【東方】平行に別れた世界には (18)
東方プロジェクトの二次創作です
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・・・頭が、痛い
重い物で頭を殴り付けられたように、頭がガンガンする・・・
全身が痛い・・・
壁にすがるようにしてなんとか立とうとする・・・
少し身体を動かすだけでも体中の関節がきしんで、息がきれる
しばらくして息を整えたあと、周りを見渡してみる
随分と背の高い建物があちらこちらに建っている
聞きなれない機械音、騒音も聞こえる
周りには全く覚えのない景色が広がっていた
咲夜「・・・」
ここはどこなのか、見当も付かない
そして自分が何者なのかも・・・
咲夜「これは・・・メイド服?」
自分の身に付けているものをみて不思議に思う
一部が破れたり、煤に汚れてボロボロになったメイド服
・・・それと
咲夜「・・・ナイフ?」
太股の部分にはナイフが三本程度収納できるベルト、そしてよく研がれたナイフ
咲夜「・・・っ!」
ナイフを見て、頭がズキリと痛む
何か・・・
重要な部分が抜けている・・・
咲夜「・・・?」
ポケットに違和感がある
何か・・・何かがポケットに何時も入っていた
そんな気がする
しかし・・・思い出せない・・・
唯一思い出せる事は・・・
私は十六夜 咲夜だということ
それだけだ・・・
大家「ここが今日からあんたの部屋さ」
咲夜「ありがとうございます」
一礼してから大家から部屋の鍵を受けとる
大家「お礼を言うのはこっちさ。こんな木造のボロアパート、今さら住む人なんていないと思っていたからねえ」
大家が冗談っぽく笑う
咲夜「こちらこそ、こんな価格で部屋を貸していただいて・・・」
大家「いいんだよ。うちは子供が結婚してねえ・・・、寂しかったもんだからさ」
大家はどこか遠くを見ているような目をして言う
「アンタ見てると、我が子を見ている気分になるのさ・・・」
大家「まあ、年寄りってもんは若い子を見るとほっとけなくなるんだよ」
咲夜「・・・」
大家「それじゃあアンタも頑張りなさいな、それじゃあね」
そう言うと大家は、くるりと私に背を向けて階段を降りていった
ガチャリ
鍵をはずし、部屋の中に入る
室内は意外にも綺麗なものだった
居間には小さいながらテレビがあり、簡単な台所やシャワールームもある
これだけのものを月1000円で貸してもらえるのだから、あの大家には本当に感謝しなければならなかった
あの日から一週間が経った
この世界について分かったことは色々とある
例えば道を走っている四角い箱の様なものは『自動車』であること
生活していくのに必要な守るべき『法律』というものがあること
ここが『東京』という所だということ
最初に見た背の高い建物を『ビル』ということなどだ
私はなぜここにいるのか・・・
それは今も分からない
あのときの違和感も、ナイフの事も・・・
これからは日付と時間を表記していきます
都合で咲夜が来てから一年後へ急に話が飛びます。グダグダですいません・・・
質問をくだされば答えますのでよろしくお願いします
2018年 10月12日 13時25分
都内某所のラーメン屋
店員「とんこつ醤油、味玉トッピングです」
ゴトッ
咲夜「・・・」
ズルッ ズーー
咲夜「・・・美味しい」
店員「ありがとうございます!」
『・・・のニュース・・・で・・・企画・・・』
客「兄ちゃん、テレビの音量あげてくれんか」
店員が音量をあげる
『・・・NASAの月面調査計画、アポロ25号の打ち上げが最終段階に入ったとのことです。打ち上げ予定日は10月17日とのことです』
『次のニュースです・・・』
客「なんや、また月面着陸なんかいな」
ズー ゴクリ
咲夜「ごちそうさま」
店員「ありがとうございます、890円になります」
咲夜「・・・」
店員「はい、お釣りが110円になります」
咲夜「美味しかった、また来るわ」
店員「はい!ありがとうございました!」
新しく家の近くにラーメン屋が出来たということで来てみたけれど・・・
なかなか美味しかったわね・・・
この世界に来て早くも一年が経った
この世界には少しずつだが慣れてきてた
仕事先も見つけることができ、安定した生活を送ることができている
最近はあの違和感を感じることはなくなった
やはりあの時の違和感は単なる勘違いだったのだろうか?
14時15分
都内某所 裏通り
外食したついでに探索がてら歩いていたのだが・・・
今日は祝日ということがあってかほとんどの店がシャッターを下ろしていた
咲夜「・・・?」
しかし他の店が閉まっている中、一つだけ開いている店があった
咲夜「カフェかしら?名前は・・・『Libury』?」
赤煉瓦造りで、他の店とは一風変わった雰囲気がある
ドアには『OPEN』と書かれたカードが釣り下げられていた
ガチャリ
?「珍しいわね、こんな日に。いらっしゃい」
咲夜「ここは・・・」
店内を見渡すとたくさんの本棚、かなりの冊数の本があるんじゃないだろうか
?「ここはカフェよ。それと貸本屋も兼ねているけど」
カウンター席で店主らしき人物が答える
?「店内でコーヒーを飲みながら読書なんかもできるわよ」
パチェ「私はパチュリー・ノーレッジ、よろしくね」
咲夜「私は十六夜咲夜です、よろしくお願いします」
違和感だ
この方に前会っている?
もっと前に・・・
パチェ「・・・?どうかした?」
咲夜「いや、何でもありません・・・」
パチェ「そう・・・」
パチェ「ねえ、せっかく来たのだから飲んでいったら?お代は要らないわ」
咲夜「いえ、そんな・・・」
パチェ「いいのよ、久しぶりのお客さんだし」
咲夜「あ、ありがとうございます!」
パチェさんに勧められてカウンター席に座る
パチェ「ブラックとミルク、どっちがいい?」
咲夜「えっと、ブラックで・・・」
ゴトッ
パチェ「どうぞ」
咲夜「はいっ!、いただきます」
パチェ「・・・っ!美味しいです!」
パチェ「本当?なら良かったわ」
パチェさんも特に気にしている様子はない
やはり私の思い過ごしだろう
咲夜「どうやったらこんなに美味しく淹れられるんですか?」
パチェ「いたって簡単よ、少しコツがいるけれど・・・」
咲夜「そうなんですか・・・」
パチェ「良かったら今度教えてあげるわ」
咲夜「はいっ!」
咲夜「そういえば・・・」
パチェ「ん?」
咲夜「どうしてパチェさんはこのカフェを開こうと思ったんですか?」
パチェ「この店は私が開いたわけじゃないのよ」
咲夜「そうなんですか、では一体誰が・・・」
パチェ「それがね、よく分からないのよ」
咲夜「・・・どういうことですか?」
パチェ「馬鹿みたいな話よ、冗談だと思ったならそう判断してくれて構わないわ」
咲夜「・・・」
パチェ「今から・・・そうね、だいたい一年前の話よ」
パチェ「気が付くと私はここにいたの」
パチェ「記憶がスッポリと抜けていたのよ。自分が前まで何をしていたのかも、なぜここにいるのかも」
パチェ「唯一分かっていたのは私がパチュリー・ノーレッジという事、それだけなの」
パチェ「最初のうちは苦労したけれど・・・最近は少しずつだけど慣れてきたわ」
パチェ「でも違和感だけはなくならないの」
咲夜「違和感?」
パチェ「そう、違和感よ」
パチェ「よく分からないのだけれど・・・何か重要な事が抜けている、そんな気がするのよ」
咲夜「・・・」
パチェ「ね、馬鹿みたいな話でしょ?」
咲夜「・・・」
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