智絵里『無限の幸福』 (147)

デレマスのSSです

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-5日
TV局収録
昼過ぎ


スタッフ「じゃあ、これで収録終わりです、お疲れ様でしたぁ!」
オツカレ- オツカレサマデス-

番組D「最近良い感じだね、智絵里ちゃん」

智絵里「はゎっ!……ありがとうございますっ」

番組D「うんうん、おたくのプロデューサーにもよろしくいっておいてくれ」

智絵里「は、はい。ありがとうございます……」

番組D「じゃ、おつかれ~」ヒラヒラ




スタスタ

智絵里「ふう……」

智絵里「……なんとか……上手くいったのかな……」

智絵里「……」

智絵里「はあ……」

智絵里「……少し…疲れちゃったな」

智絵里「最近、とても忙しいし……」

智絵里「プロデューサーに会える時間も少なくなってきちゃった……」

智絵里「……」

智絵里「ううん……忙しいのは良いこと……だよね……!」

智絵里「ひとまず事務所に戻ろう……」

スタスタ




~~~~~~~~


事務所
夕方


ガチャリ
智絵里「お疲れ様ですう」

モバP「おー!お疲れ!智絵里!」

智絵里「プロデューサーさんっ!」

モバP「さっき◯◯局のディレクターから電話あったぞ智絵里!」

モバP「凄い頑張ってるみたいだな!」

智絵里「あ、ありがとうございます……!」テレテレ

モバP「このまま収録の報告をしっかり聞きたいとこだが、今から出張でなあ」

智絵里「……そうなん……ですか……」

モバP「……ごめんな、智絵里」

モバP「……じゃ、行ってくるな」スタスタ

智絵里「あ……は、はい…!いってらっしゃい……」
ガチャリ バタン




智絵里「……」

智絵里「……」

智絵里「……」

智絵里「……もう帰ろうかな」

智絵里「少しだけど、プロデューサーさんに会えて……良かった……よね」

スタスタ




~~~~~~~~~


事務所
中庭
夕暮れ


智絵里「……」スタスタ

智絵里「あ、クローバー……」

智絵里「最近忙しくて全然探せてないな……」

智絵里「……」

智絵里「少しだけ……少しだけ探してみよう……かな」

智絵里「四葉のクローバーにお仕事頑張る力を貰おう……」

智絵里「……プロデューサーさんにもっと褒めて貰えるようになったらいいな」
スタスタ




~~~~~~~~


中庭
夕暮れ


智絵里「……」ガサゴソ

智絵里「……」ガサゴソ

智絵里「ひーん、全然……ないですぅ」ガサゴソ

智絵里「……」

智絵里「夕方も遅いし、暗くなってきて……見つけづらいです……」

智絵里「……」ガサゴソ

智絵里「……」ガサゴソ







智絵里「……もう諦めようかなあ……」

キラリーン

智絵里「?」

智絵里「今、何か光ったような」

智絵里「……」

智絵里「……」ガサゴソ

智絵里「こ、これは……」

智絵里「凄い……です……!」

智絵里「1,2,3,4…5……6……」

智絵里「……ななっ!!!」

智絵里「なななな、なな!!」

智絵里「な、七葉のクローバーを見つけちゃいました……!」






智絵里「す、すごいですぅ!」

七葉クローバーキラリーン

智絵里「?」

智絵里「なんだか、光ってるような……」

智絵里「気のせいかな……」

智絵里「……えへへ、とっても嬉しいです」

智絵里「七葉のクローバーの花言葉は"無限の幸福"だったかな?」

智絵里「お部屋に持って帰って……早速飾ろうっ」

智絵里「えへへ……」
スタスタ





