【艦これ】北方のとある鎮守府の話・改二 (183)

【艦これ】北方のとある鎮守府の話・改
【艦これ】北方のとある鎮守府の話・改 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1493144424/)
の続きです
忙しいあまりに前スレが全体的に雑なまま終わったので、そこの補足も含めていきたい

章ごとに書きためたものをまとめて投下するだけなので、結構間隔開くと思います。すまない…

このスレでなんとか三章と四章は書ききって、五章の触りまで行ければいいな…てか、できればこのスレで終わらせたい

とりあえず一個だけ書き忘れてた短編やっときますね

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1504585247



《レポート0》


唐突だが、以前私が深海棲艦とは何か、と尋ねたところ、ーーはこんな風に返してきた

彼らは個にして群にあらず、群にして個にあらず

・・・つまりはどういうことかと言うと、結局、その言葉どうりの意味であった

深海棲艦とは、海に眠るあらゆる怨念、後悔や憎しみ、恨み、怒り。そういったものの混ざり合う存在なのだ

連中はある一個の個体として存在しているように見えるが、実際にはそうではない。奴らの中では多くの念が絡み合い、捻れ合い、犯し合い・・・そうしてある一つのカタチとして、私たちの視界に映り、あるいは捉えられるものなのだ

そして連中は自身を形作るモノのことをよく理解している。よく把握している。なぜなら奴らは、元々その残滓の集まってできた、言わば念そのものなのだから

その証拠に、深海棲艦は皮肉にも艦艇として立派に機能している。砲撃や雷撃を行い、艦載機を飛ばし、哨戒や輸送まで行っている

・・・とどのつまり、彼女らは元々やり方を知っていただけなのだ

これが、私がーーに教えられた真実であった。恐らく、そこに嘘偽りはないと思われる

だが、もしーーの言うことが全て事実だとするならば、奇妙な点がいくつもある

一つはカラダだ。彼女らの体は確かにそこにあるように見えるが、果たして念だけによって彼女らは肉体を得ることは本当に可能なのか

艤装や艦載機にも謎が多い。連中の用いるそれらは、やけに生物じみた気味の悪いものが多く、それでいて我々のものと同質の部分も見受けられるのだから、非常に異質に思われる

