魔女家の奴隷 (104)

※不定期更新
※やまなしおちなし
※基本即興書き

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奴隷商「こいつなんてどうです?ご希望の条件に合ってると思いますが」

魔女「ふむ……まぁ見てくれは及第点か。怪我や病気は無いんだろうね?」

奴隷商「もちろんでさ。ただ、その分値段は張りますがね」

魔女「金くらいいくらでも払ってやるさ、そんなことより健康体であることのほうが重要だ」

奴隷商「何でそこにこだわるんで?」

魔女「君は自分の身の回りを世話するのが病人でもいいのかい?」

奴隷商「あーそいつはゴメンだ、なるほど家事用ですかい」

魔女「そういうこと」

奴隷商「しかし、それならもっと丈夫で器用な奴隷が居ますぜ?なにも貧弱な人間で無くても」

奴隷商「スキュラなんかどうですかい?こいつなんかより文字通り手数が倍以上でさぁ」

奴隷商「コボルトなんかもおすすめですぜ、手先の器用さにかけてはピカイチで」

魔女「こいつでいい。会計を頼む」

奴隷商「……わかりましたよ、お会計はあちらで」

魔女「うむ」




奴隷商「毎度あり。当然ですが返品は効きませんでご注意を」

魔女「必要ないよ、ご忠告どうも」

奴隷商「他のが欲しくなったらまたどうぞ」

奴隷商「………物好きな客も居たもんだ」


魔女「さて……この辺でいいか」

魔女「奴隷、お前を今から私の家に転送する」

魔女「家についたら私の助手がやってきて必要な手ほどきをするからそれに従うこと」

魔女「わかっているとは思うが下手な抵抗はしないように」

魔女「私も助手も見た目こそ人間に近いがれっきとした魔族だ、何の力も持たないお前が勝てる確率など万に一つもない」

魔女「……聞き分けがいいな、それでいい。従順なのは高評価だ」

魔女「前々回の奴隷は拘束を外すやいなや殴りかかってきたからつい反撃して消し飛ばしてしまった」

魔女「金に困ってはいないがドブに捨てる趣味もないのでね、お前には是非長持ちして欲しい」

魔女「私達の命令に背かなければ命の安全は保証するから」

魔女「では目をつぶれ」

魔女「『転移』」ヒュン




助手「お、来たっすね新人さん!待ってたっすよー」

助手「ふむふむ……顔良し、体格よし、怪我なし、ちょっと身長は低めっすね」ジロジロ

助手「んぁ?あーそうっすあたしが助手っす、一応教育係ってことになるんでよろしくっすよ」

助手「新人さん前の職業は?ほう、傭兵」

助手「それにしては傷跡がなさすぎるような……あ、新兵っすかなるほど」

助手「ってことは初陣で魔物の群れと遭遇して返り討ちからの奴隷コースっすね?ご愁傷様ですわ」

助手「若くて見てくれのいい人間は割とマニアに人気だもんで新人さんみたく丁寧に捕獲されて奴隷商に流されることがあるんすよ」

助手「まぁそれが幸運かって言われたらそうでもなくて吸血鬼やら上級魔族の食用にされたりマイコニドやらに苗床として買われたりって落ちなんすけどね」

助手「その点新人さんは幸運っすよーウチならご主人の機嫌損ねない限り殺されませんから」

助手「ただ今までの奴隷さんはことごとくご主人怒らせて悲惨な最後を遂げられてるんで……」

助手「今度こそはと期待してるんすよ?つーか今回もだめだと次回は記念すべき10人目になっちゃうんでいい加減にしてほしいんですわ正直」

助手「ご主人の大好物を配膳の時にひっくり返したり」

助手「ご主人お手製の実験服を洗濯の時に穴開けたり」

助手「あたしの下着でナニしてるときにご主人に出くわしてたのも居たっすね」

助手「とにかくどーしようもない理由でご主人怒らせるもんだから宥めるの大変なんすよ?」

助手「奴隷が居なくなった後のイライラしたご主人と研究すんのほんっとにキツイんすからねあれ、レッドドラゴンの尻尾踏んづける方がまだマシっすわ」

助手「……すんません、新人さんに言ってもどうしようもないっすよね」

助手「気を取り直してお仕事しましょ!」

助手「まずは風呂っす!この家にいる以上清潔さは大事っす!」

助手「ただしこれはご主人には当てはまらないので悪しからずっす、一週間位徹夜で風呂も入らず研究とか日常茶飯事っす」

助手「まぁそれは置いといてとりあえず体洗ってくるっすよ。替えの服とかは用意しとくんで」

助手「ご主人が返ってくる前に教えるべきことは粗方教えときたいんで手早くおねがいするっす」

助手「お、着てきたっすね、サイズはどうっすか?」

助手「よかったよかった、新人さん結構身長低めだからどうしようかと思ったけど女物でいけるなら問題ないですわ」

助手「そっすよ、ちなみにその服は3人目?くらいの奴隷の遺品で」

助手「その他新人さんの所持品になる物の殆どが前任奴隷の遺品になるっす、なのでさっさと割り切り推奨っす」

助手「んではさっさと新人講習始めましょー」

助手「まずは新人さんのお仕事!」

助手「掃除洗濯料理その他もろもろ、要は家政夫っすね」

助手「ただこれは最低限の話で慣れてきたらいろんな雑用もお願いするんで覚悟してほしいっす」

助手「次に注意点!これは新人さんの命に直結するので心して聞くように!」

助手「ご主人も言ってたかもしれないっすけど、基本ご主人とあたしの命令は絶対遵守です」

助手「例えばこの場で右腕切り落とせと言われてもすぐに実践するように。でないと腕じゃなくて命がなくなりますんで」

助手「ご主人の奴隷に求める事その1が従順であることなんでこれを破ったら即アウトと思ってほしいっす」

助手「逆に言えばやらせたら即死するような命令はしないのでその辺はあたしらを信じてくださいな」

助手「まぁ死んだほうがマシな目には合うかもしれないっすけど……そこは命あっての物種っていいますから、ね?」

助手「それから何か質問がある時はなるべくあたしに聞いて欲しいっす、ご主人は自分の作業邪魔されるの嫌いなんすよ」

助手「過去に研究に行き詰まってイライラしてたご主人に質問した奴隷が片手間に頭をふっとばされるという悲しい事故もありましたんで……」

助手「場の空気を読む力があると長生きできると思うっす。是非身につけてくださいな」

助手「とりあえず最低限はこんな感じっすかね?あとは家を周りながら説明しましょ」

助手「ではついて来て……あ、あと家のもの全てに許可なく触らないようにお願いするっす」

助手「この家には防犯用の魔法が付加されてる物が幾つかありまして勝手に触ると新人さんの場合即死するっす」

助手「ご主人と正式に奴隷の魔法契約を結ぶと対象外になるようになってるんでそれまでの辛抱っすよ」

助手「おや、奴隷の魔法契約をご存知で?魔物の魔法だから人間が知ってるのは珍しいっすね」

