希の家
カニ「」ﾄﾞ-ﾝ

海未「えっ？希！これ…カニじゃないですか！！」

海未「どうしたんですか！？」

希「えりちがなぁ知り合いからたくさんもらったらしいんやけど、飽きる程食べたっていうからおすそわけをな」

海未「すごいじゃないですか、カニなんて超久し振りですよ」

海未「えーと、でも…一杯だけなんですか？さすがに3人で一杯は少ない気がするんですが…」

希「…うん」

￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
絵里「どれくらい欲しい？」

希「お腹いっぱい食べたい！」

絵里「わかったわ、はい」

カニ「」ﾎﾟﾂ-ﾝ

希「あの、えりち…ウチはお腹いっぱい食べたいって言ったんやけど…」

絵里「カニ一杯よ！」ﾄﾞﾔﾁｶ!

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

希「ってな感じで…」

うみりん「あんのポンコツ！！」

海未「何がﾄﾞﾔﾁｶ!ですか！！」ﾌﾟﾝｽｶ

凛「凛たちは一休さんじゃないにゃ！！一休みどころか永遠に休ませたろか！！」ﾌﾟﾝｽｶ

希「まぁ、2人とも落ちつき」

希「いい？何故カニの足がたくさんあるか知っとる？」

凛「知らないにゃ」

希「それはなぁみんなで分け合うためや」

希「古来より人間達はカニをとり合いくだらない争いをくり広げてきてん。関ヶ原の戦い、桶狭間の戦い、みんなそうや」

海未「いや、初耳ですが」

希「それを天上からご覧になっていたカニ様は…」

海未「カニ様って何ですか。何で神様みたいになってるんですか」

希「二度と悲しい戦いが起きぬよう、皆が仲良くカニを食べれるように足をお増やしになられた」

希「それで、前進もバックもできない横歩き仕様になってしまわれたんや」

希「これ以上カニ様に横向きな生活を送らせていいのか、カニ様だって前向きに生きたいんとちゃうんか！」

海未「なんか別の話になってきてますが…」

希「平和にいこうよ、折角おいしいもん食べるんやから楽しく食べたいやろ？」

海未「…そうですね。元々棚からぼた餅みたいな話ですし、仲良く一杯を分け合いましょう！」

凛「足はハサミを入れて10本あるにゃ。焦らなくてもちゃんとみんな食べられるにゃ」

海未「でもどうやって10本を3人で分けましょ…」ﾌﾞﾂﾝ

海未「あれ？」

希「何これ…何やこれ？」

凛「停電かにゃ？」

希「何やもう、これからって時に！」

海未「ブレーカーでも落ちたんですかね？ちょっと見てきます…希、ブレーカーってどこにありますか？」ｽｯ

希「玄関のとこにあるよ～」

海未「分かりまし…あいてっ！」ｶﾞﾂﾝｯ!

希「何やもう、食事時に…」

凛「これも全部カニを一匹しかくれなかった絵里ちゃんが悪いにゃ！！」ﾌﾟﾝｽｶ

希「そ、そうや！！ポンコツ！！なにが賢い可愛いエリーチカや！！」ﾌﾟﾝｽｶ

凛「μ's入った途端賢さだけ無くなってポンコツになって！！」ﾌﾟﾝｽｶ

希「そうや！ポンコツ可愛いエリーチカ！！」ﾌﾟﾝｽｶ

海未「2人とも、何の話をしてるんですか…見てきましたけどブレーカーじゃないみたいですよ」ﾊﾟﾁｯ!