もう一つは目的だ。深海棲艦は執拗に人間を襲い、今なお海の支配権を激しく我々と奪い合っているのだが、彼女らの本当の目的はどこにあるのだろうか

人間を全て殲滅すれば満足なのだろうか。それとも、海の全てを我が物にしたいのだろうか。はたまた、単なる気まぐれなのか、あるいは


~~~~~

深海棲艦の生態やその出自に関しては、未だわからないことが多すぎる

だがこの数年、徐々にではあるが、彼女らに関する調査は進展を見せているようだ

この調査がさらに進めば、奴らの行動原理や弱点、あわよくば連中を本拠地の居場所を突き止めることさえできるかもしれない

私も戦場で戦う立場ではあるが、微力ながら私たちの未来のためにも、これからもできる限り彼女らの調査に協力していきたいと思う

《レポート0》
おしまい
読んでくれた人いたら、ありがと

続きはいつになるかわからないけど、とりあえず次の海外遠征まではのんびりしたい。する。

訂正です

>>8
×あわよくば連中『を』本拠地~
○あわよくば連中『の』本拠地~

誤字脱字ばかりですまない…

六月某日・昼

【横須賀鎮守府前】

提督「」ポカン

大和「・・・」

神風「・・・」

??「ちょっと~!そんなとこでボケっと突っ立ってないで、早く中に入ってよ~!」

提督「」

大和「・・・」

神風「・・・司令官?」ヒョコ

提督「な・・・」ガクガク

神風「・・・?」

提督「な・・・な・・・」



提督「・・・なに、これ・・・」ポツリ




~ 一週間前 ~


五月某日・昼

【鎮守府・寝室】

提督「・・・と、いうわけなのです」

大和「はあ・・・合同演習、ですか」

提督「うん」

大和「横須賀鎮守府からのお招きですか」

提督「そうそう」コクコク

大和「・・・で、迎えの船を使って五日後に出発・・・」

提督「なのです」ムフ-

大和「・・・」フム

提督「・・・」



大和「いや無理ですから」キッパリ

提督「ですよね~・・・」


大和「どう考えても無理です」

提督「・・・どうしても?」チラ

大和「どうしても」

提督「・・・ほんとのほんとに?」チラチラ

大和「・・・ほんとのほんとに」

提督「・・・」ジ-

大和「ぅ・・・」

提督「・・・」ウルウル

大和「・・・」ムムム

大和「はぁ・・・」コホン

大和「・・・いいですか?そもそもまずですね、この鎮守府に艦娘が二人しかいない時点で、私たちは本当に最低限、ギリギリの艦隊しか組めませんよね」ピッ

提督「そうだね」

大和「おまけに艦種も駆逐艦と戦艦が一隻ずつ・・・せめて空母を一隻、できれば巡洋艦も一隻くらいはいないと、深海棲艦を相手にまともな戦闘は行えません」

提督「そうかなあ・・・」

大和「加えて、この鎮守府には装備や資材が全くと言っていいほどありません。手に入る見込みも、今のところは皆無です」

提督「なんとかしないといけないんだけどね・・・」

大和「・・・正直に言って、今の私達では、実践を想定した演習を行う意味がありません」

提督「う~ん・・・でも、こないだ深海棲艦に襲われた時は、大和が頑張ってくれたおかげでなんとかなったし・・・」イジイジ

大和「・・・」イラッ

ドンッ!

提督「!」ビクッ

大和「あの時は敵も単艦でしたし、加えて火力に劣る駆逐艦だったから、たまたま撃退することができただけですっ!一歩間違えれば、鎮守府諸共に壊滅していたかもしれないんですよ!?」キッ

提督「は、はい・・・」

大和「これから先、敵が艦隊を組んで攻め込んでこられた場合、私たちは対抗する術を現状何一つ持ち合わせていないんです。演習を行う前に、まずそちらの問題を片付けないでどうするんですかっ!?」ダンッ

提督「う、うぅ・・・」ムムム

大和「もっと危機感と責任感を持ってくださいっ!貴女はこの鎮守府の提督なんですよ!?」

提督「・・・」

提督「・・・た、確かに、おっしゃる通り・・・です・・・」ショボショボ

大和「・・・」ジッ

大和「・・・わかってもらえればいいんです」フゥ

大和「ともかく。この話はこれで・・・」

提督「だが、断る!」キリッ

大和「・・・」

提督「・・・」フンスフンス

大和「・・・提督?」ニコォ

提督「ま、まあまあ、話を聞いてよ大和」ドウドウ

提督「これはね・・・絶好の機会なわけよ」ピッ

大和「絶好の機会」

提督「うん」

大和「・・・どういった意味でしょう?」

提督「ふっふっふっ・・・聞きたい?聞きたいの?聞きたいよね?」ニヨニヨ

大和「あ、いえ、別にそこまでは・・・」

提督「え・・・」

大和「・・・」

提督「」カクカク

大和「・・・」ハァ

大和「・・・理由を伺っても?」

提督「よしっ、じゃあ説明するよ!」ガバッ

大和(今日の夕食、どうしようかしら・・・)ポワポワ

提督「まず一つ。私たちが演習に参加することで、貴重な実戦経験を積めるよね」ピッ

大和「まあ・・・はい」

提督「もう一つ。私たちが他所の鎮守府に出向くことで、私たちの存在を広くアピールできるよ」ピッ

大和「存在をアピール?」

提督「うん。ほら、ここの鎮守府ってさ、場所も場所だし、敵もあんまり寄りつかないから、どうしても他の鎮守府に比べて重要度が低いじゃない?」

大和「そうですね」

提督「だからさ、みんなの前ですっごい目立ってさ、『私たちもいるんだぞ~!」、って、軍の連中に見せつけてやるんだよ!」

大和「はあ・・・それで、演習ですか」

提督「うんっ。少数の私たちが一艦隊を相手に互角に渡り合うところを見せられれば、あいつらの私たちを見る目も変わるよ、きっと!」

大和「・・・ですが、それに何の意味があるんですか?もし仮にその目論見が上手くいって私たちが注目を浴びることになったとしても、それで徳することはあまりないかと思いますけど・・・」

提督「ふっふっふっ・・・実はそうでもないんだよね」チッチッチッ

提督「もし他の鎮守府の人たちにまで私たちが軍にとって必要な戦力だと認識されれば、上の連中も黙ってはいられないはずだよ。もし少数でも十分に戦力になると分かれば、例え辺境の鎮守府だとしても、人材や物資も含めてそれなりの支援を行わないわけにはいかないだろうからね」

提督「だから、私たちが資材や食料を手に入れるために、まずはあいつらの鼻を明かしてやる必要があるってこと!」グッ

書いたデータが結構飛んだから、中途半端で申し訳ないけど続きはまた今度にします

>>24から続き

提督「・・・ね?演習に参加するには、妥当な理由だと思わない?」

大和「うぅん・・・そう上手くいくでしょうか・・・」

大和「というかそもそも、たった二隻で一艦隊と戦うなんて・・・」

提督「大丈夫っ!その辺のことは全部、この私に任せて!」

提督「きっと、上手く行かせてみせるから!」グッ

大和「・・・」ジッ

大和「・・・根拠はありますか?」

提督「え・・・こ、根拠?」

大和「はい。私や神風さんに、貴女の言葉を信じさせるに値するだけの、明確な根拠です」

大和「そうでなければ、いくら貴女の頼みといっても、受け入れることはできません」

提督「それは・・・」

提督「・・・」

提督「・・・ない」

大和「・・・では・・・」スッ

提督「で、でもっ!」

大和「・・・」ピクッ

バッ

提督「私が、この鎮守府の提督の、この私自身が!」

提督「貴女達の協力があれば、きっと上手くいく、ううん。絶対にいかせてみせる!」

提督「だから、お願いっ!私のことを信じてくれるなら、この鎮守府のためにも、どうか私と一緒に来てくださいっ!」ベチャ-

大和「・・・!?」ビクッ

大和(ど、土下座・・・)

提督「・・・」ドゲザ-

大和「・・・」ジッ

大和「・・・何か妙案があるんですか?」

提督「・・・」

提督「・・・うん。幾つか」

大和「・・・そう」

大和(幾つか、ね・・・)

大和「・・・」ムゥ

提督(・・・)ジッ

ギュッ

大和「・・・提督?」チラ

提督「・・・大丈夫だよ、大和」

提督「責任は全部、私が持つ」

大和「でも・・・」フイッ

提督「私を信じて・・・お願い」

大和「・・・」ム...

提督「・・・」ジッ

提督(大和・・・)

提督(彼女は、きっと・・・)

提督(・・・なら・・・)

スウッ

提督「ね・・・貴女の力を貸して、大和?」

大和「っ・・・!」ピクッ

大和(今の・・・)

提督「・・・」ジッ

大和「・・・」グッ

大和(・・・そんなのって、ずるい・・・)

大和「・・・はぁ」

大和「・・・わかりました。提督を信じます」

提督「・・・!」パアッ

提督「ほんとっ!?」パッ

大和「ええ」

スッ

大和「提督である貴女が覚悟を決めたんです。なら、貴女の部下である私が続かずして、なにが艦娘ですか」

提督「や、大和ぉ・・・」

大和「・・・提督。どうか、この大和も貴女とご一緒させてください」ニコッ

提督「ぁ・・・」

提督「うぅ・・・」グッ

提督「わあぁ~ん!ありがとー!大和ー!」ダキッ!

提督「大好きだよー!ずっと一緒だよー!」ギュギュ-

大和「はいはい」グイッ

提督「うぇ~ん!」ビエエエ

大和(もう・・・調子が良いんだから・・・)フッ

大和「提督」ツンツン

提督「うぅ・・・ん・・・?」グスッ

大和「その・・・」

大和「・・・」ン...

大和「・・・期待、していますから」ニコッ

提督「!」

大和「ですから私も、提督のご期待に応えられるよう、全力で戦います」

大和「一緒に、頑張りましょうね」グッ


提督「・・・う、うん、任せてよ!完璧な作戦を立てて、相手をボッコボコのギッタギタにしてやって、絶対に大本営のほっぺたを落としてやるんだから!」グッ

大和「ほっぺたは落とさなくていいです・・・」


・・・・・

提督「あ・・・」

大和「?」

大和「どうしたんですか?」

提督「ん・・・今更だけど、その・・・」チラ

大和「・・・?」キョトン

提督「・・・行き先が」

大和「・・・はい」

提督「えと、その・・・」

提督「・・・ごめん」

大和「・・・」ジッ

大和「・・・どうして謝るんですか?」

提督「だって・・・」

提督「・・・」

提督「・・・横須賀鎮守府は、大和にとって、あんまり、その・・・」

大和「・・・」スッ

大和(・・・本当、感が良いのか、悪いのか・・・)

大和「・・・ええ、そうですね。確かに、あの場所には、良い思い出はあまりありません」

大和「ですが・・・それも私の中ではある程度区切りがついたことですから・・・他でもない、貴女のお陰もあったから・・・」

提督「大和・・・」

大和「・・・」ニコッ

大和「ですから、提督は何も気にしないでください」

大和「・・・私も、提督にご迷惑はおかけしません」

提督「・・・」ジッ

提督(大和・・・やっぱり、まだ・・・)

提督(・・・)ギュッ

提督(私に・・・今の私にできることは・・・)

スッ

提督「・・・わかった。大和がそう言うなら、私からは何も聞かないことにするね」

大和「・・・ありがとうございます」

提督「ううん、いいのいいの」パタパタ

提督「・・・でも、何か困ったことがあったら、遠慮なく言ってね?」ヒョコッ

提督「いつだって、力になるんだから」フンスフンス

大和「・・・」フッ

大和「・・・はい。では、その時は遠慮なく言わせてもらいますね」ニコッ

提督「ん、どんとこい」ニコッ

大和「・・・それに、向こうでいくつか確認しておきたいこともありますし・・・」ボソッ

提督「・・・?何か言った?」

大和「・・・」ジッ

提督「・・・?」ポカン

提督(顔に何かついてるかな・・・?)ペタペタ

大和(やっぱり、自覚は無いみたいね・・・)

大和「・・・いえ。なんでもありません」フルフル

提督「・・・なんか、気になるんだけど・・・」ム-

大和「大したことではないですよ・・・ただ、今朝からずっと提督の顔に引っ付いているワカメがなんだか面白おかしいな、と」

提督「ええっ!?ワカメ!?嘘っ!?」

バッバッバッ

提督「・・・付いてないじゃん!」

大和「冗談です」ジ-

提督「だ、だよね~・・・さすがの私でも、顔にワカメなんて付いてたら気がつくもんね・・・」

提督「も、もう!急に変なこと言わないでよ~!」

大和「すみません」ジ-

提督「む~!」

大和「・・・」ジ-

大和「・・・本当は提督の頭に乗っている昆布のことが面白かったんです」ツイッ

提督「へへーん!今度は騙されないよー!」ベ-

提督「大体、海に潜ってもいないのに、頭に昆布なんて乗っかるわけないんだから!」

大和「そうですよね・・・」ジ-

提督「ふふん。残念だったね大和。私をそう甘く見ないことだよ」フンスフンス

大和「・・・」ジ-


大和「・・・そうですね」ジ-

提督「・・・?」


・・・・・

提督「・・・あっ!もうこんな時間だ!」

提督「それじゃあ私、そろそろ見回りに行くから。大和は留守番お願いね~」ガタッ

大和「私も行かなくて大丈夫ですか?」

提督「大丈夫大丈夫。何かあったら、すぐに逃げ帰ってくるから!」パタパタ

大和(それはそれで、なんだかなあ・・・)

ガチャ

提督「じゃ、行ってきま~す!」

大和「あ、はい。気をつけてくださいね」

提督「は~い!」

バタン!

シン...

大和「・・・」

大和「ふぅ・・・」

大和「・・・」トットットッ

ギシッ

大和「・・・」

大和「・・・」

大和「・・・あ」ポン



大和「・・・せっかくだから、今日の晩御飯はあの昆布を使わせてもらおうかな」クスッ


こっから短編3つ

《レポート2》
《西方のとある鎮守府の話》
《やっぱり駆逐艦は…》

今日は一つだけかも



《レポート2》



ー1月15日ー

あれから一週間ほど経った。この日、私は鎮守府周辺の哨戒にあたっていたのだが、夜の帳も下りた頃に帰投してみれば、私の妹が件の施設に転属になったとのことだった。それを聞いては、私はもう居ても立っても居られず、すぐさま鎮守府を飛び出して彼女の元を訪ねた。


数ヶ月振りに会う彼女は、以前と変わらず明るく元気一杯な様子で私を迎えてくれたが、当の私は以前ここで見たあの兵器とやらのことが気がかりでしょうがない。あれは危険だ、あってはならないものだ、と本能が警告している。例え上層部の指示であっても、そんなものがある場所へ妹を預けるのは、やはり抵抗があった。

その後、妹と別れて早々に私は旧友に再度会い、彼女の処遇について再考するよう頼みこんでみた。だが、成果は芳しくなかった。旧友も私の気持ちは十分に理解してくれたようだったが、上からの命令である以上どうしようもないようだ。結局、何度かしつこく掛け合ってみたものの、色よい返事が返ってくることはなかった。

仕方のないこととはいえ、どうにもやりきれない。私はこんな時でさえ、彼女の力になってあげることができないのか。


帰り際、旧友はすっかり肩を落とす私に対し、励ますように明るい口調で声をかけてきた。

