リオレウス「授業始めるぞー教科書開けー」 (368)

覚えていてくださっている方がいるかわかりませんが…

リオレウス「おーいチャイム鳴ったぞー」ガラッ

の続きを投下します。

ティガレックス「……zzz」ぐおお

ガムート「(もう寝てる……//)」チラッ

ラギアクルス「……」ぼーーっ

ライゼクス「(ひそっ)うおーっ今週の××、神回すぎる!」

ブラキディオス「(ひそっ)だろー?」

ジンオウガ「(ひそっ)それよりこっちも読んでよ!これのこの……」

ガムート「(……ミツネっち……今日お休みかな?寂しいな)」

ガムート「(もうすぐ試験があるのに、学校休むなんて……ミツネっちらしくないなぁ)」

ガムート「(……よしっ、しっかりノートとって、ミツネっちにちゃんと教えられるようにしよう!!)」

カリカリ……



リオレウス「……おい、ジンオウガ~~……」ドス、ドス……

ジンオウガ「!!」ぎくっ

ブラキ「!!」ぎくっ

ライゼクス「!!」ぎくっ

リオレウス「……お前マンガはなぁ、授業始まったらしまえよ?」ドス、ドス……

ジンオウガ「…………」ドキドキ……

ブラキ「………」

ライゼクス「……(ぼそっ)俺知らねーっ!~~♪~♪♪……」ドキドキ…

スッ

リオレウス「コレ没収な。放課後取りに来いよ」

ジンオウガ「……ごめんなさいー……」

リオレウス「……おっ、コレ今週号か。今日発売なのにもう買ったのか」

ジンオウガ「……ハイ……」

リオレウス「ありがとうな~。先生が先に読んでおくからな~」ニヤニヤ

ライゼクス「先生!今週の××が神回だからそれ最初に読んで!!」

リオレウス「……本当だ!!ついに主人公の真の力が覚醒してる!!」パラパラ…

ライゼクス「でしょ!!それでヒロインの子が……」

スパコン!!!

ライゼクス「痛っ?!」

リオレウス「お前、反省文な」

ライゼクス「えーーーー反省文までーーーー?!」

ラギア「ざまぁww」

ジンオウガ「先生、俺は?!」

リオレウス「お前もだ!ジンオウガ、ブラキディオス、ライゼクス三人とも反省文!!」

ジンオウガ&ブラキ&ライゼクス「いやだーーーー!!!」

リオレウス「あと……」

ティガ「ぐぉ~……ぐお~……zzz」

リオレウス「……ティガレーーーーックス!!!!」バシコォーーーーン!!!!

ジンオウガ「あーー俺のジャ○プがーー!!!」

ティガ「?!だっ……!!……え?!……じゅるっ」むくっ

リオレウス「お前もいい加減にしろよ!!!??一限目から寝てるんじゃない!!!!」

リオレウス「試験範囲やってんだからな!!!!」

ティガ「痛いっつーーの!!!センセー、ジャ○プ投げた?!」

ジンオウガ「ティガそれ俺のーー!!!」

リオレウス「お前も反省文!!放課後残れよ!!」

ティガ「意味わかんない!!」

リオレウス「あとティガレックスはよだれかけを買ったほうがいいぞ」

ティガ「……え!!うわ!!」ダラダラ……

ラギア「うっっわキタネーーー!!サイテー!!!www」

ライゼクス「きもい!!」

ナルガクルガ「ティガ、バーーーーカ!!!べろべろべろべーーーー!!!」

蒼リオレウス「ナルガ氏、大人気ないでござる」

ティガ「ナルガの野郎、腹立つ!なにあの顔!!」



ゴア・マガラ「……あのクシャル殿……小生、この問題がどうにも解けなくて……」

クシャルダオラ「……あぁ、それは教科書には載っていない公式のほうが解けやすいやつだ」

クシャル「ちょっと待てよ」パラパラ…

ゴマ「……クシャル殿、素晴らしい……フフフ、もうそんなに進めて……」

クシャル「時は有限かつ不可逆だからな。授業が止まっても、時は流れている」

クシャル「その時を無駄にはできない」

ゴマ「……フフ、素晴らしい……小生も、クシャル殿の意見に……賛同ですよ……」

クシャル「……そりゃどうも」

ガムート「………//」ドキドキ

ティガ「……あーーいってーーー……目が覚めた!!」

リオレウス「常に覚ましていろよ。もう一生寝るな!」

ティガ「先生、それゴーモンってやつ!!」

ラギア「寝るなよティガーーーww」

ライゼクス「ぎゃーーーーはっはっ」

ガムート「………//」じーっ……

ティガ「……?」チラッ

ガムート「!!!」ドキッ!

ティガ「………(ぼそっ)よっ」スッ(片手上げ)

ガムート「………」

ガムート「……(ぼそっ)よっ……」スッ(鼻上げ)



リオレウス「すまないな~~みんな。授業再開するぞー」

------一限終了後休み時間、メインモンス科------



ガラ……

タマミツネ「………」スタ、スタ……

ガムート「!!ミツネっち、おはようーー!!よかった、来たんだね!」

ミツネ「うん、おはよう……」カタン

ガムート「あれ、なんか痩せた?!」

ミツネ「……うん……ふーーーーっ」

ガムート「大丈夫……?体調悪いの?」

ガムート「無理して学校来ることなかったんじゃ……」

ミツネ「………ガムちゃん………」

ミツネ「……僕はもうすぐ、死ぬかもしれないよ……」

ガムート「……えっ?!なんで、ミツネっち?!」

ガムート「嫌だよ!!死なないで!!」

ガムート「重篤な病気……?!……まさか!!」

ガムート「狂竜病?!」

ゴマ「……濡れ衣です……フフフ……小生、ミツネ殿にはウイルスは撒いていないですよ……」スタスタ

ガムート「そっか、ご、ごめんね」

ミツネ「……ここ最近、僕が学校で使っているロッカーに、爆弾らしきものが入ってるんだ」

ガムート「爆弾っ?!どうしてそんなものが??!」

ミツネ「わからないよ……ここ一週間くらい、毎日入ってる」

ミツネ「いつもは1日に1個くらいなんだけど、なぜか今日に限っては6個も入っててね」

ミツネ「気が滅入ったよ……。だから、一限目はサボっちゃった」

ガムート「そうだったんだ……誰が入れているのかな!」

ミツネ「それもわからないよ……いつもロッカーに入っているのを見つけては、窓から砂丘に向かって投げ捨てているからね」

ガムート「……それって校長室じゃない?」

ミツネ「そうだよ」

ミツネ「でも今日は6個も……。さすがに怖くなって、ロッカールームから逃げちゃった」

ガムート「えっ!!ってことは、爆弾はまだミツネっちのロッカーの中?!!」

ミツネ「そうだよ」

ガムート「大変っ!!!爆発したら、みんなが怪我しちゃう!!」

ガムート「私が処理するよ、ミツネっち!!」ガタッ!!

ミツネ「危ないよ?!」

ガムート「うん!!だから早く行かなきゃっ!!」ドス、ドス、ドス……ガラッ!

ミツネ「ガムちゃーーん!!」

------数秒後、塔学校・共通ロッカールーム------



ガラッ!!


ガムート「……まだ爆発してないみたいっ!!」

ミツネ「危ないって、ガムちゃん……」そろり

ガムート「ミツネっちのロッカー、私の下だよね?!」

ミツネ「う、うん……」びくびく

ガムート「開けるね、ミツネっち!!」

ミツネ「気を付けて!!」

ギイッ、バァン!!

ガムート「…………」

ミツネ「……ホラ入ってる!!!6個も!!爆弾が!!!」

ガムート「……うん、確かに6個入ってるけど……これ、爆弾じゃないんじゃない?」

ミツネ「ええ……!!」

ミツネ「だって、なにかドロドロしたものがしみ出したりしてるよ?!……液状の爆薬だよ!」

ガムート「うん、しみ出してるけど……これ、プレゼントじゃないかなぁ」

ミツネ「……プレゼント?!」

ガムート「ラッピングしてあるし……」

ミツネ「ラッピング?!」

ガムート「ちょっと、出してみよう」ゴソッ

ガムート「……えっ、くさっ!!ミツネっち、くさいよこれ!!!!」

ミツネ「臭いよね?!!爆弾だよ、やっぱり!!」

ガムート「……おえっ、くさい……中身はなんだろう……」ガサガサ…

ミツネ「うっ!!!これは…………!!」


プーーーーーーーーーーン……


ガムート「……お魚?!」

ミツネ「うわああ、魚だ!!魚が腐ってる!!くっっっさ!!!」

ガムート「なんでお魚が……あっ、メッセージがついてる!」


『タマミツネ様
あなたの好きなお魚です。
翠トトス』


ガムート「翠トトス……?」

ミツネ「ガノトトス亜種さんだよ……魚海竜科の……」

ガムート「……こっちも開けよう」

ガムート「これも腐ったお魚……!!」


『ウラガンキン亜種より?』


ガムート「鋼ガンキンさんだ」

ミツネ「……顔のでかい人か……」

ガムート「これは……モノブロスさん」

ミツネ「あっ、ちょっと可愛い」

ガムート「ネルスキュラさん」

ミツネ「こわっ!!」

ガムート「これは……うわっ、ドロドロしてる」

ミツネ「それだよ、液状の爆薬は……!」

ミツネ「紫色のドロドロだから、毒爆弾なのかも!」

ガムート「なにかな……?お魚じゃないみたいだけど」パカ


ドロォ………ッ


ミツネ「ひぃ……!」

ガムート「……これ、ケーキかな?」

ミツネ「けいき?」

ガムート「うん、溶けちゃってるけど……ケーキっていう食べ物じゃないかな、本で読んだことがある」

ミツネ「食べ物か……。嫌いだな、けいき……」

ガムート「元々はニンゲンが食べるものみたいだけどね。お祝い事とか、贈り物とかで食べるんだよ」

ガムート「メッセージが……」


『私の体の色のケーキ
?た?べ?て?

??ゲリョス亜種??』


ガムート「紫ゲリョスさん……体色のケーキ……だからこれ、紫色なんだ!」

ミツネ「不気味だね、けいきって。僕は嫌いだ」

ガムート「普通は白っぽいらしいよ!それは美味しいんだって。なんか、あまい?っていうらしくて」

ミツネ「へぇ、白か……雪みたいになるのかな」

ガムート「次が最後だね」

ミツネ「これも臭い的に、腐った魚かな……」

ガムート「そうだね、腐ったお魚だ……ダイミョウザザミ亜種さん」

ミツネ「どうしてこんなことを……!」

ミツネ「しかもみんな女性じゃないか!」

ガムート「んーーー女性かーー。みんな、ミツネっちにプレゼントしたんだね」

ミツネ「なんて嫌がらせ……!僕、この人たちになにかしちゃったのかな……」

ミツネ「ううっ……」ぽろっ

ガムート「泣かないで、ミツネっち」ポンポン

ミツネ「僕は今まで、こんな……変なものをロッカーに入れられて、どんな思いだったか……!」ポロポロ

ミツネ「ロッカーに入れていた資料集も辞書も、臭いが移ってるし」

ミツネ「けいき?のドロドロがついて、使い物にならないよ……!」

ガムート「……まぁ結果としてはちょっと迷惑だけど」

ガムート「みんな、ミツネっちに喜んでもらいたいんじゃないかな?」

ミツネ「……僕は、腐った魚を貰って喜ぶと思われているの……?」

ガムート「いやいや!ごめんね、ちがうよ。きっとロッカーに入れた時点では腐ってなかったんだよ」

ガムート「みんなミツネっちが好きなんだよ、きっと!」

ミツネ「……こんなもの!!」ビュンッ

ガムート「あっまた校長室に……!」

ミツネ「どうして今日はこんなにたくさん入っていたのかな……」

ガムート「うーーーーん……」

ガムート「……あ!」

ミツネ「?」

ガムート「ミツネっち、誕生日!明日、ミツネっちの誕生日だよね?」

ガムート「だから、日が迫った今日、みんながこぞってプレゼントしたんだよー!」

------昼休み、塔学校・食堂------



ラギア「へぇーーミツネ明日誕生日かーー!」もぐもぐ

ティガ「………!!……………っ!!」バンバン

ライゼクス「ひ………っ…………ぐっ……」バシバシ

ミツネ「…………」イラッ

ガムート「そうなんだよー、お祝いをしなくちゃね」

ティガ「はいはい、魚がいいと思いまーーーすwww」

ライゼクス「ボクちんはー、けいきを作りまーーーすwww」

ゲラゲラ……

ミツネ「……馬鹿にするな!!!」ビシバシッ

ティガ「いたーーいww」

ライゼクス「ひどーーいww」

ゲラゲラ……

ガムート「ミツネっち……」

ガムート「(普段クールなミツネっちなのに、こんなに感情的になるなんて……)」

ガムート「(ミツネっちには悪いけど、ちょっと面白いよ!)」

ティガ「はーーーっ、はーーー……」プルプル

ラギア「笑いすぎだろハゲろよ」

ライゼクス「もうハゲました!!」

ラギア「ぎゃっはっはっ」

ガムート「もうっ!やめなよ、みんな!!」

ティガ「………ハイ」

ライゼクス「……ごめんなー」

ラギア「さーせーん……」

ミツネ「僕は本気で嫌なんだよ!あんなもの!!」

ガムート「そうだよ!!」

ライゼクス「……はい、確かに……俺も嫌です、ロッカーにそんなものが入っていたら」

ティガ「けいきなんて食い物、聞いたことねーよ。ウマいのか?」

ミツネ「知らないよっ……でもガムちゃん曰く美味しいらしいけど……」

ガムート「私も本で読んだだけだから、詳しくはわかんないけど……とにかくお祝いの食べ物なんだよ」

ラギア「つーか、使い物にならなくなった資料集とか、結局どーすんの?買い直し?」

ミツネ「うん……。一応先生に事情を話したら、同情してくれて」

ミツネ「一気に買い直すのは大変だろうから、しばらく図書室のものを貸してくれるってさ」

ミツネ「ちょっとずつ買い直せばいいって」

ガムート「教科書はいつもちゃんと持ち帰ってるから、無事だったもんね」

ミツネ「うん、それは不幸中の幸い」

ティガ「俺教科書なんて持って帰ったことねーわ」ホジホジ

ラギア「それは持ってきたことがないからだろ」

ライゼクス「お前のカバンいつもペラッペラだもんなww」

ラギア「逆になにが入ってんだよ!」

ティガ「ペン!!!」

ライゼクス「やる気なーー!!ぎゃはは」

ティガ「だけどミツネ、いいなーーモテモテじゃん」

ラギア「俺もロッカーにプレゼント入れられたいですわねぇ」

ライゼクス「俺は桜ちんからのやつが時々入ってるぜ」

ティガ「はい死ねー」

ラギア「俺もキリンちゃんから欲しいー!!」

ガムート「まだ付き合って3カ月だよね。これからなんじゃないのかなぁ」

ラギア「うふっ、それなら良いわよ」もぐもぐ…

ミツネ「モテてるって言わないんじゃない、こういうのは」

ティガ「はーー!それがモテてるって言わなかったらどーなるんだよ、俺ら!」

ミツネ「ただ騒いでキャーキャー言いたいだけでしょ。対象がたまたま僕になっただけ」

ラギア「オットナ~……」

ライゼクス「白ラギアちゃんが知ったら怒るかなーw」

ティガ「ジェラスィーの炎に燃えちゃうかもなww」

------同時刻、同場所・魚海竜科のテリトリー------



翠ガノトトス「白~、今日なんか可愛くない?」

紅ヴォルガノス「ね~。なんでー?」

白ラギアクルス「え……そんなことないよー!」もぐもぐ

翠トトス「うーうん。ある。なんか変えた?」

紅ガノス「もしかして、すごく美容にいい泉を見つけたとか?」

翠トトス「美容にいい泉って~なんだろ~」ぱくぱく

紅ガノス「お肌がつるつるになるとかー?」

白ラギア「そんなのないよ……」

翠トトス「じゃあ、なんで~?今日、なんかいつもと違うもん」

白ラギア「単純に、いっぱい寝ただけだよ」もぐもぐ

紅ガノス「ウソ~。絶対なんかあるよ~」はぐはぐ

翠トトス「隠さないでよ~」

白ラギア「ホントに!昨日は、早く寝ようって思って……早く寝ただけだもん」

翠トトス「ふーーん?なんで早く寝たのー?」

紅ガノス「予定あるの~?……もしかして、デート~??」

翠トトス「えーー!!デート?!」

白ラギア「う……うん……//」

紅ガノス「……え?ほんとに?白、カレシいるの?」

翠トトス「え?いないでしょ?」

白ラギア「……い、いるの……」

翠トトス「………」

紅ガノス「………」

翠トトス「……ふーーん?誰?」

紅ガノス「ヒプノック君とかじゃない?ww」

翠トトス「きゃー、笑える!ヒプノック君なの~?」ケラケラ

白ラギア「……タマミツネ君……。メインモンス科の……」

翠トトス「………はぁ?ミツネ君?」

紅ガノス「えっ、ちょーー美形!!ウソでしょ?!」

白ラギア「ホントだよ……」

翠トトス「……なんでウチらに言わないのー?」

白ラギア「ごめんね、タイミングが……」

紅ガノス「えーー白すごいー!ミツネ君と付き合えるなんて!」

翠トトス「……」ギロッ

紅ガノス「………!」びくっ

白ラギア「まだ、付き合って5ヶ月くらいだけど……ごめん、食器片付けてくるね!」ガタッ

パタパタ……



翠トトス「……」

紅ガノス「……」

紅ガノス「みどち、どーするの?ミツネ君だって」

翠トトス「……うっざー。ありえなー」

紅ガノス「取っちゃえばー?」

翠トトス「ちょっと可愛いからってさー、チョーシ乗ってるよね~」

紅ガノス「……そうだねー!(みどちと白なら断然、白のほうがカワイイけどね~)」

翠トトス「……ウチだって、ミツネ君が好きだもん……」

------放課後、塔学校・メインモンス科------



リオレウス「……SHR終わりーー。みんな気を付けて帰れよーー」

ざわ……ざわ……

ティガ「(ひそっ)とっとと、ズラかろうぜ」こそこそ

ライゼクス「(ひそっ)さんせーい」こそこそ

ジンオウガ「俺はマンガ返してもらわないとだから逃げられないな~」

ブラキ「俺も真面目に反省文書くわ……」

リオレウス「……ティガレーーックス!!ライゼーークス!!」グロオォォン

ティガ「ぎぃやぁぁぁぁ」プス、プス

ライゼクス「熱ヴヴ!!!」プス、プス

リオレウス「お前ら逃げたら磔の刑に処すからな!」

ティガ「いやだーー!!」

ライゼクス「先生怖いーー!!」

ラギア「ひっひっひ、ざまァねーーな!!俺は帰るもんねー」

リオレウス「ラギアクルス!!お前はこのバカたちの見張り役だ!!」

ラギア「はーーーーー?!!!」

ミツネ「僕たちは、帰ろうね」

ガムート「うん、先生さようなら!」

リオレウス「おう、気を付けろよー!」

リオレウス「……オラッ、さっさと職員室!!」ガラッ

ラギア「最低!!キリンちゃんとデートなのに!」

ティガ「ケケケ、てめーも道連れだ!」

------数分後、塔学校・職員室------



リオレウス「この紙2枚分に反省文な」

ティガ&ライゼクス「はーーーーい……」

ジンオウガ&ブラキ「承知ーーーー……」

リオレウス「じゃあラギアクルス、ちゃんと見張れよ!逃がしたらお前も磔にするからな」ドス、ドス……

ラギア「ヘイヘーーイ……」

ラギア「……さっさと書けよ!俺は予定あんだから!!」

ティガ「もうさーレウス先生、試験前だからっていきなりキビシイ!!」

ライゼクス「前は割と大目に見てくれてたってのによーー」

ティガ「つーか反省文なんて、どう書けばいいのかわかんね」

ライゼクス「『ごめんなさい』ってひたすら書くだけじゃダメかな」

ジンオウガ「だめでしょー」カリカリ…

ブラキ「……」カリカリ…

ラギア「ったくよーー」イライラ

ラギア「……ん?」

ラギア「あれ、ウカム先生の隣って誰だ?」

ラギア「空席になってるけど……誰かいたっけ、あそこ」

ティガ「あ?……おー、あそこがもともとウカム先生じゃなかったか?あれ?でもウカム先生は隣にいるし……」

ライゼクス「あーー、シャガル先生だろ」

ラギア「え?なんで??シャガル先生はレウス先生の隣だろ」

ライゼクス「なんか昇進したんだってよーー」

ラギア「へーーー?すげーじゃん」

ティガ「なにになったんだ?」

ライゼクス「副主任!……アマツ先生、死んじゃったろ。だから前主任のアカム先生が副教頭になってー、前副主任のウカム先生が主任になってー、って感じ」

ジンオウガ「知らなかった~」カリカリ

ブラキ「じゃあ、古龍科の担任も変わった?」カリカリ

ライゼクス「や、副主任と兼任らしいぜ」

ラギア「ふーん」



キリン「……失礼しますー……」ガラ……

ラギア「!!キリンちゃん!」ガタッ

キリン「ラギア君!」

ラギア「キリンちゃん~!」バタバタバタ……

キリン「さっき、ガムちゃんとすれ違って……ラギア君がここにいるって聞いたから」

ラギア「ごめんね~!俺、なんにも悪くないの!このクソバカどもがやらかして……」

ラギア「……あれっ?!」

ラギア「ティガは?!」

ライゼクス「逃げた」カリカリ…

ラギア「うそーーーー!!!!」

------ほぼ同時刻、塔学校・雑魚科1組の教室------



ドドドドド……
ガラーーーッ!!


ティガ「ポッッポやーーーーーん!!」

クラス一同「!!!」ビクーッ

ティガ「ポポやんーーー!!」ドス、ドス……

ティガ「……あれ?ねーポポやんって帰った?」

アプトノス「……あっ、は、はい……さっき……」ビクビク…

ティガ「クッソー使えねーな!」

ケルビ「あの…たったさっきなので……追いかければ、まだ」ビクビク…

ティガ「あ、マジーー?どーも、あざーーーす!!」ドスドスドス…ガラッ

ケルビ「い、いえ……」ビクビク…

クラス一同「…………」

ズワロポス「……怖ぇーー、まじで……死ぬかと思った」

アプトノス「うん……怖いよな……」

------数分後、塔学校・裏門前------



ティガ「……いたーーー!!ポ、ポ、やーーーーん!!」ズドドドド……

ポポ「!!」ドキッ

ティガ「ポポやーーん探したよーーーん」ニヤニヤ

ポポ「…………」ビクビク…

ティガ「ポポやんさぁ~、俺のために反省文書いてくんない?」

ポポ「………?」ビクビク…

ティガ「俺、授業中に居眠りしたからセンセーに怒られちゃってー。反省文書かされてんだよね!でも俺書けないからさ」

ティガ「だからポポやんが代わりに書いて!!今すぐ!!」ずいっ!!

ポポ「…………」コクン……

ティガ「ありがとーーん」ニヤニヤ



ラギア「………ティガーーーー!!」ドタドタドタ……

ティガ「おーーラギアー」

ポポ「……」ビクッ…カリカリ……

ラギア「てめぇ、逃げてんなよ!!」

ティガ「逃げてないっす!ホラ!」

ラギア「あ?……おー、ポポじゃん」

ポポ「…………」ペコリ…

ラギア「ポポに書かせてんの?」

ティガ「そーゆーことでーす」

ラギア「ポポには世話んなりっぱなしだなーティガ!!」バシバシ

ティガ「ぎゃっはっは、マジで!!頭上がんないっすーー」

ポポ「…………」ビクビク…

ティガ「は、や、くーー」

ラギア「2枚分なんてそう簡単に書けねぇだろww」

ティガ「ポポやんならできるでしょーー」

------同時刻、塔学校・職員室------




キリン「………」

ライゼクス「……キリンちゃんも大変だねぇ、俺らみたいなバカに巻き込まれて」カリカリ

ジンオウガ「ごめんねー見張り役やらせて!」カリカリ

ブラキ「ソッコーで書き終えるからさー」カリカリ

キリン「ううん、そんなことないよ」

キリン「楽しいよ!」

ライゼクス「……くっ……楽しいわけないのに!!なんていい子……!」

ジンオウガ「泣けちゃうね~!」

キリン「ふふっ」


ガラ……

ラオシャンロン「……失礼しました」ズシン、ズシン……

キリン「(あ、ラオ君だ?奥の個室にいたのかな、気付かなかった……)」



シャガル「……気をつけて帰れよ」

キリン「シャガル先生!」

シャガル「……!……キリンか。どうしたんだ」

キリン「あの、ラオ君……何かあったんですか?」

シャガル「ああ……コレを提出しに来たんだ」ペラッ

キリン「えっ……退学届?!」

シャガル「そうだ。突然のことで私も驚いたんだがな。とにかく自主退学という形になった」

キリン「な、なんででしょうか……」

シャガル「……とにかく辞めなくてはいけなくなった、の一点張りでな」

シャガル「あいつは評価もいいから……期末試験を卒業試験に切り替えて、それに受かってから卒業という形を取ったらどうかとも提案したが」

シャガル「それまで待てない、とのことだ」

キリン「……どうして……」

シャガル「……何か深い事情があるのだろうな。私もかなり引き留めたが、聞かないのだ」

シャガル「校長に話したらすんなり許可が下りて……自主退学していった」

キリン「……そんな……ラオ君……」



アカムトルム「シャガル先生、職員会議の時間ですが忙しいんです?」

シャガル「副教頭!……いえ、すぐに行きます。すみません」

シャガル「それじゃあ、悪いが会議だ。この事は明日のSHRでも話すから……」

キリン「……はい……」

------約15分後、同場所------



ラギア「……おらっ!早く提出しろ!」バタバタ……

ティガ「書けたーー!反省文!」バタバタ…

ライゼクス「あーティガ!お前逃げたんじゃなかったのかよ?」

ジンオウガ「俺たちもちょうど書けたところだよー!」

ブラキ「本当に自分で書いたのかー?」

ティガ「ヘッヘッヘッ」ペラッ

ライゼクス「んーーどれどれ。『この度、僕は授業中に居眠りをしてしまい、先生ならびにクラスの生徒のみなさんたちに大変なご迷惑をおかけしました』」

ジンオウガ「『僕が居眠りをしてしまったことにより、試験前という大切な時期であるにも関わらず、授業の進行を妨げ、みなさんの貴重な時間を無駄にしてしまいました』」

ブラキ「……『本当に、申し訳ない気持ちでいっぱいです。なんて浅はかなことをしてしまったのだろうと反省しています。今後このようなことがないよう、注意します。本当にごめんなさい。ティガレックス』」

ティガ「カンペキじゃね!?」

ライゼクス「……お前これ自分で書いてねーだろ!」

ジンオウガ「こんな文章、ティガが書けるの?」

ブラキ「いや書けないだろー」

ティガ「ズバリ!!ポポやんに書いていただいたのでありまーす」

ラギア「バカだよなー。こんなんバレバレだよな!ゴーストライターっつーやつだろ」

ティガ「え!俺ゴーストライター?!カッケーー!!」

ライゼクス「いやゴーストライターはポポだわ」

ティガ「なんだ」

キリン「ふふふ……」クスクス

ラギア「キリンちゃーーーん、ホントごめんね!見張りの代役ありがとうね」

キリン「いいのいいの、気にしないで」

ラギア「じゃ、帰ろう!旧密林でバスケしようか」

キリン「私バスケはあまり得意じゃないな……」

ラギア「大丈夫!教えるよー」

キリン「うん、ありがとう」

ラギア「じゃあなクソ共!!また明日な!」バタバタ…

ティガ「へーへーリア充ラギア君さよーなら」

ライゼクス「じゃあなーー!」

キリン「またね!」パタパタ

ジンオウガ「気を付けて帰ってね~!」

ブラキ「うい~、二人ともお疲れさ~ん」


ティガ「……チッ、ラギア……すっかりリア充に染まっちまいやがって」

ライゼクス「ティガもさっさとガムートと付き合えよ!」

ティガ「……は、はーー?!なんでだよ!!……そんなんじゃねーーし!!」

ライゼクス「ハイハイ~~」ニヤニヤ

------数時間後、夜・未知の樹海、マガラの巣------




バサッ、バサッ



シャガル「ゴアよ、今帰ったぞ」ドスン……

ゴマ「……♪漆黒の……♪堕天使……」

シャガル「ゴアよ」

ゴマ「♪♪~~おぉ、神よ……♪銀の眼差しで……♪灼けつく~~~身体……♪」

シャガル「……ゴアよ!!」

ゴマ「!!」

シャガル「帰宅したぞ」

ゴマ「……おお、我を生みし偉大なる者よ……フフフ、おかえりなさいまし……」

シャガル「……ああ、ただいま」

ゴマ「……小生、ついつい……歌に夢中に……フフフ」

シャガル「そのようだな」

ゴマ「歌とは素晴らしいですね……時を忘れてしまいます……」

シャガル「ああ、私も歌は好きだ」

シャガル「それにしてもゴアよ……いい加減、ニンゲンの頭蓋骨や十字架や薔薇を集めるのをやめてはくれないだろうか?」

ゴマ「?!……我を生みし偉大なる者……何ゆえそのようなことを?!」

シャガル「単純に気味が悪い。特にドクロなんて」

ゴマ「フフフ……我を生みし偉大なる者……それはドクロではありません、スカルです」

シャガル「……十字架も、生き物の骨でできているものがほとんどじゃないか。悪趣味だぞ」

ゴマ「……そんな……小生は、これらを何よりも……美しいと思っているのに……」

シャガル「そもそも目は見えていないだろう」

ゴマ「……匂い、そして……空気を感じるのです……フフフ、好きなのです……」

シャガル「……まあ、仕方ないか……」

シャガル「薔薇の花はまだ良い。集めるならば、薔薇の花を積極的に集めなさい」

ゴマ「……ええ………承知しました……フフ……」

シャガル「食事は摂ったか?」

ゴマ「……ええ………愚かなる野良ケルビを……食しました……」

シャガル「そうか、では出掛けるぞ」

ゴマ「……フフフ……いずこへでしょうか……」

シャガル「今日は、彼女の月命日だ」

------約1時間後、霊峰------




シャガル「他の先生方も、何人か来たようだ」ドス、ドス……

ゴマ「……花の香りが……致しますね……フフ……よき、よき……」

シャガル「……もう4ヶ月か。時とはあっという間に過ぎるな」

ゴマ「……ええ……時は有限かつ、不可逆……」

シャガル「……そうだな」


サァァァァ……

ゴマ「……フフ、風が……心地よいですね……」


シャガル「この場所はあなたがいなくなってから、ずっと晴れていますよ」



『”空を見よ”
我らが大いなる師
嵐龍 アマツマガツチ
ここへ眠る』


シャガル「……アマツ先生。あの日から塔学校は、平和です」

------翌朝、塔学校・正門前------



ミツネ「……ごめん、受け取れないよ」

モノブロス「……えっ……さ、魚好きなんですよね……?」

ミツネ「魚はね。でも受け取れない、気持ちだけ貰うよ」

モノブロス「そんな……」シュン…

ミツネ「行こう、白ラギアさん」

白ラギア「うん……」ホッ

ミツネ「(めんどくさいな……)」

白ラギア「……ミッくん、すごいね……もう五人目だね?」

ミツネ「あーーー、うん……なんなんだろうね」

ミツネ「(プレゼントを渡してきた五人……昨日も、僕のロッカーにプレゼントを詰めてきた人たちだったな)」

ミツネ「(あと一人いたよな……誰だったっけ)」



翠トトス「白ーーー!おはよう!」

白ラギア「あっ、みどち……おはよう」

翠トトス「あれ?タマミツネ君とラブラブ登校ー?」

白ラギア「う、うん……ラブラブっていうか、普通に登校……」

翠トトス「もうーー。このこの!あんまり学校でイチャつくんじゃないわよー?」

白ラギア「うん…………」

ミツネ「…………」

翠トトス「こんにちは!白の友達の、ガノトトス亜種です!」

ミツネ「……こんにちは」

翠トトス「じゃあね白!先に教室行ってるからねー!」パタパタ……

白ラギア「うん、またねー……」

ミツネ「……白ラギアさん、翠トトスさんと友達だったんだね」

白ラギア「うん、話してなかったっけ?」

ミツネ「あーーー……ごめん、覚えてない」

白ラギア「もーー!ミッくんはーー!!」

ミツネ「はは、ごめんごめん」

ミツネ「(………変なの)」

------数分後、塔学校・メインモンス科------


ガラッ


ライゼクス「……イッッッッエーーーーーイ!!ミツネーー!!!!」

ラギア「ハピバハピバハピバーーーーー!!!!」

ティガ「めでてーーーい!!ミ、ツ、ネーー!!」


パパパン!!!


ミツネ「………」

一同「おめでとーーう!!」

ミツネ「あ、ありがとう」パサッ

ガムート「ふふふ、ミツネっちおめでとう」

ガムート「紙テープだらけだね。取るの手伝うよ~」パサ、パサ……

ミツネ「びっくりした……」

蒼レウス「ミツネ氏ー、森丘の深部でとれた魚でござる」

ゴマ「……フフフ………なんておめでたい……小生からは…魚をもっと美味しく食べられる……高級塩をお渡ししますよ……」

ゴマ「これは魔除けにも良く効き……フーフフフ、強力な怨霊に憑かれた時にも……効果的ですよ……」

ミツネ「(オンリョウ……?)……ありがとう、うれしいよ」

ワイワイ……


ミツネ「誕生日をここまで祝ってもらったのは初めてだよ……」カタン

ガムート「本当におめでとう、ミツネっち!」

ガムート「今日はロッカー大丈夫だった?」

ミツネ「うん。何も入っていなかったよ」

ミツネ「ただ昨日ロッカーに入れてきた人たちは、手渡ししてきたんだけどね」

ガムート「えー!すごいね、当日だからだね」

ミツネ「めんどくさいよ」

ミツネ「教科書しまおう……うっ?!」ぶにゅっ!!

ガムート「どうしたの?」

ミツネ「…………」

ミツネ「机の中に、魚が入ってた……」

ガムート「えーー!!……腐ってる?!」

ミツネ「いや、腐ってはいないみたい。魚に直接リボンが巻いてある……」

ガムート「変わってるね……」

ミツネ「メッセージカード付きだ。……『あなたが好きです、私だと思ってこれを食べてください』」

ミツネ「……『翠トトス』」

------同時刻、人間居住地域・集会所------





ニャンター「この素材を使って剣を作りたいんニャが……今、手持ちの金で足りるニャろうか?」ジャラッ

鍛冶屋「……あーーコレは高いよ。ニャンターさんの手持ちじゃ、全然足らないね」

ニャンター「……そうか。また来るニャ」

鍛冶屋「それに……この素材を使うなら、本来ならハンマーだよ。剣でいいの?ハンマーにするより、高くつくけど……」

ニャンター「剣がいいのニャ」

鍛冶屋「変わってるね~。いいけどよ!」

鍛冶屋「最近はモンスターも大人しいし、あまり依頼も来ないからね」

鍛冶屋「手っ取り早く鉱石でも集めて、金を稼ぐこった」

ニャンター「そうだニャ……」



ニャンター「受付嬢。今、素材ツアーの参加は募集しているニャろうか?」

受付嬢「ハーイ、ニャンターさん。雪山、氷海、水没林が募集してまーす!」

ニャンター「出発が一番早いのは?」

受付嬢「あと30分で雪山行きのツアーが出発しますよー!」

ニャンター「じゃあ、オレも参加するニャ」

受付嬢「ハイ、パスを拝見します」

ニャンター「……」パサッ

受付嬢「あ、フリーのハンターさんですね。受注します!」

ニャンター「どうもニャ」

------休み時間、塔学校・魚海竜科の教室前------



ガヤ、ガヤ……

ミツネ「…………」

ミツネ「(魚海竜科の教室に来るのって……久しぶりだな)」

ミツネ「(冥ラギアさんがまだ在学してた時は、よく来たっけな)」

アグナコトル「……退いてくれねぇ?」

ミツネ「……!」

アグナ「お前……タマミツネだろ?邪魔!」

ドンッ

ミツネ「ごめんね。……翠トトスさん呼んでくれる?」

アグナ「ハァ?てめーで呼べや」ドス、ドス……

ミツネ「……(ぼそっ)あっそー」

白ラギア「あれーミッくん?!」

ミツネ「あ、白ラギアさん……」

白ラギア「珍しいね……!あ、あたしに会いに来たんだよね?!」

ミツネ「や……翠トトスさん呼んでくれる?」

白ラギア「えっ……」

ミツネ「ごめんね」

白ラギア「う、うん……」トボ、トボ……



白ラギア「みどち……タマミツネ君が、呼んでるよ……」

翠トトス「えー?!なんだろーー!」

翠トトス「白ごめんねー。ちょっと行くねー」

白ラギア「………」



タッ

翠トトス「こんにちは!」

ミツネ「……これ」ズイッ

翠トトス「きゃ!……魚……?」

ミツネ「……僕の机の中に入ってたんだよ」

翠トトス「え、えーーっと……」

ミツネ「君の名前が書いてあった。君が入れたんだろ?」

翠トトス「うん……入れた……」

ミツネ「………」

ミツネ「……昨日も、僕のロッカーの中に魚を入れたよね?腐ってて大変だったんだよね」

翠トトス「腐っ?!ご、ごめんなさい……わざと腐らせたわけじゃない……」

ミツネ「……そう。このカードも……悪いけど、返すよ」パサッ

翠トトス「きゃ、キャーー!」

翠トトス「これどう思った……?……//」

ミツネ「……いや……ごめんね。応えることはできないよ」

翠トトス「………」

ミツネ「じゃあね」パタパタ………



翠トトス「…………」くるっ

白ラギア「み、みどち。ミッ……タマミツネ君、なんだって?」

翠トトス「……んーーなんか、コレ!プレゼント貰っちゃったかもー?」ずいっ

白ラギア「え……?!お、お魚じゃん……」

翠トトス「プレゼントっていうかー。良くわかんないけどー?」

翠トトス「白、ホントにミツネ君と付き合ってるのー?」

バクッ!ムシャ、ムシャ……

翠トトス「……美味しい魚だねー。ミツネ君、センス抜群!」

白ラギア「…………」



アグナ「………チッ」

アグナ「(ミドの奴……また……)」

------数時間後・昼休み、塔学校・食堂------



ティガ「俺の姉ちゃんの子~、もうすぐ孵化しそう!」もぐもぐ

ラギア「え!!マジで?!見たい!!」もぐもぐ

ラギア「俺の血を分けた子!!」

ティガ「キモイ言い方すんな!」

ラギア「だって俺のイトコの子だし~俺の血だって分けられてるし~……」

ライゼクス「……ミツネー、お前今日は金いらずだなー!」

ミツネ「ホントにね。ありがたいよ」はぐはぐ

ガムート「お魚いっぱい貰ったもんねー!」

ラギア「ズバリ、一番嬉しかったプレゼンツはー?!」

ミツネ「どれも嬉しいな。白ラギアさんから貰った手作りの写真立ても良かったし……」

ミツネ「でもガムちゃんに貰ったオルゴールが、特に良かったかな」

ガムート「ミツネっちーー!!ほんとにー?!」

ミツネ「うん。綺麗な音色だった」

ティガ「うおーーー女子みてーなプレゼントだな!!」

ガムート「……女子だもん!」プイッ

ティガ「ごめんってー……ガムート……」

ミツネ「来週は、ガムちゃんの誕生日だよね」

ガムート「あ、そうだった……」

ライゼクス「マーーージ?!誕生日近いんだ、お前ら!」

ラギア「へーー?」

ティガ「…………」

ティガ「(ガムート、誕生日……か)」

------放課後、裏門前------




白ラギア「……ミッくんーー!」ぶんぶん

ミツネ「白ラギアさん。早いね、待たせた?」

白ラギア「全然大丈夫!早く渓流行こ!」

白ラギア「そういえばお兄ちゃんの子供ね、もうすぐ孵化しそうなの!」

ミツネ「あ、そうらしいね。ティガ君から聞いたよ」

白ラギア「卵は四つ産まれたからー、四つ子ちゃん!」

ミツネ「四つ子かぁ……ちょっと世話が大変そうだね」

白ラギア「そーだね。でもお兄ちゃん、お家でできるお仕事だから良かったって言ってる」

ミツネ「そっか、学者さんだもんね」

白ラギア「いますっごく難しい古書かなにか解読中らしくて~、また目が悪くなったって!」

ミツネ「でも冥ラギアさんは元々視力はいいよね?」

白ラギア「そう!前まで両目合わせて8.5だったのに、8.2になっちゃったみたい」

ミツネ「ははは!十分じゃない」

白ラギア「ふふふ………」

白ラギア「…………」

------約1時間後、未知の樹海・冥ラギア家------





ティガ「ねーーちゃーーーーん!!」ドシュッ

大ティガ「あら……ティガ!」

ティガ「子供はーーーー?!」ドスドス

ティガ「あっ、冥のアニキ!ちっす」

冥ラギア「やあティガ君。また来てくれたんだね」

ティガ「まだ孵化しない?!」

大ティガ「まだね、まだ」

冥ラギア「もう、いつ孵化してもおかしくないんだけど……」

ティガ「おーーどんなんが生まれるだろ」

ティガ「姉ちゃんに似てブスが生まれたら……」

大ティガ「なんだと!」ゲシッ

冥ラギア「はっはっはっ」


……ピシッ……


一同「?!」


ピシピシ……ピシッ


ティガ「た!!?!卵のカラ、一個割れそう?!」

冥ラギア「ナイスタイミング!!」

大ティガ「きゃー!!ママでちゅよ!!ママ!!」

ティガ「俺もママーーー!!!」

大ティガ「アンタはママじゃないでしょ!」

冥ラギア「はっはっはっ」

大ティガ「頑張って……頑張って!!」

冥ラギア「……頑張れもうちょっと!!カラ割ってー!」

ティガ「どっち?!どっち!!性別どっちーー!!」


ビシビシ……パリン……

クルルルル………


子ティガ「…………」パチクリ

大ティガ「……う、う……」

一同「生まれたーーーーーーーー!!」

------数十分後、雪山------




ティガ「赤ん坊って生まれた瞬間からメシ食うのかよ」ぶつぶつ

ティガ「俺は知らなかった、知らなかったぜ……」ぶつぶつ

ティガ「ガキはかわいい……」ぶつぶつ

ティガ「……でもなんで俺がメシの調達なんだよ!!」

ティガ「今日に限って全然ポポいねーし!!」

ティガ「めんどくせーーー!!メシくらい準備しておけよ!!」

ティガ「ババアめ!!」

ティガ「(とにかくポポを探さねーと……)」


ゴソゴソ……ゴソゴソ……


ティガ「(……何の音だ?ハンターか……?)」こそっ


ゴソゴソ……ゴソゴソ……


ティガ「………あれは……」

ティガ「……オトモアイルーーーー!!」ドドドド

ニャンター「?!」バッ(振り向き)

ティガ「うおおおおおおお」ガバーーーッ

ニャンター「……待て!!!やめるのニャ!!」

ティガ「…………」ピタッ

ニャンター「む?!……貴様、理性があるニャ?」

ティガ「おベンキョーしたからな」

ニャンター「……勉強ニャと?」

ティガ「……お前オトモアイルーだろ。ニンゲンの味方のくせに、なんで俺らの言葉がわかるんだよ」

ニャンター「オレはオトモアイルーではニャい!」

ティガ「あーそう。お前の旦那はどこだ?俺を狩りにきてんの?」

ニャンター「旦那ニャど、いニャい!」

ティガ「……なんで?お前、なんなの?」

ニャンター「……ゴホン。オレはニャンター、ニャ」

ティガ「ニャンター?」

ニャンター「人間のハンターと同等の試験を潜り抜けた、歴としたハンターニャ!数多のモンスターを穿ち、その名は世に稲妻の如く……」

ティガ「zzz……zzz……」ぐぅ……

ニャンター「……腹立たしい轟竜ニャ!!貴様を狩る!」

ティガ「……zzz……ふがっ、ぶあーーーーっくし!!」

ニャンター「ニャーーーーー……」ヒューーーン……

ドサッ



ティガ「……あれ?アイツどこ行った?」

ティガ「変なオトモアイルーだったな」

ニャンター「……だからオトモではニャい!」ズボッッ!!