凛「あっ！電気ついたにゃ！」

希「何やったんやろな」

海未「さて、気を取り直して食べまし…」

カニ「」足9本

リリホワ「…」

海未「あの…すみません…カニ様が…カニ様が停電中にケガされてます」

希「テーブルの足に小指でもぶつけたんやない？」

海未「ていうより、完全に1本なくなってるんですけど…」

リリホワ「…」

凛「凛じゃないにゃ！！」ﾀﾞﾝｯ

凛「停電中につまみ食いなんてはしたないマネ絶対にしないにゃ！！」

海未「私もしてませんよ！！」ﾀﾞﾝｯ

海未「何より私はブレーカーを見に行ってました！2人のどちらかでしょ！？」

凛「何言ってるにゃ！海未ちゃんブレーカー見に行くフリしてカニ持ち去ったんじゃないかにゃ！！」

凛「海未ちゃんさっき「あいてっ！」とか言ってたにゃ！！カニのトゲが刺さったんでしょ！？」

海未「あれは頭を壁にぶつけただけです！！」

凛「正直に言うにゃ！」

希「2人とも、やめ！！」ﾀﾞﾝｯ

希「なんや2人とも、足の1本くらいでギャーギャーギャーギャー」

希「こんなゴツゴツの殻だらけのモン、あの真っ暗な中で食べれるわけないやん！」

希「丁度よかったやん。これで3人3本ずつ分けれるようになったやん」ﾂ-

希「これはきっとカニ様がウチらにケンカしないように仕向けてくれた粋なはからいかもしれんよ」ﾎﾟﾀﾎﾟﾀ

希「さっ、ケンカはここまでや仲良く3本ずつわけよ…」
うみりん「希(ちゃん)は2本ですけどね(だけどにゃ)！！」ﾋﾞｼｯ

希「痛いなぁもう、何すんの」

凛「ゴツゴツの殻ごと食べて口血だらけになってるにゃ！！どんだけ急いで食べたんだにゃ！！」ﾌﾟﾝｽｺ

海未「あなたよくもあんな偉そうなこと言った後にそんなことできましたね！！」ﾌﾟﾝｽｺ

希「何言ってんの、2人とも、これは停電中にえりちの悪口言ってたら突然腕のある超巨大マトリョーシカが現れて殴られただけや」

海未「どんな言い訳ですか！？」

希「多分カニも奴の仕業に違いないよ。やばいよ…アレ、相当荒れてるよストレスたまりまくってるんよ」ﾌﾞﾂﾝ!

リリホワ「あっ！」

海未「げっ！また停電ですよ、希！動かないでくださいね！またやったら許しませんよ！！」

希「だからウチやないって言ってるやん、ほんまなんやって」

希「気ぃ付けぇや、2人とも、どっからあのマトリョーシカ攻めてくるかわからんで！？」

凛「にゃぁぁぁぁぁぁあ！ 」

海未「凛？」

希「どーしたんや！凛ちゃん！！」

凛「やめっ…ぐふぁぁぁぁ」

希「凛ちゃんんんんんん！！しっかりしぃぃ！！」

海未「何が起きてるんですか！！」ﾊﾞﾁﾝ!