~~~~~~~~


女子寮
智絵里部屋



智絵里「それじゃあ……さっそく七葉クローバーを……!」

智絵里「あ、飾るのもいいけど栞にするのもいいかも……栞だと持ち歩けるし……」

智絵里「えへへ、迷っちゃいます♪」

クローバー「」キラリーン

智絵里「あっ今っ!」

智絵里「……」

クローバー「」キラリーン

智絵里「ほらっ!今!」

智絵里「光りましたっ!」






智絵里「……」

智絵里「クローバーって……光るものでしたっけ」

クローバー「」キラリーン

智絵里「!!?」

ボワボワン

智絵里「はわ!急に煙がっ」

ボワボワボワ

智絵里「ケホッケホ」

???「ゲコゲコ」

智絵里「ケホッケホ……」





???「ゲコゲコ」

智絵里「……!?」

カエル「ゲコゲコ」

智絵里「か、カエルがいます!」

智絵里「しかも……私のベッドの上に……!」

智絵里「……」

カエル「ゲコゲコ」



智絵里「……か、カエルさんカエルさん……そこは私のベッドです……」

智絵里「お布団がヌメヌメしちゃうのでどいて頂けませんでしょうか……」

カエル「嫌だ」

智絵里「!!」

智絵里「カエルが!」

智絵里「喋りました!!!」

カエル「ふふん、びっくりしてるな」ゲコゲコ

智絵里「そっかー……そんなことも…あるんですね」

カエル「中々物怖じしない娘だな……」





智絵里「」スタスタ カエルツカミ

カエル「ちょっと!ちょっと!無言で無理やりベッドから下ろそうとするな!」

カエル「どんだけベッドに乗られるのが嫌なんだ!」

智絵里「どこから入ってきたんですか……??」

智絵里「窓は開いてないはずなのに……」

カエル「ワタシはな!」

カエル「その七葉クローバーの妖精だ!」

智絵里「……!!」






カエル「妖精だ!!」

智絵里「す、凄い!!」

カエル「そうだろう」

智絵里「じゃあ……私が七葉クローバーを引っこ抜いちゃったから……ウチにいるんですか?」

カエル「まあそんなところだな」

カエル「ワタシはあの場所に封印されていたんだよ」

カエル「助けてくれてありがとう!」

智絵里「はぁ~」

カエル「君騙されやすそうな娘だね」

智絵里「えっ……私いま騙されてるんですかっ??」

カエル「いやいや本当のことだけど……」





カエル「そして、ここからが本題だ!」

カエル「君の願いをひとつだけ叶えてあげよう!」

智絵里「!!」

カエル「なんでもいいぞ!」

カエル「例えばマンガみたいな能力が欲しいとかでも!」

智絵里「凄いです……!」

智絵里「じゃあ、マンガでよくある時間を止めるみたいなことも出来るようになるのかな?」

カエル「もちろん!」

カエル「はいっ!じゃあそれで決定っ!!」

きらきらきらーん

智絵里「えっ!!?待って!!」




カエル「ゲコゲコゲコゲコ!!」


きらきらきらーん

ボワボワボワーン


智絵里「キャッ、ケホッケホ」

智絵里「……」

智絵里「あれ、私の腕に知らない腕時計が……!」

カエル「ゲコゲコ」

カエル「それが時間を止められる腕時計だ」

智絵里「す、凄いです……それにクローバーがモチーフになってて可愛い」

カエル「横にゼンマイが刺さってるだろう」

カエル「それを抜いたら、時間がピタッと止まるぞ」






智絵里「ほえぇ、……えいっ!」カチャ ゼンマイヌキー


きらきらきらーん


智絵里『……』

智絵里『止まりましたか……?』

カエル『君いちいち躊躇ないね』






カエル『今、時間は止まってるよ』

カエル『部屋の方の時計を見てみな』

智絵里『秒針が動いてないです……!』

智絵里『それに付けっぱなしのTVも……』

カエル『そうだな、ニュース番組の途中で一時停止みたいに画面が止まってる』

智絵里『すごい……本物だったんですね』






カエル『どうだ、凄いだろう』

カエル『せっかくだ、このままこの時を止める能力の説明をしようか』

智絵里『はい……お願いします……!』

カエル『まず、大前提だけど、この止まってる時間は君が解除しようとしない限りずっと止められるよ』

智絵里『あ、そうなんですか……?てっきり3秒とか5秒だけかと……』

智絵里『あ、確かにまだ秒針動いてないですぅ』

カエル『解除の仕方は自分が時間を止めた位置に戻って、ゼンマイを時計に刺し直せばいいぞ』

智絵里『なるほど、簡単ですね♪』






カエル『もちろん色んな制約もある』

カエル『まず、その時を止めた位置から半径10m以内しか行動出来ない』

智絵里『10m……』

カエル『まあ止めたまま、あまり遠くにいけないってことだな』

カエル『そして、止まってる間は物を動かすことは出来るけど、人間を動かすことは出来ないぞ』

智絵里『そうなんですね』

カエル『自分が元の位置に戻らないと時間止めを解除出来ないのも同じ理由だな』

カエル『一瞬で人の位置が変わってるというのはとてもリスクが高い』

智絵里『びっくりしちゃいますもんね……』

カエル『まあそういう認識でいい』





カエル『あとはそうだな。一度、時間を動かし始めると大体20秒くらい時止めの能力を再使用出来ないから気をつけろよ』

智絵里『分かりました……!』

カエル『大体こんなもんだな、そら、時間を戻してみろ』

智絵里『は、はい』スタスタ

智絵里『えいっ!』グサ


きらきらきらーん


TV「では次のニュースです」

智絵里「あ、動き始めましたぁ」





智絵里「凄いです、本物です!」

カエル「有効活用してくれたまえ」

カエル「ちなみにその腕時計を外せば能力は使えなくなる」

カエル「そして、ワタシも君の前から姿を消すことになる」

智絵里「え、お風呂の時も……?」

カエル「防水だから大丈夫だ」

智絵里「なんだか……抵抗があります……」






智絵里「それに明日からお仕事……撮影とかどうしよう……」

カエル「秋だからな、長袖だし大丈夫じゃないのか?」

智絵里「そ、そうですね……スタイリストさんにはお願いだけしておかなきゃ……」

智絵里「……」

智絵里「……」

カエル「……どうした?」





智絵里「え、えーっと……さっきの話だと、腕時計を外すとカエルさんはいなくなっちゃうって言ってましたね……」

カエル「そうだが?」

智絵里「じゃあ私が……これを外すまではどこにいるんですか……?」

カエル「そうだな、君のポケットやバッグの中で付いて回ることにしよう」

カエル「なーに、他人に声は聞こえないからただのカエルだ」

カエル「問題ないだろう」

智絵里「ありますよう……!カエル連れ回すアイドルになっちゃいますぅ……!」

カエル「な、なにぃー!?嫌なのか!!?」

智絵里「い、嫌ですよう~……!」

ギャーギャー












-4日
次の日

撮影スタジオ



智絵里「き、緊張します……」

モバP「ははは、智絵里はいつになっても変わらないな」

モバP「今日も頑張ってくれ!」

智絵里「は、はい……!ありがとうございますぅ……!」

キラッ

モバP「ん?」

モバP「どうしたんだ?その腕時計」

モバP「初めて見るな」

智絵里「あわ、あわわわ、も、貰ったんです……」





智絵里「あ、あの……」

智絵里「やっぱり……撮影に邪魔ですか……??」

モバP「いや、長袖だしな、構わないぞ」

モバP「それに……よく似合ってるぞ」

モバP「クローバーか、智絵里らしくていいじゃないか」

智絵里「あ、ありがとうございますぅ……!」

撮影スタッフ「それでは緒方さんよろしくお願いします~」

智絵里「あ、は、はーい……!」

モバP「じゃ、頑張ってな」

智絵里「はい!」スタスタ

カエル「……」






~~~~~~~~


撮影終了

女子寮
智絵里部屋




智絵里「はぁ~~……今日は疲れちゃったな……」

カエル「お疲れだな」ゲコゲコ

智絵里「結構長い撮影だったから……」

カエル「ふーん、アイドルって大変だな」

智絵里「うん」

智絵里「でも……自分がやりたくて……やってることだから」

智絵里「頑張らなきゃ……!」

カエル「ふーん」





カエル「……」

カエル「ところで、あのプロデューサーってのが智絵里の好きな人なのか?」

智絵里「えっ!!??」

智絵里「ななななななんのこと……かな……?」

カエル「誤魔化し方が下手」

カエル「ふーん、なんかパッとしないやつが好きなんだな」

智絵里「むう」

カエル「はは、怒るな怒るな」

智絵里「……」





智絵里「……」

智絵里「……違うの」

智絵里「これは好きという感情なのか……私も分かってなくて……」

智絵里「でも、傍にいてくれるととても暖かくて嬉しくなる……気がする……」

カエル「うーん」

カエル「それは間違いなく恋愛感情であってるよ」

智絵里「そうなの……かな……」

カエル「そうじゃないのか?ワタシは今日の智絵里を見ただけでそう思ったが」

智絵里「……でも私なんか……それにプロデューサーは……」

カエル「……?」

智絵里「なんでもない……ですぅ」

智絵里「……」





智絵里「そんなことより」

智絵里「明日は学校です!」

智絵里「……」

智絵里「なので……貯まりに貯まった宿題を今からやるね……」

カエル「貯まりに貯めるなよ」

智絵里「お仕事が忙しくて……よいしょ」

ドサッ

カエル「え、これ全部か!?」

智絵里「う、うん……そうだよ……?」

カエル「無理だろ!」

智絵里「……」

智絵里「……やっぱりそうかな」





カエル「時計見てみろ、何時だと思ってるんだ」

カエル「……」

智絵里「?」

カエル「名案があるぞ」

カエル「時間を止めて宿題すればいいじゃないか」

智絵里「……!!」

智絵里「凄いです!」






カエル「時間止め中、物は動かせるからな!」

カエル「宿題ももちろん出来るだろう!」

智絵里「さすがカエルさんですぅ!」

智絵里「えいっ」カチャ


きらきらきらーん


智絵里『……』

智絵里『止めました……!』

カエル『よし、早速宿題を片付けよう!』





智絵里『……』

カエル『……?』

カエル『どうした?』

智絵里『……宿題を一瞬で終わらせる能力に……すればよかったかな……』

カエル『……』

カエル『早くやれ』

智絵里『う、うん……そうするね……』

カキカキ





カエル『……』

カエル『それにしても……この量の勉強と仕事の両立は大変だな』

智絵里『そう……だね』カキカキ

智絵里『でも』

智絵里『さっきも言ったように……自分で決めたことだから……』

カエル『そうか』

智絵里『それにカエルさんに貰ったこの能力のおかげで勉強と仕事の両立はなんとかなりそうです……!』

智絵里『カエルさん……ありがとうございます……』

カエル『頑張れよ』

カキカキ






