼクスは密林にはいない』と」

------同時刻(休み時間)、塔学校・飛竜亜種科------



ざわ、ざわ……

桜レイア「この間渓流の近くに温泉湧いてるの見つけたのーー!ニンゲンは多分知らない!!」

黒ディア「マジでー?入ってみた?」

桜レイア「入った!ちょーーあったかかった!!」

風ベリオ「私も入りたいな~~」

ざわ、ざわ……


ガラッ!!


鏖魔「………………」そろり……



黒ティガ「ぎゃーーっはっはっ!!おい緑!!白ブロスがまたバカやってる!」

緑ナルガ「マジだ!ギャハハハハ!」

ざわざわ……



鏖魔「……………」ドス、ドス……



桜レイア「でさーその温泉に、ガーグァの卵を入れて……」

風ベリオ「あったまるの?」

黒ディア「それって温泉タマ……」



鏖魔「…………あのーぅ………」ボソッ

黒ディア「?」くるっ

桜レイア「あれー新入生くんじゃん!メインモンス科の!」

風ベリオ「新入生?あのイケメン君だけじゃないの?」

桜レイア「イケメン君ともう一人いるんだよ!えーっと、名前なんだっけ?」

鏖魔「あっ……おっ、鏖魔ディアブロスです……」

風ベリオ「ディアブロス?クロロの親戚?」

黒ディア「ちがうよー、全然知らない!」

黒ディア「どうしたの?」

鏖魔「あっ、あっ…………あのーぅ……」

黒ディア「??」

桜レイア「(なんか暗ーーぃ……)」

風ベリオ「(……身体の大きさに反して内気なのかしら??)」

黒ディア「…………なに?」

鏖魔「あのっ………これ………!」バサッ

黒ディア「?!」

鏖魔「うっ……受け取ってください………!」

黒ディア「わぁ……」

桜レイア「えっなにーー?!すっごい花束なんですけど!!」

風ベリオ「綺麗ーー」

黒ディア「……あ、あたしに?」

鏖魔「…………」コクッ

黒ディア「ありがとう………」パサッ

鏖魔「ひ、一目惚れしました」

黒ディア「えっ」

桜レイア「キャー」(小声)

鏖魔「可愛いです!………ぼっ、僕と付き合ってください」

黒ディア「えぇ………//」ボッ



黒ティガ「……うぇーーい付き合っちまえよーー!!」

緑ナルガ「やるじゃん黒ディアーー!!」



黒ディア「男子うるさいっ!!」

黒ディア「えっと………う、うん………//」

鏖魔「!」

黒ディア「こんな風に花束貰うの初めて……嬉しい」

鏖魔「えっ……つ、付き合ってくれるんですか……??」

黒ディア「はい………」

鏖魔「!!!!」

桜レイア「!!」

風ベリオ「!!」


うおおおおおおお…………

------数分後、塔学校・メインモンス科------



ティガ「………zzz……」ぐぅ……

ラギア「(今日の弁当は何かな……ルドロスかな……)」ぼーっ

ライゼクス「……zz………zzz……」すぴーっ


リオレウス「……んで、ここにこの公式を当てはめると……あら不思議!!スラスラ解ける」

リオレウス「でもこの公式は全ての問題に使えるわけではなく……」



ジンオウガ「(ひそっ)今週の新連載、どう思う……?」

ブラキ「(ひそっ)絵はいいけど、話がなァ……またすぐ打ち切りだろ……」

ジンオウガ「(ひそっ)鏖魔はどう思う?」

鏖魔「………えっ?」

ブラキ「……なにニヤついてんだ?なんか良いことでもあったか?」ひそひそ…

鏖魔「……べ、べつに……」ボソボソ…



ガムート「(ティガ、寝てるな……)」チラッ

ガムート「(あんなに寝てて、授業全然わかってなくて……後で困るのはティガなんだからね!)」

ガムート「(……でも一応、教えられるように私はしっかり勉強しておこう……)」

ミツネ「………」

ミツネ「………ねぇ、いつになったら付き合うの?」ぼそっ

ガムート「ん??誰が?」

ミツネ「ガムちゃんとティガ君……」

ガムート「えっ!!//」ボボッ

ガムート「わっ、わかんないよ……!」

ミツネ「……冥ラギアさんの結婚式のときも花を貰ってたりさ、ガムちゃんの誕生日もケーキ作ってもらったりしてたよね?」

ガムート「うん……変な色のケーキね」

ミツネ「それって、僕的にはティガ君はガムちゃんを好きなんじゃないかなーーって思うんだけど」ひそっ

ガムート「!!……そ、そうかな!」

ガムート「……でも何も言ってこないよ……よく、雪山まで送ってってくれるけど……」

ミツネ「……ビンゴじゃん……」

ガムート「どういう意味!」


バルファルク「……僕もビンゴだと思うなぁ~!」ボソッ


ガムート&ミツネ「!」くるっ……

バルファルク「好きでもない子を、わざわざ送っていかないよ!」ニコニコ

ガムート「(ひそっ)キャーーーどうしよう聞かれてた!!」ドキドキ

ミツネ「………やっぱり君もそう思う?」

バルファルク「思う思う!……でもガムートちゃん、そんな風に決定的な言葉を言ってくれない男の、どこがいいの?」

ガムート「へ……な、なんだろう……見た目は怖いのに、実は優しいところもあって……」

バルファルク「そっかぁ、女の子はギャップに弱いもんね!」

ミツネ「…………」

バルファルク「僕も、こう見えて女の子を大事にするよ!ギャップじゃない?」

ガムート「え……でも彼女がたくさんいるじゃん」

バルファルク「いるよ!でも、一人の子と一緒にいるときはその子のことしか考えられない!その子が世界で一番好き」

ミツネ「(テキトー……)」

ガムート「まぁ……バルファルク君がそれでいいならいいんじゃない……」

バルファルク「…………♪」ニコニコ

バルファルク「……鏖魔くん。君も、女の子を大事にするかい?」

鏖魔「………えっ………」

鏖魔「し………しますよ………」

バルファルク「そっかぁ………」ニコニコ…

------数時間後・放課後、塔学校・会議室------



ガーグァ「……クコケェーーー!!雑魚科3組担任のガーグァです!」

ガーグァ「本日、クラスの生徒のフロギィが、同じく生徒のゲネポスにしっぺをしました!!」

一同「…………」

ガーグァ「軽い口ゲンカが原因のよーーーーです!!」

ガーグァ「しかしその後ゲネポスはデコピンで返したので、お互い様とゆーことで仲直りし、解決致しました!!」

ガーグァ「特に捕食行為やそれに準ずる行為にはあたらなかったので、軽い注意だけで済ませました!」

アカムトルム「……そうですね、しっぺとデコピンはギリギリ暴力行為にはあたりませんです。なので特に処置などは必要ないです」

ガーグァ「わかりましたーー!!」

アカム「はい、それでは……各クラスの報告は以上です。特に大きな問題は無さそうですが、どなたか他に何かございます?」

一同「…………」

アカム「無さそうですのでこれで会議を……」


バサッ、バサッ……ドスン!!


ダレン・モーラン「……うーーーーーーむ………誰かぬ………?」

ジエン・モーラン「………ぬーーーーーーん………おや……君は…………」


銀レウス「……お久しぶりです、ダレン校長にジエン教頭……!!」


リオレウス「(あれ……叔父さんだ……)」

アカム「おや……どうしたんです?銀リオレウス」

銀レウス「良かった、まだ会議中でしたか……突然ですが失礼致します、お知らせしたいことが!」

アカム「どうぞ」

銀レウス「初めて見掛けたのは昨日のパトロール中なのですが、今日特に注意をしていたところ、四体も見つけまして……」

銀レウス「……直接持ってくるという手段もありましたが、危険ですので……写真をお持ち致しました」ぺラッ

ウカムルバス「なんです……何の写真です?」

ダレン「………うーーーーーーむ……野良の………ドスイーオスだぬ………しかし、様子が……変だ………」

銀レウス「はい……」

リオレウス「…………?」

シャガル「…………?」

ジエン「………ぬーーーーーーん、これはまずいぬ…………」

銀レウス「はい……この野良ドスイーオスは、狂竜化しています!」

………ザワザワッ!!

シャガル「………なんだって…………?!」


アカム「………………」

アカム「……本当に狂竜化なんです?」

銀レウス「間違いないかと……!アカム副教頭、ご覧になってください」スッ

アカム「……………」パサ……

アカム「……………………」チラッ

シャガル「……!」ドキッ!

アカム「…………………」

アカム「………黒に近い紫の血液……表皮も、わずかに紫色を帯びている」

ウカム「………この禍々しさ……狂竜病を発病し狂竜化……そして死に至ったようです……」チラッ

シャガル「…………」

ウカム「………皆さん、写真を回しますから、順に見てください」スッ

リオレウス「話が変わるが今日は留学生が来るぞ~」

ラヴィエンテ「うーっす!」

                               ヽ`
                              ´
                               ´.

                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                    \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                       ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'                             ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;

  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
                ゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
                         ´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´            END

シャガル「はい………」パサッ……

リオレウス「…………」スッ…

グラビ「………」スッ…



シーーーーーーーン………



ガーグァ「…………」スッ

ウカム「…………」


一同「…………………」

シャガル「……………」

シャガル「(皆………私を見ている…………)」


銀レウス「…………」

アカム「………シャガル先生、つかぬ事をお聞きいたします……」

シャガル「!………は、はい…………」

アカム「………この野良ドスイーオスに………ウイルスを撒いた記憶は?」

シャガル「………ございません」

シャガル「有り得ません…………!」

アカム「………本当です?」

シャガル「………!」

シャガル「(語気が強い……まさか本当に私を疑っているのか……?!)」

シャガル「ええ、有り得ません!」

アカム「…………」

シャガル「………私は、確かに意図すればウイルスを撒くことは可能ですが………もう遥か昔よりその力は制御し、対象が野良であろうとウイルスを撒いたりは致しません……!」

シャガル「ウイルスによる狂竜病の発症が、どれほど生態系に影響を及ぼすかなど……!私が一番分かっていることです!」

シャガル「ましてや生徒たちにウイルスの脅威が襲いかかれば、どんな恐ろしいことが起きるか!……私はとうに理解しております!!」

アカム「…………そうです。あなたは理性持つ者………ウイルスの制御ができる存在です……」

アカム「ではあなたのお子さんは?……メインモンス科の………」

リオレウス「(ゴア・マガラ………)」

シャガル「こっ、子も同じであります!私がそうだったように、徹底してウイルスの制御を学ばせました」

シャガル「まだ幼体ではありますが………ウイルスの制御は完璧です」

ウカム「………………」

ダレン「……………」

ジエン「……………」

アカム「………明日は臨時休校にします」

アカム「全教員、防護マスク着用の上、全土地を調査致しましょう」

アカム「他にもウイルスに感染した個体がいるかもしれませんです」

シャガル「………」

アカム「シャガル先生………申し訳ございませんが、貴方のクラスの生徒に協力を願えませんです?」

シャガル「!……はい……矢文にて連絡し、協力を要請します……」

アカム「あと、レウス先生……そちらのクラスの古龍種の生徒にも、同じようにしていただけないです?」

リオレウス「は、はい……わかりました」

リオレウス「(クシャルダオラと、バルファルクか……)」

リオレウス「(古龍種は狂竜ウイルスに侵されることはないから……)」

アカム「それではシャガル先生」

アカム「………シャガル先生とお子さんは、自宅で待機していてください……」

シャガル「!!」

シャガル「……………」

シャガル「………はい………そのように………」

ジエン「………ぬーーーーーーーーーん………」

ジエン「………おかしな話だよぬーー………マガラの名を持つ生物は…………シャガル先生とその子しかいないはず………」

ジエン「………君たち以外のマガラが最後に確認されたのは………もう数十年前…………」

ジエン「………変だよぬーー………変だ………。狂竜ウイルスとはまた別の………未知の病原体かもぬぅ………」

ジエン「……じゃないと………説明がつかないよぬーーー………」

シャガル「………………」

------数時間後・夜、旧砂漠・ティガレックスの巣------



ティガ「……ババァーーーーーーー!!!!」

ティガ「♪……ババアの~~夜は~~短いンだ~~……♪」

ティガ「♪♪………早寝早起きで~~アーーーやべーー健康になっちゃうぅ~~♪」

ティガ「強烈ババアーーーーー!!!♪」
《『超クソババアのうた』詩・曲/ティガレックス》


黒ティガ「クソ野郎!!うっせーぞ!!!」ドンドン

ティガ「黙れ黒兄(くろにい)!!」

黒ティガ「てめー少しは歌上手くなれよ!!耳が腐る!」ドスドス

ティガ「おお?!腐ってんのは黒兄の感性だろーがバーーーカ!!」

黒ティガ「明日学校休みだとよ」ケロッ

ティガ「マジ?なんで?」ケロッ

黒ティガ「詳しくは知らねーけどとにかく臨時休校」

ティガ「へーーー超ラッキー誰と遊ぼう」

黒ティガ「俺はもう決まってるけどね」

ティガ「あ?うっぜーー!!早く別れろ!」

黒ティガ「別れない別れない!俺マジで風ベリオと結婚するから」

ティガ「ぷぷ!ケッコン!!無理無理!!!いつかフラれるわ、つーか明日フラれるわ」

黒ティガ「てめーも早く女作れよ~~モテナイ君」

ティガ「うっぜ!しね!」

黒ティガ「そーいえば黒ディアは彼氏できたぜ」

ティガ「ハァ?だからなんだよ!知らねーよ」

黒ティガ「その彼氏、誰だと思う!?ヒントは新入生」

ティガ「あーーーーバルバルクだろ」

黒ティガ「違うんだなーーーもう一人の鏖魔ってやつ」

ティガ「……えっ?鏖魔って……鏖魔ディアブロス……?!」

黒ティガ「そーーそーーー。見た目めっちゃ厳ついよなーー。でっけーの」

ティガ「ええーー……でもあいつ存在感がないっつーか……ダセぇっつーか………」

黒ティガ「話し方もさーコミュ障っつーの?オドオドしてたけどいっしょーけんめーに告ってた!」

ティガ「やるじゃん」

黒ティガ「デカイ花束ブワァって!!黒ディアは『キャア素敵!キュンキュン?』ってさ~~」

ティガ「へぇーー……んで無事に付き合うことになったんだ」

黒ティガ「そー」

ティガ「ふーん、まあ……お互いディアブロス種なんだし、いーんじゃね?」

黒ティガ「ってことで!元カノに先を越されてしまったティガちゃん!あなたも早く彼女作って、孤独な生活にサヨナラしなさいね~~」ドスドス……

ティガ「てめーー!別に孤独じゃねーし!孤独じゃねーーーーし!!」

------ほぼ同時刻、某所------



???「…………オストガロア……」

???「アマツマガツチ」

???「………ラオシャンロン……黒龍………」

???「…………………」

???「……どうでもいいけど………イビルジョー……ラージャン……」

???「みんな死んだ………」


???「………これは………本当に好機…………」

???「素敵な誕生日を迎えようね…………」

------ほぼ同時刻、森丘------



バサッ、バサッ……
ドスン……

青電主「…………今日は1日かけて新大陸を探したが……見つからなかった」

天眼「………そうか」

銀嶺「……私たちも旧大陸を隈なく探したけれど、同じく見つからなかったわ……」

青電主「………」

青電主「……そうか、ライゼクスは旧大陸には居なかったのか」

銀嶺「ええ」

青電主「……クソガキ……」

青電主「学校には近付くわけにはいかない……我々の動きを察されたら面倒だ」

天眼「………」

青電主「明日はまた別の土地を探そう。今日は解散だ、二人ともご苦労だったな」

銀嶺「あなたも、お疲れ様……。それじゃあ私たち、帰るわね」

青電主「……ああ」


ドス、ドス……

パタパタ……


青電主「…………」

青電主「…………そうか、旧大陸には………」

青電主「………居なかったのか…………そうか………」

------翌朝、密林・ライゼクスの巣------



ライゼクス「……朝は丁寧な歯磨き~……♪」シャゴシャゴ

ライゼクス「♪~~…♪♪………」シャゴシャゴ……

ライゼクス「……歯がつるつるになった」

ライゼクス「(……とりあえず、昨日はお父上に見つからなかった……今日も見つからないことを祈ろう……)」

ライゼクス「学校行くかァ……」ドス、ドス……


……バサッ、バサッ……


クシャル「!」

クシャル「………ライゼクス!」

ライゼクス「お?」

ライゼクス「あらクシャルさん……学校行くの?俺もそろそろ行くんだけど~……」

クシャル「……お前、今日は学校休みだぞ」

ライゼクス「はい?」

クシャル「矢文届かなかったのか?今日は古龍以外の生徒は休みだそうだ」

ライゼクス「あ、そーなの?でもなんで古龍は休みじゃねーの?」

クシャル「……さァ……詳しくはわからん。とにかく俺は学校へ行くが……」

クシャル「……なんだか胸騒ぎがする。今日はあまり外出をしないほうがいいかも知れない」

ライゼクス「………あ、そ」

クシャル「じゃあ俺は行く」バサッ、バサッ……

ライゼクス「矢文送られてたのか……俺への矢文は全部届かないようにしてるから……」

ライゼクス「不便よねェ」

いつも思うんだけど書き溜めてるの?
それともその場での思いつきで書き込んでる感じ?

------数十分後、塔学校・屋上(塔の頂)------



バルファルク「……君はキリンちゃんっていうの?……可愛いね……!!儚げで……そして可憐で!」

キリン「……ありがとう……?」

クシャル「…………」

バルファルク「そして君はナズチちゃん?君も可愛いね。目が大きくてさ……」

オオナズチ「あはは~ありがとう~~」

キリン「(顔は確かにかっこいいけど、変な人……)」

クシャル「……お前、やめないか。こんな時に不謹慎だ」

バルファルク「ごめん!……で、なんだっけ。キョーリュービョー?」

クシャル「……そうだ。狂竜病だ」

クシャル「先生の説明を聞いただろう、恐ろしい病……その感染者を探すんだ」

バルファルク「オーケー。クシャル君、僕と組もう」バサッ!

クシャル「…………」バサッ

バルファルク「じゃあね、カワイ子ちゃんたちー!!」ドシュンッ……

>>89書き溜めです。

------同時刻、未知の樹海・マガラの巣------



ゴマ「我を生みし偉大なる者よ………小生たちは、本当に自宅待機などで良いのでしょうか」

シャガル「…………」

ゴマ「………小生のことを、信じてくれますか?」

シャガル「ああ、当然だ。お前がウイルスを撒いてはいないことなど、言われなくともわかっている」

ゴマ「……安心致しました……」

ゴマ「でも……小生も、我を生みし偉大なる者のどちらもウイルスを撒いていないのに……どうして狂竜化したモンスターがいたのでしょう」

シャガル「……わからない。野良の者かもしれない」

ゴマ「……しかし……ジエン教頭の言うように、我々以外のマガラが最後に確認されたのは昔の話で……」

ゴマ「現在、マガラの名を持つ者は……小生と、我を生みし偉大なる者しかいないはずでは……?」

シャガル「……マガラの名を持つ者以外にも、狂竜ウイルスや……酷似した病原体を持つ生物がいるのかもしれない」

ゴマ「…………」

シャガル「いずれにせよ、他の教員や古龍たちが世界を探している。その結果、どういった事実が存在するのかを知るまでは……何もわからない」

ゴマ「…………一体………何が起きているのでしょうね………」

------数時間後、砂漠------



ドッパアッ!!

鏖魔「…………」ムク……


ドス、ドス、ドス………


鏖魔「…………」ドス、ドス……

鏖魔「…………」ピタッ

鏖魔「…………………サボテン」ボソッ

鏖魔「……………」ぐぐっ……

ガッ……ブチッ

鏖魔「…………」ムシャ、ムシャ………

鏖魔「………」ごくん

鏖魔「…………」ガツ、ガツ………



バルファルク「鏖魔くん」



鏖魔「!」くるっ

…………シーーーーーーン………

鏖魔「…………?」きょろきょろ………



バルファルク「鏖魔くん」



鏖魔「????」きょろきょろきょろ……


バルファルク「ふっふっ……上だよ、上」


鏖魔「!!」バッ!

バルファルク「……………」じーっ……

バルファルク「…………鏖魔くん」

鏖魔「……あっ………あの………」

バルファルク「…………」ストン

バルファルク「………君の彼女、可愛いね」

鏖魔「……………」

バルファルク「すごく可愛いよね」

鏖魔「あっ…………あげません………」

バルファルク「えー、残念だな!」ニコニコ

バルファルク「……黒ディアちゃんの、どこが好き?どうして付き合ったの?」ニコニコ

鏖魔「えっ……………エ………」

バルファルク「…………」ニコニコ

鏖魔「……えっと………か、可愛くて………」

バルファルク「そっかぁ」ニコニコ…

バルファルク「顔が好きなんだね。いいことだね!」ニコニコ

バルファルク「…………♪」ニコニコ

鏖魔「…………………」


クシャル「………バルファルク!」バサッ!

バルファルク「おっとーーークシャル君!」

クシャル「何をやっているんだお前。手分けして砂漠を捜査しようと言ったのはお前だろう」

クシャル「俺は北の全面を捜査したが、お前はどうなんだ」

バルファルク「サボってたとかじゃないよ!僕も、もう南側はとっくに捜査し終えたんだよ!」

鏖魔「…………」

バルファルク「クシャル君を待っている間、鏖魔くんを見つけたからおしゃべりしてたんだよ」

バルファルク「ねっ、鏖魔くん!」

鏖魔「えっ……あっ、はい………」

クシャル「…………」

クシャル「じゃあさっさと旧砂漠に行こう」バサッ

バルファルク「ラジャーでーーーっす」

バルファルク「鏖魔くん、またね!」シュドドド……

鏖魔「………………」



……キィィィィン………
……バサッバサッバサッ………

バルファルク「♪~~♪……」キィィン……

クシャル「………………」バサッ…

クシャル「お前、変わってるよ」バサッ、バサッ……

バルファルク「…………それ、最高の褒め言葉!」ニコニコ

------夜、密林・新ライゼクスの巣付近------



バサッ、バサッ……ドスン……

桜レイア「……ねぇ、ずっと密林にいるの?」

ライゼクス「………どうすっかなぁ。お父上が、森丘の巣を出るまでは間違いなく密林にいるけど……」

桜レイア「クスクスと離れてるの、やだな」

ライゼクス「うん。………でも、またいつかお父上が帰ってきたとき、同じように逃げても仕方ねェし……」

ライゼクス「このまま見つからない限り、ずっとここにいるかもしれない」

桜レイア「…………」

桜レイア「……そっかぁ……密林も、いいところだしね。今日行った離れ小島、楽しかった」

ライゼクス「俺も楽しかったよ」ナデナデ……

桜レイア「泊まっていきたいけど、帰る!今日は晩御飯作らなきゃ」

ライゼクス「俺にも今度食べさせてね?」

桜レイア「当たり前じゃん?じゃあ、また明日学校でねーー!」バサッ!

ライゼクス「気をつけてね!」ぶんぶん(手)


ライゼクス「……………」くるっ

ライゼクス「………」ドス、ドス……

ライゼクス「(お父上は……いつ俺の前からいなくなるだろう……)」ドス、ドス……

ライゼクス「(いつになったら、俺のことを忘れてくれるんだろう)」ドス、ドス……

ライゼクス「………………」ドス、ドス……

ライゼクス「………………!」ビクッ!!



青電主「…………………」



ライゼクス「お…………お父上………!」

ライゼクス「なっ……なんでここに…………!」

青電主「……………」スクッ

ライゼクス「…………」ゾク……

ドス、ドス……

青電主「………………」ドス、ドス……

ライゼクス「(ヤバイ……逃げよう!!)」バサッ!

……ガシッ!

ライゼクス「!!(くそ……尾を掴まれた……!)」

青電主「………」グイッ

ドズウウウゥン!!

ライゼクス「…………ぐ…………」

ライゼクス「(尾を引っ張られて……そのまま地面に叩きつけられた……)」

ライゼクス「………お父上……」ヨロッ

青電主「………ガキが」ドガッ!!

ライゼクス「うっ……!」

ライゼクス「…………ゲホ……」

青電主「逃げたらどうなるかわかっているな、と………言ったよな?」

ライゼクス「……………」

青電主「……何か言えクソガキが!!!!」ドガッ!

ライゼクス「ぐふっ………!………お父上……!」

ライゼクス「お父上……わかってくれよ………!……ゲホッ……」

青電主「…………」

ライゼクス「俺………嫌だよ………!」

ライゼクス「………なんでお父上……俺を探すんだよ!………俺のこと、まともに扱わねェのに………!」

ライゼクス「毎回、会うたびにこんな目に遭って、逃げるなっていうほうが無茶だろ………?!」

ライゼクス「わかってくれよ!」

青電主「……………」

青電主「…………」ドスッ!

ライゼクス「っ!!………ゲホッ………」

青電主「………」ぐいっ

ライゼクス「う゛………」メキメキ……

青電主「……此の期に及んで、口ごたえか」メキメキ……

ライゼクス「………!」メキッ……

青電主「えェ?……息子よ」メキメキ……

青電主「………ハハハ………お前は本当に愚か者だ」

青電主「ただ俺に頭を掴まれ……そして宙に浮いているだけで、言葉を発せなくなるほど脆弱な身体であるのに」

青電主「…………………なぜ俺がお前の心を理解しなくちゃならねェ!!なぜ俺がお前の意思を聞かなくちゃならねェんだ!!!!??」メキメキ

ライゼクス「あ゛………(やば……マジで殺される……)」

青電主「あぁ………不愉快だ。お前は選ばれた子なのに」メキメキ……

ライゼクス「……………?」

青電主「……………」ブン!

ズザァァァアァアアアアーーーーーーッ!!!

ライゼクス「……!!!」ズザァァァ……

ドゴオオォォン……

ライゼクス「う……(くそ……放り投げられた勢いで頭打っちまった……)」

ドス、ドス………

青電主「……………」ドス、ドス……

ライゼクス「…………」ポタポタ……

ライゼクス「………(血だ……俺の血……)」ポタポタ

青電主「…………なぁ、ライゼクス?」

ライゼクス「………」

青電主「……………生まれた理由を…………考えたことがあるか…………?」

ライゼクス「…………?」

ライゼクス「………そういうワケのわかんねぇこと言われても……………俺、困るから」

青電主「…………じきに解る」グアッ!

ドズゥン!!

