男「目が覚めたらそこは異世界だった」 (16)

男「どこだ……ここ?」キョロキョロ

男「何で海岸なんかに……」

男「俺……確か……。自分の部屋にいたはずじゃ……」


男「!」ズキッ!!

男「ぐっ……!! 何か思い出そうとしたら頭が痛む……!!」ズキズキ


男「何だよ、これ……! 一体、何がどうなって……!」ズキズキ

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男「と、とにかく、家に帰らないと……」ズキズキ

男「って言っても、どうやって帰れば……」


男「財布……は持ってないよな、そりゃ……」

男「歩きしかないか……」


男「とにかく道路に出て、それで道を聞いて……」

男「あんまり遠いようなら交番に行って、事情を説明すれば送ってくれるかも……」


男「」ヨロッ


男「でも、何で俺、こんなところに……」ヨロヨロ

『草原』


男「……本当にどこだよ、ここは」

男「砂浜上りきったら、道路に出るかと思ったら、見渡す限り草原じゃないかよ……」


男「……どうすりゃいいんだ」


男「何か地平線のずっと遠くに建物っぽいのが見えるけど……」

男「あそこまで歩いて行くしかのいのか……」

男「何時間かかるんだ……。しかもこんな暑い中を……」

男「…………」


男「でも、歩くしかないんだよな、結局……」

男「ちくしょう……」トボトボ

『2時間後』


男「」ハァハァ

男「暑い……」ゼェゼェ

男「喉乾いた……」ハァハァ

男「シャツ汗だくで気持ち悪い……」ゼェゼェ


男「」クラッ


男「や、ヤバイ……。今、立ちくらみしかけたぞ……」ハァハァ

男「水、水が欲しい……」ハァハァ

男「日陰も欲しい……。本当にヤバイ。死ぬ……」ゼェゼェ


男「しかも、こんだけ歩いたってのに、まだ建物、遥か遠くだ……」ゼェゼェ


男「」クラッ……


男「う、うあっ!」ドサッ

男「ダメだ、本格的に頭がクラクラして……」

男「た、立ち上がれない……。目の前の景色が揺れてる……」グラングラン

男「た、助けて……。誰か……」ゼェゼェ

男「助け……て……」ゼェゼェ

『30分後。男から少し離れた場所』



馬「」カッポカッポ

騎士「ふむ。ここらも魔物の影はなしか……」


騎士「先月の討伐遠征が効いているな。しばらくの間、ここら一帯は安全だろう」

騎士「まあ、油断はあくまで禁物だが……」


ガサッ


騎士「む……」

騎士「何だ、今の音は。魔物か」チャキッ


ウサギ「」タタタッ


騎士「ウサギか……。驚かすな」

騎士「……ん?」


騎士「今、向こうの草むらに何か人の足が見えたような……」

騎士「ひょっとして死体か……?」

騎士「調べてみるか。行くぞ」パシッ

馬「」ヒヒーン

『辺境の村』


男「ぅ……」

娘「あ、気が付いたみたい」

男「あ、え……。ここは……?」

娘「いいから、まだ寝てなよ。あんた、日射病で倒れたみたいだから」

男「…………」

娘「とにかく、寝てなって。後で話聞くから」

男「う、うん……」

娘「運んでくれた騎士さんに感謝しなよ。それじゃあね」

男「あ、ありがとう……ございます……」

娘「うん」

『別室』


村長「あの妙な男、気が付いたか」

娘「うん。まだ眠るよう言ってあるけどね」

村長「言葉は通じたのか?」

娘「うん。普通に話してた」

村長「そうか。見た事のない格好をしていたし、黒髪だったからな。てっきり、異国の者と思っていたが……」

娘「どうだろう。もしそうだったとしても、かなり流暢な話し方だったから、こっちに住んで長いのかも」

村長「ふむ……」

娘「何にしろ言葉が通じるならそれも後で分かるでしょ」

村長「そうだな。ただ……」

娘「ただ?」

村長「あの男、荷物を何も持ってなかったから無一文という事になる」

