穂乃果「私、主人公やめます……」 (167)
ラブライブのssです。
書き溜め→放出→描き溜め→……
なので、少し間が空いてしまうかもしれません。
前
穂乃果「園田さん」
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にこ「は!?あんた、いきなりなんてこと言い出すのよ!」
海未「そうです!あなたが主人公ではなくなったら一体誰が代わりを務めるのです!!」
穂乃果「それは……」
絵里「ほ、穂乃果?主人公が大変なのはわかるわ。だけどね、そんなこと軽々しく口にしてはいけないのよ?」
穂乃果「……でも、私は……」
真姫「じゃあ聞くけど、穂乃果は主人公をやめて何をしたいの?」
穂乃果「……」
ことり「……穂乃果ちゃん」
凛「あわわわ……。穂乃果ちゃんが主人公やめちゃったらμ'sはどうなってしまうんだにゃ!?」
花陽「だ、誰か助けてー!!」
3
穂乃果「私、周りのこと全然見れてなかった」
ことり「あ、あまり自分を責めないで……?」
穂乃果「私が何もしなければこんなことにはならなかった!」
にこ「あんたねぇ!!」
絵里「……そうやって、全部自分のせいにするのは傲慢よ」
穂乃果「……でも!!」
真姫「それをここで言ってどうするの?何も始まらないし、誰もいい思いをしないわ」
凛「ラブライブだってまた次の機会に出ればいいんだにゃ」
にこ「そうよ。そしてその時は優勝して、あわゆくばこのにこにーの名を日本中に轟かせるんだから」
穂乃果「……いやだ」
にこ「……えっ?」
穂乃果「いやだって言ったの。……もう私は、この作品の主人公でいることに疲れたから」
にこ「あんた……それ本気で言ってるの……?」
穂乃果「……」
にこ「ふざけんじゃないわよ!!本気で言ってるんなら許さないわよ!!」
穂乃果「……」
穂乃果「本気、だよ」
にこ「あんたねぇ!!」
真姫「ヤメテ!!」
にこ「離しなさいよ!!にこはねぇ!あんたが本当の主人公だと思ったから……脇役じゃないと思ったから賭てみようと思ったのよ!」
にこ「それなのに……こんなことくらいでやる気を無くすの!?その恵まれた地位を投げ出すの!?」
にこ「にこだって主人公になりたかった!!センターになれたって所詮は脇役でしかないんだから!!
にこ「にこも……にこも『にこキチ』っていうファンが欲しかったのに……!!」
穂乃果「……」
絵里「それじゃあ穂乃果はどうすればいいと思うの?どうしたいの?」
穂乃果「……」
絵里「答えて」
穂乃果「……」
穂乃果「私が気づいてあげられなかったからことりちゃんは留学しちゃったんだ」
ことり「……ん?」
穂乃果「9人みんながいないμ'sなんて……ことりちゃんのいないμ'sなんて……そんなの私はいやだ」
ことり「あれ?……あれっ?」
穂乃果「だから私……スクールアイドルをやめて、主人公もやめて……、モブキャラになります」
『……えっ!?』
穂乃果「なので、今までお世話になりました。さようなら」スタスタスタ
希「……穂乃果ちゃん」
海未「」
グイッ
穂乃果「……?」
海未「……っ!!」
パシンッ
穂乃果「……!?」
『!?』
海未「あなたが……そんな人だとは思いませんでした」
海未「最低です……。あなたは最低です……!!」
ことり「海未ちゃん!?なにをして……っ」
海未「そんなにことりがいいのですか!? ことりが退場すると知った瞬間この作品を投げ出してしまうのですか!?」
穂乃果「……っ」
海未「そんなの……ほのキチの私が許しませんよ!」
ことり(なんでことり留学することになってるんだろう……)
次の日
ことり「……ちゃん、来ないね」
海未「……えぇ。ことりが留学の準備が忙しくなって学校に来れなくなってからずっとこんな感じですね……」
ことり「……海未ちゃんは今誰と話してるの……?」
タッタッタッ
?「おーい!」
ことり「あっ、来たみたい」
?「今日は待っててくれたんだね。ありがとう!」
ことり「昨日は海未ちゃんが怒って先に行っちゃったもんね……」
?「あはは……。ほんと目覚ましが全然聞こえなくって」
海未「まったく、相変わらずですね……。ですが遅れるならメールなり電話なりしてくださいと言ってますよね?」
海未「モブ1」
モブ1「あはは、急いでたら連絡するのも忘れちゃって……」
モブ1「よーしっ、じゃあ今日も張り切って学校行こうか!」タッタッタッ
ことり「あっ、ちょっ、ちょっと待ってよー!」
海未「そんなに走っては転んでしまいますよ!モブ1!」
モブ1「へへーん!大丈夫だよー!私もそんなにおっちょこちょいじゃ……うわっ!?」
ことり「わっ!?モ、モブ1ちゃん、大丈夫!?」
モブ1「い、いたたたた……」
海未「まったくあなたという人は……。ケガはしてませんか?」
モブ1「うーんと……うん、大丈夫みたい!」
海未「よかったです……」
モブ1「心配かけてごめんね?」
ことり「う、うん。今度はちゃんと歩いて行こうね?」
海未「……」
ことり「……海未ちゃん?」
海未「……なんでしょうこの違和感……」
ことり「海未ちゃんも気づいた?」
海未「……ええ」
ことり「なぜか……あの子の名前が……、」
海未「モブ1もムリに元気をだそうとしているのですね……。やはり大切な友達がいなくなってしまうのは辛いですからこらえるのに必死なんでしょう……」
ことり「……」
昼休み
ことり「はぁ、今日の数学は難しかったなぁ……」
海未「そうですね……。私も授業中に理解しきることができませんでした」
ことり「家に帰ったらしっかり復習しないとね」
海未「ではお昼にしましょうか。ここで食べますよね?」
ことり「うん。じゃあ穂……、……?」
海未「ことり?」
ことり「あれ、ことりたちっていつも2人でお昼食べてたよね?」
海未「いきなりなにを言うのですか?たまにモブ1も入って3人になったりしますが基本的には2人でしょう?」
ことり「そ、そうだったね。うん、そうだ」
海未「今朝もたまたまモブ1と道で一緒になって3人で来ましたが、いつもは2人ですよ」
ことり「あれ?毎朝モブ1ちゃんのこと、階段のところで待ってなかったっけ……?」
海未「はっ?モブ1はあまりにも寝坊が多いから本人の要望で一緒に行くことをやめたのですよ?覚えてないのですか?」
ことり「えっ?あっ、う、うん。……覚えてる」
海未「勉強が難しくて頭が混乱してるのはわかりますが、もう少ししっかりしてくださいね」
ことり「ご、ごめんね」
モブ2「あー、またモブ1はお昼パンなの?」
モブ1「えへへ、うちがお饅頭屋さんだからパンって珍しくて」
モブ3「それいっつも聞いてるってーあはは」
モブ2「2時間目終わるときにも食べてなかった?」
モブ1「それがさー、思春期だからどうにもお腹減っちゃって///」
モブ3「それを言うなら成長期でしょ!」
モブ1「あ、そうだったー。えへへ」
モブ4「それにしても、ほんとモブ1ちゃんのパン好きは筋金入りだよねー」
モブ1「も、もう!からかわないでよぉ!」
モブ234『あはははーー』
コンコン
『?』
『ん?あれって……』
モブ3「ねえねえ、あれって生徒会長さんじゃない?」
モブ1「ほんとだ。いつ見てもかっこいいよねぇ……」
モブ4「うんうん。身長は高いし、髪も綺麗な金色、凛々しい顔立ち、それに何よりあのμ'sのリーダーやってるんだもんね!」
モブ3「そうそう!あっ、そういえばμ'sの新曲聞いた!?すごく元気の出る歌なんだよっ!!」
モブ1「ほんとっ!?私まだ聞いてない!じゃあことりちゃん……は留学しちゃうから海未ちゃんにCD借りて聞かなきゃ!」
モブ4「思い返せばあの人気グループ『μ's』のファン1号が私たち4人なんだもんね」
モブ1「そう考えたらすごいことだよね!生徒会長、海未ちゃん、ことりちゃんの3人しかいなかったμ'sを知ってる人なんてほかにいないんじゃない?」
モブ3「今ではすっかりμ'sの照明、音響、広告担当になっちゃってるのね♪」
モブ4「ファン感謝祭とかあったら私たちが特別になにかお話とかしちゃうのかなぁ!?」
モブ2「えっ!?そ、そんなのむりだよ!!そういうのはモブ1の仕事!」
モブ1「やっ、わ、私にもムリだよぉー!」
絵里「ちょっとあなた、いいかしら?」
モブ1「えっ!?あ、はい!」
絵里「あなたは海未とことりの幼馴染の子だったわよね」
モブ1「そ、そうです!」
絵里「ちょうどいいわ。面倒かけるけど、2人を呼んできてくれないかしら?」
モブ1「も、もちろんですよ!すぐに呼んできますね!」
絵里「ええ。お願いね」
モブ1「海未ちゃーん。ことりちゃーん」
ことり「ん?どうしたのモブ1ちゃん?」
海未「今日はタコさんウインナーあげませんからね?」
モブ1「ち、違うよー!2人にお客さんが来てるから呼びに来たの!」
ことり「お客さん?」
モブ1「うん。生徒会長さんだよ」
海未「ああ、絵里ですか。わかりました」
ことり「ありがとね、モブ1ちゃん!」
モブ1「どういたしまして!」
海未「お待たせして申し訳ございません」
絵里「いえ、大丈夫よ」
ことり「いったいどうしたの?」
絵里「2人とも、お弁当は食べ終わった?」
ことり「ん? うん。全部食べたよ?」
絵里「それならよかった。立ち話もなんだし、部室に移動しない?」
海未「部室ですか?別に構いませんけど」
ことり「ことりもだよ」
絵里「決まりね。じゃあ行きましょう」
海未「昼に呼び出すなんて、何があったんです?」
絵里「いえ……なんだか今朝起きてから変な違和感?のようなものがひどくて……」
絵里「まるで大切な人がいなくなってしまったような……そんな錯覚」
ことり「……!」
海未「あなたも……ですか」
絵里「ということは2人もなのね」
ことり「うん……」
海未「私は朝にモブ1と会ってからこの違和感に気づきました」
ことり「ことりもかな」
絵里「モブ1さん?2人の幼馴染の?」
海未「ええ。最初はあの子が、ことりが留学してしまうからムリに元気を出そうとしてるように見えてそれが違和感の原因なんだと思ってました」
ことり「……そのネタいつまで引っ張るの?一種のイジメだと思うよ?」
海未「ですがよく考えてみたら、モブ1は大切な友達を突然失うとしたらもっと塞ぎ込んでしまうと思うのです」
ことり「……」
絵里「それもそうね……」
海未「だから違和感の原因は他にあるのだと私は考えました」
絵里「他に心当たりはあるの……?」
海未「いえ……それがまだわからないのです」
絵里「……そう」
キーンコーンカーンコーン
ことり「……あ」
絵里「お昼休みが終わってしまったみたいね。それじゃあ続きはまた放課後に」
海未「ええ」
ことり「じゃあね」
ことり「まさか絵里ちゃんまで同じ違和感を感じてるなんて……」
海未「これはいよいよ杞憂で済ますことはできなくなってきましたね」
ことり「他のみんなはどうなんだろう」
海未「おそらく同じではないでしょうか。放課後に聞いてみましょう。あの5人に」
ことり「……5人?」
海未「はい。私、ことり、絵里を抜いたら残りは5人でしょう?」
ことり「ちょ、ちょっと待ってよ。μ'sって9人だよね?9人の歌の女神が元になってるから『μ's』って……」
海未「は……?あなた、お昼から様子がおかしいですよ?」
ことり「……え?」
海未「μ'sはまだ8人じゃないですか。『μ'sは9人になったとき、道が開かれる』と希が言うからあと1人を募集しているところなのでしょう?」
ことり「……あ。そ、そうだった」
海未「もしかして体調が優れないのですか……?」
ことり「う、ううん!大丈夫だよ!」
海未「それならいいのですが……」
ことり「……」
ことり(やっぱり変だ……。ことりがさっきからおかしなことを言ってるのは自覚してる……。だって海未ちゃんの言ってることは全部正しいから)
ことり(でももしかして……これが違和感の原因……?何か、私たちの大切なものの『何か』が変わってしまっているの?)