心配ない。運が良ければ、君も同じ場所に来れるはずだ、と。

それはあくまで昔馴染みの友人にかけるような気楽さを感じさせながら、どこか虚ろな声音にも思われた。

今日はここまでかも
もし読んでくれた人がいたら、感謝感謝かも

そろそろ色々と見えてくる…はずかも

あ、そういえば、こないだ最初っから改めて読み直して気付いたんですけど、ラスボス的なの既に出てました
書いたの忘れてた…なんかすみません



《西方のとある鎮守府の話》


二月某日・昼

【西方のとある鎮守府・執務室】

提督「なあ、松風」

松風「うん」カリカリ

提督「唐突で悪いんだけどな」

松風「なんだい、司令官?」カリカリ

提督「脱いでくれないか」

松風「・・・」カリカリ

提督「・・・」

提督「服を、脱いでくれないか」

松風「言い直さなくていいから」

カタン

松風「知らなかったな・・・キミはロリコンだったんだね」

提督「ああ。誰にも話したことはないんだが、実はそうなんだ」

松風「妙高さんとケッコンまでしているのにかい?」

提督「ああ。小さな女の子を見ていると、無性にムラムラしてくるんだ」

松風「・・・僕でもかい?」

提督「勿論だ。松風のクセのある髪や勝気な瞳、男勝りな口調だが優しげな声音、未発達ながら女性らしさを感じさせる体つき、わずかに漂う爽やかな香り、それに可愛らしい山高帽・・・」

提督「魅力的な君を見るたび、いつも私は君に対して抑えきれないほどの興奮を覚えているんだ」ハアハア

松風「そうだったのかぁ・・・」

松風「だ、そうだよ?妙高さん?」チラ

提督「え?」

ガチャリ

妙高「・・・」ニッコリ

提督「あっ・・・」


・・・・・

【西方のとある鎮守府・食堂】

カチャ

松風「ふぅ・・・ごちそうさま。今日も美味しかった」

伊良湖「はい。お粗末様でした」

松風「本当、伊良湖さんが来てくれて助かったよ。キミが来る前は、それはもう酷いものだったからね・・・」

伊良湖「そうなんですか?」

松風「ああ・・・初めて磯風の料理を食べた時には、僕は深海棲艦になった気分だったよ・・・」ハハッ

伊良湖「は、はあ・・・?」キョトン

松風「いや、でも・・・久し振りに姉貴や間宮の料理も食べたいなあ・・・」

伊良湖「松風さんのお姉さんと言えば・・・神風さんや春風さんですか?」

松風「そうだよ。特に春風の姉貴の作る料理は絶品でね。どうやら川内さんに仕込まれたみたいだけど、それはもう料理人顔負けの出来さ」

伊良湖「へぇ~」

松風「うん・・・」

松風「・・・」

松風「姉貴たち、今頃何してるかなあ・・・」フゥ

ドタドタドタ...!

松風「ん・・・?」

バタン!

足柄「提督はどこっ!?」

松風「いきなり騒がしいな・・・」ハァ

伊良湖「足柄さん。いらっしゃいませ!」ニコッ

松風「司令官なら執務室さ。今頃、キミの姉さんにこってり絞られているところだろうね」

足柄「妙高姉さんに・・・?なに、またなんかしでかしたの?」

松風「いやなに、大したことじゃないんだけどね。ただ、僕が提督から軽いセクハラを受けただけさ」

伊良湖「え、ええっ!セクハラ!?」

足柄「またあ!?」

伊良湖「またっ!?」ガビ-ン

足柄「あんのクソ提督ー!まだ懲りてなかったのねー!」ギリギリ

伊良湖「ま、前にも同じようなことがあったんですか・・・?」

足柄「そうよ!それも何度も何度も!」

足柄「あのクソ提督ってば、ことあるごとに妙高姉さんや私の布団に潜り込むのよ!かと思ったら、占守や駆逐艦の子たちに言い寄って・・・ほんっと、節操がないなんてもんじゃないわ!」

松風(すっかりクソ提督呼びが馴染んでるね・・・誰かさんの影響かな?)クスッ

松風「それにしても、そうか・・・」フム

伊良湖「とても真摯な方ですし、そんな風には見えませんけれど・・・」

足柄「伊良湖は来たばっかりだから、あいつのことがわかってないのよ。もうしばらくもしてみなさい。すっかり化けの皮が剥がれて、貴女の下着の色を毎日のように聞いてくるようになるから」

伊良湖「え、ええっ!?し、下着・・・」ワタワタ

伊良湖「そんな・・・下着の色だなんて・・・は、恥ずかしいですっ!」カアッ

足柄「・・・今時珍しいくらいウブな子ねえ・・・」ハァ

松風「・・・まあ、心配ないさ。彼には妙高さんという、頼れるパートナーがいるからね」

松風「彼女がいる限り、滅多なことはないと思うよ」

足柄「楽観的ねえ・・・」ム-

松風「そうかい?だって、ほら。キミの姉さんはとても優秀じゃないか。艦娘としては勿論だけど、一人の女性としてもね」

松風「あんなに仕事が出来て、優しくて甲斐甲斐しくて、それでいてしっかり厳しいところもあるんだから、いわゆる大和撫子とは少し違うかもしれないけど、添い遂げるにはこれ以上ない人だと思うよ」

足柄「まあ、そこは否定しないけどね・・・」ハァ

松風「それに・・・僕は司令官もああ見えて、一途な人だと思うよ」

足柄「はあー?一途?あれが?どこが?」

松風「伊良湖さんも言ったろう?彼は元々そういう人だよ。だって現に、彼は今まで一度も、妙高さん以外の女の子に対して『そういったこと』を本当にしたことは一度もないんだからね」

足柄「もう十分アウトなことやりまくってるわよ」

松風「それはまあ・・・彼なりの愛情表現みたいなものだろうさ。あまりそう目くじらを立てないであげてよ」

足柄「そこまで寛容になれる人間はそういないわよ・・・というか、なんで貴女はそこまであいつを庇うのよ?」

松風「理由かい?簡単なことだよ。僕は彼を好ましく思っているからさ」

足柄「え」

伊良湖「きゃあ」パッ

松風「・・・なんだい?そんなにおかしなことかい?」ムゥ

足柄「・・・やー、そんなことはないんだけど・・・いやでもなんか、びっくりというかなんというか・・・」ポリポリ

伊良湖「ま、松風さん・・・そうなんですか・・・?」ポワポワ

松風「二人して失礼だなあ・・・ま、でも本当のことさ」

松風「僕も司令官との付き合いはそう長くないけど、ここに着任した当初は姉貴もいなかったからね。駆逐艦は僕一人だけで、周りにはあまりよく知らない人ばかりで・・・結構不安だったのさ」

伊良湖「そうだったんですか・・・」

足柄「あら。私には全然そんな風には見えなかったけど?」

足柄「むしろ、自信満々って感じ?駆逐艦なのに凄く堂々としてるって、みんな感心してたのよ」

松風「そうか、そんな風に思われてたのか・・・初めて知ったな」アハハ

松風「・・・でも、本当にそんなことなくって。誰かと一緒にいる時でさえ、僕は一人ぼっちだったんだ。食事の時も寝る時も、いつも一人。寂しかったけど、それを誰かに相談できるほど、僕は強くなかった」

松風「そんな時にさ、司令官が助けてくれたんだ」

伊良湖「提督さんが、ですか?」

松風「うん。僕が遠征から帰った時だったかな。その日は長旅で結構疲れていたから、一人でお風呂に入ってゆっくりしていたんだけどね。そこに司令官がやって来たんだよ」

伊良湖「え、ええっ!?」

足柄「やっぱり変態じゃない」ハァ-

松風「そうだね。僕も初めはそう思って、すぐに憲兵を呼ぼうとしたんだ」クスクス

松風「そうしたら司令官、なんて言ったと思う?」



提督『松風。明日からは私と一緒に食事を取り、私と一緒に風呂に入り、私と一緒に寝るんだ。これは命令だ』


足柄「犯罪ね」

松風「まあ、そうだね」

足柄「通報しなくっちゃ」

松風「僕もそのつもりだったさ。当然、司令官の命令は聞き入れなかったし、すぐにお風呂から出て行ってもらったよ」ハハハ

松風「・・・でもね。その少し後で、妙高さんが僕にこっそり教えてくれたんだ」


・・・・・

妙高『提督のこと、あまり悪く思わないであげてください』

松風『そう言われても・・・』ムスッ

妙高『・・・』

妙高『・・・あの人、いつも貴女のことを見ていたんです』

松風『・・・僕を・・・?』

妙高『ええ。提督は心配していました。貴女がいつも悲しそうだって。私たちにはよくわからなかったんですけど・・・あの人はきっと、どこかで感じ取っていたんでしょうね。ずっと貴女のことを気にかけていました』

松風『ぁ・・・』

松風『・・・』

松風『もしかして、さっきのは・・・』

妙高『・・・照れ隠しというか、素直ではない人ですから。勿論、人一倍女性が好き、というだらしのない部分もありますけど』

妙高『小さな子を安心させる方法を教えて欲しい、なんて、私に何度も聞いてきて・・・私が、一緒にいてあげること、と言ってしまったから、きっとそんなことを言い出したんでしょうね』

松風『そうか・・・』

妙高『・・・』フッ

妙高『提督には後で私の方からちゃんと叱っておきますから、今回のことは私に免じて、どうか大目に見てあげてください』ペコリ

松風『・・・』

松風『・・・わかったよ。妙高さん』

妙高『・・・ありがとう、松風』

松風『うん・・・』

松風『・・・』

妙高「・・・松風?」

松風『うん・・・でも、一つだけ・・・』

・・・・・

松風「・・・といったわけで、僕は司令官のことを少しだけ見直したんだ」

伊良湖「松風さん・・・そんなことが・・・」

足柄「ふーん、全然知らなかったわ・・・それで?結局その後、どうなったの?」

松風「いや?別に何もないよ。ただ、少しだけ僕が司令官のことを頼りにするようになっただけさ。それ以上でもそれ以下でもないな」

松風「とは言っても、結局それからしばらくもしない内に姉貴や磯風が着任してくれたから、今ではわざわざ司令官にお世話になることも少なくなったけどね」

足柄「なるほどねー」

足柄「でも、ま、良かったじゃない?」

松風「ん?」

足柄「ほら。身近な頼れる仲間なんて、多ければ多いほど心強いに決まってるんだから」

松風「・・・」

松風「そう、だね・・・」フッ

伊良湖「はい!」ニコッ

足柄「・・・よしっ、辛気臭い話はここでおしまい!」パンッ

足柄「伊良湖!カツカレー持ってきて!」

伊良湖「えっ、カツカレーですか?でも、メニューにはありませんけど・・・」

足柄「勝利のためにはカツカレーが欠かせないのよ!いいから、お願い!厨房に材料はあるはずだから!早く!」

伊良湖「は、はい!わかりました!」

パタパタ

松風「・・・そういえば、キミは司令官になにか用事があったんじゃないのかい?」

足柄「ん?あー・・・」

足柄「・・・ま、いいわ。妙高姉さんが一緒にいるなら、私がどうこう言うことでもないでしょうし」

松風「・・・?それは、どういう・・・」

足柄「気にしなくていいわよ。どうせ、大したことじゃないんだから・・・」

松風「ふぅん・・・?」


・・・・・

松風「さて、それじゃあ僕も行こうかな」ガタッ

足柄「もう行っちゃうの?せっかくなんだし、もう少し付き合いなさいよ」

松風「悪いね。この後すぐに遠征に出ないといけないんだ」

足柄「あらら。ざーんねん」

松風「ああ、すまないね。また別の機会によろしく頼むよ」

足柄「はいはい。それじゃあ遠征頑張ってねー」ヒラヒラ

伊良湖「松風さん。お気をつけて!」パタパタ

松風「ああ。行ってくる」

バタン


【西方のとある鎮守府・廊下】

トットットッ

松風「・・・ん?」チラ

松風(あれは・・・)

磯風「む・・・松風か」

松風「磯風・・・?どうしたんだい、そんなところで」

磯風「いやな。先ほど執務室の前を通りがかった時に、妙な物音が聞こえたものでな。あれはなんだったのかと少し気になっていたところだ」

松風「妙な物音・・・?」

磯風「司令に用事があったから外から呼びかけたのだが、返事もなかった。もしや大変な事態になっているのではないか?」

松風「・・・」フム

松風「・・・ああ・・・」

松風「・・・うん。まあ、ある意味大変なことというか、なんというか・・・」

磯風「・・・?どういうことだ松風?なにか知っているのか?」

松風「・・・」ムゥ

松風「・・・まあ、問題ないさ・・・それよりも磯風。キミも今から遠征に行くんだろ?」

磯風「え?あ、ああ。そうだが・・・」

松風「なら、早くしよう。姉貴は多分先に行ってるだろうからな」

磯風「え、いや、だが・・・」

松風「いいから。ほら、行こう」ガッ

磯風「お、おい?ちょっと・・・!」

松風(二人とも・・・今回は貸しにしておくよ・・・)チラ

磯風「わ、わかった!自分で歩く!歩くから、そんなに強く引っ張るな!おい、松風!?」ズルズル

松風「・・・僕はキミを前にすると、どうにも深海棲艦になってしまうみたいだよ」グイグイ

磯風「お前は一体何を言っているんだ!?ええい、離せ!離せー!」ズルズル

松風「ツイテオイデー」グイ-

バタバタ...

《西方のとある鎮守府の話》
おしまい
読んでくれた人いたら、ありがとうございます

ちなみにこの提督、別にロリコンなわけではないです

そんなことより柚と関ちゃんの声がどハマりしててヤバい…この調子でダチャーンにも声がつくと嬉しいなあ

すんません、私用でしばらく忙しくしてました
近いうちに残りの分も少しずつ投下してこうと思います
見てくださっている方がもしいたら、ほんと申し訳ないです…

五月某日・昼

【鎮守府・寝室】

神風「えっと・・・この書類は・・・こっちかしら」ガサガサ

神風「それで、これは・・・うん。大丈夫ね」フッ

神風「あっ・・・そうだ、これも忘れたらダメよね・・・」カサッ

神風「もうっ、しっかりと一箇所にまとめておかないと、どこに何があるのかわからないのに・・・」ム-

神風「・・・」ガサガサ

ドサッ

神風「ふぅ・・・これでよしっ」

神風「さて、それから次は・・・」トットットッ

神風「~~~♪」


・・・・・

提督「・・・」ジ-

提督(神風ちゃんがこの鎮守府に来てから、はや数日・・・)

提督(凄く礼儀正しくて真面目な彼女はこんな環境の中でも文句一つ漏らすことなく、力仕事でも事務作業でも、何でも精一杯働いてくれていた)

提督(今日は寝室に散らばっていた諸々を片付けてくれるというので、彼女に任せたんだけど・・・)

コソコソ...

提督「・・・」ジ-

神風「~~~♪」フンフン

提督(これは一体・・・)ムムム

大和「・・・何やってるんですか、提督?」

提督「・・・」

大和「・・・提督?」トットットッ

ポン

提督「・・・ぅぇっ!?」ビクッ

提督「や、大和・・・!?」クルッ

大和「寝室の前でコソコソして・・・」ジト-

提督「しーっ!しーっ!」グイ-!

大和「・・・?」キョトン

提督「・・・」ウヌヌ...

グイッ

大和「あっ、ちょっ・・・!?」

提督「いいから!ちょっとこっち来て!」グイグイ

大和「い、一体なんなんですか、もう・・・」ハァ

ゴソゴソ...

大和(・・・で、何してるんですか?)コソコソ

提督(中を見ればわかるよ。ほら)ヒョコ

大和(中・・・)ヒョコ

