モバP「いつまでも綺麗で可愛いままでいてくれ」 (132)

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事務所

まゆ「あ、Pさぁん」

モバ P 「お!まゆ、仕事お疲れ様!最近も調子いいな!」

まゆ「 Pさんのおかげですよぉ……」

モバ P 「いや、まゆの努力のおかげで俺も仕事を取ってきやすいんだ。もっと自信を持て。今や知らぬ者のいない売れっ子アイドルだぞ」

まゆ「うふふ、これからも P さんのために頑張りますね」

モバP「ファンのためな。まあ、これからも一緒に頑張っていこう」

モバP「……と、言いたいところだが」

まゆ「?」

モバ P 「実は俺の担当がさらに増える。まゆ達が売れたおかげで、実績を買われてということだな」

モバP「つまり、まゆの頑張りを見てあげられる時間が少し減りそうなんだ」

まゆ「……そ、そんな」

まゆ「い、今でも会えない日があるのに……まゆ死んじゃいますよぅ」

モバ P 「……分かってる。でもこれは仕事なんだ、ここは会社なんだ。頭の良いまゆならそれも分かるな?」

まゆ「で、でも……」

モバ P 「でもじゃない」

モバ P 「なるべく顔を出すようにする。まゆのアイドルに対するモチベーションのためでもあるからな」

まゆ「……」

まゆ「そういう言い方きらいです」

モバ P 「そうだな、すまない。もちろん俺だってまゆに会いたい。俺が育てた自慢の可愛いアイドルだからな。まゆの希望にそえるようにこっちでも調整するよ」

まゆ「その言い方もズルくてきらいです……」

モバP「……」

まゆ「約束してくださいね」

モバ P 「ああ……」

まゆ「じゃあ、今日はお疲れ様でした」スタスタ

モバ P 「……」

数週間後
事務所 ( 夜 )

まゆ「……」

スタスタ
小梅「まゆさんまだいたの……?」

まゆ「ひぅっ!小梅ちゃんですか、びっくりしましたよぅ、遅くまでお仕事お疲れ様です」

小梅「びっくりさせちゃってごめんなさい。……こんな遅くまで、まゆさんもお仕事だった?」

まゆ「お仕事でしたけど、夕方には終わらせちゃいました。 P さんに会おうと思ってここで待ってたんですけど……」

小梅「こんな時間まで……?そういえばさっきの現場にプロデューサーさんいたけど、どこかの他の現場でトラブルがあったみたいでそこに急いで行っちゃった」

まゆ「えぇ、そんなあ」

小梅「……最近プロデューサーさん忙しそう……」

まゆ「そうなんですよう、まゆと毎日欠かさず会ってくれるって約束してたのに……」←してない

小梅「仕事だもんね……」

まゆ「毎日どころか本当にたまにしか会えてないんです」

まゆ「まゆ、死んじゃいますよう」

小梅「まゆさん……」

まゆ「ひーん」

小梅「まゆさん、話半分で聞いて欲しい……」

まゆ「……?」

小梅「……女子寮の近くに大きなビルがあるでしょ?そこの路地裏?に願いを叶えてくれうモノを売っている出店があるんだって……」

まゆ「……願いを?」

小梅「うん……もしかしたらそういう幸運とかそういうのを集めてくれるアクセサリーでも売ってるのかな……」

小梅「まゆさん、そんなの信じないかもしれないけど、気休めにでもなるかなって……」

まゆ「小梅ちゃん……ありがとう、どうしてもってなったら覗いてみようかしら」

小梅「怪しいものだったら買わなければいいよ……まゆさん頑張って……」

小梅「今日はもう遅いし、一緒に寮に帰ろ……」

まゆ「そうですね」

さらに数日後

まゆ「えっ今日も P さん戻ってこないんですかあ!?」ヒーン

さらに数日後

まゆ「えっ P さんこんな時間から出張なんですか!?」ヒーン

数日後

夜中帰宅中
まゆ「もう駄目です。まゆ死んじゃいます」

まゆ「時々会えたとしてもほんの数分……、あんな少ししか話せないなんてもう無理ですう」

まゆ「……」テクテク

まゆ「……」テクテク

まゆ「……あらあの光は?……出店?」

まゆ「……もしかして小梅ちゃんの言ってた……??」

まゆ「怪しいなら買わなきゃいいだけだものね……少しだけ……」

テクテク

怪しすぎる老婆「いらっしゃいませ」

まゆ「……」

老婆「何か?」

まゆ「いえ、別に……って、えっ!!?」



まゆ「拳銃!?」



まゆ「(いやいやいやいや怪しいなんてもんじゃないくらいヤバイお店じゃないですかぁ!小梅ちゃぁん!!)」


老婆「……」

まゆ「……?(何か書いてある?)」

まゆ「(飛ばせる弾丸とセットとなります)」

まゆ「……(弾丸は普通飛ぶものじゃないのかしら……)」

まゆ「あの……、これ『飛ばせる』ってどういう意味です?」

老婆「……」

まゆ「気になりまして……意味が……」

老婆「それは『飛ばせる』という意味でございます」

まゆ「……はあ(怪しすぎません?)」

まゆ「あっ、説明書があるんですね?読んでも?」

老婆「お買い上げになった方のみそれを読むことが出来るのです」

まゆ「ちなみにおいくらですか?」

老婆「2500円でございます」

まゆ「(安……、本物じゃないのかしら……いわゆるモデルガンっていうものなの?でも弾丸……?)」

まゆ「(『飛ばせる』って意味も、説明書も気になるし……)」

まゆ「(というよりこの日本という国でこんなに簡単に拳銃が手に入るわけないですし、偽物に決まってるでしょう……それに……)」

~(小梅「願いを叶えてくれるお店があるんだって」)~

まゆ「……」

まゆ「(好奇心に負けちゃいます……)か、買います……」

老婆「ありがとうございます」

女子寮まゆ部屋

まゆ「うーん」

まゆ「気の迷いで買っちゃいました……」

まゆ「まゆの2500円……」

まゆ「……ただのモデルガンなら大和さんに使い方でも教えてもらおうかしら」

まゆ「さて……」ドキドキ

拳銃を箱から取り出す

まゆ「」ズッシリ

まゆ「(いやいやいやいや……これモデルガンの重さじゃないでしょう……、えっえっ最近のモデルガンってこんなにしっかりしてるの……!?)」

まゆ「……」

まゆ「(えーっと『飛ばせる』弾丸というのはなんなのでしょう)」箱開けー

鈍く光る銃弾12発セット(キラーン

まゆ「…………」

まゆ「……まゆ犯罪者になっちゃいましたぁ……!」

まゆ「ひーん」

まゆ「か、返しに行かなきゃ……!」

ピラッ

まゆ「あら、なにかしら……紙?」

まゆ「あっ説明書……?」

まゆ「……」ゴクリ ぺラッ



~説明書~

◎本セットは拳銃と飛ばせる弾丸12発のセットとなっております。※不備があった場合はお求めの店舗にお問い合わせ下さい

1、拳銃について。拳銃は本物です。12発の飛ばせる弾丸を使い切った後もお使い頂けます。くれぐれも管理にお気を付け下さい

2、飛ばせる弾丸について。本物の弾丸ではありますが、特殊な効力を持つ不思議な弾丸となっております

(1)飛ばせる弾丸の側面に白シールが貼ってあります。そこに『時間』を記入して下さい。時間を書いた弾丸を拳銃に込め、自分に発砲することで書いた時間分『時間』を飛ばすことが出来ます。細かい時間まで対応しております

