飛鳥「君の名前を奏でよう」 (17)


加蓮「あ、飛鳥ちゃん」

奏「あら、こんにちは」

飛鳥「やぁ、加蓮、奏さん」

加蓮「どしたのー、何か用事?」

飛鳥「ああ。奏さん、ちょっといいかい」

奏「ん、いいけれど……」

飛鳥「ああ、いや、手が塞がってるなら出直すよ」

奏「それは構わないけど……ちょっと、堅苦しくないかしら?」

飛鳥「堅苦しい、と言うと?」

奏「呼び方よ、その、さん、っていうの」

飛鳥「さん、成程、確かにありきたりな呼び方だ……ボクとしたことが、普通という殻に捕らわれていたみたいだ」

奏「うん?」

飛鳥「わかった、見つけてくるよ。君に相応しい響きを」

奏「え、ちょっと」

飛鳥「フフ……心が躍るな」

バタン

奏「……呼び捨てで良いのに」

加蓮「ていうか用事は良かったのかな」

奏「あ」


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デレマスなんですよ
二宮さんは橘さんに言われたこと律儀に守ってるなぁと思いながら結局いつものノリです


志希「それであたしのところに来ちゃうかー」

フレデリカ「頼られてるんだよ~、さすが志希にゃん!」

飛鳥「暇だろう?」

志希「ヒマじゃないよー」

フレ「ダラダラしてたんだよー♪」

飛鳥「そうかい、邪魔して悪かった。まぁ、お互い様だと思って諦めてくれ」

志希「ま、あたしとキミのよしみだ、許してあげよう」

飛鳥「それはどうも」

志希「でもー、難しく考える必要ないよ、ねーフレちゃん」

フレ「ねーシキちゃん♪」

飛鳥「成程」



飛鳥「奏ちゃん」

奏「えっ」


飛鳥「ボクらに共鳴する響きではなかったみたいだ」

周子「奏ちゃん割りとそういう呼ばれ方嫌いじゃないと思うけどねー」

夕美「それって可も無く不可も無くじゃないかな……」

周子「ま、そうとも言う」

飛鳥「それで意見を聞きたい、と思ってね」

周子「そこでシューコちゃん頼ってくるとか、飛鳥ちゃんかわいい所あるじゃーん」

飛鳥「暇だろう?」

周子「やっぱかわいくなかった……」

夕美「周子ちゃん暇だーなんかしよーって伸びてたでしょ」

周子「それはそうなんやけど、そうじゃなくてね」

夕美「?」

飛鳥「邪魔したかい」

周子「ま、暇は暇やし気にしない気にしない……ちゃん、じゃなくてか。そうだなーあたしなら……」

飛鳥「成程」



飛鳥「奏はん」

奏「えっ」


未央「別件でとりあえず謝るね。ごめんなさい」

飛鳥「別段心当たりはないが……問題ないよ」

未央「ありがとう」

藍子「えっと、飛鳥ちゃんの出身って」

飛鳥「静岡だ」

未央「だよね。似非すぎるよ」

飛鳥「心配しないでくれ、自覚はある」

未央「うーん……あ、私みたいに、自分で考えたあだ名なら自分がオリジナルだよ!」

飛鳥「ふむ、確かに」

藍子「あーちゃんって呼んでくれるの、未央ちゃんの特別ですもんね」

未央「そう、未央ちゃんの特別なのですよ。んー、私と被らないようにするなら下の名前で……」

飛鳥「成程」



飛鳥「かなっち」

奏「えっ」

かな子「? はーい?」

加奈「は、はいっ!」


蘭子「ふむ、一なる呼び声の混濁か」

飛鳥「ああ、ボクとした事が汎用で凡庸な発想に捕らわれていたようだ」

蘭子「ならば容易い事よ、真に一なる洗礼名を創造すれば良いだけのこと」

飛鳥「本当の意味でオリジナル、か」

蘭子「我らが紡ぎし言霊が起源となるならば、其れは三千世界に唯一無二の響きであろうぞ!」

飛鳥「力を貸してくれるのかい?」

蘭子「フフ、聞くまでもないであろう」

飛鳥「ありがとう、感謝するよ蘭子。それで、だ、キミの意見を聞かせてくれないか」

蘭子「彼の者は麗しき唇の持ち主……然らば其を冠さぬ手はあるまい」

飛鳥「成程」



飛鳥「冥府の果実に口付けし蜜滴る乙女よ」

奏「えっ……」

飛鳥「……」

奏「あっえっ、私?」

周子(蜜滴るってべちゃべちゃやん)

