東方野猟日誌(62)

男「やっぱこっちに逃げてるな...足跡がまだ新しい」

『こちら射手、勢子の現在地を教えてくれ』ザザッ

男「こちら勢子。シカは尾根から少しはずれて谷に下った。一度降りて巻返すからもう少し待機しててくれ」ザザッ

『了解。深追いしすぎるなよ』ザザッ

男「了解」ザザッ


男「恐らくこの辺りに溜まってると思うッ...見えた」

男「5頭か...うまく射手の方に行ってくれるといいんだが」カチャ


ドォンッ! ドォンッ!


男「3頭そっち行ったぞ!」ザザッ

『了解...来た...』

バァッ...ン.. バァ..ッ.ン バァ...ッ.ン....

男「3発...こりゃ全部仕留めたみたいだな」

『状況終了。各員脱包の確認と報告を』ザザッ

男「こちら勢子。2頭食った。目の前で転がってる」

『お前勢子なのに止めすぎだよ』ザザッ

男「いやー。良い射線が“見えた”からさ。つい」

『ガハハッ まぁそれできっちり当ててるんだからいいだろ。2頭ってことは応援いるか?』

男「んにゃ。片方は小さいから一人で大丈夫。途中で誰かと合流したら持って貰うよ」

『了解。その辺りは足場も悪いから気をつけてな』ザザッ

男「了解。じゃあまたあとで」ザザッ

男「とりあえずシカの首にロープを巻いて...」

『各員へ、霧が濃くなってきた。だいぶ視界が悪くなってきたから十分気をつけるように』ザザッ

男「確かに霧が濃いが...この程度だったら問題なく見えるな」

周囲を見渡すとほぼ真っ白になっていた。それこそ5m先は全く見えないほどに。
しかし男には周囲の地形、状況が何となく“見えている”。

男「了解。この程度なら問題なく見えるから大丈夫だ。これから運び出すから途中で俺を見つけたら手伝ってくれ」ザザッ

『相変わらず男は目がいいのな』ザザッ

男「まぁそれだけが取り柄ですしおすし」ザッ

『まぁ一応気をつけてくれ。遭難なんかしたら洒落にならんからな』

男「りょーかい」ザザッ


男「ぐぬぬ...いくら小振りだからって2頭は厳しかったかな...」ゼェゼェ

男「どんどん霧も濃くなってるし...早いトコ山を抜け出さないと」ゼェゼェ

ゴンッ

男「あだっ!?っつー!すげぇ頭ぶつけた...前見て歩かんとあぶねぇ...な...」チラッ

顔を上げるとそこには古ぼけた鳥居が一つ。赤い塗装がかなり剥げている。

男「これは...鳥居?...なんでこんなところに?地図には載ってないよな」ガサガサ

男「んー、死体引きずって鳥居くぐるのもよくないけどなぁ...今回ばかりは多めに見てく..れ」


男「失礼しまーっす」グニャ

鳥居をくぐった瞬間、視界がぼやける。
視界が反転する。徐々に頭に血が上っていく感覚がハッキリしてくる。

男「うぇ?...あれ?なんで地面が上にあるんだ?」

ドサァッ!

男「いってぇぇ!?なんでいきなり投げっぱなしジャーマンされてんだよ!っつー!!」

男「いてて...頭とれてないよな...よし、大丈夫だ」

周囲を見渡すと霧ははれて、林道のような場所の真ん中で頭を抱えている自分の状況がハッキリと認識できた。

男「あれ?俺林道なんて通ってたっけ?っつーか神社は?」

慌ててGar○inのGPSで現在地を確認しようとするが、画面上にはクエスチョンマークが表示されるだけ

男「こちら勢子の男、男。だれかとれる人いますかどーぞ」ザザッ

...


男「反応無しか...スマホも...もちろんだめかぁ」

GPSもだめ、無線もだめ、携帯電話も使えない。
自分の荷物を確認する。ザックも銃もシカ2頭もしっかり持っている。
となると...

男「これは俗に言う神隠しか?それとも遭難したか?」

「そーなのかー」

東方×現代猟師
思いつき発車

とりあえず飯食ったらまた書く


男「...そこは“そうなんです”だろお嬢ちゃん」

声を掛けられ後ろを振り返ると、金髪の女の子が立っていた。

男(育ちが良さそうな黒いドレスっぽいのを着ている。明らかに山に入る服装じゃないが、かと言って汚れてるわけでもない。ということは人里が近いのかな?)

「お兄さん、こんなとこで何してるの?」

男「あぁ、なんだか道に迷っちまったみたいでな。悪いんだが近くの民家まで案内してくれると助かるかな」

「迷ったの?」

男「それはもうこの上無いくらい絶賛遭難中」

「そーなのかー」

男「だから...まぁいいや。ちなみにここはどこなのかな?少なくとも○○県からは出てないと思うんだけど」

「...お兄さんもしかして外来人?」

男「ん?日本人だけど?...へ?」

両手を広げた少女の周りに黒いオーラが漂い始める。

男「ちょっとお嬢ちゃん?どうしたの?すしざんまいごっこ?」

「博麗の巫女のせいで幻想郷内の人間は食べちゃいけなくなったけど...外来人なら問題ないよね?」

徐々に黒いオーラが周囲を埋め尽くしていく...まだ昼間なはずなのだがさながら周囲は深夜のように闇に包まれていく。
流石にここまでくると目の前の少女がただの少女では無いと思わざるえない。

