こんばんは、プロデューサーさん。素敵な月夜ですね。隣、座ってもいいですか？

えへへ、ありがとうございまつ……ございますっ！
もーっ！ 別に噛んだっていいじゃないですかぁっ……
ふぇ？ 最近噛んでないような気がしたから……ですか？ ふふん、噛まないように頑張りましたからっ！
……あぅ、それでも時々噛んじゃうのはえっと、その、気持ちが上がっちゃうと……
それも魅力的って……も、もうっ、そんなこと言わないでくだたひっ……あぅぅ……

ってあれ？ お酒飲んでるんですね。ふふっ、明日は久々のお休みですもんね。存分に楽しんでくださいね。
あっ、そうだ。せっかくだし、私がお酌しましょうか？ なーんて、えへへ。
わぁ、いいんですか？ はいっ、歌鈴にお任せ下さいっ！ ふふ、噛みましぇ……うぅ……

……はっ！ そうじゃないです！ お酌しますから！
これは日本酒……ですか？ 興味はありますけど、飲んだりはしませんからね。え？ そうですね、20歳になったらその時は……
あっ……そうでしたね、お酌です。はいじゃあ、とっとと……これくらい？

んぅっ…はふ、なんだか久々にプロデューサーさんに撫でてもらった気がします。
むぅぅ～……そうですよっ！ 最近は忙しいから、とか！ 人に見られるから、とか言って全然撫でてくれませんでしたし……
本当ですかっ！？ やった、えへへ……

プロデューサーさん？ んー、最近はどうってなんだか漠然とした質問ですね。

はい、もちろんです！ 確かにプロデューサーさんにスカウトされて、この事務所に来て先輩アイドルの皆さんのレッスンやお仕事を見て、私にも出来るかなって不安でしたけど……それでもプロデューサーさんや、藍子ちゃんとか茄子さんとか、たくさんの私を助けてくれる人に出逢えましたから！

プロデューサーさんも私に助けられてる、ですか？ 嬉しいですけど、照れちゃいますね。本当のことなんだからって…それでも照れるものは照れるんですっ！

んーっ！ それにしても、こうして夜になるとすっかり秋ですね。お昼はまだ暑いですけど、お日様が沈んだら気持ちいい風が吹いて、過ごしやすくて。それにこうやってお月様も綺麗に見えますし。
そうですね、好き……ですねっ。実家の神社の境内から見えるお月様がとっても綺麗なんですよっ！ まだ小さかった頃に寝れなかったらおばあちゃんに連れられて見上げたお月様がすっごく綺麗だったんです。まんまるなお月様が燦々と輝いていて、幼い私でも感動して。それからですね。私がお月様を好きになったのは。

……あ、あのっ！ 今度一緒にうちの境内から見ませんか……？

……わあ！ ありがとうございますっ！ 楽しみですねっ！

そういえば、プロデューサーさんは好きなんですか？
しんみりしちゃう……ですか。 プロデューサーさんはお酒を飲んでるからですかね？
関係ないって、そんなこと分からないじゃ……ふぇっ！？
か、歌鈴と一緒に見る月は好きだからって……もう、プロデューサーさんの馬鹿……

～～～っ！！ い、言いまてっ……言いませんっ！ もー！ 聞こえなかったからって、にやにやしてるじゃないですかぁ！ 絶対聞こえてますよね！？

や、です！ つーん、ですっ！

……じゃあ、ぎゅーってしてください。ぎゅーって。


ふぁ……えへへ……あったかいですね。ぽかぽかします。夜風でちょっと冷えちゃったから、きっとこんなにプロデューサーさんがあったかく感じるんですねっ！
プロデューサーさんもですか？ なら良かったですっ。

……えっと、プロデューサーさん。私、幸せです。
突然どうしたって……酔っちゃったかもしれません。お、お酒じゃないですよ！？
……ふ、雰囲気に、なんて。

っ……！ はい、私もですっ！ 楽しいこと、嬉しいことばっかりじゃなくて、大変なことや辛いこともありましたけど、それでも私はこうやって居られて。きっと、縁結びの神様が私を応援してくれたんです。もちろん他の、色んな神様も。
プロデューサーさんはですね、応援だけじゃないですから。……それに、プロデューサーさんは神様じゃなくて、私を見初めてくれて、私を見守っててくれて、私と一緒に歩んでくれて……なんと言うか、その、だ、大事な人、ですから！

……えへへ、噛みませんでしたっ。

なんだか、こうやってゆっくりとプロデューサーさんとお話してるの、久々な気がします。はい、いいものですねっ！
これからも、時々こうしたい……なんて言うのは贅沢ですかね……？ はいっ。やっぱり私は幸せ者です！

さ、そろそろ戻りましょう。だいぶ外にいましたし身体が冷えちゃいましたね。


ふぇ？ それだったらなにかあったまるもの作りますね。せっかくだし、私も少し食べようかな……
えっ。あ、あーん……してくれるんですかっ！？ じゃ、じゃあ私も食べますっ！

……プロデューサーさん。もっと、もっとアイドルとして輝く歌鈴をきっと見せてみせますから。だから、今はちょっとだけ、甘えても許してくださいね。また頑張るために、少しだけ。