~~~~~~~~


次の日
-3日

高校 教室



カエル「ゲコゲコ、良い高校じゃないか」

智絵里「学校では……あまり話さないでほしいな……」

カエル「心配しなくても……周りには聞こえないって」

智絵里「話しかけられたら……私が反応しちゃうかもしれないでしょ」

智絵里「痛い子だと思われちゃう……」







智絵里「ただでさえ……」

カエル「……?」

智絵里「……なんでもないです」

智絵里「少しだけ我慢しててね……」グイグイ

カエル「お、おい…無理やり押し込むなっ」






タタッ
友人「智絵里ちゃんおはよ~」

智絵里「あっおはよう」

友人「今日はお仕事じゃないんだ!」

友人「えへへ、久しぶりに会えて嬉しいな」

智絵里「私もだよ、えへへ」

友人「最近の活躍色んなところで見てるよ~」

智絵里「ありがとうー」

智絵里「あ、授業始まっちゃうね……」

友人「またあとでね~」

智絵里「うん……!」







カエル「なんだ、友人もいるのか」

カエル「割とこっちでも上手くやってるじゃないか」

智絵里「……」

グイグイ

カエル「おい!!無言で押し込むな!」

キーンコーンカーンコーン







~~~~~~~~~


授業終了 放課後
学校
夕方


智絵里「やっと授業おわりました……」

友人「智絵里ちゃん一緒に帰ろ~」

智絵里「あっ……ごめんなさい、これからまたお仕事で事務所に行かなきゃいけなくて……」

友人「あ、そうなんだね」

友人「それじゃ、また今度ねー!お仕事頑張ってー!応援してるよっ!」スタスタ

智絵里「ばいばーい」





智絵里「……」

智絵里「よし……お仕事行かなきゃ」

スタスタ
クラスメイト女子A「よう、緒方」

智絵里「!!」ビク

クラスメイト女子A「アイドルまだ続いてるみたいじゃない」

クラスメイト女子B「給料もたくさんもらってんの??」

クラスメイト女子A「これから私たちと遊びに行こうよ」

智絵里「……あの……今からまた……お仕事だから……」ボソボソ ビクビク






クラスメイト女子A「あ?何言ってんだよ」

クラスメイト女子B「ちっ、なんでこんなやつが人気アイドルなんだか」

クラスメイト女子A「枕とかやってんじゃないの?」

クラスメイト女子B「ぎゃはは、超ウケル」

カエル「……なんだこの時代遅れなヤンキー共は」

智絵里「……」

クラスメイト女子A「黙ってないで、なんとか言えよ!!」バン!

智絵里「っ!」ビクッ






智絵里「あ、あの……私……急いでるので……」

クラスメイト女子B「はあ?調子のってんじゃねー!!」

クラスメイト女子A「ちょっと来いや」グイ

智絵里「!!」

智絵里「えいっ」カチャ


きらきらきらーん


智絵里『……』

智絵里『ふう』

カエル『時間を止めたのか』






カエル『時間を止めてもなんの解決にもならんぞ?』

カエル『どうせ、元の場所に戻らないと時間止めの解除出来ないんだ』

カエル『逃げ出すことはできない』

カエル『一時的な凌ぎにしかならん』

カエル『ああ、分かった。時間を止めてる間にこの女子を殴るんだな?』

カエル『人を動かせない制約もあるからダメージは入らないが、智絵里のストレス解消にはなりそうだ』

智絵里『そんなことしないよ……』






智絵里『……』

智絵里『でも大丈夫』

智絵里『……』

智絵里『解決策はあるから……』

カエル『??』

智絵里『……』

智絵里『よいしょっと』グイ

カエル『何故ワタシを持ち上げる?』

智絵里『よいしょっと』ストン

カエル『何故ワタシをこのヤンキー女子の肩に乗せる?』

智絵里『……』





智絵里『うん』

カエル『……』

カエル『……おい、まさか』

智絵里『じゃあ……始めるね』

カエル『やめろ!!』

智絵里『えいっ』グサ


きらきらきらーん


クラスメイト女子B「ちょっとこっちこいや!!!」

智絵里「……」





智絵里「……」

智絵里「あ」

クラスメイト女子A「?」

智絵里「肩」

クラスメイト女子A「肩?」

カエル「…………ゲコゲコ」

クラスメイト女子A「きゃああああああああああああああああああああああ!!!!」

クラスメイト女子A「かかかかかかか、かたかたかたに、かかかかかカエルが!!!」

クラスメイト女子B「うわ、なんだそれキモッ!!」

ギャーギャーばったんばったん

智絵里「」ダッシュ

クラスメイト女子B「あ、てめ!!緒方!!」

クラスメイト女子A「か、か、かえるとって!!かえるとって!」

クラスメイト女子B「く、くそう。取ってやるから大人しくしろ!!」






~~~~~~~~~


1分後
学校 階段
放課後 夕方


智絵里「はあはあ」

智絵里「……」

智絵里「……ここまで来れば……大丈夫だよね……」

智絵里「……」

智絵里「……」

智絵里「えいっ」カチャ


きらきらきらーん






~~~~~~~~


学校 教室
時止め中 
放課後 夕方


智絵里『……』スタスタ

智絵里『ふう』

カエル『ふう……じゃねえ』

カエル『見てみろ』

カエル『危うくワタシ、この4階の窓から投げ捨てられるところだったぞ』

カエル『助けに来るつもりがあるなら、さっさと来い』







智絵里『一回止めたら、少しの間止められないから……』

カエル『くっ、そうだったな』

カエル『というより、打ち合わせなしでワタシを囮に使わないで欲しい』

智絵里『えへへ……カエルさんありがとね……助かっちゃった』ニコッ

カエル『アイドルスマイルで許されようとするのやめろ』

智絵里『でも、私にはこれしかないから……』

カエル『なんか重そうな話するのもやめろ』

カエル『……』






カエル『……』

カエル『大人しそうなタイプかと思えば、時々大胆な判断するとこあるよな……』

智絵里『じゃ、お仕事に向かおうか』

カエル『……はいはい』

スタスタ