モブ1「いやぁー、今日もパンがうまい!」
先生「であるからしてこうなってつまりああなってこうなるからそこから導き出される結論はあなる」
ことり「……」
海未「……」
モブ1「zzz」
ことり(やっぱりおかしいよ。どうしてこんなに胸がモヤモヤするんだろう……。それに、)
海未(それに今1番気になってること、それは……)
ことり(いや、これは今言うべきことではないかな……)
モブ1「モブ1妹ぉ。お茶ー……」
先生「こらそこォ!授業中に眠るとは何事ダァ!」
モブ1「ひっ!ご、ごめんなさい!」
『モブ1は相変わらずだなぁ!あはははは!』
海未(とにかく放課後にならないと何も始まりませんね。8人もいればいくらか核心に近づけるかもしれません)
ことり(それまで今回のことでわかってることについてまとめてみようっと)
ことりver
起床。
ーここでは至って違和感に気づかず。
いつも通りの朝が始まるはずだった。
登校。
ーここでも至って違和感には気づかず。
いつも通り待ち合わせ場所で海未ちゃんとモブ1ちゃんを待つ。……あれ、いつもはモブ1ちゃんのことは待ってないんだっけ……?
ーここで初めて違和感に気づく。そして、なぜかモブ1の名前が思い出せない。いや、そもそもモブだから名前がないのか……?
学校。
ーモヤモヤしながら授業を受ける。
授業の内容は関係ないので割愛。
お昼休み。
ー今日は2人でお昼を食べた。
いつもはモブ1ちゃんと3人で食べてるのに。……いや、違う。たまにモブ1ちゃんが加わるだけだ。だからいつもは2人で食べてるんだった。つまりいつも通り。
食べ終わってから絵里ちゃんが来た。何やら絵里ちゃんもことりたちと似たような違和感を感じているらしい。
5時間目開始前。
ーμ'sは9人ではなかったらしい。今はメンバー募集中で8人しかいないそうだ。
そして今に至る。
あと、なぜかことりがまた留学することになってる……。
海未ver
起床。
ーここでは至って違和感に気づかず。
いつも通りの朝が始まる。
登校。
ーここでも至って違和感に気づかず。
いつも通りことりが待ち合わせ場所で待っていた。合流して少しの間モブ1を待つ。
数分後にモブ1が走って来た。また寝坊したようだ。遅れるなら連絡するようにといつも言って……あれ?いつもはモブ1と一緒に行ってないような……。
ーここで初めて違和感に気づく。
なぜ今日に限ってモブ1を待っていたのだろう。いや、昨日も待っていたのか?……おかしい、何かがおかしい。
学校。
ーモヤモヤしながら授業を受ける。
授業の内容は関係ないので割愛。
昼休み。
ーことりと『いつも通り』2人でお昼を食べる。今日はモブ1はモブグループの人たちと一緒にお昼を食べるみたいだ。
昼食が終わってから絵里が来た。どうやら絵里も私たちと似たような違和感を感じているらしい。
5時間目開始前。
ーことりがおかしなことを言い出した。
μ'sはまだ8人で、最後の1人を集めようと奔走していたのはあなたでしょう?留学が辛いのはわかりますが、もう少ししっかりしてください。でなければあちらでもやっていけませんよ?
そして今に至る。
絵里ver
起床。
ーなんだかおかしな違和感を感じる。
まるで大切な人が転校してしまった次の日の朝のような……。モヤモヤしながらも学校へ。
登校。
ー神社へ行き、希に相談しようと思ったが躊躇う。こんな突拍子もない話なのにどうやって解決方法を見つけるというのだ。
しばらく様子を見る事に決める。
学校。
ーモヤモヤしながら授業を受ける。
そのときふと、海未とことりなら……となぜか思いたった。そして昼休みに2人のところへ。
昼休み。
ー2人の教室まで来た。呼び出してもらったモブ1さんだが、なぜだかよく見慣れた顔だった。口、鼻、目の色、髪の結び目、全てを鮮明に思い出せる。たまに海未やことりと一緒にいるから……よね?
2人を部室まで連れて行き、今朝の違和感のことについて打ち明ける。どうやら2人も似たような違和感を感じていたようだ
5時間目開始前。
ー割愛
そして今に至る。
放課後
モブ4「モブ1ちゃーん!今日も帰りどっか寄ってかない?」
モブ1「いいよ!私クレープ食べたい!」
モブ4「クレープ昨日も食べたじゃん!どんだけ好きなのさぁ。あはは」
モブ1「だって甘くておいしいじゃん!ふわふわの生地に甘いクリーム、あぁ考えただけでヨダレがでてくるよ!」
モブ4「ふふっ、それじゃあ行こっか!」
モブ1「うん♪」
ことり「今日もモブ1ちゃん来ないんだ……」
海未「いい加減諦めたらどうです?あの子は何かに打ち込むような柄ではないでしょう?」
ことり「……そう、だよね。昔はもっと真面目でまっすぐな子だったのにな……」
海未「……?モブ1は昔からああだったでしょう?」
ことり「えっ……」
海未「あなたの言う昔とはいつのことですか……?私の知る限りではあの子は何も変わってませんよ?」
ことり「それは……えっと、いつごろだったかな……、あれ……」
海未「……」
海未「それでは私たちも部室に行きましょうか」
ことり「……わかった」
海未「お待たせしました。掃除が少々長引いてしまいまして」
にこ「別に待ってないわよ。みんな今来たところだし」
希「それじゃあみんな揃ったことやし、練習始めよか」
凛「さーんせーい!」
花陽「は、早く着替えなきゃ……」
海未「ちょっと待ってくださいみなさん」
にこ「?」
真姫「どうかした?」
海未「少しばかりみなさんに伺いたいことがあります」
希「? エリチ聞いとる?」
絵里「ええ。でもライブに直接関係することではない……はずだから」
海未「聞きたいことは、私が今感じている不思議な違和感のことです」
凛「……?」
花陽「い、違和感……?」
真姫「そんなこと私たちに聞かれてもわかるわけないじゃない」
海未「ですがこの違和感は私とことりと絵里の3人がすでに感じているものです」
真姫「そうなの?」
ことり「うん……」
絵里「本当よ」
にこ「そうは言われてもねぇ……」
希「ウチからしてみれば今日もいつもと変わらんのやけど……」
海未「……そうですか」
ことり「やっぱりみんながみんな同じふうに感じているわけじゃないんだね……」
絵里「仕方ないわよ。そもそも三人も同時に同じものを感じている方がすごいんだから」
真姫「ちょっと、なに3人だけで納得しちゃってるのよ」
海未「いえ……、わからないものはどうしようもないので……」
真姫「それはそうだけど……。なんか釈然としないわね……」
絵里「いえ、このことはもういいの。それより早く練習を始めましょ!着替えて屋上に集合ね!」
にこ「まぁあんたたちがそれでいいなら。ほらー、部長のにこにーに早くついてきなさーい」
絵里「いち、に、さん、し、いち、に、さん、し、」
花陽「……うぇ、わっ!うわぁ!」
凛「かよちん危ないにゃ!?」
にこ(ここで斜めに下がりながらターン……)
希「ちょっ、にこっちなにしとるん!?」
にこ「えっ!?あっ、逆!?」
花陽「わ、わっ、ぶつかるぅ!」
にこ「ちょ、避け……」
真姫「ちょっとみんな!なにやってるのよ!」
絵里「……」
絵里「はい、少し休憩を入れましょう」
にこ「……はぁ、なんなの今日は……」
希「なんかみんなの動きチグハグやったな……。全然かみ合っとらんかったわ」
真姫「どうしたのよみんな……」
絵里「そういう真姫も歌詞間違ってたわよ?」
真姫「ヴェェ!?いや、なんかあの部分だけうろ覚えなのよね……」
ことり「みんなどうしたんだろう……」
海未「……まさか、いや……でも……」
ことり「海未ちゃん?」
海未「あっ……。い、いえ、なんでもないです」
海未「いち、にっ、さん、しっ、いち、にっ、さん、しっ」
海未「はい、それではまた5分間休憩にし……」
絵里「みんな聞いて!」
海未「絵里……?」
絵里「今日の練習はこれで終わりにするわ。そしてみんな疲れてるみたいだから明日も休みにするから」
真姫「確かにその方がいいかもしれないわね……。なんだかやたらと足が重いし……」
凛「うぅ……、凛は今日だけで一週間分くらい動いた気がするにゃ……」
にこ「ほんとよ……。まったく!今日はなんて日なのよ!」
花陽「ごめんなさいごめんなさい……。花陽がみんなの足をひっぱっちゃって……」
希「花陽ちゃん、あまり自分を責めないで?」
真姫「ほんとにことダンス、8人用なの?もう1人いないとやってらんないわよ……」
凛「今日はもうここでねるにゃ……。おやすみ……」
絵里「みんなの調子、なんだかおかしかったわね……」
海未「ええ……」
ことり「やっぱりみんなも……自覚してないだけでことりたちと同じものを感じているのかも……」
海未「先ほど私もそのように考えていました。ですがそうだとしても……」
絵里「……ええ。確かめようがない以上どうしようもないわ。それにもしかしたら時間が解決してくれる類のものなのかもしれないから、」
ことり「とりあえずは様子をみてみるしかないね」
海未「そうですね」
同時刻
モブ1「あのゲーム楽しかったね!今度みんなでバトルしてみようよ!」
モブ4「モブ1ちゃん……あれ初めてだったんでしょ……?なんであんなバケモノみたいなスコアだせたの……」
モブ1「んー、なんでだろ?意識しなくても身体が勝手に反応してくれる、みたいな感じ?」
