魔王「勇者よ、吾輩のペットになれ!」 (84)

勇者「グハァッ!」

魔王「フハハハハ! 他愛もない!」

魔王「世界を救うと民に約束した男が、無様に這いつくばっておるわ!」

勇者「くそ……誤算だった……」

勇者「まさか……世界を滅ぼそうとしている魔王が……」

勇者「こんな……可愛らしい女の子だったなんて!」

魔王「……ふえっ!」

魔王「かっ……可愛いだと! 何を言ってるんだ貴様!」

勇者「僕は……君に一目惚れしてしまった」

勇者「だから……もう、魔王を倒すことは……できない」

魔王「そ……それってつまり、降伏なんだよね……っと、危ない危ない」

魔王「フハハハハ、これで勇者、貴様は戦えなくなったわけだが?」

魔王「貴様、その傷ついた体で……その……どうするつもりなのよ……じゃなかった」

魔王「これからどうするつもりなのか聞かせてもらおうか! まだ歯向かうか? それとも、吾輩の下僕に成り下がるか?」

魔王「敗者の貴様が選べるのは、二つに一つ! さあ選ぶがいい!」

勇者「……にしてください」

魔王「なんだ、聞こえんぞ?」

勇者「俺を……あなたのペットにしてくださいっ!」

魔王「え……ふええっ!」


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みたいなのどうよ?

魔王「わっ……吾輩が言ったのは……」

魔王「別に……ペットじゃなくて、下僕って言ったのに……」カミノケクリクリ

勇者「ダメ……でしょうか?」ウルウル

魔王(なっ! なんだこの勇者……!)

魔王(今まで挑んできた奴と……雰囲気が違う!)

魔王(そんな目をされたら……断れないじゃん……)

魔王「い……いいだろう。では貴様、これから吾輩のペットとして生きるのだ。吾輩に忠義を尽くし、その命を捧げるつもりで働け。いいな?」

勇者「はい! 喜んで!」

魔王(な……なんなのこいつ)

魔王(これから、ただ使い潰されるだけの人生が待っているのよ?)

魔王(なのに……こんなに目を輝かせて……)

魔王(全く……調子狂っちゃうな)

魔王(あれから、2日が経ったわけだけど)

魔王「あのさ……君、いつまで……って、違った」ブンブン

魔王「貴様……いつまでこの部屋に居座るつもりだ?」

勇者「え、だって、君が言ったんじゃないか。君のペットになれって」

魔王「あれはっ、貴様が言い出した事だろう!」

魔王「吾輩は……普通に手下として、城の掃除とか、雑用をやらせようと思っていたのだ」

魔王「なのに貴様といったら……朝から晩まで吾輩の周りをウロチョロウロチョロ」

魔王「吾輩が風呂で休んでいる間、風呂場の前で待機してたりとか」

魔王「挙句の果てにはっ……トイレまで!」

魔王「貴様っ、実は変態だろう!」

勇者「人聞きの悪い……だから、言ったはずだよ」

勇者「君に……一目惚れしたんだって」

魔王「……っ!////」

魔王「一目惚れって……バッカじゃないの!? 全く……」

魔王「大体貴様……世界を救うんじゃなかったのか?」

魔王「貴様、吾輩と初めて会った時に言っていたじゃないか」

勇者『君が世界を滅ぼすという魔王だね。なら俺は、世界を救うために君と戦う!』

勇者「ああ……」

勇者「気が変わったんだよ」

魔王「……何だと?」

勇者「正直、信じられなかったんだよ」

勇者「魔王が、世界を滅ぼそうとしているなんて」

勇者「しかも、肝心の魔王は美少女だったし」

魔王「びっ……美少女って、貴様……馬鹿にしているのかっ!?」

勇者「可愛いは正義! いつの時代も、これは例外なく不変の事実だ!」

勇者「つまり、君が世界を滅ぼすだなんてあり得ないのさ」

魔王「……貴様、馬鹿か」

魔王「吾輩は……私は、この世界を滅ぼしたいと、本気で思ってるよ」

魔王「心の底から……この世界が憎い」

魔王「……どうだ? これでも貴様の考えは変わらないか?」

魔王(……何も言わない、か)

魔王「悪いことは言わん。さっさとこの城から立ち去れ」

魔王「ペットの件はもう、どうでも良くなった」

勇者「……」スタスタ

魔王(フン……味方なんて、いるわけない)

魔王(だって私は……この世界では、絶対悪なんだから)

勇者「はい」

魔王「って……何をしている? このティーカップはなんだ?」

魔王「まさか、毒でも盛ったのか?」

勇者「そんなわけないだろ。ただの紅茶さ」

勇者「食堂の戸棚に置いてあった。きっと、入れてくれる人もいなかったんだろ?」

魔王「……この匂い」

魔王(……お母……さん)

魔王「フン……どうせ、吾輩には毒などきかん。飲ませてもらうとしよう」

魔王「……温かい」

勇者「そりゃそうだよ。入れたばかりなんだから」

魔王「うーん……」

魔王(……朝、か)

魔王「ふあー……えっ!」

魔王(勇者が……私のベッドの上に!)