~~~~~

トタトタトタ

神風「~~~♪」ゴソゴソ

トタトタトタ

大和(・・・)ジ-

提督(・・・ね?わかった?)

大和(・・・神風さん、普段と違って随分生き生きとしていますね)

提督(うん・・・)

大和(・・・)

提督(・・・)

大和(・・・やっぱり、提督が原因なんでしょうか・・・)

提督(いやいや、まさかそんなわけ・・・)ハハハ

大和(・・・)

提督(はは・・・)

大和(・・・)

提督(・・・)

提督(そこは否定してよ~!)ガクガク

大和(じょ、冗談ですからっ!冗談!)ガックンガックン

大和(だから、ちょっと・・・ゆ、揺らさないでっ・・・!)グイ-

提督(ふえぇぇぇん!)ビエ-

ドタンバタン...!

バタン!

提督・大和「!?」ビクッ

神風「・・・」ジ-

神風「・・・なにしてるんですか、そんなところで」ジト-

提督・大和「」

神風「・・・遊ぶくらい暇なら、外の掃除でもお願いします」

提督「あ、はい・・・」ヘコヘコ

大和「ご、ごめんなさい・・・」ペコリ

神風「・・・謝る必要ありません。それに、提督の言うことは絶対ですから」

提督「う、うん・・・?」

大和「・・・?」ジッ

神風「・・・」チラ

神風「休息が必要でしたら、申し訳ありませんがもうしばらくお待ちください。すぐに片付け終わりますから」

提督「う、うん。何から何までごめん・・・」

神風「いえ、当然のことです」

提督「そ、そう」

神風「はい・・・」

大和「・・・」フム

大和(やっぱり、この子・・・)

神風「・・・では、私は寝室の片付けを続けます。何かあれば、すぐに呼んで下さい」クルッ

提督「あ、うん。よろしくね」

神風「はい」スッ

バタン

提督「・・・」

大和「・・・」

提督「・・・大和」

大和「・・・はい」

提督「・・・掃除、行こっか」

大和「・・・はい」

提督「・・・」

大和「・・・」

提督・大和「はぁ・・・」ガクッ


同日・夜

【居酒屋・鳳翔】

鳳翔「・・・それで、今日はお一人で来られたんですね」

提督「うん・・・これ以上余計な気をつかわせても、かわいそうだし。たまにはゆっくりさせてあげたいなー、って」

鳳翔「あの子は気にしないと思いますけど・・・」ン-

提督「そういうわけにもいかないよ。大和にはいつも苦労をかけてばっかりだし」パタパタ

提督「それに・・・私も鳳翔さんにちょっと聞きたいことあったから」

鳳翔「はあ・・・私に、ですか?」

提督「うん」

提督「・・・あのさ。鳳翔さんは神風って子のこと、知ってるかな?」

鳳翔「神風ちゃん・・・ですか?はい、よく知っていますよ」

提督「え、そうなの?」キョトン

鳳翔「ええ。以前、私は長く呉鎮守府に所属していましたけれど、そこには神風ちゃんもいましたから」

提督「へぇ、そうなんだ」

鳳翔「はい・・・でも、どうして急にそんなことを?」

提督「あ、うん。えっとね、その神風ちゃんが私たちの鎮守府に来たんだよ」

鳳翔「まあ。そうなんですか」

提督「うん・・・ただ、どうにも上手くいかなくて・・・」

鳳翔「・・・?」

鳳翔「あの、何かあったんですか・・・?」

提督「うぅ~ん・・・いや、何もないはずなんだけど・・・なんだか妙に距離を感じるというか・・・」

鳳翔「距離・・・ですか?」

提督「うん・・・なんて言うかその、彼女、私の前ではやけにかしこまってるっていうか、肩肘張ってるって感じで・・・」

提督「会ってからまだ数日だし、特に何かあったわけでもないはずなんだけど・・・」ムムム

鳳翔「・・・」フム

鳳翔(あの子が・・・?)