モブ4「よくわかんないよぉ……。私もあのゲームには少しばかり自信があったんだけどなぁ」
モブ1「まぁ上には上がいるということですよ」
モブ4「この、言ったなぁ!」
モブ1「きゃっ!あ、あはははっ!くすぐったいよぉ!やめてぇー!」
モブ4「へへへ、生意気なこと言って調子に乗る子はくすぐりの刑だー!」
モブ1「あ、あはははっ!!あ、謝るから許してよぉ!」
モブ4「じゃあこれに懲りたら、もう生意気なこと言いませんって言うこと」
モブ1「うぅ……。もう生意気なこと言いません……」
モブ4「ふふ、じゃあしょうがないから今日はこれくらいにしといてやるかな!」
モブ1「うひぃ……」
モブ4「じゃあ次はどこ行こっか?」
モブ1「あっ!秋葉のスクールアイドルショップ寄りたい!」
モブ4「おっ、いいね!μ'sの新しいグッズ出てるかな!?どんどんμ'sのスペース大きくなっていくから、欲しいものが増えてっちゃうよ!」
モブ1「『統廃合の危機を救った超新星』なんて巷で噂になってるくらいだからね!」
モブ4「そう考えるとたった8人で学校の未来を変えたことになるよね。すごいなぁ」
モブ1「そんなすごい人たちをファーストライブのときから支えてきてるんだよ私たち!?」
モブ4「うわ、今鳥肌立った!」
モブ1「私も!明日海未ちゃんとことりちゃんにサインもらいにいこっと!」
海未「……」
ことり「……」
絵里「……」
海未「私……探してみようと思うんです」
絵里「なにを……?」
海未「この違和感の正体です」
ことり「どうやって?」
海未「まだわかりません……。ですが、何もせずにはいられないんです」
ことり「それはことりも同じだけど……」
絵里「……わかったわ。でも今日は休んで、明日から始めましょう。1人より3人の方がいいでしょ?」
海未「そうですね。……あなたたちがいてくれると心強いです」
次の日
海未「……zzz」
・・・・・・
海未「……んっ、ここは……夢……?」
海未「見知らぬ花がたくさん咲いてる以外は私が昔よくことりと遊んでいた公園にそっくりですね」
?「よーし、捕まえたー!」
海未「ん……?あちらに誰かいるみたいです」
小ことり「あーん!くーやーしーいー!」
海未「あれは……もしかして小さい頃のことり?」
小ことり「もぉ!ことりのことばっかりおいかけるのやめてよー!」
海未「間違いないですね。あのトサカのようなクセのある頭を見間違えるわけありません」
海未「ということは、先ほどことりを捕まえていた『あの子』は私という事に……」
?「えへへー!だってことりちゃん、はしるのおそいんだもーん!」
海未「……え?」
海未「私じゃ……ない」
海未「え、おかしいですよ。だってこのころの私は毎日ことりと遊んでいたはずです」
海未「そのときにあんな片結びの女の子がいた覚えなど……」
小ことり「いやーん!もうぜったいつかまえるんだからぁ!」
?「やれるもんならやってみなー!」
海未「……どういうことでしょう」
海未「あの子、どことなくモブ1の面影がありますね」
海未「……ですが私たちとモブ1が出会ったのは小学3年生のときです。こんな小さな頃に出会ってはいないはずですが……」
小海未「……」
海未「おや……?」
小海未「……たのしそうですぅ」
海未「……もしかしてあれ、私ですか……?」
海未「なぜ一緒に遊んでないのでしょうか……。私とことりは幼稚園の初日から仲良くなったので、あんなふうに躊躇ったりしないはずなのに……」
小ことり「モブちゃんまってー!」
モブ「つかまらないよー!」
?「にげろにげろー!!……ん?」
小海未「ひぇっ!?」バッ
小海未「めがあっちゃいましたぁ……。こわいですぅ……」
海未「……なんだか見ていて変な気分ですね……」
?「ねぇねぇ!おにごっこやめてかくれんぼしない?@#%がおにでいいからさ!」
小ことり「か、かくれんぼならはしらなくていいよね……。よかったぁ……」
?「よーし、じゃあ30かぞえるからみんなかくれてね!」
小ことり「ぴぃ!ちょっとまってー!あわあわ……」
?「いーち、にーい、さーん……」
?「……さーんじゅっ!もーいーかーい!」
『もーいーよー!』
?「よーし、みんなそっこーでみつけちゃうんだから!」
小海未「……」
小海未「わたしも、あそびたいですぅ……」
海未「……」
海未「ああもうじれったい!遊びたいなら遊びたいと言いに行けばいいんです!あの子は私自身なんですから、ここはひとつガツンと……」
?「みーつけた!」
海未「……!」
小海未「ひぃえ!?な、なんれすかぁ!?」
?「かくれんぼだからね、さいしょにみつかったひとはつぎのおにだよ!」
小海未「あ、あわわゎゎゎゎ……」
?「よーし、のこりはモブちゃんとことりちゃんだ!」
小海未「ま、まってくださーい!」
?「ん?どうしたの?」
小海未「わ、わたしもいっしょにあそんでめいわくじゃないのですか……?」
?「もちろんだよ!やっぱりともだちはおおいほうがいいからね!」
小海未「ともだち……!はい!よろしくおねがいします!」
?「じゃあてはじめにいっしょにのこりのこたちをさがすのてつだってよ!」
小海未「えっ!?あ、はい!」
小ことり「ちょっ、k@?ちゃんずるいよぉ!」
?「おっ、ことりちゃんはあっちだなぁ!」
小ことり「あっ!?」
?「いくよ!」
小海未「ま、まってくださぁい!」
?「そうだ!あなたのなまえおしえてよ!」
小海未「わ、わたしですかぁ?」
?「うん、そうだよ?」
小海未「わ、わたしは『そのだうみ』ですぅ」
?「うみちゃん?」
小海未「はい、そうですぅ!」
?「それじゃあこれからもよろしくね、うみちゃん!」
小海未「は、はいぃ!」
小海未「あ、あのぉ……」
?「んー?どうしたの?」
小海未「あなたのおなまえはなんていうのですか?」
?「あっ、じぶんがなまえいうのわすれてたね!」
?「わたしのなまえはね、」
『アイドルだよっ!アイドルっ!』
『いつか私たち必ず、ここを満員にしてみせます!』
『みんなが歌って、みんながセンター!』
『これからやる曲は、私たちが9人になって初めてできた今日です!私たちのスタートの曲です!』
『だーいじょうぶだよ!ずぅーっと一緒!だって私、この先ずっとずっとことりちゃんと海未ちゃんと一緒にいたいと思ってるよ!』
『大好きだもん!』
?「こうさかほのか、だよっ!」
海未「……!!」
海未「あっ、……あぁ。やっと……思い出しました……なぜ忘れてしまっていたのでしょうか……」
海未「私たちの大切な人……私たちを導く光……!!」
50
キュイイイイイン
海未「な、なんですか!?なにが起こっているのです!?」
?「ごめんね、海未ちゃん」
海未「あ、あなたは……穂乃果!?」
?「思い出しちゃったんだね……」
?「でもすぐに忘れてもらうよ。誰か1人でも本当の私を知ってしまったら、今の世界は崩れちゃうから」
海未「な、なにを言っているのです!?あんな偽物の世界より、私はこれからもあなたとともに歩く世界がいいです!」
?「……」
海未「穂乃果!?」
?「ごめんね……」
海未「なぜ謝るのですか!?そんなことするくらいならすぐに元の日常に帰りましょう!」
海未「そしてことりと3人で登校して、お昼ご飯を食べて、μ'sのみんなと日がくれるまでダンスの練習をして、ずっと一緒に過ごしましょうよ!?」
?「だめだよ……。だって、私疲れちゃったから……」
?「あんな辛い思いするのも苦しい思いするのも全部主人公であるせいだよ……」
?「だから……私はもう戻れないよ、海未ちゃんたちのところへは……」
海未「……っ!?」
?「ごめんね……ごめんね……」
海未「ま、待ってください!行かないで!私たちを置いていかないでください……!」
・・・・・・
海未「穂乃果!」バッ
ことり「うわぁ!?」
海未「……えっ?ことり?」
ことり「び、びっくりしたぁ……。珍しいね、海未ちゃんが学校で居眠りするなんて……」
海未「あ、いえ……。昨晩はあまり寝付けなかったもので……」
ことり「それより今叫んでた『穂乃果』って誰?」
海未「……!!そ、そうです!私は今たしかに夢の中で穂乃果に……!!」
海未「あ、あれ……穂乃果って……誰でしたっけ……」
ことり「えっと、わからないの?」
海未「え、ええ……。夢の中では顔も見ていたと思うのですが……忘れてしまったみたいで……」
ことり「そうなんだ……。もしかしてそれが違和感の正体だったり?」
海未「……いえ。それはいくらなんでも考えすぎでしょう。まさか夢が違和感の正体だなんて……」
海未「あ、そうそうことり。聞きたいことがあるんです」
ことり「なぁに?」
海未「私たちが幼稚園の時、髪を片結びにしている女の子と遊んでいた覚えはありますか?」
ことり「いきなりどうしたの?」
海未「いえ、少し昔のことで気になったもので……」
ことり「んー、ないかなぁ……。実際サイドテールを初めて見たのも小学三年生の時だもん」
海未「ですよね……。やはり夢は夢ですね……」
ことり「まぁあまり考えすぎるのもよくないよ。はやくお昼食べちゃお」
海未「はい、そうしましょう。放課後は外を出回るので栄養をしっかり補給しておかなくては」
モブ1「いやぁー、今日もパンがうまい!」
ためてきます。
モブ123の順番ずれたらひふみの名前も変わってしまうかもしれない?