男「ちょっと待ってくれ、人間を食べる?シカじゃだめ?心臓撃ち抜いてるからうまく血抜きできてると思うよ?」

「んー。お兄さんの方が美味しそうかな?」

気が付けばすでに周囲は真っ暗に。ザックのサイドポケットからマグライトを取り出す。

男「あれ?つかない?」

「無駄だよ。この闇の中ではあらゆる光源が無効化される」

男「...お嬢ちゃん何者なん?」

ルーミア「私はルーミア。宵闇の妖怪...そして」

暗闇の中、ルーミアがスッっと近づく。

ルーミア「いただきます」ガバッ

男「そぉぉい!」チョップ

ルーミア「あだっ!?」ガスッ

男「暗くして見えなくしたつもりかもしれんが、俺には割と見えてるぞ?」

ルーミア「そんな...?私ですら視界を奪われてるというのに」

男「それって本末転倒なんじゃ...まぁガキの頃から目だけは異常に良くてな。霧に覆われようが暗くなろうが何となく見えるんだよ」

暗闇がルーミアに集約し、周囲が明るくなる。

ルーミア「くっ...なら力業で!」

男「はーいそこまで」カチャ

ルーミア「...なにそれ?」

男「ほー、この世界には銃が存在しないのか」

男「お嬢ちゃん...ルーミアちゃんか。のおかげで何となく分かった。ここは俺が居た世界とは恐らく違う世界なのだろう。さっき幻想郷とか言ったな?
そしてルーミアちゃんは妖怪」

男「いくら妖怪だろうとかわいい女の子を撃ちたくない。ここで引いてくれるとうれしいんだが?」

ルーミア「ちょっと何言ってるか分からないわね。唯の人間であるあなたが妖怪の腕力に勝てると思っているの?」

男「へぇ、やっぱりすごい力あんのか...あとで腕相撲しようぜ」

ルーミア「クスッ...そうね。じゃあ腕だけは残してあげる!」バッ



ドォンッ!

