【ガルパン】優花里「ヒヤッホォォォウ! タンポポだぜぇぇぇぇ!」 (39)


―放課後 倉庫―


沙織「今日の戦車道もおつかれさま! ね、ね! このあとアイス食べに行かないっ?」

麻子「ホントに沙織は太るのが好きだな」

沙織「辛辣!?」

華「わたくしはこの間発売された8段重ねアイスというものを食べてみたいです」ニコニコ

沙織「何その殺人アイス!?」

みほ「わたしはみんなと一緒に行きたいかな」エヘヘ

沙織「みぽりんが天使に見えるよぉ~!」ダキッ

みほ「もう、沙織さんったら」アハハ

沙織「それじゃあ、みんなでアイスクリーム屋さんに―――」

優花里「あ、あのっ!」

優花里「今日は用事があるので、わたしはこれで失礼しますっ!」


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沙織「用事って……もしかして彼氏!?」キャーッ!

麻子「この脳内おピンク星人め」

沙織「なんか卑猥!?」

華「そういうことでしたら、優花里さんとはまたの機会に」

優花里「折角のお申し出を無碍に断ってしまい、大変申し訳ありませんっ!」ペコリ

みほ「そんなに謝らないで、優花里さん」

沙織「そうだよ! いつも一緒に居るだけが友だちじゃないんだよ?」

優花里「そ、そうなのですか?」

麻子「こういうところは秋山さんらしいな」フッ

みほ「また今度一緒にアイス食べよ?」

優花里「は、はいぃっ!!」


沙織「―――で、ゆかりんは行っちゃったわけだけど」フフフ

華「沙織さん、悪い顔になっていますよ」

麻子「またどうせくだらないことを考えているんだろ」ハァ

沙織「くだらなくないよっ! もしこれが恋人とのデートだったらどうすんの!」プンプン

みほ「どうするの、って……温かく見守る?」

沙織「そうっ! だから、これからゆかりんを見守りに行こう!」

麻子「意味が違うぞ」

華「日本語は難しいですねぇ」


みほ「それって優花里さんに悪いような……」

沙織「だいじょーぶだって! ちょっとだけだから!」

麻子「発情期の男子大学生みたいなセリフだな」

沙織「グハァッ!」

麻子「だが確かに、あの秋山さんに本当に彼氏が出来たのならかなり気になる話ではある」

沙織「でしょでしょ!?」キラキラ

華「大洗女子の学園艦には同世代の男性が居ませんから、外部の方とお付き合いしているか、年齢差があるかですが」

麻子「ま、どうせ別の用事だったというオチだ」


沙織「それでもいーじゃん! おもしろそーじゃん!」

華「相手にバレないように狙いを定めるのって、なんだかワクワクしますね」ニコ

沙織「華が言うとヒットマンみたいで怖いよ……」

みほ「でも、やっぱりこういうのよくないんじゃないかなぁ」

沙織「ああっ、眩しいよぅ。みぽりんはそのままのみぽりんで居てね……!」

沙織「それなら、ゆかりんにはメール送っておくよ」

みほ「メール?」

沙織「アイス食べるのやめにしてみんなで散歩してるから、ゆかりんに途中で出会っちゃうかもって」


優花里(メール)『わかりました! 見かけたら声かけてくださいね』


沙織「ってことで、本人の了解も取ったし、ゆかりんの跡をつけよう!」

麻子「言い方」

華「一度教室に荷物を取りに寄ったでしょうから、今頃校門辺りでしょうか」

みほ「でも、なんの用事なんだろ。彼氏さんってわけじゃなさそうだし」

麻子「案外秋山さんなら彼をわたしたちに見られても動じないんじゃないか?」