ティガ「うわ、びっくりした」

ティガ「いきなり地面から出て来んなよ」

ニャンター「アイルーは不屈ニャ!どこまでも貴様を追う!」

ティガ「お前が勝手に吹っ飛んだんだろ……」

ニャンター「轟竜よ。いま貴様と出会ったことは、運命ニャとオレは思っているニャ」

ティガ「俺のこと知ってんの?」

ニャンター「もちろんニャ。オレは貴様みたいな轟竜を狩りたいのニャ」

ティガ「キャーー超こわい」

ニャンター「……バカにするニャ!」

ティガ「いま狩れば?お前がその気なら、俺は相手してやってもいいぜ」

ニャンター「……貴様はオレを殺そうとはしニャいのニャ?」

ティガ「今はしねーな。殺意を向けられてから、初めて俺はやる気が出るから」ホジホジ

ニャンター「……そうか。では、いつでも受けて立つということニャ?」

ティガ「おーいいぜ」

ニャンター「……承知した。本当は今にも貴様を狩りたいのニャが……」

ニャンター「如何せん、まともな武器が揃っていニャい」

ニャンター「……今に見ていろ!金を稼ぎ、素晴らしい武器を作り……貴様を闇に葬ってやるニャ!!」

ティガ「はいはいお好きにどーぞ」

ニャンター「バカにしているニャ!!ふざけるニャ!!」

ティガ「ところでニャンターさんよぉ」

ニャンター「ニャんだ!」

ティガ「俺、ポポ探してんだけど。知ってる?」

ニャンター「ああ、ポポニャら……」

ニャンター「ポポノタン集めの為にほとんど狩ってしまったニャ」

ティガ「は?!っっざけんな!!メシなんだけど!!」

ニャンター「……それはすまニャい。生肉で良ければ、?ぎ取ったものがあるニャ」ゴソゴソ…

ニャンター「ほら、これニャ」スッ

ティガ「おっ!!マジか!ポポの肉じゃん」

ティガ「くれんの?」

ニャンター「ああ、特に生肉には困っていニャいからニャ」

ティガ「やったぜーーありがとな!お前いいヤツだなー」

ティガ「じゃあな!!」シュバッ!

ニャンター「………」

ニャンター「……肉だけ取って、行ってしまったニャ」

ニャンター「……しかし、ニャんだ……ここでまさか、あの轟竜と会えるとはニャ……」

ニャンター「オレの運も、まだ尽きていニャいのニャ」

------同時刻・地底火山------




アグナ「チッ!!!面白くねェ、面白くねェ……」ブツブツ

アグナ「……ミドの奴!!!タマミツネなんかのどこがいいんだよ!!」

アグナ「あんなんオカマじゃねーか!!女みてぇなツラしやがって!!」

アグナ「……あ?テメェ!!じろじろ見てんじゃねー!!野良の分際で!!」

野良ズワロポス「………!」ビクッ

アグナ「チッ!!!」グワァッ

バクン!!

野良ズワロポス「………」ブシュウッ

アグナ「クッソ……面白くねェ!!」ムシャムシャ……

野良ズワロポスの死体「………」

イャンガルルガ「……よーアグナ!いつにも増して荒れてんじゃん!」バサッ

アグナ「……ガルルガ」

ガルルガ「まァた、振られたんかー?ケケケケッ」

アグナ「うるせーよ!」

ガルルガ「お前も懲りないよねぇ、タフガイだ。ケケッ……なんだっけ、イド?」

アグナ「ミドだ!ミ、ド!!翠トトス!!ガノトトス亜種!!!!」

ガルルガ「ケケケケ!わかった、わかった」

ガルルガ「今日で通算何回目だ?振られるの」

アグナ「今日は振られてねーーーよ!」

ガルルガ「ケケ!今日『は』って!!ケケケケ!!」

ガルルガ「ケケケケケ!ケケケケケケケッ!!!」

アグナ「笑ってんじゃねーよ!あとそのキモい笑い声なんとかしろ!!」

ガルルガ「ケケケ!!『キモい』って!!ケッケッケッ!!」バタバタ

アグナ「…………」ムカムカ……

ガルルガ「……なんで付き合ってくれねェんだろな?」

アグナ「……今度はメインモンス科の、タマミツネが好きなんだってよ!」

ガルルガ「メインモンス科かぁ……お前じゃ勝ち目ないんじゃね?ケケケ……」

アグナ「あァ?!負ける気なんかしねェけどな!!」

アグナ「あんなクラス、ただ名前だけ知れたフヌケどもの集まりだ!」

ガルルガ「でも別に勝ててねェじゃん」

アグナ「……サシで力勝負すればぜってー勝つね!!」

ガルルガ「ケケケケ!!冗談キツイぜ。お前、メインモンス科の連中がどんだけ強いか知ってんの?」

アグナ「………」

ガルルガ「特に亜種でもなんでもねぇお前じゃ、サシでやったところで……お葬式だろ!ケケケ!」

アグナ「やってみなきゃわかんねーだろ!!」

ガルルガ「ケケケ、まァそう怒るなよ!」

ガルルガ「どのみち学校の連中との決闘なんてのは校則違反だ!」

アグナ「……んなの、俺が一番分かってるよ!」

ガルルガ「ケケケ……オレっちに協力してほしいことがあったら、何でも言えよ……」

------約1時間後、未知の樹海・冥ラギア家------



黒ティガ「うおー姉ちゃーーーん!」ドシュッ

ティガ「おー黒兄(くろにい)!おせぇよ!もう3つ孵化したぞ!」

黒ティガ「マジでーーー?!」

子供たち「クルルルル……」ムシャムシャ

子供たち「………」ムシャムシャ

子供たち「うー……うー……」ムシャムシャ

黒ティガ「うおおおちっちぇーー!!」

大ティガ「アンタらにもこんな時期があったのよ」

黒ティガ「性別とか、種類は?どーなってんのこれ」

冥ラギア「ラギアクルス種とティガレックス種、どっちも生まれてね!」

冥ラギア「ラギアクルス種の二人は男の子、ティガレックス種の子は女の子なんだ」

ティガ「キレイに分かれたよなー……」

黒ティガ「てか、生まれるのは混合種とか雑種とかじゃねェの……?」ぼそっ

大ティガ「違ったわね。キレイに二種類」

黒ティガ「へー、可愛い可愛い!俺、子供好き!」

黒ティガ「……親父たちにも見せてェな……」

大ティガ「……そうだね。多分、見てるんじゃないかな?」

ティガ「そーーかもな!」

大ティガ「残るはあと1つかーー……」

冥ラギア「どっちが生まれるだろうねぇ」

黒ティガ「ティガレックス種かも知れねぇから、またポポの調達したほうがいいかもな」

ティガ「あーーそういえばさー、俺、さっき雪山行ったじゃん」

大ティガ「うん?」

ティガ「なんか変なアイルーいた」

黒ティガ「へぇ?オトモ?ハンターもいたのかよ」

ティガ「いや、俺もオトモかと思ったんだけど……ニャンターって名乗ってた」

ティガ「アイルーだけど、イッパシのハンターなんだってよ」

大ティガ「え?ニンゲン側のアイルーなのに、私たちの言葉が通じたの?」

ティガ「うん。俺のこと狩りたいってさ~」

冥ラギア「大丈夫だった?それで、戦闘したの?」

ティガ「いや、してないッス。なんか強い武器作ってから狩るって言ってた」

黒ティガ「なんだそりゃ!変なアイルーだな!ひゃはは」

大ティガ「………」

大ティガ「……どんなアイルーだった?」

ティガ「えーっと。普通のアイルー柄っていうの?よく見るやつ、白っぽい感じの!」

ティガ「んで、目は青くて」

ティガ「鉱石で出来た……ネコ耳のヘルメット被ってた」

冥ラギア「アロイとかいう装備かなぁ……」

大ティガ「……ふうん、そうなんだ」

大ティガ「あんまり関わらないほうがいいかもね」

ティガ「まあもう会わねーだろ!どうせ俺のことなんか狩れねぇよ」

冥ラギア「だけど、一応気を付けて。パーティーで来られたら面倒だよ」

ティガ「大丈夫ッスよーー!!」

一旦止めます。
覗いてくださった方、またレスをくださった方、前スレを覚えていてくださった方、本当にありがとうございました。

------翌朝、人間居住地域・宿屋------




”………うわああああああああ!!”


ニャンター「………う……」



”旦那さァァァーーーーん!!”
”旦那さァァァァーーーーーん!!!!”


”うわァーーーー!!旦那さぁぁぁぁん!!!”



ニャンター「……うっ……」



”旦那さぁぁぁん!!旦那さぁぁぁぁぁん!!!!”
”いやだぁぁぁぁ!!!”

”旦那さァーーーーん!!”

”オレを置いて……逝かないで!!”



ニャンター「う……う……」




”……あなたも?”



ニャンター「!!」ガバッ

ニャンター「……ハァっ、ハァッ……」ドクン、ドクン

ニャンター「は………ハァッ……」ドクン……

ニャンター「…………」

ニャンター「……ふーーーーーーっ……」

ニャンター「(………悪い夢ニャ………)」

------数分後、同地域・集会所------



ニャンター「(昨日の素材ツアーでは……)」

ニャンター「(ロクな金稼ぎにならニャかった……)」


ザワザワ……バタバタ……
アレが足りねぇ……問屋へ……
バタバタ……


ニャンター「?」

ニャンター「(ニャんだ……?まだ朝早いというのに、随分慌ただしい)」

ニャンター「(他のハンターたちも、ニャにか……落ち着きがニャいような?)」

ニャンター「(……まぁいい、オレには関係ニャいのニャ……)」

ニャンター「……受付嬢。今日も素材ツアーの募集はしているのニャ?」

受付嬢「ハーイ!ニャンターさん。今日は密林と旧砂漠のみです!」

ニャンター「旧砂漠への出発は、いつニャ?」

受付嬢「あと3時間後に出発しまーす!」

ニャンター「3時間……」

ニャンター「(旧砂漠なら、隕石の大塊があるニャ)」

ニャンター「わかったニャ。オレも参加するニャ」

ニャンター「パスを……」

受付嬢「ありがとうございまーす!受注します!」

ニャンター「あと、受付嬢」

受付嬢「ハイ、なんでしょう?」

ニャンター「この近くに図書館はあるニャ?」

------数分後、人間居住地域・図書館------




ニャンター「地図……地図……」

ニャンター「……『世界地図帳』!これニャ……」

トンッ
パサッ

ニャンター「ここから遥か東に……アプトノス車と船で一日から一日半」

ニャンター「飛行船で約15時間」

ニャンター「(人間の近寄ってはならニャい場所……)」

ニャンター「(オレ自身も、二度と近寄りたくはニャい……)」

ニャンター「フォンロン地方の古塔……」

ニャンター「……(旦那さん……)」

ニャンター「……」

ニャンター「(昨日の轟竜、確かに理性があったニャ)」

ニャンター「(オレは、薄々感じていたニャ……理性を持つモンスターがいると)」

ニャンター「(きっと……理性を身に付けるための学び舎があるのではニャいか……)」

ズキッ!

ニャンター「……うっ……」

ズキン、ズキン、ズキン……


”あなたも?”


ニャンター「頭……が……」

ズキン、ズキン



ニャンター「(轟竜……!)」

------ほぼ同時刻・塔学校、廊下------




翠トトス「……もうっ!しつこいわね!」

翠トトス「ついてこないでよ!!」

アグナ「だって納得いかねェんだもんよ!!」

翠トトス「なにが納得いかないのよっ!単純な話でしょ!!」

アグナ「いかねェよ!!なんで俺じゃなくてタマミツネなんだよ!!」

翠トトス「お、大きい声で言わないでよ!//」

アグナ「あんな男!!ひょろチビじゃねぇか!!」

アグナ「体はミドよりふた回りも小せぇ!!顔はまるで女!!」

アグナ「その反面俺はどうだよ?!ミドより体はでけぇ、クチバシも立派!!古龍の頭蓋骨だって噛み砕けるぜ!?」

翠トトス「クチバシなんかいらない!!」

アグナ「……なっ……!」

アグナ「なんでだよ!お前が食いてぇ奴がいたら、俺が全部噛み砕いてやるってば!」

翠トトス「いらない!!ミツネ君は美形だから好きなんだもん!」

翠トトス「大体ね!!あんたとウチなんて、活動地域が全く違うじゃない!」

アグナ「………」

翠トトス「あんたは溶岩ドロドロのバカみたいに暑いところにいるし!ウチは密林とか孤島とか!海の側の爽やかな場所にいるの!」

アグナ「……密林も孤島も暑いだろ!?」

翠トトス「うるさいっ!とにかくあんたとウチじゃ合わないの!!」

アグナ「……そんな……俺が合わせるよ!!俺、砂漠とか割とイケるし……頑張って密林にも行くからさ!!」

翠トトス「砂漠は砂漠でも、ウチがいるのは涼しいエリアなの!」

翠トトス「第一、そこまでする必要ないでしょう?!なんでそんなに執着するのよ……!」

アグナ「それは……俺、ミドが好きなんだよ……!」

アグナ「この学校で初めて出会った時から、ずっと好きだった!!」

翠トトス「…………」

翠トトス「……ウチのどこがそんなに好きなわけ?」

アグナ「……えっ?!そ、その……う…鱗の色とか……」

翠トトス「…………」

アグナ「小さい目とか……口から水が出るところ……//」

翠トトス「……死ね!」スパァン!!

翠トトス「………」ドス、ドス……

アグナ「……あとヒレビンタも好き……」ヨロッ



ガルルガ「ケッケッケッ!!バッカで~~!」ケラケラ

アグナ「…………」イラッ

ガルルガ「毎日毎日懲りもせず!ケケケッ!!ソンケーするね!!リスペクト!!ケッケッ」

アグナ「見てたのかよ」

ガルルガ「見てた見てた!!オレっち、折り入ってお前に相談したいことがあんのよ」

アグナ「なんで俺がおめーの相談を聞くんだよ」

ガルルガ「……オレっちたちには、共通の敵がいる!!」

アグナ「……誰だ?!……まさか……!!」

ガルルガ「そう、ケケケ……そのまさか……」

アグナ「タ」

ガルルガ「……マミツネの野郎だよ!!!畜生!!!!!オレっちは振られた!!!!!パープル・ガールにな!!!!」

アグナ「パープル・ガール?」

ガルルガ「オレっちの永遠の恋人……紫ゲリョスたんだよ……」

アグナ「ああ……別れたのか」

ガルルガ「今朝な!!!ケケケ!笑っちまうな!!」

ガルルガ「最近、ミョーに冷たかった……ケーキを焼いているのを見かけたのに、そのケーキはオレっちのもとには届かなかった」

ガルルガ「魅惑のパープル・ケーキ……!パープル・ガールはパープル・ケーキをあのクソミツネに渡した」

ガルルガ「しかも二日連続で!!」

ガルルガ「オレっちはただ黙っていた……別れたくなかったからな!しかし今朝ついに、矢文で別れを告げられた」

ガルルガ「……オレっちは悔しい!!ケケケケッ!!悔しいぜ!!」

アグナ「紫ゲリョスが悪いだろ、どう考えても」

ガルルガ「パープル・ガールは悪くない!いまはクソミツネの暗示にかかっているだけだ」

アグナ「…………まあ、ミドの奴も……タマミツネの見かけに騙されて……」

ガルルガ「なぁ、ベストフレンド。ケケケ……共通の敵、そして共通の目的!!」

ガルルガ「握手しようぜ」スッ

アグナ「…………」スッ

ガシッ!!

アグナ&ガルルガ「タマミツネを潰そう!」

------数十分後(一限)、塔学校・メインモンス科------



リオレウス「うーーっし、じゃあタマミツネ、次の『終焉』を読んでくれるか」

ミツネ「はい」ガタッ

ミツネ「全文ですか?」

リオレウス「そうだ」

ミツネ「……『天は砕かれた、その怒りによって。地もまた等しく砕け、世界の全ては無へと返り』」

ミツネ「『その鼓動だけが、無に共鳴した』」

ミツネ「『それは道中、新たなる最後の生命を見た。それを世界の始まりとした』」

ミツネ「『彼にとってその世界は、数多ある住処の1つに過ぎなかった』」

ミツネ「『小さき者どもは問い、狂う。終わりの鐘が聞こえ、再び世界は閉じた』……」

リオレウス「……うん、いいぞ。ありがとうな」

ミツネ「はい」ストン

リオレウス「これ試験範囲の初っ端の部分だからな。みんなも家で何回も読めよ」

ティガ「先生!!僕はこれがなんなのかわかりません!」

リオレウス「先生もお前がなんなのかわからない」

ラギア「多分、『終焉』っていう古い詩だと思うぜ」

ティガ「ラギアスゲー!!」

リオレウス「そうだな、詩だ。言っておくけど、これ前にもやったからな。ではこれは何を詠った詩なのか……ライゼクス」

ライゼクス「はい、エーッと。……世界が終わるときの詩です」

リオレウス「正解だ、世界が終わるとき。これは元々お伽話として有名な詩だ。……怖いよな、サラリと世界の終焉の様子が詩になってるんだ」

リオレウス「この詩を読む限り、世界の終焉というのは勝手に始まるわけではない。何か特定の『存在』があって、その存在が終焉のキッカケとなっている」

リオレウス「『その鼓動だけが無に共鳴した』の部分。天も地も砕かれ、世界は終焉を迎え無に返ったのに、鼓動が響いている!つまりその鼓動の主が、終焉を引き起こしたんだ」

リオレウス「で、次に……『それは道中、新たなる最後の……』の部分。この道中っつーのは何を指す?蒼レウス」

蒼レウス「世界を終わらせている途中のことでござる~」

リオレウス「そうだな。……『それ』というのは世界を終わらせる者のことな。意図的に世界を終焉へと導いたんだ」

リオレウス「世界は一瞬にして終わるわけではない……『終わりの始まり』が、ある!」

ティガ「先生!!僕は世界が終わるなんてイヤです!」

リオレウス「先生もイヤだ。でもこれはただのお伽話だからな」

------同時刻・どこかの砂地------



ズシン、ズシン、ズシン


ラオシャンロン「…………」


ズシン、ズシン、ズシン


ラオ「逃げなくては……」


ズシン、ズシン、ズシン


ラオ「(しかし何処へ逃げれば……)」

ラオ「(とにかく、果ての地へ……)」

ラオ「(怖い……怖い、怖い……)」


ズシン、ズシン、ズシン………

------一限終了後休み時間、塔学校・メインモンス科------



カラカラ……

キリン「……ラギア君いますかー?」

ガムート「あ!キリンちゃんだ~……」

ラギア「うおおおお」ドドドドド……

ティガ「ラギア、足早ぇー!」

ライゼクス「でも走り方ヘン!」

ラギア「キリンちゃああああああああああん!!」

キリン「ラギア君、おはよう」

ラギア「おはよう!!久しぶりだね!!」

キリン「ふふふ……昨日一緒に帰ったじゃない」

ラギア「いやいや!俺は寂しかった!」

キリン「うふふ!ラギア君面白い」

キリン「コレ、持ってきたよ。試験範囲のノート」

ラギア「うひょーーーありがとう!!」

キリン「ラギア君、授業ちゃんと聞いてるの?」

ラギア「全然聞いてない!」

キリン「あははっ、ダメだよ~!試験があるんだから」

キリン「ちゃんと勉強してね。もしわからないところがあったら、私が教えるから」

ラギア「うん!!一緒に勉強しよ!!」

キリン「うん。じゃあ、次の授業は頑張って聞いてね」

ラギア「わかった!!」

キリン「じゃあね」カラカラ……パタン

ラギア「…………」

ラギア「……ぎゃあああああああ!!!キ、キッ、キリンちゃんのノート!!」

ラギア「ぎゃあああなんか……いい匂いする!!」スーハースーハー

ティガ「ぎゃはははは!!ヘンタイだ!!」

ライゼクス「ぶははは顔がキモイ!更に鼻の穴が巨大化してる!!」

ラギア「うっせーテメー誰の顔がキモイだコラ!」

ぎゃははは……



ガムート「ラギア君……。キリンちゃんのこと本当に大好きなんだね」

ミツネ「あそこまで行くと尊敬するよ……僕もあれくらい人を好きになりたい」

ガムート「なってないの?」

ミツネ「僕は白ラギアさんのノートをスーハースーハーしたりしない」

ガムート「そうだね、そんなミツネっち見たくないな」



ナルガ「……ミツネー!お前に用だってよ!魚海竜科の子!」

ガムート「噂をすれば白ラギアさんじゃないかな?」

ミツネ「なんだろう、行ってくるね」

パタパタ……ガラッ

ミツネ「どうしたの、白ラ……」

ミツネ「…………あれ……?」

------同時刻、塔学校・体育倉庫------



アグナ「……今朝は簡単に、タマミツネを潰すとか言ったけど……どうすんだよ」ひそひそ

ガルルガ「ケケケ……もちろん、直接は手を出さねェよ」

ガルルガ「退学はイヤだからな」ひそひそ

アグナ「……マジで潰す……っつーか……殺すんだよな」

ガルルガ「ケッケッ、ビビんなよ!オレっちたちが殺すわけじゃねェし……無関係!ただ情報を与えるだけさ」

アグナ「……誰にだよ」

ガルルガ「ハンターさ!ケケケケ……」

アグナ「……なるほど、ハンターに情報をリークすんだな」

アグナ「でもどうやって?」

ガルルガ「まず、ニンゲンと直接繋がってるアイルーを探すんだ。お前、マンガを読むだろ……?ケケケ」

アグナ「読むけど……」

ガルルガ「そのマンガが、どうやってオレっちたちの手元に届くか知ってるか?」

ガルルガ「ニンゲンがマンガを作る。これは当然だよな。そしてそのマンガは商人に卸されるんだが……その商人の中にはアイルーもいることがあるわけよ。普段ニンゲン相手に商売する、ニンゲン側のアイルーな」

アグナ「ふむふむ」

ガルルガ「マンガを手に入れた商人(あきんど)アイルーは、それをニンゲンに隠れて今度はモンスターの言葉がわかる数少ないアイルーに卸す!」

ガルルガ「ニンゲンの言葉は、オレっちたちにはわからないから……翻訳するアイルーを一回介さなくてはならないわけよ」

アグナ「ニンゲン側のアイルーに、モンスターの言葉がわかる奴がいるのか?」

ガルルガ「いる!超レアだが間違いなくいる。ニンゲンはそんなこと知らねェけどな、バカだから……ケケケ」

ガルルガ「アイルーによって翻訳されたマンガは、また今度はモンスター専門の商人アイルーに卸される!オレっちたちに直接マンガを売ってくれるアイルーな」

アグナ「なるほど、そういう過程があって俺たちはニンゲンのマンガを読めているわけだ」

ガルルガ「ケケケッ、そういうこと!」

アグナ「じゃあ、まずマンガを売ってくれる商人アイルーを探して、そっから順に辿ればニンゲンに……」

ガルルガ「ノンノン!!そんな面倒なことはしないぜ。ケケケ」

アグナ「じゃあ、なんだよ」

ガルルガ「オレっちたちは、ニンゲンから流出したものを買うとしたらマンガとか本くらいだ」

ガルルガ「それらはさっき話したように、ニンゲンからオレっちたちの元へ届くまでに何行程も踏まなくちゃなんねぇだろ?何人のアイルーを経由するんだよ」

アグナ「確かに、めんどくせェな」

ガルルガ「でも!!……ニンゲンからの商品を直接、モンスターにも売っている商人アイルーが……ごく少数いるらしい」

アグナ「つまり……ニンゲン相手にもモンスター相手にも商売してるアイルーってことか?!」

ガルルガ「ケケケケ!!正解!!」

アグナ「確かにそいつにリークすれば、ニンゲン達へもすぐ伝わるな」

アグナ「だけどよガルルガ……お前、そのアイルーに知り合いいるのかよ?つーかまず、なんの商品を売ってんだ?」

ガルルガ「ケケケッ……兵器だ!」

アグナ「兵器……?」

ガルルガ「ああ、噂だけどな。とんでもねぇ兵器を売っているらしい」

ガルルガ「4ヶ月前……この学校に捕食生物が襲撃しにきたこと、覚えてるだろ?」

アグナ「おう。ウワサじゃ、イビルジョーだったって聞いたけど……」

ガルルガ「そう!!そのイビルジョーを、商人アイルーから直接買った兵器でブチ殺した奴がいるってウワサだぜ!!ケケケケ!!すげェだろ!」

アグナ「誰だ、そいつ!」

ガルルガ「ケケケケ……もう自主退学したが、以前はメインモンス科の生徒だった……」

ガルルガ「……ディノバルドだ!!!」

------数分後(二限)、塔学校・メインモンス科------



リオレウス「じゃあティガレックス、前に出てこの問題解いてみろ~」

ティガ「先生!!僕はそれがなんなのかわかりません!!」

リオレウス「先生も、もうどうしたらいいのかわからない」

ラギア「多分、xとyの値を求めるんだぜ」

ティガ「うおおおラギアが天才になった!!」

リオレウス「お前らな~~……」



ガムート「……えっ、さっき来たの、白ラギアさんじゃなかったの?」ひそひそ

ミツネ「うん、翠トトスさんだった」ひそひそ

ガムート「翠トトス……って、ミツネっちにお魚くれた人?」

ミツネ「そう。ロッカーとか机の中に突っ込んできた人」

ガムート「ミツネっちのことが好きなんだよね。それで、なんだって?」

ミツネ「好きだから付き合ってくれ、って」

ガムート「え、えーー。また告白?手紙でも告白してきたよね」

ミツネ「うん。だから、魚と手紙をわざわざ本人に返しに行ったりして」

ミツネ「気持ちには応えられない、って伝えたけど」

ミツネ「……またさっき、『考え直して欲しい』ってさ」

ガムート「うーーん?なかなか粘り強いね……」

ミツネ「第一さ、僕と白ラギアさんが付き合ってるの知ってるんだよ」

ミツネ「しかも白ラギアさんとは同じクラスだから友達みたいだし」

ガムート「えーー……友達の彼氏なのに」

ミツネ「普通はそういうことしないよね」

ガムート「そうだねぇ。もちろんまた断ったんだよね?」

ミツネ「うん。悪いけど彼女がいるから、って」

ガムート「もう来ないといいね」

ミツネ「……そうだね。でも……何か、ただならぬ執念を感じる」

ガムート「気をつけてね……」

------同時刻、塔学校・魚海竜科------




翠トトス「…………」イライラ…

翠トトス「…………」チラッ



白ラギア「……問3の答えがAで、問4がCです」

ハプルボッカ「そうねぇ~~正解だわ~~……」



翠トトス「………チッ!」イライラ…

紅ガノス「……みどち、どーしたの……?ご機嫌ナナメ?」こそっ

翠トトス「……ミツネ君にフラれた」

紅ガノス「えー!みどち、告ったの?」

翠トトス「そーよ」イライラ

紅ガノス「そうなんだぁ~……(マジで自分ならイケると思ったんだ……笑える~!)」

翠トトス「(プレゼントもここ一週間くらい毎日渡して……直接会うときはにこやかに接して)」

翠トトス「(ウチのこと意識させるようにしたのにフラれるなんて……)」

翠トトス「(昨日は白に対しても、ミツネ君がウチのことを気に入っていると思わせるようにしたのに)」

翠トトス「(相変わらず、今朝も一緒に登校してきて……なんなの?!)」

翠トトス「(こんなにアピールしてるってのに!!)」イライラ…

ハプルボッカ「はいガノトトス亜種ちゃん、次の問題解いてちょーだいっ」

翠トトス「……はい」イラッ

翠トトス「……(どこやってたんだっけ……)」

翠トトス「えーーっ……と」

ハプルボッカ「なによ~聞いてなかったの~?」

アグナ「……(こそっ)プリント2枚目の問5。答えはBだ」

翠トトス「!!……Bです!」

ハプルボッカ「うん、正解よ~ん」

翠トトス「(こそっ)ありがと……」

アグナ「(こそっ)いーってことよ!」ニコニコ

翠トトス「………」



ドスガレオス「……白ちゃーん、ここの答えわかる?」ひそひそ

白ラギア「うん……ドスガレ君がわからないなんて珍しいね」ひそひそ



翠トトス「………」イラッ

翠トトス「(ヤバい、白が何をしててもムカつく……)」

翠トトス「……!」はっ

カリカリ……

翠トトス「(こそっ)……アグナ!」ポイッ

アグナ「(こそっ)うおっ、何……?手紙?」

パサッ


『白ラギアを痛い目に合わせて別れさせたいからなんとかして。成功したらデートしてあげる』


アグナ「………ミド……」

翠トトス「………」

------二限終了後休み時間、塔学校・体育倉庫------




ガルルガ「……それさァ、ミドっていう女もそーとー性格悪くね?」こそこそ

アグナ「根は優しい奴なんだよ!」こそこそ

ガルルガ「根は優しいって!ケケケ、根は優しい奴がなんで友達を痛め付けようなんて思うんだよ!ケケケッ」

アグナ「紫ゲリョスだってかなり性格悪いだろ。お前と付き合ってんのにタマミツネにケーキ渡すとか」

ガルルガ「パープル・ガールは悪くない!!タマミツネが悪いんだ!!」

アグナ「………(アホだな)」

ガルルガ「とにかく標的が一人増えたんだな」

アグナ「そーいうことだ。タマミツネと、白ラギア。こいつらの居場所をリークして、ハンターに狩らせる」

ガルルガ「ラッキーなことに二人はカップル様だ!ケケケッ……二人まとめてイッキに行けそうだ」

アグナ「じゃあ、まずあの二人が確実に一緒にいる時間帯を把握しよう。そこから古代林に行ってディノバルドに会って、ニンゲン直通の商人アイルーを紹介してもらう」

ガルルガ「イエス!そして商人アイルーに二人の居場所をリークし、ハンターに来てもらう!!ケケケケ!一大プロジェクトだぜ!ゾクゾクするぅ!!」


……カタンッ


アグナ&ガルルガ「?!」バッ

アグナ「……今、誰か盗み聞きしていやがったな?!」ガラッ!

……シーーーン……

アグナ「……誰もいねェ」

ガルルガ「風だろ、風!」

アグナ「だなー……」



……こそっ

ポポ「…………」ドクン、ドクン……

ポポ「…………」

------昼休み、塔学校・食堂------



ティガ「おっちゃーーん。俺、デラックス生肉定食!!」

イャンクック「おっ、今日は豪勢だねぇ」

クック「デザート2つつくけど、どうするの?」

ティガ「生肉とー、あとキモ!!」

クック「あいよ~」

ラギア「おっちゃん、俺デザートだけでいい!」

クック「あいよ~」

ライゼクス「ラギアも今日は弁当かー?」

ラギア「そう!キリンちゃんの!!」

ティガ「俺、デラックス食べるの初めてだ」

ライゼクス「今日リッチじゃん、どしたの?」

ティガ「ポポやんから三人分のメシ代もらった」

ラギア「ぶはっ、でも俺もライゼクスも弁当だからお前一人で三人分の金使うのかよ」

ライゼクス「お前も好きだよな、ポポイビりが」

ティガ「俺ポポやんのこと大好きだから」

ラギア「メシとしてなww」

ティガ「ぎゃっはっはっはっ」



ミツネ「あ、みんな来てるね」

ティガ「おーお前らこっちこっち」

ガムート「お腹すいたね~食べよっか」カタン

一同「いただきまーす」

ラギア「……あのさ~今日の一限でやった詩ってさ~、結構面白いよな」もぐもぐ

ティガ「うわ、ラギアが授業を面白いとか……」もぐもぐ

ライゼクス「超成長したじゃん!」もぐもぐ

ガムート「あれ、ちょっと怖い詩だよね」しゃくしゃく

ミツネ「そうだね」はぐはぐ

ラギア「キリンちゃんから借りたノート見たら、めっちゃわかりやすく解説してあってよ」

ライゼクス「さすがキリンちゃん!」

ラギア「字もキレーなの?」

ラギア「……『新たなる最後の生命を見た』ってあったじゃん」

ラギア「あれ、俺は意味不明だと思ったけど」

ラギア「世界の終わる直前に誕生した存在のことなんだな!」

ミツネ「うん、そうだね」

ライゼクス「お前起きてても全然授業聞いてないのなwwその解説レウス先生もしてたぜ」

ティガ「あ、そーなの?俺知らなかった」

ラギア「で、その存在を、世界をまた創るための原動力?にするんだってな」

ガムート「ラギア君、がんばって覚えたんだね」

ラギア「試験範囲だからな!」

ティガ「でもそうやって聞くとおもしれーなー」

ライゼクス「ただのお伽話だけどよ、だからこそのロマンっつーのがあるよなー」

------数分後、同場所・ティガ達の隣のテーブル------



アグナ「(ひそっ)会話聞こえるか?」

ガルルガ「(ひそっ)聞こえるぜー……ケケ!」

アグナ「(ひそっ)メモ取れ!」

ガルルガ「(ひそっ)ラッジャー」

サラサラ……

ガルルガ「……うん、オッケー。ケケケッ、しっかり聞き取ったぜ」

------更に数分後、塔学校・体育倉庫------



ガルルガ「明日の放課後!タマミツネは白ラギアと一緒に、未知の樹海へ行くらしい」

アグナ「明日!!やった!」

ガルルガ「……こっから未知の樹海まで、南南西にまっすぐ」

アグナ「放課後すぐ出発して、海竜種の二人が海を渡って……大体90分くらいか」

ガルルガ「大まかな時間も分かれば万々歳だ!」

アグナ「……よし、メシも食ったし、午後の授業はサボって早速古代林へ向かおうぜ!」

ガルルガ「ケケケケ!!楽しみだ……」


ガラッ!


アグナ&ガルルガ「!!」びくっ

翠トトス「…………」

アグナ「……なんだ、ミドか……びっくりさせんなよ」

翠トトス「ホントにやってくれる……?」

アグナ「ああ……白ラギアだろ?やるよ」

アグナ「明日にはカタが付いてる」

翠トトス「方法は?」

アグナ「えーと……まだ言えない」

翠トトス「……まあ方法はなんでもいーけど」

翠トトス「もう二度とミツネ君に顔向けできないようにしてね」

翠トトス「いつでもデートしてあげるからさ」ガラガラ、バンッ!

アグナ&ガルルガ「………」

ガルルガ「……やっぱサイコーに性格悪いな!」

アグナ「……そこがまたいいんだよ!」

ガルルガ「ケケケケケ……」

------約1時間後、古代林------




アグナ「ううう……寒い……寒い……」ガタガタ

ガルルガ「ケッケッ、アグナは古代林は初めてだもんなぁ」

アグナ「俺、火山に住んでんだよ……寒いよ、ここは……」

アグナ「お前よく平気だよな……」ガタガタ

ガルルガ「オレっちは寒いところ以外は割と何処へでも行けるからな~」

アグナ「学校も俺にとっては薄ら寒いけど、ここは水辺も近いし尚寒い……」

ガルルガ「ケケケケケ……」

アグナ「つーかディノバルドの巣ってどこにあんだよ」

ガルルガ「さぁ?……ケッケッ……オレっち、ディノバルドと話したことねェしな」

ガルルガ「メインモンス科だったし、名前だけは知られてるけど……さすがに巣の詳しい位置は知られてねぇよ」

アグナ「はァ?!どーやって探すんだよ!このクソ広い島で!!」

ガルルガ「ケケケ!怒ると体があったまるだろ?」

アグナ「うるせぇ!」

ガルルガ「ウワサによればもっと奥の方だ。南の方角」

アグナ「お前はなんでそんなにウワサに詳しいんだよ」

------約30分後、古代林・ディノバルドの巣付近------




ガルルガ「……ディノバルドーーー!!ディノ、バル、ドーーーっ!!」

アグナ「ディノバルドさァ~ん、いますかーー!!」

ガルルガ「……この辺りのはずなんだが……」

アグナ「留守かー?」

ガルルガ「……ディノバ……」


ディノバルド「何だ」


アグナ&ガルルガ「!!!!!!」ビクッ!