ルーミア「...へ?」

男「...ごめんな。心臓を撃ち抜かせてもらった...」

ルーミア「...そん...な...」

男「...俺もこんなトコで死にたくないんさ」

ルーミア「...ねぇ...」

男「どうした?」

ルーミア「...お腹すいた」グゥゥ

男「...は?」

男「なるほど...妖怪相手に唯の物理攻撃は意味がないのか」ゼェゼェ

ルーミア「全く意味が無いわけじゃないわよ。現にわたしは今動けないんだし。ただ致命傷にはならないわね」

男「色々腹くくって引き金引いたんだけどなぁ...まぁ結果オーライか」ゼェゼェ

ルーミア「それよりもさっきのは何?魔法?」

男「ほぅ?この世界には魔法も存在するのか」ゼェゼェ

ルーミア「いるわよ。普通の魔法使いとか人形使いとか」

男「人形使いねぇ。そのうちゾナハ病とか柔らかい石とか出てくるんじゃないだろうな?」ゼェゼェ

ルーミア「なにそれ?」

男「わからんならいい。お、階段が見えてきたな」ゼェゼェ

ルーミア「あそこを上がれば博麗神社よ」

男「上がれっつったって...ザックに銃にシカ2頭にお前背負ってるんだぞ...」ゼェゼェ

ルーミア「お兄さんがケガさせたんじゃない」

男「おめーが襲ってきたんだろーが!」

「...何してるんだぜ?」

男「ん?」

声を掛けられた方を振り向くと、そこには一人の少女が立っていた。
黒と白のフリフリした服を着て、頭に被った大きな三角帽から金髪の長い髪が降りている...まるで

男「おぉ、普通の魔法使いか」

ルーミア「そーなのだ」

「なんでそれをっ!って、ルーミアじゃねーか?」

ルーミア「やっほー魔理沙」

魔理沙「どうしたんだぜ?お兄さんにおぶってもらったりして?」

ルーミア「んー、この人襲ったら返り討ちにされちゃった」

男「おい、間違っちゃ無いけどもうちょい言い方があるだろ」

魔理沙「襲った!?おいおいルーミア、何でそんなことしたんだ?霊夢に見つかったらことなんだぜ?」

ルーミア「いやー、このお兄さん外来人みたいでね?つい」

魔理沙「へぇ、外来人なのにルーミアに勝ったのか。お兄さんなかなかやるんだぜ!」

男「お、おう。まぁな」

魔理沙「私の名前は霧雨魔理沙。普通の魔法使いなんだぜ!よろしくな!」スッ

男「こちらこそよろしく」アクシュ

魔理沙「それで...最初から気になってたんだが...そのシカはなんなんだぜ?」

男「お、これな。その辺りも含めて色々話したいんだが...ルーミアちゃん曰くここの神社の巫女さんが俺みたいな奴の担当らしいんだが」

魔理沙「お兄さん霊夢に会いに来たのか?私もそうなんだぜ!ちょうどいいから一緒に行くんだぜ!」

男「そうしたいんだが...なぁ魔理沙ちゃん。ちょっとお願いがあるんだが?」

魔理沙「ちゃん付けで呼ばれるとなんだかムズムズするんだぜ。どうかしたか?」

男「ルーミアちゃんのことお願いしていいか?流石にシカとルーミアちゃん持って階段上がるのはしんどいからさ」

ルーミア「えー?お兄さんおんぶしてくれないの?」

男「もう十分したでしょーが。すまんが魔理沙ちゃん、たのめるか?」

魔理沙「お安い御用なんだぜ!なんならそのシカも上まで運んでやるよ!」

男「それは流石に悪いだろ」

魔理沙「余裕なんだぜ!このひもを箒にくくりつけて...っと」

魔理沙「ほれルーミア、行くぞ」

男「その箒をどうするんだ?」

魔理沙「魔法使いらしくこうするんだぜ!!」ブワッ

男「!?...まさかとは思ったけど、本当に飛びやがった...」

魔理沙「先に上に上がってるぜ!お兄さんも早く来いよな!」


「...ふぅ、今日もお茶が美味しいわ」ズズッ

「今日も暇ねぇ...そろそろ魔理沙辺りが来そうな予感がするけど」

オーイ、レイムー

「あら、噂をすれば....は?」

魔理沙「おっす霊夢!遊びに来たんだぜ!」

ルーミア「そーなのだー」

霊夢「魔理沙とルーミア...何このシカ」

魔理沙「お?やっぱり気になっちゃうよな?そろそろ来るんだぜ」

霊夢「そろそろ来るって...ってかルーミアケガしてんじゃないのよ、大丈夫なの?」

男「ヒィ...ヒィ...なんだよこの階段、高尾山かよ」

霊夢「...だれ!?」

男「やっと着いたぜちきしょー...おぉ、本当に巫女さんだ。えらい美人さんだな」

霊夢「なるほど...外来人ね」

魔理沙「そうみたいなんだぜ。けどルーミアに襲われても勝ったんだぜ!」

霊夢「だからルーミアはケガしてたのね。っつーか何人間襲ってんのよ」

ルーミア「ちょっとお腹が空いててね。外来人だしいいかなって」テヘッ

霊夢「まったく...あんたもよく無事だったわね」

男「んー?まぁね。そんな事よりルーミアちゃんは大丈夫なのか?」

霊夢「こいつは妖怪だからこの程度の傷なら大丈夫よ...というかどうやったらこんな傷がつくのかしら」

男「あー、そりゃこいつを使ったからな」カチャ

霊夢「...?なにそれ?」

魔理沙「ただの鉄の筒にしか見えないんだぜ?」

男「まぁ鉄の筒だからな。こいつは銃。散弾銃のRemingtonの1100だ」

霊夢「銃?」

魔理沙「聞いたことないんだぜ?どうやって使うんだ?」

男「そうだな...ちょうどいい、ルーミアを撃った時の薬莢を使おう」

男「あそこに薬莢を置いてきたのが見えるな?距離で言ったら15m位しかないんだが」

魔理沙「あの緑色のやつだろ?あれをどうするんだ?」

男「ちょっと音がでかいから耳をしっかり塞いどけ。ちなみに霊夢ちゃん、この先に人家はないよな?」

霊夢「え、ええ。森しかないわよ」

男「おっけー。じゃあ見てな...」カチャ

ドォンッ!

霊夢「!?」

魔理沙「!?」

ルーミア「...へぇ、これであたしはやられたのね」

男「これが銃だ。火薬が燃える爆発力を使って鉛の塊を高速で打ち出す仕組みだ」

魔理沙「すごい音がしてびっくりしたんだぜ」

霊夢「...もしかしてそのシカも?」

男「そ。俺達はグループで巻狩りをしてたんだが...いきなり山が深い霧に包まれてな。気が付いたら古い鳥居に着いてたんだよ」

霊夢「それで幻想郷に...」

魔理沙「...?どうしたんだぜ霊夢?」

霊夢「おかしいわね。この前の異変解決後に結界はかなり安定したわ。ちょっとやそっとの歪みや弾みで外の世界と繋がるなんてのはあり得ないはず...」

魔理沙「おいおいどういうことなんだぜ?お兄さんを外に戻すだけでいいんだぜ?」

霊夢「それができないのよ...結界が安定しすぎてるせいで、向こうからも入れないしこっちからも出られないようになってるの」

男「...つまりは現状俺は元の世界に戻れないってことか?」

霊夢「...ごめんなさい、私にはなんとも言えないわ。ただこういう事を起こしそうな元凶に心当たりがあるから、少し聞いてみるわね」

魔理沙「私も色々サポートするんだぜ!なんでも言ってくれ!」

男「なんかすまんな、色々迷惑かけるみたいで」

霊夢「別に構わないわ。それが私の仕事だもの」

男「まぁそんな霊夢ちゃんに礼といっちゃなんだが...御馳走しようと思う」

霊夢「御馳走?」

男「こいつ...シカ肉だよ」ドサッ

今日はここまで
口調に関してだが...最初は原作重視の口調にしようと思ったんだが
何となくssっぽくなかったから少し誇張した表現を使います。
だからルーミアは普通の口調だけど途中の魔理沙は少しくどいくらいだぜって言わせてる。