ライゼクス「………!」クラッ



青電主「……お前がどんなに愚者だろうとな」


…………ドサッ…………

------同時刻、塔学校・校長室(古塔近くの砂丘)------



ダレン「………うーーーーーーーむ………」

ダレン「………そうか…………ウイルス感染した個体は…………14体も見つかったのか…………」

ジエン「………ぬーーーーん……おおごとだ………思った以上の数だぬ…………」

アカム「………はい」

アカム「狂竜化個体からサンプルを取り、本当に狂竜ウイルスなのかを検査しましたが……間違いありませんです」

ウカム「………………」

ダレン「…………ウイルスの………感染源となっているモンスターは…………何かいたかぬ……?」

アカム「……いえ、いませんです。世界各地を捜索して……見つかったのは、感染したモンスターのみです」

ウカム「当然ながら、あの二人以外のマガラもいなかったです」

ダレン「……………」

ジエン「………ぬーーーーん……なら………尚更、疑いが強まったぬ………」

一同「…………」

アカム「……如何致すのです?今後は……」

アカム「今後また、狂竜ウイルスによる被害が起こらないとは言い切れませんです」

ダレン「……そうだぬ…………」

ジエン「………仕方あるまい。あの二人に………」

ジエン「……故郷に帰って……もらうとするかぬ………」

アカム「と、言うと……」

ジエン「………禁足地への追放処分………と……いうことで……」

ジエン「……どうかぬ、兄弟………いや、校長」

ダレン「うーーーーーーーーーむ………」

ダレン「……………残念だ………実に、残念………」

ダレン「心苦しいが………この状況から察するに………感染源はあの二人しか有り得まい………」

アカム「……………」

ウカム「……………」


ダレン「……決定だぬ…………シャガルマガラとゴア・マガラを…………追放処分と……いうことにするかぬ………」

------同時刻、未知の樹海・冥ラギア家------



ラギア「ファー、ファーもファーファン!ほへファーほひファーファーん!(やー、どーもすいません!俺までご馳走に!)」もがもが……

大ティガ「いいのよー、たまにはみんなで食べようよ!」

ティガ「フェーふぁんのめひ、ひふひうファー(姉ちゃんの飯、実にうまい)」もがもが…

子ラギア「ラギア兄ーー」ペタペタ

ラギア「フォー(おー)」ごくん

ラギア「お前マジででっかくなったなー!最大金冠行くんじゃね?」

冥ラギア「はっはっはっ、だといいけどね~~!」

ティガ「冥のアニキよりでかくなったりして」

大ティガ「そういえば、ライゼクス君は?」

ティガ「知らね。連絡取れないし……多分桜と1日どっか行ってるだろ」

ラギア「リア充はうぜーよな!」

ティガ「お前はなんでキリンと遊ばねーんだよ」もぐもぐ

ラギア「キリンちゃんは登校日でーーす」もぐもぐ…

冥ラギア「どうして?」

ラギア「俺もよくわかんねけどー、古龍は登校らしい!あのクソったれファルファルクも一緒だぜ」

ティガ「あー、アイツ古龍だったっけ」

ラギア「……ふん!!キリンちゃん、ファルファルクのことイケメンとか言うし……仲良くやればいいよ!」もぐもぐ

大ティガ「ふふ……」

ラギア「なんで笑ってんすか?!」

大ティガ「ごめんごめん、若いなって思って……」くすくす

ティガ「ババア」ぼそっ

大ティガ「…………」ギチチ……(ヘッドロック)

ティガ「ギブギブギブ!!!」ジタバタ

冥ラギア「………ところでね。いい機会だから君たちに聞きたいんだけど……」

ティガ&ラギア「?」もぐもぐ…

冥ラギア「……ディノ君のこと、どう思ってる?」

ラギア「ハァ?ディノバルドぉ?」

ティガ「学校辞めた奴って思ってる!」

冥ラギア「うん、そうだね。学校を辞めてしまって……それについてはどう思ってる?」

ティガ「どうって……んーー、もったいねーなって」

冥ラギア「もったいない?」

ティガ「せっかく学校入ったんだから、自主退学なんかしないで卒業すればいーのにーーって思うよ」

ラギア「そもそもイビルジョー達と関わって、キリンちゃんとかクシャルに迷惑かけたからっつーのを気にして辞めたんだろ?」

冥ラギア「うん、そうなんだ。……あと、ハンターにティガ君やミツネ君のことをリークするための橋渡しをしてしまったことも、気にしているよ」

ティガ「あーそういやあったなそんなこと」

ティガ「ディノのせいじゃねェだろ。俺はべつに気にしてないね」

ラギア「あぁ。キリンちゃんもクシャルもさぁ、もう許したことだからいいよーって言ってたんだぜ、本人に」

冥ラギア「……そっか。僕も、学校を辞めたのはもったいないと思う」

冥ラギア「でも彼は、頑なに学校に戻ろうとしない……みんなはディノ君を許しているけれど、ディノ君を一番許していないのはディノ君自身だと思う」

冥ラギア「ディノ君は……時々、学校にいた頃の話をしてくれる。ティガ君たちがいつも楽しそうだったとか、レウス先生の授業はわかりやすかったとか……」

冥ラギア「…………だから本心では、学校に戻りたいっていう気持ちがあるんじゃないかなって思うんだよ」

ティガ「…………あいつが学校いた頃も、別に俺はちっとも仲良くなかったけど……でも、クラスメイトがいなくなるっつーのは、ふつーにさみしいよ」

ラギア「わかるわー」もぐもぐ…

ティガ「まぁさ、周りがどんだけ言っても学校戻ってこねぇんだから、あんまり戻れ戻れ言うのもカワイソーじゃね?」

冥ラギア「……そうだね。僕ももう、あまりとやかく言うのはやめようかな。……お節介になっちゃうよね」

ラギア「戻ってきたくなったら、そのうち再試験受けてまた入学してくるだろーしな!」

------同時刻、砂漠------



ドス、ドス……

ドス、ドス………

鏖魔「………………」

黒ディア「………………」

鏖魔「……………」

黒ディア「…………ねえ」

鏖魔「?」

黒ディア「……私のどこがいいの………?」

鏖魔「……え…………」

黒ディア「一目惚れって……本当?本当に、初めて私を見て、そこから………?」

鏖魔「は………はい…………」

鏖魔「君は…………僕の母に似てるんだ………」

黒ディア「お母さん………?」

鏖魔「声とか………目とか………似てるんだ」

黒ディア「そうなんだ………」

鏖魔「初めて君を見て………驚いた。あまりにも似ているから」

鏖魔「僕の母も、君と同じ……繁殖期とか関係なく、一年中表皮が黒い個体で………」

鏖魔「………そっくりだ」

黒ディア「鏖魔くんのお母さんは、今どうしてるの?」

鏖魔「うん………僕がまだ幼いときに、亡くなったよ…………」

黒ディア「…………」

鏖魔「…………」スッ

黒ディア「(!……なに、急に触ってきて……)」ドキドキ…

鏖魔「…………」さっ

黒ディア「(……手、下げちゃった……な、なにもしないのね……)」ドキドキ……

鏖魔「僕……黒ディアさんと付き合えて良かったです………」

黒ディア「!//」ボッ

黒ディア「う、うん……私も……花束嬉しかった……」

鏖魔「…………」

黒ディア「これから、よろしくね……」

鏖魔「………はい………」

黒ディア「じゃあ、私こっちだから……今日はありがとう。楽しかった」ドス、ドス……

鏖魔「……あっ……ぼ、僕も…………」


鏖魔「…………」

鏖魔「………………」



バルファルク「…………………鏖魔くーーーーーーーーん…………」



鏖魔「!!」くるっ!

バルファルク「………」

バルファルク「……ふっふ………君、マザコンなの?」

鏖魔「…………」

バルファルク「……ちょっとマズいんじゃない?彼女に母君の影を重ねたらさぁ……」

バルファルク「『私は所詮、お母さんの代わりなのね』って……悲しむんじゃないかな」

鏖魔「…………………」

バルファルク「さっきもさ………彼女に触れておいて、なーーーんにもしないのーー?」

鏖魔「………」

バルファルク「あーあ……なんで触れたのかなぁ……黒ディアちゃん、期待しちゃってたりして………」くすくす…

バルファルク「女の子を大切にするんじゃなかったの……?ダメだよ、それじゃあ……」

鏖魔「…………」

バルファルク「………………」ニコッ!

バルファルク「黒ディアちゃんは、君の母君とそっくりなんだね」

鏖魔「………………」

バルファルク「……ああ………ならば君の母君は、さぞかし美しかったんだろうね」

鏖魔「………」

バルファルク「もったいない……亡くなってるなんて………」

鏖魔「………」

バルファルク「今夜は……君の母君に向けて、鎮魂の歌でも歌おうかな?」ニコニコ……

鏖魔「……お……お好きにどうぞ………」

------数時間後、深夜・灼熱の地------



???「…………また随分ハデにやりましたね」

青電主「……………」

???「まだもうちょっと待ってもらわないと、困る。まだ少し早いですよ」

青電主「……ああ分かっている。今日は前座としてここへ来た」

青電主「……『誕生日』が……近いものな………」

???「……そうそう。誕生日がね……」


???「………大丈夫ですか?息子さん、死んじゃってるんじゃないですか」

青電主「………死んではいない」

???「ならいいですけど……それにしても、ひどいな。顔が血まみれになってますよ………」



ライゼクス「…………………」

ライゼクス「(………俺は…………?)」

ライゼクス「(………目が開かねェ………頭だけ起きてて、身体は寝てるみてェだ……)」

ライゼクス「(ここはどこだ…………暑い……火山か……?)」

ライゼクス「(こんな暑い土地には来たことがねぇな……)」



青電主「……マヌケな面だ。見ていて腹が立つ」

???「ハハ!!自分の息子じゃないですか」

青電主「もうすぐ息子ではなくなる」

???「あんたが息子をどうしようが勝手ですけど……殺すのはダメですよ。まだ、ダメだ」

青電主「わかっている」

???「僕は帰ろうかな。今日は疲れてて」

青電主「そうか」

???「じゃ、さようなら」

青電主「……………」



ライゼクス「(お父上の声………誰かと話している………?)」

ライゼクス「(…………空耳かもしれない)」

ライゼクス「(でも………お父上の声と、もう一人の声は………聞いたことがあるような気がする……)」

ライゼクス「(誰の声だ………クソ、目が開かねぇ………身体が起きねぇ。どうしたんだ俺)」

ライゼクス「…………」

ライゼクス「(……ボーッとする……)」


ドス……ドス……ドス……


青電主「…………」ドス……ドス……

ライゼクス「……………」

青電主「ああ、胸糞が悪い。なんて愚かな顔をしているんだ」

青電主「……………起きろ!!!!!」ドゴォッ

ライゼクス「!!!…………ぐふっ」ガバッ

ライゼクス「う゛……っ………」

ライゼクス「(………蹴りは効く………でも、起きられた……)」

ライゼクス「はは………」

青電主「……うずくまるな、笑うな。不愉快だ」グイッ

青電主「俺の顔を見ろ、ライゼクス」

ライゼクス「……………」

青電主「ハハハ……なんつぅ顔だ」

青電主「バカみてぇだ!!!!!」

ライゼクス「…………」

青電主「…………」

ライゼクス「………お父上…………」

青電主「……まったくとんだ計算違いだ」

青電主「お前が選ばれた子だと思って仕方なく会いに来れば……俺の言うことは聞かねェ、頭は悪い、力は弱い!!」

青電主「最悪だ」

ライゼクス「…………」

ライゼクス「(なんだよ……選ばれた子って……)」

青電主「いいか、お前は選ばれたんだ」

青電主「自然の摂理に選ばれた、特別な子だ」

ライゼクス「………知らねェよそんなこと……」ボソッ

青電主「………あァ?」

青電主「おい、なんだその口の聞き方は」

青電主「…………」ギロ………

青電主「………まず卵としてこの世に生まれた時、お前には兄弟がいた」

ライゼクス「…………?」

青電主「だが、まァ……ものの見事に、ニンゲンのハンターに奪われた」

青電主「俺は、卵を盗んでいくニンゲンをずっと見ていた」

青電主「卵が……子が盗まれても、どうでも良かったんだ」

青電主「最後に一つ残った時、俺は諦めた」

青電主「全部盗まれてしまったら、また作ればいい、とな」

ライゼクス「……………」

青電主「しかし最後の一つは、いつまで経っても盗まれなかった……既にお前の兄弟たちだけで、ハンターの希望する数に至っていたのだ」

青電主「最後まで盗まれることなく、無事に産まれたのがお前だ」

ライゼクス「………………」

青電主「……わかったろう、お前が選ばれた子だということが」

ライゼクス「………俺のきょうだい……」

青電主「あァ。孵化することもなく……そうだな、ハハハ!!……………オムレツにでもなったろうな」

ライゼクス「………母親は………?俺の母親………」

青電主「知らん」

ライゼクス「………」

青電主「どんな奴だったかなど覚えちゃいない。その辺の……野良の女だったような気がする」

ライゼクス「……………」

青電主「どうでもいい……俺の子や、俺の子を産んだ女がどうなろうがどうでもいいんだ」

ライゼクス「……じゃあどうして俺を探したの……」

青電主「……………」



”ライゼクス、君を探してる人だ。君のお父さんじゃないのか?”

”……俺のお父さん……?”


”銀パパ……これ俺のお父さんなの……?”



”………気安く呼ぶな、俺のことはお父上と呼ぶんだ”



青電主「…………全く………銀リオレウスのお陰で、こんな腑抜けた野郎に育っちまった」

ライゼクス「…………」

青電主「お前は本当に俺の子なのか?!……いや、俺の子だ、間違いないんだそれは………………」ブツブツ………

青電主「………クソ野郎!!!塔学校なんかに入りやがって、ムダな理性を学び……」

青電主「ヘラヘラと生き、バカな交友関係を広げて………己の生に疑問を持つこともない!!!!」

ライゼクス「…………………」

青電主「なあライゼクス、お前はライゼクスだろう………?ライゼクス種ってのはこう……もっと……」

青電主「………兇暴で残忍な筈だろう?!!!」

ライゼクス「(………そんなこと言われてもねェ………)」

青電主「お前はライゼクス、ライゼクスだ………兇暴だ!!!!」

青電主「思い出せ!!!己の生態を!!!!!」

ライゼクス「…………………」

ライゼクス「………思い出すも何も……俺、最初っからこんなんだし………俺はお父上とは違って変なのかも知れねェけど……そんなのどうでもいいよ」

青電主「………お前は選ばれた存在だぞ!!!そんな……ライゼクス種らしからぬ生態でどうするんだ!!!??」

ライゼクス「……そんなん知らねぇし……選ばれた、とか言われても困る……」

ライゼクス「お父上がちゃんと育てれば、お父上の思うような男に成長してたんじゃねぇの?」

青電主「……なんで俺がお前を育てなくちゃならねェんだ」

ライゼクス「……………………」

青電主「いいか。俺は子供なんかどうでもいいんだ。しかし子供を作らなきゃならなかった」

青電主「多くの卵の中から優秀な子を見つけ、一定の年齢まで成長させておく必要があったから……仕方なく子供を作ったんだ」

ライゼクス「………………」

青電主「………見せてやろう」ドス、ドス……

ライゼクス「……………」ドス……ドス………

ライゼクス「(なんなんだ………つーかここ、マジで何処だよ……)」

ライゼクス「(暑いな……火と溶岩に包まれた場所………)」ドス、ドス……

青電主「………ここだ。見ろ」

ライゼクス「………なんもねェじゃん」

青電主「もっと覗き込め」グググ………

ライゼクス「………………」じっ……

ライゼクス「………(ただの溶岩……)」


ゴォ……ゴォ……………


ライゼクス「(……?……溶岩の渦の中に…………何か…………?)」


………ゴォ………ゴォ………
……………………ゴゴッ……


ライゼクス「………………!!!!」ドキッ!!

ライゼクス「………あ……………」ガクガク……

青電主「…………見えたか、愚かな息子よ」

ライゼクス「(なに……………なんだ今のは………!)」ガクガク…

青電主「お前はこのために生まれたんだ」

青電主「……なのに…なのにただ理性を付けただけの、マヌケな男になっちまったんだ」

ライゼクス「……………」ガクガク…

青電主「お前は怪物だ!!!兇暴性を忘れるな!!!!」

青電主「そして俺に貢献しろ!!!!」



ライゼクス「(………怪物………)」

ライゼクス「(………あァ俺は……怪物なのかなぁ……)」

ライゼクス「(こんな父親の血が分けられていて………)」

ライゼクス「(俺は……少し知恵を付けただけの、ただの怪物なのかな………)」


青電主「忘れるなよ………!お前は怪物なんだからな!!!!」

一旦止めます。
覗いてくださった方、レスをくださった方、ありがとうございました。

------翌日早朝、某所------



???「………もうすぐだ………もうすぐ…………」ブツブツ…

???「……やり直そう………」

???「……♪……♪♪~~~♪」ブツブツ…



???「……やっと………」

???「……『ふつう』になれるね……………」

???「……ハッピ………トゥ……ユー……♪」

???「~♪…♪……♪♪~」ぶつぶつ……


???「……………………」

------数時間後、朝方・森丘、泉------



桜レイア「むふふ………」パシャパシャ

桜レイア「(……こーーんなに良い泉が近くにあるなんて……ラッキーだよねぇ)」パシャパシャ

桜レイア「(朝、学校行く前に浴びるのがすっかり日課になっちゃった)」パシャパシャ……

桜レイア「……ふ……今日クスクスに会って……」

桜レイア「………『桜ちん、また清くなった?!』とか言われちゃうかもーーー!!キャハハハハハハ!!!!」


バサッ…バサッ……


桜レイア「!」

桜レイア「(翼の音だ……誰か、この泉を狙って……?!)」

桜レイア「(何よ……ウザっ!!この泉はあたしとクスクスのオアシスなんだからね!!)」

桜レイア「……………」じーーーーっ……


ドスン!

……ドス、ドス……


桜レイア「………あっ!」

ライゼクス「……………」ドス、ドス……

桜レイア「クスクスー!!」バシャバシャ……

ライゼクス「…………」

桜レイア「クスクス、おはよーっ」

ライゼクス「…………」

桜レイア「どーしたのー?!迎えに来てくれたの?」

桜レイア「学校行くんだよね!でもクスクスもちょっと泉に入ってく?」

ライゼクス「…………」

桜レイア「?…………もークスクス、なんで黙ってんのーーー?」ぐいっ

ライゼクス「…………」バッ!

桜レイア「……え?」

桜レイア「(いま……あたしの手、振り払った……?)」

桜レイア「ちょ……え?なに?」

ライゼクス「………悪ぃ……触んないで………」

桜レイア「……は?」

ライゼクス「……あのさァ………」

桜レイア「………?」

ライゼクス「……………別れようぜ」

桜レイア「……………はぁ?!いっ……今なんて……?」

ライゼクス「別れようぜ」

ライゼクス「………つーか……別れてほしい……っつーーか……」

桜レイア「な……なんで………?あっ、あたし何かした……?」

桜レイア「えっ……意味わかんないんだけど……え?」

ライゼクス「………意味わかんなくねーだろ」

桜レイア「!」びくっ

桜レイア「……クスクス……どうしちゃったの……」

桜レイア「なに………他に好きな子でもできたの………?」

ライゼクス「……あーまァ、そんな感じ」

桜レイア「……………」

ライゼクス「……とにかく別れたいんだけど」

桜レイア「や……やだ………」

ライゼクス「………………」

桜レイア「いっ意味わかんない……やだ………なんでそんなこと言うの………」

ライゼクス「………なに、泣くの?」

桜レイア「!!………クスクス……嘘だよね?!」ポロポロ

ライゼクス「…………」

桜レイア「嫌だから………!!絶対!!別れないから!!!!」

ライゼクス「………はぁ………………」

ライゼクス「……こんなに聞き分け悪かったっけ?」

桜レイア「悪いよ!!悪くなるに決まってんじゃん!!いきなりなんなの?!」

桜レイア「昨日まで普通だったのに!!」

ライゼクス「昨日と今日はちげぇだろ………」

桜レイア「意味不明っ!!意味わかんない!!」

ライゼクス「喚くなよ………別れたいって言ってんのに………」

桜レイア「あたしが言うこと聞かないの知ってるでしょ!!!」

ライゼクス「あァ……ワガママだもんなぁ」

ライゼクス「ホント……嫌だ」

桜レイア「ねぇ、クスクス……嘘だよね?!なにか理由があるんだよね?!」

桜レイア「………ねぇ!!そうでしょ?!」スッ

ライゼクス「…………」バチチッ……

桜レイア「………………なんで……帯電してんの……?」

桜レイア「あ、あたしが雷ダメなの知ってるよね………?」

ライゼクス「知ってるよ」

桜レイア「じゃあなんで帯電してんの……?近づけないよ………」

ライゼクス「近づけないようにだよ」

桜レイア「……………」

ライゼクス「………俺の気持ちわかってくれねーかなぁ。別れたいんだよ」

桜レイア「……なんで………」

ライゼクス「……なんでなんでって………わかるだろ?!!別れたいから言ってんだよ!!離れたいから言ってんの!!!」バチバチバチッ

桜レイア「……グスッ………嘘………」ポロポロ…

桜レイア「嘘だよぉ………クスクス………」ポロポロ

ライゼクス「嘘じゃねぇから」

ライゼクス「………じゃ、さよなら」バサッ……

バサッバサッバサッ……



桜レイア「……ひっく………ぐすん……」ボロボロ

桜レイア「……………」ボロボロ

------ほぼ同時刻、砂原・ディアブロスの巣------



黒ディア「………よし、準備完了………」

黒ディア「(鏖魔くんへのお弁当も上手くできたし、喜んでもらえるといいな……)」

黒ディア「(…………鏖魔くん、大人しいけど優しいし、いい人だよね……)」

黒ディア「さて……出発するか……」

ドス、ドス………


…………シュドドドド………
バサッ!!!


黒ディア「?!」くるっ

バルファルク「……………おはよう!黒ディアちゃん!!」

黒ディア「……………(例の新入生……)」

バルファルク「僕のこと知ってる?知ってるよね!!初めまして!」ニコニコ……

黒ディア「………はあ………」

バルファルク「……鏖魔くんと僕、どっちがかっこいいと思う?」

黒ディア「はい??」

バルファルク「鏖魔くんよりも、僕と付き合ったほうがいいと思うんだけど………」

黒ディア「…………なに、急に」

バルファルク「僕のほうが、黒ディアちゃんを幸せにできるよ!!」

バルファルク「僕にしなよ」

黒ディア「………いや、興味ないけど……」

バルファルク「うっそーー。なにそれ!」

バルファルク「でもさぁ、なーんにも知らないでしょ?鏖魔くんのこと」

黒ディア「……………」

バルファルク「いいの?そんなんで」

バルファルク「怖くない?」

黒ディア「………余計なお世話ですけど」

バルファルク「あらら!結構冷たいね」バサッ

バルファルク「鏖魔くんと何かあったら、絶対僕のとこに来てよね!」シュドドドド……

キィィィィィィン………


黒ディア「………行っちゃったし」

黒ディア「……変なヤツ………嫌だ、あーいう男子」

黒ディア「まったくもう……」ブツブツ

------更に数時間後、塔学校・メインモンス科------



ティガ「あーー今日も学校休みだったら4連休なのに!!」

ラギア「だりぃよなーー今日は普通に登校なんてよ」

ガムート「まあでも、今日頑張れば二日間はお休みだから……」

ミツネ「今日1日くらいあっという間だよ」

ラギア「はいー出ましたーー真面目くーーーん」

ティガ「つーーか、ライゼクスおっせェなーーー」

ラギア「あいつバカだから今日も休みだと思ってんじゃね?」

ティガ「確かに!!!ギャハハ!!!」

ガムート「そういえば、今朝桜ちゃんから矢文が来てね」

ガムート「話があるから、放課後巣に来て欲しいって……」

ミツネ「あ、そうなの?そういえば白ちゃんも言ってたなぁ」

ミツネ「白ちゃんのとこにも、桜レイアさんから巣に来てくれって矢文が来たんだって」

ラギア「なんだなんだ?ジョシカイってやつか?」

ティガ「……何かのインボウか?怪しいぞ」

ガムート「それはないと思うけど……」

ラギア「どーせ、ライゼクスに渡すプレゼントどうしよーキャー★みたいな話だろ」

ティガ「ちげぇねぇ!!次のデートどこ行こうーキャー★とかな!」

ガムート「んーでも、わざわざ矢文までくれるなんて珍しいなぁ……なんかあったのかなー?」

ミツネ「白ちゃんも珍しがってたよ。なんだろうね、学校終わったらすぐ行ってみなよ」

ガムート「うん、そうする!」



キーンコーン……

リオレウス「おーい席つけーーチャイム鳴ってんぞー」ガラッ

ティガ「なんだよ、ライゼクスやっぱ今日も休みって勘違いしてんじゃねーのか」

ラギア「バカだなーー!」


リオレウス「えーと。出席とる前に話すことがある」

ティガ「(なんだ……またテストか……?)」ゾワッ

リオレウス「………ライゼクスのことなんだが」

リオレウス「………………」

リオレウス「今日付けで退学となった」

一同「!!」ざわっ!

ティガ「………は?」

ラギア「………あ?」

ガムート「うそ………」

ミツネ「……………?」

ザワザワ……ひそひそ……

ティガ「……え、先生なにいってんの……?」

ラギア「いま退学って言った?」

リオレウス「ああ、言った。………退学だ」

リオレウス「とは言っても、強制ではなく自主退学だから……追放処分はナシな」

ティガ「いやいやそこじゃなくてさ」

ラギア「どーーゆーーーことっすか?!いきなり退学ってなんだよ!」

リオレウス「俺もわからん!」

リオレウス「………朝方、ライゼクスが直々に学校にきて退学届を提出したんだ」

ティガ「なんだよ!理由は?!」

リオレウス「ただひたすら、『学校に通う必要がなくなったから』と繰り返していた」

ラギア「はーーー?!理由になってねーよ!!!」

ミツネ「………本当に辞めちゃったんですか?」

リオレウス「間違いない。事実だ」

リオレウス「俺も正直、混乱している」

リオレウス「だが校長たちと話してもらって……許可も下りたんだ。申し訳ないが俺に引き止める権利はない」

ティガ「……んだよ………ウソだろ……?」

ガムート「……………」

リオレウス「……納得いかないだろうが、ライゼクスに直接会って聞いてみるしかない」

リオレウス「授業を始める。プリント配るから回せよ」スッ


バルファルク「…………………」

鏖魔「…………………」


ガムート「……桜ちゃんはこのこと知ってるのかな………」

ミツネ「さぁ………聞いてみないとわかんないよね」


ティガ「………ライゼクス………なんでだよ……」

ラギア「辞めるにしても、俺らになんか一言あってもいいじゃん………」

ティガ「(ひそっ)……ラギア、授業抜けようぜ」ガタッ

ラギア「(ひそっ)おぉ。……ライゼクスんとこ行こう」ガタッ

ドスドスドス……

ガムート「あっ、ちょっと……どこ行くの?!」

ミツネ「………(ライゼクス君のところかな……)」


リオレウス「………ほっとけ」

------約一時間後、密林・新ライゼクスの巣付近------



ドスドスドスドスドス…………


ティガ&ラギア「…………ライゼクス!!!!」ドスドス……

ライゼクス「…………」くるっ

ライゼクス「……………」じっ

ティガ「ライゼクスてめー!!どーいうことだよ!!」

ラギア「学校辞めたとかマジで言ってんの?!」

ライゼクス「……………」

ライゼクス「………なんで俺の巣わかったの?」

ティガ「あァ?!矢文アイルー脅して聞き出したんだよ!!!」

ライゼクス「…………バカじゃねーの」

ラギア「バカはお前だろ!なにいきなり学校辞めてんだ?!!」

ライゼクス「通う必要がなくなったから」

ティガ「理由になんねェだろ?!第一、なんで俺らになんも言わねーんだ!」

ライゼクス「…………はぁ?」

ライゼクス「なんでお前らにいちいち言わなきゃなんねーんだよ」

ラギア「………てめぇ……それはどういう意味だ」

ライゼクス「いちいち言う必要ねぇだろ、って意味」

ティガ「おい、ふざけてんのか?」

ライゼクス「……………」

ティガ「本気でそんなこと思ってんの?」

ライゼクス「……ふはっ、思ってるから言ってんだぜ」

ライゼクス「わかれよ、それくらい」

ラギア「………いや納得できねェな。悪いけど、こういう重要なことは友達に話すべきなんじゃねーの」

ライゼクス「…………」

ティガ「いきなり、学校辞めました~で、はいそうですか~ってわけにいかねぇだろうが」

ライゼクス「……………あのさァ……さっきからなに言ってんの?」

ライゼクス「なんで俺が学校辞めたくらいで騒いでんの?お前らまでもが辞めなきゃいけなくなったとかでもねぇしよ」

ライゼクス「俺のほうこそ納得できねェな。一体なんのつもりで俺を責めてんだ」

ラギア「………友達にいきなり学校辞められたら、戸惑うってことくらいわかんねぇのかよ」

ライゼクス「わかんねぇな」

ティガ「てめぇ!!!」グアッ!!

ライゼクス「…………」

ティガ「……………」プルプル

ライゼクス「………なんだよ、殴ればいいだろ」

ティガ「………クソが………」プルプル

ライゼクス「言っとくけど、俺はお前のこと殴れるぜ」グアッ!

………ドゴォン!!!!

ティガ「!!」ドサッ

ラギア「……おいおい………なにやってんだよ」

ライゼクス「殴られそうになったから殴り返した」

ラギア「バカか……?!」

ティガ「やりやがったな!!!」ドドド……ガバッ!

ライゼクス「!」バサッ!

ラギア「!(飛んでかわした!)」

ライゼクス「…………」バチチッ……

………ズドオォォォン!!

ティガ「う………!!」バチバチ……

ティガ「…………雷使いやがったな」

ライゼクス「………………」バチバチ……

ラギア「………やり過ぎだろ?!」

ティガ「おめぇおかしいぞ!!どうしちまったんだよ、一体!!」

ライゼクス「……」

ティガ「アレか?!怖ぇ親父に脅されてんのか?!」

ライゼクス「…………なにそれ」

ライゼクス「自分に都合のいいように解釈すんなよ」

ラギア「……じゃあ本当にお前の意思で学校辞めたのかよ」

ライゼクス「何回言わせんの?そうだよ」

ラギア「……………」

ティガ「……………」

ティガ「……目ェ覚ませよ、ライゼクス!!!!」グワァッ………

ラギア「ティガやめろ、また雷使うぞ?!」

ライゼクス「……………」グサッ!