助手「まぁ肉体的には今の状況と大差ないんだから気にしなくていいじゃないっすか。死んだ後に魂もご主人のものになるだけっすよ」

助手「あーあーダメっすよそんな情けない顔しちゃあ……あたし的には中々そそる顔っすけどご主人が見たらきっと苛つきますよ?最悪そのまま殺されちゃうパターン」

助手「大丈夫っすよ、ちゃんといい子の奴隷でいればきっと悪いようにはされませんから」

助手「それに魂の拷問なんてするのはリッチとかのゴースト系くらいで、ウチのご主人はそこまでマニアックじゃ……ない、はず」

助手「あっても魂に干渉する魔法の実験台とか霊薬の材料にされるとかそのへんっすよ、痛くはないし転生もさせてもらえるっす、多分」

助手「今までの奴隷?あー、まぁ、あいつらはご主人を怒らせちゃったんで、ねぇ……」

助手「だ~か~ら~泣いてもダメって言ってるじゃないっすか」

助手「あたし的にはキュンキュンきますけどご主人には逆効果なんすよ?」

助手「いい加減現実を受け入れて適応してくださいな、でないと後悔するのは自分っすよ」


助手「あんたに権利や尊厳なんてものはもう無いんです」

助手「あんたはご主人の所有物です、物なんです」

助手「自我なんていりません、物にそんなの必要ないです」

助手「物は従順に、主人の思うままに使われるのが存在価値なんです」

助手「それが奴隷ってもんです、それが今のあんたです」

助手「ご主人にとって有用でいればそれだけ長く大事に使ってもらえますから、ね?」


助手「奴隷さん」

今日はこんなもんで

カランカラン

妖精「いらっしゃーい…って魔女ちゃんじゃ~んおひさー」フリフリ

魔女「毎度のことだが馴れ馴れしいぞ店主」

妖精「んもーガード硬いんだからぁ」

魔女「いたずら好きの妖精種に隙を見せるほど愚かじゃないんだよ」

妖精「あたしだって店主としてお得意さんにちょっかい出すほど愚かじゃないもん!」

魔女「初めてあった時にした悪戯を忘れたとは言わせないぞ?」

妖精「あれはまだ普通のお客さんの頃だからノーカンノーカン」

魔女「全く調子のいい……」

妖精「んで、ここに来たってことはまた新作できたんでしょ?見せてー」

魔女「あぁこれだ」

魔女「今回はシンプルな変身薬だ、これを飲めば数時間人間に化けることが出来る」

妖精「………それだけ?それだと既製品と変わんないじゃん」

魔女「効力としてはそれだけ。だがこいつの肝はその精度だ」

魔女「外見だけでなく肉体・魂まで人間に変化することが可能、魔物用の感知魔法もごまかすことが出来る」

妖精「マジで!?それやばくない?」

魔女「これまで不可能だった人間の結界都市への潜入も可能になるだろうね」

妖精「うわぁ……これ魔王軍に売り込んだらいくらになるかな」

魔女「これ一本で数年遊んで暮らせるくらいの報酬はもらえるんじゃないかい?」

妖精「でもこんなの持ち込んだら出どころとか根掘り葉掘り聞かれるよねぇ」

魔女「だろうね、面倒事になるのが目に見える」

妖精「んーこれもとりあえず在庫行きか……勿体無いけど」

魔女「いつもみたいに口の硬そうな依頼者にぼったくり値段で売りつければいいだろう」

妖精「魔女ちゃんの持ち込みは高性能過ぎて扱いに困るんだよぅ」

魔女「それを上手いこと売り払うのが君の役目だろうが、よろず屋の名が泣くぞ」

妖精「よろず屋ってなんでも屋だけどなんでも出来るって意味じゃないんだからね?」

妖精「ちなみに原料はまた元奴隷?」

魔女「そうだ、今回は魂を上手いこと混ぜ込んである。これによって変身精度をあげているんだ」

妖精「うわぁ鬼畜ぅ」

魔女「自分の所有物をどう使おうが私の勝手だろう」

妖精「もちろんそうだけどさー流石に魂まで利用されつくされてるのを見ると同情しちゃうな」

魔女「こいつは特に私を怒らせたゴミだからな、当然の扱いだよ」

妖精「えー具体的には?」

魔女「……………」

妖精「あ、うん、やっぱいいや、言わなくていいからその顔やめよ?四天王も後ずさりしそうな顔してるよ?」

魔女「そこまでひどい顔はしてない」

妖精「してるってば…そだ、これあげるから機嫌直してよ」

魔女「魔導書?ってこれは、まさか!」

妖精「そう、魔女ちゃんお気に入りの『ダークエルフによる堕落術』最新作!ついこの間流れてきたから魔女ちゃんのために取っておいたのだ!」

魔女「ああああ素晴らしい!!しかも原本!?よくやってくれたよ店主!」

妖精「ホントにこの店にきたのは偶々だからあたし全然苦労してないんだけどねー」

魔女「この続編をどれだけ待ちわびたか…これであの魔法も完成させられるはず……!」ペラペラペラ

妖精「魔女ちゃん?おーい?」

魔女「ここだ、対象の精神的弱点を見つけ出す術式……私でも完成できなかったこれをどうやって」

妖精「魔女ちゃんってば!ここで読み始めるのはやめてよぉ!」

魔女「な、何をするんだ店主!本を返してくれ!」

妖精「ダーメ!こんなとこで研究おっぱじめてもしょうがないでしょうが」

魔女「あ………あーうん、そうだな、すまない」

妖精「まぁいつもクールな魔女ちゃんのテンション上がったとこ初めて見れたからそれでチャラにしてあげる」

魔女「忘れてくれ、頼むから」

妖精「さっきのテンションアゲアゲの顔も、今の赤くなってる顔も可愛い♪」

魔女「忘れろと言ってるだろうが!」

妖精「はい、薬のお代はこちらね」

魔女「ん」

妖精「……魔女ちゃんはもっと感情出したほうが可愛いのに」

魔女「まだ言うか、やはり店ごと消し飛ばされるのが希望なんだね?」

妖精「拡大爆破魔法は勘弁してください」

魔女「全く……」

妖精「そういえば新しい奴隷はもう買ったの?」

魔女「ここに来る前に買ったよ、今は家で助手に手ほどきを受けているはずだ」

妖精「助手ちゃんにもしばらく会ってないなーまた会いたいなー」

魔女「気が向いたらね」

妖精「今度の奴隷は長持ちするといいねぇ」

魔女「その願いが叶った試しが無いのが悲しいな」

妖精「潰してるの魔女ちゃんなのによく言うわー」

魔女「私だって好きで潰してるわけじゃない、あいつらが尽く使えないだけ」

妖精「もうちょっと寛容さっていうものを持った方がいいと思うよ?」

魔女「何故道具に妥協しなければいけないんだい?」

妖精「道具でも使い続ければ手に馴染むものよ、特に人間の適応力ならそれなりに期待できるし」

魔女「そんなものかね」

妖精「そんなものよ。人間と寄り添うこともある妖精種のお姉さんからの助言」

魔女「…覚えておこう」

今日はこんなもんで

助手「まずはここが奴隷さんの部屋になるっす」

助手「中にある小物は先代奴隷までの遺品なので好きに使って結構です」

助手「その他必要な物があった場合はその内買ってくるんであたしにメモでもくれると助かるっす」