いい雰囲気、期待。

勢子ってのはどう読めばいいんだい?
獲物の追い立て役らしいことは分かるんだけど。

>>23
勢子(せこ)って読むんよ
巻狩りっていう猟の手法での獲物の追い立て役
射手(たつ、たつま、しゃしゅ)が待ち伏せてる場所に獲物を追い出すのん

飯食ったら書き始める

漁師さん用語は新しい言葉出てきたらふりがなと所々で解説入れてくれるとありがたいかな。
あるいはふりがなさえわかればあとは各自ぐぐるんでもいいや。

面白そうなんで続きまってます

男「おいしょ...」スッ スッ

魔理沙「おー...どんどん皮が剥がされて行くんだぜ」

霊夢「うさぎとかニワトリとかは見たことあるけど...シカははじめてね」

男「ウサギもニワトリも捌けるよ」

魔理沙「ほんとか!?今度鈴仙とミスチーに会わせてみようぜ!」

霊夢「ひでぇことしやがる」

男「おし...まずは背ロースがとれたぞ、んで脚も取っちまうか」スッ スッ

ルーミア「おー、美味しそう」

霊夢「ここまで来ると売ってるお肉にしか見えないわね」

男「魔理沙ちゃん、俺のザックから剣鉈取ってくれない?」

魔理沙「ザック?このおっきなかばんの事か?」

男「そそ。その横のチャックの中に入ってると思うんだが」

魔理沙「んー?長いヒモしか入ってないんだぜ?」

男「ん?あぁ、ザイルか。反対側はどう?」

魔理沙「コレのことか?」

男「それそれ。それが剣鉈」

霊夢「なるほど...鉈の先が尖っているのね」

男「流石に鉈は知ってたか。俺が持ってる剣鉈は刃渡りが22cm。勿論鉈として使えるし、先が尖ってるから獲物の止め射しなんかにも使える。肉厚だから丈夫だしね」

霊夢「まぁ自分で薪作ったりはしょっちゅうするからね」

魔理沙「これと似たようなのを香霖堂で見たことあるんだぜ」

男「香霖堂?」


魔理沙「人里にある道具屋の事なんだぜ。幻想郷で唯一外来の道具から冥界の道具まで扱ってるガラクタ屋なんだぜ」

男「外来...俺の世界の道具も扱ってるのか」

霊夢「私達が見ても唯のガラクタだけど、あなたから見れば役に立つモノがあるかもしれないわね」

魔理沙「今度案内してやるんだぜ!」

男「おー、それは助かる...っつーか」

霊夢「なに?どうしたの?」

男「俺はこれからどうしたらいいの?」

霊夢「...」

魔理沙「...」

ルーミア「...とりあえずシカを食べれるようにしたらいいんじゃないかしら?」ニコッ

男「デスヨネー」


男「すっかり日も暮れちまったな」

魔理沙「うまい!むっちゃうまいんだぜ!?」

霊夢「獣の肉は少し臭みがあるイメージだったけど...美味しいわね」

男「いい位置抜いたからな。それに調理する前に少し布でくるんでおいたろ?だから血がちゃんと抜けてんだ」

ルーミア「美味しい...ほんとに美味しい」ガツガツ

男「落ち着け。すげー零れてるから」

ルーミア「ングング...おかげさまで傷もすっかり治ったわ」

男「あんだけガッツリ貫通してた傷が...本当に跡形もなく治ってるな」

霊夢「妖怪はそもそもの生命力が人とは違うからね」

男「そういや霊夢ちゃんと魔理沙ちゃんは人なのか?」

魔理沙「私達は完全に人なんだぜ!中には半人半霊みたいな中途半端な奴とかもいるしな」

霊夢「人間みたいな妖怪もいれば妖怪みたいな人間もいる...幻想郷はそういうところよ」

男「なるほどねぇ...俺の世界もそんな風に人と獣が共存できる世界だったらよかったのにな...」

魔理沙「?どういうことなんだぜ?」

男「んー?まぁ今度気が向いたら話すよ。それより俺は今後どうするかを考えにゃならん。元々山小屋に泊まる予定だったからテントとかも持ってきてないんだ」

霊夢「てんとが何か分からないけど、とりあえずはウチに泊まっていきなさい」


男「いや、それは流石に悪いだろ」

霊夢「結界が安定する前はよく迷い込んだ外来人を泊めていたものよ。それにこんな御馳走してもらったんだもの、遠慮しなくていいわ」

男「んー...でもなぁ」

ルーミア「この時間から森を抜けて人里に行こうとしても危ないわよ。いくら霊夢が人と妖のルールを決めたといっても、それを守らない雑魚妖怪はいっぱいいるの」

魔理沙「お前とかな」

ルーミア「あたしはルールは破ってないわ。グレーゾーンだもの」

男「俺にとっては完全アウトだったがな...じゃあ今日はお言葉に甘えて泊まらせてもらいますか」

霊夢「最初からそうすればいいのよ。さて、着替えとかはどうしましょうか」

男「それは大丈夫。着替えもタオルも歯磨きも全部揃ってる」

魔理沙「へー!お兄さんは旅人なのか?」

男「さっきも言ったろ?もともと山小屋に泊まる予定だったんだよ。だから必要最低限の生活用品は揃ってるんだ」

霊夢「なら心配はないわね。ほら、あんた達もとっとと帰りなさい」

魔理沙「そうだな。明日もまたくるんだぜ!」

ルーミア「お兄さん、また遊びましょうね」

男「おう、二人ともありがとな!」