魔王「きゃああああああああああああ!」

勇者「うわあっ!」

勇者「何すんだよ! いきなりベッドから落としやがって!」

魔王「あ……アンタ! なんで私のベッドで寝てんのよ!」

勇者「なんでって……君、昨日の事覚えてないの?」

魔王「……昨日?」

勇者「昨晩、君が酷くうなされていたから、起こしてあげようと思って一度起こしたんだ」

魔王(ああ……こいつ、いつも私の部屋にいるもんね)

魔王(何にもしてこないから、私も気にしないことにしたけど)

勇者「そしたら君、俺をベッドに引きずり込んだじゃないか。本当に覚えてない?」

魔王(べ……ベッドに引きずり込んだですって!?)

魔王「そんなの……覚えてない」

魔王(確かに……何だか、久しぶりにお母さんの夢を見た気がする)

魔王(きっと、昨日の紅茶で思い出したからだわ)

魔王(何よ……こいつのせいじゃない!)

魔王「もうっ、最悪! なんで朝からこんなにイライラしなきゃいけないのよ!」

勇者「あ、素が出た」

魔王「……え?」

勇者「自分で気づいてないの? 君、話し方とか無理に悪者っぽくしてるけど」

勇者「たまに、女の子っぽい口調になってるよ?」

魔王「な……!////」

魔王「う……うるさいうるさい! さっさと出てけっ! この変態っ!」

勇者「いってえ! だから、変態じゃないって……」

魔王(はあ……ようやく出て行った)

魔王(どうせ、扉の向こうで待機してるんでしょうけど、ね)

とりあえずここまで

魔王「……やっぱり」

勇者「ああ、丁度良かった。朝食の準備できてるよ」

魔王「朝食って……アンタ、私のこと人間だと勘違いしてない?」

魔王「私は魔族。大気中のマナを吸っていれば生きられるの。だから別に、ご飯なんか……」

勇者「食べられないわけじゃないだろ? ほら、早く座りなよ」

魔王(……いい匂い)

魔王「し……仕方ないわね。別に、本当はぜんっぜん欲しくないけど? 仕方なく、食べてあげるわ」

勇者「はいはい、冷めないうちにね」

魔王(ご飯に、味噌汁、お浸しに焼き魚)

魔王(……和食って、朝から随分と健康的ね)

魔王(でも……思い出す)

魔王(お母さんも、朝はパンを焼いてくれたっけ)

勇者「いただきまーす」

魔王「いっ……いただきます……」

勇者「それで、今日は何か用事はあるの?」

魔王「無いわ。昨日と同じ、城の掃除をして終わりよ」

勇者「こんなにだだっ広いのに、君以外の住人はいないわけ?」

魔王「……いない。10年前から、私一人で住んでるわ」

勇者「……おかしいな。聞いていたのと大分違う」

魔王「そういえば……私が世界を滅ぼすなんて信じられないって、アンタ言ってたわよね」

魔王「どうしてそう思ったわけ?」

勇者「……10年前の、戦争が終わってからさ」

勇者「この辺りは、随分と平和になったんだよ」

魔王(10年前……ね)

勇者「人間を襲う魔族が現れて、たくさんの人が犠牲になった」

勇者「そこで、勇敢な人々が、武器を持って次々と立ち上がったんだ」

勇者「人間側と、魔族側……結局、その戦争は……」

魔王「人間側が、圧倒的な数で魔族を滅ぼした」

魔王「……いいの? ここに、人間が滅ぼしたはずの魔族の生き残りがいるわよ?」

魔王「殺すべきなんじゃないの? 人間なら」

勇者「……なら、逆に聞くよ」

勇者「どうして君は、俺を殺さないんだ?」

勇者「魔族は……人間のマナを吸い取って、そうやって生きているんだろう?」

勇者「目の前にある食料に……どうして手をつけようとしないんだ?」

魔王「……自分で飼っている愛玩動物を、食料にする飼い主がいると思う?」

魔王「それに……アンタのマナは、私じゃとても吸い尽くせないわよ」

勇者「君は……」

魔王「はいはい、この話おしまい。美味しかったわ、久しぶりの朝食」

魔王「ごちそうさま」

勇者「……ああ」

書いたから上げた。その内また更新します。

魔王(まあ……世界を滅ぼすなんて、ね)

魔王「……何を今更騒いでるのかしら」

魔王(魔族なんて、とっくに絶滅危惧種でしょ)

魔王(もしも生き残りがいたとしたら……)

魔王(私と同じように、親に守ってもらったとか、かな)