沙織「キャー! 見せつけてくれるじゃないのー!」クネクネ

麻子「沙織が見てるのは幻覚だ」

沙織「ひどい!?」

華「あっ。2時方向距離700mに優花里さんを発見しました!」

沙織「さっすが華っ!」

みほ「麻子さん、音を立てないように前進……って、戦車じゃないんだった」アハハ

麻子「まるで戦車道ごっこだな」フッ


―通学路―


優花里「―――ふんふふん♪」


みほ「それで、優花里さんを尾行してきたのはいいけど……」

麻子「秋山さんが向かった先……」

華「ここって……」

沙織「みぽりん家!?」



―女子寮近くの電柱の陰―


麻子「正確に言うと西住さんの部屋が入ってる女子寮の1階玄関の脇だ」ヒョコッ

華「優花里さん、こんなところで何を」ヒョコッ

みほ「建物の陰でしゃがんでるね」ヒョコッ

沙織「嘘でしょ、ゆかりん! 嘘だって言ってよぉっ!」ヒョコッ


沙織「それは禁断の愛のカタチだよぉ!」

みほ「沙織さん、どういうこと?」

沙織「ゆかりんはね、みぽりんのことが好きだったんだよ! 恋してたんだよ!」

みほ「ええっ!?」カァァ

麻子「また始まった」

沙織「でもでも二人は女の子同士! この想いを伝えることはできない!」

沙織「だからゆかりんは戦車道で培った密偵スキルを活かして、みぽりんのストーカーに……」プルプル

麻子「友人でそこまで妄想できるのはさすがに引くぞ」

華「優花里さんがそんなことをするはずありません」

沙織「……うん、ごめん。ちょっとやり過ぎた」


麻子「だが、ホントに秋山さんは何をしてるんだ?」


 優花里「で、ですね……なんですよ……」ブツブツ


華「誰かと会話をしているようですが」


 優花里「それはもう……ですから……」ブツブツ


みほ「でも、ケータイも使ってないし……独り言?」

沙織「怖っ! ゆかりん怖いよ!」

華「そろそろ優花里さんに声をかけてみましょうか」

麻子「推測だけで決めつけるのはよくないからな」

沙織「そうだね! おーい、ゆかりーん!」


優花里「あっ、皆さん! 見つかってしまいましたかー」エヘヘ

沙織「そりゃ見つかるよー。だってここ、みぽりん家の前じゃん」

麻子「こんなところで何をしてたんだ」

優花里「いやー、お話するのも恥ずかしい話なんですが」

沙織「恥ずかしい話っ!? ///」

麻子「そこに反応するな」

華「あっ……タンポポですね」

みほ「えっ? あ、ホントだ。タンポポが咲いてる」

沙織「もしかしてゆかりん、タンポポと会話してたの? なんて、そんなわけ―――」

優花里「あ、はい! 実はそうなんですよ!」

沙織「え゛っ!?」


華「お花に話しかけるとお花も喜びますし、わたくしたち人間にとっても良い効果があると言われてます」

沙織「いや、ゆかりんのキャラじゃないっていうか、それでビックリしちゃって……」

優花里「お恥ずかしい限りです」テレッ

みほ「タンポポ、かわいいね。こっちのお花はもう綿毛になってる」ニコニコ

華「セイヨウタンポポですね。開花時期は4月から9月と長いですが、夏は半日陰で育てるといいんですよ」

麻子「なら、この建物の陰は最適な場所だな」

みほ「いつもここを通ってるのに、全然気付かなかった」

優花里「このタンポポ、わたしが植えたんですよ」ニコ

沙織「えっ!? ゆかりんが、みぽりん家に!?」

華「植え替えだと根が傷つくなどしてうまく育ちませんから、綿毛の種からですか?」

優花里「あ、はい! 綿毛の種からです!」