二人が帰った後、霊夢が神社内を案内してくれた。

霊夢「って感じだから。お風呂も自由に使っていいわよ」

男「なにから何まですまんな」

霊夢「いいのよ。私は隣の部屋にいるからなんかあったら呼びなさい。あと、夜這いかけてきたら絞め殺すから」

男「安心しろ、俺はロリコンじゃねぇ。あと5~7年したらアタックしてたかもしれん」

霊夢「あら、じゃあ咲夜に会わせるのが楽しみね」

男「ん?咲夜?」

霊夢「明日から色々教えてあげるわよ...ファァ..それじゃおやすみ」

男「はいよー、おやすみ」


男「...ふぅ、今日は色々ありすぎだよ...」

一人、部屋の中で手足を放りだす。畳の上に大の字で寝転がると、今までの疲れがドッと押し寄せた。

男「そもそも勢子やってたんだぞ...それだけでも疲れるっちゅーのに」

霧の中出会った鳥居。そこをくぐってしまったがために辿り着いた、幻想郷...
ルーミアと出会い...はじめて人に、いや、正確には妖怪なんだが...発砲してしまった...
もともとの仕事もあって撃つ対象として認識してしまえば何であろうと引き金はひける。
ただ撃った直後の疲労感は獣を撃つ非じゃなかった...まぁ結局は杞憂におわってしまったが。

男「...みんなは無事かなぁ...俺みたいに変な世界に飛ばされてなきゃいいけど」

瞼が徐々に重くなる。今日は動きすぎたし考えすぎた。

男「魔理沙ちゃんは明日も来てくれるって言ってたし...人里でも...案内...して....」


ーーーー

男「....ンガ...ん...むぅ...?」

男「あぁ...そっか。昨日あのまま寝ちゃってたのか」

目が覚めて自分の両手両足を確認する。

男「やっぱり夢じなかったか...さて、今何時だ?」

腕のGsh○ckを確認すると、まだ朝の5時を過ぎたばかりのようだ。

男「まぁこの時間と実際のこっちの時間が合ってるか分からんけどね」

襖を開け外を確認すると、もう霧がかってはいるが十分明るくなっていた。

男「...なんかあの時と似てるな」

男「...少し歩いてみるか」

もしかしたらひょんな事で元の世界に戻れるかもしれない。

ウエストポーチに必要最低限の物を詰め、腰に剣鉈を差す。
...一応銃も持っていこうか。

男「霊夢は...流石にまだ寝てるか」

少し散歩がてら歩くだけだ...何も起きなければすぐに戻ってこられるだろう。

男「さて...昨日の林道まで戻ってきたが、この先には何があるんだろう」

男「っつーか霧がひどいな...ほんとに俺がこっちくる直前みたいだ」

しばらく歩くと何か建物が見えてきた。霧のせいでハッキリとは見えないが、男の目はそれをしっかり捉えていた。

男「なんつーか...随分と西洋風のお屋敷だな...」

男「...ん?人が立ってる?というより...」

「...zzz...zzz...」

男「ね...寝てらっしゃる」

男「見た感じ門番だとは思うんだが...寝てていいのか?まぁこんな早朝に訪ねてくる非常識な奴なんて...俺か」

この人はそっとしておいてあげよう。帰ってこの屋敷の事を霊夢にでも聞いてみるか。
静かに屋敷を離れようとしたが...そいつは唐突に現れた。

「美鈴...あなたまた寝てたのね」ガスッ

気が付けば門番の隣には一人の女性が立っていた。
所謂メイド服を着たその人は門番の女性をグーで殴る。

男(い、いつの間に!?気配はおろか音もしなかったぞ...まるでいきなりこの場に現れたみたいだ...)

「いだっ!?あれ?咲夜さん?ちょっと何するんですか!誰も来てなければ寝てていいってこの前言ったじゃないですか!」

「誰も来ていなければ、ね?」

「そうですよー。こんな早朝に訪ねてくる非常識な奴なんて...あれ?」

男「ど、どうも?」

美鈴「な、なんですかあなたは!?こんな早朝に来るなんて非常識じゃないですか!」

男「それはまぁ...俺もそう思いますが」

美鈴「おかげで咲夜さんに怒られちゃったじゃないですか!どうしてくれるんです!」プンプン

男「それは知らねぇ」

咲夜「...あなた見ない顔ね...外来人かしら?」

男「あ、はい。なんかそうらしいです」

咲夜「そう...」チラッ

美鈴「...」

男「...?」

咲夜「こんな所で立ち話もなんでしょ?中にお入り下さい」

男「これはご丁寧にどうも」

美鈴「...」

男「あーっと、美鈴さん?でしたよね?」

美鈴「は、はい!どうしました?」

男「なんか早朝から申し訳ないです。俺のせいで怒られちゃいましたね」

美鈴「いえ、怒られるのなんてしょっちゅうなんで」

男「それはそれでどうなんだ...」

咲夜「美鈴?門を開けてくれないかしら?」

美鈴「はい!ただいま!」

美鈴によって重そうな門が軽々と開いていく。この人見た目は細いがそれなりに腕力があるようだ。
見た目も大陸拳法を扱っている人が着るような衣装を身に纏っている。格闘技はよく知らないが、気とかなんとかを使ってそうだ。