魔王(とにかく今の私達には、人間を滅ぼすような力なんて残ってない)

魔王(勇者は……どうしてこの城を選んだのかしら)

魔王(10年前は、たくさんの魔城があったけど……今はほとんど壊されてるし)

魔王(残ってるのは、人間を襲わなかったからほとんど侵入されず、当時のまま残っている、お父さんとお母さんの城……ここだけってことか)

勇者「戦争……か」

勇者(あんな可愛らしい女の子が、人間を滅ぼそうと考えているだなんて……俺には思えない)

国王『勇者よ』

勇者『はっ』

国王『近頃、魔族が再び人間を襲い始めた』

国王『もう一度、戦争が起きるかもしれん。偵察に行ってくれないか?』

勇者『……承知致しました』

国王『何人か護衛をつけよう。おい、手練れを……』

勇者『いえ、必要ありません』

国王『……ふむ。お主ほどの使い手では、護衛など寧ろ足手まとい……と』

国王『いいだろう。今のお主の魔力には、かつて我らが戦った魔王ですら到底及ぶまい。心配はしておらんが……無事に帰ってくるのだぞ』

勇者『はい、了解しました』

勇者(それがまさか……肝心の魔城に住む魔族が、たった一人だけって)

勇者(しかも、唯一の魔族が、年下にしか見えない女の子で)

勇者(彼女は……自分で魔王だって言ってたけど、多分嘘だ)

勇者(だって魔王は……先代の勇者が討伐したんだから)

勇者(……こんな状態で、どうして戦争が起こるんだよ)

勇者(一応、偵察ってことで来たから、彼女を監視することにしたけど)

勇者(何だか、女の子の私生活を覗いているみたいで……背徳感がすごいな)

チマチマ更新していきます

魔王「えっ……帰るの?」

勇者「うん。一度、王国の様子を見ようと思って。ほら、俺ってこんなんでも勇者だから」

魔王「ふーん……ペットの分際で、生意気」

勇者「……また戻ってきますよ、ご主人様」

魔王「なっ……////」

魔王「ご主人様って……このバカ! バカバカバカ!」

魔王「もう知らない! 勝手にすればいいでしょ!」

勇者「ハハ……じゃあ、また来ますから」

勇者(一目惚れしたっていうのは……嘘じゃないからな)

勇者「派遣隊が全滅した!?」

国王「ああ、残念ながらな」

勇者「そもそも私は、護衛は必要ないと申し上げたはず! 何故援軍を!?」

国王「……いかに勇者といえど、多数の魔族が存在した場合、多勢に無勢であると判断したのだ」

国王「戦力は多い方がいい」

勇者「馬鹿な……魔族など、たった一人しかいなかった……」

勇者「……待ってください。それならば、何故全滅を?」

国王「分からん。ただ、3日前に戦闘を行ったという報告が、方陣によって王城に伝わり……それを最後に、連絡が途絶えた」

勇者(3日前……俺が偵察に出て、すぐってことか)

国王「つまり、だ」

国王「先程、勇者は魔城に魔族が住んでいたと言ったな」

国王「奴らが、遂に動き出した……そう捉えるべきだろう」

勇者「待ってください」

勇者「魔城には……たった一人の魔族しかいなかったのですよ?」

国王「……なんだと?」

勇者「私はこの3日間、その者を常に監視しておりました」

勇者「ですから、魔族の攻撃によって派遣隊が全滅したとは考えにくいのではないでしょうか?」

勇者「何か……事故があったとか」

国王「だが、戦闘を行ったという報告が上がっているのだ」

勇者「うっ……」

国王「それに……お主、その魔族とやらを常に監視していたのか?」

国王「一部の隙も見逃さず、完璧に監視していたと、自信をもって言えるのか?」

勇者「それ……は……」

勇者(流石に……女の子を四六時中監視するのは気が引けた)

勇者(俺が眠っていた時間は、もちろん監視なんてできないし)

勇者(だが……彼女が、人を殺すなんて……考えられない)

国王「加えて、だ。確かに貴様が見たのは、一体の魔族だったかもしれん」

国王「だが……たった一体の魔族に派遣隊が全滅させられるとは、到底思えん」

国王「複数の魔族がいる。そう考えるべきだ」

勇者「それは……そうかも……しれませんが」

国王「……決まりだな」

国王「明日、全軍を率いて、魔城付近一帯へ進軍する」

勇者(なっ……全軍!?)

勇者「待ってください!」

国王「……なんだ?」

勇者「魔族を……全滅させるおつもりですか?」

勇者「彼女は……魔族の中には、人間に無害な者もいるのです!」

勇者(この3日間……彼女は俺に危害を加えなかった。人里に降りる様子も見られなかった)

勇者(断言できる。彼女は魔族でも、人を殺さないんだ)

勇者(全軍を率いて侵攻すれば……彼女までもが犠牲になってしまう!)

