幽霊「私だって幸せになりたい!」(22)

男「じゃあ成仏しろよ。俺なんかに引っ付いてないで」

幽霊「いやなんか憑きやすかったからついてるだけですけど」

男「こんなんだったら心霊スポットなんかについてくんじゃなかったな・・・」

幽霊「男の子の幽霊に憑かれるよりはいいでしょ?」

男「幽霊に憑かれること自体いやに決まってんだろ」

幽霊「そーかなー?君みたいに女の子にモテなさそうな人にしてみればかなりうれしいイベントなんじゃないのこれ?」

男「勝手に言ってろ」

男「だいたい幸せになりたいって何すりゃ幸せなんだよ」

幽霊「え?んー・・・まぁ私こんな恰好してるし、死ぬ前は学生だったんですよ」

男「そりゃ見た目でわかるけど」

幽霊「遊んだり、恋をしたりいろんなことをできずに死んじゃったもんだから未練たらったら!」

男「・・・だったら他の野郎を相手にしてくれよ。俺年下に興味ないし」

幽霊「君いくつ?」

男「19」

幽霊「じゃあ大丈夫。私死んだのは16だけど死んでから5年は経ってるから!」

男「・・・」

男「だいたい遊ぶって言っても、お前幽霊なんだろ?」

幽霊「んー」

男「遊ぶも何もできないじゃん」

幽霊「え?君は私に触れるでしょ?」

男「はぁ?」

幽霊「ほら、よく幽霊に襲われて実害を被る人いるでしょ?あれと同じ同じ」

男「自分を実害って認識してるんだな」

幽霊「ほら触ってみ!タッチミー!」

もにゅ

男「・・・ってホントに触れるのかよ」

幽霊「・・・」

男「・・・いってぇ」

幽霊「きゅ、急におっぱい触るってのはド変態なんじゃないかな?!」

男「俺が触れるってことはお前も俺に触れるってことを見落としてたな」

幽霊「分析する前に謝罪の一つもしたらどうなの?!いきなりおっぱい触るとか!触るとか!!」

男「タッチミーっていってたじゃねーか!」

幽霊「そういう時は普通手とかでしょ!」

男「まぁいいや。とりあえずお前に触れるってことはわかったから」ワキワキ

幽霊「な、なんか身の危険を感じるんですけど・・・」

男「もう死んでるやつに身の危険もなんもないだろ」

幽霊「へー・・・男の子のわりにお部屋きれいにしてるんだねー」

男「物がないだけだ」

幽霊「ふーん・・・私の弟なんかベッドの下なんかに」ゴソゴソ

男「なんかあったか?」

幽霊「つまんないのー」

男「ほれお茶」

幽霊「私アイスが食べたいな」

男「食えば成仏するのか?」

幽霊「んー・・・まぁ一歩は前進するかな?」

男「図々しい幽霊だな・・・」

幽霊「すごいね、今時チューペットなんてなかなかお目にかかれない気がする」

男「食わないなら別にいいぞ」

幽霊「あー!長いほうあたし!」

男「いいよ両方食って」

幽霊「えー?こういうのって分けるからいいんじゃん。はい半分」

男「ん・・・」

かちっ

幽霊「扇風機にアイスに麦茶・・・日本の夏だねぇ」ガジガジガジ

男「死人が何言ってんだか・・・」

幽霊「そーいや君には彼女とかいないのかい?」

男「お前モテなさそうって言ってたくせに」

幽霊「ほほう・・・じゃあ私も彼氏がいないからちょうどいいね」

男「何がちょうどいいんだ?」

幽霊「私とひと夏の恋でもしてみようよ!」

男「はぁ?」

幽霊「ヘイベイビー!あたしに触れるとやけどしちゃうよ!」

男「そうだな、胸触ったらビンタ飛んできたし」

幽霊「あ、あれは君が悪いんでしょうが!」

男「付き合うって・・・付き合ったとして何すりゃいいんだ?」

幽霊「それはこう・・・遊びにいったり・・・・・・」

男「それ以外は?」

幽霊「・・・そ、そういうのは付き合っていく中でわかっていくもんなんじゃないかな?」

男「お前もそういう経験がねーからわかんねーんだろ?」

幽霊「それは君も同じでしょーが!」

男「遊びに行くくらいだったら別に付き合わなくてもい・・・」

幽霊「だぁから!ひと夏の恋っていったでしょー!恋だよ恋!」

男(どっちも恋愛なんか体験したことないのにんなこと言ってもなぁ・・・)

男「じゃあまずは何すればいいんだ?」

幽霊「そーだなー・・・恋人らしいことって言えば・・・手をつなぐとか?」

男「家の中で?」

幽霊「まぁ練習って意味も込めてやってみましょー」

男「まぁ・・・いいけど」

にぎゅ

男「・・・」

幽霊「・・・」

男「お前・・・手めっちゃ冷たいな」

幽霊「まぁ・・・幽霊ですから」

男「・・・」

幽霊「・・・ってちがーう!」

男「な、なんだよ急に」

幽霊「もっとこうさ!幽霊ちゃんの手すごい女の子っぽい手だねとかセリフあるでしょ!」

男「幽霊ちゃんの手、冷たくてまるで死体みたいだね」

幽霊「そんなんで喜ぶ女子がいるかー!やり直し!」

男「はぁ・・・お前の手って・・・うーん・・・」

幽霊「うんうん」

男「生命線短くね?」

幽霊「そりゃあ早めに亡くなってますからっておい!いい加減そこから離れる!もっと素直に褒める!」

男「えぇー・・・うーん・・・」

幽霊「・・・」

男「ほっそいな」

幽霊「・・・あ、うん」

男(満更でもないのか?こんなんで)

男「・・・でこれからどうするん?」

幽霊「うーん・・・このままおしゃべりするとか・・・?」

男「なんの話?」

幽霊「えっと・・・じ、自己紹介とか?よく考えると私、君の名前もまだ聞いてないし」

男「名前も知らない男と付き合おうとしてるのもなかなかすごいな」

幽霊「い、いいから!ほらほら名前!」

男「男だよ。お前は?ずっと幽霊って呼んでたけど」

幽霊「私は女っていうの。まぁ今はそのまま幽霊って呼んでてもらっていいよ」

男「・・・?まぁお前がそれでいいっていうなら」

男「お前ってなんで死んだの?」

幽霊「うわっ・・・直球にきたね」

男「だって気になるし」

幽霊「うーん・・・私もよくわかんないんだよね」

男「はぁ?」

幽霊「なんか学校にいたのは覚えてるんだけど・・・そこから先は・・・うーん」

男「なんだそれ、随分あいまいだな」

幽霊「死ぬ間際のことなんて覚えてないよそんなの」

男「そこから成仏するヒントとか得られそうだけど」

幽霊「自分が死んだときの記憶を取り戻したら逆に未練が残りそうだけどねー」

男「・・・」

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