助手「その内っていうのはあたしもご主人も基本的に外出しないんで買い物も月一くらいで必需品買い込むくらいなんすよね」

助手「なんで在庫がなければすぐには渡せないっす、ただお金は唸るほどあるんでよほど分不相応でなければ買ってもらえるっすよ?」

助手「そこの料理本も4代目奴隷の購入品です。歴代で最も料理のうまかった奴隷でもあったっす」

助手「しかし新しい料理に挑戦しようとした時に調理法を誤って廃人になってしまいましてねー…惜しい奴隷を無くしましたわぁ」

助手「腐敗の森産の豚は捌く時胃袋に注意しろって言っといたんすけどね、中の発酵したマンドラゴラの臭気に当てられて」

助手「見つけた時に白目向いて痙攣しつつアヘってました」

助手「単純な解毒ならお茶の子さいさいなんですけどマンドラゴラって神経毒なんで脳にでかいダメージが残るんすよ」

助手「ソレを治療するとなるとかなーり面倒な手順が必要になるんでご主人が面倒くさがって結局処分という流れに」

助手「ここでのポイントは、もっとご主人の好感度が高ければ治療してもらえたかもってことっす」

助手「この家の決定権は当然ご主人が握ってるんでご主人に認められればそれだけ捨てられる可能性が減るっす」

助手「ただし、単純に媚びるのは悪手っす。ご主人は可愛げより実用性重視なので」

助手「そういう意味で料理の腕をあげようとした4代目は悪くない着眼点でした。道半ばでミスりましたが」

助手「今までの奴隷はどいつもこいつも好感度上げる前に失敗して首って流れなので、奴隷さんには慎重な行動をお願いするっす」

助手「あ、ちなみにあたしに対して媚びるのはありっすよ?教育する相手は可愛げがあったほうがやる気が出ますから」

助手「あたしを味方につけてたほうが奴隷さんにとっては何かと便利でしょうからぜひ頑張って欲しいっすねぇ」

助手「ふふふ…そういうのしたことないっすか?」

助手「まずは相手のことを知るところからっすよ、相手の好みもわからず適当なことしても逆効果になることのほうが多いっす」

助手「見事に空回って3日でアウトになった奴隷も居ますからね」

助手「まぁ初めから何もなしっていうのもあれなんでヒントをあげましょ」

助手「今の奴隷さんの表情、かなりいい線いってますよ?」

助手「恐怖と、不安と、死にたくないって必死さが入り交じったその顔」

助手「いいっすねぇ、そのアタシ好みの顔が負の感情で歪んでくの」

助手「すごくいい」

助手「動くな、命令ですよ?」

助手「おーちゃんと止まれましたか…優秀ですね。やはり奴隷さんには期待できそうです」

助手「それとも足がすくんで動けないだけっすか?」

助手「どっちでもいいけど命令は絶対です」

助手「例えあたしに得体の知れない恐怖を感じても」

助手「こうやってゆっくり距離を詰められても」

助手「見たこと無い悪い笑顔で自分の顔を撫でられても」

助手「動いちゃ、ダメですよ」

助手「ンフフフフ……自分でもわかるっすよ、あたし今かなりイッちゃってる笑顔してるっすよね?」

助手「それだけ奴隷さんがあたしの好みってことっすよ?よかったですね~」

助手「ぜひとも長生きしてくださいね、奴隷さんのためにあたしも頑張ってあげますんで」

助手「そんなに怖がらなくてもいいんすよ?」

助手「死なせはしませんし、心を壊したりもしません」

助手「正常に戻れなくなるギリギリまでいじめてみたいだけです」

助手「………んふ、あたしの好みわかったっすか?」

助手「よしよし、では今後の奴隷さんの媚に期待してるっすよー♪」

助手「なーに呆けた顔してるんすか?このままひどいことされると思ったんで?」

助手「んなわけ無いでしょうまだこの家の説明すら終わってないんすから」

助手「まずは奴隷さんが仕事できるようになるのが最優先っすよ」

助手「長生き出来るようにビシバシしごいてあげるんで覚悟しとくっす!」

助手「ほらほら、いつまでも腰抜かしてないで次行くっすよ!」


助手「あんまり始めから飛ばしすぎて仕事できなくなったら元も子もないっすから」

助手「あたしの趣味はもっと余裕ができてから……ね」

助手「ここがキッチンっす、その奥が食材の貯蔵庫になってるっす」

助手「貯蔵庫の方には時間魔法がかかってて中の食材の鮮度を保ってるっす、ハイスペックっすよね」

助手「なのでそのまま入ると奴隷さんも一緒に止まります」

助手「こっちの壁に魔法の起動、停止用の魔方陣があるので必ず操作してから入るように」

助手「あたしはよく忘れてご主人に救出されるっす。奴隷さんはそういうヘマはしないでくださいね」

助手「奴隷さんって料理の経験は……え、あるんすか?」

助手「はぁ、傭兵ってのはそういうスキルも身につくんすね……新人の宿命っすかそうっすか」

助手「ここでは当然ですけど魔界特産の食材も多いんで料理本を読みつつさらに腕を磨いてくださいな」

助手「ちなみにご主人は卵料理全般が好みっす、要チェックっすよ」

助手「こっちはお風呂場っす」

助手「そう、湯船を張って入るタイプの高級仕様っす、単純にご主人の趣味ですが」

助手「ここの魔法陣を操作すると火炎魔法が発動して着火されてお湯を沸かすようになってるっす」

助手「ただし魔法は着火に使うだけで燃料は別入れになってるんで、使用後は適時補充が必要になるっす」

助手「流石に使用中ずっと魔法発動はコスパが悪いんで仕方ないっすね」

助手「この部屋の丁度外に燃料入れる場所があるのでそこに薪を入れてくださいな」

助手「ちなみに薪割と燃料の補充は奴隷さんの仕事になるのでよろしくお願いします」

助手「燃料入れ忘れてお湯が沸かせないとかなると解雇案件なので絶対に忘れないようにしてくださいね?」

助手「ご主人もあたしも毎日お風呂に入るわけじゃないのでそこの所注意っす」

助手「当然ですがラッキースケベもご主人の場合即死案件になるんで入る場合は先客が居ないかよく確認するように」

助手「あたしの場合はまぁ……お仕置きで済ませましょうかね。うーん優しい」

助手「お?気になるっすか?気になっちゃうっすか?お仕置きプランここで語っていいんすか?」

助手「そっすか、残念。まぁいつかの楽しみに取っとくっすよ」

助手「ここは上位素材庫、特に扱いに注意が必要なものがここに入るっす」

助手「下手したらこの辺一帯が吹き飛ぶくらいの危険物も入ってるので奴隷さんは入室禁止っす」

助手「人間じゃ近づくだけでイロイロ危険なものも多いので興味本位で扉を開けるのもだめっすからね?」

助手「こっちに下位素材庫、特に危なくないものが入ってるっす」

助手「ご主人に素材のお使い頼まれた時は基本ここにあるの持っていってくださいな」



助手「これが玄関っすね、特に鍵とかも無いので自由に出入りしてください」

助手「この家の周囲には結界が張ってあるので安全っす。薪割り等も安心して励んでくださいね」