国王「それがどうした?」

勇者「……は?」

国王「相手は魔族だ。10年前、我らの仲間は大勢犠牲となった」

国王「奴らは……人間の敵だ」

国王「派遣隊が全滅しただと? 笑わせてくれる」

国王「奴ら魔族は、どこまで我らを愚弄すれば気が済むのだ!」

国王「魔族は人間の憎き天敵! 全力を持って排除する!」

勇者(何を……言っている)

勇者(あの子は……生きているんだぞ?)

勇者(俺達人間と同じように、普通に生活して、普通に感情を持って)

勇者(それを……まるで、人間に害を為す獣であるかのように……!)

勇者(そんなこと、認めるわけにはいかない!)

勇者「陛下!」

国王「……何だ、勇者」

勇者「申し上げます!」

勇者「この任務……私一人に任せてはいただけないでしょうか?」

国王「……お主一人に? 理由を言ってみろ」

勇者「敵は複数と言えども、先の偵察から、少数であることは明らか」

勇者「ならば、私一人でも十分対処可能です」

国王「しかし……だな」

国王「派遣隊が全滅しているのだ」

勇者「陛下は……私と派遣隊、どちらが兵力として優れているとお思いで?」

国王「……分かった」

国王「いいだろう。この件は、お主に任せる」

勇者(なんだ……? やけに、あっさりと通ったな)

勇者「……感謝申し上げます」

とりあえずここまで


魔王「……遅いわよ」

勇者「……ごめん、色々立て込んでさ」

魔王「ったく……まあいいけどね」

魔王「一人で過ごすなんて……慣れっこだし」

勇者(なんか……拗ねてる)

勇者(なんだか、微笑ましいな)

勇者(こんな女の子が……人を襲うわけ……ないよな)

魔王「……ちょっと、何よ、ジロジロ見て」

魔王「何か文句でもあるわけ?」

勇者「えっ、いや、文句なんてないさ」

勇者「ただ、可愛いなって思ってね」

魔王「……だから、なんでそんなことをためらいもなく言えるわけ?」

魔王「少しは恥じらいとかないの?」

勇者「えっ……別に、普通だろ? 思った事を言ってるだけだよ」

魔王「っ! ……アンタは……もう!////」

魔王「知らないっ!」プイッ

勇者「おいおい……あ、そうだ」

勇者「ここ数日、俺がいなかった間……何か変わった事は無かった?」

魔王「変わった事? ……別に、無かったけど」

勇者「本当? 何か、他の魔族に出会ったとか」

魔王「何も無かったわ。清々しいくらいにね」

勇者「……そう」

魔王「大体、他の魔族って何よ?」

魔王「まるで、私以外の魔族を見てきたかのような口ぶりじゃない」

勇者「ああ……えっと」

勇者(話すべきなんだろうか)

勇者(最近になって、再び人間が魔族に襲われて初めていること)

勇者(俺の仲間が……何者かにやられたこと)

魔王「どうしたの? 怖い顔してるわよ?」

勇者「え……そうかな?」

勇者「ううん、何でもないんだ」

魔王「そう……何かあったら、すぐに言いなさいよ?」

魔王「アンタ……私のペットなんでしょ?」

勇者(その設定、まだ生きてたのか……)

勇者「はいはい、分かりましたよご主人様」

魔王「……フン」

勇者「さて……と」

勇者(今回は、彼女の傍にずっといるわけにはいかない)

勇者(派遣隊が戦闘を行ったという場所を記した地図は貰ってきた)

勇者(派遣隊が、本当に魔族の攻撃によって全滅したのか、確かめる必要がある)

勇者「えーっと……この辺か?」

勇者(……誰もいない……が)

勇者(多数の、足跡)

勇者(このブーツのような足跡は、きっと派遣隊のものだ)

勇者(……これ)

勇者(……明らかに、人間のものじゃない!)

勇者(人間より、一回りも大きくて……なにより、指先に獣のような爪痕が残っている)

勇者(これが……魔族だと?)

勇者(彼女とは……まるで別種じゃないか)

勇者(軍に残っている、戦争当時の報告書を、いつか読んだことがある)

『魔族は巨大な漆黒の翼を生やし、全身が鱗に覆われていて岩のように堅く、刃が通らない』

『その赤い眼光に睨まれた者は、恐怖に震え、身体を動かすことすら困難になってしまう』

『そのおぞましい姿は、まさに悪魔のようだった』

勇者(……魔族は、人間の姿の者ばかりではないということか)