アグナ&ガルルガ「…………」くるり……

ディノバルド「…………?」

アグナ「あっ、ディノバルド……さん」

ガルルガ「ケケケ……どうもどうも」

ディノバルド「………塔学校の者か?」

アグナ「そう。俺はアグナコトル」

ガルルガ「オレっちはイャンガルルガ」

アグナ「俺らの名前ぐらい、聞いたことあるだろ……?」

ディノバルド「…………いや、悪いが聞いたことはない」

ディノバルド「正直言って、見たこともない」

ガルルガ「ケケケケケ!!ウケる!!オレっちたち、影薄っ!!」

アグナ「……へーへーそうですか」

ディノバルド「何か用か?俺はもうとっくに学校を辞めたんだが」

ディノバルド「それに巣の付近で、俺の名前をデカイ声で呼ばないでほしい」

ガルルガ「それはソーリーだな。オレっちたち、アンタに聞きたいことがあんのよ」

ディノバルド「…………」

ガルルガ「兵器を、どこのアイルーから仕入れた……?ケケケ……」

ディノバルド「………?……兵器?」

アグナ「トボけても無駄だ!あのおっそろしいイビルジョーを、ニンゲンから流れてきた最強の兵器を使ってブチ殺したそうじゃねェですか!」

ディノバルド「………」

ディノバルド「(俺が仕入れたのはただの毒投げナイフだし……)」

ディノバルド「(しかも直接殺したのは俺ではなかったのだが……)」

ディノバルド「(噂話というのは、こうも壮大な尾ヒレがつくものなのか……)」

ディノバルド「……そうだな、仕入れた」

ガルルガ「おお!その商人アイルーは、どこにいる?!」

ディノバルド「行商人だから、いつも決まった場所にいるわけではないが……」

ディノバルド「ここ数日は、この古代林に来ているという噂を聞いたな」

アグナ「!!やったぜガルルガ!!俺たち、ついてるぜ!!」

ディノバルド「古代林にいるとしたら、ニンゲンに見つからない場所……東の海側の崖を2つ登った先の、岩場の中の小さな洞窟だろう」

ガルルガ「イェア!オレっちたちラッキー・ボーイズ!!サンキューディノバルド!!」

アグナ「行くぜ行くぜーー!!感謝するぜーー!」

ドドドドド……

ディノバルド「…………」

ディノバルド「(どうも武器や兵器を手に入れたいようだ……)」

ディノバルド「(あの商人アイルーは、フライパンとか……皮剥き器くらいしか売っていないんだがな……)」



冥ラギア「ディノ君~~~」パタパタ……

ディノバルド「!……冥さん……!」

冥ラギア「今、誰か来ていたのかい?珍しいね!」

ディノバルド「……なんか……よくわかりません」

ディノバルド「今のやつらの前にも、俺に用のある奴が来たりして……」

ディノバルド「すいません、呼んでくれたら俺が行くのに……」

冥ラギア「はっはっは、いいのいいの!子供たちの散歩にもちょうどいいしね」

子供たち「キャッキャッ」

ディノバルド「…………」ペコッ

子供たち「キャッキャッ」

冥ラギア「……ディノ君、学校には戻らないの?」

ディノバルド「…………」

ディノバルド「戻りません」

冥ラギア「……そっか」

ディノバルド「でも俺は、勉強は嫌いではないから」

ディノバルド「冥さんに……考古学を教えてようかって提案してもらって、こうして教えてもらって……ありがたいです」

冥ラギア「……うん、僕も、考古学に興味を持ってくれる子がいると嬉しいよ」

ディノバルド「…………」ペコッ

冥ラギア「それでね!今日はいいお知らせ」

ディノバルド「?」

冥ラギア「ニンゲンの古い書物の……コレ!ほんの冒頭部分だけだけど、やっと解読できたんだ」ごそっ

ディノバルド「え……本当ですか?」

冥ラギア「うん。読んでみて」

ディノバルド「…………」

ディノバルド「……これって……」

冥ラギア「ニンゲンの世界でも、古ーいお伽話として扱われているみたいなんだけど」

冥ラギア「似たようなものが、僕たちモンスターの世界にもある」

冥ラギア「学校の授業でやったよね?『終焉』っていう詩」

ディノバルド「……ハイ」

ディノバルド「『天は砕かれた、その怒りによって』……」

冥ラギア「このニンゲンの書物の文と、『終焉』の詩。きっと同じ存在を詠ってる」

ディノバルド「…………」

冥ラギア「……『キョダイリュウノゼツメイニヨリ、デンセツハヨミガエル』……」

------数時間後(放課後)、旧砂漠付近・アプトノス車の上------





ガラガラガラ……



”旦那さァーーーーん!!”
”置いていかないで……!!”


”………あなたも?”



ニャンター「…………」



ガラガラガラ……


御者アイルー「ニャンターさん!お待たせしてますねェ」

御者アイルー「あと半刻ほどで着きますニャ」


ガラガラガラ……


ニャンター「……かたじけニャい、こんニャ暑い土地まで」

御者アイルー「いえいえ!あっしらはこれが仕事ですんで……」




”許してください!許してください!”
”このまま帰りますから……”


”…………”
”あなたも……殺した?”




ニャンター「…………」

ニャンター「(轟竜………)」

ニャンター「(理性)」

ニャンター「(………古塔)」

------約1時間後、旧砂漠------




ティガ「俺の周りはリア充ばっかりで」ぶつぶつ

ティガ「時々誰も遊んでくれないときがある」うろうろ

ティガ「……独り言も増えたしよー……」ぶつぶつ

ティガ「(ライゼクスもラギアもミツネもデートで……)」

ティガ「……あの黒兄ですらデート!!」

ティガ「信じらんねぇ!!まじクソ兄!!」

ティガ「(あいつどうせ、興奮しすぎて鼻血でも出してんだろなぁ)」

ティガ「(黒兄が鼻血ブーブー吹きながらデートしてるかと思うと、弟として恥ずかしいね!)」

ティガ「あ~やっぱ渓流行ってジンオウガと遊ぶか……?」うろうろ

ティガ「(それか……)」

ティガ「……ガムート…………?」ぼそっ

ティガ「……いや~ないっしょ!!ないっしょ!!な、なにして遊ぶんだよ!!ハッハ!」

ティガ「……」

ティガ「や……でも……野良ポポ食いがてら雪合戦でも……」

ティガ「……いやいや!ナシ!」

ティガ「(テキトーに野良アプケロス食い漁って昼寝でもこくかな……)」うろうろ……



ピョコピョコ……



ティガ「?」じーーっ……


ピョコピョコ……


ティガ「……うおおう?!光る岩がひとりでに動いてる?!」

ティガ「……じゃない、アレは……」

ティガ「……ニャンターーーーーーさーーーん!!!」ズドドド……

ニャンター「?!」

ニャンター「貴様……!!あっ」ヨロッ


ガッシャーーーー………ン……


ニャンター「……隕石の大塊がっ!!!」

ティガ「あ、悪ぃ……なんか大事なもの運んでた?」

ニャンター「……オレの金になるものニャ!!!」

ニャンター「せっかくここまで運んだのに!!!」

ティガ「ゴ、ゴメン……悪気はなかったぜ」

ニャンター「…………」ムカッ

ニャンター「……まぁいいニャ!!また運べばいいのニャ」くるっ

ピョコピョコ……

ティガ「ニャンターさん!待ってよー」ドスドス

ニャンター「オレは忙しいのニャ!!」ピョコピョコ

ティガ「あのデカい岩、なんなの?」ドスドス

ニャンター「隕石の大塊ニャ!アレを納品すれば金になるニャ」

ティガ「ニャンターさん金ないのー?!」

ニャンター「……ニャい!金を貯めたら武器を作って貴様を狩る!」

ティガ「そういえばそうだったネ!」ドスドス

ティガ「早く金貯めて武器作って、早く俺に敗けろよ」

ニャンター「貴様のせいで時間をロスしたんだニャ!!」

ティガ「あーそっか、ごめんごめん……」

ティガ「……お前昨日肉くれたから、俺が手伝うよ」

ニャンター「……ニャッ?!」

ティガ「どこにあんだよその……ナンチャラのナンチャラは」

ニャンター「隕石の大塊ニャ」

ティガ「そうそれ」

ニャンター「……そこの洞窟に入ったところにあるニャ」

ティガ「え、狭い!!俺入れないから、入り口まで運んでこいよ」

ティガ「そしたらあとは俺が運んでやるから」

ニャンター「……本気で言っているニャ?ベースキャンプまで運ぶのニャぞ?」

ティガ「いいよ。肉くれたしな」

ニャンター「………」

ニャンター「(モンスターに手伝ってもらうニャんて、ハンターとしてあるまじき行為ニャ……)」

ニャンター「(しかしこの轟竜の様子を……少し伺いたいのニャ)」

ニャンター「……そうか、それでは……お言葉に甘えることとしようかニャ」

------約五分後、同じく旧砂漠------




ティガ「こんな軽いモンを運ぶのに手間取るなんて、やっぱアイルーってのは弱っちぃな」ドス、ドス……

ニャンター「……貴様のようニャ、デカい図体の者と一緒にするニャ」ピョコピョコ

ティガ「ひゃはは」

ティガ「コレ売って金貯めて、武器作るんだろ?そんなにいい武器なわけ?」

ニャンター「………」

ニャンター「形見ニャ」

ティガ「形見?誰のだよ」

ニャンター「オレの、ただ一人の旦那さんニャ」

ティガ「なんだ!お前やっぱり最初はオトモアイルーだったのか」

ニャンター「……元々は、キッチンアイルーだったニャ。あるギルドが管轄するネコ宿舎で生まれたオレは、幼少の頃からとあるハンターのメシを作る仕事に就いていたニャ」

ニャンター「大剣使いの、それはカッコいいハンターニャった」

ティガ「それが旦那さんか」

ニャンター「そしてまだ子供のうちにキッチンの料理長にまで上り詰めた。そんニャ当時のオレの趣味は、旦那さんの狩りの話を聞くことニャった」

ニャンター「……毎日のように、旦那さんの力の源となるメシを作り、旦那さんを見送り、帰りを待ちニャがら」

ニャンター「旦那さんの話す外の世界に、オレは憧れたニャ」



”なぁお前、俺の狩りの話が好きだよなぁ!”
”一緒に行ってみるか?”



ニャンター「そして旦那さんに誘われて、オレは晴れてオトモアイルーとなったニャ」

ティガ「ふぅん。そっからは?」

ニャンター「ある日、旦那さんとオレは極寒の土地で、あるモンスターの強化個体と通常個体を狩りに行ったニャ」

ニャンター「危険な依頼ニャった。王族が付近を通過するとのことで、凶暴なモンスターを片付けて欲しいとの内容ニャった」

ニャンター「だが強化個体があまりにも強すぎて……オレは初っ端に一発食らっただけで満身創痍ニャ。あとはずっとベースキャンプ待機ニャった。……情けない話ニャ」

ニャンター「旦那さんはその時、片目と片腕を失ったニャ。それでも2頭とも見事討伐して帰還し、ギルド一番のハンターとして有名になったニャ」

ニャンター「しかし……」

ティガ「………?」

ニャンター「……それから数年経ったある日。旦那さんはその強化個体の装備を着て、オレと共に東の樹海へ納品依頼をこなしに行ったニャ」

ティガ「(……塔学校のすぐ南側にある樹海か……?)」

ニャンター「旦那さんとオレは樹海で迷い、そして行き着いた先で、あるモンスターと遭遇したニャ」

ティガ「…………それで?」

ニャンター「……そのモンスターは旦那さんの姿を見て逆上したニャ。……そして戦闘の末に旦那さんは死んでしまったニャ」

ティガ「…………」



”旦那さァァァーーーーん!!”
”旦那さあああああああん!!!”

”行かないで……置いて行かないでぇぇぇぇ!!”



ニャンター「その日からオレはハンター訓練を受け、何度も何度も試験に落ち、やっとニャンターとなったのニャ」

ニャンター「オレは、旦那さんが最後に着ていた装備から武器を作るために、今こうして金を貯めている」

ティガ「……そーだったのか」

ニャンター「……オレはずっと独りニャが……その武器を旦那さんの分身だと思って、生涯を共にしたいのニャ」

ニャンター「……轟竜よ。貴様には家族がいるのニャ?」

ティガ「……ああ……姉ちゃんと兄貴と……甥と、姪が」

ニャンター「両親は?」

ティガ「………死んだよ」

ニャンター「…………」

ニャンター「貴様は理性を学んだニャ。理性のあるモンスターというのは、貴様一人ではニャい」

ニャンター「……学び舎があるはずニャ。その学び舎はどこにある?」

ティガ「…………!」

ティガ「………それは……言えねェ……」

ニャンター「…………」

ニャンター「……まぁ良い。隕石の大塊を運んで貰って感謝するニャ」

ニャンター「もうベースキャンプは目と鼻の先ニャ。あとはオレが自分で運び、帰還する」

ティガ「………」

ニャンター「もうこれで武器は作れるニャろう。そのうちまた、この場所へ来るつもりニャ」

ティガ「……絶対だな」

ニャンター「ああ、近いうちにまた会おう」

ニャンター「……そのときオレは……貴様を狩るニャ」くるっ

ピョコピョコ……

ティガ「…………」

ティガ「(極寒の土地……強化個体……東の樹海……)」

ティガ「………………?」

------翌朝・渓流から学校への道中------




ミツネ「今日、冥ラギアさんたちのところに行くの楽しみだね」ペタペタ

白ラギア「うん!あたしは子供たちに会うのは二回目だな」パタパタ

ミツネ「そっか、僕は初めてだなぁ」

ミツネ「何か手土産を持って行った方がいいよね」

白ラギア「うーん、あんまり気にしなくてもいいと思うけどなーー」

ミツネ「やっぱり魚……かなぁ」

白ラギア「…………」

白ラギア「(みどち……ミッくんから、お魚貰ったって言ってたけど……)」

白ラギア「(本当なのかな……?初対面だと思ってたのに)」

白ラギア「(でもミッくん、わざわざあたしのクラスにまで来たりして……)」

白ラギア「(……しかも……ミッくんのクラスに遊びに行ったら)」

白ラギア「(何故か廊下にみどちがいて……ミッくんと話してた……)」

白ラギア「(見てないフリしてあたしは帰っちゃったけど、やっぱり気になるよ……)」

白ラギア「(それにミッくんは、一緒にいてくれるけど……)」

白ラギア「(好きとか一回も言われたことないし!!……っていうかそもそも……)」



”白、ホントにミツネ君と付き合ってるのー?”



白ラギア「(あたしたちって……ホントに付き合ってる……?)」

ミツネ「……白ラギアさん?どうしたの」

白ラギア「……はっ」

ミツネ「考えごとかい?」

白ラギア「う、うん……ごめん」

ミツネ「大丈夫?」

白ラギア「(ミッくん、いつも通り優しい……)」

白ラギア「……ミッくん……み、みどちと……なんかあるの?」

ミツネ「みどち?誰?」

白ラギア「翠トトスちゃん……」

ミツネ「………あーーーーー……」

ミツネ「……………」

ミツネ「……いや?なにもないよ」

白ラギア「…………そ……っか」

ミツネ「うん。……でも翠トトスさんってどんな子?」

白ラギア「えっ」

白ラギア「……えーっと……クラスのボスって感じでちょっと怖いけど……リーダーシップもあるし、頼れる姉御……?って感じかな」

ミツネ「ふーん……(典型的な、僕の苦手な女子像だ……)」

白ラギア「…………」

------同時刻、人間居住地域・集会所------




鍛冶屋「はい、ニャンターさん!完成したよ~良かったね!」ゴトンッ

ニャンター「かたじけニャい、鍛冶屋の主人……」ずしっ……

ニャンター「重いニャ……」

鍛冶屋「ハッハッハッ、そうだよ~極上の素材からできてるからね」

ニャンター「(旦那さん、オレは……)」

ニャンター「…………」




ニャンター「(あの轟竜を……狩るときが来たのニャ……)」

ニャンター「(しかしまず武器慣らしに何か別のクエストに行くニャ)」

ニャンター「クエストボードで、何かパーティーメンバーを募集しているニャろうか……」



『狩猟クエスト
メインターゲット・報酬金184000z
≪ラギアクルス亜種一頭と
タマミツネ一頭の狩猟≫

目的地・未知の樹海』



ニャンター「……?変な組み合わせだニャ」

ニャンター「しかも未知の樹海……?」

ハンター1「ヒャッハッハッハッ!いい組み合わせだよなァ!ラギアクルス亜種とタマミツネなんて!!」

ハンター2「俺たちにかかればどうせ瞬殺だ!!」

ハンター3「ひっさびさの大クエスト!!しかも報酬金は破格!!とっとと終わらせて酒盛りしようぜーー!」

ギャハハ……


ニャンター「(……まだ3人のようニャ、あと一人入れるニャ)」

ニャンター「……もし、そこの殿方たち」

ハンター2「……あァ?」ギロッ

ニャンター「このクエスト、まだあと一人入れるニャ。オレも同行してもいいニャろうか」

ハンターたち「………」

ハンター1「………ヒャーーーーッハッハッハッ!!!なんだこのネコ!!」

ハンター2「オトモアイルーは旦那さんとクエストに行ってくださーーーい!!」

ニャンター「……失敬ニャ!オレは歴としたハンターニャぞ!!」

ハンター3「ハァーーーッハッハ!!尚更おかしいぜ!!ネコのハンターだとよ!!」

ハンター2「パス見せな」

ニャンター「…………」スッ

ハンター2「……あァ?なんだよ、所属無しのフリーのハンターだぜ、コイツ」

ハンター3「テメェみたいな流れの野郎の参加できるクエストなんざねェよ!!ただでさえ依頼が少ねェってのに!!」

ハンター1「そんなにクエストに参加したきゃ、別のギルドにでも行くんだなーーー!」

ギャハハハハ………


ニャンター「…………」くるっ

ニャンター「(どこへ行っても、同じ扱いニャ)」トボ、トボ……

ニャンター「(人間でもモンスターでもニャいオレは……何者にもなれニャい)」

ニャンター「(もうオレと共に戦ってくれる者ニャど……いニャい)」

ニャンター「……受付嬢。クエスト一覧を見せてくれニャいか」

受付嬢「ハーイ、ニャンターさん。こちらが現在募集中のクエストでーす!」

ニャンター「(何か……武器を使うものがいいニャ)」

ニャンター「(卵運搬、キノコ納品……本当に、ロクなクエストがニャい)」

ニャンター「……『ゲネポス10匹の討伐』、コレにするニャ」

ニャンター「(……また旧砂漠ニャ……)」

受付嬢「了解でーーす!受注します!あと2時間後に出発です!」

------数分後、同場所・屋台------



ニャンター「……肉盛りマグマ丼」

ニャンター「あと……タンジアビールも」

屋台の主人「あいよっ!……ニャンターさん、さっきは不運だったね。ひでェやつらだ」

ニャンター「いや……同情は不要ニャ」

屋台の主人「最近はモンスターも大人しいし、クエストが少ないからね。あーいう嫌な奴らが先陣とって受注しちまうんだよ」

ニャンター「…………」

屋台の主人「それに、砦の建設も佳境に入って街は忙しい。ハンターは迎撃に向けてあまり他のクエストをやりたがらないしね」

ニャンター「……砦?何のことニャ、それは」

ニャンター「それに、迎撃とは……?」

屋台の主人「あれっ、知らないのかー!」

屋台の主人「困ったことに、馬鹿でかいモンスターがこの街に進路を取って向かってるんだよ。このままじゃ街が壊されちまう」

屋台の主人「そのモンスター迎撃のための砦を、大急ぎで街のすぐ外に建設してるんだ」

ニャンター「……そうだったのニャ……」

ニャンター「それで、ニャんだか街が騒がしかったのニャ」

屋台の主人「そういうこった。……ハイ、できたよ」コトッ

ニャンター「ああ……いただくニャ」

ニャンター「………」もぐもぐ

ニャンター「(……迎撃……)」

------昼休み、塔学校・食堂------




ライゼクス「……これが、巨大ミートボールを投げるティガ」パサッ

ラギア「ぎゃははは!!ミートボール、でかっ!!なにこれ!!」

ミツネ「………」

ガムート「どうしてミートボールなんて投げたの?」

ティガ「ミートボールじゃねーよ……岩盤だ岩盤」

ライゼクス「これが、ドリフトに失敗してもがくティガ」パサッ

ラギア「ダセぇぇぇぇ!!!」

ティガ「俺の変な写真ばっかり!!」

ライゼクス「これ俺の生徒手帳に入れてるから」

ラギア「自分の写真入れろよ!」

ぎゃははは……


ミツネ「…………」

ティガ「……ミツネ、どーした?大人しいじゃん」

ミツネ「……そうかな?」

ライゼクス「おー、そう言えばそうだな。どーしたんだよ」

ラギア「白ちゃんとケンカでもしたかー?」

ガムート「もしかして、翠トトスさんのこと?」

ミツネ「うん、まあ……そうっちゃ、そうかな……」

ティガ「翠トトス?誰だそれ。女?」

ラギア「女だったはず!魚海竜科だぜ」

ライゼクス「俺、そいつ知ってる。桜ちんから聞いたけど……オトコ好き?とかいうヤツらしいな」

ガムート「えっ、そうなの?」

ティガ「で、どーしたんだよ翠トトスが」

ミツネ「僕の誕生日の前日に、腐った魚をくれたんだけど」

ライゼクス「あぁ………ふっ」

ラギア「思い出し笑いはやめとけよ」

ミツネ「当日も直接、机の中に魚が入っててね。僕を好きだってメッセージも付いてたんだ」

ライゼクス「お……!女の子から告白!!」

ティガ「いいなーミツネいいなーー」

ガムート「……」

ミツネ「でも受け取れないから直接返しに行った。気持ちには応えられない、ってちゃんと言ったよ」

ミツネ「でもそのすぐ後、休み時間に僕たちの教室まで来て、好きだから考え直してくれ~ってさ」

ラギア「おっ?ジョーネツ的だな」

ミツネ「まあそれはいいよ。でも翠トトスさん、白ラギアさんと友達なんだ」

ティガ「んん?友達の彼氏に告ったってこと?」

ミツネ「白ラギアさんには、告白されたこととか言ってないよ。でも僕的には……白ラギアさんには、あんまり翠トトスさんと仲良くしてほしくない」

ラギア「まあ、そーーだよな」

ミツネ「友達って言わないよ、そういうの。仲良くすることなんかない。でも翠トトスさんは、ボス格らしいから逆らえない部分があるんだろうけど」

ライゼクス「友達の彼氏でも、好きになっちまうことぐらいあるんじゃねーーのーーー?」

ミツネ「翠トトスさんは僕の外見しか知らないのに、こんな風にしつこくされてもね」

ミツネ「……白ラギアさんが心配だな。翠トトスさんから、変なことされてないか」

ティガ「白ラギアちゃんカワイーからなぁ」

ガムート「……そうだね……」

ミツネ「今朝、白ラギアさんから聞かれたんだよね。翠トトスさんとなんかあるのか、って」

ライゼクス「女の子はカンが鋭いからな!」

ティガ「んで、なんて答えたんだ」

ミツネ「無い、としか答えてない」

ラギア「……それさあ、白ちゃんからしたらチョー不満じゃね?」

ミツネ「?」

ガムート「『無い』って答えるんじゃなくて、『なんでそんなこと聞くの?』とか返さないと、女の子は不安だと思うなあ」

ミツネ「……そうなの?」

ライゼクス「そうだろうなー。何か誤解されてることがあるなら、ちゃんと解かねーと」

ミツネ「誤解されてるのかな?」

ミツネ「逆に、変に誤解されないように、特に多くを語らなかったつもりなんだけど……」

ティガ「いや、それはダメだろ!いいか、女ってのは納得できるまで話を聞かないと気が済まないんだぞ」

ティガ「一度なにかをゴカイされたら、それはそれは面倒なことになる」

ガムート「『何かあるのか』って聞いてくる時点で、向こうは何かしら感じる部分があるんだと思うよ?」

ライゼクス「そうかもな~。ミツネお前、ちょっと言葉足らずなんじゃね?」

ミツネ「……僕が?言葉足らず???」

ライゼクス「お前ちゃんと、『今日もカワイイね?大好きだよ?愛してるよ?』って毎日言ってんのか?」

ラギア「げ、ライゼクス……お前そんなこと毎日言ってんの……?」

ミツネ「……そんなこと、言ってるわけないじゃん……」

ガムート「最後に白ラギアさんに好きって言ったのって、いつ?」

ミツネ「…………?」

ミツネ「……………」

ミツネ「……………言ったことないかも」

一同「………はいぃーーーー?!」

ティガ「ぎゃははは!!!ミツネ、ダメダメじゃん!!」

ラギア「お前頭いいくせに、そーいうところダメなんだな!!」

ライゼクス「初めてミツネに勝てた気がするよなーーーーーww」

ガムート「ミツネっち……クールを通り越して無神経だよ!!」

ミツネ「が、ガムちゃんまで……!」

ライゼクス「あのなー、ミツネ。女ゴコロをわかってねー男の未来に待っているのはな」

ライゼクス「……孤独だぜ」

ミツネ「……………!」

------同時刻、天空山付近------




???「……………」

???「………目覚めかけている」

???「己を『神』と呼ぶものが……」

???「天を砕き、這い出すのだろう」


???「……神など、いない」

???「神などにはなれやしない」

???「……この私も等しく」

------放課後、未知の樹海・冥ラギア家への道中------




ミツネ「…………」ペタペタ……

白ラギア「……それでね~三限の時にチャガナブル君が言ったの!そしたら……」ペタペタ

ミツネ「……(今日は、あんなにみんなから言われてしまったけど……)」

白ラギア「……先生が笑ってね~、今度は……」ペチャクチャ

ミツネ「(白ラギアさんは、本当に不安や不満を抱えているのかな……)」

白ラギア「……でも実際は違ったの!ホントはね……」ペチャクチャ

ミツネ「(とてもそうは見えないけど……僕の前では無理に明るく振舞っている……とか……?)」

白ラギア「……ね~~ミッくん、聞いてるのーー?!」

ミツネ「………えっ?」



………ドゴオオオオオン!!


白ラギア「きゃっ!?」グラ……

ミツネ「白ラギアさん?!」

白ラギア「なに……?爆弾?!」

ミツネ「当たった?」

白ラギア「ちょっとだけかすった……」


パスッ、パスッ


ミツネ「……うわっ……ペイントボール?!」

白ラギア「まさか、ハンター?!」


ダダダダダダ………


ハンター1「ヒャーーーッハハハーー!!!」ズバッ!!!

ミツネ「(! 双剣使いだ!!)」ヒュッ

白ラギア「ミッくん!!気をつけて!!」

ハンター2「オラオラオラオラーーー!!」シュパッ、シュパッ!!

ミツネ「(弓使いと……あとは、大剣か?!)」



ハンター1&3「挟み討ちーーーー!!」ズバッ……

ミツネ「!」ヒュッ……

ハンター2「!!宙に舞ったぜ?!」シュパッ……

白ラギア「きゃーー、ミッくんーー!!!」

ミツネ「……何人編成だ……!」ストンッ

ハンター3「溜めるぜ……」ブウゥン…ブウゥン………

ミツネ「白ラギアさん、危ないっ!!」バッ


ズドォーーン……


ミツネ「(大剣の溜め3か……さすがに重いな……)」

白ラギア「み、ミッくん……」

ハンター1「スキありーーーーー!!」


ガキィン………

------数分後、旧砂漠------



ティガ「……ニャンターさーーーーん!!!」ドシュッ

ニャンター「ニャッ?!」びくっ

ティガ「久しぶりだな~~元気だった?」

ニャンター「……昨日も会ったニャ」

ティガ「そーだよな!ぎゃはは」

ティガ「ニャンターさん今日も金稼ぎに来たの?」

ニャンター「いや、今日は違うニャ」

ティガ「俺と遊びにきた?!」

ニャンター「……違うニャ」

ニャンター「……武器が、完成したニャ」

ティガ「マジか、おめでと!見せろよーー」

ニャンター「…………」

ティガ「どんないい武器なんだー?」

ニャンター「…………」

ティガ「……オイオイ、もったいつけて……」

ニャンター「…………」ずいっ

ティガ「…………え」

ニャンター「……手にとって、じっくり見るがいいニャ」

ティガ「…………」すっ

ニャンター「…………」

ティガ「…………」

ティガ「………………」

ティガ「………俺、ほんとにガキの頃だったから……」

ティガ「正直、覚えてねぇことのほうが多いよ」

ニャンター「…………」

ティガ「でも……コレは、12年経った今でも覚えてる………」

ティガ「……ほとんど真っ青で……あとは俺と同じ、黄色だ」

ニャンター「…………」

ティガ「……俺の両親か?」

ティガ「お前の旦那さんが……極寒の地で狩ったのは」

ニャンター「…………」

ティガ「俺の両親は、12年前に極圏に行ったきり帰ってこなかった」

ニャンター「……同じ頃ニャ。旦那さんとオレは……極圏での二頭クエストに出向いたのニャ」

ニャンター「…………一頭目は、『荒鉤爪ティガレックス』」

ティガ「………親父………」

ニャンター「二頭目は……貴様と良く似ていた」

ニャンター「黄色い体色に、わずかに水色が混じっていた。貴様と同じだニャ」

ティガ「……お袋だよ、それが」

ニャンター「……そっくりニャ。あの日の轟竜が生き返ったようニャ」



”おやじーー!おふくろーーー!!”
”どこにいくのーー?”

”パパのお友達の所へ行くのよ”

”へー!!いつかえってくる?”

”3日後くらいかなぁ。ティガ、いい子にしていられる?”

”してるよーー!おれ、いいこでまってるよ!”



ニャンター「まさかとは思ったニャ。たまたま出会った貴様が、あの日極圏で狩った荒鉤爪と……そしてティガレックス通常種の息子ニャど」



”パパとママが帰ってきたら、何が食べたい?”

”なんでもいいよー!おれ、おふくろのごはんだいすき!”



ティガ「……俺、お袋の作るメシが好きだったよ」

ティガ「味なんて、ちっとも覚えてねぇ」

ティガ「……でも、すげぇ好きだったっつー記憶だけが、しっかり残ってる」

ニャンター「……そういうものニャ」

ティガ「…………」

ティガ「……お前の旦那さんのおかげで、俺の両親は死んだわけだ」

ニャンター「…………」

ティガ「そうだろ?」

ニャンター「………」

ニャンター「貴様の父親は強かったニャ……」

ニャンター「……オレを一撃で沈め、そして旦那さんの片目と片腕を奪っていったニャ」

ティガ「だろーな。……でも、死んだ」

ニャンター「ベースキャンプで、オレは貴様の父親が……死に際に叫ぶのを聞いたニャ」

ニャンター「『妻だけはやめてくれ』とニャ」

ティガ「……その時から、お前は俺らの言葉を理解できていたんだな」

ニャンター「そうニャ。オレだけがその言葉を聞き取れたニャ」

ニャンター「人間たちにとっては、モンスターの言語を理解する者ニャど、忌まわしいものなのニャ」

ニャンター「オレは……貴様の父親の言葉を聞かぬふりをして、旦那さんにも告げず……」

ティガ「お袋も狩られたんだな」

ニャンター「…………そうニャ」

ティガ「…………」

ニャンター「その日オレは悟ったニャ。理性を持つモンスターの存在を」

ティガ「…………」

ニャンター「そして数年後、オレと旦那さんは東の樹海で迷い……行き着いた先で、鉢合わせしたモンスターに殺されたニャ」

ティガ「………その場所って」

ニャンター「フォンロン地方の古塔ニャ」

ティガ「(……学校……)」

ニャンター「鉢合わせしたモンスターは『ティガレックス希少種』」

ニャンター「……貴様の姉ではニャいか?」

------同時刻、未知の樹海------




ハンター2「ハァ……オイ!!!しっかりしろ!!1っっっ!!!」

ハンター1「…………」

ハンター3「1!!……1っ!!!」

ハンター1「…………」



ハンター4「おい!!みんな!!!」バタバタバタ……

ハンター2「テメェ、4!!いままでどこにいやがった!!」

ハンター3「1が死んだよ……!テメェがもっと早く来れば!!!」

ハンター4「す、すまん……お宝エリアにいて……」

ハンター2「バカ野郎!!何考えてんだ!!!」

ハンター4「本当にすまん!!……ラギア亜種とタマミツネは……?」

ハンター3「すぐ近くにいる!!一旦、逃げてきたんだよ……」

ハンター4「そうか……ギルドから矢文だ!!撤退命令が出た!!」パサッ

ハンター2「撤退命令?!」

ハンター3「……『ラオシャンロンの接近』?!」

ハンター2「『当ギルド所属の全ハンター迎撃態勢につけ』……だと?予定より早いじゃねぇか!!」

ハンター4「もう迎えの飛行船が向かっているはずだ。あの二頭は諦めろ!!」

ハンター3「あァ?!1が死んだんだ!!このままノコノコ帰れるかよ!!」

ハンター4「3、お前……!腕折れてるじゃねぇか!!悪いことは言わねぇから諦めろ!!」

ハンター3「頭数合わせのてめぇにゴタゴタ言われる筋合いはねぇ!!おい2、もう一回行くぞ!!」バッ!

ハンター2「おォ!!……ハァッ」バッ!!

ハンター4「おい、二人とも……!」

ハンター4「……い、行っちまった……」




白ラギア「……ミッくん、血が出てるよ……大丈夫?」スタ、スタ

ミツネ「うん。大したことないさ」スタ、スタ

白ラギア「一人死んだ……?」

ミツネ「そうだね、一人しか死んでなかったみたいだけど……」

ミツネ「まあ、いっか。あとは逃げてったみたいだし……」



ハンター2「……オラァァァァ!!!」シュバッ!!

ヒューーン……ザクッ!

白ラギア「痛いっ!!!矢だ……!」

ミツネ「……しつこい!」バッ!!

ピャアアアアアアアァァァァ……ッ!!

ハンター3「っ!!……咆哮に怯むな……!」

ハンター2「うっ……!うるせぇ……!」

ミツネ「………」スパァン!!

ハンター3「うわっ!!」ドサッ

ハンター2「くそっ!!」ドサッ

ハンター2「……相変わらず動きが早い!!おい3!!同時に溜め……」

白ラギア「…………」スゥゥゥーーッ

ゴガアァァァァァァァァァッッ!!

ハンター3「!!!!」ビリビリ……

ハンター2「!!!!コイツいつの間に後ろに……」ビリビリ……

白ラギア「……ミッくんに……近寄らないでよーーっっっ!!」

ドゴオオオオオオオオン!!!!

ハンター3「……いてぇ……!」

ハンター2「……クソ、これ使うしかねぇな」ヒュンッ

ミツネ「(爆弾か?!)白ラギアさんっ!」バッ

……パスッ!

白ラギア「ミッくん……!!」

ミツネ「………?これ爆弾じゃなくて……」

ミツネ「……くさっ!!こやし玉だ!!!」

白ラギア「キャアアアアアアミッくん臭いーーー!!」ズザザザッ(後ずさり)

ミツネ「し、白ラギアさん!!僕はわざと臭いわけじゃ……」

ハンター4「………隙!!」バッッ

ゴガァン!!

ミツネ「うっ……!!!」グラッ

白ラギア「す、スラッシュアックス!」

ハンター2「怯んだ!!やったぜ!!」

ハンター3「……でもこやし玉が効いてないのか?!」

白ラギア「……バカーーーー!!!!」バチバチバチバチバチッ!!

白ラギア「ミッくんに何すんのよーー!!あんなに臭くしてーーー!!!!!バカーーーー!!!!」バチバチバチ!

ハンターたち「ぎゃああああ……」ビリビリ……

ミツネ「…………」ドゴォン!!

ハンター3「……う……!肋骨っ、肋骨が……っ!!」ゲボッ……

ハンター2「3っ!!!」ダッ

ハンター4「……やめろ、行くな!!」ガシッ

ミツネ「…………」ヒュッ

ハンター3「ゲホッ、ゲホッ……と、跳ん……」

……ズガァァァァン!!……メキメキメキッ!!

ミツネ「…………」

ハンター4「………!!」

ハンター2「……3ーーーー!!!!」

ハンター4「し、死んだ……」

ミツネ「……あと二人か」

白ラギア「ミッくん!!!(臭いけどかっこいい!!)」

ハンター2「おのれ3まで……!」ダダダダ……

ハンター4「やめろ、もう帰ろう!!!撤退命令が出てるんだぞ!!!」

ハンター2「この恨み、晴らして……」シュンシュンシュン……(溜め)

白ラギア「……させないけどっ!!?」ドゴオオン……

ハンター2「うっ……!!」

バチバチバチバチバチ……!!

ハンター2「…………」ドサッ……

ハンター4「……は………」ブルブル……

ハンター4「う、うそだろ……俺だけかよ……!!」

ハンター4「や、やめます!!俺帰りますから!!!」

ハンター4「もう何もしませんから……!!」

ミツネ「?……何か言ってる?命乞いかな」

白ラギア「あたしたちには通じないよね……」

ハンター4「何もしませんからああああ……」ダダダダダッ……

ミツネ「……許さないよ!!」スパァァァン!!

ハンター4「うわァーーーーー……」ヒューーーーーーン………キラッ

白ラギア「……わあーーーすごい飛んでったね」

ミツネ「僕の尻尾は最強だから」

白ラギア「………ふふふ……ミッくん、すっごい臭い!!」

ミツネ「なっ!!ぼ、僕が臭くしてるんじゃないよ!!」

白ラギア「ふふふふ!!なんか……面白ーーーい!!」

ミツネ「笑わないでよっ!!僕は僕で必死に……」

白ラギア「うん、わかってる!爆弾だと思って、あたしを庇ってくれたんだよね」

ミツネ「そうだよ……」

白ラギア「……ミッくんありがとう。庇ってくれて」

ミツネ「当たり前じゃん。君は女の子なんだから」

白ラギア「うん……ミッくん、大好きだよ」

ミツネ「…………」

ミツネ「う、うん………」

白ラギア「……………」

------戻って旧砂漠------



ニャンター「フォンロンの古塔にいたティガレックス希少種……つまり大轟竜は、旦那さんの装備を見て逆上したニャ」


”……父さん……!”


ニャンター「すぐに激しい戦闘となったニャ。しかし元々は樹海での納品依頼のつもりで来ていた旦那さんは、ロクなアイテムを持っていニャかった………」

ティガ「…………」

ニャンター「ゆえに、死んだニャ」



”うわァァーーーーん!!!”
”旦那さァーーーーーん!死んじゃやだよーーーーー!!!”



ティガ「……大轟竜は……うちの、姉ちゃんだ」

ニャンター「……やはりそうニャ。……あの大轟竜にも、理性があったニャ」

ニャンター「理性のある荒鉤爪、理性のある大轟竜……そして理性のある貴様」

ニャンター「家族と考えて当然ニャと思ったニャ」

ティガ「………」

ニャンター「オレはずっと……旦那さんの仇を討つために、あの日旦那さんを殺した大轟竜の家族を探してきたニャ」

ティガ「…………」

ニャンター「旦那さんの魂の宿るこの武器で、必ずや皆殺しにしようと自分に誓ったのニャ」

ティガ「……そっか……それでお前……俺を狩りたがってたっつーワケか」

ニャンター「そうニャ」

ティガ「………俺の両親を殺したのはお前の旦那さんだ。そしてその仇を討ったのが……俺の姉ちゃんで」

ニャンター「…………」

ティガ「今度は、お前が仇を討つ番ってことか」

ニャンター「…………」

ティガ「…………よし。……俺は死にたくねぇけど……もし死ぬとして、親父の一部で出来たその剣で殺されるなら……」

ティガ「……本望だ」

ニャンター「…………」

ティガ「死ぬ気で来いよ。お前が俺を殺すなら、俺もお前を殺してやる」

ニャンター「…………」

ニャンター「感動的ニャ」

ティガ「……だろ?」



ニャンター「…………ゆくぞ」ピョンッ!!

ティガ「おォよ…………!!」


……ドゴォーーーーーーーン!!!

------同時刻、どこかの平野------



ズシン、ズシン、ズシン……


ラオ「ハァ……ハァ………」

ラオ「(もうそこまで来ている……)」

ラオ「(俺にはわかる、感じる)」

ラオ「(逃げ場などない恐怖……)」

ラオ「(しかし俺にはただ……逃げることしかできない)」




ラオ「(俺の種族は、何度逃げる……?)」

ラオ「ハァ……ハァ……」

ラオ「(………歴史を繰り返し……)」

ラオ「(1000年前の俺の先祖も……)」



ズシン、ズシン、ズシン……

------数分後、旧砂漠------



…………ガキィィン!!
ギリギリギリ……

ニャンター「………!!」ギリギリ……

ティガ「……ハッ」ギリギリ……

ティガ「……ちっとも、やる気を感じねェけど?」ギリギリ……

ズバッ!!

ニャンター「………」

ティガ「痛えぞ。……これでやっと一発食らったぜ、俺は」


ピョーーーーン……
シュタッ!!


ニャンター「…………」ジリ……

ティガ「………?」


ニャンター「…………」ヒュッ

ボスッ

ティガ「………?なに、もう終わり?やらねーの?」

ティガ「武器投げんなよ。俺の親父だぞ」

ニャンター「…………その武器は、貴様にくれてやるニャ」

ティガ「……あァ?」

ニャンター「オレは、何者ニャ」

ティガ「はい???」

ニャンター「オレは………何者ニャ………」

ニャンター「……長い間、ずっと……旦那さんを殺された憎しみを抱いて生きてきたニャ……」

ニャンター「……オレは、ハンターの称号を貰ったが……」

ニャンター「オレがやろうとしていたことは、狩りではニャく……殺戮ニャ」

ティガ「…………」

ニャンター「憎しみの連鎖を繋げることニャ」

ティガ「…………」

ティガ「……俺は、お前のことを憎いとは思わねーけど」

ニャンター「…………」

ティガ「お前の旦那さんが俺の両親を殺したことは間違いねーけど……でも俺の姉ちゃんも、お前の旦那さんを殺した」

ティガ「それについては、むしろ申し訳ねェくらいに思ってる」

ニャンター「……いや……そもそもはオレの旦那さんが」

ティガ「……あーうっせーーー!!もういーよ!!」

ニャンター「?!」

ティガ「俺はもう、気が済んだよ!!ずっと、両親が死んだ理由なんて知らなかったけど……知れたしな!!!」

ティガ「それに、両親を殺したのはお前じゃねェ!!お前の旦那さんだろ?!」

ティガ「お前を憎むのはスジ違いってやつだ!!!」

ニャンター「………え……」

ティガ「だから俺はもういいよ!!でもあとはお前の問題だ!!お前が俺を殺したいなら好きにすればいいよ!!」

ティガ「俺は死にたくねぇから、返り討ちにしてやるけどな!!」

ニャンター「…………」

ティガ「で、続きやんの!!?やんねーーの!!?」

ニャンター「…………」

ニャンター「………いや………オレも、いいニャ」

ニャンター「これ以上、憎しみの連鎖を繋げるニャど、してはいけニャい……」

ニャンター「オレは愚か者ニャ。……オレが貴様を憎むのも、筋違いニャ……」

ティガ「……お前本当にそれで……」



ヒュゥゥゥゥゥゥン…………
ザクッ!!!!