~~~~~~~~~



事務所近く道路
夕方


智絵里「……」スタスタ

カエル「……」

カエル「智絵里……学校でいじめられてるのか?」

智絵里「……え」

智絵里「……」

智絵里「……ううん、あんなのイジメじゃないよ」

智絵里「私が気に入らない……だけなの……」






智絵里「ただでさえ……トロくさくて……人の反感買っちゃうのに……」

智絵里「……アイドル……でしょう?」

智絵里「そりゃ……思うところがある人もいるよ……」

カエル「ふーん」

智絵里「イジメってほど追い詰められてるわけでもないの……だから大丈夫だよ……」

智絵里「友達もいるし」

智絵里「今はカエルさんもいるしね」

カエル「智絵里……」

カエル「……」

カエル「じゃあもっと優しく扱ってくれよ……」

智絵里「あ、事務所着いたよ」

カエル「……」





カエル「そういえば、アイドルの仕事でも時間止め使うのか?」

カエル「パッと思いつかないが、色んなズルが出来そうだぞ」

カエル「ライバルアイドルにスキャンダルを起こしたりとか」

智絵里「……」

智絵里「できれば……」

智絵里「できれば、アイドルのお仕事では使わないつもりだよ……」

智絵里「アイドルはみんな同じ夢を持った人たちだから」

智絵里「……」

智絵里「だからね、できればズルをして勝ちたくない……かな」

カエル「……へえ」

カエル「へえ、智絵里は真面目だなあ」

智絵里「……」





智絵里「……あ、そろそろ事務所着くから……しゃべらないでね」

カエル「……はいはい」

智絵里「……」グイグイ

カエル「なんでそんなに押し込むんだ!そんなにバレたくないのか!?」






~~~~~~~~


事務所
夕方


ガチャリ
智絵里「おはようございますー」

カエル「お、業界人っぽいな」

智絵里「……」グイグイ

カエル「わかった!わかったから!押すな!」



モバP「ははは、じゃあ今日の夜仕事終わってからですね」



カエル「ん?プロデューサー電話してるのか??」





智絵里「……」

智絵里「……」カチャ


きらきらきらーん


カエル『!!??』

智絵里『……』

智絵里『……』

カエル『おいおいおいおいおい、仕事場で時止め使わないんじゃなかったのかよっ!』

智絵里『"お仕事"では使わないよ?』

カエル『はぁ?どういう意味だよ』





智絵里『……』スタスタスタ

カエル『あ?どこいくんだ』

智絵里『……』

モバP『……』硬直

カエル『電話してるプロデューサーじゃないか、イタズラでもするのか?』

智絵里『……』バッ スマホ取り上げ

智絵里『……』

智絵里『……』ジッ

カエル『プロデューサーのスマホ奪ってどうすんだよ』

智絵里『……どうも……しないです』

カエル『?』





智絵里『……』

智絵里『……』

智絵里『……』グイグイ スマホ戻し

智絵里『…… 』スタスタスタ

カエル『おいおい、なんだったんだよ。プロデューサーのスマホ奪って戻しただけじゃないか』

カエル『なんかあるのか?』

智絵里『ううん、なんでもないよ』

智絵里『じゃ、時間を動かすね』

智絵里『……』グサ


きらきらきらーん






モバP「じゃあまたあとで」

モバP「ん?」

モバP「あれ、電話切れてる」

モバP「電波悪いのか……?」

智絵里「おはようございますぅ」ヒョコ

モバP「お、智絵里お疲れー」

モバP「ん?今日は学校だったのか」

智絵里「は、はい……そうです」

モバP「すまんな、疲れてるところ遅くの収録なんて入っちゃって」

智絵里「い、いえ……全然大丈夫です……!」





智絵里「……頑張ります!」

智絵里「さっきの電話……ちひろさんですか??」

モバP「ん?ああ……そうだよ」

智絵里「そうなんですね、お仕事終わりにお約束なんですか???」

モバP「あれ、聞いてたか?まあそんな感じだ」

モバP「もちろん智絵里たちの収録終わるまではそっちに付きっきりでいるから安心してくれ」

智絵里「…は、はい。ありがとうございます」

モバP「お、もうこんな時間か、そろそろみんな来る頃だな」

モバP「打ち合わせの準備をするか、資料のコピー手伝ってくれるか?」

智絵里「はい!」

カエル「……」