魔王「……ねえ」

勇者「っ! ……なんだ、君か」

魔王「暇だから、着いてきちゃった」

勇者「暇だからって……別にいいけどさ」

魔王「で? アンタはなにしてるわけ?」

勇者「ああ……ちょっと、この辺の調査をね」

魔王「ふーん……あれ、この足跡」

魔王「……まだいたんだ、こんな奴」

勇者「こんな……?」

魔王「この足跡、魔族よ」

勇者「……驚いた。断言できるの?」

魔王「ええ、分かるわよ」

魔王「この足跡は……必要以上にマナを吸収した魔族の、なれの果てよ」

魔王「人間からマナを奪って、奪って、奪いつくすと……やがて判断能力が鈍り、思考能力が鈍り」

魔王「その姿までも、おぞましい姿へと変わってしまう」

魔王「こいつはもう……理性すら保っていられないでしょうね」

魔王「この足跡の持ち主は今、本能のみで生きているわ」

勇者「本能……って?」

魔王「フフッ……それはね」

――人間を喰らえ

勇者「なんだよ……それ」

魔王「いるのよ、私達魔族の中には……過激派が」

魔王「本能の赴くままに、ただ自らの欲を満たすために」

魔王「人間を襲い、マナの搾取を繰り返す……そんな輩がね」

魔王「まあ私は、生まれてこの方、誰かからマナを吸収したことなんて無いんだけど」

勇者「へえー……そりゃあ、なんて平和なんだろう」

魔王「私のお母さんとお父さんが、そういう人だったのよ」

魔王「なのに……殺された」

魔王「10年前、魔族と人間との戦争で」

魔王「2人は、人間に何もしてないはずなのに……殺されたの」

魔王「あなたと同じ……勇者にね」

勇者「なん……だと?」

魔王「それはもう、悲惨だったわ」

魔王「いくら許しを乞うても……何度も何度も、串刺しにされて」

魔王「意識を失う事すら許されない」

魔王「……当時は、アンタたち人間を恨んだわ」

魔王「この世界を、滅ぼしてやろうかと……本気で思った」

魔王「正直、今も少し願ってる」

魔王「……でもね」

魔王「仕方のないことだったのよ」

魔王「私達魔族も……酷い事をしたから」

勇者「酷い事……か」

勇者(そもそも、俺達人間が魔族に攻撃を仕掛けたのは、魔族からの被害をこれ以上拡大させないためだった)

魔王「私達も、同じことを……アンタたちにしてたのよね」

魔王「だから、自業自得だって……私は、私自身を納得させたわ」

勇者「……あの、さ」

魔王「……あー、やめやめ。こんな辛気臭い話、今更したって仕方ないのにね」

魔王「悪かったわ、こんな胸糞悪い話を聞かせちゃって」

勇者「……いや、そんなことないよ」

魔王「いいのよ、そんな気を遣わなくて」

魔王「それに……さ」

勇者(なっ……なんだよ、いきなり距離を詰めてきやがって)

勇者(なんか……いい匂いするな)

魔王「アンタは……あの時の勇者とは違う。そんな気がするの」

勇者「俺……は……」

魔王「アンタみたいな奴もいるんだって分かって、ちょっとだけ気が晴れたわ」

勇者「……俺も」

勇者「君みたいな魔族もいるんだって知る事が出来て……嬉しかったよ」

魔王「……私達、さ」

魔王「案外……うまくやれるのかもね」

勇者(……初めて、笑った)

勇者(こんな風に笑うんだ、彼女)

勇者「……ああ、そうだな」

――その時、だった。

彼女の頭上に、一瞬、鈍い銀色の光が煌めいた。

咄嗟に……体が動いたんだ。

勇者「っ……危ないっ!」

魔王「……え?」

魔王「キャッ! ……な、なに?」

魔王「なに……これ? ……血?」

魔王「ねえ……ちょっと、勇者」

魔王「ちょっと……ねえってば!」

勇者「ああ……大丈夫」

勇者「背中を……浅く切り込まれただけだ」

勇者(くそっ……どうにもおかしいと思ってたんだ)

勇者(やけにあっさりとしていたから)

勇者(まさか……的中するとはな)

兵士「……なぜ、魔族を庇ったのですか? 勇者さん」

勇者「その質問に答える前に……」

勇者「どうして、お前たちがここにいる?」

勇者(数は……10……20……ああ、やめた。数えられないくらい多いってことで)

