女騎士「会員制のナイトプール…?」 (18)



女騎士「噂によると夜な夜な集いが行われているらしい」

女騎士「プール…つまりは溜まり場か…」

女騎士「ナイト(騎士)の溜まり場……さぞや身の引き締まる荘厳な場所なのであろうな」ゾクッ

女騎士「むぅ…私も騎士のはしくれとして一度くらい顔をだすべきか…」

女騎士「今後の魔物討滅戦にさしあたって、情報交換は必要だな」

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女騎士「姫殿下! 折り入ってお話が」

姫「なぁに?」

女騎士「今宵、私にナイトプールに行く許可をいただけませんか」

姫「な、ナイトプール…?! あ、あなたが…???」

姫「ナイトプールってあれのことよね…」

女騎士「はっ」

姫「えっ! あなたのような人が!?!」

女騎士「…? や、やはり早かったでしょうか」


姫「そ、そうね…あなたがナイトプール…」

姫(あんないかがわしい場所に、真面目で堅物のこの子が?)

姫(あんなの乱交パーティ会場と何が違うの)

姫(欲求不満なのかな……)

女騎士「なにか問題が」

姫「い、いえ…あなたは若いものね」

女騎士(ふむ。どうやらかなり上級の騎士しか参加できんようだな)


女騎士(なるほど、やはり会員制ということは資格が必要なのか)

女騎士(私は所詮騎士見習いともいえる下級騎士…場にそぐわぬ実力では先輩騎士から顰蹙を買うか)

姫「わかったわ。今夜は警護の任につかなくて結構です」

姫「た、たのしんでいらっしゃい…」

女騎士「はっ。ありがたき幸せ。騎士の誉れであります」

女騎士「ところで、そのナイトプールは会員制ということなのですが、姫はなにかご存知でしょうか」

姫「しし、しらない! しらないわよ! いってらっしゃい!!///」

姫「羽目をはずしすぎないようにね!!」

女騎士「はっ」

女騎士(夕刻までに自分で情報をあつめるしかないか。それも騎士の試練!)



女騎士「しかし、一体どこから情報をあつめたものか」

女騎士「私の上官は遠征中で不在だし…」

女騎士「うぅん…」

女騎士「そこのメイド」

メイド「はい」

女騎士「ナイトプー…いや、なんでもない。掃除にもどってくれ呼び止めてすまなかった」

メイド「はい」

女騎士(馬鹿か私は。姫のあの態度を思い出せ)

女騎士(これは軽々口にしてはならないおそらく国家機密である催しだ)


女騎士(国中の騎士級が一同に集うとなるのだからな、警備は手薄となり敵国にとっては千載一遇の好機となろう)

女騎士(情報は可能な限り漏らしてはならない。あのメイドとて、スパイである可能性はゼロではないのだからな)

女騎士(危うく国が滅ぶところだった…)コツン

女騎士(やはり、裏のことは裏の人間に効くべきか)