~~~~~~~~


撮影終了
女子寮
智絵里部屋
深夜


カエル「今日のTV収録はおもしろかったな!!」

智絵里「そうですか、よかった……」

カエル「仲間のアイドルたちも個性的で可愛い子ばかりじゃないか」

智絵里「えへへ、そうですね」

智絵里「みんなとても可愛いですよね……!」





カエル「智絵里も負けてないぞ」

カエル「もっと自信を持ってアイドルすればいいのに」

智絵里「そ、そんな……みんなに比べたら私なんて……」

カエル「ほらほら、そういうところだよ」

カエル「……まあそういうところが魅力なのかもな」

智絵里「……」





カエル「……それにしても」

カエル「アイドルみんなプロデューサーに懐いてるんだなあ」

智絵里「!」

カエル「まあ年頃の女の子も多いし、身近な大人の男性に憧れるってやつなのかな」

カエル「智絵里もその1人っぽいしな」

智絵里「……私は……」

智絵里「……」

智絵里「でもカエルさんの言う通り、プロデューサーさんのことが好きだっていう人……多いかな」

カエル「ほえー、モテモテだなあ」

智絵里「……」





智絵里「……」

カエル「?」

智絵里「……でもね、ダメ……」


智絵里「プロデューサーさんには他に好きな人がいるから」


カエル「へー、そうなのか。あんなに可愛いアイドルたちが言い寄ってるのに……勿体ない」

カエル「あ、それがあれか?」

カエル「ちひろさんってやつか?」

智絵里「!」





智絵里「凄い……よく分かりましたね……」

智絵里「会ったことない……よね?」

カエル「今日プロデューサー電話で話してたのがちひろさんって話だったよな?」

カエル「ははーん、智絵里があんな変な行動に出たのも……ちひろさんに対する嫉妬か……」

智絵里「……そんなんじゃないよ」

智絵里「……」

智絵里「そんなんじゃ……」

カエル「……」





カエル「……」

カエル「奪いたいのか?」

智絵里「!」

智絵里「……う、ううん」

智絵里「そこまでは……」

智絵里「……」

智絵里「……」

智絵里「……私はお仕事を通じて傍にいれるだけで満足……かな」

カエル「……」

カエル「ふーん」

智絵里「……」

智絵里「だからね……」

智絵里「お仕事……頑張らなきゃいけないの」

カエル「なるほどね」






カエル「そして、もう一つ頑張らなきゃならんことがあるぞ」

智絵里「?」

カエル「宿題だよ!宿題!」

カエル「さっさと時間止めて終わらせよう」

カエル「そして、明日も仕事頑張ろう」

智絵里「う、うん……!」

智絵里「そうだね!」

智絵里「……ありがとカエルさん」

智絵里「それじゃー」カチャ


きらきらきらーん












次の日
-2日

事務所



智絵里「おはようございますう」ガチャリ

モバP「お、智絵里早いな、おはよう!」

モバP「収録の打ち合わせだよな?」

モバP「今スケジュールチェックしてるからちょっと待ってくれな」スケジュール帳パラパラ

モバP「それと……今日は付いていけそうになくてすまんな」





智絵里「……いえ、大丈夫ですぅ」カチャ


きらきらきらーん


智絵里『……』

カエル『時止める躊躇がないな』

カエル『……で、今度は何が気になるんだ?』

智絵里『……ごめんね、ちょっと……』

智絵里『……』スタスタ





智絵里『……』スタスタ

モバP『……』硬直

智絵里『……』バッ

カエル『ああ、スケジュール帳か』

智絵里『……』パラパラ

智絵里『……』カキカキ

カエル『なるほどね、プロデューサーのスケジュールを自分も知っておきたいから、書き写してるわけな』

智絵里『……』カキカキ

智絵里『うん、これで大丈夫……だよね』

智絵里『……』グイグイ





智絵里『……』スタスタ

智絵里『……じゃ動かすね』

カエル『はいはい』

智絵里『えい』グサ


きらきらきらーん


モバP「うーん」パラパラ

智絵里「あ、私お茶入れますね」

モバP「お、ありがとう、助かるよ」

智絵里「は、はい……」テレテレ

カエル「はあ」

カエル「なんだかなあ」アキレ





~~~~~~~~


収録終了後
事務所
夕暮れ


カエル「智絵里ー、まだ帰らないのか?」

智絵里「……」グイグイ

カエル「げ、げこげこっ、分かった!分かったから!」

カエル「……はあ」

智絵里「……」

モバP「お疲れでーす!!」ガチャリ

智絵里「!!」

智絵里「お、お疲れ様です……!」

モバP「あら、智絵里まだいたのか?」

モバP「今日の報告は電話で聞いたぞ!」

モバP「頑張ってるじゃないか!さすが智絵里だ!」

智絵里「えへへ……ありがとうございますぅ」テレテレ







モバP「ただ、もう遅くなってきたからな」

モバP「女子寮近いとはいえ気を付けろよ?」

モバP「送っていけたらいいんだが、急ぎの仕事がな……」

智絵里「い、いえ……大丈夫です!ごめんなさい……!」

モバP「そっか」

モバP「気を付けるんだぞ、じゃあまた明日な」

智絵里「は、はい!お疲れ様です……!」

スタスタ





智絵里「ふう」

カエル「なるほどね、スケジュール確認してたのはこうやって少しでも会う時間を調整するためか」

智絵里「……」


モバP「ちひろさん戻りましたー!!!」

「あ、プロデューサーさんお疲れ様ですっ♪」

ワイワイキャイキャイ


カエル「おっと」

智絵里「……」

カエル「智絵里、もう帰ろう」

智絵里「……そうだね」

スタスタ ガチャリ





〜〜〜〜〜〜〜〜


事務所外(帰り道)
夕暮れ

智絵里「……」スタスタ

カエル「ゲーコゲコ♪」

智絵里「それ私の……歌……?」

カエル「そうだよ、レッスン室でもずっと聞かされるからな」

カエル「覚えちゃったよ」

智絵里「えへへ」

カエル「……」





カエル「……」

カエル「……なあ、智絵里」

カエル「そんなにプロデューサーのことが好きなら、ダメ元で想いを打ち明けたほうがいいんじゃないか?」

智絵里「……」

智絵里「……だから私は……そんなんじゃ……」

カエル「……ふーん」

智絵里「そ、そういえば……」

智絵里「最近時間をよく止めてるけど、この間も私は歳をとってることになるの?」

智絵里「……誕生日の計算がややこしくなりそう……」

カエル「不思議な気に仕方をするな智絵里は……」





カエル「止まってる時間じゃあ成長してないから安心しろ」

カエル「なんとなく気付いてたかもしれんが、もちろんお腹もすかないし、トイレの心配もないぞ」

智絵里「へえ、そうなんだね」

智絵里「このまま能力を多用し過ぎたら……みんな同い年アイドルなのに私だけおばさんになっちゃうのかと思ってたよ……」

カエル「どんだけ多用する予定だったんだ」





カエル「……?」

カエル「ん?前の歩道橋の階段に人がいるな」

カエル「お婆さんか?」

智絵里「大変……!」

智絵里「きっと荷物が重くて登れないのかも」

智絵里「わ、私……手伝いに行くね……!」

カエル「優しいなあ、智絵里は」

カエル「困ってる人を助けるのは良いことだ」

智絵里「……」スタスタスタ小走り





~~~~~~~~


歩道橋階段


お婆さん「よいしょよいしょ」

お婆さん「……はぁ」フラリ

ガッ
お婆さん「あっ」グラ





~~~~~~~~~


カエル「お、おい!あれ!」

智絵里「あわわ、危ない……!」

智絵里「え、えい!!」カチャ


きらきらきらーん


智絵里『……』

智絵里『ッぷはぁ』

カエル『な、ナイスだ……』

カエル『まさか階段で後ろ向きに倒れるとはな……』

カエル『重たい荷物のせいか』





カエル『見たところ3段目くらいだが、あのまま、後ろ向きに倒れると後頭部を打ってもおかしくない……』

カエル『骨折なんかじゃすまないだろう……危機一髪だな』

智絵里『……』

カエル『しかしよー、どうする』

カエル『かろうじて10m以内のエリアにお婆さんは入っているが……』

智絵里『う、うん……』

カエル『そうだ、結局時間を止めても解除は"元の場所"だからなあ』





カエル『遠くて解除後すぐ受け止めるのも無理だろう』

智絵里『……今からルールは変えられないの?』

カエル『……無理だな』

智絵里『……そうだよね』

カエル『……』

智絵里『……でもなんとかするしかないよね』

智絵里『なんとか出来るのは……私たちだけ……だもんね……!』

カエル『そうだな』





智絵里『物は動かせるんだから、クッションみたいなのを下に用意すればいいんじゃないかな』

カエル『おお、いいアイデアだ』

智絵里『10m以内で何かないか探してみなきゃ……!』

カエル『よし早速行ってみよう』






~~~~~~~~


15分後


智絵里『……』

カエル『ないな……』

智絵里『うん……』

カエル『そんな……上手くはいかないか』

智絵里『……!』

智絵里『でも、出来る限りのことをしなきゃ……!』

智絵里『……』スタスタ






カエル『お、おい、智絵里』

智絵里『……』バサア

カエル『まさか……落ち葉を集める気か?』

カエル『そんなのでクッションに……』

智絵里『ううん、落ち葉だけじゃなくてね……』



智絵里『この半径10m以内の街路樹の葉っぱ全部集めようと思って』



カエル『ま、まじか』

智絵里『時間なら……"いくらでもあるから"……』





カエル『だが……』

カエル『確かにそれなら……』

カエル『いけるかもしれないな!』

智絵里『うん……!』

智絵里『頑張るね!』






~~~~~~~~


3時間後


智絵里『はぁはぁ』バサァ

カエル『まさか木登りまでして葉っぱを集めるとは……』

カエル『……』


大量の葉っぱ ドサァ


カエル『凄いぞ、智絵里……』

カエル『これなら……』

智絵里『うん、これを落下地点に敷いて……それに、わたしのコートも広げておくね』

カエル『そ、そこまで……』

智絵里『じゃあ、最後の準備をしよ……』

カエル『おう、そうしよう』





~~~~~~~~


智絵里『うん』

智絵里『これで大丈夫……なはず』

カエル『ここまでやって尚、不安なのか』

智絵里『あとは上手くいくことを祈るしかないです……!』

カエル『そうだな』

智絵里『……ふう』

智絵里『……』






智絵里『……』

智絵里『……それじゃあいきます』

智絵里『えいっ!』グサ


きらきらきらーん


お婆さん「きゃー!」グラリ

お婆さん「……ッ!!」

ボスン!!