( 2 )他人の時間は飛ばすことが出来ません

( 3 )本セット付属の拳銃以外の銃に飛ばせる弾丸を込めた場合、時間は飛びません

( 4 )白シールに時間を記入せず、飛ばせる弾丸を発砲した場合、通常の弾丸と同じ効果となりますのでお気を付け下さい

( 5 )飛ばす時間が長ければ長いほど着弾時の痛みが増します

( 6 )時間の記入さえしていれば命の危険は全くありません

( 7 )飛ばせる弾丸の追加注文は受け付けておりません




事務所夜

小梅「あ、まゆさん……久しぶり……」

まゆ「ふふ、小梅ちゃんお久しぶりです……」

小梅「お仕事忙しそうだね……」

まゆ「そうなんですよ……仕事があるというのはアイドル駆け出し時代を考えると嬉しいことですけどねぇ」

小梅「あの頃は本当に大変だったね……」

まゆ「まあ忙しいくらいが丁度良いんでしょうね……本当は」

小梅「……まだ、あまりプロデューサーさんと会えて……ないの?」

まゆ「……仕方ないですよう」

小梅「……あ、そういえば……例の出店……は行ってみた……?」

まゆ「……行ってみましたよ。なんだか怪しい店だったので、何も買わずに帰っちゃいましたぁ、せっかく教えてくれたのにごめんなさい……」

小梅「……んーん。いいの……私も変なこと教えちゃって、ごめんね……」

まゆ「いや、気遣ってくれてありがとうございます、小梅ちゃん」

小梅「……」

まゆ「今日はもう一緒に帰りましょっか」

小梅「……そうだね……」


ガチャバタンッ

モバP「お疲れさまー!」

2人「!!!!」

モバP「お、まゆに小梅!お疲れ!まだ残ってたのか。もうこんな時間だぞ」

まゆ「Pさぁん、やっと会えましたぁ」

モバP「げっ、お前まさか夕方のインタビュー終わってから、こんな時間まで待ってたのか!?」

まゆ「うふふ」

小梅「(……嬉しそう)」


モバP「俺としてはとても嬉しいが、もう深夜近くだ。こんな時間まで事務所にいると、帰りが危ないだろう」

まゆ「Pさんに会えるなら危険なんて、まゆにとってなんの問題でもありません」

モバP「……あのな、まゆ。俺はお前に何かあったらいけないから言ってるんだ。俺の気持ちも分かってくれ」

まゆ「……」

モバP「……」

モバP「すまなかったな。まゆ。あんな約束しておきながらこのザマだ。なんとか調整はしているんだが」

まゆ「Pさん。大丈夫です。分かってます。これは仕事で、ここは会社でしょう?」

モバP「本当に済まない」

モバP「……ん、そういや、待てよ」

まゆ「?」

モバP「まゆ、お前、来週末はオフだったな」

まゆ「ええ、土曜日だけですがお休みを頂いてます」

モバP「俺もたまたま休みだ。最近頑張ってるまゆを放ってばかりだしな、1日買物にでも行くか!」

まゆ「Pさぁん!」


小梅「……まゆさん、良かったね」

まゆ「はぁい!」

モバP「ははは、楽しみにしておけ。俺も楽しみにしとくよ。ただ、それまで仕事は頑張れよ!」

まゆ「待ち切れません……!」

モバP「仕事は仕事だぞー、手を抜くなよ?」

まゆ「はぁい」

モバP「ちなみに俺は明日から来週末までまた地方出張だから」

まゆ「!?」

まゆ「……ちょっと意味が分からないんですけどぉ」

モバ「約束の土曜日までは会うことはないだろうなあ」

まゆ「ひーん」

モバP「まあそう嘆くな。その日は1日遊んでやるから」

まゆ「い、一日中……!?約束ですよ!?」

モバP「うーん、多分な」

まゆ「もー、Pさぁん」

モバP「ははは、それじゃ今日は遅いから俺が2人とも女子寮まで送るぞ」

小梅「……プロデューサーさん……ありがとう……」

まゆ「むぅ……はぁい」



女子寮
まゆ部屋

まゆ「……」

まゆ「……来週の土曜日まであと9日……」

まゆ「それまで会えない……」

まゆ「まゆもずーっとお仕事です……心を無にして働けば早くお休みの日になってくれますかねえ」

まゆ「……」

まゆ「……絶対無理。1週間ちょっとも耐えられません。死んでしまいます」

まゆ「というより心を無にして働くアイドルって駄目でしょう……」

まゆ「……」


まゆ「……」

まゆ「怪しさしかないあの拳銃の出番でしょうかぁ」

まゆ「結局返しに行かずに、棚の奥にしまいこんでいますが……小梅ちゃんにも嘘ついちゃいましたね……」

まゆ「説明書と拳銃を本当に信じるのであれば、土曜日までの仕事日、8日間の時間を『飛ばして』すぐにPさんとのデートが出来ますねぇ」

まゆ「……」

まゆ「ううん、信じる信じないじゃないですね。あと8日。あと8日頑張ったらPさんに会える。それを励みにこれくらい乗り切りましょう」

まゆ「頑張れまゆ」

まゆ「まゆ頑張ります!」



1日目

「まゆちゃん今日も良いねえ!撮影一発OKだよ!」

まゆ「ふふ、ありがとうございまぁす」


2日目

「まゆちゃんLIVE良かったよぉ!さすがだね!」

まゆ「はぁい!ありがとうございます!」


3日目

「佐久間さん明日からの収録の件の打ち合わせですけど……」

まゆ「もう台本チェック済みですぅ!」


4日目

「まゆさん今日の収録もなかなか上手くいったね、明日からもよろしく」

まゆ「よろしくお願いしますぅ」


5日目

「佐久間さん収録完璧だったよ~これはオンエアーが楽しみだ!」

まゆ「ありがとうございしたぁ……」


6日目

「まゆちゃん今日のインタビューだけど大丈夫??」

まゆ「大丈夫ですぅ……頑張ります……!」


7日目

まゆ「……はぁい、頑張りますぅ」


8日目

まゆ「」




約束の土曜日
早朝

まゆ「……」

まゆ「……たえきりました」

まゆ「まゆ、頑張りました……」

まゆ「本当に頑張りましたよぅ」

まゆ「早くPさんに会わないと死んじゃいます」

まゆ「今日は夢にまでも見たPさんとのデート日……」

まゆ「……」

