未央「私がプロデューサーに全力で甘える日?」 (36)

卯月「か、会議の末、明日の休日は『未央ちゃんが全力でPさんに甘える日』に決まりました」

卯月「い、以上、会議を終わりにします」

凛「異議なし。閉会」

カンカンッ(法廷っぽいハンマーを鳴らす音)

未央「待って。いきなり何の話?」

凛「?」

未央「何すっとぼけた顔してるのさ。しぶりん」

未央「事務所のドアを開けて、靴を脱いで、上がった途端に『会議終了』を告げられた私の気持ちになっておくれよ」

卯月「ご、ごめんなさい~…」

未央「やー、しまむーは悪くないよ。多分。おそらく。間違いなく」

凛「つまり、本当の悪人なんてこの世にいないってことだね」

未央「そんなスケールの大きな話をした覚えはないよ?」

凛「そうだね。明日が『未央がプロデューサーに甘える日』になったって話だけだね」

未央「いや、さも当然のように言われても困るよ」

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未央「しまむー。何があったのか教えてくれる?」

卯月「しゅ、守秘義務が…」

未央「ないよそんなもの」

未央「それとも…友達なのに隠すの?」

卯月「…」

凛「揺らいじゃダメだよ卯月。頑張って」

未央「しまむーお願い。話して」(じっ)

卯月「…う、うぅ…」

卯月「ご、ごめんなさい~、凛ちゃん! 話します!」

凛「あー」

卯月「実はですね…未央ちゃんが最近頑張り過ぎじゃないかって…2人で心配してたんです…」

未央「ほ、ほう」

凛「…」

卯月「1週間休みなくレッスン入れたり、テスト期間中なのにライブのお仕事入れたりして…明るく振舞ってても絶対疲れは溜まってますよね?」

未央「そ、そんなこと…」

凛「あるでしょ。そこで意地張らないの」

未央「うっ」

卯月「それで…どうにかして未央ちゃんに疲れを取ってほしいと思って凛ちゃんと2人で話し合っていたんですが…」

凛「その結果、プロデューサーに甘えてさせてもらうことが1番だという結論になったわけ」

未央「いや、なぜ、そこに行き着くの!?」

凛「え? だって未央ってプロデューサーのこと好きでしょ?」

未央「!?」

卯月「こ、これ、携帯の動画の一部ですけど…」

ピッ

未央『プロデューサーのこと…は、信頼してるし、頼りにしてる…よ? てへへ///」

ピッ

未央「…いつ撮ったの? これ?」

卯月「2ヶ月ほど前に。莉嘉ちゃんがこっそり撮影したそうです」

未央「あー…」

凛「揺るがぬ証拠だね」

未央「ま、待って!? 信頼とLoveは違うよね?」

卯月「でも…顔が緩みきってましたし…?がほのかに赤かったですし…」

未央「や、その…」

凛「完全に発情した猫の表情だったね」

未央「せめて『乙女の表情』と言ってよ!」

凛「いま認めた?」

未央「ち、違うってー!!」

凛「卯月。動画の2の再生をお願い」

卯月「はい!」

未央「まだあるの!?」

ピッ

未央「うん…プロデューサーがいなかったら…私…何も出来ないままだった…かも///」

ピッ

凛「乙女だね」

卯月「女の子ですね♪」

未央「…っ~///」

凛「じゃあ、デートはセッティングしておいたから楽しんできてね。ほら、遊園地のチケットだよ」

ピラッ

未央「…ち、ちょい待ち! そ、そんなの心の準備が…!」

卯月「…い、嫌だったんですか?」

未央「そ、そうじゃないけど」

凛「嬉しいってさ」

未央「そんなストレートに言ってないよ!」

卯月「でも、少しは嬉しいんですよね?」

未央「…」

未央「まぁ…///」

凛「顔が露骨に赤くなったね。真っ赤」

未央「うるさいなぁ…///」

卯月「未央ちゃん。可愛いです♪」

未央「しまむーも…やめてって…///」

未央「あーもー…顔熱いの自分でもわかるわ…///」

凛「…」

卯月「…」

未央「2人とも…ニマニマしながら撮影しないでくれるかな?」

卯月「つ、つい」

凛「うっかり」

未央「ついはともかく、うっかりってことはないよね。確信犯だよね」

凛「大丈夫。待ち受けにはしないから」

ポチポチポチ…ピッ!