お婆さん「!?」

お婆さん「こ、これは……?」





智絵里「お、お婆さん……!」

智絵里「だ、大丈夫です……か?」

智絵里「お怪我は……?」

お婆さん「え、ええ」

お婆さん「なんとか大丈夫みたい」

智絵里「"たまたま"落ちたところに落ち葉が集まってて良かったですね……」

お婆さん「……階段登る時にこんなのあったかしら……」





お婆さん「それにそのコート……あなたの……?」

智恵理「大丈夫ですか……?」

智恵理「一応、お医者さんに診てもらったほうが……」

お婆さん「え、ええ、そうしましょうか……」

智絵里「この歩道橋渡った向かい側に大きな病院がありますよ」

智絵里「私、荷物お持ちしますね」

お婆さん「親切にどうもありがとう」

お婆さん「……なんだったのかしら……?」

智絵里「……」

テクテク






~~~~~~~~


女子寮
智絵里部屋



カエル「いやあ、それにしても今日のはナイスだったな」

カエル「学校のヤンキー共の時といい、今回といい智絵里は機転がきくなあ」

智絵里「えへへ、お婆さん無事で良かったね」

カエル「ただ街路樹の葉っぱ全部はやりすぎかもな」

カエル「他の人からしてみれば周りの木の葉っぱが急に消えるんだからな」

カエル「人通りが少ない時間で良かったよ」

智絵里「……」





カエル「あまり無茶して、バレないようにしろよ?」

智絵里「……そういえば能力がバレた時のデメリットとか……罰ってあるの……?」

智絵里「もしかして、魔女ガエルの呪いでカエルになっちゃうとか……」

智絵里「……!」

智絵里「もしかしてカエルさんも元ウチの事務所のアイドルでカエルにされちゃったの……!?」

カエル「ちげーよ!」

カエル「なんでちょっと話の核心っぽいネタを使ってくるんだ!」

カエル「魔女ガエルの呪いも智絵里の年代じゃないだろ!」

カエル「まったく……」





カエル「なんのデメリットも一応ないよ」

智絵里「……そうなんだ」

カエル「まあ、この能力が嫌になったり、ワタシが邪魔になったら腕時計を外せばいいんだ」

カエル「それで、全部元通りの日常に戻れるよ」

智絵里「……」

智絵里「カエルさん……」

智絵里「嫌になったりしないよ」

智絵里「今日も人助け出来たし……それに……」

カエル「プロデューサーのことか」

智絵里「うん、少しでも会える時間増やせるしね」

カエル「……そうだな」

智絵里「ありがとね、カエルさん」













-1日
次の日


事務所(廊下)



智絵里「よーし」

智絵里「今日もお仕事がんばろうかな……!」

カエル「その意気だぞ」

智絵里「えへへ」

スタスタ


ガヤガヤギャーギャー

智絵里「あれ……なんだか事務所が騒がしいね……」

カエル「んあ?」

カエル「そうだな、ドアの向こうがヤケに騒がしいような」

智絵里「なにかあったのかな……」

ガヤガヤギャーギャー






智絵里「おはようございますぅ」ガチャリ

ガヤガヤギャーギャー!!!

智絵里「す、すごい騒ぎ……何かあったみたいだね」

カエル「プロデューサーの元にアイドルたちが詰め寄ってるな」

カエル「いってみよう」

智絵里「う、うん」スタスタ

ガヤガヤギャーギャー





ガヤガヤギャーギャー

智絵里「おはようございますぅ」

智絵里「え、えっと……みんなどうしたの……?」

「あ、智絵里ちゃんおはよう」

「大変だよ!Pくん結婚するんだって」

「朝からみんな大騒ぎだよ」

智絵里「……」

智絵里「……」

智絵里「……えっ」

智絵里「……け、けっこん……?」





「ちひろさんとだって」

「やっぱり付き合ってたんだー!」

「Pくんずるいずるいー!」

智絵里「……」

智絵里「……」

智絵里「……」

智絵里「……う、うそ……」

カエル「……」

ガヤガヤギャーギャー
Pクンドウイウコト!
セツメイシテヨ~

モバP「み、みんな落ち着け……!」

ガヤガヤギャーギャー
ガヤガヤギャーギャー





智絵里「……」

智絵里「……」

智絵里「……」

智絵里「……」カチャ


きらきらきらーん


智絵里『……』

智絵里『……』

カエル『ち、智絵里……』

カエル『……』

カエル『……大丈夫か……?』





智絵里『……』

智絵里『……えへへ』

智絵里『うん』

智絵里『大丈夫だよ?』

カエル『……』

カエル『智絵里……』

智絵里『……』

智絵里『……私ね』

智絵里『やっぱり心のどこかで思ってたのかも』

智絵里『プロデューサーさんとずっと一緒にいたい』

智絵里『アイドルじゃない私もずっと見ててほしい』

智絵里『……そして……あわよくばって』

智絵里『……』






カエル『……』

智絵里『でもね、同じように思ってたの』

智絵里『プロデューサーさんとちひろさんはとってもお似合いだって』

智絵里『私なんかが入る隙間なんて少しもないって』

智絵里『そして、いつかこういう日が来るってことも……覚悟してた』

智絵里『……』

智絵里『だから私は”アイドル”を利用してたのかもしれないね』

智絵里『少しでも一緒にいたい』

智絵里『少しでも私を見て欲しいって』

カエル『……』






智絵里『本当は私はプロデューサーさんのことが好きだったんだ……』

智絵里『今更……だね……』

カエル『……』

カエル『それが覚悟してたやつの顔かよ』

智絵里『え……?』グス

カエル『泣きじゃくってるじゃねえか……』

智絵里『……っ』

カエル『泣いとけよ』

カエル『時間は”いくらでも”あるからな……』

カエル『好きなだけ泣いておこう』

智絵里『……う』

智絵里『うぇーん』ボロボロ

智絵里『プロデューサーさんー!』

智絵里『ばかー』

智絵里『うぇーん』ボロボロ







~~~~~~~~


4時間後
事務所
朝(時止め中)


智絵里『……』

カエル『落ち着いたか』

智絵里『う……うん』

智絵里『カエルさん……ごめんね……』

カエル『まさか4時間近く泣くとは……』

智絵里『えへへ』





カエル『……』

カエル『なあ、智絵里』

カエル『本当にアイドルは恋心のために”利用”してただけなのか?』

カエル『ワタシにはどうしても、あの智絵里の頑張る姿がそれだけには思えない』

カエル『アイドルは智絵里の夢じゃないのか?』

智絵里『……』

智絵里『うん、そうだね……』

智絵里『私の夢……』

智絵里『私の夢はアイドルだよ……!』

智絵里『トップアイドルだよ……!!』

カエル『そうだよな』

カエル『安心した』





カエル『……』

カエル『もう吹っ切れたか?』

智絵里『……ううん』

智絵里『やっぱり……それは難しいと思う』

智絵里『私はプロデューサーさんが好き』

智絵里『だから……今まで以上にアイドル頑張って……』

智絵里『今まで以上に、キラキラな私を見て欲しいと思うの……!』

カエル『はは、プロデューサーのやつを後悔させてやらなきゃな!』

智絵里『うん……!』

カエル『さて……時を戻す前に一発くらいぶん殴っておくか??』

智絵里『えへへ、どうしようかな』





カエル『……』

カエル『智絵里……』

カエル『お前はきっと素晴らしいトップアイドルになれるよ』

智絵里『……』

智絵里『……ありがとうカエルさん』

智絵里『私、頑張るね』

智絵里『……』グサ


きらきらきらーん


智絵里「……」

ガヤガヤギャーギャー
ミンナオチツケ!!

