裕子「それってつまり……レビテーションってこと！？」

ほたる「レビテーション……ってよくわかりませんけど、間違いなく浮いていたと思うんです」

裕子「浮いてたのが自分でわかったんだよね？」

ほたる「はい。それは確かに」

裕子「すごいよー！ 本物だよー！！」

ほたる「本物？」

裕子「ちょ、ちょっとくわしく聞いてもいいかな？」

ほたる「え？ あ、はい」

祐子「実際のところ、浮いてるって言っても、ちょっとだけだよ……ね？」

ほたる「それが……なんて言うか、けっこう浮いてたんです」

祐子「それって、見てわかるぐらい？」

ほたる「ええ……はい。お仕事してると、他の事務所の人からも指摘されるぐらい……」

祐子「第三者から見ても、そんなにしっかり！？」

ほたる「やっぱりそういうの、わかっちゃったんでしょうね」

祐子「すごい……すごいです、ほたるちゃん！」

ほたる「そんな……」

裕子「それってどのくらいの間、浮いてたの？」

ほたる「どのくらいというか、もうずっと浮いてました」

裕子「ずっと！？」

ほたる「ずっと浮いていました」

裕子「それって、朝から夜までずっと？」

ほたる「というか、移籍してきて事務所に入ってからずっと私は浮いてたんです」

裕子「そんなに長期間！？」

ほたる「ええ。ずっと浮いてました」

裕子「それってすごいことじゃない！！」

ほたる「でも私……それが本当は辛くて」

裕子「？ なんで？」

ほたる「今だから言えますけど、浮いてるって辛いんです……」

裕子「んー。それは、肉体的に？」

ほたる「え？ い、いいえ。どちらかと言うと精神的に辛かったです」

裕子「精神に負担かー！」

ほたる「ええ。精神的に」

裕子「参考になりますね！」

ほたる「え？ で、でも裕子さんは全然浮いてないと思うんですけど」

裕子「そ、そんなことないよ」

ほたる「えっ？」

裕子「私も浮いてますよ！ そりゃもうさいきっく☆れびてーしょん、ですよ！」

ほたる「？」

裕子「……きょ、今日はそうでもないけど」

ほたる「確かに祐子さんは、浮いてませんよね」

裕子「……その、参考までに聞きたいんだけど」

ほたる「はい？」

裕子「どうすれば浮くと思う？」

ほたる「ええと……私の場合は、体質に問題があると思うんです……」

裕子「体質？」

ほたる「不運体質というか……」

裕子「ブーン体質？」

ほたる「はい。不運体質です」

裕子「⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン体質かー」

ほたる「？ ええ」

裕子「私には向いてないのかなー……」

ほたる「ずっと浮いていた私が言うのもなんですけど」

裕子「うんうん」

ほたる「裕子さんが浮くことは、ないんじゃないかと思います」

裕子「……うう」

ほたる「？ 裕子さん？」

裕子「け、経験者に断言されると、ちょっとショックなものが……」

ほたる「え？」

裕子「ほたるちゃん。他に浮いてる娘って、知らない？ その娘にも聞いてみたいから」

ほたる「え！？ ええと……ですね、あの……」

岡崎泰葉「ふふっ。いいのよ、ほたるちゃん」

ほたる「あ、や、泰葉さん……」

裕子「泰葉ちゃん？」

泰葉「私、子役をやってた頃は浮いてたんです。ね、ほたるちゃん」

裕子「ホントに！？」

泰葉「子役の頃の私って……ただ言われたとおりをこなしていたのよね。自分が誰で、何か、そういうことを考えず……お人形さんみたいよね、ってずっと言われてたの」

裕子「……つまり、ドールになることがレビテーションへの道……？」

泰葉「？ とにかく、周りの人はニコニコはしてたけど、本心からじゃないのはわかってたわ」

ほたる「あ、あの、でも、私は泰葉さんは本当に可愛いと思ってました。憧れてました」

泰葉「……うん、ありがとう」

裕子「でも泰葉ちゃん、今は浮いてないよね？」

泰葉「ええ。今は……みんなライバルだけど、それだけじゃないってわかりましたから」

裕子「今、現役で浮いてる人っていないかなー」

若林智香「ただいまもどりましたーっ☆」

上田鈴帆「……もどったばい」

泰葉「あれ？ どうしたんですか？ 鈴帆ちゃん」

智香「うーん。あのねっ、ちょっと収録で……」

ほたる「え？」

鈴帆「ううっ……自信作の自作熊キグルミ『れべなんと』は失敗だったばい……」

泰葉「すべっちゃったの？」

智香「すべったというよりは……」

鈴帆「完全に浮いてたばい」

裕子「え！？」

智香「あのね、仁奈ちゃん（※市原仁奈）のクマのキグルミのすぐ後だったから……」

ほたる「それは……」

鈴帆「浮いてたばーい」

裕子「こんな身近に、現役で浮いてるレビテーターが！？ ちょ、あの、鈴帆ちゃん！」

木村夏樹「うーす。もどったぜー」