ティガ「?!」グワァァ……

ティガ「(宙に浮いたまま、尾を地面に突き刺した………?)」

ライゼクス「……………」ジジッ


………バチバチバチバチバチッ!!!………


ティガ「うお………(なんだよ……一気に……)」グラッ

ティガ「(雷の衝撃波みてぇなの出しやがって………)」ドサッ

ティガ「ぐ………」ガクガク……

ライゼクス「………だせェ」バサッ…

ラギア「おい……何やってんだよ!!!」

ラギア「……ティガが雷に弱ぇの知ってるだろ………?!本気で雷使うなんて、頭イカれたんじゃねーのか?!!!」

ラギア「ティガ、大丈夫か?!」ユサユサ……

ティガ「……あ゛ーーー正直効いた……まだ痺れてやがる……」ガクガク

ラギア「お前、自分が何したかわかってんのかよ!!!」

ライゼクス「当たり前だろ」

ライゼクス「………敵手に攻撃しただけだぜ」

ティガ「…………敵かよ、俺らは……」

ラギア「ライゼクス……」


ライゼクス「……じゃーーな」バサッ

ライゼクス「もう今後、二度と会うことはねぇだろうよ……」バサッ、バサッ……

ラギア「……………………」

ティガ「…………………」

------数時間後、昼休み・塔学校、屋上------



鏖魔「…………………」もぐもぐ

黒ディア「……………」しゃくしゃく

黒ディア「……………美味しい?サボテンのお弁当………」

鏖魔「…………うん、美味しいです……」

鏖魔「僕が食べたことないサボテンだと思う……水分が多くて、食べやすいし味も美味しい………」

黒ディア「よかった…………//」

鏖魔「…………」ペコッ

鏖魔「………………」じーっ……

黒ディア「………?」

黒ディア「(私のことじっと見てる……)」

鏖魔「…………」スッ

黒ディア「!!」

黒ディア「(また、触れてきた……な、なんだろう、なにするんだろう……)」ドキドキ……

鏖魔「…………」サッ

黒ディア「(やっぱり何もしないのね………)」

黒ディア「………今日、桜、休みなの………」

鏖魔「……さくら………お友達の、リオレイア亜種さん………?」

黒ディア「うん。いつも元気で、学校なんか休んだことないのに……どうしたんだろう」

鏖魔「………それは………心配ですね」

黒ディア「鏖魔くんと同じクラスの、ライゼクスと付き合ってるんだよ」

鏖魔「………ライゼクス君、学校辞めちゃいました…………」

黒ディア「………えっ?!そうなの?」

鏖魔「うん、今朝……先生が言ってた………」

黒ディア「なんでだろう……!!だから桜、それ知ってショックで休んじゃったのかな………」



…………キャハハハハ…………

黒ディア「!(誰か来た……)」


ホロロホルル「……だってーー、バルク君彼女いっぱいいるじゃん!」

バルファルク「関係ないよ!僕はホロロちゃんのこと世界一好きだもん」

ホロロホルル「うっそーーあたしもーー?」

イチャイチャイチャイチャ………


鏖魔「……………」

黒ディア「げーーっ……(朝に引き続いて、なんなの……)」ボソッ


バルファルク「あれーーー鏖魔くん!」

ホロロホルル「えーもう他の人いるじゃん!」ブーブー

ホロロホルル「場所変えよーよーーー」ブーブー

バルファルク「うん、ちょっと待って★」

バルファルク「………鏖魔くん!ガールフレンドとお食事中だったんだね」ニコニコ

鏖魔「……………」

バルファルク「こんにちはー黒ディアちゃん!鏖魔くんと上手くいってるーー?!」

黒ディア「は、はあ……(うわ。うざい)」

バルファルク「手作りのお弁当か!いいね、愛情込もっててさ!」


ホロロホルル「あたしのお弁当も愛情込もってますけどーー?!」

バルファルク「うん、わかってるよ★」


バルファルク「………鏖魔くん………ライゼクス君が学校辞めちゃったの、どう思う……?」

鏖魔「………どうって………話したことないから、よくわからない………」

バルファルク「そっかぁー。僕は残念だと思ってるよ!」

鏖魔「………………」

バルファルク「なんで辞めちゃったのかなぁ……すごく気にならない?」

鏖魔「………………」

バルファルク「………底知れぬ闇でもあるのかなぁ?」

鏖魔「…………知りません…………」

黒ディア「(なんなの、コイツ……)」


ホロロホルル「………バルク君~、まァーーーーだァーーーーーーー??!!!」

バルファルク「ごめん★行くよ!」

ホロロホルル「もーー、昼休み終わっちゃうじゃん!」

バルファルク「ごめんね、裏庭行こっか!」

バルファルク「………じゃあ鏖魔くん、黒ディアちゃん、またねーー!邪魔してゴメンね★」


ホロロホルル「あたしの前で他の女の子と話さないでよー……」ブーブー

バルファルク「誰と話そうが僕の一番はホロロちゃんだよ!」

ホロロホルル「いやん、もっと言ってーーー!!」

イチャイチャイチャイチャ……
キャハハハ………


黒ディア「………あの人、変わってるね……」

鏖魔「………うん、僕もそう思う……………」

鏖魔「あの人、嫌だ………。苦手です…………」

------同時刻、食堂・メインモンス科のテリトリー------



ラギア「………………………」ガツガツ

ティガ「………………………」ムシャムシャ

ガムート「………」しゃく……しゃく……

ミツネ「…………」はぐはぐ……


シーーーーーーーーーーーン………………


ティガ「………………ハァ」ばくばく

ミツネ「………お疲れ様、二人とも」

ラギア「…………おーーー……」もぐもぐ

ガムート「……ライゼクス君、どうしちゃったんだろう」

ティガ「…………俺たちは敵だとよ」

ラギア「もう友達でもなんでもねェってこった」

一同「………………」

ミツネ「……あまり信じられないな。あのライゼクス君が、そんなことするなんて」

ティガ「でも事実だぜ」

ミツネ「そっか…………」

ティガ「……………」



”お前、ほんとバカだな~~~!!いいか、もう一回教えるぞ”

”試験までまだ日にちあるんだし、俺が毎日みっちり教えてやるよ”
”なんたって俺は学級委員様だしなーー!!ぎゃはははは!!”



ティガ「……………」もぐもぐ…

ラギア「………………」



”………キリンちゃんを怒らせただと?マヌケだな!なにして怒らせたんだ?”
”ちゃんと心から謝れば、キリンちゃんならぜってー許してくれるぜ”

”早く行って仲直りしてこい!お前らがケンカしてるなんて、こっちまでイヤな気持ちだわ!”



ティガ&ラギア「………………」ハァ……

ティガ「………俺、ライゼクスはガチのマジで友達だと思ってた」

ラギア「俺もだ」

ラギア「……でも、学校だって黙って辞めちまって……挙げ句の果てに敵だなんて言われてよ」

ラギア「正直かなりショックですわ」

ミツネ「………本当に本心だと思う?」

ガムート「うん……ちょっと、変だなって思うよ」

ガムート「ライゼクス君は、お父さんがすごく怖いからって言って逃げてたよね?そのお父さんに見つかっちゃって、なにか弱みを握られて脅されてるとか……」

ティガ「俺もそれは思ったよ、だから本人にも言ったけどよ」

ティガ「都合のいい解釈すんな、って……」もぐもぐ

ラギア「まぁ親父さんがなにを脅すんだよって話だよな」

ミツネ「じゃあ、ライゼクス君は本心で学校を辞めてティガ君たちに酷いことしたんだ」

ティガ「本人がそう言ってるんだしな。それ以外になにも探りようがねェよ」

ラギア「まァ……だいぶショックだけど、友達一人減ったっつーことで……」

ラギア「俺らはその事実を受け入れるしかねェのかもしれねぇ」

ティガ「でも納得なんかできっこねーよなーー」バクバク

ラギア「な。……今日の放課後、また行ってみるか」

ティガ「俺は何度でも行くつもりだぜ、ライゼクスの口から納得できることを聞くまでな」

ラギア「ういっす」バクバク…

ミツネ「……………」はぐはぐ

ガムート「………今日、桜ちゃんの巣に行くから……何か知ってるか聞いてみるね……」

ティガ&ラギア「おーーーーー」

------ほぼ同時刻、未知の樹海・冥ラギア家------



大ティガ「………仇は、討ちたいわよね………自分の親を殺されたなら、尚更」

冥ラギア「………ディノ君のこと?」

大ティガ「うん」

大ティガ「私は仇を討った。両親を殺したハンターを殺し返して……」

冥ラギア「……………」

冥ラギア「…………やっぱりディノ君は、今も憎しみに捉われている」

冥ラギア「どうしたら、その憎しみから解放されるのかな」

大ティガ「………仇を討つべき相手は、もう死んじゃってるしね。………どうにもならないかもね……」

冥ラギア「ディノ君が何か……自分の気持ちを昇華させられるようなことがあればいいんだけど」

大ティガ「難しいわね。……時間に任せるしかないのかなぁ……」

冥ラギア「うーーーーん………僕ももっと、色んなところに連れ出してみたりするよ……」

------数時間後・放課後、塔学校・面談室------



リオレウス「………禁足地の清掃?」

ウカム「嫌です?」

リオレウス「いいえ!……そんなことは」

リオレウス「な、なぜ禁足地なんかを清掃する必要があるんでしょうか………」

ウカム「…………」

ウカム「…………もう、あの地に住まう者はいないです」

リオレウス「はあ………」

ウカム「イビルジョーやラージャンの追放先として使用しましたが……あそこは、元々別の者の故郷です」

リオレウス「……………」

ウカム「その者に、故郷に帰っていただくのです………そうしてあの場に向かう者に対しての、せめてもの敬意として」

ウカム「土地を整えておくことくらいは、しておきたいと思います」

ウカム「なのでレウス先生に、禁足地の清掃をお願いしたいです」

リオレウス「………故郷に帰っていただく、って……」

リオレウス「どういうことですか?!……まさか、あの二人を……」

リオレウス「あの二人を追放するということですか?!」

ウカム「……………………」

ウカム「そうです。件のウイルスについて、学校として対処できる方法を考え、そのような結論に至ったのです」

リオレウス「そんな!!!あの二人がウイルスを撒いたとお思いですか?!」

ウカム「それ以外に無いでしょう。昨日、大勢で世界を捜索致しましたが……あのウイルスを媒介する生き物の姿はありませんでした」

ウカム「これからまた、ウイルスに感染した者が出るかもしれない……生徒たちにその脅威が及ぶ前に、対処しなければなりません」

リオレウス「え、冤罪ですよ!!もっと別のやり方があるのではないですか?!!」

ウカム「別のやり方とは?」

リオレウス「…………それは…………」

リオレウス「………とにかく、私としては反対です!あの二人の追放など!!」

ウカム「我々としても非常に心苦しいです。心苦しいですが、それ以外に方法は思いつかないのです」

ウカム「もう決まったことです。ですから………頼みましたよ、レウス先生」

リオレウス「………そんな……あまりにも………!」

リオレウス「……………っ………」

------同時刻、森丘・銀レウス家------



桜レイア「………う゛ぇ~~~~~ん…………え゛~~~~~ん…………ひっぐ」

桜レイア「うぅ……ヒック!!うえっ」

桜レイア「あ゛ぁ~~~…………ぐずっ、あぁ~~~………」

白ラギア「………ひどい!!ライゼクス君、そんなことするなんて!!」

白ラギア「有り得ない!!!」

ガムート「……本当に、別れちゃったの………?」

桜レイア「あ゛ぁ~~ん……やだぁ………わっ、わがれてないよぅ~~……」グビグビ……

キリン「桜ちゃんっ、お酒は身体に良くないよ!」

桜レイア「い゛ぃもん……」グビグビ…

キリン「桜ちゃん………」

ガムート「ライゼクス君、どうしちゃったんだろう………」

ガムート「そんなこと言うなんて、今までじゃ絶対ありえなかったよ」

白ラギア「うん……だから尚更ひどいよ!!……他に好きな子が出来ちゃったの?!最低!!」

桜レイア「お゛ぉんん……う゛ぉぉん………やだぁ……できてなぃよお゛……………」

白ラギア「………でも誰を好きになっちゃったの?!ライゼクス君、桜ちゃんのことあんなに大好きだったのに」

ガムート「うーーーん………嘘とかなんじゃないかなぁ……」

白ラギア「嘘?!」

ガムート「わかんないけど……なんか変なんだよね。………あのね………ライゼクス君、学校辞めちゃったの……」

桜レイア「ヘッ?!!」ガバッ

キリン「自主退学………?どうして!」

ガムート「わかんない……ラギア君たちが、直接聞きに行ったみたいだけど、学校に通う必要がなくなったとか……」

ガムート「ラギア君とかティガのことを敵だ、って言ったりとか……」

桜レイア「やだあぁ!!ぞんなのクスクスじゃないよぅ!!」

キリン「ラギア君たちが敵なんて………話がわからないね」

ガムート「信じられないけど……暴力振るったりとかしたみたい………」

白ラギア「うそ…………」

桜レイア「ひぐっ!!き、昨日まで普通だったよぉ………デートしたもん………密林で………」グビグビ…

キリン「桜ちゃんっ、もう9本目だよ!身体に障るよ……」

桜レイア「いい゛もん!!!!家中のビンを空にしてやる!!」グビグビグビグビ……



蒼レウス「只今、帰宅したでござる~~」ドスン……

キリン「あ……お兄さん帰ってきたよ」

蒼レウス「?!……なんだ?!女人の匂いがするでござる!!」バタバタ……

蒼レウス「………おおおおおおお!!」


白ラギア「あ……お邪魔してます」ペコ

キリン「こんにちは」ペコッ

ガムート「ごめんね、お邪魔してるよ」ペコ

蒼レウス「なんと……なんと眩い!!この家がこんなに輝かしかったことなどあったろうか!!」

蒼レウス「しっ、白ラギア嬢、それにキリン嬢………いつ見ても麗しいでござる………」

桜レイア「うっさいバカ!!あっち行ってよ変態!!!ヒック!」

蒼レウス「ガムート嬢。申し訳ない、こんな妹で」

ガムート「ううん。ライゼクス君のこと、心配だよね」

蒼レウス「そうでござるなぁ~~……何かの間違いかと思うほどでござる」

蒼レウス「退学した理由は、拙者には皆目見当がつかないでござるが……」

蒼レウス「桜と別れた件に関しては………桜がワガママ過ぎて、ライゼクス氏も嫌気がさしたのではなかろうか」

桜レイア「なによ!!!!」キッ!

桜レイア「あたしのどこがワガママだっての!!どこが!!」ドガドゴッ

蒼レウス「ぼ……暴力女!!」

キリン「桜ちゃんっ、蹴ったらダメだよ!!」

白ラギア「ライゼクス君と桜ちゃん、もうどのくらい付き合ってるの?」

蒼レウス「拙者は知らないでござる。二人が付き合ってることを知ったのはついこの間でござるからな」

桜レイア「ふん!!アンタに知らせる必要もないしね!!」

桜レイア「実際ちょーーーー長いっつーの!バーーカ!!蒼のバーーーーーカ!!」

蒼レウス「ホラこういうところでござる!!こういうところがきっとライゼクス氏はイヤなのでござる!!」

キリン「でも仮にそうなのだとしても、昨日までいつも通りに接していたのに今朝になって態度が豹変するのは変じゃないかな?」

白ラギア「うん。前兆みたいなのがあっても良さそうだよね」

蒼レウス「ムム………まぁ確かに、そう言われてみればそうでござる………」

蒼レウス「桜のワガママで腹黒で暴力的な部分に嫌気がさすにしても、今更でござる」

桜レイア「サイアク!!それどういう意味!」

ギャースギャーース……




………ギャースギャーース……

バルファルク「…………………」こそっ…

バルファルク「………でっけー声だねぇ」

バルファルク「丸聞こえだよ………巣の外に」バサッ

バルファルク「でも、助かった………ふふ!そっか、あの二人別れちゃったのか」シュドドドド………


ドヒュン!!
キィィィィィィン…………


バルファルク「ライゼクス君、大丈夫かねぇ」キィィン……

バルファルク「……桜色ガール、僕と付き合えばいいのに!」キィィン……

バルファルク「まぁそれは後で。……彼を探してみようかね!」

キィィィィィィン…………

------ほぼ同時刻、密林・ネコの巣------



矢文アイルー(紺)「ニャァアア!!だから知りませんですにゃぁぁぁ!!」ガクガクガクガク

ティガ「んなわけねぇだろうが!!!!!吐け!!ライゼクスはどこにいるんだよ!!!!」ユサユサユサユサ

矢文アイルー(紺)「勘弁してくださいニャーー!!本当にどこにもいないですニャーー、今日はもう帰ってきてないですニャーー」ガクガクガクガク

ティガ「口止め料渡されてんだろこの野郎!!!!本当はどこにいるか知ってんだろーーーーがよ!!!!」ユサユサユサユサ

矢文アイルー(紺)「今日教えた、新しい巣以外は知らないですニャーーー!!本当に、どこにいるかわからないですニャーーーーー!!」ガクガクガクガク

ティガ「嘘つけ何か知ってるだろーーーーーーーーーー!!!吐けーーーーーーーー!!!」ユサユサユサユサ

矢文アイルー(紺)「ニャアア、気持ち悪いですニャーーー、酔って吐きそうですニャーーー!」ガクガクガクガク

ラギア「ティガもうやめてやれ!!それ以上揺するな!!」

ティガ「……………」ピタッ

矢文アイルー(紺)「うぅ……にょええええ」

ミツネ「(吐いている……)」

ミツネ「ティガ君、やり過ぎだよ。ごめんよ………冷たい水と、酔い止めの薬草だよ」スッ

矢文アイルー(紺)「…………ニャー」ごくごく…

ティガ「……マジでこの密林にはいねェんだな?!!!」

矢文アイルー(紺)「いないですニャー……今日ティガレックス様にライゼクス様の巣をお教えしましたが……その頃から密林には戻ってないですニャーーー…」ぐったり

ティガ「………チッ!」イライラ…

ミツネ「……アイルー君、申し訳ないけど、各地に矢文を送ってくれないかな」

ミツネ「ライゼクス君宛で」ジャラッ

矢文アイルー(紺)「ニャー……わかりましたですニャー……」

矢文アイルー(紺)「………者共、矢文ニャー!世界各地!」

アイルー達「ニャッ、ニャーーー……」ビクビク……

ミツネ「(みんな、怯えている………)」



シュピーーーーン……


一同「………………」


シュピーーーーン


ティガ「!」

ラギア「……」

ミツネ「不在の分が戻ってきたね」


パサッ


ミツネ「………全部だ」

一同「……………」

ティガ「……ありえねぇだろこんなの。なんだ?ニンゲンに捕まりでもしたか?」

ラギア「…………………」

矢文アイルー(紺)「………別フィールドの矢文アイルーが隠しているワケでもなければ、確かに有り得ないですニャー……」

矢文アイルー(紺)「でも……矢文アイルーのいないフィールドにいるとしたら、有り得ますニャー」

ミツネ「……そうだよね。さすがに、世界中の地面がある場所にアイルーがいるわけないもんね」

ティガ「例えばどこ?」

矢文アイルー(紺)「海底遺跡とか厄海……千剣山、溶岩島、極圏、各フィールドの秘境など、挙げたら結構ありますニャ」

ラギア「まァ海底遺跡は有り得ないよな、あいつ泳げねぇし……」

ミツネ「極圏も考えにくいね。氷に弱いんだし」

ティガ「矢文アイルーのいねェフィールド全部まわるわけにいかねェし………これじゃあどうすることもできねぇな」

ラギア「ああ。……矢文アイルーのいないフィールドにいるとしても、なんでそんなとこにいるのか不思議だしな」

ミツネ「そうだね。いくつかフィールドをまわっても時間と体力の無駄だ、今日はもう帰ろう」

ラギア「明日また、策を練るか……」

ミツネ「…………うん」

ティガ「……そーーだな。……おい、コレ。悪かったな、また大声出しちまって……」パサッ

矢文アイルー(紺)「ニャッ?!マタタビですニャーーー?!!」ガバッ

矢文アイルー(紺)「ニャアアン……いいですニャー、今度は普通に矢文を出しに来てくださいニャー」ゴロゴロ……

矢文アイルー達「ニャアァァ……」ゴロゴロ……


ティガ「…………」

ラギア「…………」

ミツネ「………」

------数時間後、夜・灼熱の地------



青電主「…………そうか、言われた通りにしたんだな」

ライゼクス「…………………」

青電主「やればできるじゃないか」

ライゼクス「…………」

青電主「…………お前はこれから『神』にその身を捧げるんだ。くだらねぇ交友関係なんか捨てろ」

青電主「わかるよな……?」

ライゼクス「…………わかる…………」

青電主「ハハハ…………ハアッハッハッハッ………」

青電主「…………神か………それこそくだらねェ存在だと思っていたが……」

青電主「見たろう、あの姿…………あの姿を見た時、俺は震えた!!!」

青電主「『ああ、神とはこのために存在する言葉なのだ』と………!!」

青電主「……お前は信じるだろう…………神の存在を…………」

ライゼクス「………………信じる………………」

青電主「ライゼクス種らしく、冷酷で有れ!!………そしてその力を全て神のために使うんだ」

青電主「そうして初めて、俺の息子として価値を持つ」

青電主「……………今日こそ紹介したい者がいる。もうすぐここへくる」


ライゼクス「……………………」

ライゼクス「…………………………」

ライゼクス「(………俺は神に身を捧げる……か)」



ライゼクス「(………………意味わかんね…………)」

ライゼクス「(………バカみてぇ………)」

------ほぼ同時刻、森丘・リオスの巣------



リオレイア「お酒、もう一杯どう?」

リオレウス「いや………今夜はやめておく、明日も仕事があるし」

リオレイア「……そうね」

リオレウス「少し外の風に当たってくるよ」スッ……

リオレイア「わかったわ……」


サァァァァ……

リオレウス「(今夜はなんだか冷えるな………)」

リオレウス「…………………」


バサッ、バサッ、バサッ………


リオレウス「!………叔父さん?」

………ドスン!

銀レウス「……レウス。夜分にすまないな」

リオレウス「どうしたんですか?中に入りますか、酒がありますよ」

銀レウス「いや、いい。レイアに悪い」

銀レウス「………ライゼクスのことだが……あいつ、学校辞めたのか」

リオレウス「ああ……桜から聞いたんですか?」

銀レウス「そうだ。話を聞くとどうも、様子がおかしい」

リオレウス「……俺も、なぜライゼクスが辞めたのかわかりません……本人とも直接話しましたが、納得できるような理由ではなかった」

銀レウス「あいつの父親、知ってるだろ」

リオレウス「………青電主ライゼクス、でしたっけ……?叔父さんから一度、名前を聞いただけですけど」

銀レウス「そうだ、青電主。……元々、塔学校で俺と同じクラスだった……。数十年前の話だ」

リオレウス「……………」

銀レウス「友も作らず、口数の少ない男だったが………森丘で一度、複数の野良の大型モンスターに襲われているのを見たことがある」

銀レウス「助けようとしたが、必要なかった。あいつが少し動いただけで、複数いたモンスターたちは皆死んだ」

リオレウス「……………」

銀レウス「強いぞ、青電主は……。只者ではないと思ったが、それからすぐにあいつは学校を辞めた」

銀レウス「在学期間はたった数ヶ月だ。その後は遠い不毛の地に渡り、その地を統括する主の奉公をしていたそうだが………」

銀レウス「いつの間にか子供を作っていた。それがライゼクスだ」

リオレウス「……ライゼクスに物事を色々教えたのは、叔父さんなのですよね……」

銀レウス「そうだ。たった独りで生きていたライゼクスに、様々なことを教えた……本当の息子のように」

銀レウス「そして、それから数年経つと青電主が現れた」



”……子供を探している。知らないか?”

”青電主、久しぶりだな………子供がいるのか。どんな子だ”

”ライゼクスの通常種だ”

”ライゼクス………知っている。君の子かもしれない、案内しよう”



銀レウス「そこから数年に一度、フッと帰ってきてフッと何処かへ行くらしい。青電主が普段何処にいるのかは不明だ」

銀レウス「それが今、ライゼクスのもとへ帰ってきている………そしてつい数時間前、青電主とすれ違った」

リオレウス「………」

銀レウス「『神を知っているか』……と、俺に聞いてきた。………なんとも言葉で形容しがたいが、その時のあいつは……」

銀レウス「……変だ。遠い何かを見ているような、そんな目をしていた」

リオレウス「………あの……率直に聞きますが……そのーー、ライゼクスの父親は……頭がおかしいんですか………?」

銀レウス「おかしいかもしれないな」

リオレウス「…………………」

銀レウス「どうする、レウス?俺はライゼクスを親のような気持ちで見守ってきた。そんなライゼクスと、その実の父の言動や行動が不可解なんだ」

銀レウス「一体、どうすればいい………」

リオレウス「……俺も、ライゼクスの担任だ……。ライゼクスは可愛い生徒です。もし彼の身に何かが起きているのなら、担任として助けるべきだ」

リオレウス「しかし、何をどう助ければいいのか……。何を解決すれば良いのか、わからない……」

銀レウス「………狂竜ウイルスの蔓延についての対処は、どうなった?」

リオレウス「はい……明後日の夜、あの二人を追放することに決まりました……」

銀レウス「………追放か…………」

銀レウス「……………何が起きている……。何者かの、見えない悪意を感じる」

リオレウス「………そうですね……」

------ほぼ同時刻、遺群嶺・麓付近------



バルファルク「…………………」カリカリ……

バルファルク「『ライゼクス君は学校辞めて………カワイーカノジョともお別れです』……」カリカリ…

バルファルク「『たぶんライゼクス君は手遅れ』」

バルファルク「『世界中を飛び回ってみたけど、どこにもいない……いるとしたら、もう、あの場所』」

バルファルク「『貴方がたの……お子様たちも……そろそろヤバイかもです』……」

バルファルク「『もう、時期はとうに迎えているので………』」

バルファルク「『いつ蘇生とやらが始まってもおかしくない』」

バルファルク「『どーしますか?』」

バルファルク「『追伸:数時間で世界中飛び回れるって、僕やっぱめっちゃかっこよくないですか』」


バルファルク「…………………」ドス、ドス

バルファルク「ライゼクス君………残念だな」ドス、ドス



ドス、ドス……


バルファルク「……まだやってる?矢文送りたいんですけどーーーー……」

矢文アイルー(桃)「ニャーー!大丈夫ですニャー、どこのどなた様宛てですニャ?」ピョコピョコ…

バルファルク「二通あるんだ!」サッ!

バルファルク「ひとつは、渓流の天眼さん。もうひとつは、雪山の銀嶺さんに!はい、お代」ジャラッ……

------数時間後・深夜、森丘・銀レウス家の外------



桜レイア「………………………」

桜レイア「…………クスクス………どうして……………」

桜レイア「………どうして、あたしに何も言わないで学校辞めたの……?………どうして、別れようなんて言ったの……………」

桜レイア「………………」


蒼レウス「………桜…………」そろり……

桜レイア「……………」プイッ!

蒼レウス「桜………今夜は冷えるでござる………。外にいると、風邪をひくでござるよ………」

桜レイア「……ふん!ほっといて!」

蒼レウス「……………」

桜レイア「………あたし、信じないから………クスクス、嘘ついてあたしと別れようなんて言ったんだから!」

桜レイア「クスクスの本心じゃないから!!嘘だから、絶対!!!」

蒼レウス「…………拙者は、ライゼクス氏とは同じクラスで……」

蒼レウス「どんな男か知っているでござる……」

蒼レウス「……………ライゼクス氏は、簡単に嘘をつくような男ではないでござるよ………」

桜レイア「……ちょっと……」キッ!

桜レイア「それ、どーーゆーー意味!!嘘じゃなくて、本心だって言いたいわけ?!」

桜レイア「バカにしないでよ!!」

蒼レウス「…………………」

蒼レウス「…………簡単に嘘をつくような男ではないのに………そんな嘘を言ったということは」

蒼レウス「……何か………拙者たちの計り知れない事情があるのでござろう」

桜レイア「………………」

蒼レウス「………ライゼクス氏の様子がおかしいのは顕著でござる。拙者も、かなり心配でござる………」

桜レイア「…………う゛ん……」ポロッ

桜レイア「グズグズぅ………どごにいるの゛………」ボロボロ……

蒼レウス「…………」ポンポン

蒼レウス「家に入るでござる」スッ

桜レイア「うん……」ドス……ドス……


蒼レウス「泣き顔がブサイク」ボソッ

桜レイア「!!このバカハゲ!!!」ドカバキッ

------同時刻、某所------



???「………もう…………明日だね…………」

???「……………………………」

???「……………みんな………泣くかな……」

???「……………ふふ」



???「あァ…………最高の日だ……」

???「………お誕生日おめでとう………」

???「……………ぼく…………………」

------翌日早朝、天空山------



バサッ、バサッ………ドスン!