>>57
一応、
2→ひ
3→ふ
4→み
で充ててるつもりです
あっ、今確認してきたら
2→ひ
3→み
4→ふ
になっちゃってました……。
すいません……。
・・・・・・
?「……みさん。……海未さん!」
海未「……ぅ、ここは……」
?「ここですか?ここは海未さんの夢の中です」
海未「夢?ということは私また眠ってしまっているのですか……」
?「そういうことになりますね」
海未「では早く起きなければ。授業中に寝てしまっては怒られてしまいます」
?「ま、待ってください!」
海未「なんです?私急いでいるのですが……」
?「えっと……海未さんに、お願いがあるんです」
海未「お願いですか?」
?「はい……。聞いてもらえませんか?」
海未「まぁ内容にもよりますけど……」
?「それならご心配なく。これは海未さんやことりさんたちが抱えているものに関係……いえ、抱えているものそのものですから」
海未「なっ!?それは本当ですか!?」
?「はい。間違いなく」
?「では、聞いていただけますよね?」
海未「もちろんです!」
?「ありがとうございます。ではその前に、私の名を名乗っておきますね」
ユキホ「私はユキホと言います。よろしくお願いします」
海未「ユキホ、ですね。わかりました」
ユキホ「……あの、私の名前を聞いて何か心当たりはありませんか?」
海未「……?別にこれといったものは……」
ユキホ「そうですか……。ならいいんです」
海未「?」
ユキホ「それではさっそく本題に入りましょう。時間は無限ではありませんから」
海未「……」ゴクリ
ユキホ「お願いというのはざっくりと言ってしまうと……」
ユキホ「私のお姉ちゃん……高坂穂乃果を救ってほしい、ということなんです」
海未「高坂……穂乃果……!?」
海未「……『穂乃果』ですか!?今『穂乃果』と言いましたか!?」
ユキホ「……はい」
海未「教えてください!『穂乃果』とはいったい何者なんです!?どうして私はこの名前を知ってあるのですか!?」
ユキホ「お、落ち着いてください海未さん」
海未「……あ。す、すいません。取り乱してしまいました」
ユキホ「いえ……ですがムリもないですよね……」
ユキホ「海未さんたちはお姉ちゃんのことを本当に(いろんな意味で)大切にしてくれていましたから」
ユキホ「『穂乃果のためなら』、『穂乃果ちゃんのためなら』がみなさんの口癖だったくらいですし」
海未「そ、そんなにですか……?」
ユキホ「それはもう。……もはやメンバーや親友なんて枠をぶち壊すくらいに」
ユキホ「では海未さん。お願いを叶えてもらうにあたって、一つ質問してもいいですか?」
海未「はい。なんでしょう」
ユキホ「先程も夢を見ていましたよね?その夢の内容をどの程度覚えていますか?」
海未「先程というのは、私たちの小さい頃のことを見た夢ですか?」
ユキホ「そうです」
海未「そうですね、内容自体はほとんど覚えています」
海未「……ですが、どうしても『穂乃果』という人物だけが思い出せなくて……」
ユキホ「なるほど」
ユキホ「……ということはやはりお姉ちゃんがなんらかの力を起こして海未さんの記憶を消したと考えるべきか……」
海未「あの……、あの夢はなんだったのですか……?もしかしてフィクションだったなんてオチではありませんよね……?」
ユキホ「はい。あれは間違いなくノンフィクションですよ。保証します」
海未「では……、なぜ私はあの片結びの女の子を覚えていないのですか……?」
ユキホ「それはですね……」
ユキホ「にわかには信じられないかもしれませんが、」
ユキホ「『その子』と出会ったのは、こことは別の世界のことだからです……」
海未「……?」
海未「違う……世界ですって?」
ユキホ「はい」
ユキホ「これも信じられないかもしれませんが、今海未さんたちがいるこの世界は新しく創られた世界なんです」
ユキホ「そしてこの世界を創った人物こそが……」
海未「『穂乃果』、なのですね?」
ユキホ「……呑み込みがはやくて助かります」
海未「ここまで来たらだいたいわかりますよ」
ユキホ「さすがです。これなら話もすんなりと終われるでしょう」
ユキホ「では話を進めましょうか」
ユキホ「私は高坂穂乃果を救ってほしいと言いましたよね?」
海未「そうですね。いったい何があったのです?」
海未「もしかして事故などに巻き込まれて、それを回避するために異世界に飛べなんて言いませんよね?」
ユキホ「そんな無謀なこと頼みませんよ。第一現実性に欠けます」
海未「……夢の中でこうして話してるあなたがそれをいいますか?」
ユキホ「夢はロマンチックでいいじゃないですか。なんとも乙女チックです」
海未「……そうですか?」
ユキホ「……コホン。話を戻しますよ」
ユキホ「高坂穂乃果……ううん、私のお姉ちゃんはですね、精神的に強いショックを受けてしまっため塞ぎ込んでしまったんです」
海未「ショック、ですか?」
ユキホ「はい。そのことでお姉ちゃんは『こんな思いをするくらいなら……』と逃げ込み、全てを否定し始めました」
ユキホ「……そして辛く苦しい思いもせずに生きたいと願い、いつでも画面の端で楽しそうに笑っているモブキャラに憧れ……そして、」
ユキホ「お姉ちゃんは主人公であることをやめたんです」
海未「……ん?」
海未「主人公とはなんですか?」
ユキホ「漫画とかドラマとかの主要人物で、物語を引っ張っていく人のことです」
海未「いえ、それは知っているのですが……」
海未「つまりは、元の世界といわれる方では『穂乃果』が主人公だったということでいいのですか?」
ユキホ「そう解釈してもらって結構です」
海未「どうも」
・・・
海未「なるほど。これであなたの世界の『穂乃果』のことはだいたいわかりました。ですが私にどうやって彼女を救えと言うのです?」
ユキホ「それは至って簡単です」
ユキホ「見つけてきてください。お姉ちゃんの『思い出』を」
ユキホ「辛い思いや苦しい思いをした分だけちゃんと存在する、楽しくて嬉しい日々の『思い出』の数々を」
海未「…………はぁ」
海未「簡単とはよく言いますね……。どうやって数分前に知った人物の思い出を探して出すというのか……」
海未「そもそもそんな曖昧で形のないものなんて……」
ユキホ「それなら問題ないです」
ユキホ「この世界はお姉ちゃんの力によって創られた世界。つまりお姉ちゃんが大切にするものには、ちゃんと『思い出』が『カケラ』となって残っているはずなんです」
海未「なぜそう言い切れるのです?」
ユキホ「それはですね、……海未さん、あなた自信がその『カケラ』だからです」
海未「……私が、『カケラ』?」
ユキホ「正確には『μ's』そのものですね」
ユキホ「その中でも特にお姉ちゃんに対して強い想いを持っていた海未さん、ことりさん、絵里さんだけが、普通なら決して認知することができない違和感を感じることができたんです」
海未「……」
ユキホ「本当ならあなたたちも消されていたかもしれないんですよ?『μ's』がきっかけでお姉ちゃんが苦しんだこともあるんですから」
海未「……ということはつまり、『カケラ』とはモノだけに限らず人である可能性もある、ということですよね?」
ユキホ「まぁそうなりますね。私の言うこと、理解していただけましたか?」
海未「はい。さっぱりわかりません」
ユキホ「……」
ユキホ「ま、まぁとりあえず海未さんは『思い出のカケラ』を集めてくれればいいです」
海未「……こんなことを聞くのは吝かですが、『穂乃果』について詳しいあなたが探した方が効率がいいのでは?」
ユキホ「それは……できないんです」
海未「なぜ?」
ユキホ「それは……私が実際にこちらの世界への干渉力を持っているわけではないからです」
ユキホ「なぜなら私はこの世界の人間じゃないから……」
海未「でしたらあなたは別の存在としてこの世界に存在しているのですか?」
ユキホ「はい。こちらの世界では『モブ1妹』という名が与えられてます……」
ユキホ「ですがその子に何か頼んだとしても無駄ですよ。……誠に遺憾ながら『家族』はお姉ちゃんにとっての大切度が他の『カケラ』より低かっで……」
海未「つまり役立たず、と」
ユキホ「うっ……、言わないでください!本当はこうやって夢にでてくることもかなり難しいんですからね!」
海未「あれ?よく考えてみればあなたは今こちらの世界の私に干渉していますよね?それはどういった理屈です?」
ユキホ「夢自体に干渉力はないんです。なぜなら、もし海未さんが夢でゴジラと闘う夢を見たとして、現実でそれが起こるなんてゆめゆめ思いませんよね?」
海未「まぁ、そうですね。所詮夢ですし」
ユキホ「そうなんです。後であなたがこの夢から目覚めたとして、今私とこうして話していたことも『所詮は夢』だと言い切って無かったことにできるんです」
ユキホ「つまり私の干渉力が関係してくるわけではなく、海未さんがこの話をどう受け止めるかの決断力だけが関係するわけです」
海未「なるほど。今回はそれなりにわかりやすい説明でしたね」
ユキホ「いやぁ、それほどでも」
ユキホ「では海未さん。後のことはよろしくお願いします」
海未「はい。任せてください」
ユキホ「では私はこれで失さま……」
海未「あっ、ちょっと待ってください」
ユキホ「なんですか?」
海未「最後に一つだけ質問があります」
海未「私はあなたとは違ってあちらの世界のことを何も知りません。だから正直戸惑っているのです。あなたのお姉さんを……『穂乃果』を救ってあちらの世界へ戻ったとします。そうした場合、『穂乃果』はまた苦しい思いをする日々に返ってしまうわけですよね?」
海未「それで……『穂乃果』は幸せになれるのですか……?私たちは幸せになれるのですか?」
ユキホ「……」
ユキホ「それは……わかりません」
海未「……」
ユキホ「でも、これだけは言えます」
ユキホ「お姉ちゃんはμ'sのみんなが大好きなんです」
海未「……ふふ。それだけわかってしまえば大丈夫ですね」
ユキホ「海未さん?」
海未「要は彼女を支えてあげる人がいればいいだけのことですもんね?」
海未「それなら『穂乃果』が崩れてしまいそうなときに手を引っ張ってあげる人間に私たちがなればいいんですよ。μ'sのみんながなればいいんですよ」
ユキホ「海未さん……!ありがとうございます……!」
海未「いいえ。ではそろそろ戻りますね。ことりや絵里にこのことを伝えなくては」
ユキホ「はい!よろしくお願いします!」
パァァァァァ
ユキホ「目が覚めてきてるみたいですね」
海未「そのようですね」
ユキホ「困ったことがあったら呼んでください。夢の中でしたらいつでも会えますので」
海未「はい。わかりました」
パァァァァァァァァァァァァァァァ
ユキホ「あっ、そうだ……最初に行く場所は…………が……いと思……」
・・・・・・
「……ちゃん。……みちゃん!」
海未(んぅ……誰ですか……)
「……みちゃん。……ないと……こられちゃうよぉ」
海未(今大事な話をしてるんです……。後にしてくださ……)
先生「園田ァァァァ!!」
海未「……ひっ!?」
先生「いくら優等生だからと言って授業中に寝ていいことにはならないぞ!」
海未「えぁ!す、すいません!」
先生「いいからヨダレをふかんか!」
モブ1「あっははー!海未ちゃん不良だー!」
先生「さっきまで寝てたお前がなにを言う!」
モブ1「えっ!?ばれてた!?」
放課後
海未「……」
ことり「……」
絵里「……」
シーン……
海未「……」
絵里「えっと、部室に集まってみたはいいけどこれからどうするの?」
海未「一応、行こうと思っている場所は考えてあります」
ことり「そうなの?」
絵里「どこへ行くの?」
海未「まずは……」
『あっ、そうだ!最初に行く場所はお姉ちゃんの教室がいいと思います!』
海未「私たちの教室へ行きます」
ことり「えっ……?」
絵里「海未たちの教室?」