ニャンター「……矢文ニャ……?」

ティガ「なんでこんなタイミングで矢文なんだよ……」

ティガ「……お前宛てだろ。俺宛ての場合はアイルーが持ってくるし……」

ニャンター「失礼、読ませてもらうニャ」パサ

ニャンター「…………」

ニャンター「……………」

ニャンター「……撤退命令ニャ。オレはもう、帰るニャ」

ティガ「……ああそう」

ニャンター「貴様と出会ったことは、オレにとってニャによりも大きなことニャ」

ティガ「あーーー俺も思ってるぜ」

ティガ「………お前、元々ニンゲン用のキッチンにいたんだろ?」

ニャンター「??……そうニャが……」

ティガ「今度さぁ、けいき?の作り方、教えてくれねぇ?」

ニャンター「……けいき?ケーキのことニャ?」

ティガ「あーたぶんそれ」

ニャンター「…………」

ニャンター「……いや」

ニャンター「他のものをあたってくれ。オレと貴様はもう……」

ニャンター「二度と会うことはニャい」

------数十分後、未知の樹海------




白ラギア「あばばーーー」

子供たち「キャッキャッ」

白ラギア「んんんー、みんな可愛いね!!」

子供たち「むーーー、むーーーー」べたべた

大ティガ「あはは!子供たち、ミツネ君になついてるね」

ミツネ「そうみたい……痛っ、ですね」

大ティガ「コラコラ噛み噛みするのはダメ!!ごめんね、ミツネ君……」

冥ラギア「それにしても災難だったね。まさか二人でいるところを狙われるなんて」

冥ラギア「ケガは大丈夫?」

ミツネ「はい、かすり傷で」

白ラギア「ミッくんすごいんだよ!みんなやっつけちゃった」

ミツネ「あんまり強くなかったからね」

ミツネ「……でも、白ラギアさん。おかしいと思わない?」

白ラギア「???」

ミツネ「僕たちは未知の樹海に生息しているわけじゃない。でも、僕たちをターゲットにしたハンターが出没したんだ」

ミツネ「なぜ僕たちが未知の樹海にいるって知っていたんだろう?」

冥ラギア「うん、そうだね。……でも、たまたま……っていう線はないかな?」

大ティガ「たまたま探索か何かに来ていて、たまたまミツネ君たちを見かけて襲いかかってきたとか……?」

白ラギア「あたしは、そう思ったけど……」

ミツネ「僕も最初はそう思いました。しかしハンターは四人いて……その全員が、雷もしくは火の武器を持っていんです」

冥ラギア「……なるほど、思いっきり君たちの弱点属性だね」

白ラギア「ほんとだ……」

ミツネ「明らかに僕たちをターゲットにしていた。問題は、なぜ僕たちがここにいることを知っていたのか、ってこと」

冥ラギア「………誰かがリークしたとか?」

大ティガ「そんな!」

ミツネ「そう、その可能性が高いです」

白ラギア「誰がそんなことを……」

ミツネ「僕、ティガ君たちに話した。今日の放課後、白ラギアさんと二人で未知の樹海に来るってことを」

大ティガ「まさか?!いくらなんでもティガは……」

ミツネ「もちろん、ティガ君たちじゃない」

ミツネ「……それを話した場所は、食堂なんです」

冥ラギア「誰かに話を盗み聞きされていたってことだね」

ミツネ「恐らくそうです。目的はわからないけれど、食堂での会話を聞かれていた……」

白ラギア「でもリークって……直接?ハンターはニンゲンなのに?」

冥ラギア「ニンゲン相手の商人アイルーの中にはごく稀に、モンスターとも直接繋がっている者もいるんだ。もちろんニンゲンには極秘でね」

冥ラギア「その商人アイルーに君たちの居場所をリークすれば、アイルーがハンターたちに上手いこと知らせることができる」

冥ラギア「……当然ながら、アイルーへの依頼は有料だろうけど」

大ティガ「そんな汚いことをする生徒が、学校にいるなんて……」

ミツネ「でも、これで合点がいきました」

ミツネ「最後の疑問は、誰がリークしたのか……」

冥ラギア「……あんまり考えたくないんだけどね」

一同「?」

冥ラギア「昨日ディノ君の巣にお邪魔したときに……ディノ君のところへ、塔学校の生徒が来ていたようでね」

冥ラギア「ニンゲン直通の商人アイルーの居場所を聞きに来たみたいで」

ミツネ「……わざわざディノ君のもとへまで……」

冥ラギア「……その生徒は、『イャンガルルガ』、そして『アグナコトル』って名乗ったらしい」

白ラギア「えっ……アグナ君……?!」

冥ラギア「そう。だから僕もあまり考えたくはないんだけどね」

冥ラギア「……可能性は、なくもないんじゃないかな」

ミツネ「……二人とも、僕は全く接点がありませんが……」

一同「…………」

ミツネ「…………」

ミツネ「……卵、最後の一個がまだ孵らないですね」

一旦止めます。
覗いてくださった方、レスをくださった方、ありがとうございました。

------翌日未明、人間居住地域・集会所------



ざわ、ざわ……

モブハンター達「……ったく、日付が変わって間もない深夜だっちゅーのに……」

モブハンター達「なんだってこんな時間に出撃なんだよ!」

ざわ、ざわ………

モブハンター達「砦の建設を急ピッチで終わらせて、夕方になんとか完成したところだぜ」

モブハンター達「来るの早すぎだろ……」

モブハンター達「めんどくせぇー……」



ギルドマスター「役員!いまハンターは何人だ!」

ギルド役員「はい、106名です!」

ギルド役員「オトモアイルーを含めると182名です!」

ギルドマスター「少ない……!」

ギルド役員「近隣のフィールドにいる別ギルドのハンターや、フリーのハンターにも出撃要請を出しましたが……」

ギルド役員「いま現在この場にいるハンターは、計106名です!」



ニャンター「ハァ、ハァ……間に合ったニャ!!!」タッタッタッ

ニャンター「ギルドマスター!!オレもいるニャ!!」ピョコピョコ

ニャンター「オレはハンターニャ!!戦える!!これがパスニャ!!」ぶんぶん

ギルドマスター「…………!」

ギルド役員「……計107名です!」



ニャンター「(荒鉤爪の剣に比べれば、威力では劣るが……)」

ニャンター「(いつもの武器で迎撃するしかニャい)」



ギルドスタッフ「ギルドマスター!!ラオシャンロン、砦の半径2キロ圏内に進入です!!」バタバタ……

ギルドスタッフ「速度は遅いものの、確実に砦及びこの街に向かって進行しています!!」


ざわ……ざわ……


ギルドマスター「……静粛に!!」

ピタッ

ギルド役員「ハンターの皆様方!!今回急な要請にも関わらずこの場に集まってくれたこと、心より御礼申し上げます!」

ギルド役員「これよりラオシャンロンの砦襲撃に向けて迎撃態勢に入ります!」

ギルド役員「配置は先ほど述べたように、ガンナーはベースキャンプ付近の高所及び誘導路の橋上より攻撃、ラオシャンロンの通過とともに次のエリアへ速やかに移動!なおボウガンでの散弾の使用は不可と致します!」

ギルド役員「剣士は誘導路に並び……」

ニャンター「(本当にラオシャンロンが来ているのニャ……)」

ニャンター「(……以前、本で読んだことがある気がするニャ……ラオシャンロンのようニャ巨大龍の襲撃と、その背景に潜むもののお伽話を)」

ギルド役員「……ガンナーは頭部を狙い、剣士は腹部を狙うこと!!」

ギルドスタッフ「ラオシャンロン、1キロ圏内に進入!!」

ギルド役員「!……全員、街の外の迎撃砦へ!!」

ザワザワ……
バタバタ……

------数分後、迎撃砦・ベースキャンプ付近------



ズシン、ズシン、ズシン………

ズシン、ズシン、ズシン………


ラオ「(……なんだ……?ニンゲンが大勢……)」

ラオ「(そんなことに構っている暇はない……ここを抜けて、とにかく遠くへ……!)」




司令官「……目標確認!」ガチッ……

司令官「……前列、全員構えーーーー!!」

ガチャガチャ、ガチャン………

司令官「撃てーーーーーーーー!!」

ズバババババッ!!

司令官「撃てーーーーーーーー!!」

ズババババ……



ラオ「……………」

ズシン、ズシン、ズシン……



司令官「(やはり外殻は硬いか……!)」

司令官「……リロード!……撃てーーーーーーーー!!」

------更に数分後、誘導路------



ニャンター「(……オレはあれで良かったのニャ)」

ニャンター「(大轟竜のことは憎めど、オレがあの轟竜を憎むのは筋違いニャ)」

ニャンター「(全てのモンスターが敵ニャと思っていたが……必ずしもそうではニャいということを、オレは知ったニャ……)」


ズシン、ズシン、ズシン……


ニャンター「!」

司令官「……目標確認!!ガンナー前列、全員構えーーーー!!」

ガチャンッ……

司令官「剣士、全員抜刀ーーーー!!」

ガシャン!


ニャンター「…………」ジャキッ


司令官「目標接近!!ガンナー撃てーーーーーー!!」

ズバババババ……

司令官「剣士かかれーーーー!!」

ジャキジャキジャキ!!
ガシィン……

モブハンター達「なんつぅデカさだ……!!」

モブハンター達「足と尾に気を付けろーーーー!!!」

ニャンター「……!…………」ズババッ……



ズシン、ズシン……

ラオ「…………!」ガクン………

ラオ「痛い…………!」

ズシン、ズシン……


モブハンター達「怯んだぞーーー!!」

司令官「……気を抜くなよ!!体力は通常のモンスターの数百倍だ!!」

司令官「………撃てーーーーー!!」

ズバババババ………


ニャンター「(『痛い』と言ったニャ………)」ズババッ

ニャンター「(……これほどの巨体であっても……)」

ニャンター「(当然ニャがら、痛覚はあるのだニャ……)」ズババ……



モブハンター達「対巨龍爆弾、設置完了ーーー!!」

司令官「よし、速やかに着地しろ!!」

司令官「全員伏せーーーー!!」

ニャンター「!」ピョン……

ニャンター「……………」



ズドオオオオオオオン………


ラオ「う………………………!!!」ガクゥン……

ラオ「…………」ズシィン……


モブハンター達「!!倒れた!」

モブハンター達「仕留めたか……?」

司令官「まだだ!!……撃てーーーーー!!」


ニャンター「(ラオシャンロン……何が目的で、この街に……)」

ニャンター「(ただ歩くだけで、害はニャいのニャろうか……?)」

ニャンター「(いや……この巨体、移動だけでも我々人間にとっては脅威ニャ……)」

ニャンター「(………『我々人間』?………)」

ニャンター「(オレは………自分を人間ニャと、思っているのか……)」


司令官「……全員納刀ーーー!!」

司令官「第二誘導路へ移動せよ!!」

------数十分後、迎撃砦・決戦場------



ヒュオオオオオオオォォォ…………


モブハンター達「誘導路では仕留めきれなかったか……!」ハァ、ハァ……

モブハンター達「ここまで来てしまったな……」

モブハンター達「……バケモノだな!!体力の底が見えねぇよ……」

モブハンター達「ここには撃龍槍も大砲もある!ここでなんとか食い止めて、街を守らなくては……!」


ズシン、ズシン、ズシン、ズシン……


司令官「!!」

司令官「……目標接近ーーー!!!剣士第一隊抜刀ーーーー!!」

ジャキジャキジャキ……


ニャンター「(……オレは第二隊ニャから……)」

ニャンター「(地面に下りずに、ここでバリスタを撃つのニャ)」

ニャンター「(………誘導路では、特に大きな攻撃をしてくる様子はニャかった)」

ニャンター「(何が目的ニャ……)」

ニャンター「(……思い出せ!!ラオシャンロンの襲撃の陰に潜む何かを………)」



司令官「ガンナー構えーーーーーーー!!」

司令官「撃てーーーーー!!」

ズバババババ……

司令官「バリスタ用意ーーーー!!撃てーーーーー!!!!」

バシュバシュバシュバシュ………


ラオ「……ハァ、ハァ……」

ラオ「痛い………全身が、焼けるように痛い………!」


ニャンター「!」


ラオ「何だよ、これは……」

ラオ「行き止まり………!」

ラオ「開けてくれよ………!通してくれよーーーーー!!!」

ズアァァァァ………ッ!!


司令官「!!!立ち上がったぞ!撃龍槍撃てーーー!!!」

モブハンター達「………ッ!!」ガァン!


キリキリキリキリ…………
ドズウウウウウウウウウウン!!!!


ラオ「ぐ………………あ…………」ズウン……

ニャンター「…………」

モブハンター達「やった!!命中した!!!倒れたぞ!」

モブハンター達「でもまだ息がある……!」


ラオ「助けて……助けて……」

ラオ「もう、来るんだ………すぐ側に……」

ニャンター「………」

ニャンター「(まさか………この者にも、理性が?!)」

ラオ「ううう…………」

ラオ「逃げなきゃ……」ムクッ


モブハンター達「起きたぞーーーーー!!」


ズババババババッ………

ドウン、ドウンッ…………


ニャンター「(……逃げるとはニャんだ?!一体ニャにから逃げるというのニャ……)」

モブハンター達「……おい、ネコ!さっきからサボってんじゃねぇ、ちゃんと撃て!」ズババ……


ラオ「みんなに……」

ニャンター「(みんな……?)」


モブハンター達「……撃龍槍使用可能まであと30秒!!」

ズババババババ……
バシュバシュバシュバシュ……
ドウン、ドウンッ……


ラオ「……みんなに、知らせるべきだった……!」

ニャンター「(知らせる?!今度はニャんだ……!)」

ニャンター「(間違いニャい、この者にも理性がある……!!)」

ラオ「学校の、みんなに…………!」

ズァァァァァア……

ニャンター「!!!!!!!」

司令官「……また立ち上がった!!撃龍槍、撃てーーー!!!」


キリキリキリキリキリキリ……

ドズウウウウウウウゥゥゥゥ………ン!!!!


ラオ「ぐっ…………!!!」グラッ

ズウウウゥン…………


ニャンター「(学校、と……………!!!)」

ニャンター「…………ッ」

ニャンター「……………」

------更に数十分後、同場所------



モブハンター達「………死亡確認!!死亡確認ーーー!!!」

司令官「……!!」

司令官「皆の者よくやった!!!!」

司令官「ラオシャンロン迎撃成功、無事討伐が確認された!!!」

モブハンター達「うおおおおおおお!!!」

モブハンター達「よっしゃああああああああ!!」

ワーーーーーー……ワーーーーーーーー………


司令官「それでは全員整列、一分間黙祷!」



一同「……………………」

ニャンター「………」



司令官「………各自、最大8回まで剥ぎ取り許可を出す!」

司令官「剥ぎ取り終了後はこの場で火葬し……」



ニャンター「…………」

ニャンター「……………」

ニャンター「(やはりモンスターの一部は理性を持ち)」

ニャンター「(その理性は、オレの考え通り、学び舎で身に付けるのニャろう……)」

ニャンター「(轟竜に学び舎の場所を聞いたとき……、奴は『言えニャい』と答えた)」

ニャンター「(つまり場所は言えニャいだけで存在はしているのニャ)」

ニャンター「(ラオシャンロンもあの轟竜も、同じ学び舎の学友であろう)」

ニャンター「(……ラオシャンロンは……学び舎の者に、何を知らせるべきニャと言っていたのか……)」

ニャンター「…………」


……ザクッ!ズッ、ズッ………

ニャンター「(……老山龍の堅殻……)」スッ

ゴソゴソ……

------数時間後・朝、旧砂漠・ティガレックスの巣------



ティガ「………ぶわああぁぁぁーーーーー」ムクッ

ティガ「………朝か」

ティガ「黒兄ーーーーーーーー……」ドス、ドス

ティガ「……あれ、いねぇ。カバンもねぇ……帰ってきたケイセキもねェ」

ティガ「あいつもしや……昨日泊まったのか……?」

ティガ「……風ベリオちゃんのところに!!!!」ドサッ

ティガ「きもいでーーす!きもいでーーーす!きもいでーーーーす!!!」ゴロゴロゴロ……

ティガ「鼻血ブーブー、ブーレックスだうちの兄貴は!」

ティガ「風ベリオちゃんの巣を鼻血まみれにして嫌われればいい!!」

ティガ「……はーーーー……」むくり

ティガ「(………ニャンターさん、どうしてっかな)」

ティガ「(昨日、やっぱ……姉ちゃんのところに行けばよかったな)」

ティガ「……フーー、今日帰りに寄ってみるか……」

ティガ「(途中どっかでメシ食いながら学校行こ……)」ドス、ドス、ドス……



カッ……

ティガ「……んーーやっぱ砂漠の朝日は眩しい……」

ティガ「……ナッ?!!!!」ズボォォッ!!

ティガ「!!……落とし穴?!」

ティガ「で、出られねェ!!」じたばた……


ハンターA「かかったぜーーー!!」

ハンターB「今のうちにヤれ!!」

ズガガガガガガガガァン!!

ティガ「いいいい痛でェ!!!……クソッ、ハンターか!!!」

ティガ「チクショーーまだ出られねェ!!」じたばた……

ハンターC「そろそろ睡眠弾が効くぜ!!」

バシュッ、バシュッ……

ティガ「……く………そっ………!!」フラッ

ティガ「ね、眠…………」ガクンッ

ティガ「………zzz……」すぴー、すぴー……

ハンターD「眠った!!よし、爆弾設置だ!」

ドスン、ドス、ドス………

ハンターD「ハッハー!大タル爆弾G、8個分だ!!さすがの轟竜も堪えるだろなァ……」

ハンターC「起爆するぞ!」シュッ


ボゴオォォォォン!!!

ティガ「ぐあっ!!」ヨロッ

ティガ「クソ………(落とし穴はやっと解けた……!!)」

ティガ「こんなチビども……!!」シュバッ!

ティガ「シネーーーーー!!!」スーーッ……

ガアアアアアアアアッッッッ!!!

ハンターB「……ふっはは、さすがのバインドボイスだが……」ビリビリ…

ハンターA「次は突進だ!!……だがその先にはーーーーーっ?!!」

ティガ「うおおおおお」ドタドタドタドタ……

……ジジッ!!

バチバチバチバチバチッ!!

ティガ「………!!」ガクガクガク……

ハンターC「イエーーイ!!シビレ罠だぜ!!」ドシュドシュ

ハンターD「叩け叩け!!!」ドガガ…

ティガ「(くそっ、こいつら慣れてやがる……!!熟練のパーティーだ!!)」ガクガク……

ハンターB「麻酔玉投げるぞ!」パシュ、パシュッ!!

ティガ「(……畜生……また……!!)」フラッ

ティガ「………zzz……zzzz……」バタン!



ハンターA「……ブラボーーー!!」

ハンターB「捕獲成功ーーーー!!!」

------数時間後(休み時間)、塔学校・体育倉庫------




ガルルガ「やっ、やべぇぜ!!!」

アグナ「タマミツネも白ラギアも、ピンピンして学校に来てる!!」

ガルルガ「商人アイルーにはちゃんと伝えたよな……?」

アグナ「伝えた伝えた!!金も出したぜ!!」

ガルルガ「なんで生きてんだ?」

アグナ「失敗したんだろ!ハンター達が……」

ガルルガ「また伝えるか……?」

アグナ「金が飛ぶけど、それしかねェか……!」

アグナ「本人達にはバレてないよな……?俺たちがリークしたこと……」

ガルルガ「た、たぶん……」


ガラッ!!!


アグナ&ガルルガ「!!!!」ビクビクーーーッ!!

翠トトス「…………」

アグナ「み、ミドか……ビビったぜ」

翠トトス「………何してんの?」

アグナ「なにって……」

翠トトス「ウチ、言ったよね?」

翠トトス「白を、二度とミツネ君に顔向けできないように痛めつけて、って」

アグナ「…………」

翠トトス「意味わかってる?白の顔にでっかい傷作るとか……そうすれば、どうせミツネ君とは別れるでしょ」

翠トトス「でも、今朝!!!……あの二人、いつも通り一緒に登校してきたじゃない」

翠トトス「……一体どこをどう痛めつけてくれたわけ?」

ガルルガ「(オンナの嫉妬ってのは……怖えーな!)」

アグナ「………すまん、しくじって……」

翠トトス「しくじった?!」

翠トトス「……そもそも、どうするつもりだったのよ」

アグナ「……ニンゲンに、白ラギアの居場所をリークして……ハンターに狩らせようって」

翠トトス「……なるほどね」

翠トトス「……ちょっとやり過ぎだけど……まぁいいわ。でもどうしてしくじったりなんかしたのかしら?」

アグナ「俺らはその現場は見てねぇからわかんねェけど……」

アグナ「た、たぶん……ハンターが弱くて……あとあの二人が、思った以上に強かったとか……」

翠トトス「?」

翠トトス「あの二人?二人って誰よ」

翠トトス「ウチは、白の一人だけを痛めつけてって頼んだのよ?」

ガルルガ「(……アッチャー、やっちまったなマイ・フレンド……)」

アグナ「(……口が滑った……)」

翠トトス「白だけじゃないの?誰よ、あともう一人は」

アグナ「…………タ……タマミツネ………」

翠トトス「………ハァァァーー?!ミツネ君?!」

翠トトス「バッッカじゃないの?!白だけじゃなくてミツネ君のこともリークしたわけ?!なんのために?!!」

アグナ「ごめん……!!」

翠トトス「謝って済む問題じゃ……!!もしミツネ君もタダじゃ済まない状態になったらどうするのよ……!!」



白ラギア「…………どういうこと?」



一同「!!」

翠トトス「白……!どうしてここに……」

白ラギア「み、みどち………みどちが企てたの?」

翠トトス「…………」

ガルルガ「(さ、サイアクだ………!)」

アグナ「(あーーバレるバレるバレるバレるバレる……)」

白ラギア「……ほんとに、あたしとミッくんのことをリークしたの……?」

翠トトス「……アグナ、あんたが説明しなさいよ」

アグナ「えっ!!!!」

白ラギア「アグナ君………」

アグナ「…………した」

白ラギア「どうして……?」

アグナ「タマミツネが邪魔だったから……」

白ラギア「邪魔って……」

翠トトス「………何言ってるのよ、どうしてミツネ君が邪魔に……」

アグナ「…………」

翠トトス「……あんた……ミツネ君が消えたら、ウチが諦めてあんたのことを好きになるとでも思ったわけ……?」

アグナ「…………」

翠トトス「正真正銘のバカね!!!!そんなことして、ウチの気持ちが動くわけないでしょう?!」



ミツネ「わあ、すーっごいブーメランだね」



白ラギア「……ミッくん……!」

ミツネ「いま君たちの教室に行ったけど、君たちはいなくてね。探したよ」

翠トトス「……ミツネ君……」

ミツネ「……やっぱり、リークだったんだね」

ガルルガ「…………」

アグナ「…………」

ミツネ「わざわざ僕たちの会話を盗み聞きして、ディノ君の巣にまで行って」

ミツネ「ニンゲン直通のアイルーを探し出し……ハンターにリーク」

ミツネ「僕が死ねば、翠トトスさんが君に目を向けると?」

ミツネ「……いい迷惑だ。僕は部外者だよ。君たちのくだらない愛憎劇に巻き込まれる筋合いはないね」

アグナ「…………」

ミツネ「……君もだ、翠トトスさん。悪いけど……白ちゃんを痛めつけたところで僕たちの関係が悪くなるなんて、そんな軽々しく考えないでほしい」

白ラギア「(……白『ちゃん』?!)」

ミツネ「ましてや君のことを好きになることもないね」

翠トトス「そんな……」

ミツネ「僕に好意を寄せてくれたことは、ありがとう。でもその気持ちには永遠に応えられないよ」

ミツネ「それに……見てくれしか知らない僕じゃなく」

ミツネ「君を好きだからこそ、とんでもないことをも引き受けた彼のことを、もう少し気遣ってあげてもいいんじゃない?」

翠トトス「………」チラッ

アグナ「…………」シュン……

ミツネ「で、君はなんなの」

ガルルガ「……え?!オレっち?」

ガルルガ「えーーと……パ……じゃない、紫ゲリョスのことで……」

ミツネ「紫ゲリョスさん?……なに、君も僕にお門違いな恨みがあったの?」

ガルルガ「……そうでーーす……」

ミツネ「……二人ともそんなに僕が憎いんだね」

アグナ「………」

ミツネ「………」ガラガラ……

白ラギア「ミッくん……?どうしたの、ドア閉めて……」

ミツネ「いいよ、相手になるからかかってきなよ」

翠トトス「バレたら退学に……!」

ミツネ「君には関係ないだろう?ここにいる誰が退学になっても」

アグナ「………ムカつくな」

ミツネ「うん、僕も」

ガルルガ「一発くらい………!」バッ!!

アグナ「……おお!!」グアァァァッ……!

ミツネ「…………」スパパパァン!!

アグナ&ガルルガ「………」キュウ……

白ラギア「……ダサっ……!」

翠トトス「し、信じられない……」

ミツネ「話にならないね」

ミツネ「……本当はこんなので収まる怒りじゃないけど……この一発で許すから」

ミツネ「もう二度と関わってこないで」

アグナ「……尻尾の一発でコケる俺ら……」

ガルルガ「サイコーにダサい……!」

ミツネ「翠トトスさん、君も」

翠トトス「…………」

ミツネ「あんまり僕の彼女のこと、いじめないで」

翠トトス「……ごめんなさい……」

白ラギア「みどち………」

ミツネ「行こう、白ちゃん」ぐいっ

ガラガラ……スタスタ

白ラギア「…………」

------ほぼ同時刻、某所------



ティガ「…………む?」パチッ

ティガ「……寝てた、俺……あれ?なんで寝て……」

ティガ「あっ、そーーーだ!!ハンターにやられたんだ」

ティガ「ショボイな、俺!!!一族のハジだぜ!!」

ティガ「(……結構やられたと思ったけど……ケガ、治療されてるのか?痛くねェ)」

ティガ「ここ、どこだ?」ペタペタ

ティガ「(真っ暗闇で……何か、狭い箱だか檻だかに入れられてる……?)」

ティガ「……もしかして俺死んだ?!」

ティガ「や……ヤバイ!!!!ラギアーーー!!!」ドンドン

ティガ「ライゼクスーーー!!ミツネーー!!がっ、ガムートーーー!!」ドンドン

ティガ「姉ちゃーーん!!黒兄ーーー!!先生ーーー!!」ドンドン

ティガ「俺死んだみたいーーー!!!ここ死後の世界っぽいーーー!!」ドンドン

ティガ「いやだーーーー!!俺の葬式やってんのかーーーー?!」ドンドン

ティガ「うおおおお俺死んだーーー!!」ドンドン

------同時刻、人間居住地域・集会所------




ワイワイ……ワイワイ………ガヤガヤ


ニャンター「…………」グビッ

ニャンター「(ラオシャンロン討伐に成功して、街中がお祭り騒ぎだニャ)」

ニャンター「(一晩中騒がしくてロクに眠れニャかったニャ……)」

ニャンター「(ビールが安くなっていてありがたいがニャ)」グビッ

ニャンター「(……ラオシャンロンの襲撃と死を、誰も疑問に思わニャいのか……)」

ニャンター「(まあそれは仕方ニャい、古いお伽話ニャ。お伽話自体を知らぬ者の方が多い)」

ニャンター「(……ラオシャンロンが逃げるほどの存在……ニャんという名だったか……)」

ニャンター「(モンスターに限った話ではニャい……人間たちにとっても重大な話ニャ)」

ニャンター「(学校の者に知らせろ、と言っていたニャ……もう二度と会わニャいと言ってしまったが、轟竜に知らせるべきか……?)」


受付嬢「どなたかーーー!!どなたか挑戦致しませんかーーーー?!」

ニャンター「?」

受付嬢「ソロの闘技大会、どなたか挑戦者はいらっしゃいませんかーー?」


ザワザワ……
ソロじゃなーー……
迎撃の疲れもあるし……
ザワザワ……


受付嬢「イベント闘技大会!!何のモンスターが出るかはお楽しみーー!!」

受付嬢「報酬金は破格ですよーーー!!」


ニャンター「………」

ニャンター「(ソロで……しかも何のモンスターが出るかわからニャい闘技大会ニャど、一体誰が出るものか)」

ニャンター「(受付嬢の仕事も大変なのニャ……)」


受付嬢「あ、ニャンターさんニャンターさんっっ!!」

ニャンター「?!」

受付嬢「ニャンターさん、闘技大会に出てください!!」ぐいっ!

ニャンター「ニャにを突然……」

受付嬢「すいませんーーみなさん観戦に回っちゃって挑戦してくれないんです!」ズルズル……

ニャンター「ひ、引っ張らニャいでくれニャーー!!」

受付嬢「ごめんなさい!挑戦者を見つけないと私も怒られちゃうんですよ!!」ズルズル……

ニャンター「そんニャっ!」

受付嬢「本当ごめんなさい!!報酬金は高いですから、お願いします!!」ズルズル……

ニャンター「ニャーーーーーーッ!!」ズルズル……

------数分後、某所------



ティガ「……俺はもっと真面目に生きるべきだった」ぶつぶつ

ティガ「勉強もちゃんとして……女遊びもしない」ぶつぶつ

ティガ「カツアゲもパシリもしない」

ティガ「早寝早起きをする」

ティガ「そうしていれば……俺はまだ、死ぬことはなかったはずなのに……」

ティガ「うおおおおおお俺の葬式、みんな参加しろよーーー!!」

ティガ「………は」

ティガ「俺死んだってことは、永遠にこの狭い闇の中……?」

ティガ「……えっ、ツラい!!誰か!!天使とかが天国連れてってくれるんじゃねーのかよ!!」

------更に数分後、大闘技場ベースキャンプ------



ニャンター「(仕方ニャい……受付嬢も可哀想ニャし、やるだけやってメシ代を稼ぐニャ……)」

ニャンター「(闘技大会だと、武器が支給されるから助かるニャ)」カチャカチャ……

ニャンター「(もうオレはこれで……ハンターを辞めたほうが良いのかニャ……)」

ギルドスタッフ「用意はできたかね?」

ニャンター「できたニャ」

ギルドスタッフ「それではフィールドに出るがいい」

ギルドスタッフ「なんのモンスターが出るかはお楽しみだからな……せいぜい気をつけたまえ」

ニャンター「…………」

------同時刻、某所------



ティガ「アーメン」

ティガ「……エンジェルカモン」

ティガ「俺は天国に行きたい」


……ガラガラガラガラ……



ティガ「うおホ?!!!なんだ!!」

ティガ「おおーーー光が!!!」

ティガ「お迎えにきたーーーー!!ジャーーーンプ!!」ガバーーーッ!!!


ドスン……


ワーーーーーー!!ワーーーーーー!!

ティガ「……えっ……これ……地面?!」

ティガ「騒がしい……?あ?なんだこの場所」

ティガ「俺もしかして死んでなかった?」

ティガ「(つーか……ニンゲンだらけ?!)」

ティガ「逃げ……られそうもない、壁が高すぎる」

ティガ「(クソっ、俺は一度高所まで行かねえと飛べねぇのに……)」




ザッ

ニャンター「……貴様ッ?!」

ティガ「え?」くるっ

ティガ「うおっ!!ニャンターさん!!」

ニャンター「…………!!」


ワーーーーーー……ワーーーーーー!!

実況「さァーーーー対戦相手はなんと、轟竜・ティガレックス!!」

実況「今朝旧砂漠で捕獲されたばかりの血の気の多い個体ィーーーー!!」

実況「アイルーの狩人か、牙を剥く轟竜か!!!」

実況「勝利はどちらの手にーー?!制限時間は50分!!いま開幕の……ゴングーーーーー!!!」


ゴォーーーーーーーーン………

------ほぼ同時刻(三限)、塔学校・屋上------



ミツネ「……本当に、あの二人がリークしていたなんてね」

白ラギア「うん………ひっく」

ミツネ「…………」ポンポン

白ラギア「うっ、ぐすっ……み、みどちまで………」

ミツネ「……そうだね」

ミツネ「白ちゃん、ごめん。……翠トトスさんとは、何もなくなかったんだ」

白ラギア「………ぐすっ」

ミツネ「なんか……プレゼント渡されたり、好きだって言われたりとか……」

ミツネ「貰ったプレゼントを返すために、翠トトスさんに会いに行ったりした」

白ラギア「ひっく、うん……そうだったんだ……」

ミツネ「…………うん。ごめんね。君に余計な心配とか……不安にさせないつもりで、黙ってた」

ミツネ「でも、それが逆に君を不安にさせていたみたいで……なんというか……ごめん」

白ラギア「………」ふるふる

白ラギア「……ありがとう……話してくれて」

ミツネ「ううん。昨日のハンターの件も……僕のせいで、怖い思いさせてごめん」

白ラギア「ミッくんのせいじゃない……」

ミツネ「………僕はクラスが違うから、あの三人と顔を合わせなくて済むけど……白ちゃんは、二人と同じクラスだよね」

白ラギア「うん………」

ミツネ「どうする?あのクラス嫌だよね」

白ラギア「…………」

ミツネ「編入試験受けて、飛竜亜種科とかに行くかい?」

ミツネ「桜レイアさんとかいるし……きっと事情を話せば編入させてくれるよ」

白ラギア「……大丈夫。みどち以外にも友達いるから……気遣ってくれてありがとう」

ミツネ「……そう?」

白ラギア「それより……ミッくん、教室に戻らなくていいの?もう三限始まってるよ」

ミツネ「……んーー、そうだね。試験前だから戻ったほうがいいんだろうけど……」

ミツネ「多分、授業になってないんじゃないかな」

------同時刻、塔学校・メインモンス科------



ラギア「ぎゃあああああああああ」

ライゼクス「原生林にも!!」

ラギア&ライゼクス「いねェーーーーーーっ!!」

ラギア「絶対死んでるじゃんんんん!!!!!」

ギャースギャース……

ナルガ「うっせーーお前ら!!今日はバカがいなくて静かだと思ったのに!!」

ラギア「あァ?!てめー!!クラスメイトとしてちっとは心配しろや!!」

リオレウス「…………」ゲッソリ

リオレウス「……もう……俺は教師に向いてない」ボソッ

ナルガ「どっかで道草食ってんだろ!!ほっとけよ!!!!」

ライゼクス「ざけんじゃねぇ!!何がほっとけだ!!お前がそんなサイテー野郎だとは思わなかったね!!」

ギャースギャース……

クシャル「先生。プリント終わりました」

ゴマ「……クシャル殿……フフフ……小生負けました……次のプリントはクシャル殿より早く解いてみせますよ……」

リオレウス「ああ……これが次のプリントだ」パサッ

クシャル「ありがとうございます」

リオレウス「俺の味方はお前らだけだ」ボソッ

ブラキ「あいつらもよくここまで体力もつよな……」

ジンオウガ「朝からあの調子だもんね~~」

ブラキ「レウス先生も、2時間怒鳴りっぱなしだったから疲れてるな」

ガムート「そうだね……でも本当、ティガ君どうしたのかな」

ジンオウガ「ね~。そこ心配!!」

ジンオウガ「生きてるのか死んでるのかもわかんないよね」

ガムート「ええ………!!」

ガムート「ど、どうしたらいいのかな」

ブラキ「ラギアたちが色んな場所にティガ宛で送った矢文、全部不在で戻ってきてるもんな」

ブラキ「……まさかハンターに狩られたワケもねぇだろうしなぁ……」

ガムート「どど、どうしよう!!」

ジンオウガ「ってかミツネはー?」

ガムート「なんか白ラギアさんのところに行ったよ……休み時間に」

ジンオウガ「へーー!ラブラブだねぇ」

ガムート「でもサボるなんてミツネっちらしくないよ……」

ブラキ「まァミツネは学校のどっかにいるだろ」

ブラキ「問題はティガだ。誰にもなんの連絡もなく消息を絶つなんて」

ブラキ「おかしいだろ……」

------数分後、人間居住地域・大闘技場------



ティガ「おい!!ニャンターさん!!」ヒュッ

ニャンター「…………!」ズバッ

ティガ「あぶねっ!……今朝のハンターたち、ニャンターさんの差し金?!」ヒュッ

ニャンター「………」バシュッ

ティガ「俺のこと狩るのやめたって言ってたけど……また気が変わったのか?!」ヒュッ

ニャンター「…………」ズバッ

ティガ「………?」

実況「……ニャンター斬りかかる!!だが轟竜に素早くかわされ続けている!!」

ニャンター「(かわされているのではニャい……)」

ニャンター「(かわさせている、のニャ)」ズバッ

ティガ「……ニャンターさん、攻撃する気ある?!ってかなんなんだよこの場所!!」

ニャンター「……人間の街ニャ!!捕獲された貴様は、余興のためにこの大闘技場へ連れてこられたのニャ!」

ティガ「よっ、ヨキョウ?!」



実況「対するティガレックスの動きは冷静!!素早いものの、我々の知る轟竜とはまた一味違った……」

観客たち「全然ダメだなあのネコ!!」

観客たち「やる気あんのかよ!!!」

ワイワイ……



ニャンター「……貴様の学友に、ラオシャンロンという者がいるニャろう?!」ズバッ

ティガ「ラオシャンロン……?」ヒュッ

ティガ「(……古龍科の……かなりデカイ図体の……)」

ティガ「……いた!!……でももう、自主退学して……」

ニャンター「死んだニャ!!……我々が殺した!!」バシュッ

ティガ「………えっ?!」ヒュッ



観客たち「……あのネコ、変じゃねぇか?」

観客たち「ああ……何か……会話してるように見える」

ザワッ……



ニャンター「この街に進行してきたが故に、我々ハンター達が殺したニャ!!」

ニャンター「進行してきた明確な理由は定かではニャい……しかし確実に、ある存在から逃げるために進行してきたニャ!!」

ティガ「逃げるって、なにからだよ……!!」



観客たち「やっぱり会話してる!!」

観客たち「モンスターの言語を話しているぞ!!」

ザワザワッ!



ニャンター「わからニャい!!ひどく怯えていた……そしてこう言った!!『学校のみんなに知らせるべきニャった』と!!」ズバッ!

ティガ「知らせるって……?!」ヒュッ……



実況「……何か不穏な空気です!!ニャンターと轟竜の間に何が……?!」

ザワザワ……

観客たち「おい!!!あのネコなんとかしろ!!」

観客たち「スパイだ!!モンスター側のアイルーだぞ!!」

ザワ……ザワ…………

観客たち「きっとあいつがラオシャンロンを呼んだんだ!!」ビュッ!!

ガツン!!



ニャンター「………!!」ヨロッ

ティガ「お、おい……石投げられてるぞ?!」

ニャンター「……構わぬ!!何か恐ろしい存在がやってくるニャ!!敵ニャ!!全てにとっての敵!!」

ティガ「俺そういうの全然わかんねぇ!!」

ニャンター「とにかく貴様の仲間に知らせろ!!ラオシャンロンの襲撃の、本当の意味を探すのニャ!!!」

ニャンター「これを貴様に渡す!!!」スッ

ティガ「これ、なんだよ?!」

ニャンター「ラオシャンロンから剥ぎ取った素材ニャ!!」

ティガ「仲間に知らせるっつったって……ここから出られねェよ!!壁が高くて……よじ登る場所も!!」

ニャンター「……分断柵を上げるニャ!!それを登ってこの大闘技場の上部へ行き、そして逃げろ!!」ピョンッ



観客たち「何する気だあのネコ!!早くなんとかしろ!!」

観客たち「中止しろ!!あいつはモンスターに寝返ってるぞ!!」ビュンッ……ガッ!!

実況「と、投石はやめてください!!投石は……」



ニャンター「…………!」ガァン!!


ガラガラガラガラガラガラッッ!!



ティガ「うお!!」



実況「ここでニャンター、何を思ったか……」

実況「スイッチを叩き、ぶ、分断柵を上げました!!!」



ニャンター「早くそれを登って行くのニャ!!」

ティガ「……わかった!!!」

ガシガシガシガシッ……

ティガ「(登れた……!!ニャンターさんは……)」くるっ

ニャンター「オレのことは気にするニャ!!」

ティガ「…………!!」バッ!!



ニャンター「(……行ったニャ………)」

観客たち「轟竜を逃したぞ!!!」ビュンッ

観客たち「バカ野郎が!!!人間の味方のフリしやがって!!!」ビュンッ

ガツッ!ガツンッッ!!

実況「投石しないでください!!ちゅ、中止します!!闘技大会、中止致します!!」

ニャンター「…………」ゴツン、ゴツンッ……

ワーーーーーー……ワーーーーーー……


ギルドスタッフ「……身柄を拘束する!!」グイッ

ニャンター「!!」

ギルドスタッフ「やってくれたな。今から新大陸のギルド総本部へ行って貰う」

ニャンター「…………」


ワーーーーーー……ワーーーーーー……

観客たち「穢らわしい!!!」

観客たち「バケモノーー!!!」

ワーーーーーー……ワーーーーーー……

------数十分後、未知の樹海・上空------



ビュオオオオ……


ティガ「どーいうことなんだかサッパリわかんねぇ!!」

ティガ「ニャンターさんが逃してくれたけど……」

ティガ「ラオシャンロンが死んだって……本当かよ!!」

ティガ「しかも、おっかねぇ敵から逃げていた……?!」

ティガ「逃げるために学校辞めたってのか、あいつは!!」

ティガ「わけわかんねぇ、わけわかんねぇ」

ティガ「……でもそういうわけのわかんねぇことに1番詳しいのは……」バサッ!!