娘「ああ……」

村長「そうでなくとも、妙な男だ。本音を言うなら、お礼だけ置いてとっとと村から出ていって欲しいところなんだが、そうもいかない」

村長「面倒臭い拾い物をしたものだ」ハァ

娘「まあね……。騎士さんから預けられたから、そこは仕方ないけどさ……」

村長「ああ。さて、どうしたものか……」ハァ

『夜』


男「ふぅ……。何かようやく頭がすっきりしてきたけど……」

男「ここ……。一体、どこなんだろう……。全部、木で出来てるし、山小屋……?」

男「あと、電灯がないから暗くてほとんど見えない……。電気のスイッチとかないのかな……」

男「あ、いや、それよりも電話か……。電話さえ貸してもらえればどうにかなると思うし……」

男「俺、今、スマホもないけど、でも家の電話番号ぐらいは覚えてるから……」


ガチャッ


娘「……ええと、あなた起きてる?」

男「あ、はい! 起きてます!」

娘「体はもう平気?」

男「はい。助けてもらってありがとうございます。もう大丈夫です」

娘「そう。それなら少し話を聞かせて欲しいんだけど、大丈夫?」

男「あ、はい。大丈夫です」

娘「じゃ、こっちに来て。父さんも聞きたがってるから」

男「は、はい!」

『別室』


村長「さてと……。とりあえず、あんたの名前から聞こうか」

男「あ、はい。俺、『〇△(名前)』っていいます」

村長「『〇△(名前)』……? 聞き慣れない名前だな。出身は?」

男「ええと、『東京』なんですけど……(この人達、髪が金髪なんだけどもしかして外国の人? にしては日本語上手だよな……)」

村長「『トーキョー』? そちらも聞いた事がないな。どこら辺にある?」

男「え? どこら辺って……。日本の首都なんですけど……」

村長「『ニホン』? そちらも初めて聞くな。一体、どこの国だ?」

男「日本、知らないんすか……。マジすか……」

男(じゃあ、俺は今、どこにいるんだよ……。え、俺、もしかして外国にいるの? それともこれ、ジョークか何か?)

村長「ニホンなど聞いた事もないな。ここからどれぐらいの遠さなのかね?」

男「どれぐらいって……。むしろ、俺が聞きたいんですけど……」

村長「?」

『男の事情説明後』


村長「ほう。すると何か。お前さんは気付いたら何故か文無しで海岸に倒れていたと」

男「はい……」

村長「それで、その理由がまるでわからない」

男「はい…………」

村長「しかも、お前さんの国は『ニホン』とかいう聞いた事もないような国だとそう言うのか」

男「いや、ホントなんです! 嘘とかじゃなくて!」

村長「…………」

娘「…………」

男「ほ、ホントなんですって! 信じて下さい!」

男「あ、あの……」

村長「……何だ?」

男「ここって……一体、どこなんですか……?」

村長「ここは『メギド帝国』だ」

男「はい?」

村長「……『メギド帝国』だ」

男「……ど、どこですか、そこ……」

村長「」ハァ

娘「」ハァ


男「いやあの、俺、ホントに知らなくて……! そ、その、世界地図のどのあたりに……」


村長「『メギド帝国』を知らない人間などおるか。世界の3分の2を占める大国だというのに」チッ

娘「だね……。まともに話す気はないみたい」

男「ち、違います! 俺、ホント、その!!」


村長「もうええ。話はわかった。ワシはもう寝る」スクッ

男「ちょっ!」

娘「あなたも寝たら。とりあえず、今日はもうおしまい」スクッ

男「え、あ、その……!」

村長「」スタスタ、バタンッ

娘「じゃね。向こうのベッド、そのまま使っていいから」スタスタ

男「あ、うっ……」

娘「お休み」バタンッ


男「あ………………」

ここまで

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