未央「しぶりん。できれば『ホーム画面』にもしないでくれるかな?」

凛「せっかくだしね」

未央「ていうか…『甘える』って具体的には何をすればいいわけ?」

凛「乗り気になった?」

未央「まずは話を聞いてから検討しようと」

卯月「じゃあ、私が説明しますね」

未央「うん」

卯月「ええと…凛ちゃんと私が話し合って出た結論は『プロデューサーさんと密着している状態』が『甘えている』の判断基準になるということでした」

未央「判断基準、とか定義付けたんだね」

凛「やるからにはきちんとね」

未央「はいはい」

卯月「さらに具体的に言えば『プロデューサーの1メートル以内に常にいる』ことが甘えていることである、となりました」

未央「…明日はずっとプロデューサーのそばにいろと?」

凛「そういうこと」

未央「それって意外と難しくない?」

凛「大丈夫。このブレスレットを付けてみて」

ヒョイ

未央「ナニコレ? デザインは可愛いけど」

凛「とりあえず付けてみてよ」

未央「ん」

スチャ

未央「あの…これが何か?」

凛「そのブレスレットはね。『プロデューサーが半径1メートル以内にいないとペナルティーが発生する装置』なんだよ」

未央「…はい?」

凛「百聞は一見にしかず。例えばペナルティーではこんな音声が流れます」

ピッ

『プロデューサーのことは…信頼してるよ…てへへ…///」

ピッ

未央「な、な、なんなのコレぇぇぇぇ!?」

未央「さっきの動画のやつじゃん!!! てか、音量が大きい!! 『駅の構内のアナウンス』レベルじゃん!!!」

凛「ペナルティー装置です」

未央「は、外すよ! こんなもの…ってアレ?」

凛「明後日になるまで外せないよ?」

未央「はぁぁぁぁ!?」

凛「ちなみに音声は100種類以上あります」

未央「いらないよ! そんな無駄に豊富なバリエーションはいらないよ!」

凛「大丈夫。装置が稼働するのは明日の朝9時からだから。それまでは平気だよ」

未央「その後が大変なんでしょうが!」

卯月「…り、凛ちゃん…やっぱり外してあげた方が…」

凛「未央のためだから」

卯月「うぅ…」

未央「ちょ、ちょ、ちょい! しまむー! しぶりんの真剣な雰囲気に騙されちゃダメだよ!」

凛「なんと言われようが私は外さないよ?」

未央「…ってことは…明日は少なくともプロデューサーの側にいることが確定ってこと!?」

卯月「も、元からデートの予定でしたし…」

未央「密着とは聞いてないよ!」

凛「さっきから声張ってて疲れない?」

未央「…誰がそうさせたのさ」

卯月「ごめんなさい~…」

未央「だ、大丈夫だから。謝らないでしまむー」

凛「許してくれるんだ?」

未央「しぶりんに関してはまだ許してないよ?」

凛「差別じゃない?」

未央「『純粋な気持ちか』『悪意があるか』の差だよ。区別だよ」

未央「ていうか、プロデューサーは大丈夫なの?」

卯月「はい。プロデューサーさんには『未央ちゃんを遊びに連れて行ってあげてください』と頼んであります♪」

未央「…」

凛「よかったね。2人きりだよ」

未央「でも、ペナルティーはいらなかったよ。普通に気分転換でよかった。絶対」

凛「ま、せっかくだし。存分に甘えてきなよ」

凛「疲れてるのは事実でしょ。それなりに私たちも心配してるんだから」

未央「…」

卯月「心配。しています」

未央「…ありがと」

凛「未央。ブレスレット。似合ってるよ」

未央「…ニヤニヤしないで」

卯月「…」(ニコッ)

未央「しまむーは、そんな天使のような微笑みを浮かべないでよ…」

卯月「えへへ…未央ちゃんが楽しんできてくれるといいなって思いまして♪」

未央「ぐぅ。純真さが辛い。辛すぎる」

凛「じゃ、駅前に明日ね。行ってらっしゃい」

未央「…はい」

卯月「行ってらっしゃい♪」

【次の日】
駅前。8時55分

P「未央。おはよう」

未央「おっはよう。プロデューサーくん! 今日も相変わらずスーツだね♪」

P「いざというときに困るからな」

未央「いざってどんな時なのさ」

P「スカウトとか、スカウトとか」

未央「遊びに行く日くらい仕事は忘れなよ…」

P「すまん」

未央「…ま、いっか。とにかく今日は1日、エスコートお願いしまーす♪」

P「お任せください。姫様」(スッ)