まゆ「デートの準備は終わりましたし、高校の出席日数足りてない分を埋めるレポートでも書いて待ちましょうか、うふふ、待ちきれませんね」


プルルルルルルル

まゆ「電話?」

まゆ「あ、Pさんから?」

ピッ
まゆ「おはようございますぅ!あなたのまゆですぅ」

モバP『おう、まゆおはよう!』

まゆ「まだ約束の時間まではもう少しありますけど、どうしたんですかぁ??」

モバP『実はな、ちょっと午前急な仕事が入った、かなりやばいトラブルだ。』

まゆ「」

モバP『本当にすまない、まゆ。午後は絶対行くから、本当にすまない!!!』

まゆ「」

モバP『じゃあまた連絡するから昼過ぎな!本当にすまん!』

まゆ「……はぁい」

ピッ

まゆ「」


まゆ「」

まゆ「……午後……から?」

まゆ「……無理ですよう」

まゆ「本当に死んじゃいますよう」

まゆ「落ち着いて何が起こったか、振り返ってみましょう……」

まゆ「えーっと、9日前にPさんとデートの約束をしました。それが今日です。この8日間Pさんは出張、まゆもずっと仕事で会うことが全く出来ませんでした。」

まゆ「まゆはそれでも頑張りました。そして今日を迎えました。あと少しでPさんに会える予定でした。するとPさんから電話がかかってきて……」

まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「もう耐えられません。もう少しも我慢できませんよう」

まゆ「……」


まゆ「……」

まゆ「もうどうしようもありません」

まゆ「『あれ』使うしかないですか」

まゆ「……」

まゆ「どれだけ怪しくても構いません、もう耐えられません」

まゆ「お昼まであと5時間」

まゆ「8日間飛ばすよりリスクは少ない……はず」


ゴソゴソ

まゆ「ゴクリ」

まゆ「弾丸の準備をしましょう」

パカッ
12発の弾丸(キラーン


まゆ「1つだけ取り出してみましょう」

まゆ「リアルな重みですねぇ、もう我慢できないって振り切れてた感情が少し冷静になってしまうくらいにはリアルです……」

クルッ
まゆ「そして、これが白シール……」

まゆ「これに時間をかけば良いんですねぇ、何でもいいのかしら。油性マジックで書いてみましょう」

まゆ「……」


まゆ「……」

まゆ「……書きます」

カキカキ

『5時間』

まゆ「本当に書いちゃいました」

まゆ「そして、拳銃にこの飛ばせる弾を込めます」

コメコメ

まゆ「……はい、準備、簡単に出来ちゃいましたね」

まゆ「覚悟する暇もなかったです」

まゆ「……」


まゆ「……」

まゆ「……」

カチャ
まゆ「……これ流石に怖いですねえ」

まゆ「説明書曰く死にはしないけど多少痛いって書いてありましたし、というよりこれが本物なのかどうかというのも……」

まゆ「……」

まゆ「でも、もう無理です。どっちにしろまゆの心はこれ以上持ちません」

まゆ「撃ちましょう」

まゆ「撃ちます」

まゆ「……」

まゆ「もし偽物で……死んでしまったら」

まゆ「Pさん悲しむでしょうか」

まゆ「……」

まゆ「Pさん」

まゆ「……」



まゆ「ごめんなさい!!」

カチッ

パスッ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~


まゆ「……」

まゆ「普通にまゆの部屋……」

まゆ「何が起きたんでしょう、何も変わってないように見えますが……」

まゆ「それに、手に持ってた拳銃はどこにいったんでしょう」

まゆ「時計、時計……」

~~12:15~~

まゆ「す、凄い……本当に時間が飛んでます……」

まゆ「本物だったんですねぇ」

まゆ「でも、拳銃は……?」


ゴソゴソ

まゆ「……ちゃんと棚に戻ってます。あ、弾丸は1つ減っていますね」

まゆ「そして、机の上に広がる高校のレポート……」

まゆ「記憶にはないですが、しっかり書き終わってます……」

まゆ「どういうことでしょう」

まゆ「もしかして、時間が飛んでる間もちゃんと『まゆ』は活動してるってことでしょうか」

まゆ「よく考えると、その間何もしてないと、5時間拳銃で自分を撃ってまゆは眠ってただけってことになりますし」

まゆ「不思議ですがそういうものだと思うしかないですねえ」


プルルルルルルル

まゆ「あ、電話」

ピッ

モバP『あ、まゆか!?今トラブルも落ち着いたよ、すぐそっちに向かうな!というよりもう向かってる!もうちょっとだけ待ってくれな』

まゆ「はぁい!Pさん楽しみにしてます!」

モバP『それじゃ後でな!』

まゆ「はぁい!」

ピッ

まゆ「……」

まゆ「これは、凄い体験をしましたね。凄いです。本当に助かりました」

まゆ「ふふ」

まゆ「さて、デートの準備しましょうか」

まゆ「あ、そういえば飛ばされたまゆが全部準備もやってくれてるんでしたねえ」

まゆ「素直に待ちましょう」

まゆ「ふふふ」












翌日
事務所

まゆ「ふふふーん」♪

小梅「……まゆさん機嫌良いね」

小梅「あ……昨日が例の……お買い物の日だったんだっけ……」

まゆ「そうなんです~思う存分一緒にお買い物しましたよぅ」

小梅「……良かったね、まゆさん……」

まゆ「はぁい♪」

まゆ「これでまたアイドル頑張れますねぇ」

小梅「……頑張ろうね」




ガチャ

モバP「おーお疲れ~!」

まゆ小梅「お疲れ様です」

モバP「昨日は楽しんだか?まゆ。俺は仕事より疲れたよ」

まゆ「もうPさぁん」

モバP「ははは、冗談だ!俺の方もいいリフレッシュになったよ」

まゆ「もー」

モバP「まあ、またタイミングが合えば、な。また連れてってやるよ」

まゆ「絶対ですよ!約束ですよ!」

モバP「そうだな、約束するよ。なんたって、また俺はこれから出張だ」

まゆ「ええ……」




小梅「……プロデューサーさん忙しそう」