海未「あっ！つきました！」

のぞうみ「！？」

凛「」ﾁ-ﾝ

のぞうみ「り、凛(ちゃん)んんんんん！！」ｶﾞ-ﾝ

凛「目が…目がぁぁぁぁあ！」ﾎﾟﾀﾎﾟﾀ

希「しっかりしぃ凛ちゃん！大丈夫やまぶたを少し切っただけのようや」

凛「マトリョーシカが…変なマトリョーシカが現れてカニを持って行こうとしたから…凛が…止めようとして、そしたら…」

希「見ぃや海未ちゃん！やっぱマトリョーシカは実在したんや！」

カニ「」足8本

あ、キャラ崩壊あるっての書き忘れてたw

希「あっ！ほらっ！カニの足がさらに1本持ってかれてる！」

希「完全にマトリョーシカの仕業や！」

海未「まさか、本当に…あれ？…」

海未「なんかカニのハサミに血がついてますが…」

海未「ていうよりこれ、暗闇でカニ食べてたらハサミに刺さっただけじゃないんですか？」

凛「違うにゃ！マトリョーシカが…マトリョーシカがカニを持って刺してきたにゃ！」ｸﾁｬｸﾁｬ

海未「いや、言ってるそばから口くちゃくちゃ言ってるんですけど」

凛「違うにゃ！なんとか抵抗してマトリョーシカの指を食いちぎることに成功したにゃ」

海未「いい加減にしてください！あなた達！なんでもマトリョーシカのせいにしないでください！！」ﾀﾞﾝｯ

海未「あなた達がカニを食べてることはもうとっくに分かっているんです！！」

希「食べてないよ」

凛「マトリョーシカだもん。マトリョーシカが食べたんだもん」

海未「あくまでシラをきるつもりですか…」ｲﾗｲﾗ

海未「わかりました。じゃあこうしましょう！」

15>>
あまり期待しないでくださいw
元ネタはあまり変えてないので

海未「今度停電が起きても不正が起きないようにロウソクを使いましょう」

海未「これがあれば安心してカニに集中できます」

希「ああ、そうやな、最初からこうすればよかったんや、不正なんか起こしてないけどね」

凛「これであのマトリョーシカも、入ってこれないにゃ」

希「マトリョーシカは火を嫌うからね」

海未「じゃあ、食べやすいように私が分けちゃいますね、いいですよね？」

希「うん、分けちゃって、ウチハサミのところちょうだい！身がひきしまってて好きなんよ」

海未(よし、これで流石の2人も悪さできないでしょう。停電がきてもロウソクがあります)ﾊﾟｷｯﾊﾟｷｯﾊﾟｷｯ

海未(何より肝心のカニは私の手元にありますから)ﾌﾟﾂﾝｯ!

凛「あっ！また停電にゃ！今日は調子悪いのかにゃ？」

希「なんや今日は一体…ちょっとウチ、もう一回ブレーカー見てくるわ」

凛「あっ！凛も！」

希「ちょっとロウソク借りるな～」

海未(え！！何！あの2人が私とカニだけ残していくなんて)

海未(カ…カニがガラ空きですよぉぉぉぉお！！)

海未(これ罠ですか！？それともいっちゃっていいんですか！？)

海未(いや、これはまたとないチャンスです！！いった方がいい！！)

海未(あの2人だってもう私より先に2本も食べてるんです)

海未(余裕をかましてる暇なんて私にはありません！1本くらい…あれ？…ていうよりもう1本も…)

希「あれ？ロウソクのつき悪いなー。こっちもダメや、あこっちもダメや」
ｶﾁｯｶﾁｯ

凛「あれ？希ちゃん！これよく見たらロウソクじゃなくて…」






凛「カニの足にゃ」ｼﾞｭﾙﾙﾙ

海未「なっ！！…」

海未(その時私は自分の愚かさを思い知りました。どうすれば3人平等にカニの足を分けられるのかとか、どうすれば人より1本でも多くカニの足を食べれるのか)

海未(そんな消極的な姿勢でこの食卓に座った時点で私の敗北は決していたのです)

海未(彼女らは最初から1本たりともカニの足を他人に明け渡すつもりなどありませんでした)

のぞりん「…」ﾆﾔｯ

海未(彼女らのあつかましき分厚いその甲羅を私の小さなハサミで貫き通せるハズもなかったのです)

海未(この世のすべてのカニを狩り尽くす、あの巨大なハサミを持たなければ私に勝機はない)ﾊﾟﾁｯ

凛「あっ、停電直ったにゃ！」

希「なんやもう、ほんと、人騒がせな停電やね」

凛「まっいいにゃ、気を取り直してカニパーティー再開するにゃ！」

カニ「」ハサミのみ

海未「…いや…」

海未「カニパーティーって…すでにハサミと胴体しかないんですが…」

希「仕方ないやん、あれは事故みたいなもんやから、まさかロウソクとカニの足が入れ替わってるなんて思わないやん」

海未(ロウソクとカニの足を間違える人がどこの世界にいるんですか！）

凛「ロウソクの近くにカニの足を転がしてた海未ちゃんが悪いにゃ)

海未(しかも悪びれることもなく人に罪をなすりつけるとは…)

希「まぁ、ミスは誰にでもある、許してやりぃや海未ちゃん。もう一度そこから平等に三等分したらいい」

海未(この期に及んで『平等』などという言葉がこの世界に存在すると思っているのですか、あなた達は！)

海未(殴りたいぃぃぃぃぃ！！超シバきたいです！！しかしキレて我を失えば2人の思うツボです！！)ｲﾗｲﾗ

海未(冷静さを失うな園田海未！！恐らく2人がここまでの暴挙に出たのは私を挑発し、)

海未『事故も何も関係ないです！！2人で足8本も食べてしまって！！三等分どころか残りは全て私のものです！！』ﾀﾞﾝｯ

海未(このセリフを言わせるためです）

海未(でもそう言えばこう切り返してくるハズです）

海未(冷静さを失うな園田海未！！恐らく2人がここまでの暴挙に出たのは私を挑発し、)

