【モバマス】ヘルプコール (19)


深夜の初投稿です。

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ピロピロピロピロピロ。

「うぅん…。」

枕元のアラームを止める。朝だ。

「うわ…。」

6時。アラームの設定を変えてないせいで、昨日と同じ時間に起きてしまったようだ。せっかくの日曜日なのに、まだちょっと寝ていたかった。

「…ん?」

「すぅ…すぅ…。」

小さな寝息。隣でまだ寝ている彼女――佐久間まゆのものだ。

「…ん…あ、おはようございますPさん。」

「うん、おはよう。」

「…どこいくんですかぁ?」

「トイレだよ。」

僕はスマホを持ち、トイレへと向かった。そうか、今まゆは僕の家にいるのか。寝起きで働かない頭を必死に動かし、ある番号へとコールをかける。

この状況、間違いない。

「もしもし!出てくれ!!助けてくれ!!CoP!!助けてくれ!!不法侵入だ!!」

ついに自宅がまゆに見つかってしまった。


CuP「もしもし!もしもし!」

CoP『うぁ…朝から何だよ…。』ピッ

CuP「マズいことになった!力を貸してくれ!」

CoP『いきなり何だ…訳わかんねえ…日曜なんだしヘボットまで寝かせてくれよ…』

CuP「何がヘボットだよ!こっちはやべぇことになってんだよ!」

CoP『寝起きに大声出すなって…で、何なんだよ一体。』

CuP「寝てたんだ!」

CoP『切っていいか?』

CuP「ああ違うちょっと待って!まだちゃんと説明させて!」

CoP『んだよ…。』

CuP「えっと、まゆが僕の隣で寝てたんだよ!」

CoP『……は!?』

CuP「目が覚めたらまゆが僕の布団の中にいて…!」

CoP『お、おま…!』

CuP「何があったのか自分じゃよく分からない…」

CoP『…。』

CuP「でも、一つ確実なことは…!」

CoP『もういい。』

CuP「まゆが…え?」

CoP『要するに…担当のアイドルにお前が手を出したって事だろ?』

CuP「はぁ!?」


CoP『いやー、ホモだホモだってもっぱらの噂だったお前がまさか手を出すなんてな、しかも佐久間さん…あーでも佐久間さんはアプローチすごかったし、ホモでも墜ちるか』

CuP「違ぇよ!!僕は五十路以上しか興味がないだけで…いやそうじゃなくて!違ぇよ!!」

CoP『照れんなって…でも18歳以下、しかも担当のアイドルは大問題だからな…明日一緒に部長の所行こう?』

CuP「僕はナニもしてねえよ!された側だよ!!行く理由なんざねえんだよ!!」

CoP『警察には、片桐さんと俺も一緒について行くからさ…あ、そうだ、何か食いたいものとかあるか?最後のシャバの飯くらい俺に奢らせてくれ。』

CuP「なんでお前の中じゃ僕がブタ箱にぶち込まれることが確定してんだ!」

CoP『ああ、最後は愛する女と一緒の方がいいか…じゃあな、応援してるぜ!』ピッ

CuP「へぁ!?もしもし!もしもし!?」


CuP「切りやがった…!!」


CuP「あの野郎…!話聞く前に完結させやがって…!」

CuP(もうアイツの中じゃ、僕は元ホモで未成年に手を出した性犯罪者のやべーやつになってる…クソッ…!)

CuP「…次は…ちゃんと事情を説明出来るように!」ピッ

トォルルルルルルンルルルルンルン

CuP「頼むぞPaP…!」

CuP(このままじゃ、まゆにナニをされるか分からない…担当と一線を越える訳にはいかない…!お前の助けが必要だ…!PaP、お前だけが頼りだ…!)