リオレウス「……………」

リオレイア「……………」

リオレウス「………はあーーーー……俺が一番年齢が若いからって、こんな休日の早朝から働かされることに……」ぶつぶつ

リオレイア「まあ、いいじゃないの。休日手当と早朝手当も出るんだし」

リオレウス「早く昇進したいなぁ……」ドス、ドス…

リオレイア「焦らなくても大丈夫よ」ドス、ドス…

リオレウス「……………二回目だ、禁足地へ向かうのは」

リオレイア「……………ええ。もう2年ほど前になるけど……」

リオレイア「退学になったイビルジョーとラージャンを、護送しに来て以来ね」

リオレウス「…………」

リオレウス「…………三回目がすぐやってくる」

リオレイア「………まさか本当に、あの二人を追放処分なんかにするなんて……」

リオレウス「……そうだな」

リオレウス「………校長たちの言うことは絶対だ……俺には権力もないが故に、処分を取り消させることもできない」

リオレイア「…………」

リオレウス「…………辛い…………」

リオレイア「………同じ気持ちよ」

リオレウス「………………それにしても……相変わらずだ」

リオレイア「!……見えた。禁足地の扉だわ」

リオレウス「………異質だな。あの扉を開けたが最後、二度と出られないような気がする……」

リオレイア「なぜこんな場所があるのかしらね。あの扉も、一体どこの誰が作ったのか………」

リオレウス「俺もわからないな。聞いたことがない」ドス、ドス………

リオレイア「とにかく私たちは、与えられた仕事をこなすしかないのよね」

リオレイア「キングサイズのちりとりも借りられたし……」

リオレウス「……あぁ……うん、チリが沢山取れて良さそうだ」

リオレウス「…………ふん!」グググッ……


ギギ………ギッ………………ギイィィィ………


リオレウス「重い……が………開いた……!」ガコン!


ゴオォォォォ…………オオオオ………


リオレイア「…………?太陽は、もう出ているわよね?」

リオレウス「……ああ。なのに何故こんなに……」

リオレイア「暗いのかしら………?」

ドス、ドス………

ドス、ドス……

リオレウス「…………!!レイア!!」

リオレイア「?」ピタッ

リオレウス「………これ以上進むのはダメだ……」

リオレイア「…………」

リオレウス「さっ、下がるぞ」そろり……


オオオオオオォォォォ………

リオレウス「(暗い………黒っぽいモヤが、禁足地全体を包んでいる………)」

リオレウス「(明らかにおかしい………なにか………なにかが、いる……?)」

リオレイア「……………」

リオレイア「…………!」

リオレイア「きゃーーーーーーーーーーーーー!!!!」ビュンッ!!

リオレウス「?!!!レイア、何やってるんだ?!!」

ヒューーーーン………
………ガツン!!!

リオレウス「お……お前!!学校の備品のちりとりを投げたのか?!!」

リオレイア「ごっごめんなさい……びっくりして……」

リオレウス「んな!!何にびっくりしたんだ!!あのちりとり高いんだぞ!!もし壊したら弁償しないと……」

リオレイア「大丈夫よ!早朝手当の分で補えるわ!」


………ウウ………ウオ………
オオオ゛ッ………


リオレウス「!!」

リオレイア「!!」

リオレウス「……………聞こえたか?」

リオレイア「……聞こえた……わ」


ウウウ……ウッ………


リオレウス「……呻き声…………?!なんだ?!誰だ!!!」

リオレイア「やっぱりなにかいるのね……!さっき、この黒いモヤの中に動くものがあった気がして……それで驚いてしまったの……」


ウウ……ウウ………………


………ドス…………ドス…………


リオレウス「………何者かが歩き出した……こちらへ向かってくるぞ……!」

リオレウス「レイア、もっと下がるんだ!」

リオレイア「…………」そろり……そろり……



ドス……ドス………


????「…………………」ドス、ドス


リオレウス「!!」

リオレイア「!!」

リオレウス&リオレイア「……わーーーーーーーーーーーっ!!」


????「!!」ビクッ!!

????「………………!」バサッ!

ヒュン!


リオレウス「………とっ………飛んでいった……」

リオレイア「黒いモヤも晴れて……」

リオレウス「今のは……間違いない………」

リオレイア「……なぜここに……」


リオレウス「ゴア・マガラ……?」

リオレイア「シャガル先生………?」

------数十分後、未知の樹海・マガラの巣------



シャガル「………zzz……」

シャガル「……………………………」

シャガル「………………」パチッ


ゴマ「…………」そろそろ……


シャガル「…………ゴアよ」

ゴマ「!」ドキッ

シャガル「……どこへ行くんだ。休日だというのに、こんな朝早くに……」

ゴマ「……フフフ………見つかってしまいましたか………」

ゴマ「心配することはございません。すぐに戻ります……」

シャガル「どこへ行くつもりだ?」

ゴマ「……ええ……小生、どうもソワソワして………」

ゴマ「………こんな時は、コレクションの収集に勤しもうと思い………外出するのです……」

シャガル「……ニンゲンの頭蓋骨を集めに行くのか」

ゴマ「フフフ……そうです……」

シャガル「やめてくれ。気味が悪い」

ゴマ「では、薔薇の花を集めに……」

シャガル「それなら良いが、今日はやめなさい」

ゴマ「……………」

シャガル「………私も、胸騒ぎがするんだ。何か良くないことが起こりそうな……」

ゴマ「……そうですか……我を生みし偉大なる者の勘は当たりますからね……小生、もう少し寝ます……」

シャガル「ああ、そうしなさい」


……ドスン!

リオレウス「……ハァッ……シャガル先生!!」

リオレイア「こんな早朝から申し訳ございません……!」

シャガル「?!……レウス先生に、レイア先生……どうされましたか?」

ゴマ「おや……フフフ………おはようございます………」

リオレイア「先ほど、ちりとりをぶつけられましたか?!」

シャガル「………は?ちりとり……?」

リオレウス「いや、ゴア・マガラだろう?!ちりとりをぶつけられたのは……!」

ゴマ「……フフフ……小生、ちりとりの収集は趣味ではありません」

リオレウス「……確かにゴア・マガラだったのに……」

リオレイア「いえ、シャガル先生よ!そう見えたもの……」

シャガル「なにがなんだか、お二人のおっしゃる事の意味がわかりません……」

シャガル「落ち着かれたらどうですか。ワケを聞きますから」

リオレウス「………はい……」

------数分後、同場所------



シャガル「……………」

ゴマ「…………」

リオレウス「…………」

リオレイア「……………」

シャガル「………その禁足地にいた者は、私でもゴアでもない」

ゴマ「…………ええ………」

リオレウス「………でも確かに……体色や骨格、全てにおいて酷似していました」

リオレイア「はい……私には、シャガル先生のように見えましたし……」

シャガル「………恐らく、ゴア・マガラでありながら、身体の一部がシャガルマガラになってしまった個体でしょう」

シャガル「……言わば、脱皮不全」

リオレウス「有り得ますか………?!ジエン教頭は、貴方たち以外のマガラが最後に確認されたのは数十年前で……!現在この世でマガラの名を持つのは、あなた方二人だけのはずだと!」

シャガル「私も、俄かには信じられない」

シャガル「でも……私が数十年前に最後に見たゴア・マガラ……あの者が脱皮不全の個体として生きているのかもしれません」

シャガル「……………」

リオレウス「いやいや……!数十年間、姿を隠していたということですか?!一体どこに!我々の目に付かない場所など、どこにも……」

リオレイア「ええ……。禁足地にずっと居たとは考えにくいです。イビルジョーたちの追放先でもありましたし……」

シャガル「いや、世界は広い。……我々の目の届かない場所などいくらでもあるはずだ……」

シャガル「長い間姿を隠し、そして最近になって、その姿を露わにしてきたということ……」

シャガル「………………」

リオレイア「…………数十年前に見たそのゴア・マガラは……どこで見たのですか?」

シャガル「…………」

シャガル「………禁足地で…………」

ゴマ「……………」

リオレウス「……………」

シャガル「…………禁足地……あの一帯は、私の生まれ故郷です」

シャガル「私は誕生した後、ゴア・マガラとして学校に通い……そして一定期間、世界を彷徨いました」

シャガル「やがて帰る時が来たことを悟り、再び禁足地へ向かい……」

シャガル「ゴア・マガラの皮を脱ぎ、シャガルマガラになりました」

ゴマ「……………」

シャガル「そのとき存在していたゴア・マガラのうち、シャガルマガラになれたのは私だけです」

リオレイア「………その時は、ゴア・マガラがそんなにたくさんいたのですか……?」

シャガル「………はい。私含め3人いました」

ゴマ「!」

シャガル「………ゴアにも話したことは無かったが………私には、きょうだいがいた」

リオレウス「……そうだったんですか……」

シャガル「2人とも、私より少し先に誕生したきょうだいです」

シャガル「………1人は死んだ。私のすぐ後に禁足地で脱皮を試みましたが、シャガルマガラとなる時の大きな力に耐えきれず、死んでしまった……」

リオレイア「…………」

シャガル「もう1人も、同じように大きな力に耐えられなかった」

シャガル「頭の半分だけゴア・マガラの皮が削げ、シャガルマガラになりかけたが……」

シャガル「上手くいかず、苦痛に呻きながら、禁足地の淵から雲海の底へ落下していった」

シャガル「悲惨な姿だった……………あまりにも、悲惨な姿だった」

シャガル「きょうだいが落下していったのにも関わらず、私はその姿のあまりの恐ろしさ故に、救うことを躊躇った」

シャガル「その後、姿を見ることは無かった……故に、死んだのだと思っていた」

シャガル「間違いない………はずです………レウス先生たちが見たのは、あの時の私のきょうだい……」

シャガル「禁足地へ帰ったのか………。故郷に帰りたかったのだろう………」

シャガル「…………」

ゴマ「……………」

リオレウス「…………ということは、今問題となっている狂竜ウイルスの蔓延は、その者が原因ということでしょうか?」

シャガル「そうでしょうね。………きっと、見捨てた私を恨んでいるのだ………その復讐の心があり、各地にウイルスを撒き散らしているのかもしれない」

シャガル「……………そもそも何故、レウス先生たちは禁足地の清掃などに?」

リオレウス「!」ドキッ

リオレイア「……………」

リオレウス「…………あの……大変、申し難いことなのですが」

シャガル「……追放処分ですか……」

リオレウス「…………………」コクッ

ゴマ「………………」

リオレウス「………校長たちは、今回のウイルス蔓延は、シャガル先生たちが原因だと思っています………」

シャガル「…………」

ゴマ「…………無理もないですね…………狂竜ウイルスを媒介するものの存在は、他に認められていないのですから………」

リオレウス「いくらなんでも横暴だ……!どう考えても濡れ衣だ!!シャガル先生たちが撒いた証拠もないのに追放だなんて!!」

リオレウス「………しかし、私の意見など、校長たちに受け入れては貰えない………」

リオレウス「申し訳ない……!私は、無力だ………」

リオレイア「………………」

シャガル「レウス先生が、気に病むことはありません。………その者がウイルスを撒き散らすような真似をしているのも、元を辿れば私に原因があるようなものだ」

シャガル「……しかし、私だけならいいが……ゴア……子までもが追放となるのは、親としては納得し難い」

ゴマ「……………いいえ………小生のことも、気にしないでください………」

ゴマ「我を生みし偉大なる者の故郷、一度行ってみたいと思っていた………」

リオレウス「いや、ダメだゴア・マガラ………。それにシャガル先生たちを追放したところで、ウイルスの蔓延は抑えられない。意味のない処置です」

シャガル「そうですね。ウイルスの脅威が世界に広がることは抑えなくてはならない」

シャガル「………もう一度禁足地へ行きましょう。まだ、私のきょうだいがいるかもしれない……」

リオレウス「私とレイアが大声を出したことに驚いて、何処かへ逃げて行きましたけど……」

シャガル「いや、禁足地は故郷だ。故郷に帰る習性がある……。行ってみる価値はあります」

リオレウス「そうでしょうか……それならば、行きましょう」

リオレウス「ゴア・マガラとレイアは、待っていなさい」

ゴマ「…………小生、非常に着いて行きたいのですが……」

シャガル「やめたほうがいい。恐ろしい姿だ……見ないほうがいいぞ」

ゴマ「………そうですか………では、レイア先生。小生と、頭蓋骨談義を致しましょう」

リオレイア「え………ええ。(できるかしら……)」


シャガル「行きましょう」バサッ!

リオレウス「………はい」バサッ!

------数十分後、天空山・禁足地付近------



シャガル「…………いるな………気配を感じる」

リオレウス「(ちょっと怖い………)」

シャガル「………………」ぐぐっ…

ギイイイイ……ガコン!

リオレウス「あ………レイアの投げたちりとりが落ちてる……」

リオレウス「(拾っておこう……高いやつだし)」ヒョイ

シャガル「………間違いない、いる。あの黒いモヤは、ウイルスだ………」

リオレウス「私とレイアも、あのモヤを見ました……あの中にいるはずです………」

シャガル「………ここで待っていてください」ドス、ドス………

ドス、ドス…………

シャガル「…………きょうだい………」


ウウ……オオ………


リオレウス「(この呻き声も、先程聞いた……!)」

シャガル「そこにいるのか、きょうだい………」スッ……

????「!!!!」ガバッ!!

シャガル「!」

……ドヒュン!!

リオレウス「また飛び立った!!」

シャガル「待て、きょうだい!!」ドヒュン!

リオレウス「あっ、ちょ!!シャガル先生までーーー!!」バサッ……

バサッ、バサッ、バサッ……

リオレウス「(速い、二人とも……!)」バサッ、バサッ……

リオレウス「シャガル先生ーーーーっ!!」バサッ、バサッ……

シャガル「きょうだい!!待ってくれ!!!」バサッバサッ……

????「…………………」バサッバサッ……

シャガル「(………やはりあの日、雲海の底へ落ちていったきょうだいだ……!)」

シャガル「(なんという姿だ………!)」バサッバサッ……

シャガル「待ってくれ!!!」


………ジジジジッ…………
バチバチバチバチバチバチッ!!!!


シャガル「!!!」

リオレウス「!!(何だ……シャガル先生と、あのきょうだいの間に雷が……!)」


青電主「…………………」バチチッ……バチバチッ……


シャガル「………何だ貴様は………!」

青電主「………先に行け、ネフィリム。もうすぐ蘇生が始まる」

????「………………」バサッ…

リオレウス「(行ってしまった………)」

青電主「………………」バチチッ……

シャガル「………貴様、誰だ。なぜ私の行く手を阻む!!」

リオレウス「(………ライゼクスに似ている………もしや、父親か?!)」

青電主「邪魔はさせぬぞ、ネフィリムのきょうだいよ」

シャガル「………『ネフィリム』……?」

青電主「『冥界に堕ちた者・ネフィリム』」

青電主「…………我々はあの者をそう呼んでいる」

リオレウス「……青電主ライゼクスか?!」

青電主「俺を知っているのか、リオレウス……初めて会う。息子の元担任だな」

シャガル「ライゼクス………!」

リオレウス「ライゼクスはどこにいる?!!」

青電主「ハハハ!!………気にすることは、そんなことか」

青電主「貴様に話す必要はない」

青電主「貴様らのような中途半端な下等生物は、もうすぐ蘇生される神の前で塵として消えゆくのだ」

シャガル「………何が目的だ。なぜ私のきょうだいを知っている?!」

青電主「……………」

青電主「………………」バチッ……バチッ………

ゴオオオオオ…………

シャガル「?!(後方部に、雷の球が………?!)」

リオレウス「………!何だ?!体が引きずられて……!」ズルズル……

リオレウス「わーーー!!あの雷の球に吸い寄せられてるーーーー!!」バッサバッサ……

シャガル「レウス先生!!!!(なぜ彼だけが引きずられている?!)」バサッ

青電主「…………クク」

リオレウス「(この球の放つ雷の力は異常だ……!!俺は雷苦手なのに!!)」バッサバッサ……

シャガル「(ダメだ、レウス先生の身体を掴んでも、私までもが引きずられる!!……なんて力だ!)」

シャガル「!!っ、レウス先生、脚っ!!脚で掴んでいるものを放すんだ!!」

リオレウス「あ……ちりとり!!……雷の球が、磁石のように金属を吸い寄せているのか……!!」バッサバッサ

青電主「……………」バチチッ……バチッ……

シャガル「レウス先生、早く!!!なにか仕掛けてくる!!」

リオレウス「ちりとりがーー!!ちりとりがーーーーー!!」ズルズル……

青電主「……………」ヒュン!!

シャガル「!!(頭から雷の剣のようなものが伸びた!!)」

シャガル「……!!(もう、彼に体当たりするしかない!)」ドン!

リオレウス「わーーーーーちりとりがーー!!」バッサバッサ……

……バチバチバチバチバチッ!!!
ドゴオオォン……

リオレウス「………ちりとりが!!」ガーン!

シャガル「……助かった、間一髪……」

シャガル「…………ちりとりが消滅した。レウス先生……あと一瞬でも遅ければ、我々もあの雷の剣に当たっていましたよ」

リオレウス「も、申し訳ございません………」

青電主「………なるほど、息子が愚かな理由が一つわかった」

青電主「貴様のような愚かな担任に教わっているからなのだな」

リオレウス「………弁償だ………ちりとり………」

シャガル「………私と折半して支払いましょう!」

青電主「リオレウスの名を持つ者は好まん。貴様も同様だ、愚かなリオレウス」

シャガル「…………私のきょうだいは何処へ行った!そしてライゼクスは何処にいる!!」

青電主「………しつこい。そんなことを知ってどうする、もうあと数時間の命であるのに」

リオレウス「それはどういう意味だ………!」

青電主「『神』の『蘇生』が完了すれば、全ての生物は塵となる。何も知らなくてよい、貴様らなど無駄な存在だ」

シャガル「貴様の言っている事は理解ができない。神とはなんだ!そして蘇生とは………!!」

青電主「なるほど。生物とは、いずれ死にゆくとわかっていながらも……知識を求めるのか」

リオレウス「……………」

シャガル「……………」

青電主「………………」バサッ……

バチバチバチ……!!

リオレウス「!!……目が……!」ヒュウウ……

シャガル「くそ……目眩しか!!!」ヒュウウ……

…………………………ドサッ!


青電主「………………ふん」バサッ、バサッ………


リオレウス「………………う……視界が白い……シャガル先生ーー!」ヨロヨロ…

シャガル「います、ここに………」ヨロヨロ…

リオレウス「………地上へ逆戻りだ……青電主は何処へ行ったんだ……!」

シャガル「きっと私のきょうだいもライゼクスも、同じ場所にいる……。青電主はそこへ向かったのでは?」

リオレウス「そうかもしれない。しかし、何処へ向かったのか見当もつかない!」

シャガル「………意味深な発言をしていた。神の蘇生………。神など存在しないはずなのに……」

リオレウス「はい…………」

シャガル「狂っているのか……?存在しないものを妄信しているのだろうか………」

リオレウス「…………………」くるっ!

シャガル「……レウス先生?」

リオレウス「………ここで問答していても埒があきません!………お付き合い願えますか、シャガル先生」

リオレウス「ここから見える、あの場所へ!!」スッ!

シャガル「!!」

シャガル「………そうですね。あのお方に聞きましょう……!!」

------数十分後、雪山・ガムートの巣------



ガムート「………おはよう、ママ………起きてたんだ」ドス、ドス……

ガムート「はやいね……夜中に帰ってきたのに」ドス、ドス……

銀嶺「ガムート。………おはよう」

ガムート「もうすぐ、ママが帰ってきて一週間だね……」

ガムート「………また、どこか行っちゃうの……?」

銀嶺「………………………」

銀嶺「…………………あなたがまだ生まれる前の………私の話をしましょうか…………」

ガムート「………?」

銀嶺「………私は、塔学校を卒業したあと、遠い土地で暮らしてた………」

ガムート「………うん?」

銀嶺「その土地を支配する、ある主の奉公をしていたの」

ガムート「………知らなかった……」

銀嶺「………その主は死んだ。残ったのはその主の子、一人だけ。……私は……いえ、私たちは、その残った子を新たなる主として、今までずっと付き添っていた」

ガムート「『たち』って……ママの他には誰?」

銀嶺「………天眼よ」

ガムート「ミツネっちのお父さん……」

銀嶺「あと…………青電主」

ガムート「せーでんしゅ?……誰だっけ……聞いたことある」

銀嶺「あなたの友達、ライゼクスの父親よ」

ガムート「!!……ライゼクス君の……?!」

銀嶺「…………」コクッ

ガムート「ら……!ライゼクス君のお父さんを知ってるの……?!えっと……すごく怖い人で……ライゼクス君はお父さんから逃げてて……!」

銀嶺「そうね。……でももう、見つかって……今は、一緒にいる」

ガムート「ええっ!!!ライゼクス君、どこにいるの?!」

銀嶺「…………言えないわ。あなたは知るべきじゃない」

ガムート「どうして?!ライゼクス君は友達だよ!!ライゼクス君がいなくなっちゃって、みんな戸惑ってるんだよ?!」

銀嶺「そうだと思う……!……でも彼は今、自分の生まれた理由を知って………運命を受け入れてる………」

ガムート「どういうこと?!ママの言ってること、全然わからないよ!!」

銀嶺「ガムート、聞いてちょうだい」

銀嶺「………あなたは私の大切な子よ。自分の命よりも大切なの。だから、『主』に従うようなことはしないわ」

ガムート「主って………?」

銀嶺「あなたを……ライゼクスのいる、とある場所に連れて来いと言われている。………でも連れて行かない。私は母親だから……」

ガムート「…………え…………」

銀嶺「ガムート。今までごめんね。長い時間を一人で過ごさせることが多かったわね」

銀嶺「なにも母親らしいことはしてあげられなかった………でも反面、あなたは一人でも生きていく力を身に付けたわ」

ガムート「ママ……………?」

銀嶺「だから………私がいなくても、大丈夫よね」

------ほぼ同時刻、渓流・タマミツネの巣------



ミツネ「……オトーサン」ペタペタ

天眼「!………ミツネ。早いな」

ミツネ「うん………オトーサン、あのさ」

ミツネ「………こう言っちゃなんだけど……臭いよ」

天眼「?!!なにっ!!」ドキッ!

ミツネ「……溶岩の臭いがする。昨夜、何処に行っていたの?」

天眼「…………………昨夜は…………」

ミツネ「オトーサン。隠れてたつもりかもしれないけど、昨夜は矢文を二通受け取って、出掛けたよね?」

天眼「……………」

ミツネ「一通目を読んで、考え込んでから……二通目を受け取った。そしてすぐに出掛けた」

ミツネ「…………これ」パサッ

天眼「あ………なぜそれを……?!」

ミツネ「一通目の矢文だ。持って出て行ったけど、途中で落としてったよ」

ミツネ「様子がおかしいと思ったから………少しだけ尾けさせてもらったんだ」

天眼「…………………間抜けだな、私は」

ミツネ「この矢文……送り主が誰だかわからない。『スーパーヒーローより』としか書かれてない」

ミツネ「誰からの矢文?」

天眼「……………」

ミツネ「ライゼクス君がもう手遅れって、どういうこと?ライゼクス君の居場所を知っているの?」

ミツネ「そして、二通目の矢文は誰から?なんて書いてあったの」

天眼「……………」

ミツネ「…………オトーサン」

天眼「……………ミツネ。お前は利口だな……」

天眼「自慢の息子だ」

ミツネ「…………………」

天眼「『もう時期は来ている』と、矢文に書いてあったな」

ミツネ「うん。なんの時期だか、さっぱりわからないけど」

天眼「………お前が成長するのを待っていた。決して短くはない時間だった……しかし、もうその時期を迎えた」

ミツネ「……僕が成長する時期?どうしてそれを待つ必要があったの?………あと……蘇生ってなに?」

天眼「…………蘇生させるには、お前が成長している必要があったのだ」

ミツネ「(ますます、理解できない……)」

天眼「……しかし後ほどわかったことだが……お前の力は必要なかった」

ミツネ「………言っている意味がわからないよ。蘇生させるために僕が成長していなきゃならなかったのに、結局僕は必要なかったの?」

天眼「お前の力は直接、蘇生には必要なかった……だが蘇生した後に、お前の力が脅威となる可能性があった」

ミツネ「…………」

天眼「……だからどの道、お前を『あの場所』に連れて行かなくてはならない………」

ミツネ「………溶岩の臭いのする場所へ?」

天眼「…………」コクッ

ミツネ「………脅威となるから、僕は死ななくちゃならない?」

天眼「………………そう命じられた。しかし私は、そんな命令には従えない」

ミツネ「一体、何が蘇生されるの?僕は何の脅威になるの?」

天眼「………蘇生されるのは神で……お前を脅威とするのは、そうだな……その崇拝者とでも言うべきか……」

ミツネ「…………………」

天眼「………私はこれより向かわなくてはならない場所がある」

天眼「だがお前は連れて行かない………逃げなさい」

ミツネ「…………いや………ついて行くよ。きっとそこにライゼクス君もいるんでしょ?」

天眼「ついては来させない。逃げるんだ」

ミツネ「逃げないよ」じっ…

天眼「……………」

天眼「………ミツネ。お前は私の愛する息子だ」

天眼「…………だから………こんなことをするのは、これが最初で最後だ……」ゴオォ……

ミツネ「?!(………眼に炎が……?!)」

天眼「………許せよ」ゴオッ!!

ミツネ「!!!!」ゴオオ……

……………ドゴォーーーーーーーーン!!!

ミツネ「…………」ヒューー……

………ドサッ……

ミツネ「……ぐ………」むくっ

ミツネ「ぅ熱っつ!!水!」バシャバシャ……

ミツネ「(オトーサンの口から、火の球が出た……)」バシャバシャ…

ミツネ「(火属性が使えるなんて……あの球にぶつかっただけで、かなり吹き飛ばされた……)」バシャバシャ…

ミツネ「(知らなかったけど……オトーサンって、強かったんだな……)」バシャバシャ

ミツネ「…………」くるっ

ミツネ「………行っちゃったか………」

ミツネ「(神………神の蘇生………)」

ミツネ「ライゼクス君………」

------ほぼ同時刻、砂漠------



黒ディア「………あっ、鏖魔くん……」ドスドス…

鏖魔「……あ…………おはようございます………」

黒ディア「あの………は、晴れてよかったね………」ドキドキ

鏖魔「……うん………この辺、雨は滅多に降らないけれど………一度降ったら長いからね………」

黒ディア「…………」ドキドキ

黒ディア「………どこ行く?鏖魔くん、行きたいところある………?」

鏖魔「あっ………うん………ある………」

黒ディア「どんなところ?」

鏖魔「………僕が、すごく好きな場所なんだけど………景色が綺麗で………」

黒ディア「私、行ったことあるかなぁ………」

鏖魔「な、ないと思う。穴場っていうか………滅多に、他の人が来ることはないから………」

黒ディア「そうなんだ………楽しみ、行ってみたい」ドキドキ

鏖魔「うん…………」ヨロヨロ……

黒ディア「……………?」

鏖魔「………行こう………ね…………」ガクン……

鏖魔「…………………………」どさっ

黒ディア「?!ちょっと…………鏖魔くんっ?!」ゆさゆさ…

黒ディア「どうしたの?!大丈夫?!」

黒ディア「(急に倒れちゃった………どうしよう!!)」くるっ

黒ディア「(どこか、日陰に運ばなきゃ……!)」キョロキョロ

黒ディア「………あっ、あそこの岩の陰……!」

黒ディア「鏖魔くん、運ぶ………」……ガツン!!

黒ディア「…………?」ふらっ

黒ディア「(なに…………なんか………頭に衝撃が………)」ドサッ…

黒ディア「(………鏖魔くん…………)」

------数分後、千剣山------



バサッ、バサッ……ドスン!