助手「逆に結界の範囲外に出るとその辺に魔物が彷徨いてるので歩いて逃げるのは自殺行為でしかないっす」

助手「それするくらいなら相談してください、あたしなりに慰めるくらいはしてあげるっすから」



助手「あとはー…そうそう書斎忘れてた」

助手「ここが書斎っす、凄いでしょ?」

助手「空間魔法で部屋を広げてるんで書斎っていうか小さな図書館みたいなもんですが」

助手「ここの本のお掃除もお仕事のひとつになるっす」

助手「ただ…明らかに他の仕事しながらこの量の本の掃除は一人で出来ないのはわかってるので」

助手「時間が空いた時に少しずつで構わないっす、ちょっとずつ進めてくださいな」

助手「ちなみに貸出も受け付けてるので読みたい本があればあたしに言ってください」

助手「あとこの奥にもう一つ扉がありますが禁書級の危険な書物の保管庫なので気にしないでいいっす」

助手「家の説明はこんなもんっすかねー」

助手「基本的なとこはこれで全部っす、細かい事は仕事しながら追々覚えていきましょう」

助手「ではそろそろご主人が帰ってくると思うんでお迎えの用意をしましょうか」

助手「ご主人は外から帰ると必ずお風呂に入るのでお湯沸かして着替えの準備をお願いするっす」

助手「それが終わったらとりあえず外で薪割っとい欲しいっす、そろそろ在庫が厳しいので」

助手「その間にあたしは夕飯の準備をしとくんで何かあったらキッチンまでどうぞ」

助手「今日は奴隷さんお迎えのお祝いに張り切って作るんで期待して待っててくださいねー」

助手「ちなみに奴隷さんの好きな食材は?お肉、男はみんな肉好きっすねぇ、では本日は肉料理っす!」

助手「何のお肉が残ってたかなー…ミノタウロスの肉はこの間使った気がするっすね、ドラゴンのとかあったっけ?」

ヒュン

魔女「ふぅ、帰ったよ」

助手「あ、ご主人おかえりなさーい!お風呂沸いてるっすよ」

魔女「奴隷はどうだい?使えそうかな?」

助手「中々見どころがありそうっすよー反抗的なところもないし」

助手「しっかり仕事覚えようとしてる風でしたから奉仕気質なんすかね?」

魔女「ふぅん?ならいいんだが」

助手「あと、泣き顔が凄いそそるっす」

魔女「それは単純にお前の好みだろう」

助手「いやいやいやあの泣き顔はヤバイですよ!ご主人もきっと気に入るっす!」

魔女「というか早速泣かせたのか?あまり初日から追い詰めてやるなよ」

助手「いやぁあんまりかわいいもんでつい…」

魔女「早々に壊すんじゃないぞ」

助手「いっつも最後にとどめ刺すのはご主人のくせに?」

魔女「趣味と称して精神をガリガリ削ってるのはお前の方だろう?」

助手「ちゃんと相手を見て手加減してるっすよー」

魔女「……今回はいつもより長持ちさせるように頑張ることにしたから、お前も趣味の方はしばらく控えてくれ」

助手「へぇ~?どういう風の吹き回しっすか?」

魔女「別に、学習しただけだよ。人間は今までの運用じゃ長持ちしない」

魔女「使用者の私が妥協するのは非常に癪だがいちいち都市部まで補充しに行くのも億劫だし」

魔女「少し歩み寄ってやれば、あれも使えるようになるんじゃないかと思ってね」

魔女「いい加減人間素材の研究もネタ切れになってきた所だ、丁度いい」

助手「ふーん?まぁいいすよ、あたしも今回の奴隷さんは長く楽しませてもらいたいと思ってたところっす」

助手「しばらくは頼れる先輩として頑張るっすよ」

魔女「そのポジションは泣かせたんならもう遅いんじゃないかい?」

助手「まだセーフっすよーもしアウトでも脳みそちょいちょいっといじってあげればすぐに忘れ」

魔女「そういうのをやめろと言っているんだよ」

助手「冗談ですよ冗談」

魔女「では風呂に入ってくる」

助手「はいはい、その間に夕食完成させとくっすよ」

魔女「その後に奴隷と契約か…そのへんの説明もしてあるね?」

助手「もちろん。っていうか奴隷の魔法契約のこと知ってましたよ」

魔女「なに?人間で知っているとは珍しいな」

助手「ですよねー傭兵だったとは言ってましたけどさらに前に面白い経歴がありそうっす」

魔女「ふむ…思ったより学のある人間なのかもしれないね、活用の幅が広がるというものだ」

助手「見た目良し中身良しとは今回は大当たりっすね」

魔女「まだわからないよ、それ以上に必要な適応力がなければ意味が無いから」

助手「ぜひとも頑張って欲しいっすねぇ」

今日はこんなもんで

魔女「真面目にやっているな、結構なことだ」

魔女「そんなに驚かなくてもいいだろう。主人が奴隷の様子を見に来ちゃ悪いのか?」

魔女「ほぅ……そこですぐに謝罪の言葉が出てくるとは感心だな」

魔女「初日で自分の立場をしっかり理解しているね、ただの薪割りとは言え精力的に仕事をする姿勢も評価できる」

魔女「やはり見どころがあるな、お前には期待しているよ」

魔女「そう不安そうにするな。助手に色々言われたんだろうが私は理由もなくお前に危害は加えない」

魔女「むしろそういう意味では助手の方が厄介だぞ?」

魔女「泣き顔が見たいとか理不尽な理由でちょっかい出してくるからな、今回は釘を差しておいたが注意はしておけ」

魔女「まぁそれ以外は軽薄な見た目に反して有能な奴だから頼りにしていい」

魔女「私が怖いか?」

魔女「結構、みえみえの嘘をつくより正直に答えたほうが身のためだ」

魔女「奴隷など消耗品だし特に貧弱な人間に手間暇かけるなど時間の無駄」

魔女「というのが私の持論だったが……今回お前の扱いは少々趣を変えようと思う」

魔女「今までの奴隷よりも期待できるようだし、多少の失敗には目をつぶってやる」

魔女「その代わりに、お前は私の奴隷としてふさわしい物となるように努力するんだ」

魔女「知識と技術を身に着けそれを磨け。私にお前がいないと不便だと思わせてみろ」

魔女「それができればお前は安泰だ」

魔女「逆に、いつまでも使い勝手の良くならないゴミであれば…」

魔女「やはりお前を大事にしてやる理由はない。分かるな?」

魔女「よしよし…やはりお前は物分りがいい」

魔女「助手も大層お前を気に入っているようだし協力してもらえるだろうよ」

魔女「では私は戻るよ」

魔女「もうじき夕食ができるそうだからお前も切り上げて戻ってくるように」

魔女「ん?なんだ?」

魔女「いつもなら質問は助手に、と言いうところだが…今の私は気分がいい。言ってみろ」

魔女「く、くくくっ……本当に見どころがあるなお前は!」

魔女「今の話から素早く希望の技能を私に聞くその発想、行動力、素晴らしいよ」

魔女「そうだな…まずは家事を一人で全て出来るようになれ」

魔女「お前に家事を一任できればそれだけ助手を私の研究に使えるようになる」

魔女「そもそも奴隷を買い始めた発端がそれだからな」