ティガ「冥のアニキーーーーーーー!!!!」ドシュンッッッ!!

冥ラギア「?!」

子供たち「ギャアアーーーーン!!」

大ティガ「ティガ?!!!アンタどこ行ってたの!!」

ティガ「姉ちゃん!!俺は姉ちゃんに死ぬほど問い詰めたいことがある!!」

大ティガ「な、なによ急に!!」

ティガ「でも今はそれどころじゃねぇ!!冥のアニキ!!」

冥ラギア「どっ、どうしたんだい?!君が学校に来ないって、ラギアから矢文が……!」

ティガ「爆弾で起きて、死んだと思ったらヨキョウしてた!!外殻貰って柵登った!!腹減った!!」

大ティガ「落ち着いて!!」

冥ラギア「冷静に!!順を追って説明して!!」

子供たち「ギャアイアアイーーーン!!」

大ティガ「よしよし!!泣かないで!!びっくりしたね!!」

------数分後、同場所------



冥ラギア「ラオ君が死んだ……?!」

大ティガ「しかも自主退学って……」

ティガ「………」もぐもぐ

子供たち「キャッキャッ」

冥ラギア「……何かに怯え、逃げていたんだね」

ティガ「そうらしいッス」ナデナデ

子供たち「キャッキャッ」

大ティガ「そのニャンター、って……」

ティガ「前に雪山で会ったやつ。そいつについて俺は姉ちゃんを問い詰めたい!」

大ティガ「…………」

ティガ「でもそれは後でだ。アニキ、どう思う?ラオシャンロンは何から逃げたんだ?」

ティガ「わかる?」

冥ラギア「…………最近、少し読めたニンゲンの書物があって……」


ディノバルド「『キョダイリュウノゼツメイニヨリ、デンセツハヨミガエル』」


一同「!」

ティガ「あ?!ディノバルド!!なんで……」

冥ラギア「彼は学校を辞めてから、僕のお弟子さんとして考古学を学んでるんだよ」

ディノバルド「…………」

ティガ「弟子?!」

冥ラギア「あのオストガロアの決戦のときに初めて会ってね。そのあとアマツ先生の葬儀で再会して、考古学を教えることになったんだよ」

ティガ「なんだよ、そーだったのか!」

ティガ「お前久しぶりだな!!元気そーじゃん!!」

ディノバルド「……ああ、そちらもな」

冥ラギア「今日はどうしたの?何か進展が……?」

ディノバルド「……いえ……大した用ではないんですけど」

ディノバルド「俺も偶然会った商人アイルーから、世間話としてラオシャンロン死亡の件を聞いたものですから……」

大ティガ「そうだったのね……」

冥ラギア「……伝説が蘇る前兆となる『巨大龍の絶命』……おそらく、いや確実にラオ君のことだ」

ディノバルド「……ハイ、俺もそう思って」

ティガ「?!……じゃあなんだよ……あいつが死んだことによって伝説が蘇るのか?!あいつはその伝説とやらから逃げていたってことかよ!」

冥ラギア「そうだね。僕は、教科書に載っている『終焉』の詩も、ニンゲンの古い書物も……」

冥ラギア「ただのフィクションとは思えない。あれは明確なる歴史だと考えている」

ディノバルド「…………」

ティガ「……ニャンターさんが『探せ』って言っていたのはこのことか……」

ディノバルド「……ニャンターとは?」

ティガ「……アイルーの狩人だ。別のハンターに捕まってニンゲンの街に送られた俺を逃してくれたんだ」

ディノバルド「ハンターに捕まった、だと?」

ティガ「おお……今朝起きて、巣から出た瞬間に」

冥ラギア「……ディノ君、もしかして」

ディノバルド「……きっと、リークだ。校則を恐れた生徒が、ニンゲン直通の商人アイルーにお前の居場所をリークして、ハンターに狩らせたんだ」

ティガ「は?!リークだと?!」

ディノバルド「……俺の所為だ。商人アイルーの居場所を聞かれて、馬鹿正直に教えてしまった」

冥ラギア「ミツネ君と、白もだ。恐らく犯人はアグナ君とガルルガ君」

ティガ「えっ!!ミツネ達もかよ?!……じゃあ俺もその……アグナとかいう連中に?」

ディノバルド「いや、違う……」

ディノバルド「アグナコトル達が来る前にも、塔学校の生徒が一人、商人アイルーの居場所を聞きに来た」

ティガ「誰!だれだれ!」

ディノバルド「ポポだ」

ティガ「ハァ?!ポポやん……?」

大ティガ「ポポ君って……アンタもしかしていじめてんの?!」

ティガ「いやいじめてねーよ!!……カツアゲくらいで……」

大ティガ「バカね!!!ポポ君って雑魚科の子でしょう?!」

大ティガ「アンタにいじめられて……仕返しじゃないの!?謝りなさい!!」

ティガ「いじめてねーーーよ!!!……とにかく、学校へ行こう!」

ティガ「ラオシャンロンが死んだことも……そのデンセツについても、先生たちに報告だ!!」

ディノバルド「……」

ティガ「冥のアニキ、一緒に来てくれ!!たぶん俺だけだと先生達は本気で取り合ってくれねェ!」

冥ラギア「(確かに!!)……それじゃあ、急ごう!!」

ティガ「ディノ、お前も来るか?!」

ディノバルド「……いや、俺は帰る」

ティガ「そうかよ!じゃあ俺ら行くからな!!」

冥ラギア「大ちゃんゴメン!!子供たち頼むよ!!」

子供たち「ギャアアアアン!!」

大ティガ「泣かないの!……うん、気をつけて!!」


ティガ&冥ラギア「うおおおおおおおおおお」

ズドドドドドドド………



大ティガ「……なんだか……大変なことが起きそうね」

ディノバルド「……いやもう……起きている」

大ティガ「……そうかもね……」

ディノバルド「……卵、残り1つ……まだ孵化しないんですか?」

大ティガ「そうなの……」

ディノバルド「…………」

投下早いけど書き溜めですか?

------数十分後(五限)、塔学校・職員室------



ガラーーーーーーーー!!!

ティガ&冥ラギア「失礼しァーーーーす!!」ゼェ、ゼェ……

シーーーーーン……

シャガル「……なんだ?!お前たち……!!」

冥ラギア「シャガル先生!」

ティガ「あれっ?!他の先生達は?!」

シャガル「授業中だ!……主任たちは休憩だ!」

ティガ「へ!昼休み以外にも休憩あんのかよ!」

冥ラギア「シャガル先生はなぜここに?」

シャガル「古龍科は自習だ。主任たちがいない間の警備も兼ねているんだが……」

シャガル「……ティガレックス!!お前、どうしたんだ。レウス先生がボヤいていたぞ!」

シャガル「お前が学校に来ないせいでクラス中が大騒ぎだと!」

ティガ「えっ……俺ったら人望ある……//」テレテレ

シャガル「……バカめ!そして冥ラギアクルスはどうした?元気そうだ。子供はどうだ?」

冥ラギア「元気です!お陰様で……」

ティガ「じゃないじゃない、シャガル先生、落ち着いて聞いてください!」

シャガル「なんだって言うんだ……?」

冥ラギア「先生には、かなりショックなことかと思いますが……」

ティガ「ラオシャンロンが死んだんだ」

シャガル「…………何だと?」

>>182 書き溜めです。

ティガ「本当に!……コレ」スッ

シャガル「……どうしたんだ、これは……!ら、ラオシャンロンの外殻ではないか!」

冥ラギア「亡くなったんです。……ハンターたちによって」

シャガル「……し、信じられない……!」

シャガル「嘘だろう?!死んだなど……!私の生徒だったラオシャンロンが……!」

シャガル「……ハンターめ……」

冥ラギア「ハンターたちにとっても苦肉の策だったのでしょう」

冥ラギア「ラオ君が街に進行したが故に、襲撃と捉えられてしまい、街を破壊されまいとしてハンターは戦った……」

シャガル「なぜ、ニンゲンの街に進行を……?」

ティガ「逃げるため!」

冥ラギア「教科書にも載っている『終焉』の詩!そしてニンゲンの書物に残った伝説」

冥ラギア「『巨大龍の絶命により、伝説は蘇る』!」

冥ラギア「二つは同じ存在を謳っている。フィクションでもなんでもない、明確な歴史!世界を終わらせる存在から、巨大龍……つまりラオ君は逃げ、そして絶命し、いま伝説が甦ろうとしている!」

冥ラギア「ラオ君の死は、前兆なんです!」

シャガル「…………」

シャガル「……そんなバカな話があるか、と思うが……」

ティガ「冥のアニキが言うんだ!信じてください!!」

ティガ「(それに……ニャンターさんも言っていた!)」

シャガル「……この外殻。ラオシャンロンが死んだのは事実だろう。そして冥ラギアクルス、お前ほどの優等生が言うことは」

シャガル「嘘だとは考えにくいな……」

冥ラギア「……ティガ君は今朝、ハンターに捕まりニンゲンの街へ行きました。そこでアイルーの狩人に言われたそうです」

冥ラギア「『ラオシャンロン進行の本当の意味を探せ』と」

冥ラギア「そしてその狩人は実際にラオ君の死に直面し、彼の『学校のみんなに知らせなくては』との言葉も聞いているそうです」

シャガル「……その者に学校の存在が知られたのか?!」

ティガ「そのアイルー……ニャンターさんと俺の関係は、話せば長い」

ティガ「でも先生、あいつは俺に教えてくれたんだ!!」

ティガ「ラオシャンロンは確かに何かから逃げ、ひどく怯えていた、って!」

ティガ「そしてニンゲンだろうがモンスターだろうが関係ない、全てにとっての敵がいるって!そいつのせいで世界が終わっちまうかもしれない!!」

シャガル「…………」

シャガル「………わかった」

シャガル「頭の整理が追いつかない……だが、とにかくこのことは職員会議で発表する」

シャガル「あまり口外するな。ラオシャンロンの死についてもだ」

ティガ「…………それだけですか?」

シャガル「ああ、それだけだ」

冥ラギア「……わかりました。よろしくお願いします」ペコッ

シャガル「…………」


ガラッ………パタン


ティガ「本当に世界は終わるんスかね……」

冥ラギア「……どうだろう。終わってみないと、断言できないね」

冥ラギア「僕たちにできることはなにもない。もしあの存在が本物ならば、僕たちが個人的に動いたところで、どうにもならない」

ティガ「…………」

ティガ「今日は、ありがとうございました……」

冥ラギア「いや。僕のほうこそ、重要なことを教えてくれてありがとう」

キーンコーン……
ザワザワ……

冥ラギア「……授業終わったね。教室に行くだろう?」

ティガ「……そッスね。でもその前に寄るところが……」

冥ラギア「?」

------数秒後、塔学校・雑魚科1組------



ガラッ!!

クラス一同「!!」

ティガ「…………」ドス、ドス……

アプケロス「……うお……」ビクビク……

リノプロス「ビッ、ビビった……」ビクビク

ティガ「………おい」

ポポ「………!」ビクッ

ティガ「………お前さぁ、俺のことハンターに伝えた?」

ポポ「……………」ガタガタ……

ティガ「どーなんだよ」

ムーファ「(ぼそっ)ポポ君……大丈夫……?」

ティガ「………」

ポポ「…………」コクン……

ティガ「……は、マジかよ」

ティガ「随分ナメた真似してくれんじゃん……」

ティガ「おかげでエライ目に遭ったわ」

ティガ「……どーいうつもり?」ジリッ……

ポポ「…………」

ケルビ「……(ひそっ)ポポ、ほんとにリークしたのかよ……」

モス「(ひそっ)そうみたいだな……」

ポポ「………ぼっ、僕、は……」ボソボソ……

ティガ「……あ?お前声出るのかよ」

ポポ「……僕は、きっ、君みたいな……」ゴニョゴニョ……

ティガ「聞こえねーーーよ!!」

クラス一同「!」ビクッ……

ポポ「ぼ、僕は君みたいな怖い人たちに、おっお金取られたりとか……」

ポポ「しゅっ、宿題やらされたりとか、い、嫌だった」

ティガ「…………」

ポポ「いっ、嫌でっ、すごく嫌でっ……」

ポポ「ぼぼ、僕が弱そう……だからって……いっ、良いようにつかって」

ティガ「…………」

ポポ「でも、でもっ……まっ、真っ向から歯向かっても、勝てない、しっ」

ポポ「……はっ、ハンターに、リークするっていう、手段もあるって、ききき気付いて……」

ティガ「やり方がセコイんだよ!!」

ポポ「……ヒッ……」

ポポ「せっ、セコくなんかない、き、き、君たちの方がセコい」

ティガ「……あァ?」

ポポ「う、生まれつき怖い見た目だからって……そっ、その性質にかまけて、僕をいじめた」

ポポ「ぼっ、僕には僕の、や……やり方がある。な、何もセコくない」

ティガ「……一人じゃ力で勝てねェからって……」

ポポ「な、何が悪いんだ!!僕は君に仕返しがしたかった!!!」

ポポ「僕みたいな草食モンスターが、ずっ、ずっと黙ってると思ったら大間違いなんだよーーーーっっ!!!」ドスッ!!

ティガ「うおっ、おい……!牙刺すな……」

ドスン、ドスンッ!!

ティガ「おい止めろ!!」

ポポ「草食モンスターだって、やるときはやるんだーーーーー!!!」ドス、ドスッ!

ティガ「やめろ!!」

アプトノス「……そうだぞ!!」ガバッ!!

ズワロポス「みんな、お前らみたいな強い奴らに抑圧されて……!!」ドスッ!!

リノプロス「嫌気がさしてたんだ!!!」ドスッ!!

ティガ「クソ、一斉に……!!」

クラス一同「……みんな、かかれーーーー!!!」

ワアァァァァァァァ………

ティガ「クソッ!!てめぇら……!!」

ティガ「いてーーーっつの!!」ブン!!

ポポ「………!!」ドサッ

ポポ「………まだ!!」ドスッ

ティガ「(畜生!!こいつらが野良だったら瞬殺だっつーのに……!!)」

ティガ「やめろーーーー!!」スゥーーーーッ……

ガァァァァァアアアァァァァァァッッ!!!

クラス一同「!!」ビリビリ……

ガウシカ「ま、負けるなーーー!!」

ウオオオオオオ………



リモセトス「何事ですか?!!この騒ぎは……!!」ガラッ!

クラス一同「!」

リモセトス「!!……みなさん何をしているんですか?!下がって!!」

クラス一同「…………」ササーーッ

ティガ「………ゲホッ」

リモセトス「……ティ、ティガレックス君……!!」

ティガ「………リモ先生……こいつらなんとかして……」ヨロッ

------数分後(六限)、塔学校・職員室------



リオレウス「……やっと学校に来たかと思えば」

リオレウス「何やってんだお前は」

ティガ「………」ムスッ

リモセトス「本当すみません……!私の生徒が……!!」ペコペコ

リオレウス「あー、いいんですよ、生徒間の問題ですから……」

リオレウス「えーとですね、それで……一応主犯格ってことになってるポポ君は……?」

リモセトス「アカム副教頭と一緒に、校長室で校長を待っていて……あっ、すみません。いま私も呼ばれました……」

リモセトス「ちょっと校長室に行って参ります……失礼します……」ドスドス……

リオレウス「……あ、はい……」ペコッ

リオレウス「で、なんだお前は」

リオレウス「何したんだ」

ティガ「………」ブッスー

リオレウス「なんて顔してんだ!」

ティガ「……ギャクシュウってやつですよ」

リオレウス「逆襲?……ったくもう……構いすぎたんだろ?」

ティガ「……そーみたい!」

リオレウス「……クラス全員だろ?あれだけの人数にやられてよく手を出さなかったな」

ティガ「……退学になりたくないんで」

リオレウス「そうだよな。そこはまだ良かったよ……」

リオレウス「ケガは?」

ティガ「……大したのは、ねーっす」

リオレウス「そうか。……あのな、雑魚科は3組まであるが……少し特別なの、わかるだろ?」

ティガ「……」

リオレウス「お前のいるメインモンス科や、古龍科や飛竜科などとは違うんだ」

リオレウス「体も小さい者が多い。……ハッキリ言って、弱者なんだ。お前らとは全然違う」

リオレウス「俺はこんな差別的なこと言いたくない。でも事実だ」

リオレウス「彼らが学校に通う理由は一つ、群れのためだ」

リオレウス「彼らはみんな、それぞれの群れの長だ。学校に通うことで、少なくとも彼らの治める群れは、学校の生徒に捕食されることはない」

リオレウス「その辺を理解できないとダメだ。彼らは守るべき存在なんだよ」

リオレウス「例えばラギアクルスとかライゼクスにするように、お前がじゃれているつもりだとしてもな。彼らがどう捉えるかわからない」

リオレウス「悪いことは言わない。……もうあまり構ってやるな」

ティガ「………ほーーい……」



ウカム「……レウス先生」ひそっ

リオレウス「はい?……はい……」

ウカム「……×××……××………」ゴニョゴニョ……

リオレウス「……はい、すみません。ありがとうございます……」ペコッ

リオレウス「お前はお咎めなしだ」

ティガ「……そーっすか」

リオレウス「お前は手を出さなかったからな。良かったな」

ティガ「……はい。さーせんした」

リオレウス「今後も気をつけろよ。……もうほとんど時間ないけど教室行け。自習ってことになってるから」

ティガ「はい」ドスドス……

リオレウス「……もしケガが痛むようなら、医務室行けよ」

ティガ「…………」ドスドス……

リオレウス「…………」

------更に数分後、校長室(古塔近くの砂丘)------



リモセトス「……じゃあ、ポポ君。そういうことだから……」

ポポ「………」

リモセトス「……良かったわね、退学にならなくて」

ポポ「…………」

リモセトス「自宅謹慎といっても、たった一週間だから。試験勉強でもして……また元気に学校来て?」

ポポ「…………」

ポポ「……ど、どうして退学にならないんですか……?」

リモセトス「……え?」

ポポ「……ぼ、僕は、学校の生徒に襲いかかったのに、どうして、じっ自宅謹慎なんかで……」

リモセトス「それは……あなたの普段の行いが良いから……」

ポポ「……違う!!」

リモセトス「……」

ポポ「こ、校則では、学校関係者を捕食しない、ってあって」

ポポ「ほっ捕食しないまでも、その危険性がある場合は、そっ、速攻で退学になるはず」

ポポ「なのに退学に、なら、ならないのは……ぼ、僕が弱いから……弱いから、ティガ君を捕食なんかできっこないって」

ポポ「僕は、大型モンスターに歯向かったところで……よ、弱いからって、相手にされない」

ポポ「……僕は……ち、ちがう、僕たちは……」

ポポ「……僕たちは、いつだって弱者だ!!!!!」

リモセトス「ポ……ポポ君………」

------同時刻、塔学校・メインモンス科------



ガラッ……

ラギア「クソ野郎ーーーーーーーー!!!!」ガバーーーッ!!

ライゼクス「バカ野郎ーーーーーーー!!!!」ガバーーーッ!!

ティガ「うおおおお?!!」ドサッ

ラギア「お前!!!!!!なにやってたんだよバカーーーー!!!」

ライゼクス「ちょー心配したんだぞ!!!!」



ガムート「よ、良かった……ティガ、来た……」ホッ

ミツネ「……ほんと、よかったね。さすがに心配したよ……」



ナルガ「ホラな!!生きてたろ!!お前ら騒ぎすぎ!!」

蒼レウス「でも拙者ちょっと心配だったでござる~よかったよかった」

ゴマ「………フフフ……ティガ殿……生命力強い……フフフ……小生、嬉しや……」

クシャル「……(まあ死にはしないだろ……)」



ジンオウガ「本当に心配して、授業にならなかったんだよ~」

ブラキ「矢文も全部返ってきちまって……どこ行ってたんだよ!!」

ティガ「エーーーット……秘境で寝てた……?」

ライゼクス「バカだーーー!!!でも良かったーーーー!!」

ラギア「放課後、世界中を捜すかって話してたんだぜーーー!」



ミツネ「(ひそっ)きっと嘘だ。秘境なんかで寝てたなんて」

ガムート「(ひそっ)えっ、そう思う?」

ミツネ「(ひそっ)放課後、早速集まろう!!」

------放課後、渓流・タマミツネの巣------



ライゼクス「……実に珍しいですね!」ズズズ…

ラギア「ミツネ様がわざわざ巣にご招待してくれるなんて!」ズズズ……ゴクッ

ティガ「腹減った~」ズズズ……

ミツネ「マイカップを僕の巣に置いておくくらいには通い詰めてるのにね、君たち」

ガムート「本当、初めてじゃないかな?ミツネっちのほうから巣に呼ぶなんて」

ミツネ「学校じゃ周りの目もあるし、まともに話せないと思ったからね!」

ミツネ「……本題に入ろう。ティガ君、今日はどうして……」



ティガ「おお!見ろよこの写真立て……」

ライゼクス「白ラギアちゃんとのツーショットが!」

ラギア「めっちゃシャレオツじゃん!!!」



ミツネ「聞けーーーー!!!」

------数分後、同場所------



ラギア&ライゼクス&ガムート「……リーク?」

ティガ「そーですーー」もぐもぐ

ミツネ「僕と同じだ。僕と白ラギアさんも、アグナコトルとイャンガルルガにリークされて、危うく狩られそうになった」

ガムート「みっ、ミツネっちまでー?!」

ミツネ「そう」

ライゼクス「まあみんな生きてたから良かったけどよ……!」

ラギア「こえーな、雑魚科のギャクシュウか」

ティガ「……まーな。びびった、あいつらがあんな気合の入った奴らだとは思わなかった」もぐもぐ

ミツネ「……大変だったねティガ君。ケガが大したことなくて本当に良かった」

ミツネ「そして、重大なことがあったね」

ミツネ「その……ニャンター君?は、本当にラオ君の言葉を聞いたのかな」

ティガ「……そう言ってた。もしあの状況でニャンターさんが嘘ついたのなら……ドン引きだね、俺は。ドン引き」

ライゼクス「そーだな……」

ラギア「つまりラオシャンロンは、何かおっそろしい存在から逃げてて、その存在を学校のみんなに知らせろって言って息絶えたんだな」

ライゼクス「漢らしい最期だよな!!」

ミツネ「そうだね。そしてその存在っていうのは、冥ラギアさん曰く『終焉』の詩に謳われている存在ってことだ」

ガムート「……世界を終わらせる存在なんだよね……?お、終わっちゃうのかな……」

ミツネ「……なんとも言えない。でも冥ラギアさんが言うんだ。終わる可能性は高いかも」

ラギア「………笑えねぇ」

ライゼクス「……なんか、わかんねーの?」

ライゼクス「その、世界を終わらせる存在、ってのが……どんな名前とか、どんな見た目とか」

ミツネ「………」

ミツネ「……冥ラギアさんが解読したニンゲンの古文書のタイトルは、『黒龍伝説』」

ラギア「黒龍!!」

ライゼクス「……いかにも、って感じだな」

ガムート「その黒龍さんが、世界を終わらせちゃうんだね……」

ティガ「………モンスターだろ?ただの」

ティガ「俺らと同じじゃん……」

ミツネ「……本当に存在しているなら、ただのモンスターじゃないだろうね。神、って表現したほうがいいかもね」

ラギア「神か……ますます俺ら、成す術ねぇじゃん」

ミツネ「……僕たちなんかじゃ、到底渡り合えない」

ガムート「………!!ミツネっち、あの先生は?」

ミツネ「あの先生?」

ガムート「500年前にオストガロアを追放した、すっごい先生!!な、名前わかんないけど……」

ミツネ「あーーー……あの先生……」

ライゼクス「そーいやいたな、そんなスーパーティーチャーが」

ティガ「学校内で唯一、オストガロアに食われなかったんだよな」

ミツネ「いやあ……そりゃあ、黒龍にも渡り合えるかもしれないよ。すごい先生だったみたいだから」

ミツネ「でも、今も生きているのかハッキリわかんないし……生きているとしても、居場所は『天空山の近く』としかわかんないよ……」

ミツネ「それに、僕たちがいきなり行って、『黒龍を倒してください!』って頼んでも」

ミツネ「話をちゃんと聞いてくれるかもわかんないし」

ミツネ「……現実的じゃないよ」

ガムート「……そっかぁ……そうだよね」

ラギア「俺たちみたいな小せえ存在は、ただ世界が終わるのを待つしかねぇのか」

ティガ「………また、なにもできねェのか。俺らは」

------ほぼ同時刻、塔学校・会議室------



アカム「それでは各クラス、報告を……」

シャガル「……失礼、少々!」

一同「?」

シャガル「大切な話が……発言してもよろしいでしょうか?」

アカム「……次の試験の結果による、各クラスの評価よりも大切な話なんです?」

シャガル「……はい」

アカム「雑魚科の生徒がメインモンス科の生徒を集団でリンチしたことよりも、大切です?」

リモセトス「…………」

シャガル「……恐らく」

アカム「じゃあ、いいですよ。まずシャガル先生どうぞ」

リオレウス「………?」

シャガル「ありがとうございます……」ガタッ

シャガル「……私のクラスの生徒だった者に、ラオシャンロンという者がいます」

シャガル「彼は、何かから逃げ……怯えながら死んだそうです」

一同「…………」

シャガル「先生方、授業をやったことのある方なら、ご存知だと思います。『終焉』という詩を」

シャガル「それと同じような内容のものが、ニンゲンの世界にもあり、それは『巨大龍の絶命』が、『伝説が蘇る』ことの前兆であると記してあるそうです」

シャガル「ラギアクルス希少種が、そう言いました」


ダレン・モーラン「……うーーーーーむ……」

ダレン「黒龍伝説、の……事かね……」

シャガル「……!そこまではわかりませんが……」

シャガル「ダレン校長、何かご存知で……?」

ジエン・モーラン「ぬーーーーーん……ご存知も何も……我々にとっては、周知の事実」

シャガル「……えっ……?」

ダレン「……うむ………黒龍、確かに存在していた……1000年前、旧大陸の遥か西の国、シュレイド王国を滅ぼした」

ジエン「いかにも……で……黒龍が、どうしたと言うのかぬ……ズズズッ」

リオレウス「(……やっぱり湯呑みがでかい……)」

シャガル「それならば、話は早いです!」

シャガル「ラオシャンロンの死によって、その黒龍の復活が予想されます!」

一同「…………」

ダレン「………復活したら、なんだというのかぬ……?」

シャガル「?!」

シャガル「……校長、良くお考えに!!」

シャガル「世界を滅ぼすほどの力を持つ黒龍が復活したら、どうなるのかなど容易に想像つくはずでは?!」

アカム「シャガル先生、言葉に気を付けてください」

ジエン「もちろん……ぬーーーーーん……世界は滅びるだろうぬ……」

ダレン「それは、誰にも逆らえないんだぬ……何をどうしたいのだ?シャガル先生」

シャガル「……決まっています、阻止しなくては!!」

ダレン「……阻止……フォッフォッ、阻止!!」

ジエン「無理だぬ、シャガル先生……神には誰も逆らえぬん……」

シャガル「わかりません!!わ、我々が束となって立ち向かえば、ひょっとしたら……!」

ダレン「現実を……受け入れたほうが良い………」

シャガル「そんな……!!我々の生徒だった者が、その命をもって黒龍の復活を示したのに!!」

ジエン「……ラオシャンロンはもう、退学した生徒だ……学校を出た後のことまで、我々は構っていられぬ」

ダレン「あの種族の宿命だぬ……1000年前と……同じだぬ……」

シャガル「……まただ、またあなた方は!!」

シャガル「オストガロアの時のように、大きな脅威から逃げ!!」

シャガル「見て見ぬ振りをするのですか?!」

リオレウス「………」

アカム「シャガル先生、言葉に気を付けてください」

シャガル「あの時も、あなた方が力をお貸ししてくれたなら……アマツ先生は、死ぬことなどなかった!!!」

シャガル「イビルジョーの襲撃にもアマツ先生一人で対応させ、オストガロアとの決戦も『我関せず』と!!今回も既に死者が出ているのに、まだ見て見ぬ振りをするおつもりで?!」

ダレン「アマツ先生は、一人で決着をつけることを望んだ……それだけだぬ」

ジエン「そもそもあの件に関しての責任者は、アマツ先生だ……」

シャガル「……そんな取るに足らないことを!!!あまりにも馬鹿げて……」

ジエン「シャガル先生。……我々はまだ怒っていない」

ダレン「……口を慎みたまえ……そうでなければ、君の首が飛ぶぞ」

ダレン「もちろん、物理的にな」

シャガル「…………!」

シャガル「……も………」

シャガル「申し訳……ございません……」ストン

シャガル「………」

アカム「……報告を再開します。では順番にどうぞ。レウス先生」

リオレウス「は、はい……」ガタッ

リオレウス「本日、生徒のティガレックスが……」チラッ

シャガル「…………」

リオレウス「(……シャガル先生……)」

------数時間後・夜、人間居住地域(新大陸)・ギルド総本部------



ギルドスタッフ「降りろ」

ニャンター「…………」ピョン

ギルドスタッフ「………」ぐいっ

ニャンター「………」ペタ、ペタ……

ニャンター「ギルドマスター……申し訳ニャい、貴方まで来させてしまったニャ……」ボソッ

ギルドマスター「いや……儂は、あの大闘技場の責任者だからな。来るのが当たり前だ」

ニャンター「……申し訳ニャい……」

ギルドマスター「……いいや」


ペタ、ペタ、ペタ……


コンコン!

ギルドスタッフ「……件のアイルー、お連れ致しました!!」

ギルド総本部役員「……ああ、通してくれ」

ギィィィ……

総本部役員「君が、モンスターと会話をする恐ろしいアイルーだね」

ニャンター「………」

総本部役員「君に黙秘権はない。答えたまえ」

ニャンター「……ハイ」

総本部役員「よかろう」

総本部役員「君は特定のギルドに所属しない、フリーのハンターだそうだが」

総本部役員「何が目的だ?なぜギルドに所属しないのだ」

ニャンター「……ギルドを転々としたほうが、都合が良いからニャ」

総本部役員「ほう!どう都合が良いのかね」

ニャンター「オレは、アイルーであるために、人間と全く同じ扱いはされニャいのニャ」

ニャンター「門前払いされることも多い……ニャから、その都度ギルドを転々としてきたのニャ」

総本部役員「そりゃあそうだろうね!君はアイルーだ」

総本部役員「人間よりも弱い。同じ扱いなどされるわけなかろう」

ニャンター「………」

総本部役員「ましてや生まれた時から人間の街にいたのに、モンスターと繋がっていたなんてね。……何を企んでいる?ラオシャンロンは君が呼んだの?」

総本部役員「フリーの権利を使って各地のギルドを巡り、全てラオシャンロンに襲撃させて壊すつもりだったのか?」

ニャンター「それは違うニャ!……オレは、何も企んでいニャい。ラオシャンロンも、呼んでニャどいニャい」

ニャンター「たまたま滞在した街にたまたまラオシャンロンが襲撃し、たまたま出撃要請が出たのニャ」

総本部役員「……出撃要請を出したのは本当かね?」

ギルドマスター「間違いねぇです……。彼はラオシャンロン襲撃の時、積極的に迎撃に向かってくれた」

ギルドマスター「ラオシャンロンを呼んだというのは、さすがに濡れ衣ではねぇかと思いますが……」

総本部役員「うん、もういい。喋り過ぎだ君は」

ギルドマスター「…………」

総本部役員「モンスターと会話ができるのは事実だ。真相がどうであれ、濡れ衣を着せられても仕方ないだろう」

ニャンター「…………」

総本部役員「なぜモンスターの言葉がわかる?」

ニャンター「生まれつきニャ」

総本部役員「ハ!……生まれつきねぇ。あーそう」

総本部役員「モンスターの言葉がわかることが知れたら、大変なことになるとは思わなかったのか?」

総本部役員「なぜ件の闘技大会でティガレックスと会話をした?」

ニャンター「……モンスターの言葉がわかることが知れてでも、あの轟竜に伝えニャくてはいけニャいことがあった」

総本部役員「なんだそれ!愛の言葉か?そのティガレックスはメスだったのか?」

ニャンター「………違うニャ」

総本部役員「俺のジョークに真面目に返すな!」

ニャンター「…………」

ニャンター「………実は本日の……」

総本部役員「おいおい待て!なぜ口を開く?聞かれたことにだけ答えろ!」

ニャンター「…………」

総本部役員「とにかく君はおっかない。何をしでかすかわからない」

総本部役員「俺にムカついた君が、モンスターの援軍を呼び、ここを攻めて俺を殺すかも」

ニャンター「……そんニャこと、しニャいニャ……」

総本部役員「俺はめちゃくちゃ偉い。世界中のギルドの中で二番目に偉い」

ニャンター「………」

総本部役員「……ギルド総本部の役員として君に処分を下す」

総本部役員「ハンター資格を永久に剥奪する。もちろんオトモアイルーの資格もだ」

総本部役員「再受験の資格すらもない。君は一生、人間の街からは出るな」

ニャンター「…………」

ギルドマスター「………」

総本部役員「君の経歴を調べた。元々はキッチンアイルーだったそうだね」

総本部役員「だから、キッチンアイルーに戻りたまえ」

総本部役員「喜べ!就職先は決まっている」

総本部役員「刑務所で受刑者たちの食事を作れ」

ニャンター「……刑務所……」

総本部役員「そう!……おっかないことをやらかした悪党どもの集う薄暗い刑務所で、死ぬまで食事を作り続けろ」

総本部役員「君が愛の言葉を伝えたであろうティガレックスのことを、夜な夜な思い悶えながらな」

ニャンター「…………」

ギルドマスター「いくらなんでも、刑務所とは……!」

ギルドマスター「儂のギルドの食堂に置くことはできませんで……?」

総本部役員「黙れ!地方の小規模ギルドの長に過ぎぬ君に決定権はない!」

ニャンター「……オレはそれで構わニャい」

総本部役員「そう!なら良かった!穏便に済んで安心した。君はいい子だね」

ニャンター「…………」

総本部役員「出て行っていい」

ニャンター「………」

ギルドマスター「………」

------数分後、同場所・廊下------



ギルドマスター「すまねぇ、ニャンター君……何も出来ずに」

ニャンター「貴方はオレの上司ではニャい。何も気に病むことはニャい」

ギルドマスター「……ラオシャンロン襲撃の時、他のハンターたちが不満を垂らしながら迎撃態勢についている中」

ギルドマスター「君はただ一人、真摯に迎撃に加わってくれた」

ギルドマスター「たったそれだけかと思うかも知れないが……儂は、ひどく心を打たれた」

ギルドマスター「忘れはしないよ、君のことを」

ニャンター「……そんな言葉が頂けるニャど、おこがましいニャ。オレはただ、やるべきことをやっただけニャ」

ギルドマスター「………」

ニャンター「オレと対等に接してくれて、礼を言うニャ。かばってくれようとしたことも、オレにとっては何よりも嬉しい」

ニャンター「……申し訳ニャい。オレが闘技大会に出たばかりに迷惑をかけた」


職員「君、早くこちらに来なさい。休眠したあと、早速職に就いてもらう」


ニャンター「……行かねば。それでは、元気でいてくれニャ」ペタ、ペタ

ギルドマスター「……ああ、君もな……」

一旦止めます。
長々と失礼しました。
覗いてくださった方、ありがとうございました。

------翌日午前、霊峰------



サァァァァァァァ……


シャガル「………」

シャガル「アマツ先生………」ボソッ

シャガル「………」


『”空を見よ”
我らが大いなる師
嵐龍 アマツマガツチ
ここへ眠る』



シャガル「(私一人では、なんて無力)」

シャガル「(貴女を尊敬し、貴女に憧れた……)」

シャガル「(しかし私は、貴女のようにたった一人で……世界を破壊する脅威に立ち向かうことができるのでしょうか……)」

シャガル「アマツ先生……いま私にできることは……」



バサッ、バサッ……

ドスン……

リオレウス「……シャガル先生!」

シャガル「……!レウス先生……」

リオレウス「先日のアマツ先生の月命日は、忙しくて来れなかったもので……」ドス、ドス

リオレウス「今日やっと、彼女に似合う花を持ってきたところです」

シャガル「……そうでしたか」

リオレウス「シャガル先生もですか?」

シャガル「ああ、私は……月命日にも来ましたが、今日はただ理由もなく……」

シャガル「……アマツ先生と、話がしたくて」

リオレウス「…………」

リオレウス「アマツ先生は、厳しかったが……信念の強い、良い先生でした」

リオレウス「しかしあの学校は……そんな先生ばかりではない」

シャガル「…………」

リオレウス「……教科書に載ったあの詩、私はずっとお伽話だと思っていました」

リオレウス「世界など終わりはしない……そんな悪夢は、あのオストガロアで充分だと」

シャガル「……オストガロアなど目ではない。校長たちのあの言い分といい……文字通り、天と地を砕き世界を破壊する存在でしょう」

リオレウス「だとしたらシャガル先生、私は貴方に助力致します」

リオレウス「もう脅威から逃げず、真っ向から立ち向かうべきだと思うのです」

シャガル「………心強いです、レウス先生」

リオレウス「…………」

シャガル「……しかし、我々も愚かではない。校長たちの言うように、もはや神に等しい存在にひとりふたりで立ち向かったところで、結果は見えている」

シャガル「結局、成す術なく……黒龍の復活と世界の崩壊を待つのみ」

リオレウス「……校長たちのお力添えすらもないままでは……」

シャガル&リオレウス「………」


『”空を見よ”
我らが大いなる師
嵐龍 アマツマガツチ
ここへ眠る』


リオレウス「『空を見よ』……か」

リオレウス「アマツ先生の口癖でした」

シャガル「空を支配するアマツ先生の存在を常に思え……ということでしたね」

シャガル「しかしもう、そのアマツ先生はいない……」

リオレウス「………」

シャガル「…………」

シャガル「………いや」

リオレウス「??」

シャガル「もっと上空……?」

リオレウス「……?……シャガル先生?」

シャガル「れ、レウス先生!!我々にはまだ、頼るべき存在があります!!」

リオレウス「えっ、どうしました、突然」

シャガル「空ではない!!そのもっと上!!宇宙です!!」

リオレウス「宇宙………?」

リオレウス「……えっ、まさか?!」

シャガル「そうです!!共に行きましょう、今から!」

リオレウス「今から?!」

シャガル「はい!」

シャガル「宇宙の力をも利する、『千の剣』に会いに行きましょう!!」

シャガル「………『千剣山』へ!!」

------数時間後、雪山------



ガムート「……えい!!」パスッ

ティガ「あっお前……石入れたな?!」

ガムート「ちょっとだけ!」

ティガ「くっそー」パスッ

ガムート「あ痛!……ふふっ」


ティガ「なんか……少し休まね?」

ガムート「……そうだねー」


ティガ「…………」

ガムート「…………」


ティガ&ガムート「(なんでこんな時に雪合戦なんてしているのだろう……)」

ティガ「…………」

ガムート「………//」

ティガ「……なんか……平和だよな」

ガムート「うん……黒龍さんなんか、絶対こなさそう」

ティガ「………」

ティガ「……でもきっと、来る」

ガムート「………」

ティガ「…………今日来るかもわかんねぇ」

ガムート「……怖い……すごく怖い」

ティガ「……俺も、こえーよ。成す術がないなんて、信じたくねぇ」

ティガ「……ラギア達、どうしてるかな」

ガムート「んーー、みんなそれぞれの彼女と過ごしてるんじゃない?」

ティガ「くそっ、世界中でいちゃついているのか!!」

ガムート「ふふふ……」

------同時刻、孤島------



キリン「……ぐすっ、ごめんね……雷……」バチッ、バチッ

ラギア「大丈夫。好きなだけ落としていいから」ぎゅっ

キリン「ラオ君、本当に……死んじゃったの……?」

ラギア「……うん。そうだって……」

キリン「わああああん……」バチバチバチッ!