リオレウス「あ゛ぁ………目ではあんなに近くに見えていたのに、実際に向かうと遠い……」ドス……ドス……

シャガル「……そうですね」ドス、ドス

リオレウス「アマデュラ様………もう、黒龍との戦い以来会っておりませんが……」

リオレウス「お……お元気でしょうか」

シャガル「………ええ、恐らくお元気かと……」

リオレウス「アマデュラ様は黒龍との戦いの時に、亜種へと変化致しましたよね」ドス、ドス

シャガル「そうでしたね。あれからずっと亜種のままなのでしょうか?」ドス、ドス

リオレウス「あ………見えました、アマデュラ様では?」ドス、ドス

シャガル「そのようですね。岩に巻きついて………」ドス、ドス……


リオレウス&シャガル「……うわーーーー!!」


帝アマデュラ「……………………………」ダラーン……

シャガル「なんてことだ……!下半身は岩に巻きついているのに、上半身は地面に投げ出されている!!」ドドド……

リオレウス「(死………………?!)」

シャガル「アマデュラ様!!どうなされたのですか?!」

リオレウス「(白目むいてる……!!)」

シャガル「アマ………」


…………ピシッ…………

ピシッ……ピシッ…………ビシビシッ………


シャガル「あ…………!表皮が割れ始めた………」

リオレウス「脱皮か………?」

ビシビシピシッ………メキキッ……

シャガル「割れた皮の下から、更に白い表皮が………」


アマデュラ「………オ……オ゛ッ…………!」パラパラ……

アマデュラ「……ア゛………グ……………」パラパラ……

アマデュラ「………………………」むくっ

リオレウス「………アマデュラ様…………」

シャガル「……亜種から脱皮して、元のお姿へとお戻りに…………」

アマデュラ「…………おお……!貴殿ら、またやってきたのか」

アマデュラ「退屈ゆえに、脱皮してみていたところだ」

アマデュラ「すまぬ。みっともない場面を見せてしまった……」

シャガル「いえ………申し訳ございません、こんな時に来てしまって……」

リオレウス「(暇つぶしに脱皮を………?)」

アマデュラ「気にするな。貴殿ら、再び会ったな………一体どうしたのだ」

シャガル「……はい、なんと言いますか………また大きな問題が………」

アマデュラ「…………何が起きた?」

シャガル「アマデュラ様は、黒龍について『己を神と呼ぶ愚かな者』とおっしゃっていましたね……」

シャガル「何者も、神にはなれない。神など存在しないのだ、と………」

アマデュラ「……うむ、言ったな」

アマデュラ「貴殿らは、神という存在にどんな印象を抱く?」

リオレウス「…………強大な力を持ち、全ての生命を支配し、尚且つ無限の時を生きる……とかでしょうか………?」

アマデュラ「………そうだな、多くの者は貴殿と似たことを言うだろう」

アマデュラ「確かに黒龍は、他の生命からは神と呼ばれてもおかしくない程の強大な存在であった。しかし私からすれば到底神とは呼び難い………」

シャガル「…………黒龍よりも更に強大な存在を……ご存知だからですか………?」

アマデュラ「………………」

アマデュラ「………………そうだ」

リオレウス「!!」

シャガル「!!!」

リオレウス「なんと………!その者は、どのような者で………?」

アマデュラ「…………太古の昔からの、私の友であった者だ………」

シャガル「友……?!…………では、敵ではないのでしょうか?!」

アマデュラ「ああ、敵ではなかった………とてつもない力を持ちながらも、何者にも敵意を向けずに時を過ごしていた」

アマデュラ「神という言葉に最も相応しいのは、その者だろう」

アマデュラ「………良き友であった。だが、死んだ。………1000年以上も前に」

シャガル「………なぜ?」

アマデュラ「自死だ。………黒龍が最初に世界を砕こうと目論んだ時、まずその者を殺そうとしたのだが……」

アマデュラ「自分の命が狙われることにより、初めてその者は他者へ敵意を向け、己の力を解放して抵抗した」

アマデュラ「結果、黒龍は絶命こそしなかったものの、相当な痛手を追って逃げて行った。そのあと、その者は私に言った」

アマデュラ「己の力が恐ろしい、とな。黒龍以上の力を持っていることを自覚し、そんな力が世界を壊すのではないかと恐れた………」

アマデュラ「………そして自ら死を望んだ。滞る溶岩の中に自ら沈んで行き、生命活動を停止させたのだ」

リオレウス「………無礼を承知で申しますが、アマデュラ様は友の自死を止めなかったのですか?」

アマデュラ「友を失うことは悲しいが……友が死を望むのなら、私にそれを止める権利などあるまい」

シャガル「その者がもし、蘇生されたなら………!」

アマデュラ「………?」

シャガル「その者を蘇生させたら、何が起きますか?!」

アマデュラ「?………蘇生など、できるはずあるまい。その質問に答える必要は無さそうだが」

シャガル「………いいえ……蘇生の可否はさておき、その者の蘇生を望み、更に試みる者がいます……!」

アマデュラ「………なんだと…………?」

シャガル「恐らく青電主という者が、私のきょうだいや生徒を利用し、その者を蘇生させることによって何かを起こす気でいる………」

リオレウス「はい………青電主の真の目的は定かではありませんが、神を蘇生させ、我々は塵になると発言しておりました」

リオレウス「きっと今、シャガル先生のきょうだいや私の生徒、そして青電主は同じ地にいるはずです。神の………いや、アマデュラ様の旧友の眠る地に!」

アマデュラ「…………もし貴殿らの推測が真実であり、友の蘇生を試みようとしているのだとしたら……」

アマデュラ「青電主という者は、とんでもない大悪党であるな」

リオレウス「ええ………!それはそれは、許し難い大悪党かと!!」

アマデュラ「確かに許し難いな。………それでは、向かおう」

シャガル「アマデュラ様……!」

アマデュラ「……………私は友の住んでいた地、そして友の死んだ地を、友への敬意を込めてこう呼んでいる」

アマデュラ「…………『神域』と」

一旦止めます。
次は、今日ほどは長くないと思います。
ありがとうございました。

------ほぼ同時刻、雪山------



ティガ「それでガムートのかーちゃん、どこ行っちまったんだよ!」

ガムート「うっ、わかんないよ……!お……追いかけようと思ったけど、ぐすっ!」

ガムート「マ、ママの出す吹雪すごすぎて……!私でも前が見えないくらいだっだも゛ん………」ぐすぐす

ガムート「や゛っど、前が見えるようになっだ頃にはっ、ママいなくなってだもん゛!!」ぐすぐす

ティガ「クソ……!まさかガムートのかーちゃんが、ライゼクスの居所を知ってるなんてな……!」

ティガ「つーかやっぱ、オヤジに見つかってんじゃねーか!マヌケライゼクス!!」

ガムート「ぐすん………ママ~~~~!」ブオオオン

ティガ「泣くな!!」

ガムート「…………」ぐす…

ガムート「………もうママに会えない気がする………そんな感じだったもん……嫌な予感がするよ……」

ティガ「………会える!追いかければな!!」

ガムート「無理だよ……ママは速いもん、私と違って……」

ガムート「というかティガ君、なんでここにいるの」

ティガ「エッ!!……あ、いや………ポポ食いに来たら、ブオンブオンすげーー音が響いてるからさ!!」

ティガ「この世の終わりかと思って見に来たらお前が泣いてたんだよ!!」

ガムート「……私の鼻息ってそんなにすごいの?」

ティガ「き、気にすんなよそんなこと!!それよりお前のかーちゃんは、ライゼクスがいる場所へ向かったっぽいんだな?!」

ガムート「うん……………」

ティガ「よし、じゃあ行こう!!」

ガムート「……どうやって?場所、わかんないのに?」

ティガ「…………………………」(静止)



矢文アイルー(緑)「ガムート様~~!!」ピョコピョコ

ガムート「!」

ティガ「おっ……?」

矢文アイルー(緑)「矢文ですニャーー!渓流の、タマミツネ様より!」

------ほぼ同時刻、渓流------



ミツネ「………ガムちゃんへの矢文は届いたみたいだけど、ティガ君のは不在で戻ってきちゃった。旧砂漠にはいないみたい」

ラギア「うおお……ティガも雪山にいたりして………」ドキドキ

ミツネ「それなら話が早いからいいけどね。ラギア君、君に会えてよかったよ」

ラギア「おう!……居ても立ってもいられなくてさーー。無我夢中で川を上ってきたぜ」

ラギア「ライゼクスを探す計画を立てようと思ってさ!ミツネ、頭いいじゃん?なんか思いつくかもーって!」

ミツネ「うん。ちょうど手がかりも見つかったし」

ラギア「ミツネの親父が受け取った矢文だろ?……ちょっと、フオンな内容だよな……」

ミツネ「そうだね。『ライゼクス君は手遅れ』……『貴方がたのお子さんもそろそろヤバイかもです』って」

ラギア「送り主のスーパーヒーローってのもなんなんだ?お前の親父に、そんな変な友達いるのか?」

ミツネ「さぁ………オトーサンの友達は、ガムちゃんのママしかいないと思ってたけど」

ミツネ「でも、これ見て。『ライゼクス君は学校を辞めて、カワイーカノジョともお別れです』………」

ラギア「おお!?桜ちゃんとも別れたのかよあいつは!」

ミツネ「うん。僕たちも知らないことを、どうして知っているんだろう?」

ミツネ「もしかするとこのスーパーヒーローってのは、意外と身近な存在かもしれないよ」

ミツネ「……とにかく。この矢文に書いてある、ライゼクス君がいるとされている『あの場所』、僕が連れて行かれるはずだった場所、そしてオトーサンが向かった場所っていうのは、同じ場所なんじゃないかな……」

ミツネ「オトーサンは、『神の蘇生』って言ってたんだよね」

ラギア「ん~~~??……神ぃ?そんなんマジでいるのかよ」

ミツネ「わかんない。でも僕は、こういうことを聞くのに一番相応しいのは、あの人じゃないかと思うんだ」

ラギア「誰だ?冥ちゃんとか?」

ミツネ「ううん。もっと長い人……」

ミツネ「……ダラ・アマデュラ様だよ。行こう、千剣山ってとこに!」

ミツネ「……ガムちゃんへの矢文にも、近くの天空山で合流しようって書いたから、きっともう向かってるはず!」

------同時刻、古代林・ディノバルドの巣------



ディノバルド「………………」

ディノバルド「(明日は、冥さんと一緒に密林の遺跡を調べに行く約束だった……)」

ディノバルド「(………遺跡の調査は楽しい)」

ディノバルド「(冥さん………俺なんかに声をかけて、色々と教えてくれる………いい人だ)」

ディノバルド「(必要な道具を準備しておこう)」ゴソゴソ……



???「……………やあ」

ディノバルド「?」くるっ

???「………こんにちは」

ディノバルド「……………誰だ?」

???「…………」

???「君、ディノバルド君だよね」

ディノバルド「………………」

???「………ああ、本当に………」

???「…………お父さんに………そっくりだね………」

ディノバルド「…………?!……父を」

………ゴガッ!!

ディノバルド「!!…………う……」フラッ

ドサッ

???「…………」

???「さァ早く………誕生パーティーが始まるんだ」ぐいっ

ディノバルド「……………………」ずるずる…

???「ああ………ははは…………ああ……うれしい……」ドス、ドス……


ズルズル……ズルズル………

------数十分後、とある荒野------



………ヒュウウウウウウ……
……ドスゥゥーーーーーン!!!

ガムート「………ふぅ……天空山は、まだまだ先だね」むくっ

ティガ「ゼハーー……ゼハーー………わ、悪ぃちょっと………休憩……」ヨロヨロ……

ティガ「(とにかく急いでるし……ガムートに脚に掴まらせて無理矢理飛んできたが……)」

ティガ「(………重っ!!マジで!!!!)」

ガムート「ごめんね……や、やっぱり重いよね………」

ティガ「すまん!重すぎてビビる!!」

ガムート「ごめんなさい………」シュン

ティガ「……まぁ気にすんな!!健康的ってことで!!」

ガムート「……………」

ティガ「それにこの俺が重いのガマンして運んでやるのなんて、お前くらいだっつーーの!」

ガムート「………えっ?!//」

ティガ「………ミツネももう向かってんのか?何か思うところあって、天空山に呼んだんだろーけど」



…………ドタドタドタ……

ミツネ「………あ!!ガムちゃん!!」

ラギア「おーーーティガも来てたか!」

ガムート「ミツネっちーー!」

ラギア「早い地点で合流できたな、良かった!」

ティガ「なんで天空山なんかに行くんだ?もしかしてライゼクスがいるのか?」

ミツネ「いや。アマデュラ様に会いに行くんだよ」

ティガ&ガムート「??!!!」

ラギア「やーー俺も半信半疑で着いてきたけど、ミツネが『アマデュラ様に聞けば早い!』って譲らなくてよ」

ミツネ「アマデュラ様の住む場所は、天空山近くの千剣山だ、ってちょっと前にレウス先生から聞いたんだ」

ミツネ「今まで漠然としか知らなかったアマデュラ様の場所だけど、その時ちゃんとレウス先生に千剣山の位置も教えてもらった」

ガムート「さすがミツネっち………でも、アマデュラ様に何を聞くの?」

ミツネ「神様の居場所。ライゼクス君も、僕のオトーサンも……多分ガムちゃんのママもそこにいる」

ガムート「神様……」

ティガ「…………よくわかんねーけど、ミツネの言うことには従うよ!とりあえず天空山が遠くに見える位置まで来たし、あともう少し頑張ろうぜ」




……ゴオオオオオ……


ラギア「………なぁ、おい」


……ゴオオオオオ……


ミツネ「?」

ラギア「天空山の方角から、こっちに何か………」

ラギア「長いものが飛んできてねぇか?」

ガムート「……あ、ほんとだ。なんだろうね?」

ミツネ「距離からして、相当長くて大きそうだけど」

ティガ「あんな、白くて長いものっつったらなんだろうな?白ラギアちゃん?」

ミツネ「白ちゃんはあんなに大きくないよ………」


……ゴオオオオオ……


ミツネ「………ちがう!!ああああーー!!」

ガムート「!」はっ

ティガ「あー!」

ラギア「あれは……」

一同「………アマデュラ様じゃーーーーーーん!!!」



ラギア「わーーー!!アマデュラ様ーーー!!」ぶんぶん

ミツネ「聞こえないよ……!どうしたんだろう、どこかに向かってる!!」

ガムート「どっ、どうする?!どうしたらいいのかな!!」

ティガ「………飛び乗る!!!」ガシッ!

ガムート「!……きゃーーーー!!」ブワッ

ミツネ「ガムちゃーーん!ティガ君ーー!!」

ラギア「うおお、あいつらマジで飛んでった……(重そー……)」

ラギア「………俺らどうする?!ミツネ!!……地上から走って追いかけるか?!」

ミツネ「いや、アマデュラ様は速いよ……僕たちじゃ追いつけない」

ラギア「でもよ………!」

ミツネ「跳ぼう」

ラギア「は?!」

ミツネ「もう少し……アマデュラ様が、ちょうど僕たちの頭上を通過しそうな時!!」

ラギア「おいおい、ジャンプってことか?!」

ミツネ「まだ……まだだよ………よし、今だ!!地面蹴って!!!」ドヒュン!

ラギア「えーーーー?!」ドヒュン!!



ビュウウウウウウウ……

リオレウス「うお!!どうした、二人とも!!なんだ急に!!」

シャガル「ティガレックス、ガムート……!」

ティガ「………よっしゃ!乗れた!」

ガムート「せ、先生……!!」

リオレウス「何をしてる!降りなさい!!これからとんでもなく恐ろしい場所へ向かんだぞ!!」

ガムート「それって、神様のいるところですか?!」

シャガル「?!……なぜそれを……!」



ビュウウウウウウウ……

ティガ「ミツネーー!!ラギアーーーー!!!」

ミツネ「………おおおおおおおおおっ!!」ビュウウ……

ラギア「うわーー俺飛んでるーーーー!!」ビュウウ……

ミツネ「もう少し……!!ティガ君、手ぇ伸ばしてーーー!!!」

ティガ「おう!!」スッ

ミツネ&ラギア「うおおおおおおおおおお」ビュウウ……

…………ガシッ!

ティガ「!!………うううう……」ぐいっ

ドサッ

ミツネ「………はーー……乗れたぁ……」

ラギア「すっっげーーー。俺、飛べたんだな!!」

ミツネ「うん、跳べるよ」

ビュウウウウウウウ……

アマデュラ「………ああ、貴殿ら……!覚えがある。すまない、気付かずに」

ミツネ「いいえ!……突然乗り込んでしまって申し訳ございません!」

リオレウス「なんだなんだ、タマミツネたちまで!!」

シャガル「一体何がどうなってる?!」

ミツネ「お話しします、先生」

ガムート「多分、先生たちが向かっている場所と、私たちが行きたい場所は同じだと思うんです!」

------灼熱の地(神域)------



天眼「うっ、ぐぅ………!」ドサッ

銀嶺「……天眼っ!!」

天眼「……………………ウウ………」ヨロヨロ…

青電主「…………………」ドス、ドス……

青電主「………とんだフヌケだ!!!!」ドガッ!

天眼「…………!!」

青電主「ガキを連れて来いと再三言ったろう………?!クズが!!!!」ドズンッ

銀嶺「やめて、青電主………!それ以上は死んでしまう!!」

青電主「………死んでもらって結構だ!」ドスッ

銀嶺「………うっ……」ヨロッ

銀嶺「(力が出ない……!暑い……私の氷の力でも遮ることのできない熱波……!)」ガクン……



ライゼクス「…………………」オロオロ

ライゼクス「(ガムートのかーちゃん………)」

ライゼクス「(それに、ミツネの親父………二人とも、昨夜もここに来た)」オロオロ

ライゼクス「(なんだ……?仲間割れか?)」オロオロ


青電主「………ライゼクス!!!」

ライゼクス「!」ビクッ

ライゼクス「は、はい………」

青電主「お前の仲間!!ガムートとタマミツネはどこにいる!!!!」

ライゼクス「え………雪山と……けっ、渓流……?」

青電主「バカか!………こいつらが逃がしたに決まってるだろう……?!」

青電主「そこから逃げた場合、どこに行くんだ!!!」

ライゼクス「知らねェよ……!つーか、そんなこと聞いてどーすんだよ!!」

青電主「ここへ連れてくる!!!どんな手を使ってでもな!!!」

ライゼクス「…………?!」

ライゼクス「いや………お父上………!お、俺が学校辞めて全ての交友関係を絶ったら……」

ライゼクス「他の奴らには手を出さねェって言ったよな?!」

青電主「言った。それがどうした!!」

ライゼクス「話が違う………!お父上がそう言うから、俺は従ったのに………!」

青電主「………………」

青電主「……フーーーーーーッ………」

青電主「………………」ドス、ドス、ドス………

ライゼクス「お父上………俺は言う通りにしたぞ!」

青電主「あァ………そうだな。…………それで?」

ライゼクス「だからっ……他の奴らには手を出すなよ!ガムートとミツネも、ここに連れてくる必要ねェだろ………?!」

ライゼクス「約束したじゃねェか……!」

青電主「……………ハッ」

青電主「………お前ェ……………!」

ライゼクス「………!」ゾクッ

青電主「………この俺が………お前との約束なんか守るわけねェだろう………」

青電主「学習しろ………愚か者が」

ライゼクス「な………」

青電主「クソバカだな……まんまと、信じたのか」

青電主「お前も、他のクソガキも!!!………全ての命を使わせてもらう」

天眼「……………っ、させない………!」グイッ

青電主「………………離せ」

天眼「離さぬ………!断じて、子供たちの命など使わせない…………!」

青電主「何故だ?………その為に子供を作ったのに」

天眼「ああそうだ!………確かに最初は………命令に従って、この日の為に子供を作った………!」

天眼「だが実際、子が生まれてみれば………なんと尊いことか………!」

青電主「…………」

銀嶺「…………」

ライゼクス「…………」

天眼「極上の宝石も、あの陽の光ですらも我が子の眩さには勝てぬ………そんな我が子の命を捨てることなど、どうして出来ようか?!」

青電主「……………」

天眼「青電主よ………!ライゼクスはお前の息子だ!………私が息子に抱く心と、お前がライゼクスに抱く心に相違があるとは考えたくない!」

天眼「改めて考えてくれ……!彼処に居るのは、お前の血を分けた子だ!!それでも尚、ライゼクスの命すらも使うというのか!!」

青電主「……………」

青電主「……………天眼。貴様………眼だけでは足りずに口まで潰されたいか」

天眼「……………!」

天眼「青電主………何故、自分の息子を愛せないのだ………!」

青電主「愛する必要が無いからだ」……バチバチバチバチバチッ!!

………ドサッ

青電主「……………」

銀嶺「(天眼………!)」

ライゼクス「あ………(まさか……ウソだろ………?!死んだのか?!)」ブルブル

青電主「…………死んじゃいねェよ………」

青電主「この世は愚者ばかりだ。俺の言うことを聞いていれば、痛い目を見ずに済んだのに」

青電主「なぜガキを連れて来ねェ。なんのために作ったガキだ!!」

銀嶺「………………っ………」

青電主「銀嶺。お前、もう限界だろう」

青電主「お前は暑さに弱いもんなぁ………友達を助けることが出来ず、悔しいか?」

青電主「せっかく、俺に勝てそうな力を持っているのにな。残念だ」

ライゼクス「………………」

青電主「………お前らが俺を出し抜こうとするとは思わなかった……」

青電主「ライゼクスは旧大陸にはいなかった、とな。……まさかそれが嘘なんてな………」

ライゼクス「……………?」

青電主「ライゼクスがあまりにも見つからないもんで……お前ら二人が探したと言っていた旧大陸を改めて探してみたら、当たりだ!」

青電主「………ライゼクス、どんな気分だ?お前の父親がお前を愛さないばかりに、他人の親に庇われるのは」

銀嶺「……………大人なら、当然よ………!子供を守ろうとして、何が悪いと言うの………」

青電主「ハハハ……」

ライゼクス「………………………」

ライゼクス「(よくわかんねぇけど………ガムートとミツネの親たちは、お父上とは真逆の意思を持っているのか………?)」

ライゼクス「(なら、なんでもっと早くに反抗しねェんだ?………あの二人なら、お父上を殺すこともできそうなのに………)」

ライゼクス「(校則があるからか?卒業生にも適用される……。いやでもお父上は自主退学しているから、お父上には適用されない……)」

ライゼクス「(殺そうと思えば、お父上を殺せたはずなのに………)」


青電主「俺を殺したいと思っていたんだろう」

銀嶺「…………そんなこと…………」

銀嶺「私たちは、ただ……!あなたが考えを改めて………神の蘇生や、子供たちの命を使うなんて馬鹿なことをしなければいいと……………!!」

青電主「……馬鹿なのか、俺は?」

銀嶺「………………」

………ぐいっ!

天眼「ハァ………頼む、青電主………!」

青電主「なんだ、もう目が覚めたのか」

天眼「神の蘇生をするなど考えないでくれ……!………せめて……蘇生に子供たちの命は使わないでくれ………!」

青電主「……………」

天眼「銀嶺とは話した………氷の力は、ガムートではなく銀嶺のものを使ってくれ!!」

天眼「………そして私は幸い………火の力も扱える……」

天眼「…………だから、ディノバルドの力も必要ないだろう………?!」

青電主「……………………………」

ライゼクス「………えっ………」

ライゼクス「ディノバルドって、あのディノバルド……?」

------ダラ・アマデュラの背中------



………ビュウウウウウウウ………


リオレウス「………なんてことだ………ライゼクスの父親だけでなく、ガムートとタマミツネの親御さんまでもが関わっていたのか……!」

シャガル「………やはりライゼクスも神域にいるだろう………間違いない」

ティガ「うーーーーん、やっぱライゼクスの親父っつーのはサイテーの野郎だな!」

ラギア「な!会ったらボコボコにしてやろうぜ」

リオレウス「簡単に言うな、強いぞ」

シャガル「私のきょうだいと手を組み、神を……アマデュラ様の友を蘇生させようとしている」

シャガル「……やはり真の目的は、アマデュラ様の友の力を使って世界を壊すといったところなのか?」

ティガ「悪党っつーのはどいつもこいつも世界を壊すのが好きだな!他にやることねーのか!」

ミツネ「そうだろうね。きっと暇なんだ」

ガムート「もっと他に楽しいこともあるよね」

ラギア「そーそー!!歌うたったりなーー!」

リオレウス「…………お前ら危機感がないのか……?これからどこに行くのか、本当にわかっているのか?」

ティガ&ラギア「し・ん!」

ガムート&ミツネ「い・き!!」

シャガル「アマデュラ様。神域とは溶岩に溢れた土地なのでは?」

アマデュラ「ああそうだ。聞き忘れたが皆の者、耐えられるか?」

ラギア「………えっ、溶岩………?ムリムリ、死にます」

ガムート「火山みたいな気候なんですか……?どっ、どうしよう!私、死んじゃうかも……」

ミツネ「大丈夫!」スッ

ミツネ「僕が、クーラードリンクスーパーグレートを持ってきているからね」

ティガ「スゲーー!!準備良すぎだろ、ミツネ!!」

ミツネ「オトーサンの身体から溶岩の臭いがしていたから、ガムちゃんたちに必要かと思って持ってきたんだ」

アマデュラ「さすがリオレウスの教え子だな、非常に優秀だ…………」

ラギア「効果時間は?」

ミツネ「6時間」

スゴスギーーーー………



ビュウウウウウウウ…………

------神域------



ライゼクス「ディノバルドまで手にかけるつもりなのか?!お父上!!」

青電主「当たり前だ、その為に生まれたのだからな」

ライゼクス「その為に、って……!」

ライゼクス「俺だけでいいじゃん!!そうだろ?!他の奴に迷惑かけないでくれよ……!!」

青電主「黙れ」ぐぐっ……

ライゼクス「…………ゲホッ(首を……!)」

青電主「……確かにお前の力は必要だが………お前だけでは、神に十分な力は与えられない」

青電主「属性が全て揃わなくてはな………!」スッ

ドサッ!

ライゼクス「ぐ……………」

青電主「大体、お前ら二人の力を使って氷と火が揃ったところで、あとはどうするんだ」

天眼「………それは……………」

青電主「確かに、一つの属性でも蘇生はされるらしいが……死ぬ前の力を完全に取り戻させるには、全ての属性を揃えなきゃならんだろう」

青電主「…………思いつきでモノを言うな、愚か者が」

青電主「まったく………普段大人しく従っているかと思えば、ここへ来て反抗してくるとはな」

青電主「俺ァ……残念だ。ライゼクスの居場所を隠されただけではなく、最後の最後にガキを連れてくることもしねェなんてな………」

天眼「…………………」

銀嶺「…………………」

ライゼクス「お父上!どうして、神なんか蘇生させようなんて思うんだよ……!」

青電主「………俺だけの意思ではない」

ライゼクス「……え…………」

青電主「元々は……俺たちの新しい主が、神の蘇生を目論んだんだ」

青電主「………神が蘇生すれば、簡単に世界は消え去る、とな………。面白いだろう」

ライゼクス「………………」

青電主「だが、俺はな。世界が消え去ったあとまでその主に仕える気は無い」

青電主「この世の生命が、神と俺と主だけになった時、俺はその主までもを神に殺させる!!」

青電主「…………この世界は俺のものになり、俺だけが神と共に在る!!それが俺の生きる意味…………」



…………ドズッ!………



青電主「?!…………が………………」ズブッ……

ライゼクス「……は……?(………何かが、お父上の身体を貫いて……?!)」




???「…………聞き捨てならないですね………」

青電主「…………主……………!!」ギギ……

???「………アンタの本心が聞けてよかった………」

ライゼクス「…………………!」

???「………でも、あんまり……驚きもしないかな…………」

青電主「……ウ…………グ………………」ピクピク……

ライゼクス「あ……………うそ………」

ライゼクス「………お前は…………………!!」


???「……やァ………ライゼクス君」

------ダラ・アマデュラの背中------



ビュウウウウウウウ……

ラギア「アマデュラ様、まだ着かないんスか!!」

シャガル「お前、無礼だぞ!!降りろ!!!」

アマデュラ「いや、すまないな。なにぶん遠い地にあるものでな」

ティガ「そのアマデュラ様の友達って、どうやって死んだんだ?」

リオレウス「溶岩の中に身を沈めて、生命活動を停止したそうだ」

ガムート「えっ、溶けたってことですか?」

ミツネ「蘇生なんか不可能じゃない?溶けちゃってたら」

アマデュラ「いや……そうではない。友は溶岩と共に生きていた……溶岩が友の命を奪うことはできない」

ラギア「じゃ、尚更なんで死ねたんだ?メシ食わなかったとか?」

ティガ「ずっと息止めてたとか?」

アマデュラ「友が死を望んだ……それだけで、友の身体は生命活動を停止できたのだ」

シャガル「生死をも自由に選択できる。それほどの存在であったということだ、アマデュラ様の友は」

ガムート「そ、壮大すぎる……」

ミツネ「ところで、その『アマデュラ様の友』って……お名前は?」

アマデュラ「ああ、まだ伝えていなかったか」

アマデュラ「煌めく黒い身体を持っていた……」

アマデュラ「………友の名は、『アルバトリオン』」

------森丘・銀レウス家------



桜レイア「………うーー……頭いた……」むくっ

桜レイア「(昨日一日中お酒飲んじゃってたし………)」ズキズキ

桜レイア「(なんであんなにお酒飲んだんだっけ……)」

桜レイア「……………………」ボーッ…

桜レイア「ああ……クスクスと………別れたんだっけか……」

桜レイア「…………やだあぁ!!別れてないよぅ!!!」じたばた


銀レウス「………桜、起きたのか」ドス、ドス

桜レイア「パパ~~……」

銀レウス「ライゼクスから連絡は?」

桜レイア「…………」ふるふる

銀レウス「………そうか…………」

銀レウス「……俺は仕事に行く。ライゼクスを意識して探すことにする」

桜レイア「………あたしも行く………」

銀レウス「ダメだ。もし恐ろしいモンスターに遭って食われでもしたらどうする?それに、ニンゲンのハンターに攻撃されたら?」

銀レウス「お前がもしシビレ罠にでもかかったら!!」

桜レイア「(パパのカホゴ!)」

桜レイア「………じゃあ、見送る………」ドス、ドス……

銀レウス「頼む」ドス、ドス……


桜レイア「お仕事頑張ってね」

銀レウス「ああ、行っ……」

銀レウス「……………あ?!」ぎょっ

桜レイア「? なに、上に何かあるの?」

桜レイア「………あれっ?!……あれって、もしかして………」

銀レウス「ダラ・アマデュラ様だ!!…………なぜ千剣山をお出になっているんだ?!」

桜レイア「また黒龍の時みたいに、なにか起きたのかな……?」

銀レウス「大変だぞ……!よっぽどの事だ!!桜、俺はアマデュラ様を追いかける!!」

銀レウス「今日は外出するな、蒼にも伝えろ!あと、ママにも!!」

銀レウス「できるだけ巣の奥に固まって……」

桜レイア「パパっ!!あたしも行く!!」

銀レウス「?!……何を言っている!!」

桜レイア「あたしも行くって言ってんの!!なんかわかんないけど、行かなきゃいけない気がするの!」

銀レウス「ダメに決まってるだろう、そんな……」

桜レイア「行く!!!じゃなきゃ、パパが実は◎◎のフィギュアをこっそり集めていることをママに」

銀レウス「わかった!行こう!でも少しでも危険そうなことがあったらすぐに戻るんだぞ!」バサッ!