魔女「その他の仕事は追々与えてやろう、何事もまずは基本からだ」

魔女「それじゃ今度こそ私は戻る、お前も早く来るんだぞ」

魔女「………………」

助手「ではいただきま~す♪」

魔女「助手よ、このドラゴンの肉一切れでいくらすると思ってる?」

助手「そんな細かいことはいいじゃないっすかーどうせこういう機会じゃないと使わないんだし」

魔女「いやもっとふさわしい場面があるだろう来客時とか」

助手「最後に来客あったの何年前だと思ってるっすか……ん~この熟成感がたまんないっすねー♪」

魔女「そりゃそうだけども…はぁ、作ってしまったものは仕方ない」

助手「そうっすよ、それに将来有望な奴隷くんの歓迎なんだし」

魔女「これがつけあがっても困るだろうが……あ、美味しい」

助手「あたしの味付けなんだから当然っす。それに謙虚な奴隷くんは身の程わきまえてるっすよ、ねぇ?」

助手「え、返事に大分間があったのは何なんすか?」

助手「おやおやそんなに美味しかったっすか?いやぁ照れるっすねぇ」

魔女「奴隷、お前にもこれくらいの調理は出来るようになってもらからな。しっかり味わって覚えておきなよ」

助手「まぁ美味しさの八割はお肉の性能だからそこまで難しく考えなくって大丈夫っすよ」

助手「しっかりご主人好みの味付けができるように特訓してあげますから安心してくださいな。今はお肉を楽しみましょ」

魔女「と、言いつつ皿はもう空じゃないか。早すぎるぞ」

助手「抜かりないっすよ、おかわりも用意してあるっす!」

魔女「おい!お前この肉何枚焼いた!?」

助手「10枚位っすかね?余ったらあたしが食べるのでご心配なく」

魔女「お前しばらく食事抜きだ」

助手「そんなっ!?」

魔女「一ヶ月抜きにしても元が取れないんだぞ!加減をしなよ加減を!」

助手「しばらく食べ納めだから味わっていっぱい食べるっす……」

魔女「自業自得だ阿呆が」

助手「奴隷さんもおかわりが欲しかったら言うっすよ?」

魔女「奴隷、何か微妙な表情をしてるがどうした?肉に何か混じっていたか」

助手「ちゃんと骨やら血やら抜いてあるっすよ失礼な。大方自分の待遇が予想外で戸惑ってるんでしょう」

魔女「…やはり私の奴隷の扱いは特殊なのかね?」

助手「存在や命の軽さって面ではその辺の魔族と同じと思うっすよ?」

助手「ただそれ以外は奴隷というか使用人的な位置づけですからね。食事も同じものだし私室もしっかりしてるし」

魔女「悪い物食べさせたり休めない寝床で寝かせて万全のパフォーマンスなんて出来るわけ無いだろうと思うんだがな」

助手「まぁ家の資金力あってこそって話はあるっすね、あとご主人は仕事できれば基本それ以外気にしないタイプだし」

助手「ただそのせいで歴代奴隷たちが多少誤解と言うか、油断してたのは否めないっす」

助手「気を抜いた結果しょーもないミスしてご主人の逆鱗に触れた事例が半数以上っすから」

魔女「むぅ、もっと厳しくした方がいいのか?」

助手「いやご主人がもうちょっと沸点高くすれば生存率飛躍的にあがるっすよ?気分で処分しすぎなんですってば」

魔女「誰だって機嫌の悪いときくらいある」

助手「だからって質問されただけで頭飛ばすのはやりすぎっす」

魔女「あれは反省してるって言ってるだろう…」

魔女「しかしなぁ、やっぱり大した額でもない奴隷相手に我慢なんてする気が起きない」

助手「わかるっすよー。ご主人はつい奴隷を殺してもその辺の試験管割って、あーやっちゃったと思うのと同じ感覚ですもんね」

魔女「そのくせ無いなら無いでちょっと面倒なんだよね」

助手「んでそのイライラ受けんのあたしなんすよね、理不尽」

助手「だから今回はもっと愛情を注ぎましょう!」

魔女「は?」

助手「うわぁ凄い顔……だから、要はもっと大事なものだっていう認識になれば殺すの躊躇うんじゃないかなと思うわけっすよ」

魔女「この奴隷を、か?」

助手「その顔で奴隷くん睨むのやめてあげましょ?震えてるじゃないっすか可愛い…可哀想に」

魔女「……まるでイメージが湧かないな」

助手「それ絶対コミュニケーション不足だと思うっすよ」

助手「ご主人は奴隷を必要な時に使う道具としか思ってないのがいけないっす」

助手「折角生きてる道具なんだから、もっと必要のないときも気にかけてあげましょ?いろんな反応が返ってきて面白いっすよ」

魔女「そんなものかね」

助手「そんなものっす、ついでにご主人のコミュ障改善も期待できるっす」

魔女「一言余計なんだよお前は」

今日はこんなもんで

魔女「よし、契約完了だ。もう動いていいぞ」

助手「おめでとうございます、これで正式にこの家の所有物っすよ」

魔女「後はこの首輪をつけてもらう……おい早く屈め、つけられないだろうが」

助手「あーそれ魔法具なのでご主人が直接つけなきゃダメなんすよ、届くように屈んであげててくださいな」

魔女「全く気の利かない…ってこら動くな、この期に及んで反抗する気か?」

助手「いやいや単にご主人の顔が近いから恥ずかしがってるだけっすよ?顔見たら分かるじゃないっすか」

魔女「はぁ?少しばかり顔を近づけただけで何をバカな」

助手「ご主人が無頓着が過ぎると思うっすけどねぇ」

魔女「そもそも魔族と人間だぞ、何故恐怖の前に恥じらいが来るんだ…だから動くなと言っているだろう石化されたいか?」

助手「一応あたしもご主人もかなり人間に近いタイプですし顔も綺麗とか可愛い部類らしいっすよ」

魔女「どこから出た情報だそれは」

助手「歴代奴隷達からのアンケートっす」

魔女「あぁそう……」

魔女「よし完了だ」

魔女「その首輪は私達がお前の現在地を把握するための物だ。用がある時にいちいち探すのは面倒なのでね」

助手「ちなみに常時把握してるわけじゃないので監視とかの意味合いは無いっす」

助手「仕事頼んだら後はよろしくってなもんで、いちいちちゃんと仕事してるかとか見ないので」

助手「その辺は奴隷さんの自主性に期待するっす」

魔女「まぁ抵当な仕事をしてれば行き着く先は自ずと分かるだろう?」

助手「そういう訳なのでノビノビとかつ丁寧なお仕事をお願いするっすよー」

魔女「ともかく今日はこれで以上だ。明日から本格的に仕事をしてもらう」

魔女「助手、後は任せた」

助手「了解っす」

助手「んでは部屋に戻りましょうか」

助手「さてさて、ベットも準備できましたんで後は寝るだけっすね」

助手「本来なこれであたしは退散また明日~なんすけど」

助手「ここに来て初日の夜、きっと奴隷さんも心細いと思うっす」

助手「なのでぇ、今夜はサービスで添い寝してあげてもいいすっよ?」

助手「……んーいいっすねぇその狼狽えながらもガッツリ悩んじゃう所、とっても可愛い」

助手「おやおや?今頃否定したって遅いっすよ~色々期待しちゃったの丸わかりっす」