ラギア「辛いよな。……でも、ラオシャンロンの死は、意味のある死だ」

キリン「……ぐすっ……意味って……?」

ラギア「……今から話すこと、笑わないで聞いてくれよ……」

------同時刻、森丘------



桜レイア「チョーー天気いいね!!休日に相応しいってかんじー?」

ライゼクス「桜ちんは太陽が似合うね?」

桜レイア「いやん?クスクスったら?」

ライゼクス「……俺、桜ちんのこと宇宙一好き!!」

桜レイア「バカ?知ってる?」

ライゼクス「…………」

ライゼクス「……桜ちん、あのさ……」

------同時刻、渓流------



ミツネ「あっけなく終わるもんだね、世界は」

白ラギア「まだ終わってないでしょー」

ミツネ「……でも、終わりそうだよ」

白ラギア「まあ、まだわかんないって!古文書とか詩なんて、ただのフィクションかも」

白ラギア「ラオシャンロン君が死んじゃったのは……たまたまとかで」

ミツネ「だと良いんだけどね」

ミツネ「……白ちゃん、昨日あのあと教室に戻って大丈夫だった?」

白ラギア「うん!みどちとは会話してないけど……ヴォルガノス君とか、ドスガレオス君が一緒にご飯食べてくれた」

ミツネ「新しいお友達だね。覚えておくよ」

白ラギア「うん……それよりミッくん、白ちゃんって……」

ミツネ「………えっ」

白ラギア「まっ、前まで『白ラギアさん』だったのに、いきなり変えてどうしたの……?」

ミツネ「い、いやならやめるよ!」

白ラギア「嫌じゃないよっ!……嬉しいよ」

ミツネ「………なら突っ込まないで!」

白ラギア「ミッくん……」

ミツネ「………//」

------数分後、千剣山------



シャガル「着きました」バサッ

リオレウス「よ、良かった……。遠かったですね……」バサッ

シャガル「高度が高過ぎましたね」

リオレウス「しかし……あのお方、本当におられるのでしょうか?」

シャガル「……わかりません。私も直接お会いしたことはございませんから」

リオレウス「(…………嘘だろ……)」ヘロヘロ……

シャガル「……突然の訪問、お許しください!!どうかお姿を現してはくれませんでしょうか?!」


シーーーーーン………


シャガル「……いらっしゃらない……?」

リオレウス「……散歩に出ているだけだといいですね……」


グラ、グラ……


シャガル&リオレウス「!!」


グラ、グラ……

ズズズズ……ズルズルズルズル……


シャガル「いらっしゃった……!!?」

リオレウス「…………!!」

リオレウス「登ってくる……!!」


ズルズル……ズルズルズルズルズルズルズルズルッッ!!!


???「訪問者とは……実に久しい」


リオレウス「………おっ、お……おおおおうっ!!」

リオレウス「(千剣山とほぼ同じ大きさ……!?)」

シャガル「…………!!」

???「………初めて見る顔だ」

シャガル「はい……!我々は、塔学校で教師をさせていただいている者で……」

シャガル「シャガルマガラと、リオレウスと申します」

リオレウス「……!………!」ペコペコ

???「なるほど……ふむ、精悍な顔つきだ」

シャガル「貴方様は……ダラ・アマデュラ様でお間違いないですね?!」

???(アマデュラ)「……いかにも。ダラ・アマデュラとは私の名だ」

アマデュラ「遠い地より、よくぞ参った」

リオレウス「あ、ああアマデュラ様……!!ほ、本当に……!(ちびりそう!)」ペコペコ

アマデュラ「何も驚くことはない。そう緊張するな」

シャガル「アマデュラ様……まず貴方様にお伝えしたいことが……」

アマデュラ「ふむ?」

シャガル「貴方様の教え子であり、塔学校の副教頭だったアマツマガツチ様は……4ヶ月前に亡くなりました」

アマデュラ「……うむ、やはりそうか」

アマデュラ「微睡みの中で……遠い空に嵐が生まれ、そして消えたのを感じた」

アマデュラ「教え子に先立たれるなど、私としては非常に残念だ」

シャガル「……心中、お察し致します……」

アマデュラ「アマツマガツチ……可哀想な子だ」

アマデュラ「嵐の中で生まれ、嵐の中で死んだ……」

アマデュラ「あと1000年は生きられた」

アマデュラ「……死んだ原因もわかる。私が追放したはずのオストガロアが、猛威を奮ったからだろう?」

シャガル「……はい」

アマデュラ「……悪いことをした。私を恨んでいるだろう」

シャガル「……アマツ先生の本意は、分かりかねますが……」

アマデュラ「そうだな、すまない。余計なことを言った」

シャガル「い、いえ!そんなつもりは……」

アマデュラ「構わぬ。……それで、今回はどういった経緯でここにやって来たのだ」

シャガル「はい、塔学校の元生徒が死に、それは伝説の『黒龍』が蘇る前兆であると聞き……」

アマデュラ「……黒龍……何処でその名を?」

シャガル「ダレン・モーラン校長たちより、聞きました」

アマデュラ「……1000年間、隠してきた存在だ」

リオレウス「我々は黒龍に立ち向かうべきだと考えています。しかし、我々二人だけではどうにもできません……」

シャガル「校長たちのお力をいただきたかった……しかし、神に逆らっても無意味と言われてしまい……」

シャガル「……ただ世界の崩壊を待て、と」

アマデュラ「……黒龍に立ち向かうとは……私ですらも諦めていたことだ」

アマデュラ「……しかし、心強いな。貴殿らの力があれば、世界の崩壊を阻止することができるやもしれぬ」

リオレウス「で、ではアマデュラ様……貴方様のお力添えを頂けるのでしょうか?」

アマデュラ「無論である、力を添えて貰うのはむしろ私のほうだ。感謝を致す」

シャガル「いいえ、そんな……!」

アマデュラ「ダレン・モーランも、私も……年老い、消極的であった。考えに若さが足りなかった」

シャガル「……黒龍とは、本当に神なのでしょうか……?」

アマデュラ「そのようなことはない」

アマデュラ「……確かに強い。私も若い頃、彼奴に痛めつけられたものだ」

アマデュラ「だが命の底の存在する、一介のモンスターに過ぎぬ」

リオレウス「……!」

アマデュラ「己を神と呼ぶ、実に愚かな者だ」

アマデュラ「世に神など存在しない。この私も等しく、神などにはなれやしないのだ」

シャガル「………では、大きな力が集まれば……黒龍の討伐も、現実的ということですね?!」

アマデュラ「いかにも。貴殿……シャガルマガラと言ったか」

アマデュラ「貴殿の心を理解した。若き教師よ、ダレン・モーランたちの考えも改めさせ……共に黒龍を討とう」

リオレウス「(やった!)な、なんと礼を申したらよいでしょうか……!」

アマデュラ「礼など不要。では私の背中の剣に掴まるがよい」

シャガル「!」ガシッ

リオレウス「掴まる……?」ガシッ

アマデュラ「振り落とされるでないぞ」


ブワッ!!!

ヒュルルルルルルルルルル!!!!


リオレウス「お、落ちてるーーーーー?!」ビュウウ……

アマデュラ「如何にも。私には翼などない!ただ落ちて行くのみ」

ビュオオオオオオオオ!!

シャガル「完全に自由落下だ……しかし、何よりも早い!そのお身体の大きさと力では……!」

リオレウス「(自分で降下するより怖いーーー!!)」


ビュオオオオオオオオオオオオ………

------更に数分後、塔学校・校長室(古塔近くの砂丘)------



ダレン「……うーーーーーーーーーーーむ……」

ダレン「………また、ババを………ゲフッ、ゲフンッ」

ジエン「フォッフォッ、いつまでもババ抜きは弱いぬ……」

ジエン「ゲフンッ、ゲフンッ!……ズズズ……」



……ズドォォォォォォォォォォォオオオオン!!
ギャー……



ダレン「?!………何だぬ?!」

ジエン「何か聞こえたかぬ……?ぬーーーーん。それより……次は7を並べよう……カードを切れ」


アマデュラ「随分、愉快な様子だな」

ダレン「……!!!ゲ、ゲフッ!!ゲフゲフ!!あ、アマデュラ様???!」

ジエン「んぬーー……アマデュラ様……???」くるっ

ジエン「……フォーーーーー?!!ゲフンッ!!アマデュラ様……!!」


シャガル「レウス先生。しっかりなさってください」ズルズル……

リオレウス「……衝撃が強く……こんな移動の仕方は初めてで……」フラフラ


アマデュラ「その者たちから話を聞いた。貴様らも私も、実に消極的であったな」

ダレン「は、はっ……黒龍の……ことでございましょうか……?」

アマデュラ「如何にも。我々に必要なのは、恐れを知らない心だとは思わぬか?」

ジエン「ぬぅん、ご冗談を……アマデュラ様ですら……完全なる勝利を収めることのできなかった相手を……」

ジエン「恐れるなというのは……無理難題ですぬ……」

アマデュラ「…………」

シャガル「……『完全なる勝利』……?」

リオレウス「ひ、引き分けということでございましょうか」

アマデュラ「………うむ……そう表現すれば、聞こえはいいな」

アマデュラ「黒龍の唯一の目的は、世界の破壊と再生だ」

アマデュラ「1000年前……彼奴は世界の生物の醜さに耐え兼ね、世界を破壊しようと企てた」

アマデュラ「再び、己の支配できる世界を創ろうと……」

アマデュラ「まず西の果ての地に降り立ち、破壊を開始し、多くの生物がその破壊を嘆き、阻止しようとした……」

アマデュラ「私も彼奴に対抗する立場であった。しかし……彼奴の力は甚だしい。彼奴を完全に鎮めることはできなかった」

リオレウス「それほどの力を持つ、黒龍……」

アマデュラ「彼奴は言った。『1000年待つ』と」

アマデュラ「1000年間、生物の醜さが消えぬのなら、再び天より降り立ち、世界を破壊させるという思惑だ」

リオレウス「……その、『生物の醜さ』とは、具体的にはどのようなもので……?」

アマデュラ「欲だ」

アマデュラ「……全ての生物に共通するものは、己の欲求を満たそうとする本能だ」

アマデュラ「……例えば人間には高度な知能があり、理性というものによって本能を抑えることが可能」

アマデュラ「しかしそれ以外の生物に理性などほとんど無い。……人間にすらも、理性の薄い者がいることもある」

アマデュラ「それが、黒龍にとっての『生物の醜さ』である」

シャガル「(……ラージャン、イビルジョー、オストガロア……)」

シャガル「……もう、その日より1000年が経ち……黒龍の求める世界にはならなかったが故に、復活するということでございますね……?」

アマデュラ「そうであろう。私は復活を阻止すべく、理性もつ者たちの学校を設立した」

アマデュラ「だが……到底及ばなかった。いつしか黒龍を討とうという心も薄れ、ただ諦めてしまっていた」

ダレン「…………」

ジエン「…………」

アマデュラ「……黒龍の言い分も全く理解出来なくはない。欲とは、醜さだ。しかし、この世界から醜さが消えることはない」

アマデュラ「全ての欲は、見方を変えればこの世を生き抜くために必要なものだ。……私から見れば黒龍ですらも、己の理想の世界を創るという、あまりにも子供じみた傲慢な欲にまみれた醜い生物」

アマデュラ「……彼奴はこの世にとっての毒だ」

アマデュラ「モーランの兄弟よ。この2名の若き教師が、黒龍に立ち向かおうとしている」

アマデュラ「その熱き思いに応えようではないか」

ダレン「………うーーーーむ……我が師よ……貴方様の言葉には……逆らえませぬ」

ジエン「……ぬん……しかし……我々5名のみで……?」

シャガル「いえ………兵を出しましょう」

一同「!」

シャガル「力強い友がいる」

シャガル「……私どもの生徒たちも、必ず立ち上がってくれることでしょう」

リオレウス「そ!……そうですね……!!私の生徒……メインモンス科の者たちも!!」

アマデュラ「……メインモンスター……強き者の称号……」

シャガル「……生徒たちに出撃要請をさせてくださいませんか!!」

シャガル「そのためには……あなた方の許可が必要なのです!!」

シャガル「責任は、全て私が取ります!!」

ダレン「む、むう……しかし……」



???「私の生徒たちも……必ず立ち上がってくださいます!!」


一同「??!!!」


シャガル「リ………!!」

リオレウス「リモ先生………?!」


???(リモセトス)「……雑魚科の生徒も、やるときはやるのであります!!!」

------ほぼ同時刻、古代林・ディノバルドの巣------



冥ラギア「………うーーん……これがなァ……」

ディノバルド「………難解ですね」

冥ラギア「でも、もう少しなんだよな……」

ディノバルド「どう解釈すべきか、言葉が難しい」

冥ラギア「は、始まり……かな?」

ディノバルド「始まりというのも、どうも……」

ディノバルド「源、とかがいいかもしれません」

冥ラギア「うーん確かに……『終焉』の詩は、新たな生命を世界の再生の原動力にする……みたいなことも書いてあるしね」

ディノバルド「……全ての、源……始祖?」

冥ラギア「……うん!いいね」

冥ラギア「……そ……祖龍……?」

------ほぼ同時刻、ギルド総本部・刑務所厨房------



料理長「新入り。休憩ニャ」

料理長「少し遅いが昼メシにしよう」

ニャンター「…………」


カチャカチャ……コトッ


料理長「この厨房にいるのは、俺以外は人間だからニャ」

料理長「アイルーの新人が入ってきて嬉しいニャ」

ニャンター「………」パクパク……

料理長「それにしても、しくじったニャ~、お前」

料理長「せっかくモンスターの言葉が話せるのに、ギルドにバレちまうニャんて」

料理長「アイルー史上初ニャ、バレたのは」

ニャンター「……料理長は、話せニャいのニャ……?」

料理長「話せるわけニャいニャ!話せたら、こんニャ場所に就職してニャい」

料理長「百万人に一人の天性の才能であるのに……それを商売にしニャいニャんて、もったいニャいニャ~~」パクパク

料理長「モンスターの言葉が話せるのにオトモやハンターをやる奴ニャんて、お前くらいニャ」

ニャンター「……商売?」

料理長「例えば翻訳の仕事は儲かるニャ~。ただ、人間にモンスターの言葉が話せることがバレたら大変ニャ」

料理長「かなりグレーな仕事ニャ~~でも儲かるニャ~~」

ニャンター「……何故オレは、処刑も逮捕もされニャいニャ……?」

料理長「決まってるニャ!!お前の友達からの報復が怖いし……」

料理長「イザというときに、使えるかもしれニャいからニャ~~」

ニャンター「イザ……」

ニャンター「……どんな時ニャろう」

------戻って、塔学校・校長室------



リモセトス「私は、自分の生徒たちが心のうちにフラストレーションを抱えていることを自覚しました」

リモセトス「ただの弱者ではない、必要な時が来れば戦うこともできるのです!!」

リモセトス「今がその時……昨日の職員会議で話された黒龍の復活について考え、雑魚科の他の先生方と相談し、今日ここへやって参りました」

リモセトス「……ですよね?」

大雷光虫「間違イ無イデス」フヨフヨ

ガーグァ「クコケェーーーー!!そーーーーーーです!」


アマデュラ「ふむ……なんと尊い決意であろうか」

ダレン「うむ……そ、そこまで言われては仕方あるまい」

ダレン「アマデュラ様……黒龍の復活とは、もう……近いので?」

アマデュラ「近い。今この瞬間に復活したとしてもおかしくない」

リオレウス「……今復活しようがしまいが、早いうちに黒龍を討ったほうが良いですよね!」

大雷光虫「ソウ思イマス」フヨフヨ

シャガル「急がねば……!生徒たちに矢文を送ります!!」

------数分後、雪山------



ティガ「いやもうちょっと、ラギアは鼻の穴がでかい」

ティガ「貸してみ!俺が描く」カリカリ

ガムート「ラギア君の顔、難しいね。ライゼクス君の顔は上手く描けたのに」

ティガ「ライゼクスはもっと吊り目!」カリカリ

ガムート「(……なんで今度は雪にみんなの似顔絵を描いているのかな……)」

ガムート「(楽しいけどっ!!)」ドキドキ……


矢文アイルー(緑)「ティガレックス様~、ガムート様~」ピョコピョコ

ティガ&ガムート「?」

矢文アイルー(緑)「学校から矢文ですニャ!」

------ほぼ同時刻、孤島------



ラギア「キリンちゃんにも来たね?」パサッ

キリン「学校お休みなのに、なんで矢文が……」パサッ

ラギア&キリン「…………」

ラギア「………アツイ展開来た!!!」

キリン「どっ、どうしよう!!これ、ラギア君がさっき言ってたことだよね……?すぐ行かなきゃ!!」


ブラキ「おーーい!!ラギアーーーー!!」ドドド……

------ほぼ同時刻、未知の樹海------



ゴマ「フーーフフフフフッフッフ、黒き龍の降臨とな」パサッ……

ゴマ「小生、そういうの好きです……」

ゴマ「しかし一人では、正直かなり心細い」

ゴマ「友を……フッフッフッ、お呼びいたしますか……」

ゴマ「……『視力と性別に捉われぬ者の集い』のメンバーも連れていくのです!」カッ!!


ギギネブラ「ゴマっちにも矢文来たの?なんか自分のところにもグラビ先生から矢文来たよ」ペタンペタン

ゴマ「……ギギネブラ殿、遊びに来ていたのですね」

ギギネブラ「フルフル閣下もだよ」

フルフル「こんにちは、ゴマさんの巣。しかしすぐにさようならですね」フゴフゴ

フルフル「わたくしの元にも矢文、来ました」

------ほぼ同時刻、森丘の上空------



ライゼクス「レウス先生と黒グラビ先生が呼んでる!!!」バサッ

桜レイア「チョーーヤダ!!クスクス、ホントに行くの?!」バサッ

ライゼクス「俺は行くぜ!!男前だからな!!」

桜レイア「確かに男前?」


蒼レウス「ライゼクス氏ーー!!拙者も同行するでござる~~」バサッ、バサッ

ライゼクス「おーー蒼レウス!!お前も男前だな!!」

桜レイア「ど・こ・が!!ジャマしないでよ!!キック!」バサッ!!

蒼レウス「なら桜は帰ればいいでござる!!拙者をジャマ者扱いしないで欲しいでござる!!キック返し!」バサッ!!

ギャーギャー……

------ほぼ同時刻、渓流------



ミツネ「何も味方は僕たちだけじゃなかった」パタパタ……

白ラギア「そうだね……!学校が直々に、戦う意思を表明してくれた!!」パタパタ…

ミツネ「最低でも、メインモンス科と魚海竜科か……心強いね」パタパタ



ジンオウガ「大丈夫だって~絶対いるよ!俺にも来たんだし」ドドッ、ドドッ

獄オウガ「そうかな?!ラギアパイセンに会ったらどうしよう!!」ドドッ、ドドッ

獄オウガ「兄ちゃん!!ラギアパイセンって死ぬほどかっこいいよな!!」

ジンオウガ「獄もじゅーぶん、かっこいいよ~」


ミツネ「ジンオウガ君!」

ジンオウガ「あっ、ミツネーー!なんかヤバそうだね~」ニコニコ

ジンオウガ「わっ、白ラギアさんだ……」

獄オウガ「ミツネパイセンと……ラギアパイセンのイトコさん!!」

白ラギア「よく知ってるね……あなたたちも行くの?」

ジンオウガ「俺たち二人とも矢文来てね~ヤバそうですごく怖いんだ~」

ミツネ「獣牙竜科にもか……これはもしかすると……生徒全員に、招集かな……」

------ほぼ同時刻、密林------



クシャル「なるほど」パサッ

クシャル「……行くか。試験勉強どころではない」バサッ、バサッ……

クシャル「(脱皮しない方が良かったな……)」バサッ、バサッ……



翠トトス「なんなの、この矢文!」

ガノトトス「よくわからないが、ハプル先生が呼んでいるんだ」

ガノトトス「俺たちも行こう」

翠トトス「兄貴だけ行けば!ウチ、こんなの知らないからっ……あら?」

翠トトス「あの飛んでる人も、塔学校の人かしら……?」

ガノトトス「ああ。あれはクシャルダオラだ、メインモンス科の強い奴」

翠トトス「……ちょーーーイケメンじゃん!!ウチも行く!!」

------同時刻、樹海------



ナルガ「ベイビー、君の美しさで俺の尻尾は最大に伸びたよ」

ナルガ「……違うな」

ナルガ「ベイビー、君はいつでも俺を見つけられる。赤く光る瞳を道標にね……」

ナルガ「……いいかも。ベイb」

緑ナルガ「あんちゃーーーーーん!!矢文ーーー!!!」

ナルガ「なんだよ!!ナンパの練習してんだから邪魔すんじゃねーー!!」

緑ナルガ「もうナンパなんてできないかもよ!!」ずいっ

ナルガ「?」パサッ……

ナルガ「………確かにもうできないかも」

------ほぼ同時刻、地底火山------



ガルルガ「ベストフレンドーーーーッ!!アグナーー!!」バサバサ……

アグナ「おーガルルガ……お前にも担任から矢文きたのか」

ガルルガ「そう!!スーパーレディ・青クックから来たんだよ!」

アグナ「学校がわざわざ生徒を招集して、この……伝説の黒い龍?と戦うなんて、何考えてんだ」

ガルルガ「だよな!でもオレっちたち、ここのところスーパーダサいじゃん?!」

アグナ「……」

ガルルガ「だからここで大活躍して、パープル・ガールのハートを再び射止めたい!!」

アグナ「……そう簡単に行くかー?」

ガルルガ「大丈夫!!オレっちたちには、ディノバルドが商人アイルーから仕入れたという最強兵器があるだろ?!」

アグナ「……ああ……リークしたときに、商人アイルーから一応買っておいたアレか」

ガルルガ「神の『フライパン』!!」

ガルルガ「ディノバルドがコレでイビルジョーを瞬殺したっていう、サイキョーの兵器だぜ!!だから大丈夫!!」

アグナ「……そうだな!!俺らの汚名を挽回してやるか!!!」

------戻って雪山・麓------



ポポ「…………」パサッ

ポポ「………………」

ガウシカ「ポポ!これ……どういうことだろう」

ガウシカ「俺たち、ただの雑魚科なのに……先生からいきなり招集って」

ガウシカ「……どう思う?!矢文に書いてある黒龍とやらが来るなら、俺たちの出る幕なんてないんじゃ……」

ポポ「…………」くるっ

ドス、ドス、ドス……

ガウシカ「お、おーーい!ポポ、お前学校行くの?!」

ポポ「……………うん……」ドス、ドス……

------約90分後、塔学校・校庭(塔を挟んで校長室の反対側)------



ザワザワ……ザワザワ……
ギャーギャー……
ザワザワ……


シャガル「……お、驚いた……!まさかこれほどの人数が集まるとは……」

リオレウス「リモ先生のように、他の先生方も各自で考えて行動してくださったなんて……」

グラビ「当然です!!やはり昨日の校長たちの意見には賛成しかねますから」

黒グラビ「(……俺は、兄上たちに説得されてほぼ無理矢理やらされたみたいなものですけどね……)」

青クック「(ひそっ)アカム副教頭たちは……?」

リオレイア「(ひそっ)何もしないですよ……ヤマツカミ理事長も何もしないわ。校長と教頭が動いたのに……」

青クック「(ひそっ)あらぁ~~……」


リオレウス「メインモンス科と古龍科は全員……」

グラビ「飛竜科は6名中5名、飛竜亜種科は9名中7名!」

ハプルボッカ「魚海竜科は11名中~~、7名来てくれたわ~」

宝纏「すいません……獣牙竜科は7名中3名です……」

シェンガオレン「3名もいるだけいいよォ~うちなんか1名だけ!」

紅兜「さすがに全員とは行きませんでしたが、全校生徒の6割ほど集まってくれていますね……」

------同時刻、塔学校・校長室------



ダレン「先生方が……まさか全員やってくるとは……うーーーむ……予想外……」

ジエン「いかにも……」

アマデュラ「素晴らしい。全て教師陣の信頼の賜物だ。これほどまでに力強い生徒たちがいたなど」



アマデュラ「…………!!」バッ

ダレン「アマデュラ様……どうされたので……?」

アマデュラ「…………時か」

------旧大陸、西の地------





ゴゴゴ……ゴゴゴゴ……


黒龍「………」ユラ……

黒龍「死と生」

黒龍「静と動……」

黒龍「……破壊と創造」



黒龍「……余は、神である」


ゴゴゴゴ………

------数十分後・人間居住地域、ギルド総本部------



総本部役員「君はお茶汲み係の新人かね?」ズズズ……

総本部役員「見目麗しいね~。明日からおやつも持ってきてよ!」



バタバタバタバタ………

総本部スタッフ「非常事態です!!非常事態ですーーーー!!!」バァン!!バタバタ……

総本部役員「何だ!!」

総本部スタッフ「ひ、ひ、東の、旧シュレイド城に異変です!!」

総本部役員「あの廃墟がなんだ!!」

総本部スタッフ「信じられません……!!!しかし、どう考えても、アレは、アレです!!!!」

総本部役員「簡潔に言いたまえ!!クビにするぞ!!」

総本部スタッフ「み、ミラボレアス!!!黒龍ミラボレアスが出現致しました!!」

総本部スタッフ「シュレイド地方の上空には、暗雲が立ち込め……巨大な龍の姿が確認されます!!」

総本部役員「ミラ……?!本当にあの黒龍か?!よく確認しろ!!」

総本部スタッフ「致しました!何度も確認した上で断定致します!!間違いございません、黒龍ミラボレアスです!!」

総本部役員「そんな……!あいつは1000年間大人しくしてたんだぞ!!」

総本部役員「1000年間、隠し続けてきた!!……何名が、あいつの出現を知った?!」

総本部スタッフ「観測員や総本部の上層、私と貴方様を含め18名です!!」

総本部役員「……君、いまの話は聞こえたかね?」

お茶汲み係「何も聞こえていません」

総本部役員「……18名だな!……今すぐ全世界に非常事態宣言だ!!避難勧告を出せ!!」

総本部役員「ハンター……G級ハンターを呼べ!!腕の立つ奴だ!出来るだけ少人数にしろ!!」

総本部スタッフ「はい、すぐに!!……あ、あとミラボレアスの他にも……」

総本部役員「他にも、なんだ!!!!」

総本部スタッフ「ガブラスの大群です!!」

総本部スタッフ「……軽く見積もっても一万匹はいるかと!」

------約五分後、ギルド総本部・刑務所厨房------




ウゥーーーー……ウゥーーーー……

料理長「ニャッ?!さ、サイレン?!」

料理人たち「?!」

ニャンター「………?」


『ギルド総本部より、非常事態宣言を発令致します』

『当地域に、未確認モンスターの襲来が予想されます』


ザワッ!!

ニャンター「!!!」

ニャンター「(………来たニャ!!)」

料理長「ニャーーー!!ニャんだ、突然!!ヤバイのニャ?!」


『市民の方は、最寄りのシェルターへの避難を……』


バァン!!


職員たち「全員地下シェルターへ入れ!!我々が誘導する!!」

料理長「シェ、シェルターなんてあったのニャ?!」

料理長「行こう!!新入り、急ぐのニャ!!」ピョコピョコ…

職員たち「お前は避難するな!」

ニャンター「??!」

職員たち「お前にはこれより高速飛行船で、旧大陸のシュレイド地方へ向かってもらう!!」

ニャンター「シュレイド……?!」

料理長「高速飛行船って、各ギルドが1ヶ月に一隻しか出せニャいやつニャ……?」

職員たち「そうだ!!早くしろ!」

ニャンター「ニャにが現れた?!」

職員たち「……黒龍ミラボレアスだ」ボソッ

ニャンター「(『ミラボレアス』……!!)」

------ほぼ同時刻、塔学校・校庭------



ざわ……ざわ……


黒ティガ「……オイ!お前に矢文で言われたカバン、持ってきてやったぞ!」ずいっ

ティガ「黒兄!!……サンキュー」

ラギア「黒ティガさんだーー」

黒ティガ「この騒ぎに、こんなモンがなんだっつーんだよ!」

ティガ「……大事なものが入ってんだ」

黒ティガ「どーでもいいけど、なんでお前のほうが俺よりも前線なんだよ!!ナマイキ!!」

ティガ「しょーがねーだろ!メインモンス科なんだからよ!!」




ナナ・テスカトリ「これで黒龍を仕留めたら、評価が上がるかしら」

テオ・テスカトル「君はもう十分すぎるほどの高評価だよ」

オオナズチ「あ!ガムちゃんだ~~わーい!」ぶんぶん

キリン「古龍科とメインモンス科が、最前衛ってことになってるね」

ナナ「それより、やっぱり学校を辞めてしまったラオ君は来ないのね」

紫キリン「そうだな、彼の力を借りられれば容易いだろうに」

キリン「……(先生、ラオ君のことは隠すつもりなのかな……)……」

紅ガノス「みどち、前の方にミツネ君いるよ」

翠トトス「うん……それよりもあの、少し離れた位置にいるなんとかダオラって人がかっこいい」

白ラギア「(今度はクシャルダオラ君……?)」

ドスガレ「ねぇねぇ、黒龍って高い音とか出すと思う?」



ガルルガ「パープル・ガール!なんて気高いんだ!」

ガルルガ「こんな非常事態にやって来るなんて!」

ガルルガ「オレっちがパープル・ガールを必ず守るからね!」

紫ゲリョス「…………」プイッ!

ガルルガ「オー、クールだね!!」




ポポ「…………」

アプケロス「……俺たち、やっぱ一番後ろか……」

ズワロポス「そりゃそうだろ、むしろなんで呼ばれたんだか……俺たちは弱いのに」

ムーファ「まあ、うちのクラスは半分くらいしか来てないけどね……」

ポポ「………き、きっとリモ先生が」

一同「?」

ポポ「リモ先生が、わかっ、わかってくれた」

ポポ「僕たちも、た、戦えるって………」

ザワ、ザワ……

シャガル「……これより移動を開始する!皆々、静まってくれ!!」

ライゼクス「……移動って、どこに……?」ぼそっ

シャガル「目的地はここから西の地、シュレイド地方だ!!」

ザワッ!!

ミツネ「シュレイド地方……?またえらく遠いね」

ガムート「どうしよう、私走るの速くないのに……」ドキドキ

シャガル「長距離飛行が不可能な生徒・教員には、特殊な手段をもって移動してもらう!」


ティガ「……なんだ?」ぼそっ

ラギア「……打ち上げ花火につかまって飛んでくとかじゃね?」ぼそっ

ジンオウガ「えー俺、熱いの嫌だな……」ぼそっ

シャガル「偉大なる協力者を紹介する!」

シャガル「……この度私の言葉を聞き、この場へ来てくださった……我々の恩師!!!」



ブラキ「恩師?」

ナルガ「なんだべ」



シャガル「『蛇王龍ダラ・アマデュラ』様だ!!!」

どよっ!

ざわざわ……


ズズズ……ズルズルズルズル……


アマデュラ「……少し、紹介の仕方が大仰ではないかね……」ヌッ!!


生徒一同「「!!!!!!」」


ミツネ「な………!」

ガムート「あ……!!」

ティガ「う………!!!」

ラギア「ど………!!!!」

ライゼクス「え………!!!!!」


生徒一同「「……ええええええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーー!!!!!!」」

ギャアアアアアアア……

ブラキ「なん……?!え?!どーなってんだ?!」

ジンオウガ「こ、校舎を挟んで向こう側の砂丘にいるのに……」

ナルガ「顔がこっちから余裕で見える?!」

蒼レウス「おおおおおお……なんという大きさか!!!拙者史上、最も巨躯でござる!!」

ゴマ「フフフ……小生、泣きそうです……」

ザワザワザワッ!!



アマデュラ「当然ながら、初めて会う者ばかりだな。……貴殿らに礼を述べる!!」

アマデュラ「黒龍を討たんと、この場に集まってくれたことに」


ライゼクス「……ちょっとラギアと顔似てねぇ?」

ラギア「え……そんなこと言われてもどうリアクションすればいいかわかんねーよ……」


シャガル「見ての通りの身体の持ち主でいらっしゃる!!!!よってアマデュラ様の背中の剣に掴まり、移動をしていただく!」


ザワザワッ!!!


ガムート「!!!そ、そんな無茶な移動手段が……」

ミツネ「すごい……あの方が、オストガロアを追放した先生だよ……まさか本当にいらっしゃるなんて」

ガムート「ええ!!あの方が……。……先生たちが呼んだのかな……」


シャガル「メインモンス科から順に背中にお乗りしろ!くれぐれも失礼のないようにな!」


ジンオウガ「背中に乗る時点でめちゃめちゃ失礼な気がする……」

ブラキ「何考えてんだシャガル先生……」

リオレウス「聞いた通りだ!速やかに行動しろよ!」

ガムート「私乗って大丈夫かな……おっ、重いのに……」

ミツネ「いやーーー、アマデュラ様からしたら、ガムちゃんなんて紙切れ一枚くらいの軽さじゃないの」

ガムート「やだっ!ミツネっちったらそんなお世辞……//」

ミツネ「別にお世辞のつもりはないよ」


ザワザワ……


ラギア「で、でっけぇーーー……」よじよじ

ジンオウガ「背中広ッ!」よじよじ

ライゼクス「いいなーティガ!背中乗れて!」バサッ、バサッ…

ティガ「俺、長距離には向いてないからな!」よじよじ

ナルガ「俺もだ」よじよじ


ザワザワ……


リオレウス「……全員乗ったか!」バサッ、バサッ

シャガル「長距離飛行が可能な者は我々が先導する!!常に最高速度を保つように!」


蒼レウス「最高速度って……」

ゴマ「……フフフ……小生たち、大変」


アマデュラ「では参ろう」ズズ……

アマデュラ「先に失礼する」

シャガル「はい!早急に追いつきますので!!」

アマデュラ「………」コクッ

ガムート「追い付く、って……シャガル先生たちはすぐ出発しないのかな?」ドキドキ

ミツネ「ね。なんでだろ?」

ティガ「おっ!見ろよ、校長たちが砂に潜ったぜ!」

ジンオウガ「校長たちはどーすんのかな?」

ラギア「どーせなんもしねェだろ」


アマデュラ「決して振り落とされることのないようにな!」

ブワッ……

一同「!!!!???」


ブラキ「うお!!ジャンプした……!」


ダレン「…………ゆくか」

ジエン「………ぬーん……」

ギャオオオオオオオオオーーーーーン………
ザッパァーーーーーン!!

ミツネ「校長たちが飛び出してきたっ!」

アマデュラ「……礼を言う!」ガッ!


ブワッ!!


一同「!!!!!!!!!!」

ビュオオオオオオオオ……

ガムート「きゃーーーーーーーーーーーー!!!」ビュウウ……

ラギア「なにこれ!なにこれ!!なにが起きてんの!!」ビュウウ……

ミツネ「……アマデュラ様が一回ジャンプして、更に校長たちがアマデュラ様を上に押し上げて……」

ミツネ「そのまま上空まで一気に上がってるんだよ……」ビュウウ……

アマデュラ「如何にも!!私には翼がないため、このような手段を取った!」

アマデュラ「最高高度に達したら、あとは落下していく!!」

ギャアアアアアアア……

ティガ「それ意味ない気がするーーー!!」ビュウウ……

アマデュラ「いや、可能な限り緩やかな放物線を描いて、着地するのはシュレイド地方を予定している!安心されたし!!」

ガムート「よ、予定ーーー?!」

ギャアアアアアアア……

アマデュラ「到着は半刻ほど後だ!」

ミツネ「たしかにこのスピードでは……シャガル先生たちが同時に出発しても到着がズレるわけだ……」

ラギア「30分も落下すんのかよ!!生まれて初めてだーー!!」

ギャアアアアアアア………



シャガル「ボーッとするな!我々も出発するぞ!」バサッ、バサッ!!

ライゼクス「……すっげーの見たな……」バサッ…

蒼レウス「拙者、翼を持っていて良かったと感じるでござる」


バサッ、バサッ、バサッ……

------ほぼ同時刻、高速飛行船上------



ゴゥン……ゴゥン………

総本部役員「……まさかミラボレアスが復活したなんてな」

総本部役員「君、もしかして知ってたの?」

ニャンター「……いや、確信には至っていニャかった」

ニャンター「しかしラオシャンロンが街に進行したことの背景には、恐ろしい何かがあるとは感じていたニャ」

総本部役員「……そう」

ニャンター「……どういった理由で、オレはシュレイド地方へ向かうのニャ……?」

総本部役員「決まっている。君に説得していただく」

ニャンター「……説得?!」

総本部役員「もちろん少数精鋭のハンターにも出撃要請を出した。でも、それだけでは不安じゃないか」

総本部役員「モンスターの言葉を理解する君がミラボレアスを必死に説得してくれたら、もしかすると……ね?」

ニャンター「(……フザケた男ニャ……そんな方法、通用するわけニャいニャ!)」

総本部役員「……それに……君は最近までハンター資格があったから、一応戦力としても使えるしね……」

ニャンター「…………」

------同時刻、古代林・ディノバルドの巣------



ディノバルド「……黒龍の復活が確定ならば……」

ディノバルド「世界を破壊し尽くしたのちに、その黒龍は『祖龍』となり」

ディノバルド「……生まれたばかりの命を原動力に、新たな世界を創造する」

冥ラギア「……うん、そういうことになる……」

ディノバルド「……具体的に、どう原動力として使うのでしょうか」

冥ラギア「…………」

冥ラギア「……食べる……とか?……」

ディノバルド「………冥さん。……まずいです」

冥ラギア「…………卵……!大ちゃん!!」

------数分後、落下中のダラ・アマデュラの背中------


ビュオオオオオオオオ……

ラギア「ちょっと慣れた!」

ガムート「そうだね……相変わらず、すごいスピードだけど」

ミツネ「不思議な安心感すら出てきた気がする」

ティガ「それにしてもデケェよな……すいませーーーん!体長何メートルですかーーー!!」

アマデュラ「うむ、440メートルほどだ」

ナルガ「うわ……」

ラギア「俺が10人並んでも足りねぇ……」

ブラキ「ラギアも相当デカイ……っつーか、長いけどな」

ミツネ「ラギア君は何メートルだっけ?」

ラギア「30メートル」

ティガ「チビ!」

ラギア「うっせー!20メートルも無い奴に言われたくねーよ!」

ジンオウガ「アハハ!アマデュラ様に比べればみんなチビだよ~」

ビュオオオオオオオオ……

------数十分後、未知の樹海・冥ラギア家------



子供たち「……zzz」すやすや

大ティガ「みんな良く寝てる……」

大ティガ「(冥たちが解読した、黒龍伝説……)」

大ティガ「(世界を破壊し、再生する『神』)」

大ティガ「(……ラオ君は確かに亡くなったようだけど……黒龍の復活なんて、完全には信じられない……)」

大ティガ「(……子供たちもまだ生まれたばかりなのに、そんなものが復活してしまったら……)」


……………ピシッ……………


大ティガ「?!」

ピシピシッ……ピシッ……

大ティガ「卵!……よかった、最後の一個が……」

大ティガ「やっと孵ったのね……パパは不在だけど、私がママだよーー!!」ドキドキ


クルルルル……

大ティガ「わ、女の子……ティガレックス種だわ」

大ティガ「……可愛いわね……」


……ドスン!!!!


大ティガ「!!」ビクッ……

子供たち「!!!」パチッ

黒龍「…………」

ガブラスたち「ギャーーッ!ギャーーッ!」バサバサ……

黒龍「…………」

子供たち「……ギャアアーーーン!!」

大ティガ「……なに?!いきなり近くに来て、驚くじゃない……」

大ティガ「(……龍だ……見たこともない、真っ黒な……)」

大ティガ「(冷たい目……私を見下ろしてる……)」

黒龍「……貴様の赤子か」

大ティガ「………!」ゾクッ!

大ティガ「(なんて恐ろしい声……地響きみたい)」

大ティガ「……そうよ」

大ティガ「(龍の周りを飛ぶ、ガブラスの大群……)」

大ティガ「まさか?!」

黒龍「よい、頂戴する」グワッ!!