提督「・・・鳳翔さん?どしたの?」

鳳翔「あ・・・いえ、その・・・」

提督「?」

鳳翔「・・・」ウ-ン

鳳翔「・・・すみません。私も心当たりはありません」フルフル

提督「そっかあ・・・ま、そりゃそうだよね」ホヘ-

鳳翔「ごめんなさい。お力になれず・・・」ペコリ

提督「あっ、ううん。全然そんなことないよ。話を聞いてもらえただけでも、だいぶ気が楽になったから」パタパタ

提督「ま、しょーがない。明日にでも直接本人に聞いてみようかな」

鳳翔「そう、ですね・・・そうした方がよろしいかと思います」

鳳翔「けれど・・・そう、神風ちゃんが・・・本当に珍しいですね・・・」

提督「珍しい?」キョトン

鳳翔「ええ・・・あの子、神風型駆逐艦のネームシップですから、昔からよく下の子たちの面倒を見ていたんです。それこそ、頼り甲斐のあるお姉ちゃん、といった感じに」

提督「そうなんだ」

鳳翔「はい。それに、旧型の駆逐艦でも、神風型は信頼性や経験では他の駆逐艦に遅れを取らないって、いつも自信に満ち溢れていました。はっきりとした物言いもそういった心根の表れかもしれませんね」

鳳翔「前の提督からも凄く信頼されていて・・・とてもしっかりしていて、巡洋艦や空母の子たちも感心しきりでしたよ」

提督「ふぅん・・・」


・・・・・

提督「・・・今日は色々とありがとうございました」ペコリ

鳳翔「こちらこそ。提督とお話できて、私も楽しかったです」

鳳翔「是非、またいらして下さい」

提督「うん。それじゃ・・・」

ガラガラ

提督「ぁ・・・っと」

提督「鳳翔さん。最後にもう一つだけ聞かせてもらってもいいかな?」クルリ

鳳翔「あ、はい。なんでしょう?」

提督「えと、知らないなら別にいいんだけど・・・鳳翔さんは『ぷりんつ』って名前、聞いたことあるかな?」

鳳翔「ぷりんつ・・・」

鳳翔「・・・あ。もしかして、プリンツ・オイゲンさんのことですか?」

提督「知ってるの?」

鳳翔「ええ。ドイツの巡洋艦の方ですね。以前、一度だけお会いしたことがありますよ」

提督(どいつ・・・?)ポワポワ

提督「そ、そうなんだ・・・巡洋艦ってことは艦娘なのかな。どんな人なの?」

鳳翔「可愛い子ですよ。明るくて、笑顔が素敵で、優しくて・・・それでいて強い子です」

提督「そっか~・・・」フムフム

鳳翔「プリンツさんがどうかなさったんですか?」

提督「ん・・・?あ、ううん。大したことじゃないんだけどね。こないだ名前を小耳に挟んだから、少し気になって」パタパタ

鳳翔「あら、そうなんですか?」

提督「うん。わざわざ教えてくれてありがと」ニコッ

鳳翔「いえいえ。では、お気をつけてお帰りくださいね」ニコッ

提督「は~い」

ピシャン

とりあえずここまでで
わざわざ読んでくれた人いたら、ありがと
正直このペースだと終わらなさそうだから、ちょっと考えときます

【鎮守府・寝室】

ガチャ

神風「お風呂、お先に頂きました」

大和「ええ」

ギッ

神風「ふぅー・・・」

大和「今日もお疲れ様。まだ来て間もないのに、色々と任せてしまってごめんなさいね」

神風「あっ、いえ、そんな・・・私は片付けをしていただけですから」

大和「それも大切なことよ」

神風「はい・・・」

大和「よかったらなにか飲む?・・・といっても、ここにはお茶もラムネもないけれど・・・」

神風「・・・じゃあ、お水を頂けますか?」

大和「わかったわ。ちょっと待っててね」ギッ


・・・・・

大和「はい。どうぞ」スッ

神風「・・・ありがとうございます」

神風(濁ってる・・・)

神風「・・・」コクリ

神風「ぅ・・・」

神風「・・・不味い」ボソッ

大和「一応雨水を煮沸はしているんだけれど・・・ごめんなさいね。こんなものしかなくて」

神風「あっ、いえ、その・・・」ワタワタ

神風「こ・・・こちらこそ、すみません」シュン

大和「・・・」ジ-

大和「・・・ねえ、神風さん?以前から聞きたかったんだけど・・・貴女、どうしてそんなに落ち着きがないのかしら?」

神風「え・・・お、落ち着きがない・・・?」

大和「そう。まるで、ずっとなにかに怯えているように見えるけれど」

神風「・・・」

神風「そんなこと、ないです」

大和「そうなの?」

神風「・・・そうです」

大和「そう。なら、いいけれど」

神風「・・・」

神風「・・・大和さんの気のせいですよ。きっと」

大和「そう」

神風「・・・」

カタン

大和「・・・そう言えば、さっき貴女に出したお水ね・・・私も以前初めて飲んだのだけれど、その時は大変だったわ」

大和「ここに来て間もない頃にね、提督がわざわざ出してくれたの。この鎮守府には飲み物が桶に貯めた雨水しかないっていうから、のども渇いていたし、しょうがなくそれを飲んだのだけれど、金属とか埃が凄く混じってて、酷い味でね」クスクス

神風「はあ・・・」

大和「でね?提督が私に『美味しい?』って聞いてくるの。すっごく目を期待に輝かせて。だからかな、私、咄嗟に『美味しいです』って答えてしまったの。吐き出して、海水で口をゆすぎたくなるのを必死で堪えながら」フフッ

大和「そうしたら提督ってば。『なら私も飲もーっと!』って言いながら、そのコップの水を一息に飲み干したの」

神風「え・・・それ、大丈夫だったんですか?」

大和「ううん、当然その後は大騒ぎ。提督が色々と口から戻したせいで床は吐瀉物だらけになって、挙句『なんで嘘ついたの~!』って泣き喚いて」クスクス

大和「ほんと、あの時は大変だったなあ・・・」ハァ

神風「・・・」

神風「・・・大和さんは、その」

大和「ん?」

神風「・・・」

神風「怖くないんですか・・・?」

大和「怖い?」

神風「その・・・司令官に怒られたり、嫌われたり・・・」

神風「・・・」ギュ

神風「自分が・・・必要とされなくなることが」

大和「・・・」フム

神風「・・・」チラ

大和「・・・」ン-

大和「・・・これは、あくまで私の考えなんだけどね」

大和「きっと貴女は、自分にもっと正直になった方がいいわね」

神風「自分に・・・正直に・・・」

大和「・・・」

大和「・・・さっきのお水の話の続きだけどね。片付け終わって後、提督がすっごく怒った様子で私にこう言ったの」


提督『大和。誰かを幸せにする嘘をつくのはいいけれど、誰も幸せにならない嘘をつくのは、絶対に私が許さないからね』

大和「・・・ってね」

神風「嘘・・・」

神風「・・・」

大和「まあ・・・私もどうしてあの人があんなに真剣な様子でそんなことを言ったのか、その時は理由がよくわからなかったんだけど・・・今思えば、きっと見抜かれていたのね。色々と」

神風「・・・大和さん?」チラ

大和「・・・」

大和(多分、あの時から・・・ううん。むしろ、最初に会った時から、ずっと・・・)

神風「・・・」

大和「・・・」チラ

大和「貴女は・・・少し、頑張りすぎね」

神風「っ・・・」ギリッ

神風「あ、貴女に・・・!」

ダンッ!

神風「貴女にっ・・・戦艦の貴女に、私の何がわかるのっ!」

大和「・・・」

神風「貴女は、貴女は戦艦じゃない!大和型戦艦じゃない!私たち艦娘の中で、一番強いじゃない!」

神風「誰からも必要とされている貴女に、この私の・・・」ガタガタ

キッ

神風「燃費だけが取り柄の、旧型駆逐艦と罵られる私たちの、何がわかるって言うのよっ!」

神風「・・・」ハァハァ

大和「・・・」

神風「っ・・・」ギリッ

ギイッ

神風「・・・すみません。八つ当たりみたい真似をして・・・」

大和「・・・ううん、いいの」

大和「・・・あのね。正直に言うと、私も貴女と同じなのよ」

神風「・・・」

神風「・・・同じ?」

大和「そう。いつだって、また不要になるんじゃないかって。また捨てられるんじゃないかって。そんな不安で一杯なんだもの」

神風「・・・そんなはず、ないです。だって大和さんは、戦艦で、大和型で・・・」

神風「・・・私たちとは、違って・・・」

クスッ

神風「・・・?」

大和「ふふっ、ごめんなさい」クスクス

大和「どうやら神風さんは随分と私を高く評価してくれているようだけれど・・・私だって実際には、そんなに大層なものでもないのよ?」

神風「え・・・?」

大和「だって、ほら。私、燃費は最悪でしょ?以前は出撃する度に呆れたため息があちこちから聞こえていたから、本当に辛かったわ。それに身体が大きいから、敵の攻撃も当たりやすいわね。毎回毎回小さな傷を作っては、それを修理するのにすっごく時間がかかっていたわね。おまけに今の私には、艤装が何一つとないもの」