モバP「おかげさまでな。お前らの人気のおかげだよ、新しいアイドルも光るものは持っているがまだまだ不安だらけだしな」

モバP「駆け出しだから地方営業も多い、しっかり付いていかなきゃならん」

まゆ「まゆの営業にも付いてきてくださいよう」

モバP「たまには行ってるだろう、それにまゆのデビュー直後だってずーっと付きっきりだったろ。それと一緒だ」

まゆ「むー」




モバP「また頑張って調整して、お前達の営業にも顔出すようにするよ。そしてオフがあったらまた買い物な!それでいいか?」

まゆ「仕方ないですね」

モバP「……? 引き下がるの早いな。まゆ。大人になったな」

まゆ「仕事ですからねぇ、Pさんを困らせてはいられないです。それに……」

モバP「……?」

まゆ「なんでもないです、まゆ頑張りますね」

モバP「おう、期待してるよ」

モバP「じゃ、またな」

スタスタ ガチャ

まゆ「ふふふ」

小梅「?」





~1週間後~

女子寮 まゆ部屋

プルルルルルルル

まゆ「あ、電話」

まゆ「Pさん!」

ピッ

まゆ「はぁい、まゆです」

モバP『まゆお疲れ様、報告だけ受けてるよ。頑張ってるな』

まゆ「はぁい、ありがとうございます」

モバP『明日の夕方の収録は見に行けそうだ、頑張ってくれな!』

まゆ「本当ですかぁ!?ふふ、嬉しいです!」

まゆ「あれから全然Pさんに会えてなくて死んじゃうとこでしたよぅ」




モバP『すまんすまん、仕事も増える一方でなあ。ただ明日は大丈夫だから』

まゆ「楽しみにしてますね」

モバP『楽しみにしてるのは俺だ。見てるからな。しっかりな』

まゆ「はぁい、まゆの全力、見てくださいね」

モバP『それじゃあまた明日』

まゆ「はぁい」

ピッ

まゆ「うふふ、明日が待ちきれません」

まゆ「……」




まゆ「……」

まゆ「……使っちゃいましょうか」

まゆ「結局本物だったわけですし、問題はないでしょう」

ゴソゴソ
パカッ

まゆ「明日のちょうど今くらいの時間が収録になるから『1日』でいいかしら」

カキカキ

まゆ「2度目となると準備になんの抵抗もありませんねえ」

拳銃取り出し弾丸コメコメ

まゆ「これで良いですね」



スチャ

まゆ「前はなんとなくコメカミに撃ち込みましたけど、それでいいんでしょうか」

まゆ「成功事例を信じて今回もそうしましょう」

まゆ「それでは」

カチャ

バシュッ





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

収録現場

まゆ「……」

まゆ「……予定してた収録現場ですね」

まゆ「どうやら今回も成功したみたいです」

まゆ「収録の台本ももう頭に入ってるし、問題ないですねえ」

モバP「お~まゆ~」

まゆ「Pさん!!」

モバP「久し振りだな、約束通り見に来たぞ!」

まゆ「嬉しいです!」

モバP「収録準備の方は大丈夫か?」

まゆ「はぁい!」

モバP「おっし!期待してるぞ!」




収録開始


司会まゆ「へーそうなんですねぇ、また一つ勉強になりました!!」

司会まゆ「では、次のコーナーへ」

ディレクター「はい!!カット!カット!」

まゆ「!?」

ディレクター「まゆちゃーん、打ち合わせしたじゃなあい!今回はここで次のコーナーにいかず、もう一つVTR流すって!」

まゆ「えっでも台本……は……!?」

ディレクター「あらら、忘れたのまゆちゃん、収録『直前』の打ち合わせで変更が入ったって言ったじゃない!」

まゆ「……あっ」

ディレクター「珍しいミスね、まゆちゃーん。そんなとこも可愛いけど!」

まゆ「はぁい!すみませんでしたみなさぁん!」

収録スタッフ「あははははははは」

まゆ「……」

ディレクター「はい!じゃあ直前から撮り直すよ!」

ハーイ





収録終わり

モバP「お疲れまゆ」

まゆ「Pさん、ごめんなさい、ミスしちゃいましたぁ」

モバP「ん?あーあれか、あの程度のミス誰でもあるさ、まあ完璧なまゆのことを思うと珍しいと思うがな」

まゆ「ごめんなさい」

モバP「むしろ俺が来てることで緊張させてしまったか?」

まゆ「!!!そんなことないです!大丈夫です!いつでも見に行きて下さい!!」

モバP「おお?そうか?まあ仕事に関してはまゆにそこまで心配などないが、ちゃんと見に来るようにするよ」

まゆ「はい!よろしくお願いしますぅ」

モバP「じゃ、俺は小梅の撮影現場にも行かなきゃだから、またな」

まゆ「え、もうですかぁ」

モバP「ああ、すまないな。またちゃんと連絡するよ」

まゆ「はい、分かり次第『早く』連絡下さいね」

モバP「おーう、じゃあなー」

スタスタ




まゆ「ふう」

まゆ「失敗しましたね」

まゆ「まゆ大誤算です」

まゆ「つまりそういうことですか、飛ばされた時間も『まゆ』はちゃんと動いてるけど、本当のまゆが飛ばされてくることでその間の記憶は飛んでることになるんですね。記憶のないまゆが飛ばされてきて記憶を上書き保存するイメージでしょうか」

まゆ「1回目使った時になんとなく気付いてたことでしたが、完全にうっかりしてました。これも考えてちゃんと使用しないといけませんね」

まゆ「ただ、効果は本物ですね。凄いです。しっかり見極めながら使っていきましょう」

まゆ「うふふ」




~~~~~~~~~
事務所

まゆ「あ、Pさん明後日の収録に見に来てくれるんですか?」

女子寮まゆ部屋 夜

まゆ「1日と16時間」カキカキ

まゆ「よし、いきますよ」

スチャ バシュ




~~~~~~
事務所朝

まゆ「え、今日のレッスン終わったら夕方Pさんと打ち合わせ!?」


女子寮昼前

まゆ「6時間」カキカキ

まゆ「……」

スチャ パシュ




~~~~~~
事務所 昼

まゆ「Pさん出張?」

まゆ「いつまでですか?」


女子寮夜

まゆ「4日」カキカキ

まゆ「……」

スチャ ッパァン