文香「なるほど……蘭子さんらしい言葉選びですが、愛称としては少し長いかもしれませんね」
飛鳥「本人にも何のことかわからないって顔をされてしまったからね」
文香「力をお貸しすることは吝かではありませんが……生憎と、そういったものを考えた経験があまり無く……」
飛鳥「協力してくれるだけでありがたいさ。キミから見た彼女の印象、ソレを聞かせてほしいんだ」
文香「印象……そうですね、奏さんは猫のような方だと思います」

飛鳥「猫、かい?」

文香「はい……満月の光を湛えた瞳に、夜明け前の空のような毛並みの猫。本来なら有り得ないその霊びな情景は、見る者を魅了し終わりの無い物語の満ちた迷路へと……あ……す、すみません」

飛鳥「いや、ボクの方こそすまない。こんなにも熱の入った姿は初めて……でも無いが、舞台の上でしか見たことが無かったものだからね。つい呆気にとられてしまったよ」

文香「お恥ずかしい限りです……」

飛鳥「いいや、参考になったよ。ありがとう」

文香「お力になれたなら幸いです」

飛鳥「……成程、猫か」


飛鳥「聞いてアロエ李衣菜」

李衣菜「どこで覚えてきたのそんなの」

飛鳥「こう唱えると相談に乗ってもらえると聞いてね」

みく「なーにやってるにゃ……」

李衣菜「私が初めたわけじゃないからね!? ……ちなみに誰に聞いたの」

飛鳥「未央さんに」

李衣菜「次会った時ばっこり行くから覚えとけよ」

飛鳥「しかしそうなると、どうしたものかな。猫なら、と思っていたんだが」

みく「! ネコチャンと仲良くなりたいの?」

飛鳥「そうだな……広い意味ではそう言い表すことも出来る、だろうね」

みく「そういうことなら猫じゃらし! 楽しく遊んだら自然と仲良くなっちゃうにゃ! はい、飛鳥チャンにあげるね」

飛鳥「成程」フリフリ



飛鳥「……」フリフリ

奏「……」

飛鳥「……」フリフリ

奏 ペチ

飛鳥「ん゙っ」


比奈「え、じゃらしたんでスか? 奏さんを? ねこじゃらしで?」

飛鳥「ああ」

比奈「ねこじゃらしでっはっふふふふふ」

由里子「いかん比奈センセがツボった」

飛鳥「大丈夫かい?」

由里子「ゲラはいつもの事だから大丈夫だじぇ」

比奈「ふふふいやでもだいぶ煮詰まってるみたいスねんふふふふ」

飛鳥「お恥ずかしい限りだよ」

由里子「んー、ならこの辺でベッタベタなやつ行っとく?」

比奈「はー……この前話してたやつっスね。奏さんと飛鳥ちゃんなら絵になるかも」

飛鳥「と、いうと?」

比奈「名前じゃなくてでスね……」

飛鳥「成程」



飛鳥「お姉さま」

奏「?!」

飛鳥「……これも違う、か」スタスタ

奏「えっ」

美嘉「……」

奏「あっ」

美嘉「わかるよ、妹ってかわいいもんね」

奏「ちょ、違っ」


亜季「姉妹の契りでありますか」

飛鳥「形だけ……呼び方だけだがね」

亜季「だ、そうでありますよ有香殿。残念でしたなぁ」

飛鳥「そういう嗜癖があるのかい?」

有香「無いですよ?!」

亜季「しかし奏どのでありますか……ふむ、隊長殿、というのは」

有香「何のですか」

飛鳥「有香も何か思いつかないかい?」

有香「ええと……し、師範代?」

亜季「何のでありますか」

拓海「何悩んでるか良くわかんねぇけどよ。もっとシンプルでいいんだよシンプルで」

飛鳥「と言うと?」

拓海「いいか、ビッと気合い入れてな……」

飛鳥「成程」



飛鳥「速水の姐御ォ!」

奏「えっ」


杏「それでとうとう杏のとこまで来たのね」

飛鳥「ああ、なかなかいい案だと思ったんだがね。仏恥義ってしまったようだ」

杏「まぁ奏ちゃんはバイクより助手席の似合うアイドルNo1だからね」

飛鳥「そうなのかい?」

杏「適当に言った」

飛鳥「何の意味がある発言なんだい……」

杏「あれ、乗せられちゃった?」

飛鳥「からかいならノーセンキューだ。意見は欲しいけどね」

杏「んー……菜々ちゃーん」

菜々「はーい?」

杏「なんか意見ちょーだい」

飛鳥「丸投げなのかい……菜々。頼むよ」 