助手「別に恥ずかしがることは無いっすよ、こっちから誘ってるんですから奴隷さんは正直に答えればいいんです」

助手「心配せずとも今日は添い寝だけっす。初日から飛ばしてもあれなんで」

助手「それ以上のことはもっと親密になってから、ね?」

助手「んん?いいんすよご主人は」

助手「あれは奴隷くんをあたしの趣味で追い詰めるのをやめろってことで、こうやって交流するのまでは否定してないっすから」

助手「このくらい軽い交流じゃないっすか~さっきもそうでしたけど奴隷くん異性に耐性なさすぎっすよ」

助手「これからこの家で暮らしていくんですから少しくらい慣れないと」

助手「そういうわけで今日は一緒に寝ましょ、決定っす!」

おうふ、「ベッド」だった……呼び方「奴隷くん」じゃなくて「奴隷さん」だし
指摘感謝、脳内補完をお願いします

助手「そうと決まればさっさと寝間着に着替えて寝ましょ」

助手「あたしの寝間着は持ってきてあるのでご心配なく」

助手「奴隷さんの寝間着はー…やっぱり女物しか無さそうっすね」

助手「柄がちょいと可愛らしいっすけど新しいの買うのも面倒なので我慢してくださいな」

助手「……どうぞ?あたしは気にせず着替えていいんすよ?」

助手「別に素っ裸になれと言ってるわけじゃないですし、最初の奴隷商の服もほぼ布切れだったじゃないっすか」

助手「そんなにイヤ?ふぅむそうっすか…仕方ないっすね、今回は見逃してあげましょう」

助手「そのうちそんな細かいこと気にならなくしてあげるっすよ」

助手「んー?さてどういう意味でしょうねぇ?」

助手「ほら、後ろ向いてるからさっさと着替えるっすよ。その間にあたしも着替えるんで」

助手「いいじゃないっすかお互い後ろ向いてりゃ見れないんだし…交互に部屋を出るのも馬鹿らしいっすよ」

助手「はいはい却下却下、脱ぐんで後ろ向いてくださーい」

助手「ん、もうこっち向いていいっすよ」

助手「しかし本当に一度も振り向かなかったすね、誠実というかヘタレというか」

助手「あと背中きれいでびっくりしたっす。肩からうなじにかけてとか超そそる」

助手「え?そりゃわかりますよ奴隷さんのことガン見してましたし」

助手「別に減るものでもないんだし男が細かいこと気にしちゃだめっすよー」

助手「奴隷さんだってこっち見てもよかったんすよ?そしたらあたしがお仕置きの名目でいろいろできたのに」

助手「ん~初々しいっすねぇ…やっぱり最初はまっさらのほうがいいっすよね」

助手「んではもう寝ましょうか、お先にベッドへ失礼~」

助手「ほら奴隷さんも早く入るっすよ」

助手「なぁにぼさっとしてるっすか?拒否権なんてあるわけ無いんだからさっさとするっす」

助手「ほほう…向き合って寝ようとするとは予想外」

助手「んふふ、正解っす。背中向けたら抱きついてやろうと思ってましたよ」

助手「基本抜けてるけどいざというところで危機感知できるのは優秀っすね」

助手「では命令です、動くな」

助手「今日はこれで終わりとでも思いました?残念もう少し付き合ってもらうっすよ」

助手「ボタンはずしてもいいんすけど、あえて裾から手を失礼」

助手「んー…薄い、かと思いきやうっすらと筋肉のある胸板」

助手「一応傭兵やってたというだけあるっすね」

助手「心臓の鼓動が早いですけど、興奮してるっすか?まぁ顔見れば聞くまでもないっすけど」

助手「やっぱり手っ取り早く親交を深めるならスキンシップすよねぇ」

助手「そうそう、さっきから奴隷さんが聞きたがっているだろう質問にお答えしましょう」

助手「なぜあたしが奴隷さんと仲良しになりたいか」

今日はこんなもんで

助手「まぁ簡単な理由っすよ、ギャップがあった方がグッと来るでしょ?」

助手「こうして積極的に絡んでくる魅力的で可愛い先輩のあたしが」

助手「ある時一変して奴隷さんの腕折り折りながらキチガイじみた笑顔してたら」

助手「奴隷さんいい顔で怖がってくれるんじゃないかなって思うんすよ」

助手「その顔だと何でこんな回りくどいことするのかって奴隷さんは言いたいんでしょうけど」

助手「常日頃から怖がらせるだけじゃ単調だし恐怖の質が低いと思いません?」

助手「そういうのは前の奴隷で何度かやってマンネリ気味ですし」

助手「普段頼りがいのある優しい相手がいつ豹変するかビクビクしながら過ごす奴隷さんも興味あるっす」

助手「だから、まずは奴隷さんと仲良くなろうと思いまして」

助手「こうして理由を話してるのもギャップでビビる奴隷さんを見るためっす」

助手「今までのイチャコラ展開からこんな話が出るとは思わなかったでしょう?」

助手「その なんで?どうして? って顔が見たいがためです」

助手「予想通りの可愛い反応で満足ですわ」

助手「心拍数上がってるっすよ?さっきのとは違う理由でドキドキしてるんでしょうねぇ」

助手「ホントわかりやすくて愛らしいんですから」

助手「もう今すぐ軽い拷問にかけちゃいたいくらい」

助手「スタンダードに爪剥がしたりするだけでもいい声出してくれそうですけど」

助手「魔族式にじっくりいたぶるほうが奴隷さんには似合いそう、酸性スライムにゆっくり足を溶かされるなんてどうでしょ?」

助手「あれ怖いっすよ~皮膚からじわじわ溶かされて、徐々に血が滲んで青いスライムが紫に変色してくんです」

助手「その内神経が露出して激痛にもだえ苦しんで最後には自分の足の骨を見ることになるんです」

助手「どんな声で、どんな顔で泣いてくれんすかね……やば、よだれ垂れちゃいそう」

助手「でも今は我慢です。ご主人にも釘刺されちゃいましたし」

助手「奴隷さんが一人前になるまでは直接手出しは無し、我慢できないので言葉責めはしますが」

助手「それにそんな心配しなくても大丈夫っすよ?」

助手「昼にも言いましたけどあたしは奴隷さんを壊したりしません」

助手「怪我させてもちゃんと治せる範囲に限定するっす」

助手「あくまでいじめた時の反応が見たいだけですからね、壊しちゃったら遊べなくなるでしょ?」

助手「だからその時が来たら安心していっぱい泣き叫んでください」

助手「……今泣くほど怖いっすか?」

助手「そうですよね怖いですよね」

助手「でも逃げられないっすよ?」

助手「そこは諦めてください、下手な反抗してもご主人の不評を買うだけなんで」

助手「あーちょっとやりすぎましたかね」

助手「ガチ泣きさせる気はなかったんですけど……嗚咽可愛い」

助手「しょうがないっすね、あたしの胸貸してあげるから機嫌治すっすよ」

助手「ほらぎゅーっと…どうです?ご主人と違ってあたしは結構ありますからね」

助手「よしよし……大丈夫、大丈夫」

助手「あたしは奴隷さんの味方ですから」

助手「ホントですよ?」