未央「うむ。苦しゅうない!」(ドヤッ)

P「はっはっは。さ、じゃあ。行こうか」

未央「うん♪」

未央「(何だかんだ遊びに行くのって楽しいなぁ♪)」

未央「(プロデューサーと2人きり、だしね♪)」

ピッ、ピッ、ピッー
9:00

ピッ

『プロデューサーのことは…信頼してるよ…てへへ…///」(大音量)

ピッ

未央「」

P「…今の何?」

ガシッ

未央「…」

P「おぅ…いきなり腕に抱きついてきてどうした?」

P「そして顔が真っ赤だぞ」

未央「…事情は電車の中で話します…今は何も聞かないで…」

P「あ。はい」

未央「(ぬぁぁぁぁぁっっ!!! かんっぜんに油断してたよ…!!! 1メートル以内って想像以上にシビアでしょ!!)」

P「何を悶えているのかは知らないけど、俺の腕にゴンゴン頭突きをしないでおくれ」

ガタン、ガタン…

P「つまり。凛の罠にかかったと」

未央「ソウイウコトデス…だから…近すぎても許して…」

ピットリ…

P「気にするな」

未央「…ありがと」

P「まあ災難だったなぁ」

未央「そんな人ごとみたいに」

P「あの音声。100種類以上あるの?」

未央「…何でちょっとキョーミ持ってるわけ?」

P「…」

未央「もしもだけど、わざと離れたら泣くよ? アイドルも辞めるよ?」

P「なら絶対にやらない」

P「…全部、聞いてみたいけど」

未央「それは許しません」

P「はい」

P「未央にアイドル辞められたら困るからな」

未央「…なんでそういうことさらっと言うのかな」

P「照れてる?」

未央「て、照れてなんかないやい!」

未央「…少し嬉しいけど」

P「可愛いな」

未央「やーめーてーよー! はい! もー、誉め殺しはストップ! 禁止ー!」

P「はっはっは」

未央「…もぅ♪」

未央「着いたー! 遊園地!」

P「何度この場所を夢見たことか」

未央「大げさすぎー♪」

P「じゃ、どれから乗る?」

未央「もちろん、あのジェットコースターから♪」(ビシッ!)

ピッ

『もー! しまむーは可愛いなー!』(大音量)