兵士「決まっているでしょう。命令が下されたんですよ」

兵士「魔城周辺の魔族を、全て排除せよ……と」

勇者「あのクソジジイ……!」

兵士「陛下を侮辱するのは反逆罪に問われますが……一つ、要求を呑むのならば、聞かなかったことにしましょう」

兵士「……その魔族を、こちらへ引き渡してください」

勇者「嫌だと言ったら?」

兵士「この人数を相手にできるとでも? いくらあなたでも、それは無謀というものだ」

勇者「……」

兵士「何を迷うんです?」

兵士「その後ろの小娘は……人類の敵ですよ?」

勇者「……敵なんかじゃねえよ」

勇者「魔族魔族って、何でもかんでもひとくくりにするんじゃねえ」

兵士「……最後通告です」

兵士「その魔族を……こちらへ引き渡してください」

兵士「これは、国王命令に等しい。断るのならば、国家反逆罪に問われますよ」

勇者「……」

兵士「……いいでしょう、ならば……」

魔王「はい。目的は私でしょ?」

勇者「なっ……何してんだ! 下がれっ!」

魔王「いいのよ……どうせ私は、10年前に死ぬはずだったの」

魔王「お母さんに庇われて、たまたま命拾いしただけ」

魔王「だから……いいのよ」

勇者「ふざけんなっ! 君みたいな人が、こんなところで死んでいいわけがない!」

魔王「……勇者」

魔王「あなたみたいな人と、最後に出会えて……」

魔王「……私、嬉しかったわ」

勇者「なんだよそれ……ふざけんな……ふざけんなよっ!」

兵士「覚悟は……決まったか?」

魔王「ええ……苦しまないように、お願いね」

腰の剣の柄を、強く握った。
一歩踏み込めば、もう二度後には戻れない。
だが……ここで、彼女を殺させはしない……!

――刹那……空が暗くなった。

兵士「……なんだ?」

その場にいた全員が、上空を見上げた。

『魔族は巨大な漆黒の翼を生やし、全身が鱗に覆われていて岩のように堅く、刃が通らない』

『その赤い眼光に睨まれた者は、恐怖に震え、身体を動かすことすら困難になってしまう』

『そのおぞましい姿は、まさに悪魔のようだった』

勇者「……悪魔」

それは、大きな翼を動かしながら上空を飛行し……ただ、こちらを見下ろしていた。

兵士「ひっ……ひいい……なんだっ! 何なんだアイツはっ!」

次々と、兵士たちが腰を抜かし、その場に座り込んでいく。
足を動かせるものは、いなかった。

たった二人を除いて。

魔王「逃げるよ!」

勇者「え……わっ!」

勇者(こんな時にこんな事考えるのもなんだけど……!)

勇者(彼女と手を繋ぐの……これが初めてじゃん!)

勇者「ってか……なんで逃げてんの!」

魔王「当たり前でしょ! あんなの、かなうわけない!」

勇者「待て! ……待てって!」

魔王「……何? アンタ、まさか……」

勇者「アイツらを置いて、俺だけ逃げるわけにはいかない!」

勇者「君を殺そうとはしたけど……それでも、彼らは俺の部下達なんだ!」

眠い、今日はここまで。

遅くなって申し訳ありません。ここからは酉をつけて更新していきます。

魔王「駄目よ! 確かに、あなたのマナは常軌を逸しているけれど……」

魔王「それでも、あれほど怪物化の進行した魔族なんて……倒せるはずがない!」

魔王「同じ魔族でも……私とアイツとじゃ、天と地ほどの差があるのよ!?」

勇者「だから……どうした」

勇者「今俺が戦わないで、一体誰が戦うんだよっ!」

魔王「……!」

勇者は、兵士達の元へと勢いよく駆け出した。

目的は、ただ一つ。

部下の命を救うこと。

勇者「ハァ……ハァ……いた!」

木々の向こう側の開けた場所に、兵士達は座り込んだまま、宙に向かって目を見開いていた。

勇者「おい、お前達! 無事か!?」

兵士「あ……ぁ……」

兵士「来るな……来るなぁぁぁ!」

勇者「なにを……」

刹那、兵士達の姿が真っ黒な影に多い尽くされた。

同時に、余りにも巨大な風圧と振動、そして轟音が勇者の肉体を襲う。

勇者(何なんだ……こいつ!)

勇者(一体……何者なんだ!?)

かつて、彼女と同じ人型だったとは到底思えないほどに、その原型は陰も形も残っていない。

どんな光すらも吸収してしまうかのような漆黒の翼。

全身を包む、幾千もの暗黒の鱗。

頭に生えた、おぞましい二本の角。

獲物を切り裂くための、鋭い牙と巨大な爪。

赤黒く濁った二つの眼差し。

悪魔……というよりは、文献上の竜のそれに酷似していた。

悪魔は兵士達を一瞥すると、その手を一同に向け、ゆっくりと伸ばしていく。

ふと、勇者の脳裏に、彼女とのやり取りが浮かんだ。

魔王『この足跡の持ち主は今、本能のみで生きているわ』

勇者『本能……って?』

魔王『フフッ……それはね』

――人間を喰らえ。

勇者「貴様……待てっ!」

勇者は、悪魔と兵士達の間に勢いよく飛び出した。

同時に、腰に提げていた剣を抜き放つ。

勇者の一閃は、悪魔の注意を惹きつけるには十分なものだった……が。

勇者「刃が……通らない!?」

国内……いや、恐らくは世界で最強の剣士の一撃でも、この怪物には傷一つつけられない。

勇者(方法はある。だが……)