美鈴「おまたせしました!どうぞ!」

咲夜「ありがとう。どうぞ中へお入り下さい。ようこそ“紅魔館”へ」

咲夜「歓迎します」ニコッ

とても綺麗な笑顔に危うく惚れそうになるが、ある一言が一気に思考を現実に引き戻した。
門が閉まる直前、あの門番の声がハッキリと聞こえた気がする。


ごめんなさい  って。

>>25
分からない用語があればどんどん聞いてくれると助かる。
普通に使っちゃってる言葉だから、どれが通じてどれが通じないか分からんのさ。

一応日常系ゆるふわはーとふるss目指してるから、そんな感じでよろしく。

男「ほぇー...立派なお屋敷ですね」

咲夜「ありがとうございます。ここは主でありますレミリア・スカーレットお嬢様が統治されているお屋敷になります」

男「へー。それにしてもこんな朝早くからお邪魔してよかったんですか?」

咲夜「もちろんです」ニコッ

男「...?」

咲夜「あ、申し訳ありませんがお腰に着けた刀剣はこちらでお預かりしてもよろしいでしょうか?」

男「そりゃもちろんです。むしろ着けっぱなしで申し訳ないです」スチャ

咲夜「いえ、ご協力ありがとうございます...」ゴッ!

男「んがッ!?」バタッ

咲夜「...」


ーーーー

男「っつー...あれ?どこだここ?」

気が付くと石畳の上で目が覚めた。
後頭部に残る鈍い痛みが、あのメイドに何をされたかを十分に物語っている。

男「...どうなってんだ。とりあえず銃が無事だったのはありがたいけど...」

杖か何かに見えたのだろう。負環でたすき掛けにされていた銃と、腰のポーチは何もされていないみたいだ。

「...だれ?」

男「ん?」

薄暗い牢屋の様な部屋であったが。男が見通すには十分の空間である。
かわいらしい声がした方を見てみると、女の子が一人、椅子に座っていた。

男「おいおい...どうした?どうしてこんなとこにいるんだ?」

「...最近は落ち着いてたんだけどね...また暴走しちゃったみたい...」

男「暴走?」

「お兄さんはどうしてここに?」


男「あー...なんか咲夜っていうメイドのねーちゃんに連れて来られたっぽい...わけがわからん」

「へぇ...咲夜が...じゃあお兄さんが私と遊んでくれるの?」

男「そりゃ遊んでやるのは全然構わないが、まずここから出ないとな」

金髪の女の子の声を背中で聞きながら銃に弾を装填する。銃身に一発、弾倉内に二発の計三発だ。

「よく見たらお兄さん頑丈そう...血の臭いもする」

男「山仕事してるからな...へ?血の臭い?」カチャ カチャン

振り返るとそこには無邪気な笑顔を浮かべる少女が...
強いて言うなればその少女の背中からは綺麗なクリスタル状の羽が生え、紅い禍々しいオーラを周囲にまき散らしている。

男「...俺このパターン知ってる...昨日のやつだ」

フラン「人形相手だと簡単に壊れてしまってつまらないわ。きっとそのせいで暴走しちゃったのよ」

フラン「私はフランドール。お兄さん、一緒に遊びましょ?」

カンタンニ コワレナイデネ?

男「またこんなんかよ!!」ドォン! ドォン! ドォン!

扉の鍵が掛かっている部分に三発のスラッグ弾を撃ち込む。
鍵は運良く壊れてくれたようで、そのまま全力で逃げ出す。

フラン「きゃ!すごい大きい音!なにそれなにそれ!」キャッキャッ

男「くっそ!すげぇ無邪気な笑顔で飛んでくるんだけど!かわいいなちきしょー!!」ゼェゼェ

走りながら弾を再装填する。
自分がどこに向かっているかも分からないし、この廊下がどこに続いているかも分からないが、とにかく全力で逃げる。

男「うぉぉぉぉぉぉ!!走れ俺ぇぇぇ!オオスズメバチの巣を踏み抜いた時のように全力で走るんだぁぁぁぁぁ!!」

フラン「あはははは!お兄さんすばしっこいのね!!」ドカァアアン!

男「あはははははは!!もうなんか笑えてくるぜ!普通に壁とかぶち壊してるし!!なんなんだあの光の弾!!弾幕濃すぎぃ!」

無数の紅い光の弾が襲いかかってくる。
目の前一杯にばらまかれたソレだが、男は間一髪で避けていく。

フラン「あはっ!お兄さん普通の人間なのにすごいのね!」

男「ちょ...まじで...喋る余裕もない...!!」ゼェゼェ

男(弾の数は多いが...射線が綺麗すぎる...これなら問題ない)

フランの放つソレはまるで芸術のようだった。
各々が眩しいくらいに光を放ち、まるで一種のイルミネーションのようにも見える。

男(なんか知らんが...あの子の射線がよく“見える”...身体さえ追いつけば避けきれそうだ)

フラン「じゃあこれはどう!?【禁忌 クランベリートラップ】!!」

男「...は?」

男「誘導弾は反則だろぉぉぉ!!」

フラン「きゃはは♪」

男(早くないから何とか避けれたが...だんだん周りを囲われてきたな...)ゼェゼェ

為す術なく翻弄されるが、いつまでもこうしてるわけにもいかない。

男(さっきから俺の目が無意識に何かを捉えようとしている。...あの4つの魔法陣か?)