沙織「ちょ、ちょっと待って! ゆかりん、なんでそんなことしたの!?」


優花里「あ、いえいえ! 種を植えたのは3月頃ですから、まさかここに西住殿がお引越ししてくるとは思いもよりませんでした!」

沙織「そ、そうだったんだ」ホッ

華「となると、だいぶ遅咲きだったんですね」

優花里「まるでずっと戦車に乗れなかったわたしのようです」エヘヘ

みほ「でも、どうしてタンポポを植えたの?」

麻子「食べるのか?」

沙織「もう麻子ー。タンポポが食べられるわけないじゃーん」

華「タンポポは栄養価が高く、花、葉、茎、根っこまですべて食べることができる優秀な食用ハーブなんですよ」

沙織「そうなのっ!?」

麻子「西洋じゃ香味野菜として扱われている」

優花里「これは有名な話ですが、第二次世界大戦期のドイツではタンポポをコーヒー豆の代用品としていたんですよ!」

みほ「それ黒森峰で飲んだことある! あんまりおいしくはなかったかな」アハハ


優花里「でも、食べるために植えたわけじゃありませんよ」

華「そのためならここには植えませんよね」

沙織「そ、そうだよね。なら、なんのために?」

麻子「それにだ。タンポポと会話することがそんなに大事な用だったのか?」

優花里「話すと長くなるんですが、それでもいいですか……?」

みほ「もしよかったら聞かせてほしいな。優花里さんの話」

優花里「は、はいっ! 不肖秋山優花里、誠心誠意お話させていただきます!」

優花里「あれは今から3年前、まだわたしが中学生の頃でした――――」


・・・・・・
・・・


―3年前・秋山理髪店―


優花里(中2)「お父さん。髪、これでいいかな?」

淳五郎「やっぱり優花里にはその髪型が似合う。パンチパーマはやめて正解だな」ウンウン

優花里「そう? それじゃ、行ってきまーす!」タッ タッ

好子「行ってらっしゃい」フリフリ


淳五郎「優花里は、その、学校ではうまくやってるんだろうか?」

好子「お父さん、まだ優花里にお友達ができないのを心配してるの?」

淳五郎「いや、そういうわけじゃ、ないが……」

好子「……きっと優花里を理解してくれる良いお友達が現れるわ」

淳五郎「う、うむぅ……」


―通学路・女子寮前―


優花里「今日も快晴ですっ! 何かいいことがありそうな予感ですね!」

優花里「おおっ! 道端にタンポポが!」タッ タッ

優花里「タンポポ殿もこの天気を喜んでるのでありますか?」ニコニコ

優花里「でも、その場所だと誰かに踏まれちゃいますよ?」

優花里「……そうですか! まさに雑草魂、わたしも見習いたいですぅ!」

優花里「それでは、わたしは学校がありますので! 失礼しますっ!」タッ タッ


―中学校教室―



先生「―――〇〇さんの給食費を盗んだ人が居たら、素直に名乗り出なさい」

ザワ ザワ …

女子1「わたしたちの中に泥棒が居るってこと?」

女子2「こわいね」

女子3「誰が犯人なんだろう」

女子1「わたしたちはいつも一緒に居るから、盗む時間なんて無いよね?」

女子2「ってことは、いつもひとりぼっちの子が犯人?」

女子3「それって……」


優花里「ふんふふ~ん♪」


優花里(はぁ、やっぱりドイツ戦車の王者の風格は素晴らしいですねぇ)キラキラ

優花里(英仏戦車の奇抜なデザインも、ソ連戦車の武骨な容姿も垂涎ものではありますが)

優花里(この"消しゴム戦車"の中で最高を選べと言われたら、間違いなくティーガーⅡです!)