海未『事故も何も関係ないです！！2人で足8本も食べてしまって！！三等分どころか残りは全て私のものです！！』ﾀﾞﾝｯ

海未(このセリフを言わせるためです）

海未(でもそう言えばこう切り返してくるハズです）

あ、同じこと2回書いちゃったw

希『海未ちゃん、ふざけるんやないで。8本中2本は通りすがりの巨大マトリョーシカが食べたんや！残る6本を3本ずつウチたちが食べたん』

希『身のしまったハサミ2本は海未ちゃんにあげるよ。ただし身がみっちりの胴体は三等分や』

海未(…っという意味不明な理屈でハサミ2本=足4本で押し通される）

海未(そのために希は私がカニをさばく時にこう言ったのです）
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
希『ウチハサミのところちょうだい！身がひきしまってて好きなんよ』
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

海未（あれは恐らくハサミの価値を底上げし私を納得させるための布石…！）

海未(だが実際は違います…カニのハサミは一見たわわに実っているが身は総量的に足と大して変わりません）

海未(あの女はハサミに興味がある素振りを見せて最初からハサミを捨てるつもりだったんですね！）

海未(私をハサミでぬい止めてそのスキに…)

￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
園田将軍『いけぇぇぇぇぇ！！』

ﾋｭｳｳｳｳｳｳｳｳ

ｻﾞｸｯ!

園田将軍『…なっ！コレはカニのハサミ！？』

東條将軍『クックック…貴様はそのハサミでも食っておくがいいわ』ﾆﾔｯ
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