教室
ことり「本当にここで何かわかるのかなぁ……。だってさっきまでここで7時間くらいいたんだよ?なのに特に何も感じなかったよ?」
海未「いえ、ここで間違いないはずです。……必ず、何かあります」
ことり「うーん……」
絵里「それにしてもこの教室誰もいないわね。毎日こんなものなの?」
ことり「うん。ほとんどの人は部活行くか帰っちゃうかだから、あまり教室に残って行く人はいないんだ」
絵里「なるほどね。三年生はわからないところを教え合うために残ってく人もけっこういるのよ」
ことり「へぇー」
ことり「……って海未ちゃん?なにしてるの?」
海未「なにがです?」
ことり「いや、だってそこモブ1ちゃんの席……」
海未(ユキホが言うには、モブ1と穂乃果は同一人物であるらしいのです。だからここに何かあると思ったのですが……)
海未「やはりそう簡単には行きませんか。壁の張り紙などには……」ガコン
海未「痛っ……」
ガサガサ
絵里「ちょっ、海未……。壮大に脛ぶつけたわね……」
ことり「わっ、机からいっぱい本が……」
絵里「って、教科書ばかりじゃない。いったい何教科置き勉して……」
ドクン
海未「……っ!」
絵里「……海未?どうしたの?」
海未「見つけた……見つけました……!!最初の……『カケラ』!」
絵里「か、かけら……?あなたが持ってるそれ、どう見てもスクールアイドルの雑誌なのだけど……」
練ってきます
海未(……な、なんでしょうこの感覚。今までこんな雑誌見たことなかったのに……なぜかすごく懐かしい)
ことり「うわぁ、スクールアイドルたくさん載ってるね。やっぱりモブ1ちゃんもスクールアイドルに興味あったんだ♪」
絵里「大阪や福岡……やっぱりどこのアイドルも風格が違うわね」
ことり「ことりたちもいつかこんなふうになれるのかなぁ」
絵里「そのためにはこれからも練習頑張らないとね」
ことり「はいぃ……」
絵里「ところで海未。これがいったいどうしたの?さっきはカケラとか言ってたけど」
海未「ああ、そう言えば話してませんでしたね。『カケラ』のことや『世界』のこと」
ことり「……?」
海未「ではお話しします。私が教えてもらったこと全てを」
・・・・・・
海未ちゃんお話し中・・・。
・・・・・・
海未「……以上です」
絵里「は、ハラショー……」
ことり「なんだか頭が痛くなってきたよぉー」
海未「本当に突拍子もない話ですよね……。なので信じるか信じないかはあなたたちにお任せします。ムリに手伝ってくれとも言いません」
絵里「でも海未はその突拍子もない話を信じたんでしょ?」
海未「はい。お願いされてしまいましたから。……私の『親友』を救ってほしい、と」
絵里「……」
ことり「……」
海未「……やっぱり、付き合ってられませんよね。夢の中の出来事を信じて行動するような人なんて……」
絵里「……ふふっ」
ことり「……ははっ、あはは」
海未「……絵里?ことり?」
絵里「おもしろいじゃない。乗ったわ。文字通りのその夢物語に!」
海未「えっ……」
ことり「海未ちゃんの親友ってことは、ことりにとっても親友ってことだよね♪ じゃあもちろんことりも乗った!」
海未「ことりまで……」
海未「あなたたちは本当にこんなわけのわからない話を信じるのですか……?赤の他人を救えだとか世界は二つあるだとか聞かされてそれでも……」
絵里「それでも、あなたはやるんでしょう?」
海未「……っ」
ことり「海未ちゃんが信じるものはことりたちも信じる。自分が信じるものはみんなも信じてくれる」
絵里「そうやって私たちはここまで来たんでしょう?」
海未「2人とも……」
絵里「こんなバカげた話、他の人にするんじゃないわよ?私たち以外の人たちだったらお腹抱えて笑われちゃうわ」
海未「……はい!」
海未「では、よろしくお願いします!」
ことり「うん!」
絵里「このエリチカに任せなさい」
絵里「ところでその『カケラ』とやらを集めるのはわかったけど、数はどのくらいあるかわかってるの?」
海未「…………あ」
絵里「……まさか、わからないなんて言わないわよね?」
海未「す、すいません……」
絵里「……」
海未「……で、ですが夢の中でしたらまたユキホに出会えますので、その時に聞いてみます!」
絵里「わかったわ。……ほんとあなたってそういうところ抜けてるわよね」
海未「トホホ……」
ことり「海未ちゃん、元気だして?」
海未「ありがとうございます……」
ことり「次はどこへ行くの?」
海未「ユキホの話によると、『カケラ』が次の道を示してくれるらしいのですが……」
雑誌(そんなに見つめるなよ。照れるぜ///)
海未「当然雑誌が喋りだすわけないですよね……」
ことり「あっ、ここのページA-riseが載って……って、ん?なんだろうこれ」ピラッ
海未「それはなんです?紙切れ?」
ことり「そうみたい」
絵里「何か書いてあるみたいね。読める?」
ことり「うっ……すごくちっちゃいから読みづらい……」
絵里「ファイトよ!ことり!」
ことり「えっとぉ……『音楽室』って書いてあるのかなぁ……?」
海未「音楽室ですか。なぜまたそのような場所に……」
絵里「もしかして『穂乃果』って合唱部だったりするの?」
海未「いえ、それはないと思いますが……。μ'sに入る前は帰宅部の全国代表だったらしいですし」
絵里「ハラショー。帰宅部にも全国大会なんてあったのね」
海未「……」
ことり「と、とりあえず音楽室に行ってみようか」
絵里「そうね。探すだけ探してみましょう」
海未「音楽室も狭いですから場所が限られてきます。なので短時間で探すことができるでしょう」
ことり「それじゃあレッツゴー!」
メインセンターに設定していた穂むら穂乃果ちゃんを唐突に割っ入ってきた水着穂乃果ちゃん。
もしかして僕に会いたかったのかな? その穂乃果ちゃんなんだけど僕を心配してか『最近寒いけど、ちゃんとあったかくしてる?』って聞いてきたんだ。「君もそんな格好じゃ風邪を引いちゃうよ?」と言って頭撫でてあげたら『もう!それ以上やると、穂乃果怒っちゃうよ』ってツンツンされちゃった。そういえば2ndのPVの時も雪が降ってる中で穂乃果ちゃんは半袖だったよね。僕は豪雪地帯に住んでるから辛さがわかるよ。寒いよね。でもそんなことも吹き飛ばして穂乃果ちゃんはμ'sのセンターとしてがんばっているんだよね。笑顔を見せてるんだよね。……そんな君はいったい誰に甘えるんだい?海未ちゃんかな?ことりちゃんかな?それとも絵里ちゃんかな?
そうやって僕は若干ヤキモチを焼きながらまた穂乃果ちゃんの頭を撫でてみる。すると今度は『何かあった?』と僕を心配してくれるんだ。本当に優しい子なんだね、穂乃果ちゃんは。こんな冴えない僕を構ってくれるのは君だけだ。だから、穂乃果ちゃんだけは絶対に離さないよ。この先何があっても君のことだけを見つめ続けていてあげるから。
『呼んだ呼んだ?』『なになに?』『わっ!どうしたの?』『きゃー、くすぐったいよー!』
休憩がてらこんなの書いてみたかった^^
音楽室
コンコン
絵里「誰もいないみたい。……まぁここはもう真姫のテリトリーみたいになってるものね」
海未「そうですね。合唱部も裸足で逃げ出すほど歌がうまいですもんね」
絵里「さて、どこを探しましょう」
海未「手分けしましょうか。私はまた机を調べてみます」
ことり「じゃあことりは棚を調べてみるね!」
絵里「じゃあピアノ周辺は私が」
海未「では何か気になるものがあったら教えてください」
ことり「うーん……ここには特になにもないみたい……」
海未「こちらもですね。やはり先程のように簡単に見つかるものではないのでしょうか……」
絵里「……?」
海未「絵里。そちらはどうです?」
絵里「……」
海未「絵里!聞いてますか?」
絵里「ちょっと待って。ピアノの中に紙が……」
絵里「……よっ、と。取れたわ」
絵里「今度のは切れ端とかじゃなくて、ちゃんと折りたたまれた紙みたい」
ことり「それも『カケラ』であってるのかなぁ……?」
海未「わかりません……。少しそれを貸してもらってもいいですか?」
絵里「ええ。はい」
海未「ありがとうございま…………っ!?」
ドクン
海未(……ま、またこの心臓が跳ね上がるような感覚。間違いありません、これは……)
海未「『カケラ』です」
絵里「本当!?やったわね!」
ことり「絵里ちゃんお手柄だよ!」
海未「とりあえず中を見てみましょう。また次へのヒントがあるかもしれません」
カサカサ
海未「……」
海未「……えっ」
ことり「海未ちゃん?どうしたの?」
海未「これ……私の字……」
ことり「どういうこと? つまり海未ちゃんが書いたものが『カケラ』になっちゃったってこと?」
海未「そう、なりますが……」
絵里「さっきから歯切れが悪いわね。どうしたのよ」
海未「いえ、あの……私こんなもの書いた覚えないんです……」
海未「こんな……まるで歌の歌詞みたいな……」
ことり「ことりも見たーい!」
海未「えっ!?だ、だめです!書いた記憶がないとは言え、私の字で書かれたものを読まれるのは……」
絵里「なになに……『うぶ毛の小鳥たちもいつか空に羽ばたく。大きな強い翼で飛ぶ。』」
海未「……はっ!?いつの間に奪い取ったんですか!」
絵里「『諦めちゃダメなんだ。その日が絶対来る。』」
海未「音読しないでください!なんだかわかりませんが恥ずかしいです!」
絵里「『信じてるよ……だからSTART!!』」
海未「うぅ、結局全部読まれてしまいました……」
絵里「雨上がりの」
海未「2番!?もういいですって!」
絵里「へぇ、いい詩じゃない」
ことり「うん!」
海未「あぅぅ……」
絵里「この歌詞が曲になったものを聞いてみたいわ。明日真姫に頼んでみましょう」
海未「だ、だめですって!著作権の侵害ですよ!」
絵里「でもあなたが作ったんじゃないんでしょう?」
海未「それはそうですが……。い、いえ!権利は作った人にあるのです!だからなおさら私たちがどうこうしてはいけないのですよ!」
絵里「……頑固なんだから」
ことり(そもそも認定されなきゃ著作権は発生しない……なんてツッコミは野暮か)
絵里「あら、歌詞の1番下にまた小さな文字で何か書いてあるわ」
海未「ことり、お願いします」
ことり「いつからことりは全自動音読式虫眼鏡になったのかな」
海未「いいから早くお願いします」
ことり「……もう」
ことり「ってこの程度なら全然読めるじゃん!」
ことり「『講堂』だよ!『講堂』!」
海未「なるほど、講堂ですか」
絵里「私たちのトラウマの地、講堂ね」
ことり「……あっ」
海未「さて、ではさっさと行ってさっさと帰ってきましょう」
絵里「ええ、それがいいわ」
ことり「ちょっ、2人とも!待っ……」
キーンコーンカーンコーン
絵里「あら、下校のチャイムがなってしまったわ。帰らないと」
海未「そうですね。帰らなくては。あっ、決して講堂に行きたくないからとかそんなんじゃないですから勘違いしないでくださいね?」
絵里「そうよ。エリチカはお家に帰りたいだけなのよ。決してあの日以来講堂がちょっと怖くなったとかそんなんじゃないわ」
ことり「……」
帰路
絵里「これで『カケラ』は2個集まったわけだけど、」
海未「いえ、3個です。ひとつ目は雑誌、ふたつ目は詩、そしてもうひとつは『μ's』そのもの、ですから」
ことり「もしこの『カケラ』ってものが何百個とか途方もない数あったらどうしよう……」
海未「そのときは……」
海未「がんばるしかありませんね」
絵里「……はぁ。そうね」
ことり「とりあえずここからは海未ちゃんにお願いするしかないもんね」
海未「はい。明日学校に着きましたら詳細を説明します」
絵里「わかったわ。それじゃあね2人とも。気をつけて帰るのよ」
海未「はい。ありがとうございます」
ことり「ばいばーい」
ほのキチとうみキチの掛け持ちって法律で認められてますかね?