優花里(消しゴムゆえ単色なのが玉に瑕ですが)ブロロロー ブロロロー


女子1「……あの、秋山さん」ヒソヒソ

優花里「ふんふふ~ん♪」ブロロロ ブロロロー

女子2「ちょっと!」ツンツン

優花里「は、はい! なんでありましょうか!?」ビクッ

女子3「えっとね? 最近お金を使ったりした?」

優花里「お金、ですか?」ビクビク


優花里「そうですね、この間プラモを買うのに使ってしまいました」

優花里「でも、超レアものだったんですよ! もう今しかない、という一品で!」

優花里「そのせいで今月は金欠ですぅ。はぁ、お金がどこかに落ちてないかなぁとそればかり考えていますよ」

女子1「やっぱり……」

女子2「センセー! 犯人、わかりましたー!」

優花里「犯人?」ポカン

女子3「秋山さんが盗ったみたいです。給食費」

優花里「え……ええーーーっ!?!?」


―放課後・職員室―


淳五郎「―――それじゃ、給食費は"盗まれた"子の家に置いてあったんですね?」

先生「ええ。カバンに入れたつもりがうまく入ってなかった……それだけのことでした」

先生「それをうちの生徒が、優花里さんが犯人だと勘違いしたらしく」

好子「そうだったんですか……。優花里? もう泣かなくていいのよ?」ヨシヨシ

優花里「うぐっ……ひぐっ……」ポロポロ

先生「ごめんね、優花里ちゃん。先生が悪かったわ」

優花里「……先生は悪くありません」グスッ

優花里「友人が居ないばかりに、いえ、戦車にばかり構っているせいで、疑われてしまうわたしが悪いのであります……」ウルッ

淳五郎「優花里……」

好子「優花里……」

優花里「……お父さん。お母さん」ゴシゴシ

優花里「ごめんなさい。少し、ひとりにさせてください……」


―通学路・女子寮前―


優花里「友だちが居ないだけで、こんな目に遭わないといけないんですね」トボトボ

優花里「やっぱり、戦車趣味はもうやめた方が……っ」

優花里「……人間は面倒な生き物ですね。その点、タンポポ殿は気にしなくてもいいんですよね」

優花里「そんな羨ましいタンポポ殿に、また会いに来ちゃい……ま、し……!?」



グチャァ


優花里「えっ、な、なんで……?」プルプル

優花里「すりつぶされて……足跡……誰が、こんな……っ」ガクッ

優花里(……いえ。よく考えれば、いつ誰かに踏みつぶされてもおかしくなかったですね……)ウルッ

優花里(それに気づいていたわたしなら、守ってあげることができたはずなのに……)

優花里(わたしの慢心のせいで……っ)


優花里「う……うわぁぁぁ……ぁっ……!!」ポロポロ




かなしいです



とてもかなしいです








 悲しまないで、優花里さん






優花里「そ、その声は……?」


 悲しむ必要なんて無いよ、ゆかりん!


優花里「もしかして、タンポポ殿……!?」


 そうだぞ、秋山さんに悲しい顔は似合わない。

 タンポポは花や葉がダメになっても、根が強く残り、また花を咲かします。


優花里「そうなんですか!?」


 なんだかそれって、ゆかりんみたいだね!

 そうですか? そう言われると嬉しいです。


優花里「そうですか? そう言われると嬉しいです」モジモジ


 ……秋山殿。あと少しすると、貴女にはとっても素敵な友だちができます。

 いえ、素敵なんて言葉じゃ足りないくらいです! 秋山殿は世界一の幸せ者です!

 だから、今はつらいかも知れませんが、根を張って待っていてください。

 いずれ必ず秋山殿が、花を咲かせる時は来ます!


優花里「わたしが……花を……っ」ムニャムニャ

好子「優花里、夕飯よ。そろそろ起きなさい」

優花里「……あ、あれ? お母さん? ここは、わたしの部屋?」キョロキョロ


―優花里の部屋―


好子「なに寝ぼけてるの。あなた、泣き疲れて寝ちゃったんでしょ」

優花里「そ、そうだった……。なんだか、夢と記憶があいまいになってて」

好子「……ごめんね、優花里。力になってあげられなくて」

優花里「ううん。気にしないで」

優花里「この匂い、カレーだよね? お母さんのカレー、戦車と同じくらい大好きだから」ニコ

好子「……そう。それじゃ、いっぱい食べて元気出しなさい」ニコ

好子(いつか、優しい花を咲かせるのよ。優花里……)


好子「何か寝言を言ってたみたいだけど、夢でも見てたの?」

優花里「うん。とっても大切な……でも、あれ? どんな夢だったっけ」ウーン?