子供たち「ウワアァーーーーン!!」

大ティガ「あっ?!や、やめて!!」

ガブラスたち「ギャーーッ!ギャーーッ!!」

大ティガ「ちょっと!!!子供たち返して……!!!」

黒龍「……」バサッ、バサッ……

大ティガ「返してーーーーーー!!」


シュン……

大ティガ「消えた……!ど、どうし、どうしようっ」

大ティガ「こっ、子供たち取られちゃった、冥っ、冥ーーーーーーーー!!!」




………バタバタバタバタ………

冥ラギア「………ん……ちゃん………」

バタバタ……

冥ラギア「…………大ちゃん!!!!」

ディノバルド「…………!」バタバタ…

大ティガ「……冥っ!!ごめんなさい!!子供たちがっ!!」

冥ラギア「どうしたの?!」ゼイ、ゼイ……

大ティガ「卵、最後の一個が孵って、そ、そしたらすぐに黒い龍とガブラスの大群が来てっ」

大ティガ「子供たち全員奪って消えちゃったの!!」

冥ラギア「……遅かった!!ごめん、僕が外出していたばっかりに……!」

大ティガ「黒龍だよね?!」

冥ラギア「……黒龍だ、間違いない!!……くそっ、子供たちが……!」

大ティガ「取り返さないと!!……でも消えちゃったし……!どうしよう!!」

冥ラギア「……消えたわけじゃない、い、移動速度が速いだけで……」

大ティガ「どこに行ったの?!」

ディノバルド「……恐らくシュレイド地方だ!……北にまっすぐ!」

冥ラギア「すぐに取り返しに行かないと!!!」

一旦止めます。
覗いてくださった方、レスくださった方ありがとうございました。
明日、完結まで投下したいと思います。
また長くなりますが…よろしくお願いします。

------高速飛行船------



ゴゥン……ゴゥン……

総本部スタッフ「……シュレイド地方に入りました!旧シュレイド城まであと10キロです!」

総本部役員「……なんて禍々しい空だ……赤黒く、まるで燃えているみたいに」

職員たち「………」

ニャンター「………」

総本部スタッフ「新しい情報によると、ガブラスの大群はおおよそ3万匹まで増えたとのことです!」

総本部役員「……正面に小さく見えているのが旧シュレイド城か」

総本部役員「1000年前に滅びた、巨大な廃墟」

総本部スタッフ「……そうです。そしてその周囲を覆うのが3万匹のガブラス……」

総本部スタッフ「恐らくガブラスの渦の中心にいるのが、ミッ、ミラボレアスです……」

ニャンター「………」ゾク……

総本部役員「……は……」

総本部役員「ハンターは……何名だ」

総本部スタッフ「……はい。各地ギルドのG級ハンター、計10名です」

ニャンター「……なぜ10名だけニャ?もっと数がいても……」

総本部役員「………ミラボレアスが1000年前に現れた時、全世界からハンターを集めた。総勢400名を超える人数だ」

総本部役員「その400名は壊滅状態!!……たった一人を除き、あとは誰も生きては戻らなかった!!」

総本部役員「……怖いよね?そして強い。だからギルド総本部は、奴の存在を1000年間隠してきた。……実在してるなんて知ってる奴はほんの一握りさ」

総本部役員「今回も恐らく……やたらと兵を出しても無駄な死を招くだけだ。総本部としては、世界の精鋭を集めて討伐に当たってもらったほうがいい」

総本部役員「10名中、何名が生き残るだろう……ミラボレアスの存在を口封じするための金も、少なく済む」

ニャンター「…………」

ニャンター「(……轟竜は、仲間にこのことを伝えたのニャろうか……)」

ニャンター「(……どうすることと決めたのか……)」

職員たち「………うわっ!」

総本部スタッフ「!!……あれは?!」

総本部役員「ん……うおっ!!!」

ニャンター「!!!!」

総本部スタッフ「正面の旧シュレイド城よりも更に遠方に、巨大な……へ、蛇でしょうか?!」

総本部スタッフ「蛇のようなものが落下していきます……!!」

総本部役員「蛇だな……なんだアレは?!!」

ニャンター「………」

総本部スタッフ「わかりかねます!……形状は、絞蛇竜ガララアジャラと似通っておりますが……」

総本部スタッフ「大きさが……規格外です!あのような大きさの生物は、確認されたことがございません……!」

ニャンター「…………」

------旧シュレイド城近辺------



ドッッッゴオオオオオオオオオオオン……
ヒューーーン……
ギャーーーーーーーー……


アマデュラ「………少し手前だが、上出来だ!!」ズルッ

ティガ「……すげぇよ、確かに……すげぇけど……」ヨロヨロ……

ラギア「………痛ってぇーーー……い、生きてる人ーー?」ヨロッ

ナルガ「………ほーい……」

ジンオウガ「はーーーい……」

ブラキ「おおおおう……」

ミツネ「はい……(着地の反動で、全員投げ出された……)」ヨロヨロ……

ガムート「はいー…………」ヨロッ



キリン「いたたたた、お兄ちゃん、ナズっち……大丈夫……?」

紫キリン「……ああ……」ヨロッ

キリン「あれ?!ナズっち!!どこ?!」

オオナズチ「ゲホッ……ここだよーー……」

キリン「姿、消えちゃってるよー!」

オオナズチ「ごめん……あーびっくりした」シュン!

キリン「わっ、すぐ隣にいたんだね」

翠トトス「……離しなさいよ!バカ!熱い!!」

アグナ「おおおーー、いてぇ……」

翠トトス「離せ!!」ゲシゲシゲシゲシッ!!

白ラギア「みどちっ、そんなに蹴らなくても」

紅ヴォル「アグナ君、オトコ前~!みどちのこと庇ったんだ」

ドスガレ「……あれー?アグナ君、なに変なもの持ってるの?鉄のうちわ?」



グラビ「……城まで1キロほど手前ですね……」

黒グラビ「………」キュウ……

グラビ「アマデュラ様!!感謝致します……!」

アマデュラ「礼は不要」

アマデュラ「……匂いがする。人間もいるな」

グラビ「!……やはりニンゲンも、兵を出しましたか」

アマデュラ「そのようだ。……我々が行って、人間たちが混乱しないだろうか」

グラビ「そうですね……我々を敵とみなすでしょう」

グラビ「アマデュラ様、貴方様のお身体の大きさですと、ニンゲンの的になりやすいです。……お隠れになっていたほうがよろしいかと思います」




バサバサバサバサバサバサバサバサッ!!


ジンオウガ「すっごい……ガブラスだ」

ブラキ「まず、ガブラスを倒してからじゃねェとボスに辿り着けないってやつか」

ミツネ「……行こう!!!」


ガブラスたち「ギャーーッ!ギャーーーッ!!」バサバサバサ……

------旧シュレイド城------


バサバサバサ……
バサバサバサバサッ……


子供たち「ギャアアーーーン!ギャアアーーーン!!」

黒龍「………騒々しい」

黒龍「……新たなる命とは、こんなにも耳障りなものだったろうか?」

黒龍「醜い、この喧しさは実に醜い!!!」

黒龍「……しかし、余が世界の破壊を終えた後、祖龍へと変貌し世界を再生するために必要なものだ……」

黒龍「滾る。1000年ぶりに始めよう!!!」


ズアァァァァァァァアッ!!

------高速飛行船(旧シュレイド城まであと2キロ)------



総本部役員「なんだ?!」

総本部スタッフ「旧シュレイド城の周辺を渦巻いていたガブラスの大群が、天にまで立ち登り……」

総本部スタッフ「……黒い柱のようになりました……」

ニャンター「……まずいニャ!!こちらに向かってくるニャ!!」

総本部役員「!!!!!!」

バサバサバサバサバサバサッ!!!

ガブラスたち「ギャーーッ!ギャーーッ!」

総本部役員「ぎゃあああ!!飛行船が落ちる!!」

総本部役員「君、なんとかしたまえ!!」

ニャンター「………!」ジャキィン!!

------旧シュレイド城近辺------



ラギア「くっっそーーー、とんでもねぇ数のガブラスだ!!」バチバチッ!

ミツネ「忌々しい、こんな大群!」ガッ、ガツンッ!!

ティガ「………あっ!!」

ティガ「………あれは!!」シュバッ!

ガムート「えっ、どこに行くの……!」ドゴォン……

ナルガ「なんだ逃げんのかティガ!!」

ガブラスたち「ギャーーッ!ギャーーッ!」

------高速飛行船周辺------



ティガ「(一瞬、ガブラスの大群の中に紛れて見えた!)」ビュウウウ……

ティガ「(ニンゲンの乗り物に乗っていたアイルー……)」

ティガ「(絶対、ニャンターさんだ!!)」ビュウウウウウ



バサバサバサッ!!!

グラッ……

総本部役員「ダメだ、気嚢に穴を開けられた……!墜落する!!」

総本部スタッフ「ぎゃあーーーー……」

職員たち「助けてーーーー……」

ニャンター「くそ、ここまでニャ……!!」ブワッ

ヒューーーーー……


ティガ「!!!(ニンゲンが投げ出された!落ちてく!!)」

ティガ「おーーーーーーーーい!!!!」ビュウウウ……

総本部役員「?!」ヒュルルル…

総本部スタッフ「ティ、ティガレックス!!」

ニャンター「!!!!!」


ガッ!!


ティガ「……キャッチ!!やっぱりニャンターさんだ!!!」ビュウウウ

ニャンター「貴様……!」



総本部役員「ずるいーー……」ビュウウウ……

総本部スタッフ「ぎゃーーーー……」ビュウウウ……

ニャンター「すまぬ、轟竜!!あの者たちも救ってくれニャいか!」

ティガ「あァ?!……しょうがねーな、降下するから背中に捕まれよ!!」

ニャンター「恩に着る!」


ビュオオオオオオオオオ……

ガッ!!

総本部役員「!!」

総本部スタッフ「うわっ!」

職員たち「??!」

ヒュゥゥゥゥゥゥ……ドサッ

総本部役員「……うううう、助かった……」

総本部スタッフ「ティガレックスが!!……我々を助けた?!」

ニャンター「この轟竜は敵ではニャいぞ!」

総本部役員「バカな……!!モンスターだぞ!」

総本部役員「君の友達か!!件のティガレックスか?!何をしに来たんだ!!」

ニャンター「……貴様、礼も言えニャいのか!!」

総本部役員「モンスター相手に礼なんて言えるか!!きっとミラボレアスの手下だ!!我々をどうする気だ?!」

ギャーギャー……

ティガ「…………(何言ってるかわかんねぇけど……)」

ティガ「……うるせぇな。ニャンターさん、耳塞いで俺の後ろにいて」ボソッ

ニャンター「?」ペタッ

ティガ「…………」スゥゥゥゥゥゥ……

総本部役員「何故耳を塞ぐ?!おい何処へ行く、俺の話を……」

ゴガアァァァァァァァァァアアッ!!

……バタンッ


ニャンター「……泡を吹いて倒れたニャ」

ティガ「これで全員、しばらく起き上がんねェだろ。……おい、背中乗れ」

ニャンター「助けることニャかったニャ」よじよじ

ティガ「だな」シュバッ!!



ニャンター「すまない、轟竜。救ってくれて心より感謝するニャ」ビュオオ……

ティガ「いーよ、別に」ビュオオオ……

ニャンター「……もう二度と会うことはニャいと言ったのに、また会ってしまったニャ。格好か付かニャい」

ティガ「気にすんなよ、そんなこと!」

ティガ「……会えると思った。絶対、ニャンターさんも来ると思った」

ニャンター「………貴様の仲間たちには、伝えたのニャ?」

ティガ「ああ。……すげぇぞ、勢ぞろいだ」

------旧シュレイド城周辺、モンスターサイド------


バサバサバサバサバサバサッ!!


シャガル「なんだこれは……!!なんて数のガブラスだ!!」バサッ、バサッ

ゴマ「災厄の象徴……」バサッ、バサッ

クシャル「ガブラスとは確か……唯一、学校の生徒だったことがないモンスターだ」

ライゼクス「あーー……それ聞いたことあるかも」バサッ、バサッ

蒼レウス「黒龍は見えるでござるかーー?!」

リオレウス「いや……目視では不可能だ!!ガブラスに遮られて……!!」


ナナ「鬱陶しいわね。私、ガブラス嫌いなのよ」バサッ……

テオ「同意するよ」バサッ

------同場所、ハンターサイド------



G級ランス「なんか……ガブラスがどんどん増えているな」ズガッ

G級ハンマー「どこから湧いてくるんだ……!」ドゴォン

G級太刀「ミラボレアスが全く見えないぞ!本当にいるのか……?!」

バサバサバサッ……

G級ガンス「……ちょっと待て。ガブラスの羽音に紛れて何か聞こえないか?」

G級大剣「……ああ、確かに……鳴き声がするな。……もしかして、ミラボレアス以外のモンスターか……?!」

------モンスターサイド------



バサバサバサバサバサッ……


ラギア「俺60匹いった!!」ドガッ

ナルガ「俺64ーー!!」ズガァン

ミツネ「僕は58」

ガムート「(私、83匹……)」ズシン……

ジンオウガ「あっ!ティガ戻ってきた!」


ドッシュンッ!

ティガ「……スゲェ!!どーなってんだよ……痛っ!」

ブラキ「どんどん増えるばかりだ、ガブラスが!!」


ニャンター「……ニャんということか……!」スタッ

ナルガ「ティガ!なんだよコイツ!!」

ニャンター「……皆、理性を持つモンスターニャのか?!」

ティガ「そう!俺のクラスメイト!!」

ニャンター「こんニャに多くいたニャんて!」

ブラキ「あ?言葉通じるの?」

ジンオウガ「なんかオトモアイルーみたいな格好じゃない?」


シャガル「貴様がアイルーの狩人か?!」バサッ

ミツネ「シャガル先生!」

ニャンター「そうニャが……貴殿、もしや天廻龍ニャ?!」

シャガル「そうだ。ティガレックスより話を聞いた!貴様から、黒龍の復活について示唆されたと!」

ニャンター「(古龍ニャど、生まれて初めて見たニャ……!ニャんと神々しく威厳のある存在ニャろうか……)」

シャガル「……その節については礼を言う。そして貴様はここに何をしに来た?!」

ニャンター「人間のハンターも、少数ニャがら出撃している!その一員として……そして、ミラボレアスを説得しろと言われ、この地に赴いたのニャ!」

シャガル「説得だと?!ニンゲンはまた愚かな考えを起こすものだな!」

ライゼクス「説得なんてできんのーー?!」バサッ

ニャンター「……申し訳ニャいが恐らく不可能ニャ!」

シャガル「だろうな!!我々の話ですら聞かぬであろう!」

ガムート「(ネガティブな内容をハキハキと話すなぁ~……)」ズドン……




リオレウス「アマデュラ様!遅くなり申し訳ございません!」バサッ

アマデュラ「いやご苦労。……注意しろ、人間も来ている」

リオレウス「ニンゲンも……!貴方様も標的にされてしまいます!」

アマデュラ「グラビモスにもそう言われた。よってこのように待機をしている」

リオレウス「黒龍の姿が見えるまでは、そうしたほうが賢明でしょう」

アマデュラ「いかにも。……しかし、1つ問題が生じている」

リオレウス「……どのような問題で?!」

アマデュラ「……退屈なのだ!」

リオレウス「!!!!!」

ムーファ「うわーん!怖いよー!」しくしく

ズワロポス「ガブラス十匹倒すので精一杯だ……!」ドスッ

リノプロス「到底、黒龍までに辿り着けそうにない……」ドゴッ

ポポ「……!」はっ

ポポ「せ、せん、先生、先生!!」

リモセトス「? なんでしょうか!」

ポポ「あれ、あれ!!後ろ……!」

リモセトス「……?」くるっ

リモセトス「!!」

大雷光虫「マズイデス、大変デス」フヨフヨ

ガーグァ「クコケェーーーー!!後ろからもガブラスの大群ですーーーー!!」


バサバサバサバサバサバサバサバサッ!!!


ブルファンゴ「ブルルルル……」ドドドド……

大雷光虫「駄目デス、ブルファンゴ君、一人デ突進ハ危険!!」フヨフヨ

リモセトス「ますます増えていく……!!」

ポポ「こっ、このままじゃ、前のみんなが黒龍に辿り着かない」

ポポ「僕たちが、後ろから来る、がっガブラスの大群を倒そう」

ポポ「そうすれば、前の方にいる、つっ……強いみんなの負担が減る!」

リモセトス「ポポ君……」

ケルビ「俺たちは黒龍を倒すんじゃなくて、雑魚清掃をするってことか」

リノプロス「……いいな。俺たちらしい戦い方だ」

リモセトス「そうですね……!無理に前線に向かうのではなく、後方で援護という形をとりましょう!」


ガララアジャラ「姉貴ーー!!俺たちもやろうぜ!」

水ガララ「家の外では先生と呼びなさいっ!……リモ先生、私たち蛇竜甲虫科もお手伝いします!」




大ティガ「黒!!……どういうことなの、これ!どうしてみんないるの?!」ドシュンッ

黒ティガ「姉ちゃん……!学校から矢文で招集かかったんだよ!!黒龍を倒すって!」ドガッ

冥ラギア「すごい!」

風ベリオ「ティガ君も来ています!もっと前線に!」ドガガ……

大ティガ「前線に……?!」

冥ラギア「大ちゃん、行こう!」ダッ

ディノバルド「(……まさか学校単位で集まるとは……)」ダッ




ニャンター「学び舎の生徒が全員来ているニャと?!」ズバッ

ティガ「いや全員ではねーな!半分くらい!」ドガッ

ニャンター「……きさ……貴殿が呼んだのか?」

ガムート「先生たちが私たちに声をかけたんだよー!」

ニャンター「先生か……。そして轟竜、首から下げているカバンはニャんだ?貴殿だけニャ、そんなものを下げているのは」

ライゼクス「俺もちょっと気になってた!!」

ラギア「黒ティガさんに持ってきてもらったやつ?!」

ティガ「うおっ、スゲー忘れてた!」ゴソゴソ……

ティガ「コレ!」スッ

ニャンター「……!!これは、貴殿に譲り渡したものニャぞ?!」

ティガ「うん!でもやっぱり受け取れねェし、会えると思っ……」


大ティガ「ティガっ!!!」ドシュンッ!

ティガ「!!」

大ティガ「……?!……アイルー……!!」

ニャンター「(大轟竜……!!)」ゾクッ

冥ラギア「……みんな、大丈夫かい?!黒龍は?!」

ジンオウガ「ガブラスの大群がすごくて……!!まだ見えていないんです!」

大ティガ「いないの?!黒龍……!!!」

ティガ「姉ちゃん、なんでここに?!」

冥ラギア「子供たちが奪われたんだ、黒龍に!!」

ディノバルド「詩にあった、世界の再生の原動力となる新たな命に……冥さんたちのお子さんが選ばれたんだ」

ティガ「なんだと………!!!?」

ミツネ「ディノ君……久しぶり。君も来てくれたんだね」

ディノバルド「…………リークの件、申し訳なかった。俺が馬鹿正直に、アグナコトル達に場所を教えたからだ」

ディノバルド「またお前たちに迷惑をかけてしまった……」

ミツネ「……その件、ディノ君は悪くないでしょ。君のせいだなんて、少しも思ってないから」

ディノバルド「……………」


クシャル「………ディノバルドか……?!」

ディノバルド「!……クシャルダオラ……」

クシャル「…………」

ディノバルド「すまん……大変な事が起きていると思って……」

ディノバルド「申し訳ない!過去の一件から、二度と顔を見せないつもりで学校を辞めたのに……!」

ラギア「…………」

クシャル「………なぜ謝る?」

ディノバルド「!」

クシャル「お前は強いからな。……共に、戦おう」

バサッ、バサッ……

シャガル「……アマデュラ様っ!!」

リオレウス「シャガル先生……ガブラスの数が、少しずつ減っていっています!」

アマデュラ「後衛の者が力を尽くしている。……遅れてモーランの兄弟もやってきて……ガブラスの数を減らしているのだ」

シャガル「……ガブラスの渦が晴れてきましたが……未だ黒龍の姿は見えません!」

アマデュラ「一度現れたが、また姿を潜めている。しかし……いますぐに、再び天へ昇るだろう」

------ハンターサイド------



バサバサバサバサバサッ……


G級ヘビィ「……気のせいじゃない。ガブラスの数が減った今、尚聞こえる」

G級弓「あぁ……いくつも聞こえる。他にもモンスターがいる……」

G級チャアク「……城を挟んで向こう側から聞こえるな……」

------モンスターサイド------



アマデュラ「……時だ。城に接近する」ズアッ!

リオレウス「アマデュラ様!……つ、ついに黒龍が……?」

シャガル「………!!」



白ラギア「わ……アマデュラ様が!」

アグナ「オルァ!!コルァァ!!喰らえフライパン……あ?」ドガッ、バキッ!

翠トトス「ハァ……やっぱり来なけりゃ良かったかも……」



ガルルガ「パープル・ガールぅ!!見て!アマデュラ様が動き出した……!」

紫ゲリョス「…………」

ガルルガ「ワァオ!スルーだね!」



ゴゴゴゴ……ゴゴゴゴゴゴ………

ズズズ………



子供たち「ワァァァーーーーン!!」

黒龍「………減らぬか」バサッ……

黒龍「……兵は、減らぬか……」ユラ……

キリン「……!!城の真上に、黒い雲の渦ができた……!!」

オオナズチ「いや~~~~ん」

ナナ「ふぅ……遂に来たみたいですわ」


桜レイア「ちょ!クスクス~~あたし帰りたいーー!!」

黒ディアブロス「……多分聞こえないわよ」

風ベリオ「……姿が見えそう……」

黒ティガ「やべ……ちょっと緊張するかも……」ドキドキ




アマデュラ「……随分ともったいつけたな、黒龍よ!」

ゴゴゴゴゴゴ……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

------ハンターサイド------



G級双剣「出たっ!!」

G級片手剣「……待て!!ミラボレアスか、あれ?!」

G級弓「……黒くねェな……?」

G級ハンマー「うわっ!!あいつの足元見ろ!」

G級チャアク「!!……城の向こう側にいる!!なんだ?!あの大きさは!!!」

G級ヘビィ「ミラボレアスじゃない!!!見たこともないモンスターだ!!」

------モンスターサイド------



ニャンター「…………!!これは……!!」

ニャンター「飛行船から見えた、巨大な蛇ニャ?!」

ティガ「見えたのか!……すげェ先生だよ、俺たち、あの背中に乗って学校から来たんだ」

ニャンター「ニャんという大きさニャ?!聞いたこともニャいぞ!!」

ラギア「へっへーん、すげーだろ!440メートルもあるんだぜ!!」

ライゼクス「なんでお前が誇らしそうなんだよ」

大ティガ「こ、子供たち……!子供たちは?!」



黒龍「……アマデュラあああああ……!」バサッ!!


塔学校一同「「「!!!!!!!」」」



アマデュラ「黒龍……!!久方ぶりだな!1000年前と変わらぬ姿だ!!」

黒龍「貴様が生きているとはな……余の言った通りだ。1000年経っても世界は変わらぬではないか……」

子供たち「ギャーーーン!!」



ティガ「おっ……!!お知り合い?!」

シャガル「あのお二方は、1000年以上も昔からの相識だ」バサッ

ラギア「仲良しかな?!」

リオレウス「そうだったら、こんなことにはなっていないだろうな」バサッ

大ティガ「ああ!子供たちだ!!」

冥ラギア「みんな無事みたいだ……!」

ライゼクス「揺り籠ごと宙に浮いてる……どういう原理だアレ……」



テオ「……ニンゲン臭いな。何人いる?」

ナナ「ニンゲンも敵かしら?」



パスッ……ズパパパパ……


キリン「ニンゲンが撃ってきてる!!アマデュラ様も標的にしているみたい!!」

オオナズチ「やな感じ!」



ニャンター「ハンターたちニャ!……ガブラスの群れが晴れ、あの大蛇(おおへび)にも攻撃を仕掛け始めたニャ!!」

ニャンター「……止めに入るニャ!!城の向こう側に行く!」

ガムート「城を超えるの?!危ないんじゃないかな……」

ティガ「俺が連れてく!」

ニャンター「駄目ニャ!貴殿も標的にされる!!オレ一人で行くニャ!!」

ティガ「……じゃあ、俺が吹っ飛ばすよ!!」

ミツネ「吹っ飛ば……?!」

ライゼクス「ぜってーあぶねーぞ!!?」

ニャンター「……頼むニャ!!」

ティガ「おう!!……ダテに普段から巨大ミートボール飛ばしてねェんだぜ、俺はーー!!」グワァッ!!

ズッバアァァァァァァン……

ニャンター「ニャーーーーーー……」ヒュゥゥゥゥゥゥ……

ラギア「……すげーー。黒龍の頭の上、通過してったぞ……」

------ハンターサイド------



G級ヘビィ「遠距離すぎる!さすがにきつい!!」ズパパパパ……

G級弓「やっぱり城の頂上に登った方が良いな……!」シュパパ……

G級ハンマー「ガブラスの群れはほとんどいない!!登れるぞ……!」

ヒュゥゥゥゥゥゥン
シュタッ!

ニャンター「ハァッ……大蛇への攻撃を止めるのニャ!!」

G級チャアク「オッ?!何だ、オトモアイルー?!」

ニャンター「オレはニャンター!!訳あって、モンスターの言語を話す!あの大蛇は敵ではニャい!!攻撃を止めるのニャ!!」

G級太刀「敵ではないって……なんなんだ、あのモンスターは!!」

G級双剣「規格外の大きさだ!!討伐しておいたほうが……」

ニャンター「良く聞け!モンスターも兵を出し、今この城の向こう側で戦っているニャ!!」

G級片手剣「モンスターの兵だと?!そんな馬鹿な話があるか!」

ニャンター「偽りではニャい!……ミラボレアスを討とうと団結しているのニャ!!」

G級大剣「ミラボレアスを討つ?!」

ニャンター「そうニャ!!良く考えろ、敵の敵は味方ニャ!!」

------モンスターサイド------



黒龍「……この醜い群れはなんだ。お主の学校とやらの生徒たちか?」

アマデュラ「醜いという一言で片付けられては困るな」

黒龍「1000年、よくものうのうと生きていたな。お主一人では余に勝てぬからといい、兵を育てたつもりか」

アマデュラ「……結果としてはそうなった」

アマデュラ「1000年前のように、貴様に好き勝手はさせぬ。こうして尊い意志が集結し、今度こそ貴様を殺す!」

黒龍「醜い存在を幾つ集めても無駄だ!……1000年前はシュレイド王国を滅ぼすのみで留めたが……今日は違う」

黒龍「破壊と創造を行う」

スゥゥゥゥゥゥ………
ガキャアアアァァァァァン…………!!

ブワッ


ミツネ「うっ………!なんて咆哮だ……」ズドンッ

ガムート「………!!」ガクッ

ラギア「うお……衝撃波みてぇ……」フラッ

アマデュラ「…………」ガッ!

ブワッ

ブラキ「跳んだ!」

スゥゥゥゥゥゥ……
ゴアアアアアアァァァァン………

ライゼクス「アマデュラ様……口でかっ!!」ビリビリ……

シャガル「ぶ、無礼だぞ!」ビリビリ……



黒龍「!!!!」

バクン……


蒼レウス「………えっ!!!」

ナルガ「アマデュラ様が、黒龍を……」

クシャル「口に含んだ……!!?」

------------



G級双剣「うわ!!あの大蛇、跳んだあとにミラボレアスを食ったぞ!!」

G級大剣「ひ、一口だ!!」

G級ヘビィ「……まずい。下がれ!!!!大蛇が落ちてくる!!!」

ニャンター「大蛇……!」


ヒュゥゥゥゥゥゥ………


G級ガンス「ニャンター、君もだ!!」ぐいっ

G級ハンマー「下がれ下がれーーーー!!!」バタバタ……





ヒュゥゥゥゥゥゥ………

……ドッッゴオオオオオオオオオオン!!
パラ、パラ……



シャガル「あ、アマデュラ様ーーーー!!」バサッ

ティガ「ゲホッ……ど、どーなった?!」


シュー、シュー……


リオレウス「……城が砕けた……?」

ジンオウガ「城に落下かー……城、もしかして全壊した?」むくり

ゴマ「埃臭いです……クシュン!!」

蒼レウス「煙がすごくてよく見えないでござる~」

大ティガ「!!!」シュバッ

子供たち「ギャアイーーーン……」ヒューーーン……

冥ラギア「子供たちが!!」ダッ

ライゼクス「うわーー?!揺り籠が回転しながらめっちゃ飛んでる!!」ぎょっ

ティガ「うおーーー!!あれはヤバイ!!城の向こう側に落ちるーー!!」シュバッ


大ティガ「(間に合って……!!)」ビュウウ……

冥ラギア「あああああ落ちるーー!!!」ズドドド……

子供たち「わーーーーーーん……」グルグルグルグル……


大ティガ「う……!!落ち……」

ティガ「クソッ!!」

冥ラギア「間に合……」


……ガシッ!!


ニャンター「……ゲホッ!!……受け止めたニャ!!」

大ティガ「……………!!」ドシュンッ

冥ラギア「……!!」

ティガ「ニャンターさーーーん!!!!」ドシュンッ

シュー、シュー……

シャガル「……煙が……!!アマデュラ様!アマデュラ様ーー!!」バサッ、バサッ

アマデュラ「…………」

リオレウス「死ん………?!」バサッ!

シャガル「っ!!……頭蓋に穴が……!黒龍を口に含んだ瞬間、口の中から攻撃されたのか……?!!」



ジエン「ぬん………見えたかぬ……兄弟……」

ダレン「うーーーーーむ……アマデュラ様……なんという暴挙を……」

リオレイア「怪我人は?!城の倒壊に巻き込まれた者は?!」バサッ!



G級ヘビィ「……ううっ……みんな、無事か……?」むくっ

G級ランス「無……うおーーーーー!!」ビクッ!!

G級ハンマー「だ、だだだ大轟竜!!!」

G級太刀「冥海竜もいるぞ!!轟竜もだ!!!」

ニャンター「恐れるニャ!!……敵ではニャい!!」

ニャンター「……き……貴女の子らか。……受け止めたニャ」スッ

子供たち「ヒーーン……ヒーーン……」ぐったり

大ティガ「…………あ、あなたは……」

ニャンター「……い、今は……何も言う必要はニャい……」

ニャンター「…………」ドクン、ドクン……

G級片手剣「本当か……?君、本当にモンスターと会話を……」

G級ガンス「………煙が晴れた……見ろよ、あっち……」

G級大剣「……モンスターの大群だ……古龍もいる」



ガムート「アマデュラ様……きゃー!!死んでる!!!」ガラガラ……

ミツネ「わあっ!!し、白目むいてる……」バタバタ…

ラギア「……黒龍は?!口の中に入ったまま?!」バタバタ…



ゴウン……

シャガル「アマデュラ様……!」

ゴウン……

リオレウス「……何の音だ……?」

ゴウン……ゴウン……
ドク、ドク、ドク……

ライゼクス「アマデュラ様の口から、光が漏れてる……」


クククク………
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン……

……ドゴォーーーーーーーン!!


一同「「「!!!!!」」」

シャガル「黒龍!!……あんな高いところまで、一気に……!」



黒龍「……憤ろしいーーーーー!!!」バサッ!!

黒龍「……ふざけた真似を……余を口に含むとは、なんたる屈辱か……」バサッ、バサッ

黒龍「クククク……最早、冷静ではいられぬ」

黒龍「……天地を……砕かん!!!!!」バサッ!!

ガギャアアアアアアン……!!


キリン「おっ、怒っちゃった……」ビリビリ

オオナズチ「……ここから本番かぁ~……」ビリビリ



シャガル「……砕かせはしない!!!!」バサッ

シャガル「世界を守り抜く!!!いまこの時、貴様の命は底を見せるのだ!!!」


スゥゥゥゥゥゥーーッ……
……ゴガァァァァァァァン!!



ハンターたち「!!!!!」ガクン……

ハンターたち「…………」ビリビリ……

G級弓「(何という音量………)」

G級ランス「(モンスター全員の咆哮、この距離でも鼓膜が破れそうだ……)」

ニャンター「………くっ……」ガクガク……

ティガ「ニャンターさん、俺たちと戦おう!!」

ニャンター「………!!」

ティガ「戻るぞ、みんなの所に!!」ガシッ

白ラギア「(ミッくんたち……前線のクラス、大丈夫かな……)」

アグナ「くっそーー!!もう、どのクラスが前線とかカンケーないよな!!おいガルルガー!!」

ガルルガ「よし!!オレっちたちも前線に行こう!!……パープル・ガール!!オレっちのことだけ見てて!!」バサッ!

アグナ「……ミド!!俺、行ってくる!!」

翠トトス「えっ……」



ドシュンッ

ティガ「……俺ら、オストガロアの時、何もできなかった」

ラギア「おォ。……今度こそは、俺たちもちゃんと最後までいよう」

ティガ「今回も、轟の名に恥じねェ活躍をしてやるぜ」

ライゼクス「……俺も、電の名に……」

ラギア「おう!デン!」

ティガ「デーーンww」

ライゼクス「やっぱヤダ!!」

アグナ「……あ!イビルジョーをフライパンで瞬殺したディノバルドさんだ!!」ドタドタ

ディノバルド「?!」

ガムート「えっ!そうだったっけ?」

ディノバルド「………いや、あの時ガムートもいただろう……?」

ミツネ「(一体なにがどうなったら、ディノ君がイビルジョーをフライパンで瞬殺したことになるんだろう……)」

ニャンター「………轟竜。旦那さんの形見の武器を持ってきてくれて礼を言う」

ティガ「礼なんてのは後でな!!……降りてくるぞーー、一斉にかかれ!!」

ワアァァァァァァァ……

------数十分後------



ドゴォーーーーーン……
ズドォン……ドドド…………



リオレイア「……ダメだった……亡くなってる……これで二人目……」

リモセトス「………二人も……」


ガララ「……ふーーっ、ふーーっ……新しい怪我人!!吐血と……多分骨折も!!」ズルズル、ドサッ

ポポ「し、止血剤……!」スッ

桃バサル「ヒューー……ヒューー……」

リオレイア「バサルモス亜種さん……!!」

桃バサル「先生……ヒューッ……」

リオレイア「喋ったらダメ!」

桃バサル「前線……前線のほう……すごいことに……」ガクガク……

リオレイア「………!」




シャガル「ゴア!!だからウイルスは駄目だ、撒くなと言っただろう!!」ドゴッ

ゴマ「……フフフ……癖です……残、酷」ズバァン

キリン「(この人怖いっ!)」バチバチッ……

黒龍「………」ズガァン!!

ティガ「ピンピンしてるな……」

黒ティガ「……コイツ……マジで死ぬのか?」ドゴォ……

冥ラギア「僕たちが負けたら、世界を壊して黒龍は祖龍になる。……なにがなんでも、今のまま殺さないと……」ドゴォンッ



アグナ「強ぇーな、メインモンス科の連中」ガァンッ

ガルルガ「さすがにな!……でもオレっちたちも、フライパンのおかげか貢献できてるぜーー!!」ゴォンッ



ミツネ「(……最前線にいるメンバーも、どんどん負傷して後ろに下がってる……)」

ミツネ「(メインモンス科で残っているのはディノ君と先生含め9人)」

ミツネ「(古龍科は、まだ一応全員残ってるけど……)」

ミツネ「(このまま減ってしまってはダメだ……!!)」ズガァン



ナナ「城が全壊して、視界は開けたけれど……」バサッ

ナナ「ガレキが邪魔で動き辛そう。翼がないお方は大変ですわね」ズガガ……

テオ「そうだな。……しかしよく生き残っているな、メインモンス科の者たちも……」

ニャンター「ハァッ、ハァ……」ズバッ

ニャンター「(攻撃に、大きな隙がニャい……)」

ニャンター「(皆、避けるので精一杯ニャ)」

ニャンター「(小さな攻撃こそできるが大技を撃ち込むのは難しいニャ……!)」ズババ……



子供たち「…………」ボーゼン

大ティガ「(……間違いない……あの子は、あの時のアイルー……)」

大ティガ「(……持っている武器はどう考えても、父さんの素材……)」

大ティガ「(……なにを考えて、ここにいるのかしら……)」



G級ヘビィ「(あの大轟竜、子供たちを匿いながら離れた位置にいるな……)」ドズゥン、ズドォン…

G級ガンス「(ハンターはもう三人も死んだ……!)」ガガガ…

G級弓「(近接は難しいだろうな……一つ一つの攻撃が大きく、そして重すぎる!!)」シュババ…

黒龍「…………」グワッ

ラギア「……どぅおおおおおおおおっ!!」

ライゼクス「……やべーーーーーー!!」

ティガ「……ブ!!」

ミツネ「レ」

ガムート「スッ!!」

アグナ「く!」

ガルルガ「るーーーーーー!!」

クシャル「まずい……!!」


グオオオオオオオオオォォォォ……

一同「「「しぬーーーーーーー!!!!」」」

オオオオオオオオオオォォォォ……


ミツネ「………!!」はっ

ティガ「……あれ?」


アグナ「………おおっ!」

ガルルガ「……イエーーーーーイ!!このフライパン、スゲーー!!」


ディノバルド「……フライパンで、ブレスをガードしたのか……?」むくっ

ライゼクス「う、うそだろーーーー?!!!」バサッ

ミツネ「あの二人……!」

黒龍「…………」ユラッ

アグナ「お」ヒュッ

ガルルガ「あ」ヒュッ


ライゼクス「……尻尾!!!あぶねーーー!!」


……ズパァンンン………!!!


アグナ「………!!!」ヒュー…

ガルルガ「………」ヒュー…



冥ラギア「…………あ、呆気ない……!」

ラギア「尻尾の一振りで、あんなに吹っ飛んだ……」

ミツネ「(……死んだろうな……)」



黒龍「…………」

黒龍「………」

黒龍「………何故、歯向かうのだ」ドゴォオ……


一同「…………」


黒龍「……何故そこまで余の邪魔を……破壊の邪魔をする?」

リオレウス「……聞かなくてはわからないことですかね?」バサッ、バサッ

シャガル「この場の全員、貴様の考えには同調しかねるのだ」バサッ……

黒龍「……ククク……」ドゴォン!


ニャンター「…………」

ニャンター「(旦那さん……!オレは、何もできニャいのか?!)」

ニャンター「………っ」ピョン!

タタタ……

ティガ「!!……ニャンターさん!どこ行くんだよ!」

ガムート「が、ガレキの山を登ってっちゃった……」

ラギア「何する気だ?!」



ニャンター「……黒龍!!!!」シュタッ

黒龍「…………」ゴオオ……

ニャンター「……オレは貴様に問う!……何故そこまで破壊をするのニャ?!!!」

黒龍「…………」スッ


リオレウス「?!……黒龍が、攻撃を中止したぞ……」


黒龍「………気味の悪い生き物め」

ニャンター「…………」ドクン……

黒龍「……人間でもモンスターでも、何者でもない小さき者よ」

黒龍「中立の立場になったつもりか?」

ニャンター「……そんなつもりはニャい!貴様の破壊を止めたいのニャ!!」

黒龍「……………お主は勘違いをしている」

黒龍「余の破壊には意味があるのだ。ただ己の衝動のままに破壊を行う訳ではないのだぞ」

黒龍「この醜き世界を一旦終わらせ、再び新世界を創造する。それの何が気に食わない?」


シャガル「(……やはり根本的に……話の通じる相手ではない……)」ゾクッ


ニャンター「……貴様が何をもってこの世界を醜いと考えるのかは知らニャいが……」

ニャンター「我々には我々なりの生き方がある。それを、ただ醜いという理由だけで壊されることには……賛同しかねるのニャ!!」

黒龍「お主の言う『我々』とは誰か?人間たちか?モンスターたちか?」

ニャンター「………オレはどちらでもニャい!」

黒龍「……全ての生命の意見を代弁しているつもりなのだな。……お主の考えは理解した」

ニャンター「…………」

黒龍「その小ささで、余と話をしようという勇気を汲んでやってもよい」

ニャンター「!!」

シャガル「………?!」


大ティガ「アイルー……」


黒龍「……余は世界の全てを破壊したのち、祖龍へと変わり新世界の創造を開始する。その際、新たなる生命を頂戴し……その力を創造へ利する」

ニャンター「……新たなる生命……」

黒龍「……しかし現在この場で立ち上がっている者のみ、新世界の先導者として迎える」

ニャンター「………?」

黒龍「現在の世界に新世界を上書きする。いま祖龍へと成ろう」

黒龍「…………」ギョロッ


大ティガ「!!!」ゾワッ!

大ティガ「(……まさか……)」


ライゼクス「よ、よく話がわかんねェ……」

ミツネ「……僕にもよくわからない……」

黒龍「あの新しい生命を、今すぐ余に渡せ」


ディノバルド「……なんて……」

冥ラギア「……ここにいる僕たちだけのことは助けてやるから……いま子供たちを渡せってことか……」

黒ティガ「………頭イッてんな……」


黒龍「どう決断する?赤子を差し出す代わりにお主とお主の友人が救われる道か……」

黒龍「このまま限界まで破壊に抵抗し、しかし結局、皆一様に死んでいく道か」

ニャンター「………(大轟竜の子を……差し出す……?!)」ドクン、ドクン……

黒龍「………クク、揺らいだな」

……ブワッ!!

ニャンター「!!!!!!」ゴウッ


ティガ「……ニャンターさん!!!!」シュバッ!!

黒ティガ「あっ、おい……!」

ニャンター「(……オレは……)」ヒュウウ……


ガムート「風圧で飛ばされた……落ちちゃうっ!!」


ニャンター「(……何を考えたのニャ……?)」ヒュウウ……

ティガ「………うおおおおおおお」バッ……

ガッ!

ニャンター「……!」

ティガ「……間に合った!ニャンターさん、またキャッチ!!」




…… ド ス ン …………

冥ラギア「……大ちゃん!!」


大ティガ「………!!」ブルブル…

黒龍「…………」ギロ…

子供たち「……ワァァァーーーーン!!」

黒龍「……必要な犠牲だとは思わないか?」

大ティガ「……全くもって思わないわ……」ガクガク…

黒龍「…………残念だ……」グワッ


冥ラギア「……やめろ、子供たちは……!!」バッ!

黒ティガ「!!!」バッ

ティガ「姉ちゃん!!!!」

ニャンター「…………っ!」


ズガァン!!!


大ティガ「…………」グラ……ドサッ

黒ティガ「………!!姉ちゃん……姉ちゃーーーーん!!!」ユサユサ

ティガ「も……モロ食らったぞ……」

冥ラギア「………そんな……」


黒龍「…………新しい生命を頂戴する。……いま祖龍へと……」ゴゴゴゴ……





…………………………メキッ………………



黒龍「…………?」ピタッ

一同「………………」



バキッ……ベキッ……バキバキッ………



紫キリン「……何の音だ?」

オオナズチ「……なんだろ……?」


シャガル「…………!!……あ」

リオレウス「……アマデュラ様の体が……!!」


ベキベキッ……メキメキメキメキメキッ!!