大和「ほら。しっかり鎮守府を片付けてくれた貴女より、よっぽど使えないでしょ?」

神風「そ、そんなことないです!だって、今は装備や資材がないから活躍する機会がないだけで、そうじゃなかったら・・・」

大和「そうね。もし私が万全の状態だったら、少なくとも同じ戦艦の子たちに遅れを取るつもりはないわ」

神風「だ、だったら・・・!」

大和「でも、だからなに?」

神風「えっ・・・?」

大和「もし装備が揃っていれば?もし資材が十分にあれば?そんな今ありもしないことを考えたところで、何の意味もないわ」

大和「私たちが向き合わなければいけないのは、この『今』だけなのよ。仮定や空想の中でなら、確かに私は最強の戦艦かもしれない。けれど、実際はどう?」

大和「満足に出撃することもできない、ただのお荷物でしかない。ご立派な名前をぶら下げただけのこんな『今』の戦艦大和を、一体誰が必要としてくれると言うのかしら?」

神風「そ、それは・・・」

神風「ぅ・・・で、でも・・・そ、それなら、大和さんはどうしてそんなに、堂々としてるんですか・・・?」

大和「それは・・・」

大和「・・・」フゥ

大和「ほんとはそれほどでもないんだけれど・・・そうね。もし私がそう見えるなら、それは私が提督を信じているから・・・それだけ」

神風「そんな・・・」

大和「あ、でもね。もちろん、提督なら誰でもいいっていうわけではないのよ?」パタパタ

大和「あの人が以前言ってくれたの。大和は大切な部下で仲間だもん、って。私たちにできることを、一緒に考えていこうって」

大和「口先だけの言葉なら、今まで色んな人からいくつも貰ってきた。けれど、あの人の目を、口を、心を見て、言葉を交わす中であの人が本当に、心の底からそう言っているんだってわかった」

大和「だから・・・私もあの人を信じて、あの人と一緒にいたい。私の信じる、私が信じることを願ったあの人だったから、私はそんな自分を少しだけ信じられるようにったの」

神風「・・・」

神風「私は・・・」

神風「・・・私には、信じられない。うわべだけの言葉なんて、私には信じられない」

大和「・・・そう」

神風「・・・はい」

大和「・・・」フム

神風「・・・」

大和「そういうことなら・・・うん。きっと、問題ないわ」

神風「・・・?」

大和「ふふっ。だって・・・」


大和「だって、この鎮守府には、間違いなく貴女が必要だもの」

神風「・・・」

神風「・・・そんなことないです。たまたま今はこの鎮守府に艦娘が少ないから、私でも必要だって思ってくれるかもしれない」フイッ

神風「けれど時間が経って、他の艦娘がたくさん来たら、私なんて、きっと・・・」

大和「待って」

神風「・・・」

大和「・・・この先、とか今だけ、なんて貴女は言うけれど・・・それって、悪いことかしら?」

神風「えっ・・・?」

神風「だ、だって・・・そりゃそうでしょ?要らなくなったら、捨てられるかもしれないのよ?私たちは」

大和「まあ、それはそうかもしれないわね」

神風「なら・・・!」

大和「でもね・・・」


大和「でも・・・私たちにとって一番大切なのは、今この時でしょう?」

神風「・・・!」

大和「もちろん貴女の言うように、未来のことや過去のことも踏まえて行動することも大事なことよ?」

大和「けれど・・・けれど、私たちは艦娘。今この時、私たちが必要とされている場所で、私たちを必要としてくれる人たちのために全力で戦うことが、私たちの役目じゃないかしら」

神風「それ、は・・・」

大和「・・・」

大和「貴女はずっと長い間、辛い思いをしてきたのかもしれない。それを私や提督が、全て理解してあげることはできないのかもしれない」

大和「けれど・・・その痛みも苦しみも、一緒に背負うことはできるわ」

神風「・・・」

大和「ただし、貴女が本当に思っていることを話してくれたら、だけど・・・ね」

神風「・・・」

神風(背負う・・・痛みを、苦しみを・・・)

神風(私の・・・千切れかかった、この想いを・・・)

神風(誰、が・・・?)

神風(・・・)

神風(私は・・・)

神風(私は・・・神風型駆逐艦の一番艦・・・)

神風(私が、私が皆を、守らないと、いけないのに・・・)

神風(皆が、妹たちが私の背中を見ている・・・)

神風(私が・・・私だけは、折れるわけにはいかない・・・)

神風(そうじゃないと・・・)