智絵里「ぷ、プロデューサーさん……!」

智絵里「……」

智絵里「えへへ、おめでとうございます……!」






~~~~~~~~~


女子寮
智絵里部屋



智絵里「う、うーん」

智絵里「今日はとても疲れちゃった……」

カエル「朝のあれからずーっとレッスンだったしな」

智絵里「明日LIVEのリハだから……」

カエル「明日のってソロライブなのか?」

智絵里「う、うん」

智絵里「小さくて古いステージだけどね」

カエル「凄いじゃないか」

カエル「トップアイドルのための一歩だな」

智絵里「えへへ」






智絵里「あっ、忘れてた」

ゴソゴソ パラパラ

カエル「スケジュール帳か?」

智絵里「うん」

智絵里「はあ、明日はプロデューサーさん……忙しいみたい……」

智絵里「リハ……見に来てもらうのは難しそう……」

カエル「おいおい、諦めたんじゃなかったのかよ」





智絵里「それとこれとは別……なの」

智絵里「やっぱり好きだから」

智絵里「会えるなら会いたいなって」

カエル「一回認めたら素直になりやがって」

カエル「まあいいさ」

カエル「明日、頑張ってな」

智絵里「カエルさんありがとう」

カエル「なんたって、ワタシも智絵里のファンだからな」

カエル「こんなにアイドルの身近にいれるファンなんていないよ」

智絵里「えへへ」

智絵里「明日は頑張るね♪」






~~~~~~~~


0日 運命の日

LIVE会場(古)
リハ中



智絵里「~~♪」

スタッフ「はいっ、おっけーでーす!!」

スタッフ「緒方さん位置取りや音響について何かありますかー??」

智絵里「は、はい……!大丈夫ですっ!」

スタッフ「はいオッケーです」

スタッフ「じゃあ、一旦休憩に入りまーす!」

スタッフ「その間に照明チェックー!!」






~~~~~~~~


LIVE会場(古)
舞台袖
リハ中(照明チェック)



智絵里「ふう」

カエル「お疲れだな……」

智絵里「あ、カエルさん見てたの?」

カエル「カバンの中でじっとなんてしてられないよ」

カエル「……」

カエル「本番になると……この会場が智絵里を見に来た人で埋まるんだな」

智絵里「う、うん」





智絵里「……緊張しちゃうね」

カエル「はは、そりゃそうだよね」

カエル「でも、みんなそんな智絵里が好きで見に来るんだ」

カエル「ありのままにやればいいんじゃないか?」

智絵里「そうだね」

智絵里「私、頑張るね」






カエル「……」

スタッフ「……緒方さーん」スタスタ

カエル「おっと」ササッ ポケットin

スタッフ「あの休憩中すみません緒方さん」

スタッフ「照明チェックの関係で、もう一度ステージに来てもらってもいいですか?」

智絵里「は、はい……!」

智絵里「お願いします……!」

スタスタ





~~~~~~~~


LIVE会場(古)ステージ
リハ中



スタッフ「どうですかー!?」

智絵里「は、はい……!」

智絵里「私は大丈夫です」

スタッフ「はい、オッケーです」

照明スタッフ「ちょっと調整してもいいですか?」

スタッフ「おっけーです!」

スタッフ「緒方さんすみません、ありがとうございました!」

スタッフ「休憩に戻って貰って大丈夫ですよ~」

智絵里「はーい」






カエル「おおーこれがステージかあ」

智絵里「か、カエルさん……!」ボソボソ

智絵里「付いてきちゃったの!?」ボソボソ

カエル「だってよー、戻るに戻れなくて」

智絵里「も、もー」

カエル「……?」

カエル「ん?」

カエル「!!」

カエル「お、おい!智絵里!」





智絵里「?」

カエル「舞台袖見てみろ、プロデューサー来てるぞ」

智絵里「!」

智絵里「う、うそ……!」

智絵里「だって、今日はお仕事だって……」

カエル「智絵里のために早く終わらせたんじゃないのか?」

智絵里「えへへ、そうだと……いいな」





モバP「おーい、智絵里―!」ブンブン
スタスタ


カエル「ほら、こっち来てるぞ」

智絵里「は、はい!」


モバP「はは、頑張ってるな!」スタスタ

ヒュー、カランカラン
コロコロ

カエル「ん?なんの音だ?」

智絵里「……何か落ちてきた?」

コロコロ……





コロコロ……

智絵里「ね、ねじ?」

カエル「なんのネジだよ」

智絵里「……!」

カエル「……まさか」

ガコン

カエル「舞台の照明のネジか!?」バッ

ガチャンっ!