多田李衣菜「ただいま……」

泰葉「あれ？ どうしたんですか？ 李衣菜さん」

夏樹「ああ。それがな、ちょっと収録で……」

ほたる「え？」

夏樹「コード、完全に間違えた……」

泰葉「大変じゃないですか」

夏樹「まあ、バックの人たちがフォローはしてくれたんだけどな。ただほら、大物の人たちも聞いてたからさ」

李衣菜「あの後ずっと、針のむしろみたいでさ……」

夏樹「ま、もうちょっと練習しようぜ。つき合ってやるからよ」

李衣菜「うん、なつきち。もうあんなふうに浮きたくないから」

裕子「え？ 浮いてたんですか！？ 李衣菜さんも！？」

李衣菜「う……うう……うん」

裕子「あ、あのですね李衣菜さん、そこんところをもっと詳しくこのエスパーのスペシャリストであるエスペシャリー・ユッコに……」

安部菜々「ただいま……うう、まさか今日の特集『ドキッ☆17歳だらけのアイドル大集合』だったなんて……ナナ浮いてたかも……」

城ヶ崎美嘉「カリスマギャルの恋のお悩み相談とか……なんか相談内容みんな「かれぴっぴと上手くいかない」とか「別れそう」みたいなので……そんな相談されても……アタシ、なんか浮いてたよね、今日★」

佐々木千枝「千枝、悪い子になっちゃったから……いい子のマーチングバンドって紹介されて……ういてたかなあ……」

池袋晶葉「ロボに組み込む予定だったドローン、制御に問題があって浮いてしまってたな……

裕子「こ、こんなに！？　もしかしてユッコ、少数派だったの！？」

姫川友紀「なんの話？」

裕子「あ、友紀さん、大変です！　この事務所、私以外にもエスパーがいっぱいいたんです」

友紀「エスパー？　あ、そういえば」

裕子「なんですか！？　友紀さんにも事務所のエスパーに心当たりが？」

友紀「うん……サイコメトリーって能力、裕子ちゃんは知ってる？」

裕子「知ってますよ！　物に触れただけで、その物が記憶している事柄を読み取ってしまう……まさか！」

友紀「菜々さんがそのサイコメトラーだと私、思うんだ」

菜々「えっ！？」

裕子「本当ですか、菜々さん！？」

菜々「え？　ナナは別にそういうチカラは……」

友紀「この間、私が帰省して宮崎の青島ういろうをお土産にしたんだけど」

裕子「ふむふむ」

友紀「菜々さん、そのういろうを手にしたら『宮崎……なつかしいですねえ……宮崎をどげんかせんといかん！』って」

裕子「宮崎をどげんか……え？」

友紀「裕子ちゃんが知らないのも無理ないけど、宮崎をどげんかせんといかん！　っていうのは2007年の流行語大賞なんだよ！」

菜々「あ！」

裕子「10年前……それじゃあそういう流行語を覚えてなくても無理はない……ハッ！」

友紀「10年前なら、菜々さんも７歳。それなのに流行語を正確に言えたというのは……」

裕子「サイコメトリーですね！」

菜々「ち、違うんですよっ！　ナナはほら、ウサミン星始まって以来の天才と呼ばれた利発なウサミンでしたからっ！！」

友紀「じゃあ菜々さんこれは？」

菜々「写真？　わあっ、懐かしいですねえ。アザラシのタマちゃんに、アイフルのCMで有名になったくぅ～ちゃんじゃないです……ハッ！！」

友紀「やっぱり……2002年の流行も正確に」

菜々「こ、これはですね……」

裕子「お願いします菜々さん、私にもその能力を！！」

菜々「あ、今ウサミン星から電波が……ちょ、ちょっと失礼しますねっ！」

裕子「あ……菜々さーん！　行っちゃった……」

智香「どうしたのっ？　裕子ちゃん」

裕子「智香さん。私、事務所のみんなからサイキックを学びたいんです！」

智香「タイキックなら、確か亜季さんが得意だよっ☆」

裕子「え？　亜季さんがサイキックを」

智香「うんっ☆　タイキック」

裕子「初耳ですが、ここはこのエスパーユッコ。亜季さんにお願いしたいです」

智香「じゃあ亜季さんに連絡して、来てもらおうか？」

裕子「お願いします！」

亜季「呼ばれてやって参りました。タイキックをユッコ殿にとお聞きしましたが、本当によろしいのでありますか？」

裕子「はいっ！　お願いします。強いサイキックを」

亜季「わかったであります。ではユッコどの、あちらを向いて」

裕子「え？　こっち？」

亜季「いくでありますよ」

裕子「え？　え？　え？」

亜季「智香殿、お願いします」

裕子「？」

智香「はーいっ☆　では、効果音をお願いしますっ☆」

デデーン！！！

智香「堀、タイキックっ！！！」

裕子「え？」

亜季「破ッ！！！！！！！！！」

バシーン

裕子「アウッ！！！！！！！！！　痛いッッッ！！！！！！！！！」

ほたる「あ……」

裕子「痛たたた……ほ、ほたるちゃん。どうかした？

ほとる「今……」

裕子「？」

ほたる「少し……裕子さん、浮いてました」

裕子「え、ホント？」ｶﾞｯﾂﾎﾟ


お　わ　り