海未（胴体(ほんまる)に攻め入るために…！）

海未(そうはさせません！！ここから一気に巻き返すんです！！）

海未「しょうがないですね。じゃあ2人にはこの際この2本のハサミもあげますよ」

海未「私も食べたかったんですけどそんなに足がいいなら譲りますよ。私は胴体の部分で我慢するので…」ﾆｺｯ

希（なっ…！）

海未「希、言ってましたもんねハサミが食べたいんだって…」ﾆﾔｯ

希（こっ…この子まさかっ…ウチの布石（ハサミ）を逆に利用しウチの動きを封じたやと！！）

希（ここまで挑発を受けながらウチの考えを冷静に看破しハサミに惑わされることなく）

希（胴体（ほんまる）だけを狙いにいったやとぉぉぉぉお！！）ｶﾞ-ﾝ

希（しかも自分は我慢して胴体を食すという体を装い子供を味方につける）

希（家庭でお父さんがよく使うテクまで駆使しよったぁぁ！）

凛「ホント！？凛、胴体はなんかグチャグチャで気持ち悪いから嫌いだったにゃ…」

海未「私もですけど…みんながそんなに足を食べたいなら我慢しますよ」

希（そう！確かにカニの胴体はグロい！！普通女子供には敬遠されがちやけど…）

海未(ですが…お父さんだけは知っています…）

のぞうみ（本丸（あそこ）に、カニミソ姫がおはす事を！！）

希（うっ…海未ちゃんまさかその齢にして…カニミソ姫の秘密を知っているというんか！！）

希（確かにカニミソ姫は戦国一の醜女や…しかしその容姿とは裏腹に…）

希（姫が戦国一の絶品である事を海未ちゃんは知ってるというのかぁぁぁぁぁあ！！）

海未（希、つまらない小競り合いに幾ら勝ったところで戦の勝敗は変わりませんよ）

海未（本丸をおとしてこそ…カニミソ姫を奪ってこそ天カニ人となる資格を得られるのです！！）ﾆﾔｯ

海未（食卓（てんか）を治めるのはこの私です！！）ﾊﾟｶｯ

￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
園田将軍『カニミソ姫ぇぇぇ！！』

園田将軍『ご無事でしたか！！ご安心下さい！もう大丈夫です！！』

園田将軍『姫は我が園田軍が全力をもって保護します！！』

園田将軍『東條軍の軍勢が迫っております！ここは危険です！！』

園田将軍『さっ！私についてきてくださっ…』ｽﾞｼｭｯ

園田将軍『こ…これは…』ﾎﾟﾀﾎﾟﾀ

園田将軍『バっ…バカ…な…！カッ…カニミソ…姫…なぜ…！？』ｺﾞﾌｯ

？？？『カニミソ姫？クククッ…』ﾊﾞｻｯ

東條将軍『それは一体誰のことかしら？』
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

海未「」

カニ胴体「」ｶﾗ-ﾝ　

海未（バッ…バカなぁぁぁぁあ！！カニミソ姫どころか胴体(ほんまる)の中が…空っぽぉぉぉぉお！！）

希「あっ、ごめん海未ちゃん」ﾄﾞｽ

海未「！？」

希「胴体の身、炊き込みご飯にしちゃったわ。あっ、カニミソはここにとってあるよ」ｺﾄｯ

海未「たっ…

￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
ﾋｭﾝﾋｭﾝﾋｭﾝ

園田将軍『炊き込みご飯だとぉぉぉぉぉお！！』ｽﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ

園田将軍『ぐはぁぁ』ﾄﾞｻｧｧｯ　

東條将軍『残念やったなぁ園田将軍』

東條将軍『キミは一番乗りではない。既にこの胴体（しろ）は我が東條軍が占拠した跡！』

東條将軍『カニミソ姫も我等が保護した。最早この胴体(しろ）に戦略的価値はないんや』ﾆﾔｯ　

園田将軍『ま…まさかあなた…』ｺﾞﾌｯ

園田将軍『私があなたの策を看破すること自体を看破していた…！？』

東條将軍『まさか…ただ戦とはどこまで臆病になりその不安を消すために策を幾重にも張れるかが鍵となるんや』

園田将軍《いっ…いや、この女はしっていたんですね》

園田将軍《私が胴体(ほんまる)だけを目指してくるのを…それをより確実なものにするため一度占拠した胴体（ほんまる)を復元させ、カニミソ姫を装った…》

園田将軍《そう…私が罠におびきよせられている間に、天下の宝刀【カニバサミ】をも手中におさめるために！！》
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

希「いや～悪いなぁ海未ちゃん。ハサミまでもらっちゃって」

希「結局、海未ちゃんカニの身一つも食べてないやん」

海未(見誤った！！）

希「でも仕方ないやんなぁ、海未ちゃんがくれるって言ったんやから」ﾆﾔｯ

海未(この女はカニの甲羅までしゃぶり尽くす【マムシの東條】だった！！）

希「さ～て、じゃあいただくとしよ…」

希「…」

ハサミ「」ｶﾗ-ﾝ

￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
マムシの東條《身が…！宝刀【カニバサミ】の刀身（み）がないぃぃぃぃぃぃい！？》ｽﾞﾌﾞｯ

マムシの東條『！？』ﾎﾟﾀﾎﾟﾀ

？？？『刀身（み）ならここにあるよ』

凛ちゃん『にゃーん』

マムシの東條《りっ…凛ちゃんんんんんんんんん！！》
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

凛「希ちゃんももの好きにゃ～」

凛「そんなにハサミが好きなのかにゃ？その下の足の方が身がいっぱいついてるのに～変だにゃ～」

希（ハッ…ハサミハサミ言い過ぎたぁぁぁ！！）

希（確かに厳密にいえば『ハサミ』とは前脚先端についた2本の刃の部分をさす）

希（だ…だからといってまさか2本のハサミを『ハサミ』と『その下の脚』という分け方をするとは！！）

￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
マムシの東條『た…ただの子供と思って泳がせとったけど…』