トォルルルルルルンルルルルンルン

CuP「出てくれ…!」

トォルルルルルルンルルルルンルン

CuP「出てくれ…!!」

コンコン
まゆ『Pさぁん?』

CuP「!?」

まゆ『あの…ご飯が出来たので、冷めないうちに来てくださいねぇ…。』

CuP「…あ、ああ、分かった、今行く。」

トォルルピッ

CuP(…僕一人で、まゆと戦うしかないのか)


一方その頃、河川敷にて―

PaP「パワーフットをもっと踏みだそう!よし!もう一回!」

茜「行まーす!!…ふんっ!!」

ドッ

PaP「…ナイスタックルだ!姿勢も低い!」

茜「ありがとうございます!」

PaP「次はバインドとドライブを意識してやってみよう!」

茜「はい!!」

ドッ

藍子「二人とも~そろそろ休憩にしましょう~!」

未央「おにぎり持ってきたよ~!」

PaP「おお、ありがたい!分かった!今行く!」

茜「お二人とも!朝早くからありがとうございます!!」

PaP「すまないな、大変だったろ」

未央「いやいや!こんな朝早くにラグビーの練習してる二人の方が大変だって!」

茜「番組の企画のためですから!いくらでも頑張れます!!」

藍子「…茜ちゃんはすごいなぁ。私、なんかラグビーって怖そうなイメージが…」

PaP「ははは、そうかもな!でもやってみると案外楽しいぞ!」

茜「藍子ちゃんもやりますか!?一緒に!ラグビー!!」

藍子「わ、私はちょっと…。」

未央(二人とも朝から元気だなぁ…)


―――
――

まゆ「Pさんはパンよりもご飯の方がいいんですよねぇ?」

CuP「あ、ああ…(何で知ってるんだ…)」

まゆ「なので、味噌汁と煮魚、甘い卵焼きにたくあんを用意してみましたぁ。」

CuP(何でうちの母親が出してたメニューとだだ被ってるんだ)

まゆ「冷めないうちに、どうぞ♪」コトッ

CuP「…すごい、美味そうだ。」

まゆ「うふふ、そう言ってもらえると嬉しいですぅ。」

CuP(確かに、美味そうだ。香りもいい。今すぐにでも口に入れたい。)

CuP(でも…何かが盛られてる気がしてならねえ!!)


CuP(大丈夫なのか!?僕がまゆならこの中に確実に何か仕込む!!これを本当に口にしていいのか!?)

まゆ「Pさぁん…見るだけじゃなくて、まゆは食べてほしいですよぉ…。」

CuP(食べていいのか!?)

一方その頃―

PaP「うまい!塩加減が最高だ!」

藍子「それ、私が作ったおにぎりなんですよ。」

未央「あーちゃんの愛情たっぷりだもんね!」

PaP「はっはっはっ!そりゃうまい訳だ!」

藍子「ちょ、ちょっと未央ちゃん!」

茜「藍子さん!顔真っ赤ですよ!大丈夫ですか!!」

藍子「だ、大丈夫!大丈夫だから!未央ちゃんも変なこと言わないで!」


―――
――

CuP(覚悟決めろ…!何かが起きそうになっても舌を噛み切ればすむ…!)

CuP「いただきます…!」

パク、モグモグ、ゴクン

CuP「……………美味い。」

まゆ「うふふ、よかったぁ…♡」

CuP「なんか…すごい僕好みの味だ…!」

まゆ「そう言ってもらえると嬉しいです、まゆの愛情がいっぱい詰まってますからぁ♡」

CuP(なんか…こうも真っ当に美味いと…疑ったのが恥ずかしくなる。)

まゆ「おかわりもありますよぉ、たくさん食べてくださいね♡」

CuP「あ、ああ…。」

CuP(結局僕は、まゆが用意した朝食を残すことなく食べた。)


―――
――

まゆ「食後のコーヒーです。」コトッ

CuP「ありがとう。」

CuP(忍び込んだ理由…本当にご飯を作るためだけに?そうだとしたら、僕ただCoPに性癖暴露しただけじゃない?)