・・・・・・
ユキホ「ぐぬぬぬぬ……、私もまだ成長期だからこれから大きく……っ!」
海未「…………ユキホ」
ユキホ「ひゃいっ!?う、海未さん!?」
海未「そうですけど、なにしてるんですか?」
ユキホ「こ、これはですね……」ジッ
海未「……?」
ユキホ「みんな……いいですよね。胸が大きくて……」
海未「……っ!」グサッ
ユキホ「海未さんも下から3番目なんですよね」
海未「ぐはぁ!!」ザクッ
ユキホ「でも……私たちまだまだ可能性ありますよね。10代なんですし……」
海未「わ、私はいいのです……。あんな脂肪の塊、身につけておくだけムダ……」
ユキホ「ムリしなくていいんですよ」
海未「ううぅ……」
海未「そうですね……。牛乳に相談しましょう……」
ユキホ「ところでお話は、『カケラ』が全部でいくつあるか、ということでしたよね」
海未「はい。よくわかりましたね」
ユキホ「全部見てましたからね」
海未「……人の夢に出てきたり行動を全て見ていたりと、本当になんでもありですね……」
ユキホ「でもその方が海未さんにとっても楽でしょ♪」
海未「まぁそうですけど……」
ユキホ「気にしない気にしない!私は所詮夢なんですから!」
ユキホ「ズバリ、『カケラ』の総数は13個です!」
海未「13個?なぜそんなハンパな数なんです?」
ユキホ「アニメが13話だったからです」
海未「?」
ユキホ「深く気にすることはありません」
海未「は、はぁ……」
ユキホ「もう海未さんたちは3つ集めているので、残りは10個。がんばです!」
海未「あの……、こういうのってお約束のように後半にいけばいくほど見つける難易度が上がるなんてありませんよね?」
ユキホ「んー、大丈夫じゃないですか?今後もちゃんとヒントは提示されるでしょうし」
ユキホ「それにそのうち『地球』なんて曖昧なヒントになってしまうとも思えません」
ユキホ「だってうちのお姉ちゃん、そんなに大きなスケールでものを考えてませんから♪」
海未「それは信頼なのか貶しているのかよくわかりませんね……」
ユキホ「ただの姉妹ゆえの確信ですよ♪」
海未「あっ、誤魔化しましたね」
ユキホ「もう聞いておきたいことはないですよね?」
海未「今のところは」
ユキホ「まぁまた困ったら今みたいに呼んで下さい。私も暇なんでいつでもでてこれますから」
ユキホ「海未さんの頭の中を覗くのもそろそろ飽きてきましたし」
海未「ちょっ、あなたは他人の脳内に勝手に住んでいるのですか!?」
ユキホ「はい。だって帰る場所がありませんから」
海未「あっ……、そうでしたね……」
ユキホ「気にしないでください。私は大丈夫ですので」
海未「……はい。できるだけ早く終わらせますので」
ユキホ「……ありがとうございます」
ユキホ「ほら、朝です。起きないと朝練に遅刻してしまいますよ」
・・・・・・
登校
ことり「おはよっ、海未ちゃん」
絵里「おはよう」
海未「おはようございます。今朝は絵里も一緒なんですね」
絵里「ええ。歩きながらなら少しでも長く話せると思って」
ことり「ちゃんとユキホちゃんに聞いてこれた?」
海未「はい。もちろんです」
絵里「……なるほど、あと10個なのね」
ことり「その程度なら全然許容範囲内だね」
海未「はい。私も聞いた時安心しました」
絵里「とりあえず朝は練習があるから、昼休みに講堂を探しに行ってみましょう」
海未「了解です」
ことり「そんなお昼休みの時間内に見つかるかな?あそこけっこう広いから、裏方の倉庫とかも含めたらかなり探すの大変そう……」
海未「見つからなかったら放課後に持ち越せばいいんです」
絵里「そうね。端から30分弱の短い時間で見つかるなんて思ってないわ」
昼休み
海未「……」
絵里「……」
ことり「……」
衣装(そんなに見ないでよぉ///)
海未「……ありましたね」
絵里「……あったわね」
ことり「……5分で見つかっちゃったね」
ドクン
海未「間違いありません。これは『カケラ』です」
絵里「ずいぶん呆気なく見つかったわね」
ことり「まさかこんなに派手な衣装がこんなに堂々とロッカーに掛けてあるとは……」
海未「それにしてもこれはライブの衣装でしょうか?」
絵里「そうみたいだけど……。ことり、作った覚えある?」
ことり「ううん、ことりじゃないかな……。でも可愛い衣装だね」
海未「そうですけど……こんな短かったら見えてしまいそうです」
ことり「そこがいいんだよ!」クワッ
海未「ひっ!?」
ことり「きっとこれを作った人はことりと同じセンスを持った人なんだろうね。すばらしいよ」
ことり「ことりもこれの緑バージョンがあったら着てみたいなぁ♪」
海未「……そ、そうですか」
4話で重要なファクターってなんでしょうかね
ここで詰まってて続き書けません……
花陽の眼鏡かな
μ'sのメンバー募集のチラシとか?
海未「おやっ、エリのところに付箋が貼られているみたいです」
絵里「ん?私?」
海未「……絵里ではなく襟です」
絵里「ご、ごめんなさい……。別にボケたわけじゃないのよ……」
海未「それにしても相変わらず小さい字ですね。さ、ことり」
ことり「……。うん、もう何も言うまい」
ことり「えっとね、次の場所は……」
そうして私たちは来る日も来る日も『カケラ』集めに没頭しました。ある日は嵐の荒野を駆け抜け、またある日は喫茶店でアルバイトをしたり、またまたある日は生放送が最終回になってしまったりと……
嘘です。なんの困難もなく3日で全部揃いました。
海未「なんだかんだで全て揃いましたね」
絵里「ええ。なんだかんだで揃っちゃったわね」
ことり「決してうp主がめんどくさがって、過程を省いたわけじゃないんだよ」
海未「そうですよ。夏色をシャンシャンやってたら海に行きたくなって真冬の北海道の海に泳ぎに行って風邪引いたなんてバカなことあるわけないじゃないですか」
絵里「そうよ。そこらへんは勘違いしないでよね」
ことり「みんなは真似しちゃダメだよ」
ピカァァァァァ
ユキホ「みなさん、ありがとうございました」
海未「ユ、ユキホ!?」
ユキホ「はいユキホです。来ちゃいました♪」
海未「き、来ちゃいましたって……」
ユキホ「まぁ本当はみなさんの頑張りのおかげでこうやって出てこれるようになったんですけどね」
海未「なんだかもうわけがわからないのですが……」
絵里「あなたがユキホなのね。海未から話は聞いてるわ」
ユキホ「こうやってお話しするのはお久しぶり……いえ、こちらでは初めてになるんでしょうか」
ユキホ「絵里さん」
絵里「あら、私のこと知ってるのね」
ユキホ「ええ。元の世界では何度かお会いしたことありますから」
ユキホ「それにこちらの世界でも亜里沙と仲良くさせてもらってるはずです」
絵里「なるほどね。なんだか見たような顔だと思ったらそういうことだったの」
ユキホ「ことりさんもはじめましてになるんでしょうか」
ことり「ことりはけっこう頻繁に会ってるかな?」
ことり「絵里ちゃんと違ってことりと海未ちゃんはモブ1ちゃん……いや、そっちの世界でいう『穂乃果』ちゃんと遊ぶことも多いかったから」
ユキホ「そうでしたか」
ユキホ「とまぁそんなことより、みなさんに大切なことを伝えなければならないんです」
海未「なんです?」
ユキホ「私は今こうして皆さんの前にいますよね?海未さんの夢の中でしか存在できなかった私が」
海未「ええ、そうですね」
ユキホ「そして絵里さんやことりさんともお話しすることができます」
ことり「う、うん」
絵里「なんか奥歯に物が挟まったような言い方ね」
ユキホ「そうですね……。実際とても言い出しにくいことなので……」
海未「?」
絵里「今さらどんなこと言われても驚かないわよ。だから言ってみなさい」
ユキホ「……はい。では言いますよ?」
ユキホ「実はですね、私がこうして現れるようになれるのは……」
ユキホ「『カケラ』が12個揃ってからなんですよ」
海未「……」
絵里「……?」
ことり「……(・8・)」
『……は?』
絵里「ちょ、ちょっと待ちなさい。最後の『来年度入学者受付のお知らせ』を取る前、どうしてあなたはこんなふうに私たちの前に現れなかったの?」
海未「そうです!あれが最後、つまりは13個目の『カケラ』のはずですよ?それなのになぜ……」
ことり「…………はっ!?」
ユキホ「……ことりさん。気づいたみたいですね」
ことり「……」
海未「ことり……?」
ことり「まさかとは思うけど、まだ『カケラ』が全部揃ったわけじゃない……?」
海未「……!?」
絵里「なっ……!」
ユキホ「……」
海未「そ、そんなわけありません!」
・μ's
・雑誌
・『START:DASH』の詞
・衣装
・花陽のメガネ
・でんでんでん
・ビデオカメラ
・iPod
・絵里の涙
・メイド服
・水着
・ことりの手紙
・来年度入学者受付のお知らせ
海未「ほら!ちゃんと13個集まっていますよ!?」
ユキホ「……」
・補足
『カケラ』とは、穂乃果の思い出の塊です。
これは、特別な人間(ここでは海未、絵里、ことり)に触れられるとモノとしての形を保てなくなります。なぜかというと、当然のことですが人の思い出にはもともと型など存在していないからです。
つまり言いたいことは、モノでなくなった『カケラ』はユキホが吸収、もとい保持しています。なのでヒントだけ持って本体は置き去りにしてきたわけではなく、ちゃんと海未ちゃんの脳内で持ち歩いてることになっております。
最後に、人はモノではないのでこのルールからは除外されます。
なんて後付けのご都合設定にさせてもらいました。
ことり「違う……違うんだよ海未ちゃん……」
ことり「ことりたちね……、そのうちのひとつは既に持ってる『つもり』になってたんだよ……」
海未「……つもり……?」
・・・
ユキホ「それはですね、……海未さん、あなた自信がその『カケラ』だからです」