マムシの東條『ウチと園田将軍の戦いに乗じこんな言葉のスキをついてくるとは…』

マムシの東條『凛ちゃん…貴様っ…ただの凛ちゃんではないな…』

凛ちゃん『…』ﾆﾔｯ

ﾊﾞｻｯ

伊賀者『…』ｼﾞｬｷﾝ

マムシの東條『伊賀者（くノ一）やったんか…！」

伊賀者『この戦乱に乗じ食卓（てんか）を狙うのは2人だけではないにゃ』

伊賀者『本当の知恵者は最後まで姿を見せずいつの間にか天カニ人の座についているものにゃ』

伊賀者『マムシぃぃぃ！！貴様も虚な甲羅の中で眠るがいいにゃぁぁぁ！！』ﾋｭﾝﾋｭﾝﾋｭﾝ

マムシの東條『ぐわぁぁぁぁぁぁ！！』ｽﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ

マムシの東條『くっ…まだ…や…まだ天カニ人への道が絶えたワケやない』ｻﾞｯ

マムシの東條『う…ウチにはハサミなどなくても…この胴体(しろ）の財宝を元に作り上げた新天地…』ｶﾞﾗｯ

マムシの東條『カニ炊き込みご飯城があるんや！！』

マムシの東條『カニミソ姫も既に我が手中にある！！これがある限り我が野望はついえぬのだ！！』

『マムシ様！アレをご覧ください！カニ炊き込みご飯城の隣に恐るべき速さで城が建てられつつあります！！』

マムシの東條『！？…あっ…あれはっ…』
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

海未「…」ｸﾞﾂｸﾞﾂ

希（カッ…カニ汁城ぉぉぉぉ！？）

希（う…うそやろ！？…海未ちゃん、あれ程の惨敗を帰しながら抜け殻（はいざんへい）をまとめ上げ瞬く間にそれを利用した城を作ったんか！？）

海未(希！カニの美味しいところは身だけじゃありません！甲羅から何から何までうまみが詰まっているんだ！）ｷﾞﾛｯ

希（おのれぇぇぇ！そんな残り汁でウチの炊き込みご飯に抵抗し食卓（てんか）の情勢を変える気か！！）ｷﾞﾛｯ

￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
園田将軍『和平を申し出るなら今のうちですよ！マムシ！！』

園田将軍『炊き込みご飯城の利用及びカニミソ姫との面会を許可しなさい！そうすればこのカニ汁城を利用させてあげましょう！！』

マムシの東條『ふざけんのも大概にしぃ！ハサミを取られたとはいえ天カニ人に最も近いこのウチと貴様が平等な条約を交わせると思っとんか！？』

園田将軍『平等？そんなんじゃありませんよ』ﾆﾔｯ

園田将軍『この園田海未にカニ炊き込みご飯城の7割の所有権を認めろと言っているのです！！』ﾋﾞｼｯ

マムシの東條『な…7割やと！？貴様どれほど身の程知らずな条約を！！』

園田将軍『マムシ…墓穴を掘りましたね。カニ炊き込みご飯などは言葉の響こそ食欲をそそりますが、実際はほのかにカニの匂いが香る程度の薄味のご飯でしかありません！』ﾆﾔｯ

園田将軍『そうです！それ単体では何の武力も持たないのです！見てくれだけの虚飾の城というわけですよ！！』

園田将軍『炊き込みご飯は横に濃い味の汁物、惣菜がついて初めて活きます！！』

園田将軍『あなたは既に私の助けなしではこの戦国の世を生きられないのです！！』

マムシの東條『ふっ…ふざけるんやないで！！ウチの手塩にかけた炊き込みご飯の威力をなめん方がええよ！！』

マムシの東條『撃てぇぇぇぇぇ！！』

ﾋｭﾙﾙﾙﾙﾙ　　　

ﾎﾟｽ

『ダメですマムシ様！薄味で全くききません！！』

園田将軍『撃てぇぇぇぇぇぇ！！』

ﾋｭ-----ﾝ

ﾄﾞｶｧｧｧｧｧｧｧﾝ!!!!!!

『とんでもない火力です！カニのダシがよくきいています！！』

マムシの東條『えぇ！？』ｱｾｱｾ

マムシの東條《なっ…何やてぇぇ！これはまさしくジャイアンとのび太の関係…》

マムシの東條《相性バッチリやん！最高のセットメニューやん！！心の友やん！！！》

園田将軍『最早これまでですねマムシぃぃ！！おとなしく食卓（てんか）の主導権をよこしなさい！！』

マムシの東條『ふざけるんやないでぇぇ！こっちには[たぬき]よろしくカニミソ姫がおるんや！！』

ｽﾞｽﾞｩﾝ!!

園田将軍『なっ…！！』

マムシの東條『何やこの揺れは！！』
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

ﾊﾞﾁｬﾊﾞﾁｬ
↑炊き込みご飯を鍋に入れてる音

凛「こうした方が美味しそうにゃ～♪』

のぞうみ「」

￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ...