・・・・・

『神風型なんて古い駆逐艦、うちには必要ねえよ』

『燃費が他の駆逐艦よりちょっとばかしいいだけだもんなあ』

『ボロいし、古くせえし、なにより弱っちいんだよ』

『おまえ、もう出撃しなくていいから』

『邪魔だなあ』

・・・・・


『何か困ったことがあったら、いつでも私に相談しなさいよ』

こっちの台詞。私は貴女が心配よ。

『神風お姉様、大丈夫ですか・・・?』

全然平気よ。貴女が私の心配なんて、五年は早いわ。

『姉貴?疲れてるように見えるな。僕がいつでも交代してやるから、遠慮するなよ』

あんたに任せるのはすっごく不安だから、遠慮しておくわ。

『姉さん・・・』

そんな不安そうな目で見ないでよ。大丈夫。私に任せておきなさい。


私が全部、受け止めてあげるわ

だって、私は神風型の一番艦

妹たちの、たった一人の長女

私が彼女たちを導く
私が彼女たちを守る
私が彼女たちを救う

今度こそ、必ず

だから、嫌なことも、辛いことも、苦しいことも、悲しいことも

全部ぜんぶ、私が受け止めてあげる

必ず

私が


・・・・・

神風「うっ、うぅ・・・」グスッ

神風「く・・・ぅ・・・ううう・・・」

大和「・・・」ポンポン

神風「うぅぅぅ・・・ごめ、ごめんなさいぃ・・・みんなぁぁぁ・・・」ギュウ

大和「大丈夫・・・大丈夫・・・」

神風「うっ・・・ひうっ、ぅ・・・」 

大和「・・・大変だったわね・・・自分に嘘をつくのは・・・」

神風「ぅ・・・ぅっ・・・」

大和「でも・・・もう、一人じゃないからね・・・」

神風「っ・・・」

神風「ぅ、ぅぅ~・・・!」ギュ-

大和「・・・」ナデナデ



翌日・朝

【鎮守府前】

神風「~~~♪」サッサッサッ

~~~~~

提督「・・・」コソコソ

提督(う、うぅ・・・いざとなると、少し緊張するなぁ・・・)

提督(で、でも、このままじゃダメだし・・・聞き辛いことでも、提督の私からちゃんと聞いてあげないと・・・!)グッ

提督「よ、よぉ~し・・・!」イソイソ

ザッ

提督「や、やぁ~!神風ちゃん!おはよう!」

神風「あ、司令官・・・」

神風「はい。おはようございます」

神風「・・・その、昨日は司令官が帰ってくる前に寝ちゃったみたいで・・・ごめんなさい」ペコリ

提督「う、うむ・・・」

神風(うむ・・・?)

提督「・・・」ジ-

神風「・・・?」キョトン

提督(なんだろ・・・少し軽い・・・かな?)

神風「・・・」

ギュッ

神風「・・・あ、あの、司令官?」

提督「う、うん?なあに?」

神風「私・・・私、貴女に謝らないといけないことがあるの」

提督「謝らないといけないこと?」キョトン

神風「うん・・・聞いて、くれる?」チラ

提督(あ・・・)

提督「・・・」

提督(そっか・・・もう・・・)フッ

提督「ん・・・わかった」

神風「・・・ありがとう」ホッ

提督「・・・」ニコ

スッ

神風「?」

提督「・・・せっかくだし、中で話そう?朝ご飯でも一緒に食べながら、ゆっくり・・・ね?」

神風「ぁ・・・」

神風(司令官・・・)


『きっとあの人なら、受け入れてくれるから』

『・・・良くも悪くも、そういう人だから』

神風(・・・今、なんとなくわかった気がする)

神風(大和さんがこの人を、信じたいって思った気持ち・・・)

神風(だって、今、私もきっと)


神風「・・・は、はいっ!」パッ

ギュッ

(少し、ほんの少しだけど、心の底からそう思えたから)

今度出るらしい美世のラバスト3つくらい欲しいなあ…

とりあえずここまでです
わざわざ読んでくれた人いたら、ありがと
短くまとめるためにカットしまくってるから、もしかしたら所々意味わからんとことか説明足りんとこあるかも…もしなんかあったら言ってくだしあ

ほんとならこの段階でもう1人艦娘が増えてたはずなんだけど、気がついたらどっかいっちゃってた…まあいいや
てかこれで3章のまだ半分もいってないとか、計画性なさすぎて泣けるでほんま…

それはそうと、来年の艦これカレンダーに神風型総出演の絵があるらしいですよ!
神風型って今まであんまり書き下ろしとかなかった気がするので、正直たまんないですね~

忘れてた
今日は原田美世の誕生日です
おめでとうございます
来年こそ声つくといいなあ…てか、SRとかSSRもっとくださいな



《祈り》



私がおかしくなってしまったのは、一体いつのことだったのだろうか。


私には元々、あちらこちらと飛び回り駆けずり回り、挙句上手い具合に切り抜け続けてきたのだから、それ以上の願いなど無かったはずであったのだが、そういった私に一つのあまりにも醜く愚かな欲が生まれてしまったのは、一体どの瞬間のことだろう。

・・・思い出そうにも今では遠すぎて、もう何もわからない。


それでも一つ、確かなことと言えば、私にその気があったにせよ無かったにせよ、そういった結末を望んでいたに違いない、ということ。

そうでなかったならばあの時、燃え盛る業火の如き瞳でもって、長い時間をかけてようやく戻ってきた私のことを見つめる彼女のことなど、気にはすれど負い目に感じることはなかったのだから。

・・・ああ。どうして、どうして私は・・・



こんなにも、私たちの勝利だけを願ってしまうのだろうか。


《祈り》
おわり
ここまで読んでくれた人がいたら、ありがと
これが誰の独白かわかったら、もうストーリー終了です

艦これとかFGOのイベントやりたいけど時間ないんよなあ…てかデレステでトラプリのイベントやるらしいのに、ぐぬぬ…仕事め…

>>138から続き

一週間後

六月某日・朝

【海上・船内】

ザザ-ン

提督「おえぇぇぇ・・・」オロロ

神風「し、司令官・・・大丈夫・・・?」

提督「む、むぅ~りぃ~・・・」オロロ

神風「背中さすってあげるね・・・」サスサス

提督「あ、ありがと・・・」ウプッ

大和「まったく・・・提督ともあろう方が、まさか船酔いだなんて・・・」ハァ

提督「しょ、しょうがないでしょ・・・このユラユラ揺れる感じが、昔からどうにも・・・」

提督「・・・うぷっ」

オエ---!
シレイカ---ン!

大和「・・・はぁ」

ガチャ

??「あはは。相変わらず大変そうだね、大和さん」

大和「あ・・・鬼怒さん」

トンッ!

鬼怒「お~い、ていとく~!はいこれ、酔い止め!」

提督「う、うぅ・・・ごめんね、鬼怒ちゃん・・・」

鬼怒「いいよいいよ、気にしなくって!ど~せ使う予定もなかったんだしさ!」ニカッ

提督「そ、そう・・・うぷっ・・・でも、ありがと・・・」

鬼怒「はいは~い。どういたしまして~」ヒラヒラ

大和「ごめんね。わざわざ横須賀から迎えに来てくれたのに、迷惑ばっかりかけて・・・」

鬼怒「いーっていーって!気にしないの!ほら、あたしらの仲でしょ?」

大和「・・・ん、そうね。でも・・・ありがとう」

鬼怒「トーゼントーゼンっ!」フンスフンス

鬼怒「あ、そうだ。それより、もうしばらくもしたら横須賀だよ。快適な船旅を満喫するのも結構だけど、下りる準備もよろしくね~」ヒラヒラ

大和「ええ。わかったわ」

鬼怒「提督と神風も、よろしく~!」ブンブン

神風「は、はい!了解です!」 

提督「は、はぁい・・・りょうか・・・」

提督「・・・うぷっ」

オロロロロ...

神風「ああっ、提督!」

バタバタ...

大和「ふ、ふふっ・・・」クスクス

鬼怒「・・・?」チラ

鬼怒(んん・・・?)

あけましておめでとうございます。早速ですが、ミスです。もうすっかり新年なのにすまない…

>>152

×神風「ああっ、提督!」

??神風「ああっ、司令官!」

なんか文字化けしてるー!?
とりあえず>>152の神風の台詞は、

神風「ああっ、司令官!」

でよろしく

>>152から続き

ザアァァァ...

神風「司令官、はい。お水」スッ

提督「お、おぉ・・・悪いね・・・」

ゴクゴクゴク

提督「ぷはぁ・・・」

提督「ふぅ・・・ん、ちょっと楽になってきた、かな・・・」

神風「そう・・・良かった」ホッ

神風「・・・でも、そんなに船が苦手なら出発する前に言ってくれれば良かったのに・・・」ジト-

提督「ぅ・・・い、いやあ・・・そこはほら。仮にも提督という立場があるわけだし・・・」

神風「いらない見栄を張られて苦労するのは提督だけじゃないんですけど?」ジト-

提督「・・・すみません」

神風「もう・・・」ハァ

ザアァァァ...

提督「・・・」ホゥ

神風「・・・」ストン

提督「・・・良い天気だね」

神風「そうね・・・」

神風「今日は波も穏やかだし、暖かくてとても過ごしやすいわ・・・」スウッ

提督「・・・そっか」

ザアァァァ...

提督「・・・」

神風「・・・」

提督「・・・ふぁ」クアァ

神風「ん・・・」

提督「・・・」モソモソ

神風「・・・」コクリコクリ

ギュウ

神風「・・・っ!?」ビクッ

神風「し、司令官・・・!?」

神風(だ、抱きつかれ・・・!?)カアッ

提督「ん~・・・神風、良い匂いであったかい・・・」ハスハス

神風「ちょ、ちょっと・・・!?」ワタワタ

提督「うへへ~・・・気持ちいい・・・」スリスリ

神風「・・・」

神風「も、もうっ・・・」フッ

提督「んぅ~・・・」ギュギュ-


ザアァァァ...

神風「・・・」

提督「・・・」ポワポワ

神風「・・・司令官」

提督「・・・うん?」

神風「・・・」グッ

提督「・・・?」

神風「あの、ね・・・」ギュッ

提督「・・・うん?」

神風「・・・」



神風「・・・臭い」

提督「」ガ-ン



数時間後

ゴトン!

鬼怒「はい、お疲れ様!横須賀鎮守府に到着だよ~」

大和「すっかり夜遅くになってしまいましたね・・・」

神風「そうですね・・・」

大和・神風「・・・」

チラ

提督「」チ-ン

提督「クサイ...キモチワルイ...クサイ...キモチワルイ...」グルグル

神風「・・・あの、司令官は」

大和「・・・私がおぶっていくわ」ハァ

神風「・・・よろしくお願いします」シュン

大和「・・・」チラ

大和「・・・ちゃんと謝ったんだし、神風は気にしなくていいのよ?」

神風「ぅ・・・」

神風「は、はい・・・」

大和「・・・」フゥ

大和(律儀な子ね・・・)

大和(でも・・・少しずつ成長してる、かな?)クスリ

ドッコイセ

提督「や、やまとぉ~・・・」ギュギュ-

大和「はいはい・・・」ヨイセ

大和「・・・」ム...

大和「・・・やっぱり臭い」ボソッ 

提督「」

鬼怒「・・・」ジ-

大和「・・・ん?」チラ

大和「鬼怒さん・・・?どうかしたの?」

鬼怒「いやぁ・・・大和さん、少し前とはなんか雰囲気変わったなあって思って」

大和「・・・?」キョトン

大和「そうかしら・・・」ムムム

鬼怒「う~ん、なんとなくだけど、柔らかくなったというか、あったかくなったというか・・・?」