ピッ

どよどよどよ…

未央「」

P「…なんで鳴ったの?」

未央「し、知らないよーーーー!」

P「あ、わかった」

未央「何さ!」

P「この装置自体が俺から1メートル以内になきゃダメなんだ」

未央「どういうこと?」

P「凛は『未央が1メートル以内』って説明したけど、反応するのは未央自身じゃなくて機械だろ?」

未央「…あ。そっか」

P「つまり左手を今みたいに『ビシッ』と伸ばしたりすると…」

未央「1メートル以上離れる、ことになるわけね…」

未央「あはは…これは厳しいな…」

未央「(プロデューサー…こんなんじゃ嫌に思うよね…)」

未央「…」

P「…」

P「未央。左手を出せ」

未央「…?」

ギュッ

未央「!?」

未央「な、な、な、何おされるかな!?!?」

P「これで作動はしないだろ?」

未央「でっ、でも! 手おつなぐというのはどうなのかしら!?」

P「呂律が回ってないぞ」

P「そうやって暗い顔するなよ。また俺に迷惑をかける、とか思ってるのかもしれないけどな。心配するな」

未央「ぷ、プロデューサー…」

P「せっかくの休みだ。楽しもう。ほら、行くぞ」

未央「…えへへ。うん!///」

休憩しまむー

未央「でね♪ 落ち込んだあーちゃんのバックの中に茜ちんが大量のおにぎりを詰め込んだんだよ♪」

未央「でも、あーちゃん。家に帰るまで2キロ弱のおにぎりの存在に気づかなくて、帰ってからすごくびっくりしたんだってさ~♪」

P「あはは。藍子も茜も面白いなぁ」

未央「でしょ、でしょ♪ 私、あーちゃんに『お願いだから食べるの手伝って!』って頼まれて、少し手伝ったんだよ」

P「全部食べられたの?」

未央「ほとんど焼きおにぎりにして冷凍したよ」

P「2キロはキツいもんな」

未央「そうそう♪ 出来た焼きおにぎりは茜ちんにもプレゼントしたんだけど、自分でプレゼントしたものだって気づかなかったらしくてさ~…♪」

係員「次の方。どうぞー」

未央「あ、はーい♪」

P「ほいほい」

【しばらくして】

未央「はー…乗った、乗った…」

P「絶叫系は…も、もう終わりだよね?」

未央「あれ~♪ プロデューサーもうグロッキーなの?♪」

P「ソンナコトナイゾ」

未央「うわっ、わかりやす~♪」

P「ぐふぅ」

ぢゅー…

未央「はぁ…ジュースが美味しい…今日、暑いしね…」

P「そうだな。あ、俺、トイレに行ってく…」

未央「行ってらっしゃ…あ」

P「…」

未央「…」

P「装置は…どうする?」

未央「…ど、どうしよう…」

P「…」

未央「叫ばれる内容は…さっきみたいにダメージが少ないものもあるみたい、だから…その…


P「…まあ離れてみるしかないな」

未央「…うん」

P「いくぞ…せーのっ!」

ピッ

『プロデューサーのことは…信頼してるよ…てへへ…///」(大音量)

ピッ

どよどよどよ

未央「…」

P「…」

未央「…は、早く行ってきなよ…」

P「お、おう」

未央「さっきしぶりんにメールで聞いたら『1度作動した後は、もう1度プロデューサーの1メートル圏内に入らない限り、スイッチはオフになり続ける』んだってさ」

P「つまり。今から1メートル以上離れ続けていれば問題ないわけか」

未央「まあね」

P「…」

スタスタスタ…ピットリ

未央「ちょっ!? なんで普通に戻ってるわけ?」

P「何か問題あったか?」

未央「このまま離れてれば問題なく遊べたんじゃないの!?」

P「じゃあ、未央は『このまま離れて遊ぶ』でいいのか?」

未央「…でも」

P「それは違うだろ。『装置のリスク』をチャラにするくらい楽しく遊ぶんだ。リスクを避けて、つまらない日になるのは絶対に駄目だ」

未央「プロデューサー…」

P「ほら。手出せ」

スッ…ぎゅっ

未央「…///」

P「行こう。次は絶叫系以外な」

未央「…は、はい///」

ねまむー

キャッ、キャッ、キャッ…

【夜】 20:00

未央「あー…楽しかった♪ 久しぶりにリフレッシュした感じ♪」

P「うん。そらよかった」

未央「ふっふっふ。しかし甘いなプロデューサー! 今日はまだパレードが残ってるからね!」

未央「メインディッシュ抜きにして遊園地は語れないのだよ!」

P「でも、この位置じゃよく見えないな」

未央「んー…だね」

P「肩車してみるか。未央。お乗り」

未央「ばっ、馬鹿なこと言わないでよ! そんなの恥ずかしいに決まってるじゃん///」

P「試しに、試しに」

未央「無理! やだ! 変態!」

P「ちっ! 女子高生を肩車するチャンスだったのに!」

未央「もー、最低~♪」

P「ははは。じゃ、どうする?」

未央「反対側行ってみよーよ♪ こっち側よりは空いてるみたい♪」(ぐいっ)

P「そんなに手を引っ張るなよ」

未央「えへへ~♪ 仕方ないでしょ♪」

未央「…あたしの行き先には、プロデューサーも付いてこなきゃ駄目なんだよ♪」

未央「も、もちろん。ブレスレットのせいだけどね?///」

P「へいへい。お姫様」

未央「うん、いこっ♪」(ぎゅっ)

P「うむ」

タッタッタ…

21:00【退園】

未央「ふぁ…あーあ…ちよっと…疲れたな…」

P「はいはい。前方を確認しながらちゃんと歩こうな。手を繋いでても、足元とか危ないからな」

未央「んー…プロデューサー…おんぶー♪」

P「もたれかかるな。しゃっきりしなされ」

未央「ねー、ねー、おんぶしてよ~♪」(ぎゅっ)