園田将軍『あっ…あれは…！！』

マムシの東條『まさかぁぁぁぁ！！』

のぞうみ『天空の城【カニ雑炊ラピュタ】ぁぁぁぁぁあ！！』

マムシの東條《バッ…バカなぁぁぁ！！カニ炊き込みご飯城とカニ汁城の両者を一瞬にして取り組み巨大な城を作り上げたんかぁぁぁ！！》

園田将軍《私たちの料理を利用し最高の一品を作り上げ食卓（てんか）の主導権をかすめ盗ったんですかぁぁ！』

園田将軍『あっ…あなたは！！』

マムシの東條『ただの伊賀者ちゃうなぁぁぁ！！』

？？？『フフッ…その通りにゃ。凛は凛ちゃんでも伊賀者でもない…』ﾊﾞｻｯ

リンガベー・カニ・ゾースイ・ラピュタ『凛の真の名は【リンガベー・カニ・ゾースイ・ラピュタ】』
※以下【リカゾラ】

【リカゾラ】『超古代文明都市【カニゾースイ・ラピュタ】の王族の末裔にゃ』

【リカゾラ】『この時を待っていたにゃ…君達がカニゾースイ・ラピュタの鍵を解いてくれる時を』

【リカゾラ】『凛1人の手ではカニ炊き込みご飯もカニ汁も作れなかったからにゃ』

【リカゾラ】『よく働いてくれたにゃ。君達には感謝してるにゃ』

のぞうみ『くっ…！』

【リカゾラ】『お礼に見せてあげるにゃ』ｺﾝｺﾝ

【リカゾラ】『カニの真の力を！！』ｶﾊﾟｯ

ﾋｭ-------ﾝ!!

ﾁｭﾄﾞ-------ﾝ!!!!!!

のぞうみ『ぬわぁぁぁぁぁ！！』ｽﾞｵｵｵｵｵ

マムシの東條『卵ひとつ入れただけでこの威力…！！』ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ

園田将軍『ひとかきしただけでこの香り…！！』ﾌﾜｯ

のぞうみ『こっ…コレがカニの真の力…！！』

？？？『彼女を止めて！』

のぞうみ『！？』ﾊﾞｯ

？？？『もうこれ以上カニで争うのはやめて！』

園田将軍『あっ…！』

マムシの東條『あなたはっ…！』

のぞうみ『カニミソ姫！！』

カニミソ姫『カニは争いを生むために生まれたんじゃない。皆で食卓を囲んで団欒を楽しむために生まれたのよ』

カニミソ姫『あなた達だって最初はわかってたハズじゃない。楽しく食べようって言ってたハズじゃない』

カニミソ姫『アレはあなた達があみ出した合作。今からでも遅くはない。3人で分け合って仲良く食べて！』

【リカゾラ】『わーい！凛のモノにゃ～♪』ｽﾞﾙﾙ

マムシの東條『もう手遅れや…ウチらの心は長い戦いの中で荒みきってしまったんや…』ﾊｧ…

園田将軍『今さら仲直りなんて…できるわけありません』ｸｯ...

カニミソ姫『大丈夫！私が仲直りさせてあげる』

カニミソ姫『カニミソの豊潤な香りは母なる海の優しき香り…きっとあなた達の荒んだ心に溶け入り優しい気持ちをとり戻してあげる』

カニミソ姫『さぁ、私の手をとって！そしてこの茶番を終わらせる言葉と共に私を鍋に入れるの』
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

凛「！」ｽﾞｽﾞ...

のぞうみ「イタダキバルス」

ﾎﾟﾁｬﾝ

ﾊﾟｧｧｧｧｧｧｧ

凛「…」

凛「…」ｸﾝｸﾝ

凛「もういいにゃ。あとは2人にあげるにゃ…」ｺﾄﾝ

のぞうみ「…？」

のぞうみ「…」

希「えと…海未ちゃん？カニの足のことなんやけど…」

海未「もういいですよ。お互い様ですから。そんなことより…カニパーティー再開…いえ、これからカニパーティー開きませんか？」ﾆｺｯ

希「うん！喜んで！すぐに支度しよか」ﾆｺｯ

数秒後……

のぞうみ「…」ｽﾞﾙﾙ

のぞうみ「…」ﾓｸﾞﾓｸﾞ







海未「…なんか…生臭くてイマイチです…」


希「うん…カニかまぼこの方がいいな」

おわり