???「…………」ユラッ……


ラギア「アマデュラ様……?!死んだかと……」

ミツネ「……脱皮……?」

ガムート「な、なんか変だよ……赤いよ……?」

ライゼクス「ああ……白かった身体が……赤くなってる……」


???「…………」


黒龍「……なんの……つもりか……!!」


???「………私が『新しい命』だ」

黒龍「…………ダラ・アマデュラ…………!!」

???「………私はダラ・アマデュラではない」

???「ダラ・アマデュラ亜種として、再び生を受けた……」


リオレウス「亜種……?!」

シャガル「じゃ……『蛇帝龍』!!!」


???(帝アマデュラ)「……この世で最も新しい命だ」

帝アマデュラ「その赤子ではない。新世界の創造には私の命を使うがよい」

黒龍「………」

帝アマデュラ「……貴様に使えるのなら……の、話であるがな」

黒龍「………」ポイッ

ドサッ

子供たち「ギャーーーン!!」

冥ラギア「こ、子供たちを離してくれた……」

黒ティガ「姉ちゃん!!!……死ぬな、姉ちゃん!!」

ニャンター「………大轟竜……」

大ティガ「……う……」

ティガ「!!……姉ちゃん!!」



G級大剣「……どうなってんだ」ブルブル

G級太刀「……………」ガクガク……

黒龍「……お主は面白いな。死んだと思わされた。……騙された」

帝アマデュラ「一度死に、また生まれた……。ただそれだけだ」

黒龍「クククク……結局、一騎打ちとなるのか」

黒龍「実に面白い。お主の命を奪い、祖龍となり……」

黒龍「お主の作った学び舎である古塔に君臨し、新世界を創造しよう!!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ………
………ドゴォオオオォォォォォォン!!!!


一同「…………!!」ビリ、ビリ……


クシャル「……なんて光景だ」

ディノバルド「………手なんか……出せねェな……」

キリン「ラギア君……!どうなるの……?」タタッ

ラギア「キリンちゃん、よかった。無事だね……俺も、どうなるかわかんねェ……」

ゴマ「……我を生みし偉大なる者よ……小生たちは、いかに小さき存在なのでしょうね……」

シャガル「……そうだな……」


ドオオオオオオ……
ズオオオオオオオオオオッ……

ライゼクス「……何が起きているのかわかんねーな」

ミツネ「うん…………」

リオレウス「……何か隙ができれば、我々も加担できるが……」


ズドォン……ズドォン……


ガムート「!……何が降ってるの……?」

テオ「………隕石だ。アマデュラ様の力だ……」

ナナ「黒龍を狙って落ちているわ……尚更、近付けない」

ドゴォン……


黒ティガ「……姉ちゃん、血出てっから……動くな」

大ティガ「……子供たちは……?」

冥ラギア「無事だよ」

大ティガ「よかった……」

ニャンター「…………」

ニャンター「(オレは……大轟竜の子を差し出せと言われ、すぐに拒めニャかった)」

ニャンター「(あの大轟竜の子だからという理由で、拒めニャかった……)」

ニャンター「(そして黒龍が大轟竜に攻撃をしようとした時も、すぐに助けようとできニャかった)」

ニャンター「(……オレは、何を考えていた……やはり心の底で、大轟竜への憎しみが燻っているのニャ……)」

ニャンター「(……旦那さん。オレは愚か者ニャ)」ピョン!

ティガ「ニャンターさん!また何かする気か?!」

ニャンター「……オレは身体が小さい」

ニャンター「……あの大蛇の降らす隕石や……黒龍の攻撃を、ニャんとかすり抜けられるかも知れニャい」

ニャンター「……黒龍の体力は確実に落ちている。僅かに疲労が伺える」

ニャンター「隙を見て、弱点をつくニャ」バッ!

ティガ「おい!……死ぬぞ!!」


ピョンピョン……

ニャンター「(死のうが死なぬが関係ニャい……)」ピョンピョン

ニャンター「(オレは、何がしたい)」ピョンピョン


G級チャアク「ニャンター!!何処へ向かっているんだ?!」


ニャンター「(……殺したかった大轟竜……しかしもう、オレはハンターを辞めて……)」ピョンピョン

ニャンター「(憎しみに任せて殺戮を行い、憎しみの連鎖を繋げることはしニャいと思ったのに)」ピョンピョン

ニャンター「(いざ大轟竜が死にそうにニャった時……救う必要がニャいと、一瞬でも考えてしまった)」ピョンピョン


シャガル「……!あのアイルー!!」


ニャンター「(そう考えた自分が情けニャいと思う気持ちと、何も悪くニャいと思う気持ちが入り混じっている)」ピョンピョン


ガムート「ニャンター君っ?!危ない……!」

ミツネ「行ったらダメだ……!」


ニャンター「(……オレが今、黒龍に立ち向かおうとするのは……そんニャ気持ちを、誤魔化すためニャのか……)」ピョンピョン


ティガ「……………戻れェェーーーーーー!!!!」


ニャンター「(旦那さん、オレは……!!)」ピョンッ……!!



”……お前は最高の相棒だよ!”



ジャキン……ブワァッ!!

ズ バ ァ ……… ッ……


ニャンター「……………」


黒龍「………ヴ……………ッ………!!」ヨロッ

ニャンター「………っ」シュタッ

ニャンター「………いったニャ……?」ハァッ


帝アマデュラ「…………!?」

黒龍「う………う!!何奴か!!」ヨロ、ヨロ

黒龍「目を……!!目を抉られた!!!!!」ボタボタ……


クシャル「(……黒龍が正面しか向いていなかった一瞬の隙を狙って……)」

ディノバルド「(……横から飛び上がった瞬間に目だけを攻撃したのか……!!)」

ミツネ「(すごい……大きな隙ができた!!!!)」


シャガル「………今だ!!!!全員、最大限の攻撃を仕掛けろ!!!!」

ハンターたち「今だ!行くぞ!!」ジャキン!


ズッッッッ……ドゴォオオオオオオオオオオン!!!


黒龍「…………!!」グラッ

帝アマデュラ「……美しい」

黒龍「……アマ……デュラ……!!」グラグラ……

黒龍「……ハァーー、ハァーー……帝は……神より偉大だというのか……」グラグラ……

帝アマデュラ「……いいや」ブワッ!

……ドゴォーーーン!!メキメキメキッ!

黒龍「ううううううううううう………!!」メキメキ……ブシャアーーッ……

黒龍「………」ドサッ

帝アマデュラ「神など存在しない」




一同「……………」

シャガル「体が、真っ二つに引き裂かれた……」

リオレウス「………間違いなく、死にました……よね?」

帝アマデュラ「………」くるっ

帝アマデュラ「……死んだ。皆の者の強大な力により、黒龍ミラボレアスは討伐された」

一同「…………」

ガムート「………っ!!」ポロッ

ラギア「良かったーーーーーーー!!!!」

ライゼクス「やったぜーーーーー!!!!」


……ワァァアアアアア………

------約1時間後、同場所------



シャガル「……犠牲者は6名か……尊い命であったのに」

リオレイア「………」コクッ

シャガル「結果として黒龍は死んだが、6名も犠牲者を出してしまった」

シャガル「……私の責任だ。私が、兵を出すなどと言ったからだ」


ランポス「兄さん、兄さん……!」ポロポロ

ドスランポス「…………」

シャガル「……君の兄か。……申し訳ない」

シャガル「世界のために力を尽くしてくれた……しかし、死なせてしまった。申し訳ない……」

ランポス「うっ、う……兄さん……」

シャガル「……申し訳ない……許して貰おうとは思っていないが……」

ランポス「……ぐすっ、兄さんは……俺たちの群れのリーダーで……」

シャガル「………」

ランポス「……む、群れで一番強くて、正義感の強い、うっ……ひとだった」

ランポス「……正義感が強いから……今回も、世界のために戦った」

ランポス「兄さん……俺の誇りだった」

シャガル「………………………」

ポポ「………………」ぬりぬり

ティガ「……おうっ!……しみたぜ……」

ポポ「ごっ、ごめんよ……」ぬりぬり

ティガ「……いや」

ティガ「……お前らすげぇな。あのガブラスの大群、ほとんど倒したんだろ」

ポポ「……ぼ、僕たちは……弱いから……」

ティガ「……弱くねーよ」

ポポ「…………」

ティガ「エラそうで、調子いいって思うかも知れねェけど……あそこまで黒龍を追い詰めることができたのは」

ティガ「後衛のお前らのおかげだ」

ポポ「……」

ティガ「……ケガ人の手当てもして……なんつーか、すげぇよ。……ありがとう」

ポポ「………」

ティガ「……今まで、ごめんな」

ポポ「!」

ティガ「……どう償ったらいいかわかんねーけど……お前から取った金、時間かかってでも全額返すし」

ティガ「もう、馬鹿にしたりもしねぇから」

ポポ「……うん……」

白ラギア「うぇ~~~ん……うぇ~~~~ん……」ぐりぐり

ミツネ「……どうして手当てされている僕じゃなくて、している君が泣くのさ……」

白ラギア「だっで……ううっ、生きでるんだもん……」ぐりぐり

ミツネ「………」

白ラギア「ひっぐ……あだ、あだし、割とすぐ負傷しちゃって、ずっど後ろにいたのぉ……ずびっ」ぐりぐり

ミツネ「そうだね。知ってたよ」

白ラギア「えぇ……どうじで~~?うぇ~~ん…」ぐりぐり

ミツネ「心配だったから……時々、気にして見てた」

白ラギア「………ヴぇーーーーーん!!う、うぞだ~~~~!!ぐすっ」

ミツネ「……心外だな、その反応は……」

白ラギア「ミッぐん……あんな前線にいだのに……ズビッ、あだしのこと気にする余裕なんてないと思うもん……」ぐりぐり

ミツネ「………」

ミツネ「……ふぅっ」

白ラギア「うぇ~~~ん……ミッぐん……うう……」

ミツネ「……僕さ、白ちゃんが好きだよ」

白ラギア「………え?……ズビッ!」

ミツネ「わかりにくくてごめんね。……不安にさせてたね」

白ラギア「……うわぁぁぁぁぁん!!ミッぐんーーー!!」ガバーッ!!

ガムート「……包帯ありがとう、えーっと、フルフル閣下」

フルフル「いいえー。こちらこそありがとう、やっつけてくれて」フゴフゴ

オオナズチ「わー、ガムちゃん……包帯で鼻がぐるぐる巻きだね~~……大丈夫?」

ガムート「大丈夫!ナズっちは、そんなに大した怪我がなくてよかった。さすが古龍だね」

オオナズチ「えへへー」

ディノバルド「……すまん。俺なんかまで治療してもらって」

クシャル「……なぜそんな言い方をする?」

ディノバルド「………後ろめたくてな……」

クシャル「……確かに偉い目に合わされたが、もう許したことだ。学校まで辞めることはなかったんじゃないか?」

ディノバルド「いや……合わせる顔がないと思っていた」

キリン「……気にしすぎだよ……戻ってきたらいいのに……」

ディノバルド「……戻るつもりはない」

キリン「もし、学校そのものが嫌で戻りたくないなら無理にとは言わないけど……私たちに負い目を感じているだけなのなら、気にすることないよ」

ラギア「んーーキリンちゃんの言う通り!!キリンちゃん優しい?」ぎゅうっ

キリン「ら、ラギア君っ!もー、みんなの前ではやめてよっ!」

クシャル「………」フッ

クシャル「(……キリン……幸せそうだ)」

ナルガ「俺たちも頑張ったよなーー最後は負傷して後衛に下がっちゃったけど!!」

蒼レウス「そうでござる~~他のみんなが最後までやってくれてよかったでござる~」

ブラキ「でもちょっと俺たちダサいよな!ハハハ!」

ナルガ「悔しいな!」

ジンオウガ「アマデュラ様が一回死んじゃったときは、ビビったよね~!」

ブラキ「な!いきなり死んだから状況が飲み込めなかったわ!」

ハハハハハハ……

ナルガ「……ところで、あそこで抱き合ったままブッ転がっているのは……」

ジンオウガ「ライゼクスと桜レイアさんだね!」



ライゼクス「……はー、桜ちん……俺生きてるよ……」

桜レイア「良かった、クスクス……ちょーかっこよかったよ」

ライゼクス「だろ?……惚れ直しました?」

桜レイア「一秒間に十万回の割合で惚れ直した?」

ライゼクス「まあ俺は一秒間に千兆回の割合で桜ちんに惚れ直したけどね!」

桜レイア「バカ?」

リオレウス「アマデュラ様!!……ご無事でなにより……!」バサッ

帝アマデュラ「ああ。貴殿もよく戦ってくれた」

リオレウス「一度死なれた時は、驚きました……なぜあのような行動に……?」

帝アマデュラ「……死ぬ必要があった。あの赤子の為だ」

リオレウス「……赤子の……」

帝アマデュラ「……黒龍……その表皮は実に凶悪な味であった。二度と口に含みたくないと感じる!」

リオレウス「!!!!!」



翠トトス「全治20ヶ月」

翠トトス「……だってさ。アンタたち」

アグナ「………」

ガルルガ「………」

紅ガノス「(二人とも、目と口以外は全身包帯で巻かれてるの……笑える~~!!)」ぷぷ……

翠トトス「……頭蓋骨陥没骨折、肋骨複雑骨折」

翠トトス「尾骨粉砕骨折、脳震盪etc」

翠トトス「……良く生きてるわね……」

アグナ「俺もそう思う」

ガルルガ「ケケケッ!ラッキー・ボーイズ!」

翠トトス「本当にものすごい大怪我だけど、時間かければ治るって。よかったね」

翠トトス「(ちょっとカッコいいって思わされたわよ!)」

アグナ「……ミド。お前は全治何ヶ月だ」

翠トトス「大したことない。4ヶ月くらい」

アグナ「……大怪我じゃねぇか」

翠トトス「一人で包帯を100メートルも使ったアンタには言われたくないわよ」

ガルルガ「ブッ、ケケケケ!!100メートルとかスーパーウケるな」

紫ゲリョス「……ガル君……」そろり

ガルルガ「!!!パーーーーーープル・ガァーーーーーール!!!」

紫ゲリョス「大丈夫……?……黒龍のブレスをガードしてたの、凄かった……」

ガルルガ「だよね!!?パープル・ガール、オレっちたちやり直そう!!」

紫ゲリョス「うん……」

ガルルガ「ウワァーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」



ナナ「馬鹿が増えた気がするわ」

テオ「ああ……でも、皆強く、素晴らしかった」

ナナ「……そうね……」

ナナ「……!!……あのお方は……伝説の冥ラギアクルス!!」

冥ラギア「え?僕?」くるっ

子供たち「キャッキャッ」

ナナ「入学から卒業まで、学校トップの座を誰にも譲らなかった……45回連続トップのために、3回も表彰されたお方!」

テオ「……在学期間の被っていた約一年間、ナナが絶対に超えることのできなかった方か……まさか、この場で会えるとは」

ナナ「お会いできて光栄ですわ」

冥ラギア「はっはっはっ、古龍科の子にそんな風に言われるなんてね~!」テレテレ

ゴマ「……悪霊退散!」バッ

翠トトス「はっ?!……なにするの?!」ザラザラーッ…

ゴマ「……怨念……邪悪な怨念……」パサパサ…

翠トトス「ゴホッ、ゴホッ!やめて!変なもの撒かないで……」

ゴマ「……この者たち、腹が暗黒色をしている!」

アグナ「……腹黒ってこと?」

ゴマ「凄まじい怨念……!性悪……!小生が浄化せねば……!」ザラザラ…

翠トトス「……しょっぱい?!なにこれ、塩?!」

紅ガノス「……ぷぷーーーっ!」

紅ガノス「(みどち、性格悪過ぎて塩撒かれてる!笑える~……)」

翠トトス「いや~~!!」


ミツネ「……あの塩、多分ものすごく効くよ」

白ラギア「あんなの大恥だよ……みんなの前でなんて……」

ミツネ「庇いに行くかい?」

白ラギア「んーー……ちょっと、いい気味かも……」

ミツネ「ははは!」

G級大剣「……双剣と、片手剣とハンマーは逝ってしまった……」

G級ヘビィ「……残念だ。しかし……正直、もっと失うと思った」

G級チャアク「モンスターの兵が無ければ、きっと……俺らは全滅していただろうな」

G級ランス「そうだな。……全て、あのモンスター達の兵と……そして、君のおかげだ」

ニャンター「…………」

ニャンター「……違うニャ。この場にいる全ての存在が有ったからニャ……オレは、何もしていない」

G級弓「嘘みたいな光景だ……あのように様々なモンスター達が輪を作り……お互いを労わっているなど」

G級ガンス「……俺たちにも興味を示していないしな……」


……ザッ……

ニャンター「………!」ビクッ!

ハンターたち「?!」

大ティガ「…………」

黒ティガ「…………」

ニャンター「………」ドクン、ドクン……


”あなたも……私の父と母を殺した?”


ニャンター「……大……轟竜……」ドクン、ドクン……

ニャンター「………右目を………どうしたのニャ………?」

大ティガ「……失明したのよ、黒龍の攻撃が当たってね。……むしろ失明だけで済んだのは運が良いの」

大ティガ「……その武器、あのときに私が殺したハンターの装備から作ったのでしょう?」

ニャンター「…………」コクン

黒ティガ「……マジで、親父の素材だ……」

大ティガ「……あなたとティガが接触したことを察した時、驚いたわ」

ニャンター「…………」

大ティガ「……あなたは……私のことをどう思ってる?」

黒ティガ「…………」

ティガ「……姉ちゃん!」ドス、ドス……

ニャンター「………に……」

ニャンター「…………憎くて憎くてたまらニャかった……」

ニャンター「……殺したかったニャ。貴女だけではニャい、貴女の家族も全員殺したかったニャ」

大ティガ「………そうよね」

ティガ「………」

大ティガ「私を殺したいと思うのは、至極当然の心だと思う」

ニャンター「貴女の弟は言った。……貴女らの両親を殺したのはあくまでオレの旦那さんであって、オレではニャい。だから、オレを憎まニャいと」

ニャンター「……よって、オレは……貴女の家族を憎むのは筋違いだと気付いたニャ」

ティガ「……うん」

ニャンター「そして、もう憎しみにより殺戮を行うことは間違っていると思い……貴女を殺すことも考えニャいようにした」

大ティガ「…………」

ニャンター「……しかし、いざ……黒龍に貴女の子らを差し出せと言われた時に、すぐに拒めニャい自分がいた」

ニャンター「更に、黒龍から貴女を救うことにも、一瞬躊躇ってしまったニャ……」

ニャンター「…………」

大ティガ「何もおかしくないわ」

黒ティガ「姉ちゃん……」

大ティガ「何もおかしくない。……私がもし同じ立場で同じ状況なら……そうすると思う」

ニャンター「…………」

大ティガ「私への憎しみを、無理に忘れようとしなくてもいい」

大ティガ「……私も同じだもの。両親を殺したあなたの旦那さんが、憎くて憎くて仕方なかった」

大ティガ「だから、殺した」

ティガ「姉ちゃん……ニャンターさんの旦那さんが親父たちを殺した本人だって、すぐわかったんだな……」

大ティガ「…………」コクッ

大ティガ「もう何年経つかな。まだ学生だったあの日の私は、たまたま……たまたま塔の頂にいた。放課後で、生徒はほとんど残っていなかった」

大ティガ「なんとなく、帰りたくなかった。そんな気持ちで塔の頂にいて……たまたま、塔の麓を覗き込んだら」

大ティガ「あなたと、あなたの旦那さんがいた。……装備を見て、すぐにわかった」

ニャンター「……古塔への人間の接近は禁止されていたのニャが……旦那さんとオレは樹海で迷い、たまたま古塔の側まで行ってしまったのニャ」

ニャンター「頂を見上げると、貴女がいたニャ。オレは旦那さんに言ったニャ、『離れよう』と」

ニャンター「しかし旦那さんは何かに導かれるように……片腕を駆使して塔の外壁を登り、頂へたどり着き……」

ニャンター「そして、死んだニャ」

ニャンター「………………」

大ティガ「…………………」

大ティガ「……私は両親の仇を討った。そして今度はあなたが仇を討つ番」

大ティガ「あなたが私を殺したいなら、なんなりと受け入れるわ」

黒ティガ「おい、姉ちゃん……!まだ子供が生まれたばかりだっつぅのに!!」

大ティガ「……ニャンター君。どうしたい?」

ニャンター「…………」ドクン、ドクン…

ニャンター「…………」ドクン、ドクン…

ニャンター「………今日は……止めておくニャ……」ドクン、ドクン…

大ティガ「………」

ニャンター「……いつか、再び会うことがあったら……その時に、貴女を殺すかを考えさせていただくニャ……」

ティガ「…………」

大ティガ「……そう。わかった、いつあなたと再会してもいいように……心しておくわ」

ニャンター「……………」

大ティガ「一つ、あなたに礼を言うわね」

大ティガ「………揺り籠が落ちたとき、受け止めてくれて……子供たちのことを救ってくれて、ありがとう」くるっ

ドス、ドス……

黒ティガ「……姉ちゃん、待てよ……」ドス、ドス…

ニャンター「(……あれは、ただ反射的に受け止めただけニャ……礼を言われることニャどニャいのに……)」

ティガ「………ニャンターさん」

ニャンター「……貴殿も、仲間のところに戻るといいニャ」

ティガ「………ニャンターさん。ありがとう」

ニャンター「……?」

ティガ「……俺たちがいま生きているのは、ニャンターさんのおかげだと思ってる」



ざわ……ざわ……

シャガル「……皆々!………話がある、静粛にしてくれないか」

帝アマデュラ「………」

リオレウス「…………」

一同「…………」

シャガル「……今回、黒龍を討とうという突拍子も無い矢文を送ったにも関わらず……力を貸してくれた生徒たち、教員たち……その全てに、心より感謝している」

シャガル「……黒龍が復活することが判明した理由は、我々の一人の仲間にある」

シャガル「…………」バッ!


ナナ「……先生、何を手に持っているのかしら……?」


シャガル「古龍科の生徒であったラオシャンロンが、その死をもって黒龍の復活を示唆した!!」

ざわっ

オオナズチ「ええ……!!死って……?!!」

テオ「……どういうことだ……?」

シャガル「ラオシャンロンは我々の前から姿を消し、黒龍の復活を恐れ、逃げたのだ。……偶然ニンゲンの街に進行し、それを襲撃だと捉えたハンターたちによって狩られたのだ!!」

どよっ
ざわざわ……

紫キリン「……なんてことだ……!!」

ナナ「ニンゲン……!!」


シャガル「……死にゆくラオシャンロンは……学校の皆々に、恐ろしい存在の復活を知らせるべきだと言った……そしてその言葉を聞いたのが、あのアイルーの狩人だ」



一同「………」くるっ


ニャンター「…………」

G級大剣「……な、なんだ……?みんなこっちを向いたぞ……」

G級太刀「なんか……集会やってんのか……?」


シャガル「あのアイルーは、偶然遭遇した当校の生徒にそのことを伝えた。よって、黒龍の復活が判明した」

シャガル「……仲間を殺したニンゲンを憎む気持ちもあるかもしれない。しかしラオシャンロンの死は……言わば、意味のある死だった」

シャガル「悲しい出来事には違いないが、彼の死はこの世を救うことに繋がったのだ」

シャガル「いま私が手に持つのは、彼の外殻……彼が生きていた証拠だ。唯一残る彼の分身を、今日黒龍の前に散った仲間と共に葬り、共に弔おう」


一同「…………」

シャガル「…………………」

シャガル「……そして……今日、散った仲間は6名にもなる」

シャガル「……私たちの呼びかけに応じて力を貸してくれた、尊い仲間だが……」

シャガル「元は、皆々に協力を要請した私に責任がある」

シャガル「……散った者の兄弟や友人たちよ……心より詫びる!!」

シャガル「職は、辞任致す!それだけではなく、檻に閉じ込め追放されることも希望する」

シャガル「……私の命一つでは不足かもしれないが……どんな制裁でも受ける」


ガムート「シャガル先生……なにもそこまで……」

ナルガ「お、おい、ゴマ!どーすんだよ!」

ゴマ「……我を生みし偉大なる者の……言いそうなことです……」

ざわ、ざわ……

帝アマデュラ「…………」

ダレン「…………」

シャガル「…………」


ランポス「……シャガル先生、それは違います」

シャガル「!」

ランポス「俺の兄さんは、確かに死んだ。でも名誉の死です」

ランポス「先生たちの招集は、決して必須ではなかった。ここにいる全員、自ら力になることを望み、そして戦ったんです」

ランポス「充分に死を覚悟した状態でこの場に来て……そして散った。先生が負い目を感じることは何もないです」

シャガル「…………」

ウルクスス「……そうですよ、先生」

ウルクスス「親友のラングロトラも、名誉の死を遂げたのだと私は思っています。……それによってみんな救われました!」

ウルクスス「だから……辞めるなんて……追放してくれなんて言わないでください!!」

シャガル「……ウルクスス……」


………………ワーー………ワー……
そうだそうだー……
先生辞めないでーー……
ワーーーーーー………


シャガル「……………!!」

ダレン「……シャガル先生。………誰も……君の辞任を……望んでいない………」

シャガル「……すまない……皆々……!!言葉が見つからない………!」


ワーーーーーー……
先生ーーーー………
ワーーーーーーーーーー………

------------


総本部役員「ハァ、ゼェ……ガブラスの死骸がすごい……」ガサガサ……

職員たち「ゼェ……ゼェ……」ガサガサ……

総本部スタッフ「……我々、どのくらい気を失っていたのでしょう……すっかり夜です、ミラボレアスはどうなったのか……」ガサガサ……

総本部役員「ハァ……ダメだ疲れた、おぶってくれ」ヨロヨロ

総本部スタッフ「は、はい……」ぐいっ

総本部役員「……しかし……空はビックリするくらい晴れているな」

総本部役員「星が綺麗に見える……もしかしたら、ミラボレアスは死んだのか……?」

総本部スタッフ「おかしいですね……旧シュレイド城がいつまでも見えて来ません……方角は合っているのに……」ガサガサ……

総本部役員「茂みが深いせいか……?」

総本部スタッフ「それにしては……うわーーー!!」ガサッ!

総本部役員「なんだ、大きい声を……うわーーー!!」

総本部スタッフ「し、城が……崩れて無くなっています……!!」

総本部役員「モ……モンスターが……あんなに………!!ブクブク……」クラッ

総本部スタッフ「わーー!!役員ーーー!!!」

------------



ザワザワ……ザワザワ……
ギャハハハ……


帝アマデュラ「……貴殿は、責任の意味を履き違えている」

シャガル「!」

帝アマデュラ「責任を取るということは、簡単なことではない。ただ貴殿が命を投げ出せばいいということではないのだ」

シャガル「……申し訳ございません……!未熟で……」

帝アマデュラ「生徒たちの死を気に病む気持ちは理解できる。しかし、この場合の責任とは……」

帝アマデュラ「皆の者が命をかけて救った世界を、貴殿の命の終わりまで見届けることだ」

帝アマデュラ「そして散っていった者たちの存在を決して忘れることなく、その死を受け入れ、弔うことでもある」

シャガル「……はい……アマデュラ様」

帝アマデュラ「……貴殿のその性格は……良くも悪くも、アマツマガツチと実によく似ている」

シャガル「……アマツ先生……」

帝アマデュラ「さすがは彼女の教え子だ」

G級チャアク「迎えの高速飛行船がこちらに向かっていると、先程矢文が来たが……もうそろそろだろうか」

G級ガンス「ふはーー……何はともあれ……」

G級弓「終わったんだな」

G級太刀「人生で一番大きな経験だった……モンスターたちとの共闘なんてな」

ニャンター「そうだニャ……」

G級ランス「……何を言っているのかわからないが……モンスターたちも楽しそうだ」


総本部総帥「………3名もの命を失ったか……」ザッ

ハンターたち「!!」

G級ヘビィ「そ……総帥!!!!」

ニャンター「……?」

G級ガンス「全世界のギルドのトップに立つほどの貴方様が……なぜこんな戦地にまで!!?」

総本部総帥「トップに立つ者だからこそだ」

総本部総帥「……君が、ニャンター君か。話は全て聞いた」

ニャンター「総帥殿……」

総本部総帥「七光りのバカ息子が、君に無礼を働いたようだ。……申し訳ない」

総本部役員「…………」(気絶)

総本部総帥「……甘やかしすぎた。ハンターの経験もないまま、今の地位を与えてしまった……帰還したら、やはりハンターの訓練を受けさせよう。役員の地位は一旦預かるか」

総本部役員「…………」(気絶)

総本部スタッフ「………ゼェ……」

総本部総帥「……起きぬか!!バカ息子!!」ボカッ!

総本部役員「?!」ガバッ


総本部総帥「……自然の王よ。……いや、今は帝か」

帝アマデュラ「…………」ズル、ズル……

G級弓「(あの大蛇に話しかけている……?)」

総本部総帥「初めてお会いする。……なんと荘厳な形貌か……」

G級太刀「(こ、こっち来るぞ……でけぇ……)」

ニャンター「…………」

帝アマデュラ「……人間の子よ、萎縮することはない」

総本部役員「?!!!んなっ!!!!人間の言葉を話すのか?!」

総本部総帥「……私の生きているうちに、黒龍が復活するとは、思わなんだ」

総本部総帥「あそこにいるモンスター達は、貴方様の学校の生徒であるのか?」

ニャンター「!!」

G級大剣「が、学校っ?!学校って……学校?!」

帝アマデュラ「……如何にも。今回の黒龍の復活の条件は、世界が欲に塗れたままであること」

帝アマデュラ「よって1000年前に、理性持つものを育てようと学校を設立したのだ」

総本部総帥「……それは代々、ギルド総本部の総帥となる者が、ただ一人だけ知っていた極秘事項であり」

総本部総帥「フォンロン地方の古塔が校舎であるが故に、人間の接近を禁じていた」

ニャンター「……オレも実は……モンスターたちの学び舎の存在を思い付き、もしそれが現実とすれば、あの古塔が学び舎ではニャいかと考えていた」

ニャンター「……オレの想像は、全て現実だったのニャ……」

帝アマデュラ「如何にも。1000年前の黒龍の悲劇の際に、私と共に戦い生き残った一人の人間が、狩人の長の先祖にあたる」

G級ヘビィ「総帥のご先祖が……」

帝アマデュラ「……狩人の長たちは私の意思を尊重し、古塔への人間の接近を禁じることで、理性持つ者が狩人に狩られる可能性を抑えてくれた」

総本部総帥「……但し、古塔以外の場所での狩猟は特に禁じていない。……理性持つモンスターの存在は、私しか知らないということになっているしな」

G級チャアク「……モンスターの言葉がわからない人間からしたら、モンスターの理性の有無なんて、確認しようがないもんな」

G級大剣「つまり……大蛇の使命は理性を持つモンスターの育成で……そして総帥の使命は、その理性を持つモンスターが狩られる可能性を抑えることか……」

総本部スタッフ「……歴代の総帥と大蛇しか知らない交換条件があったということですね……全て、ミラボレアスの復活を阻止するために」

帝アマデュラ「…………」

総本部総帥「左様。しかし……今回のような非日常においては、種の壁を超えて共闘した我々であるが」

総本部総帥「所詮は、全く別の生き物だ。お互いに狩る者であり狩られる者でしかない。家畜として使われている草食小型モンスターを除き、絶対に相容れることなどないのだ」

ニャンター「………」

総本部総帥「全てが終われば、また我々は元通り相反する関係になる」

帝アマデュラ「……理性の有無に関わらず、モンスターたちはいつでも狩人の狩猟対象となり、狩人や他の人間たちはモンスターの餌食となるのだ」

総本部総帥「そういった点において、アイルーという存在は少し特別な見方をされる」

総本部総帥「ニャンター君。きみは、自分自身のことを何者だと思う?」

ニャンター「………」

ニャンター「……オレは……人間でもモンスターでもニャい……自分が何者か、わからニャい……」

総本部総帥「……逆だよ。アイルーは、人間でもありモンスターでもある」

ニャンター「!」

総本部総帥「この世界を生きる者は、全て二つに分かれる。人間側か、モンスター側か」

総本部総帥「人間でもモンスターでもあるアイルーも、一個体として考えれば必ずどちら側かについている」

G級ヘビィ「……確かにそうだ。人間と共に暮らすか、野生で暮らすか……」

総本部総帥「君は特に、モンスターの言語を理解する類稀なるアイルーだ。故に悩むこともあったかもしれない」

ニャンター「…………」

総本部総帥「……モンスターの友達もいるようだが……君は、これからどちら側として生きていくんだい?」

ニャンター「…………」



”旦那さん、今日はどんなモンスターを狩ったのニャ?”

”おお!今日はスゲぇぞ~グラビモス二頭だ!”

”旦那さん!すごいニャ~!”
”旦那さんは世界一カッコいい人ニャ!”



ニャンター「……………」

ニャンター「…………人間です」

帝アマデュラ「…………」

総本部総帥「………そうかい。それではこれから、どのように生きる?」

総本部総帥「資格の剥奪は撤回する。ハンターを続けたければ、自由にして構わない」

ニャンター「………いや、オレは………」



”俺は、お前を憎いとは思わねーけど”

”ニャンターさん、俺たちと戦おう!”



ニャンター「……もう、狩りはしニャい……人間の街で生きていくニャ」

総本部総帥「……君が万が一、総本部の刑務所のキッチンから解放されたときに、ぜひ自分のもとへ来て欲しいと懇願していた人がいてね」

ニャンター「………?」

総本部総帥「ラオシャンロンに進行された街のギルドの長が、ギルドの食堂で君に料理を作ってほしいそうなんだ」

ニャンター「……ギルドマスターが……?」

総本部総帥「左様。……君を必要としている。行くかい?」

ニャンター「………」

ニャンター「……行くニャ」

総本部役員「……………」

ハンターたち「…………」

総本部総帥「…………君の全ての経歴を調べさせて頂いたが……旦那様を失い、長いこと独りでいて辛いこともあっただろう」

ニャンター「………」

総本部総帥「今回世界が救われたのは、君の功績が大きい。……その小さな体で、よくぞここまで戦ってくれた」

ニャンター「………」

総本部総帥「礼を言おう。……ありがとう。君の存在は偉大だ」

ニャンター「………」

総本部総帥「旦那様は、君のことを誇りに思っているだろう」

ニャンター「………」



”お前は最高の相棒だよ!”

”旦那さん、大好きニャ~!”



ニャンター「………」ポロッ

ニャンター「………ニャーン……」ポロポロ……

ニャンター「…………旦那さん……………」ぼろぼろっ

総本部総帥「………」ポンポン…

ニャンター「……………」ポロポロ

------翌朝、同場所------


ザワ……ザワ………

リオレウス「……えーー、皆起きているな。昨日は散々恐ろしい経験をしてしまったかとは思うが、今日も恐ろしい話をするぞ」

リオレウス「期末試験の件だ」

生徒たち「ギャーーーーーーーーーーーーー!!」

リオレウス「期末試験は中止するという結論に至った」

生徒たち「イエーーーーーーーーーーーーー!!」



シャガル「……アイルーの狩人よ。貴様の働きには礼を言う」

ニャンター「……礼を言うのはオレの方ニャ」

帝アマデュラ「最後の……生徒たちとハンターたちの一撃は、少しでも欠ければ黒龍の命を削ることはできなかった」

帝アマデュラ「……人間たちは、黒龍の出現はおろか学校の存在など、全て見なかったこととして決して口外しないと約束してくれた」

シャガル「……左様でございますか……では、あの古塔はまだ守られるのですね」

帝アマデュラ「……学校の設立のきっかけである黒龍は死んだが……これから先も、理性持つ者の教育は続けて頂きたい」

シャガル「勿論でございます。……もしいつか、再び黒龍のような大きな脅威が立ちはだかった時に……我々の学校は必要でしょう」

ざわ、ざわ……

ガヤ、ガヤ……


総本部総帥「再三言わせて頂くが、全て見なかったことにしてくれ」

総本部総帥「誰も何も知らないままにしておきたい」

総本部総帥「全世界に発令した非常事態宣言も、総本部の誤報ということで片を付ける」

総本部総帥「多くの人々は……ミラボレアスなどという魔物の存在など、知るべきではないのだ」

総本部総帥「人間とモンスターは、明日からはまた、狩る者と狩られる者だ」

職員たち「…………」

G級太刀「ええ、承知しています。断じて口外など致しません」

G級ヘビィ「(報酬金という名の口止め料も……一人100万zも貰っちまったしな!)」

総本部役員「ああ……疲れた、もう帰りたい」

総本部スタッフ「(あなたは帰ったらハンター訓練ですよ……)」

総本部役員「この高速飛行船は……別のギルドから借りたやつか……」

総本部スタッフ「そうですね。……我々の乗っていたものは墜落しましたから……また作らなくてはなりませんね」

総本部役員「仕方ないな……造船所に顔出しでもするかね、どうせヒマだしな」

総本部スタッフ「(いいえ……ハンター訓練が待っているんですよ…)」

ニャンター「……ふーー……」むくっ

ニャンター「(オレはもう、人間の街から出ニャい)」

ニャンター「(無論、あの轟竜や……その仲間にも、二度と会うことはニャい……)」



ティガ「………ニャンターさんっ!」ドタドタ…

ニャンター「………!」

ティガ「ニャンターさん、帰るのか……?」

ニャンター「……ああ。朝になったし、飛行船も出せるので帰還するニャ」

ラギア「えーーーこれから一緒にミツネの巣に行こうぜ?!」

ミツネ「えっ」

ガムート「ホントに帰っちゃうの……?」

ライゼクス「つまんないじゃーーーん、仲良くなろーーよ!!?」

ニャンター「…………」

ティガ「………………ニャンターさん、俺、ニャンターさんと知り合えて良かった」

ティガ「変なインネンみたいなのがあるけど……でも、正直ニャンターさんは……友達みたいだと思う」

ニャンター「………」

ニャンター「………オレにとっても、貴殿の存在は大きいニャ」

ニャンター「ニャんとも不思議な感覚であるが……これを友と呼ぶのニャろうか?」

ニャンター「……貴殿のことは永遠に忘れニャい」

ティガ「……また、会えるよな?」

ニャンター「…………」

ニャンター「…………きっと、いつかまた会うときがくるかも知れニャいニャ」

ティガ「そっか。……俺も、ニャンターさんのこと忘れねェよ!」

ティガ「その武器も、大切にしてくれよ!」

ニャンター「勿論ニャ。……貴殿の父と、オレの旦那さんの一部で出来た剣ニャ。……何よりの宝ニャ」

ティガ「………じゃあな、ニャンターさん」

ニャンター「…………」

ニャンター「……すまぬ、スタッフ殿。何か書くものがあるニャろうか?」

総本部スタッフ「ああ……どうぞ、メモ帳とペンだ」スッ

ニャンター「かたじけニャい」くるっ

カリカリ……

ラギア「何書いてんのーー?」

ライゼクス「ラブレターかな?!」

ティガ「………?」

ニャンター「……これを渡す。オレが帰ったあとに、読んでくれニャいか」パサッ

ティガ「お?……おお、わかった」


職員たち「飛行船の準備が整いました。帰還しましょう」

ハンターたち「うーーーい……」ゾロゾロ…


ニャンター「では、本当に行くニャ」ピョン

ラギア「じゃあな!元気で過ごせよー!」

ライゼクス「バイバイ~~!」

ミツネ「さようなら、ありがとうね」

ガムート「なんだか寂しいね……」


ティガ「ニャンターさん!元気でな!!!」


職員たち「全員乗りましたね。出航致します!」

ガラガラガラガラ……
ゴォン……ゴォン………

ニャンター「…………」コクッ

ティガ「…………」コクッ




------



ライゼクス「……行っちまったなーーー」

ラギア「なーー。よし、ミツネの巣いくか」

ミツネ「まじですか……」


ティガ「…………」

ガムート「……ティガ君……お手紙読んでみたら?」

ティガ「……ああ、そーだな……」パサッ

ティガ「…………」

ティガ「…………ふは!」

ティガ「……アイツ……」ニヤニヤ

ガムート「???……何が書いてあったの?」

ティガ「……あのさぁ、ガムート」ニヤニヤ

ガムート「?」

ティガ「お前、誕生日もうすぐだよな?」

ガムート「えっ!!う、うん……明後日だよ……//」ドキドキ

ガムート「(キャーーーーー!!なんでいきなりっ……)」ドキドキドキドキ

ティガ「そーか。……期待してろよ、めちゃめちゃいいプレゼントやるよ」

ガムート「…………??//」ドキドキ

ティガ「帰ろうぜ!」



『おいしい ケーキの つくりかた
(オレの秘伝レシピニャ)』





------------完------------

乙!乙乙乙ッ!!!
今回のもとても面白かったですぞぉぉぉ

以上で完結です。
長くなってしまってすみませんでした。
覗いてくださった方ありがとうございました。

>>362
前スレでもありがとうございました!!
本当に嬉しいです。
ありがとうございました!

そういえば本日はモンハンダブルクロスの発売日 主もプレイされるので?

>>365はい、今日は午後からずっとプレイしていました。
>>365さんもプレイされるんですか?

>>366
自分もプレイ中です
ってもさっき始めたばっかりですけどw
ブレイブスタイルを試してます

>>367新しいスタイル、自分も試そうと思います。
ラオのクエを楽しみに進めています!

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