桜レイア「うん!」バサッ!


バサッ、バサッ……

------神域------



鏖魔「……さんっ………黒ディアさんっ!!」ゆさゆさ……

黒ディア「……………う……」

鏖魔「黒ディアさん……!大丈夫?!」

黒ディア「鏖魔くん………鏖魔くんこそ、大丈夫?」

鏖魔「僕は大丈夫……よかった、黒ディアさん」

黒ディア「ここ、どこ………?火山?」

鏖魔「僕もわかりません………気が付いたらここに連れて来られてて……」

黒ディア「一体誰が……………」

鏖魔「…………………」

黒ディア「………鏖魔くん………」

鏖魔「………………」

黒ディア「…………鏖魔くん………その、ツノに刺さってるの………なに…………?」

鏖魔「……………ああ……………これ………?」

青電主「……………………」ピクピク………

鏖魔「………僕の下僕ですよ」ブンッ!

青電主「ぐぁっ!!………あ゛……!!」ドサッ

青電主「……………フー……フーー………」ピクピク…


ライゼクス「………………!」ガクガク

ライゼクス「(………鏖魔が……………背後からツノでお父上を貫いた………)」ガクガク

ライゼクス「(………どういうことだ………?!)」ガクガク…


黒ディア「…………………?」

黒ディア「え…………?鏖魔くん、その人誰?」

鏖魔「僕の下僕ですよ」

黒ディア「………?」

鏖魔「………………ふっ」くるっ!

ライゼクス「!」

鏖魔「ライゼクス君、驚いた?」

黒ディア「あ……ライゼクス」

ライゼクス「……………」ガクガク

鏖魔「……アッハハーーー、なにその顔」

鏖魔「状況が飲み込めないですか?」

ライゼクス「…………あァ…………どういうことだよ………!」

ライゼクス「いきなりお父上の身体を貫いて、黒ディアと……ディノバルドまで連れてくるなんてよ………」

ライゼクス「(ディノバルド、動かねェ……死んでんのか……?)」

ディノバルド「………………」

鏖魔「ああ、お父さんを刺した理由が知りたいの?」

鏖魔「……君のお父さんは、反逆者だ」

鏖魔「僕の下僕として生きていたのに、神に僕を殺させるつもりだったんだもの……」

鏖魔「だから、お仕置きしたんだ」

ライゼクス「………お前が、お父上たちの主なのか……!」

鏖魔「そうですよ」

鏖魔「………あれ?………天眼さんと銀嶺さんも死にかけてる………」

天眼「………………」

銀嶺「………………」

鏖魔「暑いもんね。あはは」

黒ディア「………鏖魔くん……」

鏖魔「……………僕のこと、大人しくて地味でダサくて存在感がない、って思ってました?」

ライゼクス「………………まァな」

鏖魔「アハハ!!!………僕の演技もなかなかですねぇ」

黒ディア「…………………」

鏖魔「………なに、その目。………黒ディアさん」

黒ディア「………………っ」

鏖魔「気絶したフリして油断させたところを、後ろからブン殴ったことがそんなに気に食わないの?」

黒ディア「………鏖魔くん………わ、私のこと好きなんじゃなかったの………?」

鏖魔「………んなワケないでしょ………」

黒ディア「……………」

鏖魔「………アァハハ……………」

鏖魔「…………………あァ…………なんだよその目は!!!」

鏖魔「僕の母にそっくりだ!!……僕を!!!鏖魔と呼んだ母に!!!!!!」



”………こんな醜い子、私の子じゃない………”

”嫌だ、近付けないで!………気味が悪い!!”



ライゼクス「…………………」

黒ディア「………………」

鏖魔「初めて見た時驚きました、本人がいるのかと思った」

鏖魔「………だけど、そんなはずはないんだ………母のことはもう、とっくに殺したんですから………」



”……ごめんなさい、殺さないで!!”

”許して……!!ごめんなさい!もう貴方を醜いなんて言わないから!!!”


”うるさい死ね!!!僕をこんな姿に生んだ癖に!!!”



鏖魔「………醜い醜いと言われ………母の胸に抱かれたこともない………」

鏖魔「母どころか父まで僕を嫌いましたよ………!!」

鏖魔「砂漠を支配して、エラそうに何人もの下僕を従えてた父………マ王と呼ばれた僕の父!!!そんな父もねぇ、うん……僕が殺したよ」

ライゼクス「………父親を…………」

鏖魔「……ねェ、ライゼクス君。君の気持ちがわかるよ、親ってのは憎い存在だね」

鏖魔「君も親を殺したいでしょう?」

青電主「…………!………ハァー………」ガクガク…

ライゼクス「……………………」

鏖魔「でも、もうここまで来たら、わざわざ殺す必要はありませんよ」

鏖魔「……………みんな、お別れだ」

鏖魔「……………………」くるっ

黒ディア「!」ビクッ

鏖魔「……………………」ドス、ドス

黒ディア「お、鏖魔くん………!」

鏖魔「………………」ドス、ドス………

黒ディア「鏖魔くん………愛が欲しかったの………?」

鏖魔「!」ピタッ

黒ディア「お母さんにも、お父さんにも愛されなくて、寂しかったんだよね………?」

黒ディア「そんなに怖い顔しないで………。だったら私が」

鏖魔「……『だったら私が愛をあげるよ』……とか………バカ丸出しの寒いこと、言いませんよね?」

黒ディア「……え……………」

鏖魔「ああ、言うつもりだったんだ」

鏖魔「バカだなぁ、とんでもないバカ女……」

鏖魔「さすがに僕の母も、君よりは利口だったかも………」

鏖魔「そんなバカなこと言われてさぁ、『うんありがとう黒ディアさん』って僕が泣きながら言って、平和にチャンチャンだと思いましたか?」

鏖魔「ハハハァ………!」

黒ディア「……………………」

鏖魔「殺したかった、一目見たときから………。母にそっくりな君を、殺したくて殺したくて………!」

鏖魔「………思わず手を出してしまいそうになって………!平静を装うのが大変でしたよ」

黒ディア「………そんな………」

黒ディア「……時々、触れてきてたのは………私を殺そうとしてたからなの………?」

鏖魔「そうだよ………」

黒ディア「………そんなぁ…………」ポロポロ……

鏖魔「……わぁ、もっとそっくりだ………母の死に際の顔に」ゾクゾク


ライゼクス「(や、ヤバそ………サイコ野郎だ………)」

鏖魔「あーー、殺すよ。今殺すよ………さよなら、黒ディアさん……」グァッ!!

黒ディア「……………」ポロポロ

ライゼクス「っ、さすがにサイコ!!さすがにサイコ!!!!」ガッッッ!!

鏖魔「…………なに、邪魔するんですか………?」

ライゼクス「す、するわ!!さすがにサイコ、お前!!!」

鏖魔「………意味不明なこと言わないでくれる?」

鏖魔「へぇ、ライゼクス君。ただのヘタレだと思ってたけど、君も女性を助けることがあるんですね」

ライゼクス「普通助けるわ!……ごめん黒ディア!!鏖魔がサイコ野郎過ぎて硬直した!」

黒ディア「…………」ポロポロ……

鏖魔「サイコ野郎とは……また不名誉な呼び方をして……」

鏖魔「…………ネフィリム!」

ライゼクス「?!」

…………ドスン!

????「……………………」ゆら……

ライゼクス「(なんだこいつ………?!いつからこの場所に居たんだ?!)」

ライゼクス「つーか、え?………ゴマ?」

鏖魔「………そう、ゴア・マガラ………」

鏖魔「脱皮不全のね………。天から堕ちた、渾沌に呻くゴア・マガラ」

????(渾沌ゴマ)「………………」

ライゼクス「渾沌に呻く…………」

鏖魔「僕たちはネフィリムと呼んでいるけどね。僕が唯一、心から信頼する友人ですよ………」

渾沌ゴマ「……………」

鏖魔「………ネフィリム。ウイルスを撒こうか」

ライゼクス「や……やめろよ…………!………ウイルスなんて……」

鏖魔「…………ウイルス感染させて狂わせて、それから命を貰っても差し支えはない」

鏖魔「どうせなら楽しもう。ネフィリム……」

黒ディア「鏖魔くん、やめて………!」


………ギシャアアアァァァァァァァァッ……

渾沌ゴマ「ウウ………」ゴオォ…

ライゼクス「……マジかよ…………!」



……………………キイイイィィン……

バルファルク「……………スーーーパーーーー!!!!!」

鏖魔「……?!」

バルファルク「ソニーーーーーーーーーーッッッック!!!!!」


シュドーーーーーン……
ボボボボボ………


黒ディア「?!!」ブワッ

ライゼクス「な………」ブワッ


ボボボボボ……

バルファルク「……………」ニヤッ

バルファルク「………鏖魔くん!女の子をいじめたらダメだよ!!」

鏖魔「…………お前………………」

ライゼクス「………いてェ……めっちゃ吹っ飛んだーー……黒ディア、大丈夫か?」むくっ

黒ディア「大丈夫……なに?びっくりした……」むくっ


バルファルク「鏖魔くん、僕に嘘をついたね?女の子を大事にするって言ってたのに!」

鏖魔「………………」

鏖魔「……ネフィリムの上から退いてくれますか……」

渾沌ゴマ「………オォ………ア……」

バルファルク「……おっと!ゴメンねーー」ヒョイッ

バルファルク「神域の場所なんてわかんないよ!!生まれてこの方、何百回も世界一周旅行をしてきたけど」

バルファルク「こんな場所知らないし……探すのに苦労したよ。ものすごい暗雲に包まれてて、上空からじゃわかりにくいね」

バルファルク「でも、黒ディアちゃんの悲痛な声が聞こえて、ここだと思ったよ………」

鏖魔「…………………」

鏖魔「…………毎日僕の周りをチョロチョロ、チョロチョロとして…………」

鏖魔「…………なんのつもりですか」

バルファルク「………ただのヒーロー!!君みたいな悪役を倒すためにやってきたよ!!」

黒ディア「うわあ」

鏖魔「………チッ……………ネフィリム、あの男を半殺しにして」

鏖魔「ちょうどいい。龍の力を貰おうね」

渾沌ゴマ「……………」コクン

バルファルク「……天眼さァーーーん!銀嶺さァーーーん!!すいませんけど、ちょっと耐えてください!こっちを先に片付けますから!!」

バルファルク「………最初に言っとくけど、僕にウイルスは効かないよ!」

バルファルク「なんたって、ヒーローだからさ!」

ライゼクス「古龍だからだろ…………」ボソッ

鏖魔「最初に言っとくけど、ネフィリムはちゃんと強いよ」

渾沌ゴマ「………………」

バルファルク「そう…………じゃあ遠慮なく!」ドヒュッ

渾沌ゴマ「!」ドガッ……

ドゴォーーーーーーーーン………



ライゼクス「(速っ………)」

鏖魔「…………………」くるっ!

ドス、ドス……

ライゼクス「オッ………や、やんのか」

ライゼクス「刺すのか?!俺を!!」

黒ディア「鏖魔くん………」

………スッ………

鏖魔「………………」ドス、ドス

ライゼクス「あれ………?(通り過ぎてった……)」

鏖魔「………………」ボゴン!!

ディノバルド「!!!!」ガバッ

ディノバルド「…………?」

鏖魔「……起きて、ディノバルド君」

ライゼクス「ディノバルド!!」

ディノバルド「何だ…………、ここは」

ライゼクス「ディノ!そいつやべぇぞ!!」

ディノバルド「……………」

鏖魔「ディノバルド君……………」

ディノバルド「………誰なんだ、お前は」

ディノバルド「…………俺の父を知っているのか………?!」

鏖魔「……………」

ライゼクス「(どっ、どーすべ……)」ハラハラ

ライゼクス「(後ろからいきなり尻尾で麻痺させるか……?!いやでもあいつ身体デケェし効かねぇかも……)」ドキドキ

鏖魔「…………まだ来ないのかな………?」

ライゼクス「だ………誰が………?」ハラハラ…

鏖魔「役者が揃わないとさ………」

黒ディア「(なに言ってるの………?)」

鏖魔「………いっか………。先に、雷と火の力を貰おうかな」

ライゼクス「………!」

ディノバルド「………?!」

鏖魔「祝うべきは、君たちが最初に神に力を与えることですよ………」

鏖魔「………………」ズブズブ……ゴゴッ

黒ディア「なんなの………溶岩の中に入っていっちゃった……」

ライゼクス「………まさか………!」

………ゴゴゴォ………ゴゴゴ……

ズッ……ズズズズズゥ…………

青電主「!!………ハァーー……ハッハハ………」ヨロヨロ……

ライゼクス「(げっ、お父上!!立ち上がったし!!)」

青電主「フゥーー……フゥーー………よく見とけよ………お前ら………」ヨロヨロ……


……ズズズズズ………ッ……



アルバトリオン「…………………」ズズズ……



黒ディア「…………!」ゾクッ

ディノバルド「………何だ………これは………!」

ライゼクス「………やべーーー」


鏖魔「………ハァ………ちゃんと見て!!」

鏖魔「………これが真の神………!!アルバトリオン!!!!」

アルバトリオン「………………」


バルファルク「?!………うわっ、なにあれ……!」

渾沌ゴマ「…………」ズガァン!

バルファルク「ぬおっ」ヨロッ

バルファルク「(油断した………ウイルス関係なく、結構強いね………)」




……………ギャーーーーーーーーーーーーース……………

……ビュオオオオオオオオオ……



ライゼクス「!!……上から何か………?!」

黒ディア「落ちてくる………」

ディノバルド「………なっ………………?!」


ラギア「………ラーーーーーイーーーーー!!」ビュオオオオオ………

ティガ「ゼーーーークーーーーーーース!!!!」ビュオオオオオ………


ライゼクス「ティガ………?!ラギアと………」

ディノバルド「ガムートにタマミツネ……?」

黒ディア「先生たち……」



…………ドッ………ゴオオオオオオオオオオオン!!!!!

ティガ「ライゼクス!!」ガバッ

ライゼクス「??!!」ドサッ…

ゴロゴロゴロゴロ………

ライゼクス「お前ら………!なんでこんなとこまで?!!!」

ティガ「ライゼクス、大丈夫か?!」

ライゼクス「俺は…………」

ティガ「大丈夫そーだな、よし!!」バキィッ

ライゼクス「ぶっーーーーー」ズザァーーッ……

ライゼクス「………てめーーー!!なにいきなり殴ってきてンブ」

ティガ「どぅるあ!!!!」メ゛コッ

ライゼクス「ーーーーーーーーー!!!」ドヒューーーン………

……ドサッ

ライゼクス「うぅぶ………う゛っ……………あ~~~~………」ヨロヨロ……

ライゼクス「……バカ野郎!!いきなり二回も殴り飛ば……」

ティガ「コレでチャラ!!な?!!」

ライゼクス「……………はい?」



ガムート「すごい!全然暑くない!!」

ミツネ「それはよかっ………ああっ!!」ダダッ

ガムート「え………あーーー!!」ドスドスドスッ

ミツネ「オトーサン……!!」ゆさゆさ

天眼「………!ミ……ツネ………」

ミツネ「よかった、生きてるね?!」


ガムート「ママ!!ママーーー!!」ゆさゆさ

銀嶺「…………」

ガムート「ママっ!!やだ………!!起きて!!」

ガムート「身体についた雪が全部溶けてる………!ミツネっち!!!」

ミツネ「…………!」ポンッ

ガムート「(緑の泡………)」

ポンッ

銀嶺「……う………ガムート………」

ガムート「ママ……!これ飲める?!クーラードリンクSGだよ……!」



リオレウス「ライゼクス!!まさかお前もここにいるなんて………」

ラギア「ディノもいる!ディノも!!!」

シャガル「きょうだい……!バルファルクと………」

ティガ「………なんかいろいろカオスだけど………一番ヤバそうなのはあれか……?!」

ライゼクス「……あれが神だってよ………!アルバトリオン!!」

ラギア「溶岩から半分だけ身体出してる……死んでんだよな………?」

ディノバルド「……お前ら、一体どうやってこの場所に………?!」



渾沌ゴマ「……………」

……スッ……

バルファルク「おりゃ!!………あれ?」スカッ

バルファルク「??………行っちゃうのーー??」

バルファルク「おーーい!!僕が勝ちってことでいいのーー?」


アルバトリオン「…………………」

リオレウス「………こ、これがアルバトリオン………?」

シャガル「そうですね。………確かに、死んでいる」


鏖魔「……………あァみんな……!!よく来たね………!!!」


一同「!!」

ティガ「あ?鏖魔………?!」

ラギア「なんだァ?なんでこんなところに………」

鏖魔「……………」にや……


天眼「………気をつけろ………!!あの者が全ての元凶だ………!!」ヨロヨロ…

ミツネ「オトーサン……無理に立たないほうが……」


シャガル「元凶………?!」



ティガ「(ひそっ)俺たち、アマデュラ様の背中に乗って来たんだぜ……」ひそひそ

ライゼクス「(ひそっ)えっ………アマデュラ様はどこにいるんだよ!」ひそひそ

ラギア「(ひそっ)まだナイショですぜ」ひそひそ……



シャガル「………お前が、私のきょうだいを洗脳したのか?」

鏖魔「洗脳だなんて!………いやだ……人聞きが悪い」

鏖魔「………先生、わからないかな………わからないよね………」

鏖魔「『ふつう』に生きている貴方にはね………」

シャガル「……………………」

鏖魔「今でもたまに夢に見る………頼んでもいないのに僕を生んだ母と………僕を生き物扱いしなかった父…………僕を蔑んだ僕の両親!!」

鏖魔「………僕のツノと身体の色は……そんなにおかしいですか………?」

シャガル「…………………」

鏖魔「望んでこんな姿に生まれたわけじゃない…………僕は………!!僕は『ふつう』のディアブロスに生まれたかった!!!」

黒ディア「…………!」

鏖魔「この世界のディアブロスが僕しか居なかったなら、僕はただの『ふつう』のディアブロスだ!!」

鏖魔「黒ディアさん」

黒ディア「えっ………」ドキッ

鏖魔「だから僕は君を殺したい」


ティガ「………鏖魔と黒ディアって、付き合ってなかったっけ………?」ひそひそ…

ライゼクス「それがさァ………鏖魔には狙いがあってだな……」ひそひそ…


黒ディア「……………」

鏖魔「まず僕の母にそっくりだし………それに君も、所詮は『ふつう』のディアブロスだ」

ラギア「亜種だぞーー」ボソッ

鏖魔「………ただ表皮が黒いだけだろ?!………ただのディアブロスだ………僕に比べればただのディアブロス」

黒ディア「………鏖魔くん………」

鏖魔「誰にも僕を鏖魔だなんて呼ばせない………!その為に僕は世界を殺す!!!」

リオレウス「………………」

シャガル「………………」

鏖魔「………先生………。僕とネフィリムは似ていると思いませんか……?」

シャガル「………………例えば?」

鏖魔「………ネフィリムは、望んでこんな姿になったわけじゃない………あなたのせいだ」

シャガル「…………………」


ラギア「あのゴマにそっくりなやつ……顔の半分と腕の一部だけ、脱皮しかけてんな」

ティガ「………グロいだろ…………なんだありゃぁ……」


鏖魔「あなたが先に禁足地に着いたせいで、あとの者はシャガルマガラになれなかった……!!ネフィリムが脱皮不全を起こしたのは、あなたのせい!!!」

シャガル「……………!」

渾沌ゴマ「………………」

鏖魔「………禁足地の淵から落ち、何十年も呻いていたネフィリム………。可哀想だった………」

シャガル「きょうだい………」

鏖魔「出会ってすぐに、僕が匿った。………この神域に逃してね………」

渾沌ゴマ「…………………」

鏖魔「……ネフィリムには目的があった………。ねぇ、ネフィリム?なんだっけ………」

渾沌ゴマ「………………フ………」

渾沌ゴマ「………ふくシュう………………したイ………」

シャガル「………………」

鏖魔「そうだねぇ……そうだねぇ………」

渾沌ゴマ「………ウゥ…………シャガるマがラに………なリタかった……………ウウ………」

シャガル「………………」

鏖魔「うん………わかるよ…………うん、うん………」

渾沌ゴマ「……おマ、ウウ………おまエのセイだ………フゥー、オマえの」

シャガル「…………だからウイルスを撒いたのか…………?」

鏖魔「うん。あなたたちが追放されて死ねば、この世のマガラはネフィリムだけになる」

鏖魔「もう誰もネフィリムを『渾沌に呻くゴア・マガラ』とは呼ばない…………」

シャガル「……………」

シャガル「……………それと、アルバトリオンの蘇生との関係は?」

鏖魔「………やっと聞いてくれましたね」

リオレウス「…………お前の歪んだ願望を叶えるために利用するのか………?」

鏖魔「歪んだ、は余計です………僕たちはただの信仰者だ」

鏖魔「世から疎外され、まともに生きてこられなかった可哀想な僕たちの、些細な願いを叶えるために………生き返ってもらうだけです」

シャガル「……冒涜だ………!アルバトリオンは既に死んでいる。貴様のやっていることは、死者への冒涜だぞ?!」

鏖魔「………フッ、あはははは……!!冒涜……!冒涜って!!」

鏖魔「死者への冒涜は許されないのに、生者を軽蔑して疎外することは許されるの?おかしくない?」

シャガル「貴様の生い立ちには………同情する。だがそれはアルバトリオンを蘇生させていい理由にはならない」

シャガル「貴様のやっていることは、全く見当違いなことだ」

鏖魔「………オセッキョウか。さすが……えーっとなんだっけ……ああ、さすが副主任」

鏖魔「………最後に、学校ってやつに通ってみたかった。多くの存在に囲まれて勉強するのは、どんな場所だろうって」

鏖魔「………………だけど…………ふふ…………実際通ってみたら、まぁ………取るに足らない……実にくだらない場所でしたよ……………!!」

シャガル「………………」

リオレウス「…………蘇生など、可能なのか?」

鏖魔「……可能だ!……………幼い頃、父の書斎で見つけた古書にあった。既に死んだ最強の古龍………神の蘇生方法が」

鏖魔「アルバトリオンは多くの属性を操る。それぞれの属性を持つ者をアルバトリオンと融合させれば…………再び神は力を持ち、生者となる」

鏖魔「神であれば、この世の何が正しくて何が正しくないかの判断など簡単でしょう……。僕は正しい!神は必ず、僕の心を理解してくれる!!」

鏖魔「…………神の力を使い、僕は世界を殺すのです………」


ラギア「………サイコだ」ボソッ

ライゼクス「だろ?!最高にサイコだよな……」ボソッ


鏖魔「その神を是非とも蘇生させたい。その時ちょうど、僕の周りに残っていたのが、あの方々だ」スッ

銀嶺「…………!」

天眼「………」

青電主「……フーーー……ハハ………」

鏖魔「………ディノバルド君。君のお父さんもね」

ディノバルド「!」

鏖魔「元々は、四人とも僕の父に仕えてたけど………両親が死んだ後は、子である僕に仕えた」

鏖魔「面白いね。いい歳した大人が、一人のガキに仕えるんだ」

鏖魔「僕の命令は絶対だ…………!僕は彼らに命じた。子供を作れ、と」

鏖魔「………幸運なことに、龍以外の属性が揃っていた……だからその子供を、アルバトリオンを蘇生させるために利用しようと思ってね」


ガムート「ママ………そうなの………?」

銀嶺「…………」コクン

鏖魔「若い生命を使うのがいい!………子供が成長し、大人になりかけている時期…………若い力が爆発しそうな時!!」

鏖魔「それが、今」

ミツネ「…………」

ライゼクス「…………」

鏖魔「………君たちがその年齢になるのを待っていたんだ………よく育ってくれたね」

ディノバルド「……………」

鏖魔「まぁ…………青電主さん以外は………生まれた子供を差し出すことに抵抗があったみたいだけど」

鏖魔「…………よく覚えてる。ディノバルド君、君のお父さんの燼滅刃さんは…………」

鏖魔「君をいずれ差し出さなくてはいけないことに反発し、僕を殺そうとしたのさ」

ディノバルド「………父上………」

鏖魔「でも僕に勝てるわけがないよね………。僕に逆らうなんて許せない」

鏖魔「だから、お仕置きしたんですよ」

鏖魔「………僕に逆らったことを後悔させるためには………ああそうだ、生きたまま食われるのがいい……って」

ディノバルド「……………なんだと…………!」

鏖魔「でも僕は草食だから………燼滅刃さんを食べるなんて嫌だ」

鏖魔「…………他の人に頼んだよ。知ってるかな?………イビルジョーだ」

ディノバルド「……………!」ギリッ…



”ねえ、そこの君……”


”……誰だてめー。食うぞ”


”この人を食べるのは、どうかなぁ………”



”鏖魔……!許してくれ………!!!”


----ゴキッ、バリッ……ベキッ……----



ディノバルド「………………っ」カタカタ……

鏖魔「………僕が憎い……?はは、憎いよね………!!」

ディノバルド「………父上の仇は、イビルジョーだけだと思ってたが…………」

ディノバルド「………………お前か………!!」

鏖魔「そういうことですね。僕を殺したければお好きにどうぞ………できれば、の話だけど」

鏖魔「こうして無事に四つの属性が揃ったわけですが………ごく最近わかったんだけど、一ついらない属性があった」

ミツネ「………水でしょ?」

鏖魔「そう!タマミツネ君、君は要らないんだ」

鏖魔「でも、育っちゃったし………どの道、僕は水が嫌いなんですよね」

鏖魔「だから、死んでもらいます………嫌いなんだ、水………気持ち悪い」


ティガ「てめーーー!!ミツネはキモくねーぞ!!」

ライゼクス「気持ち悪いのは水属性であって、ミツネそのものじゃないぞ」


ミツネ「蘇生に必要な属性でなくても、結局は君のエゴで僕は死ななくちゃならないのか」

鏖魔「そうですね」

ミツネ「冗談じゃない。……ゴメンだね、馬鹿」

天眼「ミツネ、あまり挑発するな……」


鏖魔「…………はぁ………いっぱい喋ったから疲れちゃった………」

鏖魔「みんな優しいです………。僕の話を聞いてくれて」

鏖魔「でもみんな、僕の心までは理解してくれない………!僕の心に反発するつもりだ!!!」

鏖魔「………さっさと邪魔者を殺して、属性の力だけ貰いましょう」

鏖魔「青電主さん、今は協力してもらいます」

青電主「………フゥーーーー………あァ………」

青電主「どちらが神と共に生きるかは、この後考えよう………」ヨロヨロ……


ライゼクス「お父上…………」

ティガ「ライゼクス、お前の親父はヤル気満々だな」

ラギア「だな。んじゃ俺らもヤル気出すか………」バチ………バチッ……



シャガル「………きょうだい、すまなかった」

渾沌ゴマ「…………………もウ………オそい……………」ゴゴゴ……

シャガル「…………………………」ゴオオ……

バルファルク「黒ディアちゃん!今のうちに逃げたら?送ってくよ★」

黒ディア「……………」ザッ

バルファルク「あれ?加勢するの?」

黒ディア「うん」

バルファルク「……かっこいー★」



ディノバルド「………お前を殺す」

鏖魔「それは僕の台詞………」



……………ウオオオオオオオオオオ………

ズガァーーーーーーーン!!!