カエル「おい、あの照明だ!揺れてるぞ!」

智絵里「プロデューサーさんの真上!」

カエル「おいおいおいおいおい!」

カエル「プロデューサーは気付いてねえ!」


ガコン ガターン
バキバキッ


智絵里「あ、危ない!!落ちてくる」

智絵里「プロデューサーさん!!!!!」

カエル「!!!」

智絵里「え、えい!!!!」ガチャリ


きらきらきらーん


智絵里『……』ハァハァ

カエル『……』ハァハァ






カエル『……おい』

カエル『おい、これは……』

カエル『かなりまずいんじゃないのか……』

カエル『……』

カエル『お……おい、智絵里……!』

智絵里『だ、黙ってて……!』

智絵里『……ど、どうすれば』

カエル『あのお婆さんの時とは訳が違うぞ』

カエル『このまま解除したらあのどデカイ照明がプロデューサーの脳天にズドンだ』

カエル『間違いなく死ぬぞ』

智絵里『分かってる、分かってるから……!』




智絵里『なんとかしなきゃ……』

カエル『……プロデューサーまでの位置が遠すぎて、解除してからじゃあ、突き飛ばしたりして助けるのは間に合わない』

智絵里『クッションになりそうなものは……』

カエル『探してみるが……』

カエル『ここは”ステージ”だぞ……』

カエル『あの照明を防げるクラスのクッションなんて……』

カエル『それにぶつかる衝撃を吸収できたとしても、あのスピードと重さだ……』

カエル『首の骨がどうなるか……』

智絵里『……』





智絵里『……』

カエル『智絵里?』

智絵里『探してみよう』

カエル『お、おう』

智絵里『……』






~~~~~~~~~~


4時間後

LIVE会場(古)ステージ
時止め中



智絵里『……』

カエル『く、くそ……さすがにステージじゃあ大した物は……』

カエル『……なにか他に良い手は……』

智絵里『……』ブツブツ

カエル『ち、智絵里?』

カエル『おい、大丈夫かよ……?』

智絵里『う……うん』






カエル『落ちてきた照明を防げないとなると、もう照明が当たらないって方針で考えるしかない』

カエル『幸い、照明は物だ、横にずらせばプロデューサーに当たることはないだろう』

智絵里『……』

智絵里『……私もそれはすぐ考えたよ』

智絵里『……でも』

カエル『……』

カエル『ああ……そうだな』

カエル『落下中の照明の位置が高すぎる』





カエル『プロデューサーの肩に登れたとしても智絵里の背じゃあ届かないか……』

智絵里『さっき、クッションになりそうなものを探す時に棒のような長いものも探したよ……』

智絵里『……』

カエル『……』

カエル『……もう……だめ、なのか?』

智絵里『……』






智絵里『……』

智絵里『……』

カエル『……』

カエル『……智絵里』

智絵里『私がもう少し時間を止めるのがプロデューサーさんの頭上ぎりぎりだったら』

智絵里『助けられてたかも……しれないね』

カエル『智絵里……』





カエル『それは結果論だ』

カエル『むしろ、良く咄嗟に判断して、時間を止めることが出来たよ』

カエル『……』

カエル『……』

カエル『前に智絵里自身も言っていたが』

カエル『この能力はズルみたいなもんだ』

カエル『ズルをして、現実を無理やり変えているものなんだ』

カエル『……』

カエル『智絵里……これは運命だったんだよ』

智絵里『……』

智絵里『……”運命”?』





カエル『そうだ、智絵里がワタシと出会わず』

カエル『時を止めることなんて出来ないまま過ごしてたとしても』

カエル『今日この日、こうなる運命だったんだ』

カエル『……』

カエル『智絵里……』

カエル『これは智絵里の力不足とかそういうもんじゃない』

カエル『こうなることは決まってたんだ』

智絵里『……』





智絵里『……』

智絵里『……運命』

カエル『だから……智絵里』

カエル『諦めて……時を動かそう』

智絵里『……』

カエル『もしかしたら、助かる可能性だってある』

カエル『事態をより把握してるワタシたちが即、救急車を呼べばいい』

カエル『……そうしよう』

智絵里『……』




智絵里『……』

智絵里『……』

智絵里『……』

智絵里『運命、ね……』

カエル『……?』

カエル『ち、智絵里……?』


智絵里『えへへ、たしかにこれは”運命”なのかもしれないね』


カエル『どうした……?』





智絵里『カエルさん……無理だよ』

智絵里『私の意志で時を戻したら、プロデューサーさんは私が殺しちゃったみたいなもの……でしょ?』

カエル『……違う』

カエル『それは違う』

カエル『これは事故だ!!』

智絵里『私の行動でプロデューサーさんは死ぬの、そうじゃない』

カエル『智絵里!』





カエル『それでも、どうしようもないじゃないか!』

カエル『防ぐ手段はない』

カエル『時を止めてなくてそのまま死んでいたら、それは智絵里のせいだったのか!?』

カエル『違うだろう!』

智絵里『でもね、カエルさん』




智絵里『……私は時間を止めちゃったの』




智絵里『もう私しか解除できない』

智絵里『解除したらプロデューサーさんは死んじゃう』

智絵里『もうこの腕時計の解除そのものがプロデューサーさんを殺すスイッチなの』

カエル『……そんなことは』

カエル『……』





カエル『仕方ないんだよ……これは運命なんだ……』

智絵里『……』

智絵里『そう……これは、運命』

カエル『……?』

智絵里『……』

智絵里『どうにかする方法ならひとつだけあるよ、カエルさん』

カエル『!!??』

カエル『ほ、本当か?』

智絵里『プロデューサーさんも死ななくて済む』

智絵里『私もプロデューサーさんを殺さなくて済む』

カエル『……それは』









智絵里『私がこのまま時を永遠に止めておけばいいでしょ?』










カエル『!!??』

カエル『な、なにを言ってる……!?』

カエル『永遠ってどういうことか分かってるのか!?』

カエル『よく考えてみろ!!』

カエル『それに夢は!アイドルはどうする!』

智絵里『もーうるさいなあ』






智絵里『そう、これはカエルさんの言うとおり運命だったの』

智絵里『プロデューサーさんを殺すわけにはいかないからね』

智絵里『そして、プロデューサーさんがいない世界なんて……私は耐えられない』

智絵里『事務所のみんなも悲しむだろうし』

智絵里『……それにあの人だって』

智絵里『……』






智絵里『じゃあ、このままでいいと思わない?』

智絵里『これで誰も悲しい想いをしなくて済むしね』

智絵里『幸いこうやって時間を止めている間は寿命も関係ないし、食べ物も必要ないから』

智絵里『何も不都合なんてないよね』

智絵里『はぁ、良かった』

智絵里『それに』




智絵里『……”あの人”にプロデューサーさんを渡すのは、やっぱり”ちょっぴり”嫌だったしね、えへへ』







智絵里『ほら、見てよ』

智絵里『このプロデューサーの笑顔』

智絵里『これはあの人に向けた笑顔じゃない』

智絵里『私に向けた笑顔なの』

智絵里『……』

智絵里『この笑顔を永遠に私に向けてもらおう』






智絵里『他人に渡すくらいなら』

智絵里『ここで消えちゃうくらいなら』

智絵里『私がここで貰っておくね』

智絵里『……うん』

智絵里『そう、これは事故』

智絵里『事故だから仕方ないよ』



智絵里『”仕方ない”から、私はここで永遠に生きていくことにするね』






智絵里『アイドル……私の夢は少し惜しいけど』

智絵里『それも、仕方ないかな』

カエル『う、うそだろ?』

智絵里『なに言ってるのカエルさん』

智絵里『運命は受け入れなきゃ……だよ?』





智絵里『事故が起きたことだけじゃなくてね』

智絵里『七葉のクローバーを見つけたこと、カエルさんに出会ったこと』

智絵里『時間を止められるようになったこと、プロデューサーさんが事故にあいそうになること』

智絵里『そして私がプロデューサーを”救う”こと』


智絵里『ぜーんぶ……運命だったんだね』


智絵里『ああ』


智絵里『これからずーーーっと一緒にいられるなんて……なんて幸せなんだろう』


智絵里『カエルさんカエルさん、私の願いを叶えてくれて……本当に、ありがとね♪』




終わり











125446日

LIVE会場(古)ステージ
時止め中


智絵里『あ、プロデューサーさんの左薬指の第2関節辺りに汚れが……』

智絵里『綺麗にしなきゃ……!』

智絵里『えへへ』

智絵里『プロデューサーさんずーっと大好きですよ』


終わり 智絵里『無限の幸福』



前作と卯月「私のお仕事」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492301414/)

前前作もモバP「いつまでも綺麗で可愛いままでいてくれ」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1488252177/)

よろしくお願いします。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年08月26日 (土) 18:22:08   ID: I5KceyPa

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