鬼怒「あ、いや、前が悪かったってわけじゃ全然ないんだけど」パタパタ

鬼怒「ん~・・・よくわかんないけど、そんな感じ?」

大和「はあ・・・そうでしょうか?」

鬼怒「うん・・・でもまぁ、私は今の大和さんの方が良いと思うな」

大和「・・・」

大和(そう、なんだ・・・)

大和「・・・ありがとう」ニコッ

鬼怒「あははっ!今日の大和さんはお礼言ってばっかだなぁ~」ケラケラ

鬼怒「・・・でも、ま、気をつけた方がいいよ。今の横須賀には色んなとこから艦娘やらお偉いさんやらが続々と集っているみたいだし・・・もしかしたら、ちょっと厄介なのがいるかもしれないからね」チラ

大和「・・・ええ。わかってるわ」

鬼怒「・・・そっか」

ドンッ

鬼怒「よっし!それじゃあお気をつけて!私はとりあえず船を片付けてくるから、あとはみんなで頑張ってね~!」

大和「本当にありがとう、鬼怒さん」

神風「ありがとうございました」ペコリ

提督「あ、ありがと・・・」

鬼怒「はいは~い。そんじゃ、元気でね~」ヒラヒラ

タンタンタン


・・・・・

鬼怒「・・・」

鬼怒(・・・とは言ったものの、ホントに大丈夫かなぁ・・・)

鬼怒(なんせウチには、あいつがいるし・・・)

鬼怒(大和さんと、それにあの提督も・・・)

鬼怒(・・・)ムムム

鬼怒「・・・ま。人の心配してる場合でもないか!」ポンッ

鬼怒「よ~っし!とりあえずこの船、さっさと片付けちゃいますかねっ!」


【横須賀鎮守府・母港】

トンッ

提督「お、おぉ・・・揺れてない・・・陸地、ここは陸地や・・・」プルプル

大和「・・・大丈夫ですか?」

提督「ん~・・・多分、もうしばらくもしたら、元に戻るはず・・・」ユラユラ

神風「司令官。肩を貸すわ」ヨイショ

提督「ん。ありがと・・・」

提督「それで、これから・・・」チラ

提督「・・・ぁ?」

大和「?」

神風「・・・司令官?」

提督「」ポカ-ン

大和「一体なにが・・・」チラ??

大和「・・・あっ」 ??

神風「・・・?」 キョトン

大和「・・・」 ??

神風「・・・司令官?」ヒョコ

??提督「な・・・」ガクガク ??

神風「・・・?」

提督「な・・・な・・・」



提督「・・・なに、これ・・・」ポツリ


読んでくれた人いたら、ありがと
なんか?がいっぱいついてますが、気にしないでください
使ってるスマホが古いから、きっとそのせいです

それはそうと、なんか最近のデレステ見てると、そのうち美世もSSR来るんじゃないかと凄く悶々としてる
資金も用意してあるから、早めにお願いしますよ


>>170から続き

提督「で、でっかい・・・広い・・・なんかいっぱい建物がある・・・」

大和「・・・私たちの鎮守府と比べれば、当然でしょうね」

神風「と言うか、あれは鎮守府とは言えないような・・・」

提督「ほわぁ・・・」ポワポワ

ガラガラガラ!

??「ちょっと!そんなとこでボケっと突っ立ってないで、早く中に入ってよ!」 バタバタ

提督・大和・神風「!?」ビクッ


トットットッ...

??「どうしたの?そんなところで固まっちゃって」

神風「あ・・・ご、ごめんなさい」ペコリ

大和「えっ・・・と、貴女は・・・」

??「私?私は瑞鶴。翔鶴型航空母艦の二番艦」

大和「あ。あの幸運の空母の」ポンッ

提督「幸運の空母・・・?」

大和「はい。瑞鶴と言えば、敵の数多の攻撃を諸共せず、かの大戦を最終局面まで戦い抜かれた、それはもう立派な空母なんですよ」

提督「ほえ~・・・」

瑞鶴「・・・戦艦大和ともあろうお方にお褒めに預かり恐悦至極。でもまあ、今はそんなことはいいのよ」パタパタ

瑞鶴「ほら、さっさと入る」クルッ

提督「あ・・・う、うん・・・」

提督「・・・」チラ

大和「・・・?」


【横須賀鎮守府・廊下】

トットットッ

提督「・・・」キョロキョロ

シ-ン...

提督「・・・誰もいないね」

瑞鶴「もうすっかりみんな寝静まってるわよ。こんな時間まで起きてるのなんて、外の見回りか、今日の私以外にはあと二人くらい」

提督「あれ?そうなんだ」

大和「ところで、今は何時頃ですか?」

瑞鶴「夜中の二時」

提督「うげ、もうそんな時間だったんだ・・・」

大和「時計がありませんでしたから・・・」

神風「道理で真っ暗なわけね・・・」ムニャムニャ

神風「んぅ・・・」ゴシゴシ

提督(可愛い・・・)ポワポワ


・・・・・

瑞鶴「・・・ふぁ」

提督「・・・やっぱり瑞鶴さんも眠い?」ヒョコ

瑞鶴「まあね・・・」パシパシ

提督「・・・」

提督「・・・もしかして、瑞鶴さんは私たちのために、こんな夜遅くまで起きていてくれたの?」

瑞鶴「・・・ん。まあ、一応そうね」コクリ

提督「そっか・・・ありがとう」

瑞鶴「私は提督に命令されて、仕方なくやってるだけよ。別にお礼を言われるほどのことじゃないわ」

提督「うん。でも、お陰で真夜中の鎮守府で迷わずに済んだし・・・やっぱりありがとう」

瑞鶴「だから・・・」チラ

提督「・・・?」ニコニコ

瑞鶴「・・・」

瑞鶴「はぁ・・・ま、いいか」ガクッ


・・・・・

瑞鶴「ここよ」

提督「おっきな扉・・・」

大和「・・・」

コンコンコン

瑞鶴「瑞鶴よ。言われた通り、連れて来たわ」

「入れ」

ガチャ

瑞鶴「・・・さ。どうぞ」

提督「あれ?瑞鶴さんは入らないの?」

瑞鶴「私は貴女達を執務室に連れてくるよう頼まれてただけだし。それに・・・もう眠たくって眠たくって、ほんと限界・・・」コクリコクリ

瑞鶴「あとは、提督と・・・」フラフラ

瑞鶴「・・・zzz」フラフラ

提督「あ~・・・お、お休み~・・・」

神風「お休みなさい」

瑞鶴「ゃすみ・・・」ヒラヒラ

フラフラフラ...

大和「・・・行ってしまいました」

提督「うん・・・」

「何をしている。さっさと入れ」

提督「・・・っと。そうだった。はいはい、今行きますよ~」

チラ

提督「・・・じゃあ二人とも、行くよ」

神風「はい」

大和「・・・はい」

ギイッ

読んでくれた人いたら、ありがと
なんで深海棲艦いるのにわざわざ陸路ではなく海から行ったのかってところは、色々と説明しづらい事情があったりなかったりしますが、次くらいでなんとなくわかるはず

ところで今回瑞鶴のところに全然別の人物を想定してましたが、あんま深く考えずノリで書いてしまった結果、今後の展開にかなり大きな修正が必要になってしまいました。アホやでホンマ…

急で申し訳ないですが、最近仕事が忙しくSSを書く時間がしばらく取れそうにないので、一応最初の頃に作ったネタだけ書いてこのシリーズは終わりにしようと思います。
読んでくれた人がもしいたら、ほんとすいません。。
とりあえずなにか質問やご意見等があれば書き込んでおいて貰って構いませんので、ご了承願います。

・艦娘

艦娘とは人間の少女を媒介に船の記憶をインプットすることでできる強化人間
その際、元の人間の人格は消失し、その人格を基盤として船の記憶を持った艦娘が誕生する
成功率は低く失敗ばかりで、その場合は廃棄される

この世界の艦娘は艦の魂を容れ物に入れて完成したモノ
その際の資材は艤装やベース部分の補強に回されているため、艦娘は普通の人間よりも身体能力で勝る

なぜ人間の少女の姿かというと、器となるもので自律的かつ論理的な行動ができるのは人間だけであり、かつ艦との同調具合が若い少女が高かったため

・提督

提督は大本営が総力を挙げて鹵獲した深海棲艦、戦艦レ級に矢矧を喰わせたもの。矢矧を喰ったことでレ級が矢矧をベースに新たな形を作ったものが提督。ただし、元々無茶なことをしている影響で記憶やら言葉使いやら知識やらがめちゃくちゃに混ざり合っている

ちょくちょく出てくるレポートの著者は矢矧。出てくる妹は酒匂

矢矧はとある戦闘でボロボロになり、身体を維持できなくなっていた。そこで、大本営は彼女をある実験に投入することを決める。

それは、艦娘の魂を深海棲艦の中に入れる、というものだった。それによって、より強力でありながら、理性的な兵器を作り上げようと画策していた

そして、彼らが鹵獲した内の一体で最も強力な深海棲艦レ級に矢矧を食わせ、その魂を移す。矢矧もこれに同意していたが、深海棲艦とは元々海の怨念から産まれるものであるため、矢矧の自我は強大な深海棲艦の怨念の中に埋もれる。矢矧はそれを受け入れ、同化したとも取れる。その際、黒幕の働きで矢矧の記憶が世界から抹消されている

そして、同化したレ級は矢矧の記憶の一部とその在り方を引き継いでいくことになるが、この際に記憶障害を引き起こし、自身が何者であるかがわからなくなる

そこで、まずは艦娘としての能力を見る前に、戦況の把握や分析への適性、及び艦娘を始めとした人間とのコミュニケーション能力を測るために、北方にある孤島に送り込み監視されることになった。ちなみに、その監視を行っているのは山城

そんなわけで、現在の提督は元々海の怨念が集まってできているが、本体が矢矧の影響を受けて艦娘に寄ってしまったために、深海棲艦としての力を発揮することはほとんどできない。大和を助けるために一度だけ魚雷を撃ったが、その時も体力を大幅に消耗していた


・黒幕

ラスボスは時雨、もといその名を借りた少女
矢矧にレポート内で情報を与えたのは彼女
勘が良く、時雨の本性と企みに気付き問い詰めてきた彼女を深海棲艦のエサにした張本人
元になった少女の憎しみや恨みが色濃く出ており、本来の時雨を侵食している

時雨の真の目的は『日本の勝利』。元凶とは異なり、彼女の場合は勝利することに対して並々ならぬこだわりがある。しかし、それは駆逐艦時雨本来の望みではなかったため、最終局面で僅かな綻びを生むことになる

・元凶

元凶は雪風、もといその錨
時雨の元になった少女の言葉と海の嘆き、さらには日本の末路を目にして、もう一度戦いをやり直し、今度こそ勝利してみんなと笑い合いたいと願った結果、敵として必要な深海棲艦が誕生してしまった。世界を改変してる神みたいなもんだけど、本人は至って優しいから必要以上のことはしない

現在は時雨に利用される形でどこかの地下に幽閉されている

・北方のとある鎮守府について

元々は存在しない鎮守府。時雨が提督を観察するために作らせた張りぼての島にある

最終的に鎮守府に所属する艦娘は
大和、神風、秋津洲、プリンツ
の4隻。空母が欲しいという提督の願いが叶うことは最後までなかった

提督の目の色は元々青色でしたが、矢矧を取り込んだ影響で片方が赤くなっています。また、ポニテがしっくりきてたのも矢矧の影響です。肌が青白いのも元々です

あと、プリンツは所謂スパイとして送り込まれてきます

そんなとこですかね…もしなんかあったら指摘してもらえればと思います。
長々と拙い文章ばかりでしたが、読んでくれた皆様には感謝しかありません。ありがとうございました。

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