一旦止めます。
明日、完結まで投下します。
覗いてくださった方、ありがとうございました。

------どこかの空------



……バッサ……バッサ………

バッサバッサ………


桜レイア「パパあーーーー!!」バッサバッサ

銀レウス「…………」バッサバッサ

桜レイア「パパってばーーーーー!!」バッサバッサ

銀レウス「………なんだ!」

桜レイア「ほんとにこっちでいいの?アマデュラ様、とっくに見えなくなっちゃったよ」

銀レウス「………………」

桜レイア「パパっっ!!!」

銀レウス「合っている!……多分。途中まで見えていたんだ!!!」

桜レイア「うっそ…………」サーーッ

桜レイア「迷ったのーーーー??!!サイアクなんですけど!!!!」

銀レウス「静かにしなさい!………アマデュラ様はあっという間に行ってしまったんだぞ………」

銀レウス「あとはもう、アマデュラ様が行った方向を目指すしかない!」

桜レイア「ないわーーーー!!!それで間違ってたらどーーすんの?!!!」

銀レウス「………気に食わないなら帰りなさい」

桜レイア「それは絶対イヤーーーーーー!!」

銀レウス「ワガママ!!」


バッサバッサ……

------神域------



青電主「何度その技を使おうが、俺には雷は効かん。学習しろ」バチバチッ…

ラギア「うっせーハゲ!!バーーカ!!!」グアッ

ライゼクス「………………っ」バチッ……

ティガ「………おいライゼクス!お前ちょっとエンリョ気味じゃねぇかーー?!」

ラギア「ビビってんのか?!親父に!!」

ライゼクス「!……別にそんなんじゃねぇし!!!」ザシュッ

青電主「……………………」ポタポタ…

ラギア「……オーー、良くやったライゼクス!!顔面に爪痕バッチリだぜ」

ライゼクス「(や、やばい……?結構深くやったような……)」

青電主「………ライゼクス……………」ポタポタ…

ティガ「顔が傷付いたくらいで落ち込むなよオッサーーーン!!」ドドドド……

青電主「……………」バチン!!

ティガ「ぐおっ!!」ドサッ

ラギア「ティガーーー!!やっぱお前ムリだって!!オッサンの雷結構つえーぞ!!」

ライゼクス「……………」ドキドキ

青電主「………ライゼクスぅ………見ろ、これ………お前、自分の親になにやってんだ………?」ポタポタ…

ライゼクス「……………………」

青電主「血が出てんだよ…………お前本当に、ロクでもねぇ野郎だな」

青電主「最後まで俺に歯向かって………まったく………せっかくお前を作ってやったのに」

ライゼクス「………頼んでねーよ」

青電主「いいか?お前はな、俺の息子だぜ………俺には必ず従うべきだ」

青電主「怪物のクセに、仲良しごっこなんかに興じやがって……!アルバトリオンに力を与えるだけに過ぎねぇクセに!!!」ポタポタ…

ライゼクス「…………俺は怪物じゃねェよ……!アンタとは違う!!」

青電主「何処がだ言ってみろ!!!」

ラギア「全然ちげーだろ!ライゼクスはオッサンとは違って生涯を楽しんでるっつの!!」

ティガ「マジでそれ!!死んじまったら楽しめねーじゃん!だからオッサンの言うことには従えねーんだよ!」

青電主「……………」

青電主「…………図にのるなよ、お前ら」バチバチ…

青電主「そいつァ俺の息子だ!!!俺のモンだ!!!黙って差し出せ!!!その為に作ったんだからな!!」バチバチッ!!

ティガ「モノ扱いするんじゃねーーー!」ドドド…

ラギア「だからティガ、やめろって……」



ガムート「…………きゃーーーーーーどいてどいてーーーー!!!」ズシンズシンズシンズシン!!!

青電主「………?!」

ティガ「……うおお?!」ギョッ!

ガムート「どいてーーーーーーー!!」ズシンズシンズシン

ラギア「すっげ……大迫力!!」

青電主「何を………」ドンッ!

ガムート「きゃーーーーーーーーーーーーーーー!!」グアアァ……

青電主「……………!!」

……ズシィン!!ズシィン!!
グオオオ………ドズウゥン!!!

モクモク……


ティガ「………すげー………突進して何回も踏み潰して、ケツアタックでフィニッシュしたぜ………」


青電主「…………………」ピクピク……


ガムート「………怖かった!!」

ラギア「おう、確かにすげー怖かった」

ライゼクス「………お父上、氷が弱点だ。効いてると思うけど……」

青電主「……………」ムクッ!

ティガ「起きるのかよ!!」

青電主「………………畜生ナメんじゃねぇクソガキァーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」ギャーーーーーーン!!

ラギア「お前のオヤジ!!胸に風穴空いてんのにすげぇ耐久力だな!」

ライゼクス「………ああ…………」




バルファルク「…………せい!!」ドシュッ

渾沌ゴマ「……………!」ガクン……

シャガル「!崩れた……」

渾沌ゴマ「…………ウゥ…………」

シャガル「……………」シュッ!

シャガル「(元々は昔の私と同じだった者だ……攻撃パターンは殆ど把握できる)」

シャガル「(しかし体力は……はっきり言って私よりも高い!!如何に削っていくかが問題だ……)」

渾沌ゴマ「…………」グアアッ

バルファルク「わっ!シャガル先生、来ますよーー!!」

シャガル「!!」

………ドゴォーーーーーーーーン!!

シャガル「ぐっ………」ドサッ

シャガル「(すごい力だ……!頭を押さえつけられた……)」ググ…

渾沌ゴマ「………きょウダい………ウゥ……………ア゛………」ぐぐっ

バルファルク「……ヒーローソニック!!」ズビャッ!!

渾沌ゴマ「………グ…………」グラッ

渾沌ゴマ「……………」ぐぐっ…

バルファルク「えーーっ!(頭フッ飛ばす勢いでやったのに!)」ガーン!

渾沌ゴマ「……きョウだい……おまエ、シネば………わタシが、しゃガルマがら………………」グググ……

シャガル「…………違う………!!シャガルマガラは私だ!!」

渾沌ゴマ「オまえのセい………ウウ…………」

シャガル「すまなかった!………だがどの道、私ではなく貴方がシャガルマガラになれば、私が貴方のようになっていた!!」

渾沌ゴマ「……………………ウ……」

シャガル「もう、どうすることも出来ない……!私がシャガルマガラだ!!」

渾沌ゴマ「ダマれ……ウゥゥ……シャガるまガラに……なりタい……なリタカった………!」

バルファルク「…………もうなれないでしょー?だって禁足地に一番乗りしたのは、先生なんだから」

渾沌ゴマ「………ア゛ァ………」

バルファルク「仕方ないっしょ!諦めなーーー!!」ザシュッ!

渾沌ゴマ「!……ウ………」

シャガル「!(手が離れた!)」ドガッ!!

渾沌ゴマ「ウ゛………ァ………」ヨロッ

バルファルク「おおっ、いい蹴り……」

シャガル「………きょうだい。私を憎む気持ちは理解できる」ムクッ

シャガル「だが復讐と銘打ち、ウイルスを撒き………生徒たちを感染の危険に晒した」

シャガル「あまりにも下劣なやり方だ、私を殺したいなら私だけを狙えばいいものを」

シャガル「………汚名を着せたかったのだろうな。きょうだい………昔は、優しかった」

シャガル「………許しはしない」バッ!

------どこかの空------



桜レイア「パパあーーーーーーーー!!」バッサバッサ

銀レウス「………なんだ!!飽きたのか?!帰りたくなったのか?!」バッサバッサ

桜レイア「ちがうよっ!!見てあそこ!!チョーーーー怪しくない?!」


ゴオオオオ……


銀レウス「!!なんだあの場所は……?!初めて見る!!」

銀レウス「あんな……真っ黒な雲に覆われた場所なんて、俺は知らないぞ!!」

桜レイア「あたしも知らないけど!でも、あそこなんか……いかにも!!って感じじゃない?!」

銀レウス「………この俺でも知らない土地があるのか………!周囲の気候も悪いな………」

桜レイア「とりあえずあそこ目指そっ!!ね!!」バサッ!

銀レウス「あ!!待ちなさい!!俺より先に行くな!!!」バサッ!!

------神域------



銀嶺「……青電主!!今からでも遅くない、考えを改めて!!」ドガァン

青電主「!………うっ………!!お前が間違ってるだろう!!銀嶺!!!!」バチバチッ

ガムート「ママ……!!」

青電主「当初からの計画を破り、愛情だなんだと甘っちょろいことをほざきやがって!!!」

青電主「この俺が、主の言い付けに従ってガキを作ってやったんだ!!!この俺が!!!」

青電主「俺は間違ってない!!間違ってない!!!!!死ねライゼクス!!!俺のために!!!!」

ガムート「きゃあああああ」ドスンドスンドスンドスン

ティガ「ひぃ!また踏みつけてる!今度こそ死んだんじゃね?!」

青電主「う゛ぐ………!!畜生!!」ぐいっ

ライゼクス「?!……離せ!!!」ズルズル…

青電主「離さねェぞ!!ライゼクス!!!この翼を?いでやる………!!逃げられねぇように!!」ベキベキッ

ライゼクス「い゛っ………!!やめろーーー!!!」ジタバタ

銀嶺「ダメ!!!」ドドド………

青電主「寄るな………!!」バヂン!!

青電主「フーーー…………フーーー………」メキメキ…

ライゼクス「ぐ、あぁぁぁ!!!お父上、やめてくれ………!!」



………ビョオオオオオ………

桜レイア「………やっぱここで合ってたーーーーーー!!!!!」ビョオオオオオ!!



ティガ「あ、桜だ……」

ラギア「わーお」


青電主「?!……小娘………!」

桜レイア「キャーーー!!!おぢさん、なにしてんの?!ラブリーサマーソルト!!!」ドゴォン

青電主「ぐっ」ドサッ

ライゼクス「…………あぐ………うぅっ………」ヨロヨロ…

桜レイア「クスクス………!!大丈夫?!」

ライゼクス「…………なんで来たんだよ……!」ガクガク…

桜レイア「はーーーーーー?!」カチン!



銀レウス「……桜ーーーーー!!待ちなさーーーーい!!!」ビョオオオオオ!


ティガ「あ、銀レウスさんだ……」

ラギア「盛りだくさん」


青電主「!………銀リオレウスぅぅぅぅぅぅ!!!!!」バチバチバチバチッ!!

銀レウス「青電主………!!」

青電主「貴様のせいで俺の息子はフヌケだ!!育て方を間違えやがって!!」

銀レウス「ふざけるな、自分の息子をなんだと思っている……!!!」

青電主「俺の為に生まれ、俺の為に死んでいく筈だったのに!!……ハァッ、元を辿れば貴様が育てたからだ!!畜生、俺の息子なのに!!!」

銀レウス「ならば最初からお前が育てれば良かったろう!!」

青電主「なんでこの俺がそんなことをしなくちゃならねェ、あァ?!ゲホッ、ゲホッ」ビシャッ

ラギア「うお、すげ……血ヘド吐いたぜ」

青電主「畜生、どいつもこいつも……!いい機会だ銀リオレウス!!貴様も殺す!!」

ライゼクス「……やめろ、お父上………!やめろよ……!!」ヨロヨロ…

ライゼクス「俺、従うから……もうやめてくれ………」

青電主「フーーッ、フーーッ……」

桜レイア「何言ってんのクスクス?!そんなの絶対ダメ!!」

ライゼクス「うるさいな……!関係ないだろ?!」

銀レウス「悪いが、ライゼクスは俺の息子だ!!息子を思い通りにさせやしない!!」ゴオオオオッ…

青電主「図に乗るな!!ライゼクスはこの俺の息子だ!!!」バヂバヂバヂッ!!

………ズドォーーーーーーーーン………


銀嶺「………王者と反逆者の決着ってとこね………」

ティガ「その響きかっこいーっすね、おばさん」

ガムート「…………」ハラハラ

ラギア「銀レウスさんは雷弱点だけど、オッサンは既に相当ボロボロだし………どうなる……?」



桜レイア「……え!なにあの人ーーーーー!!!顔がグロい!!」

ライゼクス「少し静かにしてろって!っつーか帰れよ……!」

桜レイア「クスクスのバカ!」ビターン

ライゼクス「痛い!」


バルファルク「はいはい!シュシュっと行くよーー!!」ドドドドドドシュ

渾沌ゴマ「ア゛ァ………!!」ヨロッ

シャガル「……………!」ズガァン!

バルファルク「バシバシ行きます!!」ズバシャァーン

渾沌ゴマ「……………………グ」ドサッ

渾沌ゴマ「…………………」ピクピク……

シャガル「フーー………きょうだい、最後だ」ドヒュッ!

………ドズウウウウゥゥゥゥゥン!!!

渾沌ゴマ「………………」

バルファルク「……………おっ……」

シャガル「…………」スッ

シャガル「……………………………」ドス、ドス………


ティガ「………あれ?そっけな………」

ガムート「しっ、死んじゃった?よね?」

ラギア「死んだよな。……でも、余韻に浸ってる場合じゃねェってか……?」

ライゼクス「………ディノ達に加勢しに行っちまった?」

バルファルク「………………」


シャガル「…………鏖魔!!!」

鏖魔「?」ドガガ…

リオレウス「…………?」ズドン…

シャガル「………きょうだいが死んだ。私が殺した!」

鏖魔「え…………」

鏖魔「ああっ、ネフィリム!!!!」ドド…

渾沌ゴマ「…………」

鏖魔「嘘だ……!!可哀想なネフィリム!!死んでしまうなんて」

鏖魔「なんてことだ、殺したのか!!ああ、可哀想に………!」ぎゅっ

渾沌ゴマ「……………」

シャガル「………きょうだいを可哀想と思うなら、貴様も共に同じ場所へ向かったらどうなんだ」

鏖魔「………貴方が行ってあげてくださいよ………!!!!」ドクン!!

シャガル「……?!」

鏖魔「……………」ドクン、ドクン………

ドクン、ドクン………!


ラギア「なんだ……?なんか表皮が赤っぽくなったけど」

天眼「……暴走状態だ」

バルファルク「こわい顔ー」

鏖魔「………うああああああああああああ!!!!!!!」ドドドドドド……

ディノバルド「……!」ドドドドドド……



……ゴウッ!!………バキッ!

青電主「ぐあっ!………おのれ、翼を………!」ヨロッ

銀レウス「………行くぞ青電主!!!!」ゴオオオオ……

ドゴォォォォォォォン!!!

青電主「!!」ズザァーーーーーッ…

青電主「…………クソ、脚が………!!」ゴボッ


ティガ「……溶岩に脚が飲み込まれた?」


銀レウス「………終わりだ、お前は!!」バサッ

青電主「ふざけるな!!………畜生、脚が!!」


ラギア「……飛べねぇんだ!翼もやられてっから………」

ライゼクス「………」

桜レイア「パパ………」


青電主「ら…………ライゼクス!!!」

青電主「助けろ………!!早く!!!!!」

青電主「ライゼクス!!!!!!」

ライゼクス「…………あ………」ブルブル……

青電主「早く………!あ゛ァっ、熱い!!!助けてくれ!!!!」ズブズブ……

ゴオオオオ……

銀嶺「………………」

ガムート「………………」

青電主「ライゼクス!!ライゼクスうううぅぅぅぅぅ!!!!」ゴゴッ…

ライゼクス「……………お父上……………」

青電主「これで終わらねェぞ…………!!ゴバッ、あ゛………!」ゴボゴボ…

ティガ「…………もう、頭しか出てねェ」

青電主「………畜生っ…………!!」ゴゴッ……ゴボ……

………トプン



シーーーーーーーーーーーン…………





鏖魔「!…………ハハ………バカな大人………!!」


一同「………………………………………」


ライゼクス「……………………」ぞくっ




”それぞれの属性を持つ者をアルバトリオンと融合させれば…………再び神は力を持ち、生者となる”


”確かに、一つの属性でも蘇生はされるらしいが……”




アルバトリオン「…………………………」パチッ


一同「?!」

ミツネ「あ………目が開いた」

天眼「…………まずい……!」


アルバトリオン「………………」ズルズル……


ガムート「……這い出てきた……溶岩から………」



鏖魔「ハハ…………うあっはっはっはっはっは!!!!」

鏖魔「ああ!!………神だ!!!神の再臨だ…………!!!」


リオレウス「融合………青電主の雷の力があの溶岩に溶けて、アルバトリオンに融合されたというのか………?」

シャガル「まさか………!本当に蘇生されるとは…………」


鏖魔「………言ったでしょ…………ハハハ!!ちょっと予定外だったけど………まぁ、よかった。無事に蘇生された」

ディノバルド「…………扱えるのは雷のみか………?」

鏖魔「さぁ?初めて蘇生したから、わかりません」



………ギャアアアァァァァァァァァァァオン……


一同「!!!!!」ビリビリ

ティガ「……おーー怖。けど………アルバトリオンって、アマデュラ様の友達だろ……?」

ラギア「なにもしてこねェんじゃねーの?」

ライゼクス「つーかアマデュラ様はどうしたんだよ、結局」

ガムート「死んじゃったの」

ライゼクス「はぁ?!!」



…………ドバアァァァァァァン!!!!


鏖魔「…………!!」


帝アマデュラ「…………………遅くなった」ズルッ…ズルッ…


天眼「アマデュラ様が………!」

銀レウス「脱皮を?!」


帝アマデュラ「………私は強者と戦う際、王よりも帝であるほうが相応しいと考えている」

帝アマデュラ「しかし本日は既に、脱皮により王の姿へと戻ってしまった……」

帝アマデュラ「……………よって再び帝へとなるべく準備をしていたが、時間がかかってしまった。申し訳ない………」



ティガ「つまり、脱皮するために一回死んでみてたってゆーことです」

ライゼクス「いやーハチャメチャですわ」



アルバトリオン「…………………」

帝アマデュラ「久しぶりだな、古き友よ」

帝アマデュラ「…………君が、あの日のままの君だといいが」

アルバトリオン「…………………」

アルバトリオン「………………」ゴウッ!

帝アマデュラ「!!」ドシュッ


ラギア「えっ、攻撃してきてるじゃん………」

ティガ「友達なのに!!」


帝アマデュラ「………諸君ら、残念な知らせだ」

帝アマデュラ「友はもう、私の知る友ではないようだ。………悲しきかな」

アルバトリオン「……………」バサッ!!

帝アマデュラ「!!………待たれよアルバトリオン!!!」ドン!!

ライゼクス「わーーーー?!」

桜レイア「アルバなんとかオン、飛んでっちゃったじゃん!!」

銀レウス「しかもそれを追いかけてアマデュラ様まで飛んで……跳んでいかれたぞ?!」

リオレウス「アマデュラ様!!!」バサッ

シャガル「アマデュラ様ーーー!!!」バサッ!

バルファルク「僕も行きまーす!」ドヒュン!

ライゼクス「お前もかよ!んじゃ俺も!!」バサッ!

桜レイア「あたしもーーー!!」バサッ!

銀レウス「さ……!桜っ、待ちなさーーーい!!」バサッ



ディノバルド「(アルバトリオン達はどこへ……?!)」

ディノバルド「(しかしアマデュラ様がいる。アルバトリオンに関しては、アマデュラ様に任せられる………)」

………ゴガン!!

ディノバルド「!!………がっ……」

鏖魔「さぁ、再開しよう」スッ…

ミツネ「ディノ君!!」ボシュッ!

ディノバルド「(………泡!)」ズザァーーーッ

鏖魔「…………」スカッ

鏖魔「…………やだな。外した」

ディノバルド「(間一髪、泡で滑ることによって避けられた……)」

ディノバルド「礼を言うタマミツネ!」

ミツネ「いーよ!」

ズズズズズ………

……ドゴォーーーーーン!!!

鏖魔「……痛っ…………」ヨロッ

黒ディア「ハアッ、鏖魔くん………もうやめようよ!」

黒ディア「アルバトリオンは、鏖魔くんの望み通り蘇ったけど………きっと話なんか通じないよっ!鏖魔くんの望みを叶えてくれるとは思えない!」

鏖魔「バカ女………!!誰に向かってモノを言ってる?!!」ドンッ

黒ディア「わ…………」ドサッ

ティガ「おっと………だ、大丈夫かよ」ぐいっ

黒ディア「……う、うん……」ヨロッ

ガムート「……………」

------上空------



ゴオオオオ……

ドゴォン……バチバチッ……

銀レウス「………すごい。アマデュラ様のうねる身体は、まるで大河のようだな………」バサッ

ライゼクス「このまま空中戦かよ………なんつー状況だ」


ゴオオッ……


シャガル「!!」ビュンッ

リオレウス「シャガル先生!……当たりましたか?!」

シャガル「………いや、避けました。……火の力まで扱うのか……与えたのは雷だけだというのに」

リオレウス「………結局、属性の力を与えるということは、アルバトリオンの蘇生の引き金になる、というだけだったのでしょう」

リオレウス「青電主の命は引き金に過ぎず……蘇生されたアルバトリオンは、元通りの能力を扱えるようになった、と言ったところですかね」バサッ…

シャガル「はは……メチャクチャだ!……さすが神、と言うべきか」



帝アマデュラ「(……友よ………他者の命と能力を捧げられ、気性が変わったのか……)」ゴオオッ

帝アマデュラ「(話が通じるなら、穏便に済ませたいと思っていたが……このように攻撃を繰り返すならば、私は旧友を殺さなくてはならないな……)」

ビュオオオオ……


桜レイア「て、ゆーか!こんなシーン、ニンゲンとかに見られちゃったらヤバくない?!大騒ぎだよ!」

バルファルク「あ、それは大丈夫だと思う!」キイィィン…

バルファルク「ちょっと前まで世界中を飛び回ってたんだけど……そのせいで、地上にたくさん『灼けた甲殻』が墜落してるはずだからさ!!」

銀レウス「それは何だ?」

バルファルク「僕の甲殻なんだけどね!なんかニンゲンたちにとっては僕の存在は不吉らしくてー」キイィィン…

バルファルク「その甲殻が落ちてたってことは、不吉なことの前触れ?みたいに思われるっぽいんですよ」

バルファルク「だからそれが世界中に墜落してるってことで、世界中のニンゲンが恐れおののいていると思うんだ。だからみんな、あんまり外で活動してないと思うよ」

バルファルク「だからバレにくいよーーーーー!!」キイィィン

ライゼクス「ハァーん……お前も割と使えるヤツだな。ファルバルク」

バルファルク「バルファルクです!」


アルバトリオン「……………」ググッ

ライゼクス「!(こっち見た……)」

アルバトリオン「………ア゛………」

帝アマデュラ「…………?」ゴオオオ……

アルバトリオン「……………息子よ………」

ライゼクス「………え」ゾクッ!

リオレウス「!!言葉を………」

アルバトリオン「………息子よ………神にお前は」

アルバトリオン「捧げるのだ……命を」

シャガル「………何だ?」

ライゼクス「…………お父上……?!」

アルバトリオン「怪物め………神に」

アルバトリオン「神のために死ね、怪物………」

桜レイア「チョーー失礼じゃん!!」ムカッ

ライゼクス「………………」ドクン、ドクン

リオレウス「………惑わされるな!これは青電主ではない!!」

帝アマデュラ「……青電主の力を取り込んだ故に、青電主の記憶が僅かながら移され………そこに刻まれた言葉を反すうしているだけだ」ゴオオオ

帝アマデュラ「貴殿の父はもう死んだ。惑わされてはならぬぞ!!」ビュオッ!!

ライゼクス「…………」ブルブル……

------神域------



ティガ「どりゃあああああああああああ゛あ゛!!」ズドドド……

鏖魔「……あァもう!!早く死ねよ………!『今日』が終わってしまったらどうするんだよ!!」

黒ディア「鏖魔くん……どうしても、私たちを殺したいの……?」

鏖魔「そうさ!!僕は鏖魔だ!!みなごろす悪魔!!」

鏖魔「僕は望んでいなかったのに、そう名付けられた!!あの母親に!!!」

鏖魔「だから僕はこの名の通り皆殺しにしてやる………!!そして鏖魔ディアブロスも今日死ぬ!!」

ミツネ「だったら、先に死んでよ……」

鏖魔「ふざけるな!!そして僕は再び生まれる!!!ふつうのディアブロスとして、誰もいない世界に生きる!!!」

鏖魔「それは僕だけに許された世界!!!」

鏖魔「そして今日は僕の誕生日!!!ディアブロスの誕生日なんだ!!!!」ドドド………

ディノバルド「………オオオオ………!」ドドド…


……ギィィッ、ギイイイイイイイイイイイ………
………ガギャァァァァァァァァァァンン!!!


………グサッ

一同「?」

ガムート「あれ……なにか地面に刺さった……」

銀嶺「……角が折れた!」


ディノバルド「……フーーッ、フーーーッ………」

ミツネ「(……尻尾の大回転で角を折ったのか……さすがディノ君)」


鏖魔「………………………」

鏖魔「……な…………」カタカタ

鏖魔「………ンなァーーーーーーーああああああああああああああああ!!!!!なァーーんでこんなことするんだよおおおおおォォォォォ!!!」

鏖魔「ぼ、ぼっ、僕の角を折ったなァァァァァァ!!!!!!ア゛ーーーーーアァァァァァァ!!!」

鏖魔「許さない!!絶対に許さないィィィィお前を最初に殺してやるヴヴァァァァァァ!!!!!!!!」

ドォーーーーン………シュウウウウウウン!!

鏖魔「ハァッ、ハァッ………うあ゛あァああああああああ!!!!」ドスドスドスドスドス!!


ティガ「え………どーしたあいつ………」

ラギア「………身体から蒸気出てるしこっち突っ込んでくるしマジで逃げろーーーーーーー!!!」ズドド……

ギャアアアアアアアア………

天眼「狂暴走状態だ………!こうなってしまっては、もう手がつけられないぞ!!?」ドドド……

銀嶺「何をしてくるかわからない!!みんな止まらないで走って!!」ドドド……


ドシュルルルルルルルッ
ゴゴゴゴゴッ、ズドォーーーーーン!!!

ティガ「?!」ギョッ

ガムート「うっ?!」ギョッ


…………ドズゥゥゥン……ボボボボボボ…………
シュン……シュン………


ギャアアアアアアアアアアアアア………


黒ディア「なんなの、今のは………?!」

ミツネ「ドリルみたいに地面に潜ったと思ったら急に飛び出してきて………!」

ガムート「着地した後、なんか……すごい爆発したよ……」

ラギア「……っだよ、今のは!!!生物じゃねーだろ!!?」

ディノバルド「……また突進してくるぞ!!!」

鏖魔「あああああああああああああああ!!!」ドスドスドスドスドスドス!!


……ギャアアアア……

------上空------



ゴオオオオォォォォォ……

バルファルク「うぉーーーーりゃ!!!!」ドシュシュシュッ

リオレウス「バルファルク!!あまり無茶をするなよ!!」

リオレウス「……ハァッ……龍以外の属性は弱点だろう?!」バサッ

バルファルク「大丈夫です!!」

アルバトリオン「………」ゴゴッ!

バルファルク「わっ!炎だ!!」サッ!


桜レイア「………なんか……火とか氷とか、龍の属性の時は何も言わないね……」バサッ

アルバトリオン「…………」バチバチッ

銀レウス「!!……避けろ、雷だぞ!」

アルバトリオン「……ウ………ラ、ラ、ライゼクス………」ぐりんっ

ライゼクス「…………!」

桜レイア「…………雷を使うときだけ、首がこっち向くの怖いんだけど………しかも喋るし」

アルバトリオン「………お前は……俺が作ったんだぞ………」

アルバトリオン「………作られたのだ、俺のために」

シャガル「…………(実際に、アルバトリオンが意思を持って話しているように見える………)」

帝アマデュラ「……………」

アルバトリオン「お前、怪物だろう…………怪物なんだ、お前は………息子よ」

ライゼクス「うるせェよ!!………俺は怪物じゃねェ!!」

ライゼクス「アンタの息子でもねェ!!!」

アルバトリオン「………アア………ライゼクス………怪物のライゼクス、俺の息子……」

ライゼクス「消えろ………!消えてくれ!!」

シャガル「だから惑わされるな!!幻影に過ぎない!!」

銀レウス「ライゼクス、落ち着け……!!」

桜レイア「クスクス!ダメだよ反応しちゃ!!」


ライゼクス「もう俺を忘れてくれよ!!!俺は怪物じゃねェ!!!アンタとは違うんだ!!!!」ゴオオオッ

………バチバチバチバチバチ!!!!

