優花里「西住殿の笑顔です!」 (27)

 
優花里(……よし!)


優花里「に、西住殿~!」


みほ「秋山さん、どうかした?」


優花里「あのっ! 西住殿に相談したい事がありまして!」


みほ「相談? 戦車道のこと?」


優花里「い、いえ、ごく個人的な話なのですが……」


みほ「個人的……」


優花里「……ダメでしょうか?」


みほ「ううん。私でよければ力になるよ」


優花里「ありがとうございます!」



※百合です注意

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みほ「それで、どんな相談?」


優花里「はい。西住殿は、私が数学の小テスト対策に苦戦していたのを覚えていますでしょうか?」


みほ「うん。点数が悪かったら戦車グッズが全部捨てられちゃう、って秋山さんすっごく追い込まれてて……」


みほ「あの日はみんなで勉強会をしたんだよね」


優花里「そうです!」


優花里「西住殿のおかげで、私の戦車グッズたちは今も部屋で光り輝いています!」


優花里「本当にありがとうございました!」


みほ「秋山さんが頑張ったからだよ。私は特になにも……」


みほ「って、相談ってもしかして……?」


優花里「ええと……来週の月曜日、うちのクラスで国語の小テストが……」


みほ「あ、あははは……」
 

 
優花里「実は私、数学以上に国語に苦手意識がありまして……」


優花里「聞くところによると、西住殿は国語が得意科目だそうで」


みほ「得意と言うか、好きな科目かな」


優花里「一度ならず二度までもと呆れられるでしょうが、お願いします!」


優花里「西住殿のお力を! 私に国語の極意をご教授下さい!」


みほ「ご、極意は無いから無理だけど、普通に教えるので良ければ……」


優花里「本当ですか!? ありがとうございます!」


みほ「あ、でも、私誰かに教えるのって苦手だからあんまり期待は……」


優花里「そんな事ありません!」


優花里「この前の勉強会でも、西住殿の指導が一番分かりやすかったです!」


みほ「そ、そう?」


優花里「はい!」


みほ「それは……嬉しいな」
 

 
みほ「大切な戦車グッズ、防衛出来るといいね」


優花里「戦車グッズ?」


みほ「あれ? 違うの?」


優花里「あ、いや、そ、その通りです!」


優花里「今回も守り抜いてみせます!」


みほ「うん」


みほ「じゃあどうしようか?」


みほ「今日は金曜日だから月曜日までまだ2日あるけど、土曜日は練習もあるから……」


優花里(ほっ……)


優花里(な、なんとか第一条件をクリアをしました……)


優花里(しかし!)


優花里(ここからが本番です……!)
 

 
優花里(ここからが本番です……!)




……
………

数日前



沙織「みぽりんと?」


華「仲良く?」


麻子「なりたい?」



優花里「は、はい……」



沙織「みぽりん抜きで相談したい事があるって言うから何かと思えば」


華「もう十分仲良しだと思いますよ?」


沙織「うんうん」


沙織「っていうか、ゆかりんが一番の仲良しなんじゃない?」


優花里「そう言っていただけるのは大変嬉しいのですが……」


麻子「現状では満足できない?」


優花里「そう、ですね……」


沙織「おぉ~」


華「満足……」ドキドキ
 

 
優花里「こんなことを思うのはおかしいって、自分でも分かってるんです」


優花里「皆さんと出会って、私の学園生活は一変しました」


優花里「戦車や戦車道に関してはもちろん、普段の生活まで毎日が今までよりもっと楽しくなって」


優花里「それなのに……」


華「まだ何かが足りない、と?」


優花里「はい……」


優花里「それで、よく考えたんです」


優花里「私は何を楽しいと思って、何を嬉しいと思っているのか」


優花里「そうしたら、思い浮かぶのは西住殿のことばかりで……」


沙織「!」


優花里「あ、でも、武部殿も五十鈴殿も冷泉殿のことももちろん……!」


麻子「大丈夫だ。誰も揚げ足なんてとらない」
 

 
優花里「……私、西住殿の笑顔が大好きなんです」


優花里「西住殿を笑顔にしたい。西住殿の笑顔がもっと見たい」


優花里「そして叶うなら、その笑顔をもっと私に……って、これは我儘が過ぎますね」


沙織「……」


優花里「兎に角、今よりもっともっと仲良くなることが出来れば……」


麻子「なるほど」


華「そういう理由だったんですね」


優花里「はい」


優花里「ですので、是非皆さんのお力を……」


沙織「恋だね」


優花里「……はい?」
 

 
麻子「おい、沙織」


沙織「その気持ちは恋だよ!」


優花里「こ、い……?」


沙織「そこまで想ってて気が付いてないの!?」


沙織「ゆかりんは! みぽりんに恋しちゃってるの!」


沙織「ゆかりんのみぽりんに対する好きは、恋しちゃってる好きなの!」


優花里「恋……」


優花里「私が、西住殿に……」


優花里「……」


優花里「///」ボフッ!!