好子「うふふ。夢って、起きた途端忘れちゃうわよね」

優花里「むむー、わたしのこの頭がもっと出来が良ければよかったのに」

好子「お父さんはテストの成績次第で戦車コレクション捨てるとか言ってるけど、そんなに気にしなくていいわよ」

好子「優花里から戦車を取ったら優花里じゃなくなっちゃうわ」

優花里「あっ! そんな感じの夢だったと思う!」

好子「そう。ほら、窓閉めて。ご飯、準備してるから」

優花里「はーいっ。よいしょ、窓を、閉め―――」


フワッ



フワッ


優花里「こ、こ、これって……っ!!」


フワ フワ


優花里「そおっと、そおっとぉ……っ!!」


パシッ


優花里「――――ヒヤッホォォォウ! タンポポだぜぇぇぇぇ!」



優花里「つかまえました! 綿毛、手につかみましたよーっ!」キラキラ

優花里「開けてた窓から、飛んでくるなんて……!」ドキドキ

優花里「もしかしてこれ、夢だけど夢じゃなかった、ってやつですよね!」

優花里(そっか……そうですよね、この季節)

優花里(タンポポ殿は、たくましく生き抜こうとしているのですよね……!)


・・・
・・・・・・


優花里「―――ということがありまして、このタンポポはその時の綿毛を植えたものなんです」

沙織「ゆ゛~か゛~り゛~~~ん゛っ!」ダキッ

優花里「うわぁ!? 武部殿っ!?」

沙織「わたしたち、ずっと友だちだからね! あんこうの絆は永遠だからね!」ギューッ

麻子「なんだそれ」

華「あらあら」ウフフ


みほ「でも、もし優花里さんが戦車の趣味を捨ててたら、なんて、想像もできないな」

優花里「そうですね。自分でも想像できません」

麻子「友だちと戦車を天秤にかけて、戦車を選んだくらいだからな」

優花里「……たぶん、それで得た友だちは、今思えばですが、本当の友だちにはならなかったと思います」

華「お店で買った高価な花をもらうより、道端に咲いている花を一緒に眺めてくれる方が嬉しいですものね」

沙織「今まさに一緒に眺めてるじゃん! わたしたち!」

優花里「えへへ……」テレッ


優花里「あの時の夢は、タンポポ殿がわたしに伝えたいことがあって見せてくれたものだったんだと思っています」

優花里「全国優勝、そして対大学選抜戦を経て、ようやく余裕ができたので、その感謝を伝えようと、今日、ここに」

沙織「それで大事な用事だったんだね」

華「その夢は、やはりどんな夢であったかは覚えてないのですか?」

優花里「残念ながら……。冷泉殿の頭脳が羨ましい限りですぅ」

麻子「夢を記憶する能力は関係ないと思うが」

みほ「それじゃぁさ、タンポポさんにお願いして、昔の優花里さんにわたしたちの言葉を伝えてもらおうよ!」

優花里「ええっと?」


沙織「またみぽりんはメルヘンなんだからぁ~。そこが可愛いんだけどね」

華「タンポポの花言葉は『愛の神託』。もしかしたら本当に、わたくしたちの愛を昔の優花里さんに届けてくれるかも知れません」

麻子「ほう。となると、ここにわたしたちがこうして集まっているのも運命の収束のようなものか」

沙織「ええ!? なんか難しい話してるけど、そうなの?」

みほ「きっとそうだよ! ね、優花里さん。いいよね?」

優花里「なんだか恥ずかしいですが……はいっ!」

優花里「悲しみに道を違えてしまいそうだったわたしに、今のわたしを目いっぱい自慢してやろうと思います!」

みほ「うんっ!」

優花里「それじゃ、お願いしますね。タンポポ殿!」


タンポポ「…………」



みほ「悲しまないで、優花里さん」


沙織「悲しむ必要なんて無いよ、ゆかりん!」


麻子「そうだぞ、秋山さんに悲しい顔は似合わない」


華「タンポポは花や葉がダメになっても、根が強く残り、また花を咲かします」


沙織「なんだかそれって、ゆかりんみたいだね!」


優花里「そうですか? そう言われると嬉しいです」エヘヘ



優花里「……秋山殿。あと少しすると、貴女にはとっても素敵な友だちができます」


優花里「いえ、素敵なんて言葉じゃ足りないくらいです! 秋山殿は世界一の幸せ者です!」


優花里「だから、今はつらいかも知れませんが、根を張って待っていてください!」


優花里「いずれ必ず秋山殿が、花を咲かせる時は来ます!」


優花里「―――だってわたしは、戦車大好き『秋山優花里』なんですから!」





フワ フワ …








おわり

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