~~~~~~~
パス
~~~~~~~
ッパァン
~~~~~~~
バシュ
~~~~~~~
ッパァン
~~~~~~~






女子寮 まゆ部屋 夜

まゆ「だいぶこの拳銃の使い方にも慣れてきましたね」

まゆ「長い時間を飛ばすと、色んな人と話を合わせることと仕事関係の情報が失われるのがネックですね」

まゆ「このPさんと買い物した時に買ってもらったメモ帳に仕事のことは必ずメモする癖を付けるようにしたのは正解でした」

まゆ「ちゃんと癖になってるので、飛ばされてるまゆもちゃんとメモしてますね、それを見れば大抵のことは問題ないですねぇ」

まゆ「友達との会話も受け身気味にこなせばボロは出ないはずです」

まゆ「まゆには造作もないです」

まゆ「なんたってPさんに早く会うためですから」

まゆ「Pさんのいないところのまゆに価値なんてありません」

まゆ「うふふ」

まゆ「うふふふ」






まゆ「……」

まゆ「あとは大した問題でもないんですが、痛みの方ですね」

まゆ「3日を超えた辺りの弾丸から明らかに痛いと思うようになりました」

まゆ「耐えられないほどではないですが、今後大きな時間を飛ばす時注意だけしておきましょう」

まゆ「最後にそして大きな問題が。……残り弾数です」

まゆ「あと3発」

まゆ「最初の頃はもったいない使い方してましたしね。仕方ないです」

まゆ「追加販売もないと説明書に書いてありましたし、大事に使うしかないですねぇ」

まゆ「……」






まゆ「……」

まゆ「……そもそも分かってます、これが悪いやり方だってことも」

まゆ「なるべく使わないに越したことはありません」

まゆ「でも、この拳銃をいつまでも持っておくわけにもいきません」

まゆ「さっさと使い切って、バレないとこに捨ててしまうのが一番でしょうね」

まゆ「……」

まゆ「……」





~~~~~~~~~~~~~~~~

1ヶ月後
事務所 昼

まゆ「はぁ」

小梅「……まゆさんおつかれ……だね」

まゆ「まゆはもう疲れてきました……」

小梅「……アイドル辞めちゃわないよね……寂しくなる……」

まゆ「ええぇっアイドルを!?辞めませんよう」

小梅「……良かった」ニコッ

まゆ「……」

小梅「プロデューサーさんのこと……?」

まゆ「ええ、そうですねぇ。最近本当に忙しいみたいですし、5日に一回会えたら良い方です」






小梅「そう……だね……、プロデューサーさん、出世してるみたい……」

まゆ「出世ですか」

小梅「うん、ちゃんと結果を……出せてるからね、会社からも認められているみたい……」

まゆ「なるほど」

小梅「忙しいのも……仕方ないのかも……」

まゆ「……そうですね」

小梅「まゆさん……お仕事は?」

まゆ「季節的にちょっと落ち着いてきてますねえ」

まゆ「ここ数ヶ月はゆっくり仕事できそうです。高校の勉強もしなきゃですしね」

小梅「……そうなんだ……頑張ろうね」

小梅「じゃあ、私は……次の収録があるから……」

まゆ「はぁい、頑張ってくださいね、小梅ちゃん」

スタスタ



まゆ「はあ」

まゆ「Pさん出世ですかぁ、喜ぶところなんですよねぇ」

モバP「俺がどうしたって?」

まゆ「はわっ!!!?」ビク

まゆ「Pさん!?なんで!?ここに!?」

モバP「ちょうど仕事が片付いてなあ、まあこれからまた出るけど」

まゆ「そ、そうなんですかぁ」

モバP「どうかしたのか?」

まゆ「……いえ、Pさんのお仕事忙しそうだなあと思いまして」

モバP「む、そうだな。最近は会社に色々なことを任せて貰えるようになってきたしなあ」

まゆ「……」

モバP「……」




モバP「まゆその件で話がある」

まゆ「また出張ですか?」

モバP「……そうだ、2ヶ月だ」

まゆ「……まゆは大丈夫です!」

モバP「……!」

まゆ「まゆなら頑張れるので、Pさんも頑張ってきて下さい!」

モバP「そう言われると逆に俺が寂しくなるなあ」

まゆ「まゆだって寂しいですけど大丈夫です」

モバP「うん、そうだな。実は帰ってきたら、休みがとれそうだ。どこか行くか、まゆ」

まゆ「はい!楽しみにしてますねPさぁん!」

モバP「俺も楽しみにしておくよ」





~~~~~~~~

女子寮まゆ部屋 深夜

まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「Pさんのバカ」

まゆ「2ヶ月なんて耐えられるわけないじゃないですか」

まゆ「まゆのバカ。大丈夫なわけないでしょう」

まゆ「この1ヶ月だって、本当に辛かったんです。数日に1回会えている今でもこんなザマですよ、まゆは」

まゆ「使います、使いますとも」





ゴソゴソ
パカ

まゆ「『2ヶ月』飛ばします。幸い仕事も落ち着いて来た時期ですし」

まゆ「まあ、まゆは仕事忙しい時期だろうと飛ばしてるでしょうけど」

カキカキ

『2ヶ月』

まゆ「2ヶ月ですか……今まで飛ばしてきた時間、最長でも1週間ですからね」

まゆ「単純計算で10倍の痛みになるんでしょうか……」

まゆ「でも、この心の痛みに比べたら大したことないですねえ」





コメコメ
スチャ

まゆ「じゃあ、いきます!!!」

まゆ「ふう」

カチャ
っバーン!!

まゆ「!!!!」




~~~~~~~~~~~~~~~

まゆ部屋

まゆ「うっ」

まゆ「痛すぎますぅ、想像以上でしたが。まあ耐えられます……」ハァハァ

まゆ「えーっとスマホスマホ」

まゆ「場所はまゆの部屋ですね。深夜だから当然ともいえます。日付確認。うん、ちゃんと2ヶ月後に飛んでいるみたいです」

まゆ「仕事のメモ帳と日記帳をチェックしておきましょう」

まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「はい、仕事の方は問題ないですね、全然リカバリー可能です」




まゆ「まゆ日記の方は……あら!?」

まゆ「Pさん5日前に帰ってきてるみたいですねえ」

まゆ「予定変更でもあったのかしら」

まゆ「飛ばされたまゆがもう聞いてるかもしれませんが、また聞いてみましょう」

まゆ「……2ヶ月ですからね、変なこと言わないよう気をつけます」






事務所 翌日朝

まゆ「おはようございますぅ」

モバP「おう、まゆおはよう」

まゆ「なんだか事務所にPさんがいるのが珍しく見えますねえ」

モバP「そんなこと言うなよ、まゆー」

まゆ「うふふ」

モバP「せっかく地方支社の仕事も早く終わらせて帰ってきたのになあ」

まゆ「(なるほど、とくに大きな意味はないみたいですね)まゆはPさんに会えるから大歓迎ですよぉ」

モバP「……2ヶ月間頑張ったなまゆ、そういや約束してたものも果たさなきゃな」

まゆ「デートですね!!」

モバP「ははは」

まゆ「(否定しない?)」

モバP「……」




モバP「ちょっと遠出するか、まゆ」

まゆ「えっ!もちろんまゆはいいですけど」

モバP「と言っても日帰りだぞ?今週土曜日の朝迎えに行くよ」

まゆ「……はぁい!楽しみにしておきます」

まゆ「じゃあ、まゆは撮影に行きますねえ」

モバP「おう、頑張れよ」

まゆ「……」

スタスタ




まゆ「なんだかPさんの様子がおかしく感じましたね」

まゆ「……」

まゆ「この2ヶ月間で何があったかは、分からないですし、とりあえず素直にデートを楽しみにしましょう」

まゆ「……」

まゆ「……まさかバレたってことはないでしょうし」

まゆ「……」

スタスタ




~~~~~~~~~

デート日 P所有車 車内

まゆ「今日はどこに行くんですかぁ?」

モバP「ん?そうだな。実はそんなに考えてないんだ」

まゆ「えええぇPさんデートですよぉ。下調べして下さいよう」

モバP「ははは、すまないな!」

まゆ「もー(また否定しない?やっぱり何か変なような)」

モバP「とりあえず海目指そう海」

まゆ「Pさんとだったらどこでも行きます♪」




~~~~~~~~
夕方

モバP「いやー海辺に水族館とショッピングモールがあってよかったな」

まゆ「はい、とっても楽しかったです」

モバP「……」

まゆ「……」

まゆ「(Pさんと夕方の海を眺めながら、何気ない会話するのもデートっぽくて素敵ですね)」

モバP「……」

まゆ「(それにしてもやっぱりPさん変?調子悪いのかしら)」

モバP「……」




モバP「……まゆ」

まゆ「はひっ!!」ドッキン

モバP「話がある」

まゆ「……(どどどどどの件でしょう、『飛ばす』のもしかしてバレた??それともあの飛ばした2ヶ月何かまゆやっちゃいました!?そそそそれともまさか愛の告……!!!)」

モバP「実はな」

まゆ「(ゴクリ)」

モバP「海外支社に転勤になった」

まゆ「……」

まゆ「……えっ」




モバP「海外だ。ヨーロッパ支社が新たに出来る。そこで働くことになる」

まゆ「う、うそ」

モバP「もちろんずっとじゃない、一応6年間。ヨーロッパ支社が軌道に乗るまでの間という約束だ」

モバP「この2ヶ月の出張早く終わったろ、実は本社に呼び出されて急に辞令を受けてな」

まゆ「……」

モバP「すまない」

まゆ「ろ、ろくねん……」

まゆ「無理です……絶対無理です」




まゆ「まゆ死んじゃいますよ!」

モバP「お前はすぐ死んじゃうって言うなあ。人はそう簡単に死なん。6年なんて……あっという間さ……っていうのは無理があるか?」

まゆ「無理ですよう……」

モバP「戻ってきたら、それなりの役職を用意してもらえるそうだ。俺も出世だな」

まゆ「出世」

モバP「もしかしたら、アイドル部の担当ではなくもっと広く業務を見ていくことになるかもなあ」

まゆ「じゃあ、戻ってきたとしても……」

モバP「ああ、また今までのようにお前らアイドル達のことだけを見ているわけにはいかなくなるだろうな」

まゆ「……!」




まゆ「……そんな」

まゆ「無理です」

まゆ「断りましょう!絶対」

まゆ「許しません」

まゆ「まゆが直接上と話します!アイドル辞めるって脅します!!」

モバP「まゆ!!!!!」

まゆ「ひっ」ビクッ

モバP「まゆ、アイドルは辞めるな。俺は向こうでもしっかりまゆの頑張りを見てるよ」

まゆ「Pさん、でも」





モバP「まゆ」

モバP「……もし、もしだ。お前が待てるなら。6年後恋人になってくれるか??」

まゆ「えっ」

モバP「……」

まゆ「うそ」

モバP「本当だ」

まゆ「……」

まゆ「はい」

まゆ「……」

まゆ「待ちます。アイドルも続けます」

モバP「そうか、良かった」

モバP「良かった」

まゆ「Pさんじゃあ今抱きしめて下さい」

モバP「6年後な」

まゆ「もー!!」