帝アマデュラ「!……(雷球か………しかし雷はあまり効かない筈……)」

アルバトリオン「…………!!」グラッ

リオレウス「………効いたのか?!」

アルバトリオン「……………ア………アア……」

アルバトリオン「ア……………」

アルバトリオン「……………………アマデュラ……………」

帝アマデュラ「!!」

アルバトリオン「アマデュラ………我が友……」

シャガル「………なんと………」

桜レイア「へ?ふつーに話し出したじゃん!!」バサッ、バサッ

帝アマデュラ「アルバトリオン……!解るのか……?!」

アルバトリオン「………………………」

アルバトリオン「…………私は遥か昔、自ら死を望み………」

アルバトリオン「永遠とも思える……静寂の時を過ごしてきた」

帝アマデュラ「…………」

アルバトリオン「………だが他者の意思によりその静寂は裂かれ………蘇ってしまった………」

アルバトリオン「悲しい、私は…………世界を壊す力を持ってしまったからには、もう……」

アルバトリオン「………生きていたくはない」

帝アマデュラ「…………」

アルバトリオン「アマデュラ………君に頼みたい………私の命を消してくれ」

アルバトリオン「ウ………ウウ……ライゼクス………怪物」バチッバチッ

ライゼクス「………っ」ゾクッ

アルバトリオン「………他者の魂が私を蝕んでいる。……私は生きていたくない、頼む………」

帝アマデュラ「……………」

帝アマデュラ「友よ、君が望むことは………何でもしよう………」

シャガル「アマデュラ様………!!」

リオレウス「…………!」

帝アマデュラ「……………」グワアァ………


…………ゴギャッ……メキッ………


帝アマデュラ「……………」メキッ…


銀レウス「………首を折ったのか………」

ライゼクス「……………」


アルバトリオン「…………」ガクン……

帝アマデュラ「…………君の亡骸は、私が責任を持って葬ろう…………」



リオレウス「………終わったのか…………?」

バルファルク「……いや………まだだ!!」

一同「?!」

バルファルク「聞こえる?!……このそよ風のような声………」

桜レイア「……はァ?なに言っちゃってんの?」

バルファルク「今行くよーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

ドッシュウウウウウウウウウン………



一同「…………」

シャガル「………なんなんだ、アイツは……」

リオレウス「とんでもない速さで降下して行った………」

------神域------



鏖魔「死ねえぇェェ死ね死ねしねしねしねしねしねしねしね殺す殺す殺す!!!!」ドスドスドス

天眼「………ハアッ、一体……!!何回突進を繰り返すというのか!!」

ディノバルド「くそっ……」ドスドス

ティガ「ほとんど鬼ごっこ状態じゃねーか!!」ドドド……

ラギア「しかもヘタこくと水蒸気爆発に巻き込まれてサヨナラだ!!スリルあるよな!!」

ガムート「ハアッ、ハァッ……」ドスドス……

黒ディア「………うっ………!」よろっ

ミツネ「?!……どうしたの!早く!!」

ラギア「黒ディア……!」

黒ディア「あ、足挫いた………」

ガムート「黒ディアさん!!」くるっ

ティガ「バカバカ、戻るな!!来るぞ!!」

鏖魔「うおあああああああああ死ね黒ディアブロス!!!!」ドスドスドス……

黒ディア「鏖魔くん………!」ぶるぶる


………キィィィイン!!

バルファルク「ヒーーーーローーーー見参ーーーーーーーーー!!!」

………ガシッ………
キィィィィィィン………



一同「えーーーーーーー?!」ぎょっ!

ティガ「………黒ディア抱きかかえて、また大空の彼方へ旅立ってったぞ………」

銀嶺「バルファルク……!なんて人なの……」

------上空------



キィィィイン………

黒ディア「わっ、わっ!!!降ろして!戻らないと………!」

バルファルク「やーーもう、この距離まで来たら世界一周したほうが速いね★」

黒ディア「なにそれ!!助けてくれたことには、お礼を言うけど…………」

黒ディア「まだみんなが戦ってるし!!!」

バルファルク「まあまあ落ち着いて!脚、ケガしてるでしょ?戻ったところで、何ができるの?」

黒ディア「それは………」

黒ディア「………………」

バルファルク「………よしよし。ひどい男だったねぇ、怖かったでしょーーー」なでなで

黒ディア「………………っ」ポロポロ…

バルファルク「ん?あれ……泣いてんの?」チラッ

黒ディア「………」ポロポロ…

バルファルク「うっそスッゲーー可愛い」

バルファルク「黒ディアちゃん僕と付き合おーーーーーーーーーーーーーー!!!」

黒ディア「ふざけるな!!!」

キィィィイン………

------神域------



ミツネ「水蒸気爆発を起こした後は、少し隙ができる……!その時に攻撃を仕掛けるしかない!!」

ティガ「おお………」ドタドタ…

ディノバルド「(………しかしこう鬼ごっこを繰り返していては、皆の体力は持たない……)」

天眼「ミツネ!……恐らく次の突進の軌道は、こうなる……」ボソボソ…

ミツネ「!……わかった!」バッ

鏖魔「オ゛アァアアア」ドドドド……

ミツネ「よっ………!」ポンポンポン!!

ガムート「あっ……!」

鏖魔「ああああああ………?!」ズルッ!!

一同「!」

銀嶺「……(泡で滑って、上手く走れてない……)」

鏖魔「あっ………クソ!!馬鹿が!!フザケんな!!!」ズルズルッ、ズルッ

ディノバルド「(今か!!)」バッ!

ディノバルド「ハアッ………お前に言伝を頼む!!!」

鏖魔「………?!………」ズルズルッ……

ディノバルド「俺の父上に!!『使命は果たした』とな!!!!」

……ギギギィッ、ギギギギギギギギィ………!!

鏖魔「…………あああああ今日は僕の誕生日だぞ!!僕は世界で唯一のディアブロスに…………」

ディノバルド「………オオオオオオオ!!!」


………ズドシャーーーーーーーーーーーーーン………


ティガ「うおおおお?!!」

ミツネ「すご…………」


………ゴロン……………


ディノバルド「ハアッ、ハアッ………ハァ…………」

ラギア「首を………吹っ飛ばしたぞ…………」

天眼「な……………何という終わり方だ…………」

銀嶺「…………死んだ……?」

ディノバルド「…………………」コクン……

ティガ「………うおお………!!」

ティガ「うおおおおおおおお!!!すげぇぇぇぇぇ!!!!!!」

ガムート「ディノ君………!」

ディノバルド「ハァ………やったぞ、俺は」

ディノバルド「………………長い間、望んでいたことだ…………!!」

ラギア「………つーか、アルバトリオンは?!」キョロキョロ


………ビュウウウウウウウ………
ドゴォーーーーーーーーーーーン!!


一同「?!」

ミツネ「アマデュラ様がお戻りに!」

帝アマデュラ「…………何たる光景だ………終わったのか?」


バサッ、バサッ………


シャガル「!!………鏖魔の首が!!」バサッ

リオレウス「全て終わったようですね……!!」

天眼「………アルバトリオンは、どうなったのです?」

帝アマデュラ「………………死んだ。この通りだ」スッ

アルバトリオン「………………」

ティガ「おっ…………エ、エグい」

ライゼクス「………………」バサッ

ラギア「ライゼクス………全部終わったってよ」

ライゼクス「……ああ…………」

桜レイア「あれ?!クロロはーーーー?!」バサッ!

ミツネ「………どっかに連れていかれたよ。『スーパーヒーロー』に」

ミツネ「オトーサン。………矢文をくれた『スーパーヒーロー』って、バルファルク君のことだったんだね」

天眼「…………………」コクン



帝アマデュラ「……………今後もう二度と、我が友の死の時間を妨げるものが現れないといいが」

シャガル「………はい」

帝アマデュラ「…………溶岩に友を沈め、再び葬る」

帝アマデュラ「…………………」じっ…

アルバトリオン「……………」

帝アマデュラ「……………………」

帝アマデュラ「……………………」ズズ………

ゴゴゴ……………



天眼「………アマデュラ様の心中は、我々には到底計り知れないだろうな…………」

ティガ「俺もお前が死んだらちゃんと埋めてやるよ」

ラギア「はーー!俺の方が長生きしますけど!」

シャガル「……………」

------数十分後、近くの小島------



銀レウス「……………神域が沈んでいくのが見える」

銀レウス「全て溶岩の中に消え去り、やがて海によって冷え固まり………」

銀レウス「…………誰の記憶にも残らなくなるのだろうな」

リオレウス「……………」


ティガ「なんであんなことになってんだよ……俺にはよくわかんねーよ」

ラギア「急に溶岩の流れが激しくなったから、ひとまずこの島に避難したけどよ」

ラギア「なんだっつーんで神域は沈んじまうんだろうな?」

銀嶺「………神域が、アルバトリオンの死を受け入れたから………かしらね」

天眼「アルバトリオンがそう望んだのかも知れない」

ライゼクス「………………」

シャガル「(きょうだい………鏖魔………青電主、そしてアルバトリオン……)」

シャガル「(全て沈んで行くのか………)」


ライゼクス「…………お父上…………」ボソッ

桜レイア「クスクス…………」そろり

ライゼクス「…………ごめんな、桜ちん。………巻き込んで」

桜レイア「……………」

ライゼクス「お父上が死んだよ」

桜レイア「………うん………ご、ごめんね………あたしのパパが」

ライゼクス「…………う………」ポロッ

ライゼクス「………う……っ」ポロポロ……

桜レイア「か………悲しいの………?」

ライゼクス「………ちげぇよ……」ポロポロッ

ライゼクス「俺は………!安心してる………!」

ライゼクス「お父上が死んで、俺は!………心底安心してるよ………!」ポロッ

ライゼクス「大嫌いだったよ、お父上が………!!でも俺は、俺はあの男をどんなに憎んでも………」

ライゼクス「この身体には、あの男の血が………怪物の血が流れてる!!」ポロポロッ

ライゼクス「実の父親が死んだってのに、俺は!!ちっとも悲しくなんかねェんだよ!!」

ライゼクス「やっぱり………やっぱり俺は、怪物なんだ…………」ポロポロ

ライゼクス「怪物なんだ、俺は………!残忍な怪物なんだよ………!」

ライゼクス「…………………っ……」ポロポロ……

桜レイア「………クスクス………」ぎゅっ

桜レイア「………違う、それは………」

桜レイア「死んだ青電主は怪物だったかもだけど、クスクスは怪物じゃないよ……」

桜レイア「クスクスが悲しくないのは、死んだのがクスクスとは違う生き物だったから………だから悲しくないの」

桜レイア「クスクスは、違うよ………あたしずっとクスクスと一緒にいたけど、わかるもん………」


バルファルク「………そうだよ、ライゼクス君!」ザッ!

黒ディア「(あのまま本当に世界一周しちゃった………)」ヨロヨロ

バルファルク「君は、新陳代謝をしているだろう!」

ライゼクス「………はぁ……?」

バルファルク「新陳代謝によって、身体中の血液というのは数ヶ月で入れ替わっちゃうんだよ」

バルファルク「今君の体内に流れている血液は、もうすっかり君だけの血液!!お父さんとは違う血液だよ!」

バルファルク「だから大丈夫!怪物の血は流れてない!」

ライゼクス「………あ、そうなんだ………」


ディノバルド「……………ふ」

ミツネ「?……ディノ君、笑ってるの?」

ディノバルド「あ、いや………変わった慰め方だと思って」

ティガ「バルバルクに慰められるとかヨモスエだな、ライゼクス!!」ボカッ!

ライゼクス「?!」

ライゼクス「えっ、なんで俺のこと叩いたの?」

ティガ「よく考えたらお前から食らったのは三発だった!!一発返し忘れてたから今返した」

ラギア「お前さーー!オヤジになんか言われたからって動揺しすぎ!」

ラギア「『友達辞めました!彼女とも別れました!』って、ちょっと薄情が過ぎるだろ!」

ラギア「今後は気をつけるよーーに!!」

ライゼクス「……はいすいません……」

ガムート「全部、嘘だったんだよね……?ティガ君たちが敵とか、桜ちゃんと別れたいとか………」

ライゼクス「………………」

ライゼクス「………うん…………」

桜レイア「クスクス~~~~!!!!」ぎゅううう……

桜レイア「あたし、クスクスじゃなきゃ嫌だ!!そりゃあたしは、ワガママかもしれないけど……」

ライゼクス「………うん。知ってるよ」

ライゼクス「酷いこと言ってごめん………。俺、桜ちんのワガママなとこも全部好きだよ……」

桜レイア「クスクス………?」

イチャイチャイチャイチャ……



ミツネ「………これで一件落着?」

ラギア「ったく人騒がせだよなーー!」

ティガ「……つーかディノ!!」くるっ!

ディノバルド「?!」

ティガ「お前はスゲぇ!!」

ディノバルド「………?」

ティガ「お前はスゲぇよ、ディノ!……お前の力で、鏖魔を倒せたんだぞ!!」

ディノバルド「いや、俺だけの力では……」

ラギア「お前の力だろ!最後のアレはよ!」

ティガ「ハッキリ言って、俺にはあんなことはできねェ!!お前はスゲえ!!」

ティガ「………戻ってこいよ!!塔学校に!!」

ディノバルド「………だが俺は」

ラギア「全部時効だ!!お前が気にしてることは、全部終わったこと!!今回で何もかもチャラだ!!」

ラギア「………みんなお前に感謝するよ!!」

ミツネ「そうだよ、戻ってきなよ」

ガムート「うん……!また一緒に学校行こう!」

ディノバルド「……………………」

シャガル「………銀嶺殿、そして天眼殿……お聞きしたい」

シャガル「………貴方がたは、最初から鏖魔たちの考えには同意していなかったのですか?」

帝アマデュラ「…………」

天眼「…………」コクン

銀嶺「……………ええ………その通りです」

天眼「………我々は彼に忠誠を誓っていたが……実際は鏖魔を恐れ、逆らうということは考えられなかっただけだ………」

銀嶺「…………私たち四人の側近のうち……青電主は本当に異常者だったわ」

銀嶺「彼を殺そうと思ったこともあった」

銀嶺「でも………結局は、後ろにいる鏖魔が恐ろしくて………大きく反抗することもなく、今日という日を迎えてしまった」

リオレウス「………………」

シャガル「……………」

天眼「命令通り、神の蘇生のために子を作り……」

天眼「情が移るからと、会うことは滅多に許されなかったが……それでも我々は、我が子を愛しながらその成長を待っていた」

天眼「………そして強者が次々と死んでいった………鏖魔の脅威となりそうな強者が」

シャガル「…………具体的には?」

銀嶺「オストガロア、アマツマガツチ、ラオシャンロン、黒龍ミラボレアス………彼らは皆強かった」

帝アマデュラ「…………」

銀嶺「彼らの死を好機と捉えた鏖魔は、私たちに『次の誕生日に神を蘇生させる』と告げた」

天眼「今日は鏖魔の誕生日だ……今日を境に鏖魔は普通のディアブロスとなるべく、全生命の鏖殺を目論んだ」

天眼「……………神の力を使って」

リオレウス「………見抜けなかった………新しく入学してきた彼を、素直に受け入れてしまった……」

天眼「鏖魔は上手く、腹の中の闇を隠していた。……入学を志した真の理由は、今となってはわからないが……」

天眼「いずれ死にゆく生命たちが、何も知らずに日常を過ごしていく姿を、面白おかしく見るためだったのかもしれない」

天眼「………我々は驚いた………大切な我が子と同じ空間で時を過ごされるなど、親としては複雑な心境だった」

リオレウス「………そうでしょうね……そんな者を、我が子には近付けたくないという思いは理解できます……」

シャガル「そうですね」

天眼「そんな時、我々はあの若者に出会った」スッ

シャガル&リオレウス「……」くるっ

シャガル「………バルファルクに?」

銀嶺「ええ」

銀嶺「変わった若者で……たまたま立ち寄った遺群嶺の麓で、『ヒーローやります』という看板を背負って………眠っていた」

シャガル「『ヒーローやります』……?」

リオレウス「(変な奴だ……)」

天眼「学費の全面援助を報酬とし、鏖魔の監視と我々の子の保護を任せるために入学を依頼した」

天眼「速さを売りにしているだけあって、養成所も最短で卒業した」

リオレウス「………そうですね。速さと頭脳の良さは、並以上のものを持っていますからね……」

銀嶺「私たちは最後まで、鏖魔を恐れるだけだった………どこへ逃げても追いつかれる確信があったわ」

銀嶺「一か八か、命を捨てる覚悟で反抗を決意し、戦いを挑んだけれど………私たちだけの力では、どうにもならなかった」

銀嶺「…………貴方がたの……そしてアマデュラ様までもの助力を頂けて良かった。………心より感謝しています」

帝アマデュラ「……………」

帝アマデュラ「…………もっと早く、学校に全てを話すべきだったとも思うが………」

帝アマデュラ「強者に支配されてしまっては、それすらも恐ろしかったのだろうな」

天眼「………はい………」

帝アマデュラ「貴殿らにも落ち度はある。だがもう全て終わったことだ………生徒たちが皆、無事であったことを喜ぼう」

銀嶺「はい……申し訳ございません………」



ティガ「………つーか黒ディアもよ!!ヘンな男にホイホイ付いていくんじゃねーーよ!!」

黒ディア「はぁ?!あんた関係ないじゃん!!」

桜レイア「ちょーサイテーー!!ティガ君、謝って!!」

バルファルク「サイテーー!」

ティガ「お前、男見る目下がったんじゃね!!俺のほうが良い男だった!!!」

黒ディア「えーー……」

バルファルク「更に上回る良い男が僕ね!!黒ディアちゃんマジで僕と付き合おう?!!」

バルファルク「他の女の子たちとは別れるから!!僕、本当に君が大好きだよ……!!」

ティガ「てめーうぜーー!!見境いなさすぎ!!お前に好きとか言われても説得力ねーっつの!!」

ギャーギャー……


ガムート「………………」


ティガ「ったくよー………」ドスドス…

ガムート「…………」

ラギア「ティガーーー!!今日ミツネの巣いくーーー?!」

ミツネ「え?!」

ティガ「おー行く行く!………ガムート、お前も来るだろ?」

ガムート「…………」

ティガ「………お?なんか怒ってる??」

ガムート「べつにっ」

ガムート「く……黒ディアさん、バルファルク君といい感じじゃん………」

ガムート「いいの?もっと止めなくて」

ティガ「あァ?………なんで俺が止めるんだよ」

ガムート「だってちょっと嫌そうじゃん!黒ディアさんが他の人と付き合うの」

ティガ「………え、もしやジェラスィーですか?」

ガムート「ちがうもん!!」

ティガ「ぎゃーーーーははははは!!心配すんなよ!!!」

ティガ「俺はお前のこと、す……」はっ

ガムート「………え?//」ドキドキ…

ティガ「………す………」

ガムート「?……//」ドキドキドキドキ…

ティガ「……………涼しいと思ってるし…………」

ガムート「なにそれー……」

------翌々日、塔学校・校長室(古塔近くの砂丘)------



シャガル「………そんな………頭をお上げください!」

シャガル「私とゴア・マガラの疑いも晴れ、追放処分も取り消しとなったのですから………」

ダレン「……………」

ジエン「……………」

ダレン「…………誠に、申し訳なかった…………今回の追放処分を決定したのは、この儂だ…………」

ダレン「シャガル先生、君には…………もう幾度も、この学校と…………世界を救って頂いているのに…………」

ジエン「謝っても、謝りきれぬ…………申し訳なかった………」

シャガル「………私はただ、大いなる力を持つ強者に、ほんの少し力を添えただけでございますので………」

アマデュラ「……………」

アカム「…………」

ウカム「…………」

リオレウス「……………」

ダレン「……………我々は、今回のことを非常に重く捉えている…………」

ダレン「………まず、君とゴア・マガラを一方的に疑い、排除しようとしたぬ………」

ダレン「更に、全ての元凶である鏖魔ディアブロスに関しても…………悪意を見抜けず易々と入学を許可し………」

ダレン「鏖魔が狙っていた命である………ガムート、タマミツネ、ライゼクスの在籍するメインモンス科に………割り当てた………」

ダレン「………これは………とんでもない失態だぬ……………」

シャガル「………そんな………」

ジエン「………どんな者にも間違いはある………今は亡きアマツ先生も、多くの選択をし、多くの過ちをおかしたが………」

ジエン「……最後はその命をもって、学校を救ったのだ…………」

ジエン「我々も、もう………言い逃れはできまい…………」

ダレン「…………もう………この学校の頂点に居る権利など無かろう…………」

リオレウス「…………?」

シャガル「え…………そ、それはどういった…………」

ダレン「………我々は本日をもって………この塔学校を辞任致す………」

ジエン「我々はもう、このような感性では………今後再び、新たなる脅威が現れたとしても………それを脅威と気付けないだろう………」

アマデュラ「…………」

シャガル「アマデュラ様…………アマデュラ様は、このことを聞いて………?」

アマデュラ「……………そうだ。だが私はとうに引退した身であり、この兄弟の辞任を引き留めることはできぬ」

アマデュラ「モーランの兄弟が決めたことだ」

シャガル「………アカム副教頭!!」

アカム「はい、私もアマデュラ様の意見と同じです。校長たちがそうしたいならば………私たちはそれを受け入れるしかありませんです」

ダレン「うむ…………我々の辞任を、逃げと捉えるかもしれぬが………少なくとも、これからの塔学校のことを思っての決断だぬ………」

ジエン「………解ってくれるかぬ…………?」

シャガル「…………そんな………突然、塔学校の上層部が二人も辞任してしまったら………」

シャガル「………塔学校は、終わりです…………」

ダレン「………いや………終わるのは一つの時代だ……………」

ダレン「我々の時代はもう終わるが………次は、君たちの時代なのだぬん……………」

シャガル「………………」

リオレウス「………………」

ジエン「これにて、全員二段階昇進となる…………アカム副教頭が今後、校長として頂点に立つ」

ダレン「ウカム主任は教頭へ…………そして、シャガル先生。副主任である君は………」

ダレン「明日より、副教頭へ昇進だ…………」

シャガル「…………!」

シャガル「わ、私に務まるかどうか…………」

シャガル「………私は、実のきょうだいを殺したのですよ………?」

アマデュラ「………何も問題はない。光と闇が衝突し………光が打ち勝った。ただそれだけだ」

ダレン「うむ…………」

アマデュラ「………副教頭という役職は、アマツマガツチが最後に担っていた役職だ」

アマデュラ「アマツマガツチと同じ立場となり、同じ目線で学校の発展に尽くしていただきたい」

シャガル「………同じ目線で………」

ジエン「ぬーーーん…………不服かぬ………?」

シャガル「いいえ……!………喜んで受けさせていただきます」

アマデュラ「………我々三人は貴殿を心より信頼している。今後も貴殿に力添えをしていきたい」

アマデュラ「貴殿の為なら、なんでもしよう」

シャガル「勿体無いお言葉です………!」

アカム「では、それで決定でございますね………明日から頼みましたよ、シャガル副教頭」

シャガル「……………はい……!」




リオレウス「(俺は…………?)」

------約一ヶ月半後、塔学校・メインモンス科------



ざわざわ……ざわざわ…………


ティガ「ギャハハww」

ラギア「うけるww」

バルファルク「でさーww」

ティガ&ラギア「は?」

バルファルク「??」ニコニコ

ティガ「いやお前なんなんだよ、いきなり会話入ってきやがって」

ラギア「『でさーww』じゃねぇよ『でさーww』じゃ」

バルファルク「えーー!!嫌わないで★」

ティガ「うぜーーーー!!やっぱお前なんか気に食わねーな!!」

ミツネ「落ち着いて、ティガ君」

ガムート「そうだよ!バルファルク君、いろいろ協力してくれたし……」

ティガ「え……待てお前、なんかスゲー臭いんだけど!!」

ラギア「うっっわ、マジだ!!こやし玉みたいな臭いする!!あっちいけ!!」

ガムート「わっ、本当だ……」くんくん

ミツネ「よく見たら全身ボロボロだけど、どうしたの?」

バルファルク「ふっ……一ヶ月以上もかかっちゃったけど、今朝やっと、全ての女の子と別れられてね……」

ラギア「あぁ………」

バルファルク「屋上に呼び出されて、女の子たちにボコボコにされちゃった★」

ガムート「えーーーーっ?医務室いく?」

バルファルク「大丈夫!僕治るのはやいから」

ティガ「はぁーー?そんな理由かよ!つーか抵抗しろ!アホか!!」

バルファルク「女の子に手出しなんかできるわけないじゃん!僕をボコボコにして、女の子たちの気が済むならそれでいいんだ……!」

ミツネ「……その臭いの原因は、ゲネル・セルタスさん?」

バルファルク「そう!!……ゲネルちゃん、力強くてそこが素敵だったけど、感情が高ぶると盛大に放屁しちゃう性質でね……」

バルファルク「まともに食らってしまったので、いまとても臭いです!!」

ラギア「バカヤロー帰れよ!すげー臭い!!!」

バルファルク「ゲネルちゃんの放屁を食らった後、ホロロちゃんに前後不覚にされちゃって……その次に鋼ガンキンちゃんのローリング攻撃を受けたよ」

ガムート「ひ、ひどい……」

バルファルク「見てコレ風穴★」バサッ!

ミツネ「うわ……大丈夫なのそれ、本当に穴が空いてるよ」

バルファルク「モノブロスちゃんの角攻撃も食らってねーー」

ラギア「凶暴な女どもだな」

バルファルク「他にも沢山やられたよ……でもこれで女の子と別れられた!みんなのこと愛してたけど、僕はもう黒ディアちゃんに夢中なんだ」

ティガ「あァ……まだ狙ってんのか」

バルファルク「まだ振り向いてくれないけどねー!毎朝巣に行って、花束をプレゼントしてるのに」

バルファルク「でも時間の問題……黒ディアちゃんは、必ず僕を大好きになる!!」

バルファルク「なんたって僕はヒーローだからね!」

ティガ「はいはい、あっちいけよ」


キーンコーン……

リオレウス「チャイム鳴ったぞー席つけーー」ガラッ

ラギア「……オッ?!レウス主任のお出ましですぜ!!!」

ティガ「昇進おめでとーーーー先生ーーーー!!!」

リオレウス「ありがとなー。でももう一ヶ月以上経つし、そんな毎日祝ってくれなくていいぞー」

リオレウス「……そしてお前ら、良く聞け!!」

一同「?!」

リオレウス「新しい生徒を紹介するぞ!!」

ザワッ!!

リオレウス「入っていいぞー」


……ガラッ……


ドス、ドス、ドス………

ディノバルド「……………」ドス、ドス…

クシャル「!」

ディノバルド「…………今日からメインモンス科にやってきた、ディ」

ティガ「知ってるよーー!!今更いいっつーの!」

ディノバルド「……………」

ラギア「ディノ超おかえりーーー!!」

蒼レウス「おかえりでござるーーー」

ゴマ「フフフ………おめでたい………」

ジンオウガ「おかえりーーー!!!」

ブラキ「うえーーーーーーい」

ざわざわ……

ディノバルド「…………」ペコッ

クシャル「ディノバルド、戻ってきたのか………」

ディノバルド「……………ああ……」

クシャル「…………………」コクッ

リオレウス「………もう一人いるぞーー!」

……ガラッ、ドス…ドス……


ライゼクス「…………」

ライゼクス「……あーーーえっと……ら、ライゼクスです………」

ライゼクス「えーーっと再受験して………また戻ってきました」

ライゼクス「…………よろしく…………」

……ドドドドドド……

ティガ「うおおおおおおーーーー!!」ガバーッ

ラギア「うわああああライゼクスーーーー!!!」ガバーッ

ライゼクス「?!」ドサッ

ティガ「よかった!!!俺は安心した!!!お前試験受かったんだな!!!」

ラギア「言えよなーーーー!!!再入学の試験、めっちゃムズイっていうしさーー!!」

ラギア「俺たちはホントーーに心配してた!!」

ティガ&ラギア「うおおおおおおおおん………」(泣)

ライゼクス「泣くなよ!………冥ラギアさん付きっ切りで、ディノと二人で鬼のように勉強した甲斐あってさ………」

ライゼクス「な?ディノ!」

ディノバルド「………そうだな」


ガムート「よかった……!二人とも戻ってきたよ、ミツネっち!」

ミツネ「そうだね、僕も安心した」

リオレウス「……グスッ………先生は嬉しい!!」

リオレウス「またお前らに教えられると思うと嬉しいよ!!」


ナルガ「せんせーなんか俺も泣けます!」

ブラキ「ハハ……また煩くなるが、よかったな」

ジンオウガ「ねー!」


バルファルク「僕も楽しみだな!新しいメンバーでの学園生活が!」ニコニコ


リオレウス「グス………じゃあ席つけよお前ら!」

ざわざわ……



ライゼクス「あーーこの感じ久々だわ」ガタッ

ライゼクス「俺、このクラス超好き!」



リオレウス「では授業を始める!教科書開けよ!」




------完------

泣いた
良かった
ワールドでも頼む

以上で完結です。
長くなりましたが読んでくださった方、本当にありがとうございました。

うおおおおおおお乙乙乙乙乙乙ッ!!!

最高としか言いようがないでござる
とりあえずお疲れ様でした!

>>336ありがとうございます。。
もう完全にネタギレですので、多分ワールド出ても続編はないと思います。

>>338前回、前々回に引き続いてありがとうございました!!
言葉にできないほど嬉しいです。ありがとうございました。

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