勇者は、未だ悪魔の足元で腰を抜かしている兵士たちを見て、小さく舌打ちをした。

勇者「せめて、彼らだけでも逃げてくれれば……」


「――逃がしてあげればいいの?」


突如として勇者の隣から聞こえた声。

ここ数日、何度も愛おしいと感じた、彼女の声。


勇者「……逃げなかったのか?」

魔王「ペットを置いて、ご主人様は尻尾撒いて逃げるなんて、そんな情けない事できるわけないでしょ?」

勇者「……フッ、共闘だな、魔王」

魔王「それは止めて。ご主人様と呼びなさい」

勇者「へーへー、了解しました、ご主人様」

悪魔は二人を邪眼にとらえると、赤黒い牙を携えた口を開き……その奥から、猛々しく燃え盛る炎が吐き出された。

勇者「……嘘だろオイ!」

魔王「水のマナよっ!」

彼女が手を掲げた瞬間、眼前に水柱が立ち昇り、勢いよく迫る炎を瞬く間に打ち消した。

勇者「スゴイな……それも魔族の力かい?」

魔王「違うわ。これはセンスよ!」

言うと、彼女は威張るように胸を張って「フフン」と鼻を鳴らした。

勇者「さいですか……」

突如として現れ炎を防いだ水柱に、悪魔は一瞬動揺したのか、目の色を少し変化させた。

勇者(炎を防いでも……状況は何も変わっていない)

炎が通じないならばその爪で……とばかりに、悪魔は一歩、また一歩と二人の下へ踏み込んでいく。

その度に地面から伝わってくる振動に、勇者は背中を流れる冷や汗を隠し得なかった。

勇者「……奴の攻撃は俺が止める。だから君は、彼らを逃がすことを最優先に動いてくれるか?」

魔王「さっき炎を防いだの、私なんだけど?」

勇者「いや、まあそうだけど……とにかく頼むよ」

勇者「このままじゃ、俺が戦えない」

魔王「《戦えない》……か」

魔王「……いいわ。やってあげる」

魔王「正直、私を殺そうとした連中を助けるなんて不本意極まりないんだけれど」

勇者「それは……本当に悪いと思ってる」

魔王「……ま、アンタの頼みなら仕方ない」

魔王「貸し3つで手を打ってあげるわ」

勇者「……了解です、ご主人様」

ペットの言葉を聞き届けた主人は、躊躇いもせずに悪魔の懐へ走り込んだ。

勇者「おっ……おい!」

当然のごとく、悪魔は小さな標的に向かって巨大な爪を振りかざした。

――刹那、彼女の姿が塵のように拡散し、等身大の爪は宙を切る。

勇者「……どこに行った?」

勇者は無意識の内に周囲を回し見て、兵士達のすぐそばに彼女の姿を発見した。

瞬きするごとに、兵士達はみるみるとその姿を消していき、やがて最後には彼女の姿だけがその場に残った。

勇者(転移魔法まで使えるのか……何でもありだな、魔族ってやつは)

しかし……これで、ようやく戦える。

勇者「……!」

勇者が意識をそらした瞬間、悪魔の右腕が目と鼻の先まで迫っていた。

勇者が戦闘態勢に入った瞬間、悪魔にとっての戦いは既に終わっていた。

彼の手に握られた剣が、音もなく振り払われる。

瞬間、今にもその身を切り裂くかの如く迫っていた爪が、跡形もなく消し飛んだ。

勇者が、自らのマナを刃に乗せたのだ。

彼がマナを解放したこと……それはすなわち、戦いの終結を意味する。

魔王「……うそ」

耳を劈く、凄まじい轟音。それは、悪魔の阿鼻叫喚だった。

勇者「……終わりだ」

悪魔の巨大な図体を覆いつくした、一瞬の光芒。

魔王の下に、砂埃の混じった風が巻き起こる。

魔王「……こんなに、強いなんて」

一筋の剣閃の跡には……何一つ残っていなかった。

戦闘描写が苦手なので、俺TUEEE設定にしました。
更新を待ってくださった方、ありがとうございます。
更新の頻度は落ちますが、引き続きご拝読をよろしくお願いします。