海未「……私が、『カケラ』?」
ユキホ「正確には『μ's』そのものですね」
・・・
海未「……ま、まさか」
ことり「あの日、海未ちゃんも言ってたはずだよ」
・・・
ことり「ちょ、ちょっと待ってよ。μ'sって9人だよね?9人の歌の女神が元になってるから『μ's』って……」
海未「は……?あなた、お昼から様子がおかしいですよ?」
ことり「……え?」
海未「μ'sはまだ8人じゃないですか。『μ'sは9人になったとき、道が開かれる』と希が言うからあと1人を募集しているところなのでしょう?」
・・・
海未「『μ's』は……9人になったとき、道が開かれる……」
絵里「……っ!」
ことり「そう……、」
ことり「ことりたちはまだ本当の『μ's』じゃない……!!だから『カケラ』になってないんだよ……!!」
海未「……そ、そんな!」
30
絵里「じゃあどうすればいいのよ!『カケラ』は13個しかないんでしょ!?」
ことり「……それは」
ユキホ「……絵里さん、ことりさん、海未さん。もうみなさんわかってるんですよね?」
海未「……」
ことり「……海未ちゃん」
海未「……はい、わかってます」
海未「やりましょう。そうしなければ先へは進めませんから」
ユキホ「そうだ。今更ですがみなさんにとても重大なことをお話ししておきますね」
ユキホ「それは……」
翌日
キーンコーンカーンコーン
モブ2「よっし、今日も終わったー!」
モブ3「疲れたねー……。放課後どうする?」
モブ2「またみんなでカラオケ行こうよ!」
モブ4「いいねいいね!モブ1ちゃんも行くよね?」
モブ1「うん!もち……」
海未「モブ1」
モブ1「ん?海未ちゃん?」
海未「放課後、少し付き合って欲しいのですが」
モブ1「珍しいね。今日はアイドル部の練習ないのかな?」
海未「いえ、練習自体はありますが私たちは特別メニューなんです」
モブ1「特別メニュー?」
たまに入ってる数字は気にしないでください。
メモ帳番号の消し忘れです。
モブ1「それが私と何か関係あるの?」
海未「まぁそうですね」
モブ1「私たちってことは海未ちゃんの他にも誰かいるってことだよね?」
海未「はい。ことりと絵里がいます」
モブ1「生徒会長!?やった!!絶対行く!!」
モブ1「そんなわけだからごめんねモブ234ちゃん!」
モブ2「いいよ気にしないで!それじゃあ私たちは帰ろっか」
モブ3「うん。じゃあねモブ1ー」
モブ4「ばいばーい」
モブ1「うん!また明日ね!」
海未「では行きましょう」
モブ1「どこに行くの?」
海未「そうですね。講堂なんてどうでしょう」
モブ1「いいよー。あれ?そういえばことりちゃんは?」
海未「ことりなら先に行ってます。絵里とともに特別メニューの準備をしてもらってるので」
モブ1「ふーん。一体どんなことやるんだろう」
海未「それは着いてからのお楽しみです」
モブ1「えー。気になるよぉ!」
講堂
海未「ではちょっとステージの真ん中に立ってみてください」
モブ1「こ、こうでいいの?」
海未「ええ。バッチリです」
絵里(準備はいい?)
海未(はい。よろしくおねがいします)
ーーーー♪
モブ1「……?音楽?」
モブ1「ね、ねぇ海未ちゃん。急に音楽がなり始めたんだけど、どうすればいいの?」
海未「テキトーに踊ってみてください」
モブ1「えぇ!?とんだ無茶振りだよ!!」
海未「いいから体を動かす!」
モブ1「うぅ……。な、なんでこんなことにぃ……」
ーーーー♪
モブ1「きらきら……キラキラ!」
海未「……」
モブ1「……ふぅ!なんか思ってたよりスムーズに体が動いたかも!」
モブ1「ねぇねぇ、どうだった?私のダンス!」
海未「そうですね、点数をつけるとしたら……」
ことり「100点満点、かな」
モブ1「ことりちゃん?」
ことり「ごめんね。陰からちょっとモブ1ちゃんの踊り見せてもらってたんだ」
海未「どうでしたことり」
ことり「うん。完全に一致してたよ。ユキホちゃんがくれた『iPod』の中に入ってた映像と」
モブ1「……っ!?」
海未「やはり彼女の言うことは間違いなかったみたいですね」
モブ1「な、なに……?2人とも何の話をしてるのかな……?」
海未「モブ1」
モブ1「……」
海未「あなたこのダンスをどこで覚えたのですか?」
モブ1「い、いや……お、覚えてたわけじゃなくて体が勝手に……」
海未「なぜそんなに動揺してるんです?」
モブ1「そ、それは……」
モブ1「そ、そう……!μ'sのみんなもこの音楽で踊ってたでしょ!?だからその映像を見て覚えたんだよ!うん!そうなの!」
海未「さっき覚えてたわけではないと言ってましたよね?」
モブ1「嘘だよ嘘!ちょっと盛っちゃったの!だから忘れて!」
海未「そうですか。では次の質問です」
海未「あなたはどこでこの曲を聞いたんですか?」
モブ1「……?」
モブ1「だ、だからみんなが歌ったり踊ったりするのはライブしかないから、そこで……」
海未「そうですか。では言っておきますけど、」
海未「私たちはまだこの曲をライブで披露したことはありません」
モブ1「え……」
モブ1「そ、そんなはずないよ……!」
海未「いいえ、事実です」
モブ1「だって私、実際にこの曲知ってるんだよ!?」
モブ1「踊ってる最中にちゃんと海未ちゃんたちの声も聞こえてきた!!ううん、海未ちゃんだけじゃなくてことりちゃんや他のメンバーたちの声も……!」
海未「まぁ実際にダンスや歌の練習は終わっているのですが、まだライブで使うわけにはいかないんです。なぜだかわかりますか?」
モブ1「9人になって初めて完成するきょ…………な、なんでもない!」
海未「知ってるんじゃないですか」
モブ1「し、知らないよ!海未ちゃんが何を言ってるのかわからない!!」
海未「あくまでもシラを切るつもりなんですね」
モブ1「だって1人だけ知らない声があったけどこれは間違いなくμ'sの曲のはずだ……」
海未「知らない声、ですか?」
モブ1「……う、うん」
海未「あなた何を言ってるのです?」
モブ1「……なに、って……?」
海未「知らないはずがないでしょう。だって」
ことり「その声って紛れもなくあなた自身の声なんだから」
海未「ですよね?」
ことり「だよね?」
ことり「穂乃果ちゃん」
海未「穂乃果」
モブ1「……っ!」
・・・・・・
ユキホ「それは……」
ユキホ「お姉ちゃんは元の世界の記憶を持ったままこちらの世界へ渡ってきた可能性がある、ということです」
ユキホ「まぁ当然ですよね。だってお姉ちゃんはこの世界の創造主……つまり神とも言える存在なんですから」
海未「それならもしそれが正しかったとした場合、こちらの世界しか知らない私たちの言葉はあの子に届かないんじゃ……」
ユキホ「そうですね……」
ユキホ「なのでそこでみなさんにプレゼントがあるんです」
ことり「プレゼント?」
ユキホ「ええ」
ユキホ「あなたたちにも前の世界の記憶を授けます」
海未「……は?」
海未「さ、授けると言ってもどうやって……」
ユキホ「それはですね、ああやってこうやってそうやってどうなるんです」
海未「なるほど……。それは確かに筋が通っていますね」
ことり「そんな方法が存在していたなんて……!」
絵里「ハラショーよ。それじゃあお願いするわ」
ユキホ「はい。あっ、少しの間はちょっと酔った感じになるかもしれませんが我慢してください」
ユキホ「それではいきますよー!」
・・・・・・
モブ1「ほ、ほのか……?それって誰のこと?」
海未「あなたですよ穂乃果」
モ?1「ち、違うよ……?私はモブ1……」
ことり「違う。あなたは穂乃果ちゃん」
??1「だ、だから私はそんな名前じゃ……」
海未「もういいのですよ……そんなに頑張らなくても。もうあなたに辛い思いや苦しい思いを1人で背負わせたりしませんから。だから……もう帰ってきてください」
モ??「……」
ことり「穂乃果ちゃん!」
海未「穂乃果!」
??「……」
「……はぁ」
穂乃果「なんで2人とも私のこと見つけちゃったのかな……。モブでいられたときはあんなに楽しかったのに……」
穂乃果「そうまでして私の幸せを壊したいの?」
海未「自分の役を投げ出して逃避することが幸せ……ですか」
海未「そんな無責任は許しませんよ。だって私たちみんなを巻き込んでμ'sをつくったのはあなたなんですよ?だから最後までやり抜いてもらわないと」
穂乃果「そんなこと言われても困るよ……。主人公だから変な行動したらほのカスとかぽのカスとかほのっカスとか叩かれるんだもん……。もうそんなの嫌だよ……」
海未「……はぁ。わかってませんねあなたは」
穂乃果「……?」
海未「ある偉い人は言いました。好きと嫌いは同義である、と」
海未「好きでも嫌いでもない人は誰からも相手にされないんです。ですからあれだけ叩かれてる穂乃果は、要するにみんなからの愛を一身に受けてることになるんですよ」
海未「希がその典型的な例じゃないですか」
穂乃果「……そんなわけないよ。やっぱり私は悪口言われたら悲しいもん」
海未「では穂乃果はどうやったら戻って来てくれるんです?」
穂乃果「戻ることなんて……できないよ」
ことり「……穂乃果ちゃん」
穂乃果「だって私は自分が弱いとか以前に、みんなを裏切ったんだもん……。今さらどんな顔してみんなのところへ戻れって言うの……?」
海未「それは……」
絵里「そんなこと気にするなんてあなたらしくないわよ。穂乃果」
穂乃果「絵里ちゃん……」
絵里「どんな顔すればいいかって?そんなの決まってるじゃない」
絵里「あなたは笑っていればいいのよ。それだけでみんな何も気にしないわ」
穂乃果「…………」
絵里「私はあなたのおかげで救われた。あなたが差し伸べてくれた手のおかげで救われたのよ」
絵里「あなたがその笑顔のおかげで私も……みんなも笑っていられるの」
絵里「だから今回は……私たちがあなたのことを助けてあげる。だから」