男「よし...一か八か自分の目を信用してみようじゃねぇか。あの魔法陣を食えばいいんだろ?」

銃のストックを自分の横っ腹、スキート競技で言われるガンポジションまで下ろす。
クレー射撃の一種であるスキート競技では、銃を肩につけたままではいけない。
ガンポジションまで銃を降ろし、コールをし、クレー(フリスビーのようなもの)が射出されてから
挙銃(きょじゅう)と呼ばれる動作を行い、銃を肩付けし、発砲する。

男には目の前を飛び交う魔法陣がクレーにしか見えなかった。

後はいつも通り、射撃場でやっている事をするだけだ。

スキート射撃国際ルール、4番射座での連続ダブル。



男「はいっ!」カチャ

男「はいっ!」カチャ

ドォン! ドォン!

フラン「!?」

男「こんなことなら上下持って来るんだった...はいっ!」カチャ

ドォン! ドォン!

スラッグ弾を受けた魔法陣は粉々になり、光の弾も放たれなくなった。


男「はぁ...はぁ...俺生きてる」

フラン「あはは!!お兄さんすごーい!じゃあ次ね!」

男「...え?」


ドカァァン!!

男「さっきは完全に終わった流れだったろーがぁ!!」

フラン「まだまだ遊びは始まったばっかりだよ!【禁忌 レーヴァテイン】!」

男「必殺技は一人一個って教えてもらわんかったのかぁ!」

フラン「えへへ!しらなーい♪」

ドカァァン! ドカァァン!

~少し前~

コンコン

咲夜「失礼します。レミリアお嬢様、おはようございます。朝食の準備が整いました」

レミリア「おはよう咲夜。今日は朝から来客があったようね?」

咲夜「はい。何も知らない外来人が一人訪ねて参りました」

レミリア「へぇ?外来人が、珍しいわね。それでどうしたの?」

咲夜「先日起こした妹様の発作を抑えるため、連れていきました」

レミリア「...え?ちょっと大丈夫なのそれ?霊夢に怒られちゃうんじゃ...」

咲夜「完全な外来人だったので大丈夫かと。あのルールが適用されるのは幻想郷内のモノのみですので」

レミリア「それはそうだけど...うー」

咲夜「それに一般人であればそのまま帰したのですが...彼からは血の臭いががかなりしましたので」

レミリア「血の臭い?」

咲夜「これがその人間が持っていたナイフです」スッ

レミリア「これは...すごいわね」

咲夜「普通の人間がこれだけの血を吸うわけがありません。きっと幻想郷に仇を成す、異変を引き起こさんとする者でしょう」

咲夜「そんな悪人を紅魔組が退治したとなれば...後は分かりますね?」

レミリア(異変を引き起こす悪者を退治→幻想郷を救ったヒーロー→溢れ出るカリスマ→霊夢「レミィ、ありがとう」ニコッ)

咲夜「...お嬢様?」

レミリア「ふ...ふふふ。まぁ幻想郷の治安維持もこの紅魔館主たるレミリア・スカーレットにかかればこんなものよ」フンスッ

咲夜(かわいい)


飯食ったら書くか考える。
フランかわいい

パチュリー「入るわよレミィ」ガチャ

レミリア「パチェ...一応主の部屋なんだからノックくらいして...」

咲夜「いかがなさいましたか?朝食なら小悪魔に持って行かせますが?」

パチュリー「それはいいんだけどさ...地下から爆発音が聞こえるんだけど、心当たりない?」

咲夜「あー、それなら妹様が外来人で遊んでる音ではないでしょうか?」

パチュリー「まぁそうだとは思ったんだけどね...だんだん音が図書館に近づいて来たから避難してきたんだけど」

咲夜「....へ?」


...ドォォ..ォン  パラパラ...