~~~~~~~

女子寮まゆ部屋 深夜


まゆ「むふふ」

まゆ「本当に嬉しいときって言葉が出ませんね」

まゆ「でも、6年ですかあ」

まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「使いますか?」






まゆ「いや、流石に6年は……」

まゆ「もちろん耐えきれない日々が続くでしょうけど、6年後って22歳も終わる頃ですしねえ」

まゆ「17~22歳って、人生で一番大事そうな期間じゃないですか」

まゆ「それに今までは飛ばしてもなんとかなっていた仕事や友人関係も大きく変わってしまいそうですしね」

まゆ「さらにさらに、2ヶ月飛ばすだけであんなに痛かったのに、6年て。ゾッとします」

まゆ「うんうん。やめときましょう。さすがに今回は」

まゆ「……」

まゆ「そもそも今回は所謂『勝ち確定』の状況ですしね。6年越しの勝利。楽しみにしましょう」

まゆ「アイドルのお仕事も楽しいですしね」

まゆ「……」

まゆ「アイドルの仕事……Pさんがいなくても楽しいと思えるんでしょうか」

まゆ「まゆは一体なんのためにアイドルをやっているんでしょう」

まゆ「……」













事務所

小梅「……行っちゃったね、プロデューサーさん……」

まゆ「はい」

小梅「……」

まゆ「昨日のまゆは笑って見送れてました?」

小梅「……まゆさん空港で号泣してたよ……」

まゆ「ひーん、Pさぁあん!!!」ヒーン

小梅「でも……凄いね、プロデューサーさん……海外だなんて……」

まゆ「……グスッ パリってどんなところなんでしょう、Pさんが心配です……」

小梅「アイドルのお仕事……頑張って……お金貯めて海外旅行だね……」

まゆ「小梅ちゃんナイスアイディアですねぇ、頑張りましょう!」

小梅「うん」






~~~~~~~

1ヶ月後

事務所

まゆ「はあ、Pさぁん」

小梅「……」







~~~~~~~

2ヶ月後

事務所

まゆ「……お疲れ様です。お先に失礼します」

小梅「おつかれ……さま……」





~~~~~~~


3ヶ月後
女子寮 まゆ部屋 オフ 昼前

まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「ふう。アイドルのお仕事ってこんなに大変でしたっけねえ」

まゆ「なんだか疲れてきました」

まゆ「Pさんも本当に向こうで活躍を見てくれているんでしょうか」

まゆ「……」

まゆ「……」

プルルルルルルル

まゆ「電話?」

まゆ「えっPさん!?」

ピッ





まゆ「はい、もしもしまゆです!」

モバP『久し振り~まゆ~』

まゆ「ええっ本当に久し振りなのに軽くないですか!?」

モバP『ははは、すまんな』

まゆ「本当に、もう。ウッウッ」泣

モバP『あらら、泣かせちゃったか、すまん』

まゆ「……大丈夫です。最近はお元気ですか、お仕事の方は」

モバP『いきなり仕事の話か?こっちは元気だよ。食べ物も自分に合ってるようでとりあえず安心だ。仕事はなあ。正直かなり忙しい、実はもっと早くまゆに電話するつもりだったんだがなあ』

まゆ「本当に遅いですよう」

モバP『まゆの頑張りちゃんと見てるよ』

まゆ「!」




モバP『ただちょっと仕事に心が入ってないように見えるぞ』

まゆ「……お見通しですね」

モバP『もう一度なんのためにアイドルをやっているか考えるべきだな』

モバP『いやすまない、この電話で説教じみたことする気なんてなかったんだが、どうしても仕事モードになっちゃうな』

まゆ「……」

まゆ「まゆにとってのアイドル……」

モバP『……仕事の話なんてするつもりなかったんだ。すまない』

まゆ「いえPさん。まゆはPさんと話せるだけでも」

モバP『俺もだよ、まゆ。まゆと話せてとてもうれしいよ』




モバP『やっぱり、俺としても今までの仕事まゆに支えられていた部分が大きいと再認識したよ』

まゆ「Pさん……」

モバP『6年後楽しみにしてるよ、約束は覚えているな?』

まゆ「もちろんです」

モバP『この際だからはっきり言っておくが、結婚というのも視野に入れていて欲しい。俺はそのつもりで交際を申し込んだ』

まゆ「け、結婚?」

モバP『ああ、少しはそのことも考えていてほしい』

まゆ「は、はい」

モバP『じゃあな、また電話するよ』

まゆ「はい……」

モバP『おう、頑張れよ、まゆ』

ピッ




まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「け、結婚……?」

まゆ「夢みたいです」

まゆ「まゆの夢叶っちゃいます……!」

まゆ「本当に……、本当に……嬉しいです」

まゆ「まゆの夢だったPさんとの結婚……」

まゆ「……」

まゆ「……」




まゆ「……」

まゆ「まゆの夢……?」

まゆ「アイドルは……」

まゆ「……まゆにとってのアイドルってなんなのでしょう」

まゆ「なんだったんでしょう」

まゆ「私の人生の目的」

まゆ「私にとってアイドルは通過点なのでしょうか?」

まゆ「最終目標であったPさんとの結婚も決まり、もうこの時点で私にとってのアイドルはおしまいなのでしょうか?」

まゆ「Pさんは言いました。心が入っていないと。その通りです。自分がなんでアイドルをやっているか分からなくなっていました」

まゆ「もし」

まゆ「もし、本当にアイドルが私にとって通過点だとしたら、この今からの6年間は『いらない』6年間なのではないでしょうか」

まゆ「私の人生の目的はPさんとの結婚。それは間違いありません。もう待つだけです。6年間。待つだけで自動的に私の人生の目的は達成されます」

まゆ「Pさんは言いました。アイドルは続けて欲しいと。そして言いました。6年後恋人になって欲しい、そして結婚したいと」

まゆ「多分Pさんは6年後には引退を勧めてくるでしょう」

まゆ「もちろんそうです。結婚とアイドルはほとんどの場合、両立しません」

まゆ「ということは、この6年間アイドルを続けて欲しいという意味だと取れます」

まゆ「私としても、Pさんがそう言うならアイドルを6年間続けてもいいです。いいですけど……私は何を目的にアイドルをするのでしょう」

まゆ「心を込めてアイドル活動出来るでしょうか」

まゆ「……」





まゆ「……」

まゆ「たぶん出来ないです。だって私の夢は叶ってしまったのだから」

まゆ「……」

まゆ「……でもPさんは私に続けて欲しい」

まゆ「……これを解決する手段はあります」

まゆ「『私』がアイドルをやらなかったらいいだけです、『まゆ』にやって貰えばいいじゃないですか」





ゴソゴソ
パカッ

まゆ「私が本当にアイドルをただの通過点だと考えている場合、私は自分に向かって弾丸を撃つことが出来るでしょう」

まゆ「『6年』」カキカキ

まゆ「私がそれでもこの6年のアイドル『佐久間まゆ』に価値を見出せるのなら銃は撃てない、はずです」

コメコメ
ガチャ

まゆ「……準備okです」

まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「はぁ、私は一体何がしたかったんでしょうね」

まゆ「こんなに回りくどく自分に言い訳をして、」

スチャ

まゆ「私には人生にはPさんしかいりません」


まゆ「それが私の答えです」


パァーン!!!!!!