P「腕にしがみついて、地面にしゃがみこむんじゃありません」

未央「ね、お願いします♪」

P「んー…仕方ないな」

未央「やったね♪」

P「ほれお乗り」

ひょいっ…ぎゅっ…

未央「…♪」

P「子供みたいだって思われるぞ?」

未央「…いいよ。子供だもん」

P「ほー、珍しいな。そんな風に言うの」

未央「…」

未央「あたしね。結構、甘えるのって苦手なんだ」

未央「自分の弱いところ見せるの。難しいもん」

P「知ってる」

未央「でもさ、今日は、しぶりんとしまむーのおかげで。プロデューサーに甘えることができたんだ」

未央「…若干、強引だったけど、しぶりんとしまむーにはすごく感謝してる」

ぎゅっ…

未央「だから、じゃないけど。せっかくだし、今日は最後まで、全力でプロデューサーに甘えようと思ってさ♪」

P「それでおんぶかい」

未央「そ♪ 背中って安心しそうだなーって思ったから、おねだりしてみた♪」

P「実際の乗り心地は?」

未央「くるしゅーないぞよ♪」

P「ありがたき幸せ」

未央「えへへ~♪」

未央「…本当にね。安心する。ここ♪」

P「ん。とりあえず事務所に戻ろう。ブレスレットが外れたら解散だ」

未央「…うん♪」

【事務所】
カチャッ…ギィッ

P「ただいま」

凛「おかえりなさい」

P「凛、残ってたのか?」

凛「まあね。今日は寮に泊まり。みくとりーなに誘われてるんだ」

凛「で、ついでだから2人を待ってみようと思ってさ」

P「そっか」

凛「…ところで未央は?」

P「背中」

くるっ…

未央「…zzz」

凛「見事に熟睡してるね…」

P「駅からずっとこんな感じ」

凛「ふーん…よっぽどはしゃぎ疲れたのかな?」

P「楽しそうではあったよ」

凛「うん。なら、よかった」

P「…」

P「ブレスレットなんてずいぶん回りくどい方法だったな」

凛「何の話?」

P「未央の話。未央が根を詰めてたから、誰かに甘えさせようとしたんだろ?」

凛「…」

凛「間違っては、ないね」

P「うん。ありがとうな」

凛「別に。プロデューサーに感謝される覚えはないよ。私が勝手にやったことだしね」

P「そっか」

凛「それに『甘えさせる』だけが目的じゃなかったよ」

P「そうなのか?」

凛「まあね。他の目的も知りたい?」

P「教えてくれるなら。知りたい」

凛「…」

凛「じゃあ、私。今から帰るけど、11:59になったら未央から1m以上離れてみて」

P「?」

凛「その時間帯に離れた時にだけ、流れるボイスをセットしてあるからさ」

P「…了解」

凛「じゃ。お疲れ。そろそろ行くよ」

トコトコトコ…バタン

P「…」

未央「zzz…」

P「…」

未央「zzz…」

P「…そろそろか…」

未央「zzz…プロデューサー…だよ…えへへ…♪ 」

P「…」(ビクッ)

P「…寝言かよ」

未央「zzz…」

P「…じゃ。離れてみるか」

トコトコトコ…

ピッ

未央『プロデューサー。いつも…いつもありがとう!!♪ 大好きだよ♪』(大音量)

ピッ

未央「…」(ビクゥ)

P「…」

未央「…」

P「…お、おはよう。起きた?」

未央「…お、オキテマセン…///」

P「お、おぅ…」

未央「…///」

0:00

カチャッ

P「外れた…」

未央「もぉーーーーーー!!!! な、何で最後にこんなの流してるのーーーーー!?///」

ウワァァァァ…!

【寮】

卯月「ところで凛ちゃん。最後のボイスは何をセットしてたんです?」

凛「ん。初めてのライブの後、こっそり撮ったやつ」

卯月「そうなんですね。ちょっと…聞かせてもらってもいいですか♪」

凛「うん。いいよ。ほら」

(アリガトウダイスキダヨー)

卯月「わぁ…結構、大胆に言っていたんですね…」

凛「ふふっ。いいでしょ」

卯月「でも、これをプロデューサーさんに聞かせてしまうのちょっと未央ちゃんかわいそうじゃ…」

凛「いいの。未央は案外、尻すぼみしちゃうタイプだから私たちが背中を押してあげなきゃ」

凛「…いつもNGを引っ張ってくれてる未央に、ちょっとしたお返しだよ。これで一歩でも前進してくれればいいけど」

卯月「…はい♪」

終わり

以上です。
お読みいただきありがとうございました。

ちゃんみおのストレートな可愛さはちゃんみおにしか出せないちゃんみお的な可愛さだと思います。要するにちゃんみおは可愛いということです。

以下は過去作品になります。
志希の薬シリーズ。
『一ノ瀬志希「新薬! 『スナオニナール(素直になる)』を開発したよ!」』
一ノ瀬志希「新薬! 『スナオニナール(素直になる)』を開発したよ!」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1493253254/)

『【デレマス】元・クールPと堀裕子の話』
【デレマス】元・クールPと堀裕子の話 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1498792752/)

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