まゆ「…ブラックは苦手でしたか?」

CuP「いや、好きだよ」ズズズ…

CuP「………」

まゆ「ふふ♡」

CuP「……………あ……れ……?」

バタッ

まゆ「お料理には一切何も仕込んでませんよぉ…まゆの料理をちゃぁんと味わってもらいたかったんですからぁ…。」

まゆ「だから、コーヒーカップの飲み口に、志希さんにもらった睡眠薬兼精力剤を塗っておきましたぁ…♡」

まゆ「さあ、Pさん…これからまゆと一緒に…あのPさんのベッ…ドで……」クラッ

まゆ(きゅ、急に眠気が…なんで?私はあの薬を飲んでは…飲んで…)

まゆ(……………ああそっか、さっきPさんと間接キスしようとして、カップに口をつけたんでしたね……)

バタンッ

CuP「くー…くー…」

まゆ「すぅ…すぅ…」

~結果、欲を出したまゆの失敗~


・・
・・・
・・

まさかCuPが佐久間さんに手を出すとはな…あいつ社会人としてやべーことになってんぞ…。

ま、アイツがホモじゃないってのが一番の驚きだったがな。

プロデューサーはアイドルと親密すぎる関係になってはいけない。

CuPはホモであることで、俺はチキン童貞であることで、PaPは食欲と睡眠欲が強すぎて性欲がかすんでることで、アイドルからのアプローチを避けてきた。

でも、アイツは佐久間さんに手を出しちまった。プロデューサーとしては許されねえことだ。だが、同じ男として気持ちは分かる。

明日、警察には「普段は滅茶苦茶いいやつでこんなことするヤツとは思ってなかった。」って言うべきだな、うん。

「お、やべえ!ヘボット始まる!」

見たいテレビ番組がある俺は、寝室からテレビがある部屋へと移動した。


「あら、おはようP君」

「…和久井さん?」

テレビを設置している部屋、そこには、和久井さんの姿があった。何故か、毎日俺が着ているYシャツを羽織っている。

「『和久井』なんて…『留美』って呼んでいいっていったでしょう?」

「ああ、すいません」

…脳内の情報を必死に整理する。目の前のあり得ないこの光景の処理を試みる。

「?どこ行くの?」

「いえ、ちょっとトイレに」

俺はスマホを手に、トイレに駆け込んだ。


リアルタイムでの視聴を諦め、俺はトイレで情報を整理する。なぜ和久井さんが場所を漏らした覚えのない俺の部屋にいる?

これまでの記憶を辿り、正答を導く。CuPからの言葉を元に俺は正解と思われる答えを出した。

「…そういうことか。」

すまない、CuP。俺はお前のことをバイセクシュアルでロリコンで歳下好きの性欲に理性が負ける淫行犯罪者って思ってた。でも、違うんだな。

すまない、力になれなくてすまない。

そして、愚かにも自分だけ助かろうとしている俺を許してくれ。

俺はスマホの電話帳から、ある連絡先へコールをする。

「もしもし!出てくれ!!助けてくれ!!PaP!!助けてくれ!!不法侵入だ!!」

自宅が和久井さんにバレてしまった。


~おまけ~

未央「プロデューサーって学生時代ラグビー部だったんでしょ?」

PaP「ああ…といっても、レギュラーじゃなかったけど。」

茜「プロデューサーさんでもレギュラーでないとは…上には上がいるってことですね!」

PaP「そうだな。」

藍子「学生時代のプロデューサーさんかぁ…なんだか想像出来ません。」

PaP「ああ、写真あるけど見るか?」

未央「プロデューサーの昔の写真?見たい見たい!」

PaP「待ってろ、スマホに…うわ、スマホ家に忘れて来ちゃったよ」

未央「ありゃりゃ、残念。」

PaP「ま、俺の話はいいや。休憩終わり!茜、練習再開だ!」

茜「ハイ!!」

「いきますよー!」「さぁ来い!」

藍子「…。」

未央「昔のプロデューサー見られなくて残念だったね、あーちゃん。」

藍子「へ?」

未央「顔に出てるよ。」

藍子「も、もう!未央ちゃん!」

「ウオオオ!!」「ナイスタックル!」

未央「…今度、見せてもらえるといいね」

藍子「…はい。」

~おまけ終わり~


ここまでです、ありがとうございました

この後CuPはまゆが寝ているうちに自宅から脱出、CoPはトイレの窓から脱出、PaPはポジパとファミレスにランチを食べに行きました。

前作→森久保乃々「これだけは無理なんですけどぉ!!」
森久保乃々「これだけは無理なんですけどぉ!!」 - SSまとめ速報
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