~~~~~~~~~~~~~~


まゆ「うっ」ズキズキ

まゆ「死んじゃうかと思いました」

まゆ「……」

まゆ「……ここは?」

まゆ「!?」

まゆ「実家の、まゆの部屋……?」

まゆ「な、なんで!?」

まゆ「頭が痛い……」

まゆ「……とりあえず、時間を確認しましょう、スマホスマホ……」
ゴソゴソ




まゆ「見つかりません……」

まゆ「とりあえずTVを付けてみましょう」

ピ

TV「20XX年何月何日のニュースです」

まゆ「あ、ちゃんと6年後には飛んでいるみたいですねえ」

まゆ「……」

まゆ「……それにしてもこの部屋汚いですねえ。6年後のまゆはこんなに大雑把なのでしょうか」

まゆ「Pさん、Pさんはどうしてるのでしょう」

まゆ「スマホがないから、何も情報がないですねえ」




まゆ「あ、メモ帳や日記はどうでしょう」

ガサガサ

まゆ「うーん、日記帳を収めてそうな場所にはないですねえ」

まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「一体6年後の私はなんでここにいるんでしょう……」





まゆ実家リビング

まゆ「家族は誰もいないようです。お昼ですし、仕事かしら」

まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「……リビングにも手掛かりはなさそうです」

ピラッ

まゆ「手紙?」

まゆ「まゆ宛てに?……小梅ちゃんから!!」

まゆ「何か手がかりにはなるかもですねえ」

ビリリ
まゆ「なになに?」





まゆさん、いかがお過ごしでしょうか。白坂小梅です。

元気…な訳ないですよね。
でも、もうあれから4年です。みんなまゆさんに会いたがっています。
せめて連絡を一度くれませんか?私は本当にまゆさんに会いたいです。
まゆさんどうか連絡をくれませんか。

よろしくお願いします。

白坂小梅 080-XXXX-XXXX






まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「……どういうことでしょう。文脈から察するにまゆは4年間事務所の人と連絡を取っていないようですが……」

まゆ「元気じゃない……まゆが……?」

まゆ「……」

まゆ「……電話して……みましょうか……」

まゆ「スマホがないから、おうちの電話からですね」






Pipipipipipi
プルルルルルルル
ガチャ

小梅『もしもし』

まゆ「あ、小梅ちゃん、まゆです」

小梅『えっ、まゆさん!!??』

小梅『どうして、どうしてこの電話を?』

まゆ「え、どうしてって手紙を読みまして……」

小梅『手紙?……読んでくれたの?もう随分も前に出したのに』

まゆ「え、ええ」

小梅『まゆさん、大丈夫なの?』

まゆ「え?」

小梅『とにかく一回会えませんか?』

小梅『実家だよね?今から私仙台に行くよ』

まゆ「え、今から、仙台まで?いいんですよわざわざ」

小梅『何言ってるのまゆさん、必ず行くから。16時に仙台駅に着くように行くよ』

まゆ「え、あ、はい、お願いします」

小梅『じゃあ、まゆさんあとでね』

ガチャ





まゆ「小梅ちゃん話し方随分変わってるみたい……6年ってことは20歳前くらい?」

まゆ「凄く焦ってたみたいですけど、本当に私と連絡とってなかったんですねえ」

まゆ「……」

まゆ「仙台駅……行ってみましょう」






~~~~~~

仙台駅前 16:00

まゆ「まだ頭痛が収まりません……」

まゆ「……」

まゆ「そういえば、22歳のまゆ、そこまで外見6年前と変わってないように感じますね、小梅ちゃんの話してた様子だと、アイドルは続けてないみたいですが、しっかり外見のケアだけはしていたようですね」

まゆ「よくわかりませんが、さすがまゆです」

小梅「まゆさん!!」

まゆ「あら、小梅ちゃん。大きくなりましたね」

小梅「まゆさんのバカ!」ポカポカ

まゆ「ええ、出会い頭でひどいですよう」

小梅「みんな心配してたんだからね」

まゆ「……」

小梅「とりあえずそこの喫茶店に入りましょう」

まゆ「……はい」






喫茶店

まゆ「小梅ちゃんみんなは今……」

小梅「みんな?事務所の人たちのこと?」

まゆ「はい」

小梅「うん。やっぱり辞めた人が多いね。この4年でね」

まゆ「4年……」

小梅「そうあれから4年だしね」

まゆ「小梅ちゃんはまだアイドルやってるんです?」

小梅「見てくれてないんだね、いや、仕方ないかな……」

小梅「私はアイドル続けてるよ、これでも人気あるんだよ?」

まゆ「6年前も人気あったじゃないですか」

小梅「6年?」

まゆ「あ、いや……なんでもないです」





小梅「でも、まさか今日まゆさんから電話あるなんて思わなかったよ……」

小梅「なにかあったの?」

まゆ「ええ、ちょっと色々ありまして」

小梅「……そりゃそうだよね、でもまゆさんに会えて私は嬉しいよ。みんなにもまゆさんのこと教えてあげなくちゃ」

まゆ「はは、は……」

小梅「だってまゆさん本当に死んじゃうと思ってたもの……」

まゆ「!??」




小梅「本当に、本当に心配したんだよ……!」ポロポロ

小梅「4年前のまゆさん本当に見てられなかった……」グスグス

まゆ「……」

小梅「でも、今日あの頃のまま綺麗なまゆさんに会えて少し安心したよ」

まゆ「……」












小梅「プロデューサーが亡くなってから、事務所は様変わりしたね」












まゆ「……えっ?」

小梅「優しい人だったからね、みんなに慕われたし……」

まゆ「えっ、ちょ、……ちょっと、今なんて……」

小梅「?」







小梅「……ああ、ごめんなさい、まゆさん」

小梅「まゆさんの前でプロデューサーさんの話をするなんて無神経すぎた……ね」

まゆ「え、いや……いや……どう、いう……こと……」ボソボソ

小梅「? まゆさん?」

小梅「大丈夫? やっぱり無理してるんじゃないの?」

小梅「いきなり、押しかけてごめんね……、嫌でも思い出しちゃうよね……」

まゆ「……」

小梅「でも、まゆさんに会えて良かった。もう二度と会えないと思ってたんだよ」

小梅「今日はもう帰るね、ここは私に払わせて」

小梅「じゃあ、まゆさん。また……ね」

スタスタ





まゆ「……」

まゆ「うそ」

まゆ「うそよね」

まゆ「小梅ちゃんの冗談?……なわけ……」

まゆ「……」

ズキッ

まゆ「うっ、頭痛い……」