情報屋「で、何をしりたいんですかねぇ」

女騎士「ナイトプール……といえばわかるな?」ヒソヒソ

情報屋「…はい?」

女騎士「ナイトプールだ」ヒソヒソ

情報屋「はぁ…ナイトプールですか」

女騎士「ば、バカ! 大きな声で言うんじゃない。この無能め」

女騎士「ナイトプールについて情報をもってないか」

情報屋「はぁ…なぜそんなことを」

女騎士「いいから、知っているのか知らないのか答えろ」

女騎士「そして知らない場合は、いま聞いたことを全て忘れろ」ギロリ

情報屋「……」

情報屋「ナイトプールいきたいんですか。騎士様もいろいろ溜まってるんですねぇ」

女騎士「そう、溜まり場なのだ」

女騎士「どうやら知っているようだな。どこで開催される」

女騎士「参加資格は!!?」

情報屋「まぁまぁ落ち着いて。そんな鬼気迫る勢いで行ったら浮いちゃいますよ」


女騎士「むぅ…」

情報屋「いいですか、ナイトプールっていうのは…」

情報屋「ここから先は500Gの情報料金を頂きます」

女騎士「なにィ!?」

女騎士「ご、500Gだと…!」

女騎士「ええっと……財布どこだ」

ガシャッ

女騎士「10…20…30……40」

女騎士「500G? 私の聞き間違えか?」

情報屋「情報料500Gです」

女騎士「ぐ…足元を見おって」

情報「なんで騎士様が500G程度もってねぇんですかい…」


女騎士「ま、まって…家にかえったらあるんだ!」

女騎士「いまたまたま持ちあわせて無いだけなんだ! あとで払うから! 明日とか!」

情報屋「駄目です」

女騎士「月末でお金あまってたからついお昼に贅沢しちゃって…」

女騎士「クソっ、今宵ナイトプールが開かれるともっと早くしっていれば…あのような暴飲暴食せずにすんだのに」ギリリ

情報屋「おかげで騎士様いい体してますよね。きっと行けば大人気になれますよ」

女騎士「いまは払えない。頼む!」

情報屋「無理です」

女騎士「私は騎士だぞ! 約束を違えるとおもうか! 姫殿下に誓おう!!」

情報屋「ゴネても脅してもまかり通りませんよ。お姫様の名をこんなことに持ち出さないほうがいいと思いますよ」

情報屋「こっちは仕事ですんで、知りたきゃきっちりこの場で払ってもらいます」

女騎士「ぐぬぬ…」

女騎士「はぁ……」

情報屋「では、私物でも売ればどうですか。ものによっては買い取りますよ」

女騎士「本当か!?」

情報屋「ええ。情報だけじゃなくて、古物も取り扱っていますんで」

女騎士「それは助かる。じゃあ……あれ、私物なんてないぞ」

女騎士「このアーマーとマントは手放せないし」

情報屋「買い取れませんよ。あなたのフォーマルでしょうが」

女騎士「剣と盾は拝命をうける際に国王様と姫殿下からそれぞれ直々に賜ったもの…」

情報屋「だから買い取れませんって」

女騎士「では」

情報屋「他にあるでしょうが」

情報屋「鎧の下とか。へへへ」

女騎士「むぅ?」

女騎士「肌着のことを言っているのか」

女騎士「こんなもの……何年も洗濯してつかっているからボロ布にもほどがあるぞ」

女騎士「価値などあるまい…二束三文で買い叩かれても情報料の足しにならん」

情報屋「かまいませんよ。騎士様のってだけで高値がつきますから」

女騎士「なるほど…」

女騎士「って! 私の肌着を売ろうというのか! 恥を知れ!」

情報屋「上下セット1000Gで買い取りますよ」

女騎士「売る!」

情報屋「ではそちらで抜いで渡してください」

女騎士「わかった」


女騎士「……ほら」

情報屋「汗ばんでますね」

女騎士「暑いからな…あたりまえだろう。騎士とて人間だ」

女騎士「この鎧だってクールビズ仕様だがそれでも暑いのだよ」

情報屋「まぁいいでしょう。では情報料をさしひいて500Gのお渡しです」

女騎士「わっ…こんなに」

情報屋「ではナイトプールについて知りたいことをお聞き下さい」

女騎士「あぁ…ずばり、いつどこで開催される。まだ時間は大丈夫なのか」

情報屋「ナイトプールは商館の屋上を貸し切ってこの季節になると毎晩開催されています」

女騎士「商館というと、あの背の高い商業施設のことか」


情報屋「はい」

女騎士「な、なぜ公共施設ではないのだ…ナイトプールだぞ!!」

情報屋「むしろ公共の場でそんなことできますかい」

女騎士「…!」

女騎士(そうか! 国有地で会すると国の息のかかった集団だとあっという間にバレてしまう)

女騎士(その対策か…なるほど)ウンウン

女騎士「毎晩開催されるといっていたな」

女騎士「本当か」

情報屋「そりゃもう。会員制とはいえ大盛況ですからね」

情報屋「中には毎日顔を出す人もいるとか…暇なんでしょうねぇ羨ましい」

女騎士(やはり連日、次回の討滅戦にむけての打ち合わせは着実に進んでいるということか)


女騎士「最後に! 会員資格とやらを知りたい」

女騎士「どうすれば私も参列することができる」

女騎士「頼む、どうしても行きたいのだ! いますぐにでも! 体がうずく!!」

女騎士「私の燃えるような熱い情熱をぶつけて、志し同じくする者達で交友を深めたいのだ!!」

情報屋(溜まってんなぁこの人…)

情報屋「ナイトプール会員になる資格はただ一つ」

情報屋「審査に合格することです」


女騎士「審査!? それはどこで行われる」

情報屋「このメモの酒場へいき、髭の生えたマスターに会ってください」

女騎士「その人物に会えばよいのだな」

情報屋「騎士様ほどのお方でしたら一目で気に入られてすぐさま会員になれるでしょうよ」

女騎士「ふっ、当然だ。私は下級騎士ではあるが実力は姫殿下折り紙つきの直属騎士!!(縁故採用)」

女騎士「見ろ! この鍛え抜いた肉体ひとつで数々の死線をくぐってきた」

情報屋「体には自信がお有りなようで結構」

女騎士「世話になったな」

情報屋「いえいえ。いま一瞬すごく眼福でした」

女騎士「待ってろナイトプール…いま私が灼熱の風とともに馳せ参じる!!」

情報屋「今日はえらく暑い日ですね。きっと気持ちいいですよ」



続く!!

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