絵里「私たちの手を掴んで」
穂乃果「……はは」
穂乃果「うp主のしょぼい国語力のせいで感動できるはずのシーンが台無しだよ……」
穂乃果「でも……みんながそこまで言うならまたがんばってみようかな。……『μ's』として」
海未「穂乃果……!」
穂乃果「今度はひとりで無茶したりしないから。でも……それでも私が挫けそうになったら、またこうやって助けてください……」
海未「ふふっ、もちろんですよ」
絵里「でもまた今回みたいに世界を新しく作るなんてわけわからないことするのは勘弁してよね」
穂乃果「それでもみんなはこうやって助けに来てくれたよね?えへへ」
ことり「もう……ことりたちがどれだけ苦労したと思ってるのさぁ……」
穂乃果「知ってるよ。だって全部見てたから」
絵里「あなたって子は……。これは帰ってからお仕置きしなきゃいけないわね」
穂乃果「うっ……。イタイのはやだからね……」
ゴゴゴゴゴゴゴ
ことり「な、なに!?地震!?」
ユキホ「みなさん、お疲れ様でした」
穂乃果「あっ、雪穂だー」
雪穂「久しぶりだね、お姉ちゃん」
穂乃果「うん!って、あれっ?なんで透明なの?」
雪穂「まぁいろいろと事情があるんだよ……」
穂乃果「おかしいなぁ。今朝見た雪穂はちゃんとほっぺたもつねれたのに」
海未「雪穂。これは一体何が起こってるのですか?」
雪穂「『カケラ』が全て集まったことにより、この世界は均衡を保てなくなってきています。じきに崩壊してしまうでしょう」
絵里「つまり、元の世界に戻れるってこと?」
雪穂「そうなります」
海未「それはまたずいぶんとありがちですね」
雪穂「ええ。所詮はお姉ちゃんが作った世界ですし」
穂乃果「今悪口言われた気がしたんだけど」
ガゴガガガゴゴゴゴ
穂乃果「……」
海未「……穂乃果、どうしました?」
穂乃果「いや、なんかね……あはは」
海未「不安……ですか?」
穂乃果「うーん……。ない、と言ったら嘘になるのかな……」
モギュッ
穂乃果「うわっ!?な、なに!?」
ことり「ふふっ♪ 大丈夫だよ!」
穂乃果「ことりちゃん?」
ことり「なにがあってもことりたちが一緒だから!」
ギュッ
海未「ことりの言う通りです。だから心配しないでください」
ギュッ
絵里「私のことも忘れてもらっちゃ困るわ。辛かったら歳上を頼ってもいいんだからね」
穂乃果「みんな……」
ガコンバコンズコンデゴンガン
雪穂「もう長くは保たないでしょう……。みなさん、覚悟はいいですか?」
海未「ええ。問題ないです」
ことり「いつでもオーケーだよ!」
絵里「なんだか酔ってきたわ……うっ」
海未「絵里……」
雪穂「あと少しだから我慢してください」
穂乃果「ねぇみんな、」
海未「どうしました?」
穂乃果「帰ったら、みんなに謝らなきゃね」
絵里「……ふふ、そうね。あなたが走り去った後、逆上したにこを抑えるの大変だったんだから」
穂乃果「あはは……。本当にごめんね」
絵里「謝るのは帰ってみんな集まったところでね?」
穂乃果「そうだね……。はぁ……。なんて言われるんだろうな……」
海未「それはその時になってみないとわかりませんよ」
絵里「でもね、これだけは言える。全ての責任を一人に押し付けようとする人なんて誰もいないわ」
海未「そうですね」
穂乃果「……うん。それなら、大丈夫かな……」
ことり「あっ、そうだ!ことりたちね、思ってたことがあるの」
海未「? あぁそうでしたね。あなたに伝えたいことがあったんです」
穂乃果「ん?なに?」
・・・・・・
ことり(やっぱりおかしいよ。どうしてこんなに胸がモヤモヤするんだろう……。それに、)
海未(それに今1番気になってること、それは……)
ことり(いや、これは今言うべきことではないかな……)
・・・・・・
ことり「えっとね、」
海未「えっとですね、」
穂乃果「?」
海未「あんなに出番の多いモブなんているわけありませんよ」
穂乃果「……へ?」
ガガガガガガシュイイイイィィィィン……
53
・・・
・・
・
穂乃果「……ん、ここは……」
雪穂「おねーちゃーん。朝だよー」
穂乃果「もう朝なんだ……。何か変な夢を見てたような気がするけど……」チラッ
穂乃果「……ってあぁ!?もうこんな時間!早く行かないと!」
雪穂「朝って言ったけどまだ7時……」
穂乃果「行ってきまーす!」
雪穂「えぇ!?もう学校行くの!?」
穂乃果「うん!!朝に……早いうちにみんなに言わなくちゃいけないことがあるんだ!!」
雪穂「こ、転ばないように気をつけてねー!」
穂乃果「はーい!」
学校
海未「それにしてもよかったですね。案外あっさりと許してもらえて」
穂乃果「うん。正直罵声やビンタの1発や2発も覚悟してたんだけどね」
ことり「もう……。にこちゃんはそんなことしないよぉ」
穂乃果「でも海未ちゃんは私のことぶったもん!」
海未「あ、あのときはつい感情的になってしまって……。ですから……反省してます」
穂乃果「頼むよほんとに!これからはあの出来事を悔い改めて、日頃の行いも見直していきなよ!」
海未「……ことり」
ことり「はいはーい」
穂乃果「えっ、ちょっ、ことりちゃん……?その手に持ってる鞭みたいなの何?」
ことり「鞭?違うよ♪」
ことり「これはね?わるーいことをした子を躾するための道具なの」
穂乃果「つまり鞭なんじゃ……」
海未「さぁ、やっちゃっていいですよ」
穂乃果「ま、待ってって!あ、謝るから!ごめんね!ほんとにごめんね!だからやめ……」
ことり「ごめんね穂乃果ちゃん」
ピシィィィィン
穂乃果「ひぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」
ことり「はぁ……はぁ……。穂乃果ちゃん、いい声だったよ」
穂乃果「うぅぅ……。もうお嫁にいけないよぉ……シクシク」
ことり「大丈夫!その時はことりがもらってあげるから!」パシッ
穂乃果「ひゃん!うわぁん!もうやだよぉぉぉ……!」
海未「ことり。もうその程度でやめておきなさい」
穂乃果「海未ちゃん……!」
海未「よしよし、痛かったですね」
穂乃果「海未ちゃぁぁん……」
穂乃果(……ってあれ?ことりちゃんにやるよう指示したのって海未ちゃんだったような……)
海未「それではちょっとだけ太ももを見せてもらいますよ」
穂乃果「……えっ?あ、海未ちゃ///」
海未「ふむ。跡は残ってないみたいですので安心して下さい」
穂乃果「う、うん。ありがとう///」
ことり「当たり前だよ!ことりはこの道のスペシャリストなんだならそんなヘマするわけないじゃん!」
穂乃果「それは褒めていいところなの……?いつからこんな子になっちゃったんだろう……」
サワサワ
穂乃果「……そして海未ちゃんはいつまで私の太もも触ってるのかな?」
海未「これは触診ですよ。見た目は跡が残ってなくても、内部になんらかの傷が残っているかもしれませんし」
穂乃果「いや、それは触っただけじゃわからないんじゃ……」
海未(そんなことありませんよ)
海未「あぁスベスベして気持ちいいです」
穂乃果「逆!逆!」
海未「あぁやっぱり1日10回はホノカ分を吸収しないとやってられませんね」
ことり「うんうん」
穂乃果「もう!2人ともやめてよぉ!!」ダッ
海未「あっ、こら!」
ことり「逃がさないよ!!」
穂乃果「ひぇーん!!なんでこの2人はいつもこうなの!?」
絵里「あら、穂乃果じゃない。廊下は走っちゃダメよ?」
穂乃果「うわっ!?3人になっちゃった!!」
海未「絵里!穂乃果を捕まえるのを手伝ってください!」
絵里「海未にことりまで……。廊下は走っちゃいけないって、」
ことり「手伝ってくれたら1時間だけ穂乃果ちゃんを好きにしていいから!」
絵里「待ちなさい穂乃果!」ダダダダダダダダダ
穂乃果「うぇぇ!?生徒会長なんだから廊下を走っちゃいけません!!」
絵里「生徒会長権限発動!!一定時間だけこの学校のあらゆる校則を無効化する!!」
穂乃果「そ、そんなことできるわけ……」
先生「承認しました」
穂乃果「先生ぇぇぇぇぇ!!」
穂乃果「うわぁぁぁぁぁん!!誰か助けてぇぇぇぇ!!」
昨日見た夢はなんだったんだろう。
内容はあまり覚えていない。
でもかすかに覚えているのは、みんなが遠くに行ってしまう……いや、私が遠くに消えてしまうようなそんな感じ。
海未ちゃんにこのことを話してみても、「あなたの夢の話なんてわかるわけないじゃないですか」って返される。
ことりちゃんにこのことを話してみても、「ことりにはわからないかな……ごめんね?」って苦笑いされる。
なんだったんだろうあれは……。本当に夢だったのかな……?現実味がないはずなのにやけにリアルで、思い出してみようとすると体が震える。
怖い夢だったのかな?
……寂しい夢だったのかな?
それでも最後には誰かが私のことを連れ戻しに来てくれた気がする。
「もう1人にしないよ」って抱きしめられた気がする。
「心配しなくていいよ」って手を握られた気がする。
とても……安心した気がする。
もしかしたらまたムリして1人で潰れちゃう時が来るかもしれない。だって私、不器用だからどうやって気持ちを伝えたらいいのかわからないんだもん。
でもね?今度は絶対に間違わないから。……今度こそちゃんとみんなを信じるから。
どうか私のこともっともっと愛してください。
私もみんなのこといっぱい大切にするから。
だから、
これからも私、『高坂穂乃果』のことをよろしくお願いします。
海未「捕まえましたよ穂乃果!」
ことり「さぁ、もっとその可愛い声を聞かせて!」
絵里「私と午後からの授業をサボって保健室で保健体育よ!」
穂乃果「や……やっぱりこんなのやだよぉぉぉ!!!!」
おしまい
このSSまとめへのコメント
穂乃菓はやっぱり主人公だね
↑
おい、お菓子の菓になってんぞ
ラストでぶち壊しw
ほのぼのしたオチ。