レミリア「...この地響きはなに?」

咲夜「あの...パチュリー様?つかぬ事をお伺いしますが、フラン様の謹慎部屋には結界が張られているんですよね?」

パチュリー「そうね。どんな魔力でも干渉できない結界が張ってあるわ。魔力によって強大な力を得ているフランでは決して出ることはできないわね」

咲夜「では一体どうして...」

パチュリー「...確かに魔力では一切干渉できないけど、普通の物理攻撃なら破れる可能性があるわ。しかも繊細な結界だから一つ綻ぶとすべて解けてしまう」

咲夜「とは言っても鉄の檻みたいな部屋ですよ?あの人間にそんな力があるようには思えませんでしたが...」

パチュリー「そうは言っても現に部屋から出てしまっているんだから...あのフランも一緒にね」

咲夜「...」

レミリア「それで?その人間とフランはどこにいるの?」

パチュリー「恐らく図書館で暴れてるんじゃないかしら?一応小悪魔によろしく言っておいたけど」

咲夜「...少し行って参ります」

ーーーー

小悪魔「図書館で暴れないでくださいー!!私がパチュリー様に怒られちゃいますー!」

男「俺だってもう体力の限界なんだ...お宅の娘さんに言い聞かせてくれ...」ゼェゼェ

フラン「きゃはは!あなた本当におもしろいわ!とーっっっても気に入った!」

男「おう...ありがた迷惑だぜこんちきしょ...」ゼェゼェ

咲夜「なんですかこの騒ぎは...妹様もなんでこんな絶好調なんですか」シュタ

小悪魔「咲夜さん!!」ヒー

男「てめっ!お前のせいで命懸けの鬼ごっこするはめになったんだが!?佐藤に名字変更した覚えはないんだが!?」ゼェゼェ

咲夜「まったく...あなたが抵抗せず妹様のおもちゃになっていれば良かったのでは?」ギロッ

男「あいにくお宅の娘さんは活きのいいおもちゃをご所望でな...つーか娘さん、一体どうなってるんですか」ゼェゼェ

咲夜「あの方はフランドール・スカーレット。この館の主、レミリア・スカーレットお嬢様の妹様よ」

男「そんな種名を聞いてるんじゃねぇ...あのお転婆具合はどうなってんだ...」

咲夜「妹様、どうか部屋にお戻り下さい。レミリアお嬢様に叱られてしまいますよ?」

フラン「いや!もうあの部屋は嫌なの!」

咲夜「少し気を落ち着かせていただくだけでございます」

フラン「うそ!そうやってついこの前まで495年間閉じこめてたくせに!」

咲夜「それは...」

フラン「...分かってる。咲夜は別に悪くない...今回だって私が暴走しちゃったから閉じこめられたんだし...」

男「...」

フラン「でももう嫌なの!またあの暗い部屋でずっとひとりぼっちは嫌なの!ひとりは寂しいの!!」

小悪魔「妹様...」

男「...」スッ カシュ...フー

咲夜「あの...今わりと大事な話してたと思うんですが...あと図書館でタバコ吸うとか何考えてるんですか?火気厳禁ですよ?」

男「いや目の前にもっとでかい火気があるだろ。はやくスプリンクラー作動しないのマジで」

咲夜「妹様はいいんです」

男「あぁ?そうやって特別扱いするからこんなお転婆わがまま娘になっちまうんだろうが。んで手が付けられなくなったら軟禁ねぇ」

咲夜「!?...あなたに何が!」ギロッ

男「わからねぇよ。でもお前らが揃いも揃って間違えまくってんのは分かる。危ないから無くしましょう隠しましょうじゃ解決しないんじゃボケが。公園の遊具を危ないって理由で廃止していくPTAかよ」

咲夜「...」

男「事情は何となく分かった。フランちゃんはなんか強い力をもっていてそれがたまーに暴走しちまってた。だからここの奴らはお前を閉じこめてた。違うか?」

フラン「...んーん、違わない...」

男「けど今はどうだ?過去のお前がどうだったかは知らん、でも少なくとも暴走してるようには見えないんだが?」

フラン「...」

男「まぁ笑顔で攻撃しまくってくるのはやめて欲しいが...今日追いかけっこしてる最中、なんで俺が一発もお前自身に攻撃しなかったか分かるか?」

フラン「...そういえば魔法陣が壊されたくらいで何もされてない」

男「昨日のルーミアちゃんと違ってお前からは殺気が全く感じられなかったからな。無邪気な顔して追っかけてくるかわいい女の子に手をあげれる程、人間出来ちゃねーんだ」

フラン「...」

男「あんな楽しそうな顔で暴れてる子をあんな暗い部屋に閉じこめる必要が微塵も感じられないんですがね?おねーさんもそう思うでしょ?」

咲夜「...確かに妹様は変わりました。あの博霊の巫女と戦って以来、急激に成長したと思います。ですがそれでも暴走してしまう時はあるんです...私達だって妹様を閉じこめるなんてしたくないんです...どうすれば...どうすればいいでしょうか...」

男「んなもん知るか」

咲夜「...へ?」

男「俺はお前らの関係者じゃねーんだ、知るわけねーだろ」フー

咲夜「あなた...今かなり無責任な事を言ってる自覚はしていますか?」

男「いやいや、そんなことを他人である俺に聞いちゃうのって無責任以外のなによ?俺は関係ないけどおねーさんは違うでしょ?」

男「“家族”なんだろ?」

咲夜「...!」

ーーーー

男「まぁそのへんは後でじっくり話合ってくれ。カウンセラーでも家庭相談所でもない俺には関係ない」

小悪魔「あれだけ言っておいて関係ないって...」

男「なんか言ったかねーちゃん?揉むぞ?」

小悪魔「ひっ!」ササッ

男「さて...フランちゃん、俺は俺に出来る事をしようと思う」

フラン「?」

男「少し休んだから息も整った。ヤニパワーで体力回復!それじゃ...再開しようか」

フラン「...え?」

男「最初に約束したろ?遊んでやるって」

『そりゃ遊んでやるのは全然構わないが、まずここを出ないとな』

フラン「...!」

男「俺はプライドとか責任感はヤフオクで売っちまった男だが...約束だけはちゃんと守る紳士だぜ?紳士服着てるし」

フラン「いいの?壊れちゃうかもしれないよ?」

男「それは困るが...まぁ滑落しても擦り傷ですんだんだ、身体の丈夫さには自信がある。フランちゃんのお墨付きももらってるしな」

フラン「クスッ...お兄さん、本当に不思議な人ね。好きになっちゃった」

男「そりゃ嬉しい。是非大きくなったら俺のお嫁さんになってくれ」

咲夜「!?」スッ

小悪魔「咲夜さん落ち着いて!今いい感じなので抑えて下さい!ナイフもしまって下さい!」

フラン「じゃあ...これで最後ね!私の495年間!全部受け取って!!」

フラン「【QED 495年の波紋】!!」


カッッ!

以外と続きそうなので今回から酉つけた。
はーとふるだなぁ

ss速報の方に移動しますた。
読んでくれてた人はそっちでお願いします。
こっちはもう落としちゃうね。

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