背中を、電撃が走ったかのような痛みが襲う。

どうやら、背中の傷が開いたらしい。

敵は倒した……それで、気が抜けてしまったのか。

勇者は剣から力なく手を離し、そのまま倒れ伏した。


魔王「勇者、無事!?」


彼の返事はない。


魔王「どうしよう……私じゃ、治療魔法は使えない」


「彼は、まだ生きているのか?」


魔王「……誰?」


魔王が振り返った先には、先程彼女が逃がした男達が立ち尽くしていた。


兵士「まさか、魔城に飛ばされるとは思っていなかったよ」

魔王「あんた達には、真っ暗な洞窟の方が良かったかしら?」

兵士「……我々を、侮辱するつもりか?」

魔王「はっ、敵を前にビビッて腰抜かしてた連中が、よく言うわ」

兵士「貴様……殺されたいようだな」


魔王「できると思うの?」

兵士「できないと思うのか?」



「……よせ」


声の主は、懐で眠る彼だった。

魔王「……! 怪我は大丈夫!?」

勇者「大丈夫ではないさ。大分痛むし、立ち上がれないよ」

魔王「なら、早く治療しなきゃ!」

勇者「君、治療してくれんの?」

魔王「……ごめん。私は、使った事がないから無理」

勇者「そりゃ残念……なら、君の転移魔法で王城まで飛んでくれるかい?」

魔王「王城……か」


兵士「……フッ、勇者よ、それは酷というものだ」

勇者「なんだと?」

兵士「そいつは魔族だというのをお忘れで? 王城へ姿を現した瞬間、騎士が大勢駆けつけ、八つ裂きにされるに違いない」

勇者「……うるせえよ」


勇者「ねえ……飛べるかい?」

魔王「……分かった、大丈夫」


兵士「フハハ! 愚かな! 無様に死に晒すがいい!」



勇者「大丈夫……俺に任せてくれ。君は、俺が守るから」

魔王「……アンタに守られるまでもないっての」



視界が暗転し、開けたと思えば、そこは王城の最深部……王室だった。

王の傍で行儀よく立っていた騎士は、度肝を抜かれたように硬直したが……王は、僅かにも表情を変化させなかった。


王「勇者よ……その者は?」


王が視線を向けた瞬間、魔王は蛇に睨まれたかのように身体を硬直させた。


勇者「見ての通り、俺の付き人ですよ」


護衛「ふざけるな! 身体から溢れる異質のマナが、そいつが人間でないと証明しているだろうが!」


勇者「だからなんだ?」

護衛「……!」

勇者「彼女は俺の付き人だ。誰にも文句は言わせない」


勇者「もしも彼女に危害を加えようとするならば、俺がお前達を殺す」


護衛「なんて無礼な……! 貴様、許されるとでも……」


勇者「貴様が彼女の首を落とすのが速いか、俺が貴様の首を飛ばすのが速いか……勝負してみるか?」



王「……やめい」


王「勇者よ、お主の意思は理解した。好きにするがよい。だが……」

王「この国で魔族が暮らす……その意味が、お主は分かっているのか?」


勇者「……知りません」


王「……まあよい。下がっていいぞ」

護衛「王! よろしいのですか!?」

王「構わん。何も問題はない」

護衛「……! そうおっしゃるのならば……」


勇者「感謝します」


王室を後にした2人が向かったのは、勇者の自室。

王室に負けず劣らずの広さのその部屋には、数々の本棚と、質素なベッドとソファーが1つずつ。

他に目新しいものは、何もなかった。


魔王「案外、シンプルな部屋ね」

勇者「ああ、他には何も必要ない」


勇者「……ごめんな。怖かっただろう?」

魔王「なっ……バカにしないでよね! 別に……怖くなんか……」


勇者「……よしよし」ナデナデ

魔王「……////」

魔王「子ども扱いすんなっ!」

勇者「ごめんごめん。悪かったよ、魔王」


魔王「……ねえ。私さ、アンタに名前、言ってなかったっけ?」

勇者「名前……聞いてない。あるのか?」

魔王「当たり前でしょ? 親がいたんだから」



魔王「……ユニ。覚えといて」



魔王「次、魔王って呼んだらぶっ飛ばすから」


勇者「ユニ……か。いい名前じゃないか」


魔王「アンタは?」

勇者「え?」

魔王「アンタの名前。こっちが教えたんだから、アンタも教えるのが筋じゃない?」

勇者「ああ……そうだな」


勇者「ルイ」


魔王「ルイ……ね。覚えたわ」

勇者「ああ。改めてよろしくな、ユニ」

魔王「う……うん、よろしくね、る……ルイ」

久しぶりの更新ですが、ここまでです
また今度


勇者がベッドに身を投げると、生々しい背中の傷が露わになった。

魔王「あ……傷、手当しなきゃ」


勇者「……ヒーリング使いがいる」

魔王「え?」

勇者「この城に、ヒーリング使いがいるんだ」

魔王「ヒーリング……治療魔法を使えるってこと?」

勇者「ああ、俺が帰ったと知ったら、すぐに駆けつけてくれるさ」

魔王「そんな……来なかったらどうするのよ?」

勇者「大丈夫だ……あいつは必ず来るから」


勇者「……ほら、噂をすれば、だ」




「あらあら、これはまた手酷くやられましたねえ」

怪我の件を回収してなかったので、次に回します

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