菜々「お安い御用ですよ! うーん、と、そうですねー……うーん」

杏「お安い御用とは」

飛鳥「すまないな」

菜々「が、頑張って考えますから!」

杏「アレは? バイトしてたときのやつ」

菜々「あ、いいですね! 折角だから衣装も着ちゃいましょう!」

飛鳥「成程」



飛鳥「お帰りなさいませ、お嬢様」

奏「えっ」

伊吹「あ……へぇ……」

奏「待って、納得しないで」


日菜子「それでメイドさんですかぁ」

飛鳥「我ながら慣れないことをしてる……いや、着てるとは思うよ」

日菜子「飛鳥ちゃん、コラボのお仕事のときも執事さんみたいな衣装でしたもんねぇ」

由愛「私はかわいくていいなぁって思いますけど……」

飛鳥「ありがとう。ま、新たなセカイへのちょっとした挑戦だ」

由愛「でも、奏さん……奏さん、って感じだから難しいですね……」

日菜子「そんなこと無いです、女の子ならきっと王子様に憧れたことがあるはずですからぁ~」

飛鳥「ああ、それは……日菜子らしい意見だな」

由愛「そういえば、私も王子様が出てくる絵本……大好きでした」

日菜子「もちろん日菜子も……」

由愛「日菜子さん?」

飛鳥「……旅立ったようだね」

日菜子「……奏さんもきっと王子様に憧れたことがあると思うんです」

飛鳥「帰ってきたようだね」

日菜子「だから白馬の王子様になるんです、飛鳥ちゃんが」

飛鳥「成程」

由愛「えっ、お、お馬さんは……」

飛鳥「いや、閃いた。なんとかしよう」



飛鳥「姫、お迎えにあがりました」

鈴帆「ヒヒーン」

奏「えっ」

美波「えっ」

奏「……」チラッ

美波「た、助けを求められても……」

鈴帆「ヒヒーン」


法子「そっかー、それで王子様みたいなかっこなんだね」

飛鳥「我ながらこれは中々だと思っていたんだけど」

法子「あたしはかっこいいと思うけどなー」

飛鳥「ありがとう。ところで、そのドーナツの大箱は……」

時子「何か文句があると?」

飛鳥「いや、珍しい光景だと思ってね。パーティーでもあるのかい?」

時子「一度自分の姿を鏡で確認してから物を言いなさい」

法子「よかったらおひとつどうぞ♪ これね、時子さんが買ってくれたの」

飛鳥「良いのかい?」

時子「有難く施しを受けなさい」

飛鳥「それじゃ、有難くいただくよ……本当にすごい量だね」

時子「聞いて驚きなさい、一日分よ」

飛鳥「致死量の間違いじゃないのかい?」モグ

法子「んー、でも奏さんかー。むつかしいね」

時子「何を悩んでいるかわからないわ、簡単な話でしょう?」

飛鳥「と言うと?」

時子「単純よ、這いつくばりなさい。人であることを捨てて、豚として」

飛鳥「成程」



飛鳥「女王様」

奏「ちょ、ちょっと待って」


飛鳥「なんだい」

奏「……もう、終わりにしない?」

飛鳥「お気に召さなかったかい?」

奏「私達の間にそんな風に飾られた言葉、必要無いでしょう」

飛鳥「ふむ……」

奏「あとあらぬ誤解を産んでるから」

飛鳥「そうか……キミも大変だな」

奏「あなたもよ」

飛鳥「そうか……ボクも大変だな」

奏「何で他人事なの」

飛鳥「でも、確かにその通りかもしれないな。飾らない言葉、生まれたままの言葉。それこそが必要だったわけだ」

奏「そう、そうね」

飛鳥「本当に廻り道だった。本当に、本当に、なんて遠い廻り道……最初からこう呼ぶべきだったね」




飛鳥「……奏」



ありす「あっ、また呼び捨てにして……!」プンスコ

飛鳥「奏さん」

奏「……もう、それでいいわ」

そんな感じでおしまいおしまい
イベントも後半戦に入りましたね
エンブレムをムダにしないように気をつけていきましょう

直近のは→杏「ロックとスターと今日はココっス」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1500117734/)

読んでくれた方ありがとうございます。次があればよろしくお願いしますね。

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