華「ゆ、優花里さん!?」
 

 
麻子「沙織、無責任に炊きつけるな」


沙織「絶対そうだよ!」


沙織「目を閉じれば、目蓋に映るのはあの人の笑顔」


沙織「寝ても覚めても、考えるのはあの人のことばかり……」


沙織「あの人の笑顔が好き、あの人の笑顔を自分だけのものにしたい!」


沙織「コレを恋と呼ばずして何と呼ぶの!?」


華「そこまで言ってないと思うのですが……」


麻子「そもそも女同士だぞ?」


沙織「人を好きになる事に異性も同性もない!」


麻子「ダメだ。変なスイッチが入っている」


華「情熱的ですね」
 

 
優花里「あ、あのっ!」


優花里「この気持ちがこ、こここ恋ならば! 私はどうすればいいのでしょうか!?」


沙織「安心して、ゆかりん」


沙織「私の恋愛テクでしっかりサポートしてあげるから!」


優花里「おぉ! 心強いです!」


麻子「そのテクは通用するのか?」


沙織「言ったでしょ? 好きになることに異性も同性も関係ないの。だから大丈夫!」


麻子「……ああ、すまん。言葉が悪かったな」


麻子「通用した試しがないそのテクは本当に使えるのか?」


沙織「うぐっ、ハッキリ言うわね……」


優花里「……」


沙織「そんな不安そうな顔しない!」


優花里「す、すみません!」


………
……




優花里(そうして立案されたのが、2人で勉強会をするという作戦です)


優花里(武部殿曰く、これが『恋が始まる王道シチュエーション!』だそうで)
 

 
優花里(2人で……西住殿と2人で……)


優花里(か、考えるだけで緊張してしまいます……!)


優花里(少し落ち着かなければ……)


みほ「秋山さん?」


優花里「はいぃ!?」ビクッ!


みほ「ど、どうかした?」


みほ「何か顔色が……」


優花里「い、いえ! 何でもありません!」


みほ「そう?」


優花里「はい!」


優花里(考えただけでこの有り様では、当日はどうなってしまうのでしょう……)
 

 
キーンコーンカーンコーン



みほ「あ……」


優花里「休み時間、終わっちゃいましたね」


みほ「うん」


みほ「それじゃ私、教室に戻るね」


優花里「はい! また昼休みに!」


みほ「武部さん達には私から話しておくね」


優花里「はい?」


みほ「勉強会のこと」


優花里「……」


優花里「……あっ」


優花里「そ、そうですね! お願いします!」





優花里「……」


優花里「これは……作戦失敗……?」
 

 
昼休み



沙織「ごめんね、みぽりん」


沙織「日曜日は麻子と出掛ける予定があって」


沙織「ね、麻子?」


麻子「そうだな」


華「私も、どうしても外せない用事が……」


みほ「そうなんだ」


麻子(本当はそんな予定無いんだがな)


華(みほさんと優花里さんを2人にするため、ですね)


沙織(ゆかりん。しっかりサポートしてあげるからね!)


優花里(皆さん……!)


みほ「……じゃあ、2人でやろっか」


優花里「は、はい!」
 

 
みほ「明日の練習後から始める? それとも日曜日にする?」


優花里「西住殿の都合に合わせてもらって構いません」


みほ「それなら……」


優花里「」カチコチ





麻子「もうすでに緊張してるみたいだな」


華「姿勢がカチカチですね」


沙織「……」ポケー


麻子「……沙織?」


沙織「へ? な、なに?」


麻子「何をそんなボーっとしているんだ」


沙織「あー……うん、ちょっとね」


麻子「?」


沙織「そうだ、ゆかりんの為に作戦練らないとね!」


麻子「……」
 

 
………
……



放課後



桃「では、本日はここまでとする」


杏「みんなお疲れ様ー」


「「お疲れ様でしたー!」」


杏「あ、そうそう」


杏「車長の人はこれから作戦会議やるからちょっと残ってねー」








みほ「それじゃあ皆、また明日」


華「はい」


沙織「ばいばーい」


優花里「……」


沙織「ゆかりん、帰ろ?」


優花里「……あ、あの」


沙織「ん?」
 

 
優花里「私、待っていようと思います」


優花里「西住殿が戻って来るのを……」


沙織「ゆかりん……」


優花里「……」


沙織「……その気持ち、YESだね!」


麻子「おい。戦車乗りでその言い回しは縁起が悪いからやめろ」


華「では、私たちは先に帰りますね」


麻子「気をつけてな」


沙織「アドバイス、メールで送るから見てね」


優花里「はい!」





優花里「はぁ……」


優花里「……」ドキドキ


優花里(何でもないことが、意識ひとつでこんなにも……)


優花里(西住殿……)ドキドキ
 

 
沙織「はぁ……」


華「どうしたんですか? 溜息なんて吐いて」


沙織「んー……」


沙織「……ゆかりんが羨ましくて」


麻子「昼休みにうわの空だった理由はそれか」


沙織「うん」


沙織「みぽりんの前で、赤くなってカチカチになってるゆかりんのこと見てると」


沙織「好きな人がいるって良いなぁ、って」


華「そうですね」


沙織「私も恋がしたいよぉ……」


麻子「すれば良いじゃないか」


沙織「出来るんならとっくにしてるよ!」


沙織「もー! 私の運命の人はどこにいるのー!」


華「沙織さん、声が大きいです……」
 

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