助手「あたし奴隷さんの事大好きですもん」

助手「奴隷さんに意地悪するのも愛ゆえにってやつです」

助手「ご主人以外の生き物では一番だって言っていいくらい好き」

助手「だから頼ってください、ご主人に気に入ってもらえるようにあたしもいっぱい頑張りますから」

助手「守ってあげますから、信じて」

助手「奴隷さんに死なれたら悲しいです」

助手「あたしが奴隷さんに優しくするのも意地悪するのも」

助手「どちらも等しく大好きだからです」

助手「奴隷さんは愛されているんです」

助手「受け入れろとは言いませんから、それは覚えておいてくださいな」

助手「……もう大丈夫です?」

助手「お気になさらず、泣かしたのはあたしですから」

助手「さて、あたしも満足したしそろそろ寝ましょうか」

助手「んん?抱きしめられながらはイヤっすか?」

助手「そうそう正直が一番っすよ」

助手「初日限定サービスですからしっかり堪能するといいです」

助手「ではおやすみなさい、良い夢を」

今日はこんなもんで

助手「んっふふ~ふふふ~ん♪」

魔女「随分とご機嫌だな」

助手「ひょわぁい!!?」

魔女「煩い、奴隷が起きるぞ」

助手「な、なんでご主人がこんな朝早くに起きてるっすか?普段はまだ寝てる時間でしょ?」

魔女「寝てないだけだよ、昨日は研究しながらそっちの様子を監視してたから」

助手「うげ…盗み見とは趣味悪いっすよ」

魔女「音声だけだったから盗み聞きだな」

助手「あんま変わって無いっす」

魔女「お前が監視が必要だと判断せざるを得ないほど浮かれてたのが悪い」

助手「んむぅ……浮かれてたのは認めるっすけどぉ」

魔女「まぁちゃんと我慢したのは褒めてあげるよ」

助手「そりゃご主人に言われましたし」

魔女「でもそれだけじゃないだろう」

魔女「一応聞くけど、あれどこまで本気だった?」

助手「………ほぼ全部」

魔女「……にわかには信じがたいけど、その照れ具合を見るに本当らしいね」

助手「いや、だって反応がいちいちツボなんすよ!可愛い上に反応初心だし表情コロコロ変わるし肌もきれい!」

魔女「力説しないでよろしい」

助手「すんません」

魔女「は~…あのネズミをいたぶる猫のように奴隷をいじり倒してた君がねぇ」

魔女「あの奴隷も幸運なんだか不運なんだか」

助手「そりゃ幸運でしょう、死ぬ確率が減るんすから」

魔女「その代わり生き地獄が待ってそうだがね」

助手「大丈夫っす、最終的にはそれも幸福に感じられるようにしてあげるっす!」

魔女「それは大丈夫ではないと思う」

助手「今までの奴隷は加減がわからなくてちょいちょい壊しかけてましたからね、今回はゆっくりじっくり行くっす」

助手「まずは精神から攻めて、たっぷり反応を堪能した後少しづつ痛みを伴うものに」

助手「いややっぱりいきなりハードに行って泣き叫ぶの見るもの捨てがたい」

助手「でもでも今までの奴隷の反応を考えると加減しとかないとマズイっすよね」

助手「あの奴隷さんの代わりなんて滅多にいないだろうし大事にしないと」

助手「これまでの経験を活かして末永くお付き合いしたいっすねぇ」

魔女(うーんこれまで助手のストレス発散も兼ねて奴隷にちょっかい出すのは黙認してたけど、やっぱりまずかったかな)

魔女(簡単な治癒魔法で治る傷しかなかったし大したことしてないと思ってたんだが……やはり人間は予想以上に脆いのか)

魔女(助手の趣味による精神攻撃は人間にとっては思ったより深刻なのかも?今後は留意するか)

助手「あれ、どうかしました?またなんか考えてる顔してるっすけど」

魔女「いや、やはり人間は脆いんだな、とね」

助手「そっすねー腕の一本もがれたくらいで死にかけるのは流石に脆すぎだと思いますわ」

魔女「全くだ。その辺のゴブリンでもその程度で死にはしないというのに」

助手「でもその儚さがいいんすよ、弱いのにいじらしく生にしがみつこうとするの様子を眺めるのたまんないっす」

魔女「私にはやはりその辺の感性はわからんね…」

助手「勿体無い。そうやって無関心だから愛着わかないんすよ」

魔女「別方向で関心を持てるように頑張ってみるよ」

助手「こっちは何時でもウェルカムっすからね!」

魔女「はいはい」

魔女「しかし、あれだけ愛を囁きつつやりたいことが泣き顔見たいと公言するのはありなのか?」

助手「あーそこまで聞かれてたんすねー…恥ずかし」

魔女「見た目恋する乙女なのに中身が猟奇的なのだから奴隷の恐怖も相当なものだろうなぁ」

助手「大丈夫っすよ、奴隷さんはあたしを拒絶出来ません」

魔女「やたら自信満々だが根拠はあるんだろうね」

助手「単純な話っす、生き残る為にあたしの教えを請う必要があるから嫌でも接触しますので」

魔女「うん」

助手「そこに漬け込んでガッツリイチャイチャします!」

魔女「うん?」

助手「昨日の夜で確信しました、奴隷さんは異性関係に耐性が全く無いっす」

魔女「本当か?確かに若くは見えるが何も知らない少年というほどの歳でもないだろう」

助手「ですね、でも事実っす。あの心拍数の上昇は少年のそれです」

魔女「元傭兵だが箱入りで教養もあるか…以前はそれなりに位の高い人種だったのかもね」

助手「だとしたら肌が綺麗なのとかも納得いくっす」

助手「とまぁ話を戻すと、ミス=死のこの状況を利用して手取り足取り教育して、その過程で親睦を深めるんすよ」

魔女「いつ豹変するかもわからない相手でも心を開くと?」

助手「開かせます。その辺のテクは自信あるっすよ」

魔女「そういや交渉術とかやたら上手かったな」

助手「ご主人に拾って貰う前の名残っす」

助手「足がかりは昨日しっかり作ったんで後は落とすだけっすよ、余裕余裕」

魔女「まるで経験の少ない若者狙いのサキュバスみたいだな」

助手「大体合ってますねー」

魔女「ま、精々頑張れ。色々支障の出ない範囲でね」

助手「言われなくてもっすよ」

魔女「あとそっちにかまけて研究をほっぽりだすなよ」

助手「わかってますったら」

魔女「なら、いいけど」

魔女「……そろそろ朝食を準備してくれ。お腹が空いた」

助手「ハイハイ、では奴隷さん起こしてきますかね」

助手「あとご主人?」

魔女「なんだい」

助手「心配しなくてもあたしの一番はご主人っすからね?」

魔女「心配はしていないけど、ありがとう」

助手「んふ、それくらい素直に奴隷さんにも接してください」

魔女「無茶を言う…」

助手「出来ますよ、勘ですけど奴隷さんとご主人は割と相性いいと思うっす」

魔女「勘ねぇ」

助手「ずっとご主人と一緒にいるあたしが言うんだから信用できるっすよ」

魔女「そっか、わかったよ」

今日はこんなもんで

これから先も適当に即興していくけど何かネタがあったらスレしてくれるとうれしい(拾えるかは別)