~~~~~~~~~~


実家 まゆ部屋

まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「Pさんが死んでる……?」

まゆ「意味がわかりません」

まゆ「この6年で一体何があったんですか、Pさん……」

まゆ「……」

まゆ「日記」

まゆ「日記をもう一回探しましょう」

ガサガサ






~~~~~~~~~

まゆ「……」

まゆ「……ありましたね。日記帳。クローゼットの隅でホコリを被っていました」

まゆ「そして、一緒にあの拳銃が入った箱も見つかりました」

まゆ「……」

まゆ「日記、ホコリまみれ……察するに、最近は日記を付けていないようですね」

まゆ「まゆが日記を書くのをやめた最後のページになんらかの答えがあるはずです」

まゆ「……」






まゆ「……」

ペラペラ

まゆ「……」

まゆ「20XX年9月8日、これが最後の日記」

まゆ「4年前ですね」






20XX年9月8日

これで日記を書くのは最後になるでしょう。

だってこれはPさんへの想いを綴る日記だったのですから。

Pさんはもういません。日記ももう必要ないのです。

Pさんがパリで交通事故にあったという知らせを聞いてからは、数年間毎日のように書いていたこの日記も、開く余裕すらありませんでした。

無論、今でも余裕なんてものは私にありません。

それでも今日、最後にこの日記を書くことにします。


Pさんが事故にあった知らせを聞いた私はすぐにパリへと飛びました。

Pさんの容態は日本で待っているだけでは、正確に伝わってこなかったのです。

どうやら命は無事らしいとだけ聞かされていましたが、私はじっとしていられません。

Pさんは随分前に言いました。「人は簡単に死なない」と。私もそう思っていました。

パリに着いた私はすぐにPさんの入院する大きな病院へ向かいました。

親族だと騙り、無理やりPさんが治療を受けている部屋に押し入りましたが、そこで見たのはPさんの変わり果てた姿でした。

ボロボロです。

見てられないくらいボロボロでした。

Pさんの意識もありません。

私はこっちに向かってきている時、心のどこかで思っていたのです。

そうは言っても、大した怪我じゃないだろう、元気なPさんに会って「まゆこんなとこまで来たのか!心配かけたな!ははは」と笑って言って貰えるだろうと。



なのに。



そこでPさんの本当のご家族の方とお会いしました。

私はそのご家族の方にPさんとの関係を打ち明け、今のPさん容態を教えて貰ったのです。

Pさんはその外見に見える怪我以上に、内蔵がボロボロになっているとのことです。

意識が戻るかも定かではなく、命もこれ以上保てるかという状況です。

私は信じられませんでした。

それでもPさんが元気になってくれるだろうと病院で待ち続けました。

そして、とうとうその日が来ました。

お医者様いわくかなり危険な状態にあるとのことです。

ご家族の方と一緒に私も治療室に入れて貰えました。

みんな泣いていました。私も泣いていたと想います。

あの時のことを冷静に思い出せないんです。


そんな時でした。

Pさんの意識が戻ったのは。


弱々しくも私達の方を向いて笑ってくれました。

Pさんは自分の最期を悟っているようでご家族の方へ別れの言葉を掛けています。

そして、Pさんは「まゆと少しだけ二人にしてほしい」と言います。

ご家族の方は病室から出て、そこはPさんと私だけになります。






そこでPさんから最期のお願いを聞きました。


本当に最期のお願いです。


私は泣きじゃくりながらPさんがいない世界なんて生きていけない、


死んでしまうと喚いていたことを薄っすらしか覚えていませんが、そのPさんの最期のお願いだけは、はっきりと今でも覚えています。


そして、ご家族の方と私が見守る中、Pさんは息を引き取りました。


これが1週間前の出来事です。




もうこの世界にはPさんはいません。

この日記を書くことも二度とないでしょう。

そして読み返すこともないんじゃないでしょうか。

でも、ここにはPさんとの思い出が詰まっています。

読み返すことはなくとも捨てることはないでしょう。



さようならPさん。











~~~~~~~~~~~~~~~



まゆ「……」

まゆ「……こんなのって……」

まゆ「嘘でしょう」

まゆ「……」

まゆ「Pさん本当に……」

まゆ「……」

ズキッ

まゆ「頭痛いです……」






~~~~~~~~~~~~~~


数日後
実家まゆ部屋

まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「なんで私ががアイドルやってないのかは分かりました」

まゆ「……」

まゆ「でも、この4年間で私がなんで死んでないのかは分かりません」

まゆ「……」

まゆ「Pさんのいないこんな世界に意味なんてないのに」

まゆ「……」






まゆ「……」

まゆ「私は時間を飛ばしたせいで、Pさんの最期に立ち会えたこと、そしてPさんの『最期のお願い』の記憶を消してしまいました」

まゆ「……」

まゆ「Pさんは最期、私になんて言ったんでしょう」

まゆ「……」

まゆ「なんのお願いだったのでしょう」

まゆ「もうそんなのどうでもいいですね。喜んでくれるPさんはいないのですから」






まゆ「……」

まゆ「この世界にもう私の目的はありません」

まゆ「夢もありません」

ガチャガチャ

まゆ「ふう。この拳銃を使うのも最後になりますね」

まゆ「『飛ばせる』弾丸も残り1つ」

まゆ「時間を書かなかったら、普通の弾丸だからちゃんと死ねそうです」

まゆ「100年とか書いちゃって『まゆ』にこの世界を任せるのもありですね」

まゆ「まあ、どっちでもいいですけど」






まゆ「……」


まゆ「もし天国でPさんと会えるなら早い方がいいですね、嫌な時間は飛ばしちゃいましょう」


スチャ


まゆ「Pさん」




まゆ「愛しています」





ッッッッッッパァン!!!!



結 

終わり



このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年05月31日 (水) 23:43:17   ID: -5PsKowd

面白かった

2 :  SS好きの774さん   2017年06月16日 (金) 15:54:35   ID: a_w1geR2

まゆが思い出せないと言ったPの最期の言葉がこのSSの題名と考えていいのかな?

3 :  SS好きの774さん   2017年06月19日 (月) 16:03:43   ID: QW-tUgua

それで合ってそうだね

部屋も汚いままで事務所の仲間の連絡も無視してるまゆが自分の外見のケアだけはしっかりしてちゃんとそれまで生きてたのはそういう理由だと思う

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