魔女「頂くよ」

助手「はいどーぞ」

助手「奴隷さんは特に味わって食べてくださいね、あの調味料でこういう味になるんだってことを頭に叩き込んでください」

魔女「…………」モグモグ

助手「あと生ごみはなるべくこまめに外の指定場所に捨ててほしいっす」

助手「裏庭にある家庭菜園…まぁ育ててるのは食用じゃなくて実験用の薬草やらですが」

助手「その近くに肥料を作るためのスペースがあるっす」

助手「有機物のゴミはそこに放りこんどいてください、溜まったらまとめて分解して肥料にするっす」

魔女「助手よ」

助手「なんすか?」

魔女「手持ち無沙汰だからといって食事中に奴隷への講釈はやめてやれ。そいつの食事が進んでないぞ」

助手「だってあたしだけご飯抜きで暇じゃないっすか!」

助手「奴隷さんと作った朝食をあたしだけのけ者とか!どんな拷問っすか!」

魔女「その分昨日食べたんだから自業自得だろう」

助手「ご主人のオーガ!ハイデーモン!魔王!」

魔女「魔王は言うほど邪悪じゃないぞ?見た目はあれだが話せば割と趣味の合う奴だった」

助手「え、なにそれ魔王と知り合いとか初耳なんすけど」

魔女「そりゃ言った覚えは無いし会ったのは助手と暮らし始める前だからね」

助手「ご主人の友好関係ってほんとよくわかんないっすね…」

魔女「伊達に長生きしてないってことさ」

助手「その割には精神年齢低くないっすか」

魔女「魔物で無駄に精神年齢高くてもろくなのいないからいいんだよ。アラクネの長とか性格捻じ曲がってるどころじゃなかったろ?」

助手「そういやそーでしたね」

魔女「……奴隷、お前はさっさと食事を終わらせろ。なんのために私が助手の相手してると思ってる」

助手「…………」

魔女「なんだよその顔は」

助手「いやまさか奴隷さんの為に雑談続けてたとは思わなくて」

魔女「1割くらいはね、残りは普通の雑談だが」

助手「割合少なっ」

魔女「気をかけてやってるだけありがたいと思えよ。お茶お代わり」

助手「はいはーい」

助手「奴隷さんはいかがっすか?あいやそんな無理して急がなくていいっすから…」

数日後

助手「んっと…これはこっちで」

助手「奴隷さんはそっちの空いた棚掃除しといてください」

助手「よし、後は棚を綺麗したら備品を元に戻して終わりっすね」

助手「数は多いっすけど二人ならそこまで時間はかからないはずだから頑張りましょ」

助手「しかし奴隷さん、たった数日ですぐ慣れたっすね」

助手「いや掃除だけじゃなくてここでの仕事全般の話っす」

助手「他の男性奴隷はもっと時間かかったのが大半なんすけど」

助手「奴隷さんはやっぱり前にもこういう仕事したことあるでしょ?しかも長期間」

助手「あーまぁ話したくないならいいっすよ別に」

助手「過去どういう境遇だったのかじゃなくて今何ができるかが重要ですから」

助手「……個人的には興味あるっすけどね」

助手「んふ、今はそうやって申し訳なさそうな顔してくれるだけで十分っすよ」

助手「奴隷さんが話したくなったら言ってください。待ってますから」

助手「ところで話は変わるっすけどそこの備品は絶対に傷つけちゃダメですからね」

助手「それは周りの二束三文のと違ちょっとした記念品なので」

助手「扱いには十分注意してください、下手すりゃ一発アウトです」

助手「今の奴隷さんみたいに仕事に慣れ始めたときが一番危険なんで気を引き締めて下さいな」

助手「中身?中身は魔法武具の試作品っす」

助手「雑兵+魔法武具のみでどこまで戦果を挙げられるかって課題で作ったんすけど」

助手「試作品のそれは出力高すぎて使用者はおろか周囲一体を破壊しつくじゃじゃ馬になりまして」

助手「結果で言うとゴブリン1体が敵騎士団1個大隊を撃破するという大戦果だったんですが」

助手「同時に自身を含む味方1個大隊も巻き添えで撃破されるというただの自爆魔法と変わらない結末に」

助手「なのでお蔵入りしたいわくつきの代物です」

助手「でも、同時にご主人が初めて作った魔法武具なので記念としてとってあるそうっすよ」

助手「いらないものはすぐ捨てるのにこういう記念品はとっとく乙女さもあるんすよ御主人は」

助手「意外とかわいいところあるでしょ?」

助手「ああ見えて結構隙も多いし第一印象ほど堅物ではないので、あっちから話しかけてきても怖がらずに接してあげてください」

助手「ちなみにここに来てからどれくらいご主人と喋りました?初日を除いて」

助手「あ、もういいっす。両手で数えられるくらいしかないんすね……」

助手「まぁまだ数日しかたってないっすからね、どっかのタイミングで絡んでくる、はず」

助手「そのとき挙動不審でも指摘しないであげてほしいっす」

助手「さてと、これで全部きれいになったっすね」

助手「あとは棚に備品類を戻したら終わりっす。ちゃっちゃとやっちゃいましょ」

助手「ではあたしはコッチの軽いの戻すので奴隷さんは重いのお願いするっすよ」

助手「うーん面倒事押し付けられても元気よく返事できる奴隷さんはホントできた奴隷っすねぇ」

助手「いやいやそれで良いんです、どんな命令でも疑わず盲目に実行できるのが正解です」

助手「後は失敗さえしなければ、ね」

助手「こう考えると結構ハードル高いっすよねご主人の理想って」

助手「やっぱある程度の妥協は必要だと思うんすよ。どんな生き物も失敗から学んで改善してくもんです」

助手「あたしもここに来たばっかりの頃は何度も失敗して何度もご主人に殺されかけたもんっすよ」

助手「だから奴隷さんもって言いたいところなんすけどご主人がなぁ」

助手「いや逆に奴隷さんが頑丈になればいいのでは?」

助手「まぁ流石に無理があるっすよねぇ……ってぇ!?」

助手「なんすか今の音!何やらかしたっすか!?」

今日はこんなもんで

保守支援に感謝

色々落ち着いたので近日再開予定

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